JP5105806B2 - 色補正装置及び色補正方法 - Google Patents
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Description
上記光学フィルタは、可視光の広い波長範囲において、一様な減衰特性を有する減光フィルタ(NDフィルタ:Neutral Density Filter)や、特定の波長を選択的に吸収する色補正フィルタ(CCフィルタ:Color Compensation Filter)、低域通過型フィルタ、帯域通過型フィルタ、高域通過型フィルタ、帯域除去フィルタなどが用いられている。
上述した各光学フィルタは、映像全体に対応する構成であるが、映像における局所的な色補正を実現するため、部分的に着色された光学フィルタ(例えば、ハーフNDフィルタなど)も実用化されている。
アナログVTR等により電子的かつアナログ的に撮像された映像(静止画もしくは動画)に対しては、電気的に輝度信号や色信号の振幅を増幅したり減衰させることにより、あるいは空間的に変調することにより、局所的に色補正を行うことができる。
このデジタル的な映像に対する補正処理を自動化した手法として、入力された映像の局所的なカラー値に対応した画像マスクを生成し、画像マスクの局所的な変換係数に応じて上記関数のパラメータを調整する手法がある(例えば、特許文献1参照)。
また、偏光板を複数枚組み合わせて、各偏光板の光を透過する偏光面を相対的に調整することにより、映像の色調を変化させるフィルタも存在する。
さらに、透過型の液晶素子からなる液晶パネルを用い、その液晶パネル全体の透過率を電子的に調整可能とした透過型液晶フィルタも存在する。
また、これら従来のフィルタには、色変調に用いる際に、さまざまな撮影環境に適時対応させるため、濃度やパターンの異なるフィルタを複数用意する必要性があり、かつこれらフィルタを撮影環境に応じて、撮像装置に対して付け替える手間を要するという問題がある。
このため、従来の電子的あるいは数値的に局所的な色補正を行う方法は、撮像段階において、すでに撮像装置のダイナミックレンジにおいて、輝度値が飽和している(白トビ)場合や、輝度値が最小量子化ステップあるいはノイズレベルに達しないレベルの光量(黒潰れ)の場合に、色補正における輝度値の変換処理を行うことにより、画像の階調を復元することは不可能であり、また、大きな輝度値変化を伴う変換処理を施すことにより、画像全体の画質が低下する問題がある。
例えば、サッカー場などにおいて、太陽が照りつけて明るい場所と、スタンドの陰となって暗いところとを同時に撮像した場合、入力する画像の輝度値を量子化する際に、上述したような問題が起こる。
この撮像素子は、オンチップにおける演算であるため、製造時にオンチップに実装可能な色補正に対する処理方法が限定され、作成後にこの処理方法を変更するが困難であり、かつ、処理方法を空間的かつ動的に切り替えることがさらに困難である欠点を有している。
また、光学フィルタを組み合わせたフィルタは、濃度変化を行う際、機械的な駆動を要するため、環境の変化に対する応答性や摩耗などによるキズなどの耐久性の課題もある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、局所的に濃度を可変な空間光変調素子を用い、撮像する画像の局所的な(画像空間における部分的な)色補正を行い、画像のダイナミックレンジを向上させることができる色補正装置及び色補正方法を提供する。
この本発明の色補正装置によれば、パターン生成手段により生成された2次元制御パターンを用いて、空間光変調素子における各変調領域の光変調を制御することにより、本装置を装着した撮像装置の撮像光路において、被写界から入射する光の輝度値あるいは波長(色)毎の分光を空間的に変調することができるため、画像の局所的な色補正を容易に行うことができる。
また、この本発明の色補正装置によれば、色補正を行う対象の撮像装置と異なる他の撮像装置を設け、この他の撮像装置が入力した画像に対し、色分布の局所的な偏りを検出し、この偏りから設定領域毎の濃度や分光特性を含む変調情報を求めることにより、この設定領域に対応する変調領域の変調制御を行う2次元制御パターンを生成することでき、入力される画像に対して、空間的に局所的な色補正を行うことができる。
この結果、本発明の色補正装置は、電気的な映像出力がリアルタイムに得られない撮像装置、例えば各種カメラ(銀塩式のカメラを含む)であっても、容易にこれら各種カメラの撮像光路において入射する被写界からの光に対する色補正を実現することが可能となる。
この本発明の色補正装置によれば、ユーザがパターン入力手段により入力する、設定領域毎の濃度や分光特性を含む変調情報により、この設定領域に対応する変調領域の変調制御を行う2次元制御パターンを生成するため、入力される画像に対して、空間的に局所的な色補正を行うことができる。
この本発明の色補正装置によれば、色補正を行う対象の撮像装置が入力した画像に対し、色分布の局所的な偏りを検出し、この偏りから設定領域毎の濃度や分光特性を含む変調情報を求めることにより、この設定領域に対応する変調領域の変調制御を行う2次元制御パターンを生成することでき、入力される画像に対して、空間的に局所的な色補正を行うことができる。
この本発明の色補正装置によれば、色補正を行う対象の撮像装置と異なる他の撮像装置を設け、この他の撮像装置が入力した画像に対し、色分布の局所的な偏りを検出し、この偏りから設定領域毎の濃度や分光特性を含む変調情報を求めることにより、この設定領域に対応する変調領域の変調制御を行う2次元制御パターンを生成することでき、入力される画像に対して、空間的に局所的な色補正を行うことができる。
この結果、本発明の色補正装置は、電気的な映像出力がリアルタイムに得られない撮像装置、例えば各種カメラ(銀塩式のカメラを含む)であっても、容易にこれら各種カメラの撮像光路において入射する被写界からの光に対する色補正を実現することが可能となる。
この本発明の色補正装置によれば、すでに実用化されている透過型の液晶表示パネルを利用することとなり、安価な空間光変調素子を用いることによる製造コストの削減を実現できる。
この本発明の色補正装置によれば、天候,日照及び陰影など、時々刻々変化する照明条件、すなわち撮像環境に追随して、色補正の制御を行う2次元制御パターンを動的に変化させたり(リアルタイムに2次元制御パターンを生成したり)、あるいはユーザの作成意図に対応させて、2次元制御パターンを動的に変化させることが可能となるため、特に動画像の撮影において、経時的に連続して変化する撮像環境に対応させて局所的な色補正を行うことができる。
また、本発明の色補正装置によれば、静止画像の撮影においても、動画像と同様に、時々刻々変化する撮像環境に対して、各撮像環境に適合する2次元制御パターンがリアルタイムに得られるため、色補正を行いつつ、迅速な撮影を行うことができる。
<第1の実施形態>
図1は第1の実施形態の構成例を示す概念図である。
この図において、撮像装置1は、フィルムカメラ,デジタルカメラ,アナログビデオカメラ、デジタルビデオカメラなどである。
色補正装置2は、上記撮像装置1の撮像光路上のいずれかの位置、例えばレンズの前、撮像素子の間、あるいは複数のレンズがある場合、レンズ間などに配置され、空間光変調素子2と、パターン生成部4と、パターン入力部5とから構成されている。ここで、撮像素子とは、CMOS型固体撮像素子またはCCD型固体撮像素子などである。
また、空間光変調素子3は、複数の変調領域に分割されており、この変調領域毎に透過特性が制御される。この変調領域は、画像の色変調を行う空間の分解能に対応させ、適時、任意の分解能(分割数)に設定することができる。また、変調領域は、1構成画素としてもよいし、任意の数の構成画素からなるブロックとして設定してもよい。
また、空間光変調素子3は、色補正において減色法を用いる場合に適用可能なものとして、上記液晶表示パネルだけではなく、液晶に換えて、エレクトロクロミック材料と呼ばれる酸化タングステン,プルシアンブルー,ビオロゲン系化合物,希土類ジフタロシアニン等を充填した単板パネルを構成し、液晶表示パネルと同様に、格子状に電圧を印加することにより、透過率(透明〜シアン,マゼンタ,イエロー,赤,緑,青などの発色)を変化させることが可能な材料、例えば後述するゲスト−ホスト型液晶パネルを用いてもよい。
なお、以下の説明においては、透過率を制御して撮像装置に入射する光量あるいは濃度値を調整することにより説明するが、入射光を透過させる(あるいは色の濃度値を変化させる)時間と、入射光を遮蔽する(あるいは透明とする)時間との割合、すなわちデューティ比を調整して、入射する光量(あるいは透過する光の色変調時間)を制御するようにしてもよい。
空間光変調素子駆動部7は、上記2次元制御パターンにより、空間光変調素子3の2次元的に配置された各構成面素にアクセスする(または1次元的に走査する)ためのアドレス信号(変調領域の座標)、同期信号もしくはクロックと、各構成画素が所定の濃度となるよう制御するための駆動信号(用いる空間光変調素子3の種類に応じて適切な電圧値、電流値、変調方式、あるいは磁界による電磁的な信号)を出力する。
図2及び図3により、パターン入力部5の説明を行う。図2は、パターン入力部5の構成例を示すブロック図である。図3は、図2のパターン入力部5における、ユーザが変調情報を入力するユーザインターフェースの制御パネル面を示す概念図である。
パターン入力部5は、図2に示すように、濃度値及び座標を指定するためのユーザインターフェース51と、パターン生成部4内の記憶領域に対して、各設定領域の濃度値を上記座標に対応したアドレスに書き込む制御部54とから構成されている。
また、ユーザインターフェース51には、現在設定されている(パターン生成部4内の記憶領域に記憶されている)濃度情報に対応した2次元パターンを表示する表示部53が設けられている。
表示部53は、CRT、液晶表示パネル、EL(Electro Luminescent)素子、発光ダイオード、プラズマディスプレイなどの任意の表示装置を用いることができる。
また、入力部52及び表示部53は、液晶ペンタブレットや、液晶タッチパネル、CRTタッチパネルなどの、入力手段と表示手段とが一体化されたものを用いても良い。
スイッチ511は、各スイッチが例えば、シアン(C)、マゼンタ(M)及びイエロー(Y)の各色の濃度値を増減させたり、NDの露出倍数を増減するために用いられる。この各スイッチに示されている色を示すC,M及びYの文字の後ろの「+」または「−」は、「+」の示されたスイッチを押下げると、対応する文字の示す色の濃度値が増加し、一方、「−」の示されたスイッチを押下げると、対応する文字の示す色の濃度値が減少する。
例えば、「C+」の示されたスイッチを押下げると、シアンの濃度値が1ステップ増加し、一方、「C−」の示されたスイッチを押下げると、シアンの濃度値が1ステップ減少する。
すなわち、制御部54は、パターン生成部4内の記憶領域に記憶されている濃度値(2次元制御パターン)により、パターン表示部531における上記記憶領域のアドレスに対応した座標の画素を駆動し、濃度値に対応する2次元パターンの画像として表示する。
ここで、パターン表示部531には、前記2次元パターンを構成する各画素において、シアン、マゼンタ、イエロー及びNDの各濃度に応じた色彩で彩色された画像が表示される。
また、制御部54は、スタイラスペンが液晶ペンタブレット512表面に触れた際に取得された座標をパターン記憶部41におけるアドレスに変換し、このアドレスに対して、スイッチ511にて設定された上記濃度情報(C,M,Y,D)を書き込む。
また、制御部54は、パターン記憶部41に記憶されている、2次元制御パターンを生成する濃度情報(座標ごとの各濃度値)を読み出し、パターン表示部531に表示する。
一方、R,G及びBの各値は0以上1以下とし、数値が大きいほど輝度が高いものとする。
なお、このほか、パターン表示部531に表示する画像として、2次元パターン内における同濃度値の領域の境界線を表示したり、該境界線の内部に数値で各濃度値を表示することもできるし、またこれらを複合して表示してもよい。
また、設定状態表示部532には、色補正装置に現在設定されているシアン、マゼンタ、イエロー及びNDの各濃度値が数値にて表示される。
すなわち、入力部52は、ユーザの描画した描画領域に含まれる設定領域の座標を、色補正を行う対象として検出し、その描画領域単位にて、ユーザの入力する濃度値が設定される。
そして、ユーザは下絵に対応した各描画領域の濃度値のみを設定することにより、各設定領域の座標及びその座標に対応する濃度値を設定することができる。この構成とすることにより、ユーザは、精度の高い色補正の対象となる設定領域に対する濃度値の設定を容易に行うことができる。
この構成とすることにより、ユーザは、精度の高い色補正の対象となる設定領域に対する濃度値の設定を、容易にかつリアルタイムに行うことができる。
パターン生成部4は、パターン記憶部41及びパターン演算部42から構成されている。
パターン記憶部41はRAM(ランダムアクセスメモリ)などの高速な半導体記憶装置にて構成されており、空間光変調素子3における格子状配列の各構成画素それぞれの座標(アドレス)に対応して濃度情報が記憶される。
また、例えば、濃度情報として、多次元(複数)の数値を用いて、波長毎または原色毎の濃度値をベクトル量として表すものとしてもよい。すなわち、色補正装置2がR(赤)、G(緑)及びB(青)の原色によりカラー画像を撮像する撮像装置1に装着される場合、C(シアン)、Y(イエロー)及びM(マゼンタ)の3原色の各濃度値を濃度情報として用いたり、またR、G及びBの3原色の各濃度値を濃度情報として用いたりすることができる。これらの構成については、詳細に後述する。
また、パターン演算部42は、空間光変調素子3の各構成画素において、光学的な濃度と適切に対応するように、読み出した濃度情報に対して数値変換の演算を行うようにしても良い。
上記数値変換は、空間光変調素子3の構成によって異なるため、後に詳述する、
i.空間光変調素子3がNDフィルタ
図5に示す構成の空間光変調素子3は、格子状の画素配列を有する単板にて構成されており、各構成画素の各々が濃度可変の灰色(グレー)のNDフィルタとして用いられる。
この場合ユーザが上記入力部52を介して、色補正装置2に入力する濃度情報は、画像の輝度値の高い部分を暗い方向へ遷移させ、輝度値の低い部分を明るい方向へ遷移させる濃度値(露出倍数D)となっている。
例えば、輝度値の低い部分の設定領域の濃度値はそのまま(透過率100%)とし、輝度値の高い部分の設定領域における透過率を、ユーザの設定する値にし、入力される光量を低下させ、画像表示のダイナミックレンジを名目的に広げる処理を行う。
このとき、パターン演算部42は、濃度情報が露出倍数を表している場合、各構成画素が設定された露出倍数相当の灰色となるよう、この露出倍数となる濃度値からなる2次元制御パターンを生成する。
そして、空間光変調素子駆動部7は、上記2次元制御パターンに対応した駆動信号を、空間光変調素子3の各構成画素に対して出力し、空間光変調素子3に所定の濃度値の2次元パターンを表示し、各構成画素の透過率の制御を行い、撮像装置1に入射する光量の制御を行う。
図6に示す構成の空間光変調素子3は、格子状の画素配列を有する単板にて構成された、シアン,マゼンタ及びイエローの各色に対応したフィルタ3枚を、それぞれの変調領域が対応するように重ねて構成された合成フィルタであり、各色のフィルタ毎、かつフィルタにおける各構成画素の各々が濃度可変の光変調フィルタとして用いられる。
ここで、3枚の各フィルタの構成画素が対応する座標にて重なりあっているため、濃度情報としての座標は1つで表現することができ、変調フィルタの構成画素の各座標に対して、シアン,マゼンタ及びイエローの3つの色の濃度値として、3次元ベクトルの濃度情報(C,M,Y)となる。
すなわち、アゾ系,アントラキノン系,キノフタロン系,ペリレン系などの二色性色素を用い、減色法に用いる3原色のC,M,Yの色素をそれぞれ合成して変調フィルタの生成を行う。
液晶分子(ホスト)に二色性色素(ゲスト)を溶解させて液晶パネルを生成し、各構成画素毎に電界を印加させることで、液晶分子の配向を変化させることにより、その動きに対応して色素の配向が変化する。例えば、電圧を印加した場合に無色透明、一方、電圧を印加しない場合にそれぞれの色に着色させて、光の透過制御を行うことができる。
この構成によれば、C,M,Y各々の濃度値の組合せにより、減光及び色補正の2つのフィルタ処理を実現することができる。
すなわち、この構成によると、各フィルタの構成画素は、濃度値を最小とした場合、理想的に無色透明となり、濃度値を最大とした場合、理想的に各色の補色を完全に遮断する半透明となるものとする。したがって、減色法による混色を用いて、変調フィルタの減光及び色補正を行う。ここで、Rの補色はCであり、Gの補色はMであり、Bの補色はYである。
そして、空間光変調素子3の各構成画素に対して設定するシアン,マゼンタ及びイエローの各濃度値(C0,M0,Y0)は下記の(2)式にて設定される。
すなわち、パターン演算部42は、パターン記憶部41から入力される濃度情報(C,M,Y)を、この(2)式により変換する。
また、Dは露出倍数を示し、「1」のときに減光無し(透過率100%)であり、「0」のときに遮断とし、0.5であると透過率50%となる。
上述したように、パターン演算部42は、空間変調素子3のフィルタ3C,3M,3Y各々に対して、(2)式により演算した濃度値に対応したそれぞれの2次元制御パターンを生成する。
図7に示す空間光変調素子3は、格子状の画素配列を有する単板にて構成された、シアン,マゼンタ,イエローの各色及びND(減色)に対応したフィルタ4枚を、それぞれの変調領域が対応するように重ねて構成された合成フィルタであり、各色及び減色のフィルタ毎、かつフィルタにおける各構成画素の各々が濃度可変の光変調フィルタとして用いられる。ここで、4枚の各フィルタの構成画素が対応する座標にて重なりあっているため、濃度情報としての座標は1つで表現することができ、変調フィルタの構成画素の各座標に対して、シアン,マゼンタ,イエローの3つの色及び減色の濃度値として、4次元ベクトルの濃度情報(C,M,Y,D)となる。
すなわち、上述した構成によると、各フィルタの構成画素は、濃度値を最小とした場合、理想的に無色透明となり、濃度値を最大とした場合、理想的に減色及び各色の補色を完全に遮断する半透明となるものとする。
上記iiの構成に対して、本構成の方が、灰色の制御を、C,M,Yの各色の制御と分離して(独立して)指定することができるため、3枚のフィルタの場合に比較して、補正量の演算が容易となる。
そして、空間光変調素子3の各構成画素に対して設定するシアン,マゼンタ及びイエローの各濃度値(C0,M0,Y0,K0)は下記の(3)式にて設定される。
すなわち、パターン演算部42は、パターン記憶部41から入力される濃度情報(C,M,Y,D)を、この(3)式により変換する。
また、Dは露出倍数を示し、「1」のときに減光無し(透過率100%)であり、「0」のときに遮断とし、0.5であると透過率50%となる。
上述したように、パターン演算部42は、空間変調素子3のフィルタ3C,3M,3Y,3ND各々に対して、(3)式により演算した濃度値に対応したそれぞれの2次元制御パターンを生成する。
上述したii,iiiについては、空間光変調素子駆動部7がフィルタ3C,3M,3Y及び3ND各々に、それぞれ対応する駆動信号を出力し、各フィルタに2次元パターンを表示させる。
図8に示す空間光変調素子3’は、格子状の画素配列を有する単板にて構成されており、レッド,グリーン,ブルーの各構成画素(それぞれ構成画素に3色いずれかのカラーフィルムを貼着)を、R,G,Bの構成画素の組を、図の平面にて上下方向にて同一の色が重ならないように周期的に配列、すなわち水平及び垂直の各方向において、各色を2構成画素おきに配列したものである。
この構成によれば、iiですでに説明した変調フィルタと同様な減光及び色補正の2つのフィルタ処理を、単板にて実現することができる。
この図8の光変調フィルタを用いる場合、パターン記憶部41には、ユーザにより入力された濃度情報として、各構成画素の座標(アドレス)毎に、上述した4次元ベクトルの濃度情報(C,M,Y,D)が記憶されている。
そして、空間光変調素子3’の各構成画素に対して設定するシアン,マゼンタ及びイエローの各濃度値(R0,G0,B0)は下記の(4)式にて設定される。
すなわち、パターン演算部42は、パターン記憶部41から入力される濃度情報(C,M,Y,D)を、この(4)式により変換する。
また、Dは露出倍数を示し、「1」のときに減光無し(透過率100%)であり、「0」のときに遮断とし、0.5であると透過率50%となる。
上述したように、パターン演算部42は、空間変調素子3’に対して、(4)式により演算した濃度値に対応した2次元制御パターンを、iと同様に濃度値を電圧値などに変換して生成する。
図9に示す空間光変調素子3は、格子状の画素配列を有する単板にて構成された、アンバー(琥珀),ブルーの各色に対応したフィルタ2枚を、それぞれの変調領域が対応するように重ねて構成された合成フィルタであり、各色のフィルタ毎、かつフィルタにおける各構成画素の各々が濃度可変の光変調フィルタとして用いられる。ここで、2枚の各フィルタの構成画素が対応する座標にて重なりあっているため、濃度情報としての座標は1つで表現することができ、変調フィルタの構成画素の各座標に対して、アンバー,ブルーの2つの色の濃度値として、2次元ベクトルの濃度情報(アンバー,B)が対応する。
本構成によれば、各色の濃度の組み合わせにより、減光及び色温度補正の両動作を実現することができる。
この構成による場合、各構成画素は、濃度値を最小としたとき、理想的には無色透明となり、濃度値を最大としたとき、理想的には各色の補色を完全に遮断する半透明となるものとする。したがって、減色法による混色を用いて、変調フィルタの減光及び色補正を行う。
さらに、上述したi〜vにて説明した例のほかに、特定の波長または色のみを選択的に吸収する特性を有する空間光変調素子を重ねて用いたり、特定の波長または色のみを選択的に透過する画素を格子状に配列したり、あるいはそれらの両者を組み合わせることにより空間光変調素子3を構成してもよい。
次に、図2に示すパターン入力部5を、図10に示すパターン入力部5’に換えた第2の実施形態による色補正装置2を説明する。本実施形態は、減色法を用いた色補正に対応するものである。
パターン入力部5をパターン入力部5’に変更した以外、第2の実施形態による色補正装置2は第1の実施形態と同様である。
この第2の実施形態が第1の実施形態と異なる点は、ユーザが濃度情報(C,M,Y,D)を入力するのではなく、パターン入力部5’が撮像された画像から抽出するR,G,Bの濃度値から、各変調領域の構成画素の濃度情報を求め、すなわち、画像における空間的な色分布の局所的な偏りを検出(分析)することにより、この偏りを補正するよう空間変調素子3を制御する2次元制御パターンを生成することにある。
上記インターフェース部51及び制御部54は、第1の実施形態と同様であるため、説明を省略し、第1の実施形態の色補正装置2と異なる構成及び動作のみ説明する。
画像解析部55は、撮像装置1(この場合、デジタルビデオやデジタルカメラなど)から、入力される画像を解析し、すなわち、画像の各画素における各色(R,G,B)の階調度を求め、この階調度から各画素における色の濃度値に対する補正量(色補正量)を求め、この補正量から2次元制御パターンにおける濃度値を算出して出力する。
画像解析部55は、撮像装置1から入力されるモニタ画像(R(x,y),G(x,y),B(x,y))における座標(x,y)の周囲に設定した局所的な評価領域S(x,y)の各色の統計量を算出する。例えば、この統計量として、局所的な評価領域S(x,y)に含まれる画素の階調度の平均値として、平均色(Rm(x,y),Gm(x,y),Bm(x,y))を下記(5)式から算出する。
上記(7)式におけるC(x,y)において、例えば、kC=1とした場合、赤が色として強い場合、C(x,y)をRm(x,y)とすることにより、赤の補色であるシアンを強めて赤を弱くする制御を行うことができる。
制御部54は、画像解析部55が上記(7)式にて求めたC(x,y),M(x,y),Y(x,y)各々を、パターン記憶部41に対し、座標値(x,y)に対応するアドレスに書き込も、2次元制御パターンとする。
この後の空間光変調素子3の駆動の処理については、第1の実施形態と同様である。この処理により、パターン演算部42は、濃度情報(C(x,y),M(x,y),Y(x,y))の2次元制御パターン値を用い、空間光変調素子3に所望の2次元パターンを表示する駆動信号を、各構成画素毎に順次生成する。この結果、色の偏りをユーザの好みに合わせて任意に調整することができる。
例えば、赤を強調したい場合、赤の補色であるマゼンタとイエローとを強調するよう、上記係数kC1,kC2,kM1,kM2,kY1,kY2を設定する。
上述した(7)式及び(8)式の一般式として、例えば、以下に示す(9)式を用いることができる。
上述した処理において、サンプル画像を取得する際、空間光変調素子2の色補正の影響を受けないように、色補正装置2における色補正の処理を行わず、空間光変調素子2の構成画素の全てを透過率100として、新たに、サンプル画像を取得するまで、直前に取得したサンプル画像を原画像として、(7)式から(9)式いずれかにより、色補正に用いる2次元制御パターンを生成する。すなわち、色補正を行って入力される画像をフィードバックして補正のための原画像として使用しない。
これにより、撮像装置1から入力される色補正後の画像から、パターン入力部5’がリアルタイムに2次元制御パターンを生成し、パターン生成部4が空間光変調素子3の制御を行うことができる。このリアルタイムにサンプル画像を得て、2次元制御パターンを生成する構成については第3の実施形態において述べる。
次に、撮像装置1からリアルタイムに色補正後の画像を入力し、これをサンプル画像として、2次元制御パターンを生成する第3の実施形態による色補正装置2を説明する。
第2の実施形態においては、2次元制御パターンを生成するモニタ画像(R(x,y),G(x,y),B(x,y))を、色補正が行われない状態において、撮像装置1からサンプル画像として入力した。
一方、第3の実施形態による色補正装置2は、撮像装置1から色補正を行った画像を入力して、これをサンプル画像として、2次元制御パターンを生成する原画像として用いている。これにより、第3の実施形態による色補正装置2は、撮像装置1からサンプル画像をリアルタイムに得ることができ、2次元制御パターンを生成することができる。
上記センサカメラ6は、デジタル画像を撮像するデジタルビデオカメラやデジタルカメラなどである。
画像解析部55は、入力画像(R(x,y),G(x,y),B(x,y))を、センサカメラ6から入力する。
例えば、この統計量として、サンプル周期Δt毎に求められる、所的な評価領域S(x,y)に含まれる画素の階調度の平均値として、平均色(Rm(x,y,t),Gm(x,y,t),Bm(x,y,t))を下記(11)式から算出する。
また、(12)式における関数L(X)は、濃度情報が制御可能な所定の範囲(0以上かつLmax以下の範囲)内に収まるよう制限する制限関数であり、引数Xが0以上かつLmax以下にある場合に引数Xの値をそのまま出力し、引数Xが0未満である場合に「0」を出力し、また引数XがLmaxを超える場合にLmaxを出力する。
さらに、(12)式におけるgC(Rm(x,y,t),Gm(x,y,t),Bm(x,y,t)),gM(Rm(x,y,t),Gm(x,y,t),Bm(x,y,t))及びgY(Rm(x,y,t),Gm(x,y,t),Bm(x,y,t))は直前の濃度情報に対する補正量であり、それぞれ下記に示す(13)式の構成となっている。
また、kC,kM及びkYはそれぞれ平均色と制御目標値との誤差を(12)式に対してフィードバックする際に乗ずる正の係数(制御ループにおけるゲイン)である。
(13)式において、係数kcは正の値であるため、平均色Rm(x,y,t)が制御目標値lRより大きい場合、すなわち位置(x,y)において赤みが強い場合、gC(Rm(x,y,t),Gm(x,y,t),Bm(x,y,t))は正の値となり、(12)式によりシアンの濃度が増加する。
一方、平均色Rm(x,y,t)が制御目標値lRより小さい場合、すなわち位置(x,y)においてシアンのみが強い場合、gC(Rm(x,y,t),Gm(x,y,t),Bm(x,y,t))は負の値となり、(12)式によりシアンの濃度が減少する。
なお、(12)式における制限関数L(X)の効果により(13)式により求められる濃度値C(x,y,t)は常に予め設定されている0以上かつLmax以下の範囲内に保たれることとなる。
また、(13)式における他の濃度値M(x,y,t)及びY(x,y,t)についても上述した処理により、常に予め設定されている0以上かつLmax以下の範囲内に保たれることとなる。
次に、図11に示す構成の第4の実施形態による色補正装置2を説明する。第3の実施形態においては、2次元制御パターンを生成するモニタ画像(R(x,y),G(x,y),B(x,y))を、上述したように、色補正を行う対象の撮像装置1の出力する画像を用いた。
一方、第4の実施形態による色補正装置2は、図11に示すように、撮像装置1に対して別に設けられた他の撮像装置、例えばセンサカメラ6の出力する画像をサンプル画像として用いている。これにより、色補正の影響を受けないサンプル画像を得ることができ、リアルタイムに2次元制御パターンを生成することができる。
上記センサカメラ6は、デジタル画像を撮像するデジタルビデオカメラやデジタルカメラなどである。
画像解析部55は、入力画像(R(x,y),G(x,y),B(x,y))を、センサカメラ6から入力する。
次に、画像解析部55は、上記(11)式により算出した平均色(Rm(x,y,t),Gm(x,y,t),Bm(x,y,t))から、以下に示す(14)式により、2次元制御パターンにおける濃度情報(R(x,y,t),G(x,y,t),B(x,y,t))を求める。
また、(8)式と同様に、有る色を強調させる場合、画像解析部55は以下の(15)式を用いて、2次元制御パターンとしての濃度情報の計算を行う。
2…色補正装置
3,3C,3M,3Y…空間光変調素子
4…パターン生成部
5,5’…パターン入力部
6…センサカメラ
7…空間光変調素子駆動部
41…パターン記憶部
42…パターン演算部
51…ユーザインターフェース
52…入力部
53…表示部
54…制御部
55…画像解析部
511…スイッチ
531…パターン表示部
532…設定状態表示部
Claims (3)
- 撮像装置に装着され、当該撮像装置に入力される画像の色補正を行う色補正装置であり、
前記撮像装置のレンズの前に配置され、空間的に複数の変調領域に分割され、該変調領域毎に光変調を行う空間光変調素子と、
該空間光変調素子の各変調領域の変調制御を行う2次元制御パターンを生成するパターン生成手段と、
前記2次元制御パターンにより、前記空間光変調素子を制御する空間光変調素子駆動手段と、
前記撮像装置と同様の画像を撮像する他の撮像装置と、
前記他の撮像装置から入力される画像の色分布を、前記変調領域に対応付けられ、空間光変調素子と同様に空間的に分割された設定領域毎に抽出する色分布抽出手段と
を有し、
前記パターン生成手段が、前記色分布抽出手段から入力される前記色分布と、前記設定領域とを対応付けて、前記2次元制御パターンを生成する際、前記他の撮像装置が予め設定されたサンプル周期においてサンプル画像を取得し、前記パターン生成手段が直前のサンプル周期で生成された前記2次元制御パターンの前記変調領域毎の濃度情報に対する補正量を、現在のサンプル周期におけるサンプル画像の色分布から求め、直前のサンプル周期における前記2次元制御パターンの前記変調領域毎の濃度情報と、前記補正量とにより、現在のサンプル周期の2次元制御パターンの前記変調領域毎の濃度情報を生成することを特徴とする色補正装置。 - 前記空間光変調素子が透過型の液晶表示パネルであることを特徴とする請求項1に記載の色補正装置。
- 前記空間光変調素子駆動手段が前記空間光変調素子に対し、予め設定した周期により、前記2次元制御パターンを更新して、光変調を行うことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の色補正装置。
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