以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本実施形態におけるネットワークプリンタの概略ブロック図である。
同図において101はプリンタ、102はIEEE Std 802.11b/gなどに準拠した無線LAN通信部、103はIEEE Std 802.3またはIEEE Std 802.3uなどに準拠した有線LAN通信部、104はUSB(Universal Serial Bus)通信部、105は無線LAN通信部102に設定したSSID(Service Set Identifier:無線LANの識別名称)や無線LAN通信部102または有線LAN通信部103に設定したIPアドレスなどの各種パラメータを記憶しておくための通信設定パラメータ記憶部、106は通信設定パラメータ記憶部105から読み出した値を無線LAN通信部102または有線LAN通信部103に設定したり、無線LAN通信部102または有線LAN通信部103またはUSB通信部104を必要に応じて切り替え制御したり、無線LAN通信部102または有線LAN通信部103またはUSB通信部104が受信したデータを処理したり、無線LAN通信部102または有線LAN通信部103またはUSB通信部104のうち使用されている通信部へ送信データを入力したりする通信制御部である。なお、通信制御部は、メモリ(不図示)に記憶されているプログラムに従って、各部を制御し、後述する各種制御を行なう。107は通信制御部106が受信した印刷データを順次書き込むためのリングバッファなどから成る印刷データ一時記憶部、108は印刷データ一時記憶部107から読み出した印刷データに従って印刷媒体にインクを吐出するなどして印刷を実行する印刷エンジン部である。印刷エンジン部は上記のようなインクジェット方式に限らず、感熱方式、電子写真方式など他の方式であっても構わない。109は通信制御部106が無線LANまたは有線LANで受信したパケットの内容が後述する所定のプロトコルに従ったコマンドである場合に、そのパケットの送信元MAC(Media Access Control)アドレスまたはIP(Internet Protocol)アドレスを記憶するための第1記憶領域110と、プリンタ101へのアクセス制限を行なうためのMACアドレス、IPアドレスを記憶するための第2記憶領域111を有するアドレス記憶部である。
アドレス情報によってプリンタ101へのアクセスを制限する方式として、受信パケットの送信元MACアドレスをプリンタ101に登録されているMACアドレスと比較する第1の方式と、受信パケットの送信元IPアドレスをプリンタ101に登録されているIPアドレスと比較する第2の方式とがあるが、以下では、第1の方式に関して説明する。
図2は、本実施形態におけるホストコンピュータの概略ブロック図である。
同図において201はコンピュータ、202はコンピュータ201の各部を制御するための主制御部、203は主制御部202が読み出して後述する各種処理を実行するためのプログラムを記憶したり、必要に応じて情報やデータを記憶させるためのメモリ、204は液晶表示装置などから成る表示部、205はキーボードやポインティングデバイスなどによる操作部、206はIEEE Std 802.11b/gなどに準拠した無線LAN通信部、207は無線LAN通信部206に設定したSSID(無線ネットワークの識別名称)やIPアドレスなどの各種パラメータを記憶しておくための無線LAN用パラメータ記憶部、208は無線LAN用パラメータ記憶部207から読み出した値を無線LAN通信部206に設定したり、無線LAN通信部206が受信したデータを処理したり、無線LAN通信部206へ送信データを入力したりする無線LAN制御部、216は有線LAN用パラメータ記憶部219から読み出した値を有線LAN通信部217に設定したり、有線LAN通信部217が受信したデータを処理したり、有線LAN通信部217へ送信データを入力したりする有線LAN制御部、217はIEEE std802.3uなどに準拠した有線LAN通信部、218は有線LANポート、219は有線LAN通信部217に設定したIPアドレスなどの各種パラメータを記憶しておくための有線LAN用パラメータ記憶部である。209はUSB通信制御部、210はUSBポート、211は無線LANポート、212はUSBポート210と無線LANポート211と有線LANポート218を必要に応じて主制御部202の指示によって切り替えたり、USB通信制御部209または無線LAN通信部206または有線LAN通信部217と主制御部202との間で所定のコマンドの送受信を中継するポート切替制御部、213は主制御部202の指示によって入力されたデータを出力するプリンタに合わせた印刷データに変換する印刷データ変換部、214は印刷データ変換部213によって変換された印刷データを一時格納しておき、ポート切替制御部212によってUSBポート210、有線LANポート218または無線LANポート211のいずれかが印刷のための通信が可能になっている(プリンタのポートが切り替えられている)かによって無線LAN制御部208、有線LAN制御部216またはUSB通信制御部209を経由してプリンタへ印刷データを送信するための印刷データ一時記憶部、215はプリンタのステータス情報を主制御部202のコマンドによって読み出すためのプリンタ状態読み取り制御部であり、ポート切替制御部212によってUSBポート210を経由してプリンタ101と通信するか、無線LANポート211を経由してプリンタ101と通信するか、有線LANポート218を経由してプリンタ101と通信するかが定まる。
図3は、無線LAN通信によりプリンタ101およびコンピュータ201間で通信を行うシステム構成図の一例である。同図において、101は図1で説明したプリンタ、201は図2で説明したコンピュータである。303は無線LANの中継および無線LANと有線LANの中継機能を有する無線LANアクセスポイント機能付きのルータ、304はADSL(Asymmetric Didital Subscriber Line)モデムなどのような、コンピュータ201が公衆回線にアクセスするために必要なモデム、305はルータ303とモデム304を接続するLANケーブル、306はADSL回線のような公衆回線、307はコンピュータ201がADSL回線306を介してインターネットにアクセスしたり、電子メールの送受信を行うWAN(Wide Aria Network)である。308はコンピュータ201にプリンタ101用のドライバソフトウェアをインストールしたり、プリンタ101の無線LAN機能をセットアップしたり、コンピュータ201にセットアップしたプリンタ101用のポートを設定するためにプリンタ101のUSB通信部104とコンピュータ201のUSB通信部209を一時的に接続するためのUSBケーブルである。
図4は、コンピュータ201にプリンタ101用のプリンタドライバソフトウェアをインストールする手順を示す概略フローチャートである。
コンピュータ201の図示しないCD−ROMドライブに、プリンタ101用のCD−ROMをセットすると、主制御部202はCD−ROM内のセットアッププログラムを起動して、プリンタソフトウェアのインストールを開始する。まず、CD−ROMからプリンタドライバソフトイウェアをメモリの所定の領域にコピーする(S101)。次に主制御部202はCD−ROMから読み出される情報に従って表示部204に、プリンタ101のUSB通信部104とコンピュータ101のUSBポート210をUSBケーブル308で接続してプリンタ101の図示しない電源スイッチをONするように促す表示を行う(S102)。ここから所定時間経過前に主制御部202が、プリンタ101が接続されたことをプラグアンドプレイによって認識すると(S104)、プリンタ状態読み取り制御部215からUSBポート210経由でプリンタ101の情報を読み取り、メモリ203の所定領域に設定して(S105)、プリンタドライバのインストールが完了したことを表示部204に表示させる(S106)。この時点でコンピュータ201にはプリンタドライバをインストールしたプリンタ101のアイコンが追加される。
続いてプリンタ101をネットワーク(無線LANまたは有線LAN)で使用する場合にはネットワークセットアップが選択される必要がある。このネットワークセットアップが選択された場合は(S107)、ネットワークセットアップに関するフローチャート図5へ進む。
図4のS103において、主制御部201が所定時間内にプリンタ101を認識しなかった場合、例えばプリンタ101の電源をONしなかったり、USBケーブルで接続しないうちに所定時間が経過した場合は表示部108にプリンタドライバのインストールが正常に完了しなかったこと表示し(S108)、終了する。
また、S107でプリンタのネットワークセトアップが選択されなかった場合は処理を終了する。この場合はコンピュータ101はUSBケーブルを接続しておけばプリンタ101に所望の印刷を行わせることが可能である。
図5はコンピュータ201にプリンタドライバをインストールした後、プリンタ101を無線LANで使用する場合に行う処理手順を示すフローチャートである。
図4に示したプリンタドライバのインストール完了後、操作部205の操作によってプリンタをネットワーク(無線LANまたは有線LAN)で使用するためのセットアップが選択されると(図4のS107)、プリンタ101を無線LANで使用するか、有線LANで使用するかを選択する画面が表示部204に表示される。操作部205の操作によって無線LANが選択された場合はS202以後へ進み、有線LANが選択された場合は図11へ進むものとする。なお、プリンタ101を無線LANで使用することが選択された場合でも、図3においてルータ303が無線LANだけではなく有線LANポートも有していれば、コンピュータ201を有線LANでルータ303と接続して、コンピュータ201⇔(有線LAN)⇔ルータ303⇔(無線LAN)⇔プリンタ101という経路での通信が可能であるが、説明の簡略化のために、プリンタ101を無線LANで使用する場合はコンピュータ側も無線LANを使用し、プリンタ101を有線LANで使用する場合はコンピュータ側も有線LANを使用することとして説明することにする。
図5のS201において無線LANが選択されると、主制御部202はポート切替制御部212、USB通信制御部209、USBポート210を経由して無線LANのセットアップを開始する予め定められたコマンドをプリンタ101へ送信する。プリンタ101では、USB通信部104を経由して上記コマンドを通信制御部106が受信すると、無線LAN通信部102を起動し、通信設定パラメータ記憶部105から読み出した所定の設定値を無線LAN通信部102に入力し、設定する。コンピュータ201の主制御部202は続けてアクセスポイントを検索するコマンドをプリンタ101へUSB経由で送信する(S202)。プリンタ101の通信制御部106はS202で送信されたコマンドを受信すると、無線LAN通信部102を、例えばSSIDをANYに、暗号化をOFFに設定するなどのアクセスポイントを検索するための設定に変更する。通信制御部106は無線LAN通信部102が検出したアクセスポイントに関する情報、例えば検出された各アクセスポイントに設定されているSSID、無線チャンネル、暗号化設定の有無または種別などをコンピュータ201へUSB経由で返送する。上記返送されたプリンタ101が検出したアクセスポイントの情報を主制御部202は表示部204へ表示する(S203)。続いて操作部205の操作によって表示されたアクセスポイントから一つのアクセスポイントが選択され、暗号化が設定されているアクセスポイントである場合はプリンタにも同様の暗号化設定を行うための情報が入力されたり、S203で表示されたアクセスポイント情報にプリンタ101を接続したいアクセスポイントが含まれていなかったり、或いはアクセスポイントが一つも表示されなかった場合に、SSIDや暗号化設定に関する情報、更に必要な場合はプリンタ101に設定するIPアドレスに関する情報が手入力によって入力されると(S204)、主制御部202はUSB経由でプリンタ101にS204で入力された設定情報を送信する(S205)。これを受信したプリンタ101の通信制御部106は受信した設定情報を無線LAN通信部102に入力して設定し、無線LAN通信部102がアクセスポイントに接続されたか否かを観察する。接続されたと判断すると、アクセスポイントに接続されたことを示す情報をコンピュータ201へ返送する。主制御部202はプリンタ101がアクセスポイントに接続されたことの通知を受けると(S206)、次に無線LAN制御部208へプリンタ101を検出するためのコマンドを無線LAN通信部206、無線LANポート211を経由してプリンタ101へ送信する(S207)。このコマンドは、コンピュータ201からルータ303経由で無線LANでプリンタ101へ送信されることになる。
プリンタ101からルータ303を経由して無線LANで所定の返信コマンドをコンピュータ201が受信すれば、主制御部202は無線LANでプリンタ101を検出できたと判断し(S208のYES)、無線LANポート211にポート名を付けてプリンタ101用の無線LANポートを作成し、プリンタ101用のポートをUSBポート210から前記ポート名を付けた無線LANポート211に切り替える(S209)。以後はコンピュータ201で印刷操作を行うと、主制御部202からプリンタ101へ送信される印刷データは印刷データ変換部213、印刷データ一時記憶部214、ポート切替部212、無線LAN通信制御部208、無線LAN通信部206および無線LANポート211を通ってプリンタ101へ送信される。この段階で図3に示したUSBケーブル308は取り外すことが可能となる。主制御部202は表示部204にネットワークセットアップが完了したことを表示し(S210)、処理を終了する。
一方S204で設定入力操作をするのではなく、アクセスポイントを再度検索する操作が実行された場合は(S211)、S202へ戻ってプリンタ101に対してアクセスポイントを検索するコマンドをUSB経由で再度送信する。セットアップを中止する操作がなされた場合は(S212)、これまでの処理を中断してプリンタ101のネットワークセットアップ処理を終了する。この場合、コンピュータ201からセットアップ中断のコマンドをプリンタ101へ送信し、このコマンドを受けた通信制御部106は無線LAN通信部102の設定を通信設定パラメータ記憶部から読み出して設定しなおし、セットアップを開始する前の設定値に戻す。
更にS208でプリンタ101を無線LAN経由で検出しなかった場合、プリンタ101にネットワーク設定値の送信を指示するコマンドをUSB経由で送信してプリンタ101にネットワーク設定値をUSB経由で送信させ、USB経由で受信したネットワーク設定値を表示部204へ表示させる(S213)。この表示をユーザが確認することによって、正しくない個所があって設定変更操作が施されれば(S214)、その設定情報を再度プリンタ101へUSB経由で送信して(S215)、無線LAN通信部102の設定を変更させ、S206以降の処理を繰り返す。S214で設定変更する代わりにセットアップを中止する操作がなされた場合は(S216)、これまでの処理を中断してプリンタ101のネットワークセットアップ処理を終了する。この場合も、コンピュータ201からセットアップ中断のコマンドをプリンタ101へ送信し、このコマンドを受けた通信制御部106は無線LAN通信部102の設定を通信設定パラメータ記憶部から読み出して設定しなおし、セットアップを開始する前の設定値に戻す。
以上の処理を行なうことでプリンタ101およびコンピュータ201間を無線LANで通信できるようになり、プリンタ101は無線LANで印刷可能になるが、コンピュータ201以外の他のコンピュータも同一の無線LANに参加していれば、プリンタ101と通信が可能である。そこでセキュリティ機能が問題となるが、プリンタ101は無線LANでも設定パラメータの変更が可能である場合が多く、勝手に設定変更されると本来の利用者が使用できなくなったり、勝手に印刷されてプリント用紙やインクなどの消耗品が浪費されるなどの懸念がある。それらを解決するために暗号化設定機能もあるが、MACアドレスを登録しておくことにより、登録されたMACアドレスのコンピュータからのみ通信が可能でにあるようにすることが可能となる。またMACアドレスの代わりにIPアドレスを登録しておき、登録されているIPアドレスのコンピュータからのみ通信ができるようにすることもできる。また、MACアドレスおよびIPアドレスが両方登録可能で、どちらかが登録されている機器が通信できるようにすることもできる。
従来のMACアドレスまたはIPアドレスによる制限設定画面を図15に、接続を許可するMACアドレス登録画面を図16にそれぞれ示す。
図15は、プリンタの各種設定項目がコンピュータ201の表示部204に表示されたユーティリティ画面の一部である。1601はプリンタへのアクセス制限に関する設定画面を開くためのタブ、1602はMACアドレスによる制限またはIPアドレスによる制限のどちらかを選択するためのプルダウンメニュー、1603は1702でMACアドレスを選択した場合に表示され、プリンタへのMACアドレスによるアクセス制限を有効にするためのチェックボックス、1604は登録されたMACアドレス等を表示するアドレス表示部、1605は、MACアドレス(またはIPアドレス)を新たに追加したい場合にクリックする追加ボタン、1606はアドレス表示部に表示されているアドレスを選択するとボタンが有効になり、選択したアドレスを削除するためにクリックする削除ボタン、1607は本画面での設定をプリンタに送信して終了するためのOKボタンである。1608は、今までの操作を無効にして現在の設定のまま操作を終了するためのキャンセルボタンボタンであり、1609は操作方法がわからない場合にヘルプ画面を表示させるためのヘルプボタンである。
図16は、図15の追加ボタン1605をクリックすると表示されるMACアドレス登録画面であり、1701はMACアドレス入力部、1702は1701に入力したMACアドレスが何を表すかなどのコメントを入力するためのコメント入力部、1703は1701および1702に入力した内容を有効にするためのOKボタンである。MACアドレス入力部1701は16桁のMACアドレスを2桁ずつハイフンで区切って入力するようになっている。本画面にて登録されたMACアドレスおよびコメントは図15の例のようにMACアドレス表示部1604に表示される。追加ボタン1605をクリックし、図16のMACアドレス登録画面で登録を繰り返すことによって、複数の機器のMACアドレスを登録することが可能である。
ところがこの方法では、16桁もあるMACアドレスを手入力しなければならないため、非常に操作が煩雑であることと、MACアドレスは数字とAからFまでのランダムな羅列であるため、入力時に誤り易いという問題がある。間違えて入力してしまえば、本来登録しようとしていた機器から印刷できなくなってしまう。また、1つのMACアドレスのみ登録した場合、そのMACアドレスが誤っていればどの機器からもアクセスできなくなってしまうことになる。
そこで、本実施の形態のプリンタ101は図6ように動作する。
無線LANを使用するためのセットアップの完了後、プリンタ101の通信制御部106は、無線LAN通信部102経由で無線LANのパケットを受信すると(S301)、そのパケットがプリンタ101の専用のネットワークプロトコルに従ったパケットであるかどうかを識別し(S302)、そうである場合は受信したパケットの送信元アドレスがアドレス記憶部109の第1の記憶領域110または第2の記憶領域111にあるか否かを比較し、既に記憶されているアドレスでなければ、そのアドレスをアドレス記憶部109の第1の領域110に記憶する(S303)。S301からS303を繰り返しているうちに、アクセス制限設定手段がコンピュータ201で起動されると、主制御装置202は現在のアクセス制限の状態(有効か無効か、MACアドレスによる制限かIPアドレスによる制限か、登録されているアドレス情報があればその情報)を問い合わせるコマンドをプリンタ101へ送信する。このコマンドはコンピュータ201とプリンタ101とが無線LANのみで接続されている場合は無線LAN経由で、USBで接続されている場合はUSBで送信することが可能である。
本実施の形態では、図7に示すように、アクセス制限タブ701を開くと(S304)、現在アクセス制限が設定されていればMACアドレスかIPアドレスがプルダウンメニュー702に表示され、チェックボックス703にチェックが表示される。アクセス制限が有効に設定されていなければチェックボックス703にチェックは入っていないことになる。また、登録されているMACアドレス(プルダウンメニュー702の表示がIPアドレスの場合は登録されているIPアドレス)がアドレス情報表示部704に表示される。追加ボタン705をクリックすることにより、図16に示したMACアドレス登録画面が表示され、手入力によって登録可能であるが、更にアドレス記憶部109の第1の領域110に記憶されているMACアドレスがあれば、そのMACアドレスはアクセスされたMACアドレス表示画面706に表示される。
コンピュータ201の操作者は、アクセスされたMACアドレス表示画面706を見て、プリンタ101と通信することを許可したいMACアドレスがあればそのMACアドレスをクリックすることにより選択し、登録ボタン707をクリックすれば、そのMACアドレスはアクセス可能なMACアドレス表示画面704に追加される。それらの操作を繰り返してアクセスされたMACアドレス表示画面706に表示されているMACアドレスから複数のMACアドレスをアクセス可能なMACアドレス表示画面704に追加することも可能である。また、アクセスされたMACアドレス表示画面706に表示されているMACアドレスから削除したいMACアドレスがあれば当該MACアドレスを選択して削除ボタン708をクリックすることにより削除することも可能であり、誤ってアクセス可能なMACアドレス表示画面704に追加してしまったり、コンピュータ201の無線LANカードを変更するなどによりMACアドレスが変わったために、アクセス可能なMACアドレス表示画面704から削除したいMACアドレスがある場合は当該MACアドレスを選択して削除ボタン709をクリックすることにより削除することも可能である。こうした後、OKボタン710をクリックすることにより、登録、削除された最新のアクセス可能なMACアドレス情報とアクセスされたMACアドレス情報を、またアクセス制限を有効にするチェックボックス703のチェックが変更された場合はその情報もプリンタ101に送信する。なお、削除ボタン708は備えられなくとも本発明の有効性には大きな影響はない。キャンセルボタン711は、今までの操作を無効にして現在の設定のまま操作を終了するためのボタンであり、ヘルプボタン712は操作方法がわからない場合にヘルプ画面を表示させるためのボタンである。プリンタ101の通信制御装置106は、受信した情報にアクセス制限をONにするコマンドが含まれていれば(S306)、通信設定パラメータ記憶部105にアクセス制限を有効に設定したパラメータをセットし、同じく受信した情報からアクセス許可するMACアドレスをアドレス記憶部の第2の記憶領域111に格納する(S307)。ここで他の暗号化設定やSSIDの設定などは無線LAN通信部102に設定すると共に、通信設定パラメータ記憶部105に記憶させておく。暗号化処理自体および設定されたSSIDを用いるアクセスポイントの検索や接続制御は無線LAN通信部が実行するが、MACアドレスによるアクセス制限やIPアドレスによるアクセス制限は無線LAN経由で受信したパケットが印刷データであれば、通信制御部106が通信設定パラメータ記憶部105に記憶されているアクセス制限設定が有効になっている場合、アドレス記憶部109の第2の記憶領域111に記憶されているアドレス情報と受信したパケットの送信元アドレスとを比較し、受信したパケットの送信元アドレスが第2の記憶領域111に記憶されていれば印刷データを印刷データ一時記憶部107に渡し、第2の記憶領域111に記憶されていなければ印刷データを廃棄する。また、無線LAN経由で受信したパケットがコマンドであれば、印刷データの時と同様に受信パケットの送信元アドレスと第2記憶領域111に記憶されているアドレスとにより通信制御部106が応答するかどうかを判断する。
更にアクセス制限を有効にしている間もアクセス可能なMACアドレスとしてアドレス記憶部109の第2の記憶領域111に含まれていない送信元MACアドレスのパケットを受信した場合(S301)、プリンタ101と通信するための専用のプロトコルに従ったパケットであれば(S302)、アドレス記憶部109の第1の記憶領域110にそのMACアドレスが含まれているかどうかを比較し、含まれていなければアドレス記憶部109の第1の記憶領域110に追加して記憶させておく(S303)。これにより、再度アクセス制限設定タブ701が開かれた場合に、アクセスされたMACアドレス画面706には前回開いた時点では表示されていなかったMACアドレスがいくつか表示されている可能性があり、そのいくつかのアドレスの中にプリンタ101へのアクセスを許可したいものがあれば非常に簡単な操作で追加登録することが可能になる。
ところで、プリンタ101と通信するための所定のプロトコルを説明するために、図8にコンピュータ201のネットワーク概略階層図、図9にプリンタ101のネットワーク概略階層図を示す。図8において、801は無線LAN通信部206に含まれる物理層(Physical Layer)、802は同じく無線LAN通信部206に含まれるMAC層(Medium Access Control Layer)、803はMAC層802および物理層801を無線LAN制御部208によって制御するデバイスドライバ、804は受信パケットのIPアドレスを監視したりIPアドレスを送信パケットに付したりするためのOSI参照モデルのネットワーク層にあたるIP層(Internet Protocol Layer)、805はIP層が受信したパケットを受けて処理を行うOSI参照モデルのトランスポート層にあたるTCP/UDP層(Transmission Control Protocol/User Datagram Protocol Layer)であってTCPは信頼性が高く、UDPは信頼性でTCPに劣るが高速であるため2種類の使い分けが可能である。一般にはTCP/UDP層805とIP層804とは合わせてTCP/IPと呼ばれ、一つのソフトウェアモジュールである場合が多い。806はプリンタ101と通信するための所定のプロトコル(以下、ネットワークプリンタプロトコルまたはNWPPと記す)であり、プリンタ101のネットワークセットアップを行った際にコンピュータ201にインストールされるプロトコルである。807はプリンタドライバやプリンタ101の設定ユーティリティなどのアプリケーション層である。物理層801およびMAC層802はハードウェアであり、デバイスドライバ803からアプリケーション層807はソフトウェアである場合が多い。
アクセスされたアクセスされたアクセスされたアクセスされたアクセスされたアクセスされたアクセスされたアクセスされた図9においても同様であり、901は無線LAN通信部102に含まれる物理層、902は無線LAN通信部102に含まれるMAC層、903はMAC層902および物理層901を通信制御部106によって制御するデバイスドライバ、904はIP層、905はTCP/UDP層、906はネットワークプリンタプロトコル、907はプリンタドライバから送信された印刷データやユーティリティから送信されたコマンドを処理するなどの役割を果たすアプリケーション層である。
プリンタ101が受信したパケットが所定のプロトコルに従ったものであるかどうかは、例えばネットワークプリンタプロトコル806および906ではNWPPというヘッダを付して互いに送信する規約としておけば、TCP/UDP層から上がってきたパケットにNWPPというヘッダがあるかどうかで判別可能である。
本実施の形態により、パケットの送信元MACアドレスでプリンタへのアクセス制限を実施するにあたって、MACアドレスを手入力する煩雑さが解消されるとともに、誤入力の懸念もなくなる効果がある。なおS307で選択されたMACアドレスは、S303で記憶されたプリンタ101と通信する専用のプロトコルに従ったパケットを送信したものであることから、殆どの場合従来の手段では手入力で登録されるはずのコンピュータなどのMACアドレスであり、それ以外の外部から侵入した機器のMACアドレスは含まれていないため安全である。更に、一旦アクセス制限を有効に設定した後でも、プリンタ101と通信する専用のプロトコルに従ったパケットの送信元アドレスで新たなアドレスがあれば追加して記憶させることにより、後からプリンタ101と通信させたいコンピュータを追加するような場合でも、再びユーティリティのアクセス制限画面701を起動してアクセス可能なMACアドレスを追加する操作も非常に簡単で誤入力のない追加が可能となる。
(第2の実施の形態)
図10に本実施形態のシステム構成図を示す。
図10は図3と同様、プリンタ101(図1)およびコンピュータ201(図2)に示した構成、機能を有するプリンタ1001およびコンピュータ1002を使用して有線LANでプリンタ1001とコンピュータ1002間の通信を行うシステム構成図の一例である。同図において1001はプリンタ、1002はコンピュータである。1003は複数の有線LANポートを備えていてそれぞれの有線LANポート同士の通信およびモデムと接続するためのポート(以後WANポートという)を備えていて、各有線LANポートとWANポート間の中継機能を有するルータ、1004はADSL(Asymmetric Didital Subscriber Line)モデムなどの、コンピュータ1002が公衆回線にアクセスするために必要なモデム、1005はルータ1003のWANポートとモデム1004を接続するLANケーブル、1006はADSL回線のような公衆回線、1007はコンピュータ1002がADSL回線1006を介してインターネットにアクセスしたり、電子メールの送受信を行うWAN(Wide Aria Network)である。1008および1009はそれぞれコンピュータ1002およびプリンタ1001とルータ1003の有線LANポートを接続するためのLANケーブルであり、1010はコンピュータ1002にプリンタ1001用のドライバソフトウェアをインストールしたり、プリンタ1001の無線LAN機能をセットアップしたり、コンピュータ1002にセットアップしたプリンタ1001用のポートを設定するためにプリンタ1001のUSBポートとコンピュータ1002のUSBポートを一時的に接続するためのUSBケーブルである。
図10においてプリンタ1001のドライバソフトウェアを図4に示したフローチャートと同様の手順でコンピュータ1002にインストールした後、プリンタ1001を有線LANに接続して使用するために、図5のS201で有線LANのセットアップが選択されると、図11のフローチャートに示すプリンタ1001の有線LANの設定、有線LANポートの作成およびインストールしたコンピュータのポートの変更が行われる。この場合、コンピュータ1002は既に有線LANでルータ1003に接続されていて、IPアドレスの取得または決定が済んでおり、コンピュータ1002とルータ1003間は通信可能な状態になっていることを前提とする。まずUSB経由でコンピュータ1002からプリンタ1001へプリンタ1001の有線LANポートがリンクONになっているかどうか問い合わせる(S1101)。リンクONとはプリンタ1001の有線LANポートと接続先とがLANケーブルが接続されていて、なおかつ電気信号をLANケーブルを通して互いにやりとりできる状態を言う。プリンタ1001の通信制御部106がこの問い合わせを解釈して有線LAN通信部103の状態を見て判断し、USBケーブル1010を通してコンピュータ1002に判断結果を通知する。リンクONであればプリンタ1001はルータ1003にIPアドレスを要求し、ルータ1003から返信されたIPアドレスを自分のIPアドレスとするか、または予め通信設定パラメータ記憶部105に記憶されていたIPアドレスを読み出すなどして、IPアドレスを決定する(S1102)。リンクONであることをプリンタ1001からコンピュータ1002にUSBケーブル1010を通して返信すると、コンピュータ1002は有線LANケーブル1008、ルータ1003および有線LANケーブル1009を通してプリンタ1001を検出するためのコマンドを図8のネットワークプリンタプロトコル806に従って送信する(S1103)。
プリンタ1001およびコンピュータ1002が同じルータ1003のLAN側に接続されていて両者ともリンクONになっており、プリンタ1001とコンピュータ1002のIPアドレスがルータ1003のIPアドレスと同じネットワークアドレスになっていて、それぞれ重複しないIPアドレスになっていれば、なおかつファイヤウォールでこの検出するためのコマンドおよびその応答コマンドが防御されていなければ、上記コマンドの応答がプリンタ1001からコンピュータ1002に返信されるので、コンピュータ1002からプリンタ1001が検出されるはずである。コンピュータ1002がプリンタ1001を検出すれば(S1104)、コンピュータ1002は、プリンタ1001のネットワークポートを作成し(S1105)、ネットワークセットアップを完了する表示を行う(S1106)。これによってUSBケーブル1010は取り外すことが可能となり、以後はコンピュータ1002とプリンタ1001間はLANケーブル1008、ルータ1003およびLANケーブル1009を通して通信が可能である。
一方、S1101において、プリンタ1001からリンクONでないと通知されたコンピュータ1002は、プリンタ1001の有線LAN通信部103がリンクONでないと判断し、コンピュータの表示部に有線LANが接続されていないことを表示する(S1107)。例えば「セットアップを中止する場合は「中止」ボタンを、セットアップを続ける場合はプリンタの有線LANポートが接続されていることを確認して「戻る」ボタンをクリックしてください。」のようなメッセージを表示する。「中止」ボタンが操作された場合は(S1108)、セットアップを中断して終了する。この場合、コンピュータ1002のプリンタ1002用のポートはUSBのままであり、USBケーブル1010で互いを接続しておけばコンピュータ1002からプリンタ1001に印刷させることは可能である。上記例の「戻る」ボタンが操作された場合は、コンピュータ1002は再度プリンタに有線LANポートがリンクONになっているかどうかを問い合わせるコマンドをプリンタ1001へ送信する(S1101)。
更にS1104にて、有線LAN経由でコンピュータ1002からプリンタ1001が検出できなかった場合は、コンピュータ1002はプリンタ1001のIPアドレスやサブネットマスク、デフォルトゲートウェイ等の項目の設定画面と各パラメータの現在のプリンタ1001の値をUSBケーブル1010経由で問い合わせて表示する(S1109)。これらの中で設定変更が行われれば(S1110)、設定変更された情報をコンピュータ1002からUSBケーブル1010経由でプリンタ1001に送信する(S1111)。プリンタ1001では通信制御部106が設定変更に関する情報を有線LAN通信部103に設定し、通信設定パラメータ記憶部105に格納する。そしてプリンタ1001はIPアドレスを自動で取得する設定になっていればルータ1003にIPアドレスを再度要求して返信されたIPアドレスを自分のIPアドレスとするS1102へ戻ってそれ以降を繰り返す。S1109の後で設定変更ではなくセットアップを中断することが選択された場合は(S1112)、これまでの処理を中断してプリンタ1001のネットワークセットアップ処理を終了する。この場合、コンピュータ1002からセットアップ中断のコマンドをプリンタ1001へ送信し、通信制御部106は有線LAN通信部103の設定を通信設定パラメータ記憶部105から読み出して設定しなおし、セットアップを開始する前の設定値に戻す。
有線LANのセットアップが完了した場合、プリンタ1001は図6に示したフローチャートと同様の動きをする(但し、本実施形態の場合は、無線LANでパケットを送受信する代わりに有線LAN経由でパケットを送受信することになる。)。
またコンピュータ1002の設定ユーティリティのアクセス制限に関する部分も図7と同じ表示をする。
これによって、プリンタ1001を有線LANで使用する場合も、パケットの送信元MACアドレスでプリンタへのアクセス制限を実施するにあたって、MACアドレスを手入力する煩雑さが解消されるとともに、誤入力の懸念もなくなる効果がある。アクセスされたMACアドレス表示部706に表示されるMACアドレスはプリンタ1001と通信する所定のプロトコル(NWPP806および906)に従ったパケットを送信したものであることから、殆どの場合従来は手入力で登録されるはであったコンピュータなどのMACアドレスであり、それ以外の外部から侵入した機器のMACアドレスは含まれていないため、選択して登録しても安全であり、むしろ登録しなけばないらないMACアドレスである場合が多い。更に、一旦アクセス制限を有効に設定した後でも、プリンタ1001と通信する専用のプロトコルに従ったパケットの送信元アドレスで新たなアドレスがあれば追加して記憶させることにより、後からプリンタ1001と通信させたいコンピュータを追加するような場合でも、再びユーティリティのアクセス制限画面701を起動してアクセス可能なMACアドレスを追加する操作も非常に簡単で誤入力のない追加が可能となる。
(第3の実施の形態)
図12は第3の実施の形態に係るフローチャートである。本実施の形態では、図1に示したプリンタ101および図2に示したコンピュータ201を図3に示したようにそれぞれ無線LANを使用して通信させる場合を想定している。第1の実施の形態で説明した図4のプリンタドライバのインストールが完了し(S106)、ネットワークセットアップが選択されると(S107のYES)、図12のフローチャートに示す処理を行なう。
コンピュータ201の操作部205の操作によってプリンタ101を無線LANで使用することが選択されると(S1201)、図5のフローと同様に、コンピュータ201の主制御部202はポート切替制御部212、USB通信制御部209、USBポート210を経由して無線LANのセットアップを開始する予め定められたコマンドをプリンタ101へ送信する。
プリンタ101では、USB通信部104を経由して上記コマンドを通信制御部106が受信すると、無線LAN通信部102を起動し、通信設定パラメータ記憶部105から読み出した所定の設定値を無線LAN通信部102に入力する。コンピュータ201の主制御部202は続けてアクセスポイントを検索するコマンドをプリンタ101へUSB経由で送信する(S1202)。プリンタ101の通信制御部106は、S1202で送信されたコマンドを受信すると、無線LAN通信部102を、例えばSSIDをANYに、暗号化をOFFに設定するなどのアクセスポイントを検索するための設定に変更する。通信制御部106は無線LAN通信部102が検出したアクセスポイントに関する情報、例えば検出された各アクセスポイントに設定されているSSID、無線チャンネル、暗号化設定の有無または種別などをコンピュータ101へUSB経由で返送する。上記返送されたプリンタ101が検出したアクセスポイントの情報を主制御部202は表示部204へ表示する(S1203)。
続いて操作部205によって表示されたアクセスポイントから一つのアクセスポイントが選択され、暗号化が設定されているアクセスポイントである場合はプリンタにも同様の暗号化設定を行うための情報が入力されたり、S1203で表示されたアクセスポイント情報にプリンタを接続したいアクセスポイントが含まれていなかったり、或いはアクセスポイントが一つも表示されなかった場合に、SSIDや暗号化設定に関する情報、更に必要な場合はプリンタに設定するIPアドレスに関する情報が手入力によって入力されると(S1204)、主制御部202はUSB経由でプリンタ101にS204で入力された設定情報を送信する(S1205)。これを受信したプリンタ101の通信制御部106は受信した設定情報を無線LAN通信部102に入力し、無線LAN通信部102がアクセスポイント(図3の場合はルータ303)に接続されたか否かを観察する。接続されたと判断すると、アクセスポイントに接続されたことを示す情報をコンピュータ201へ返送する。主制御部202はプリンタ101がアクセスポイントに接続されたことの通知を受けると(S1206)、次に無線LAN制御部208へ所定のプリンタを検出するためのコマンドを入力し、無線LAN通信部206、無線LANポート211を経由してプリンタ101へ送信する(S1207)このコマンドはコンピュータ201からルータ303経由で無線LANでプリンタ101へ送信されることになる。
プリンタ101からルータ303を経由して無線LANで所定の返信コマンドをコンピュータ201が受信すれば、主制御部202は無線LANでプリンタ101を検出できたと判断し(S1208のYES)、コンピュータ101に所定の無線LANポート名を加えて、プリンタ101用のポートをUSBポート210から前記ポート名を付けた無線LANポート211に切り替える(S1209)。
ここで本実施の形態では、コンピュータ201の主制御部202は、無線LAN制御部208を介して無線LAN通信部206または無線LAN用パラメータ記憶部207からコンピュータ201の無線LANに一意に割り当てられているMACアドレスを読み出す。そして読み出されたMACアドレスをUSB経由でプリンタ101へ送信する(S1210)。プリンタ101の通信制御装置106は受信したMACアドレスをアドレス記憶部109の第2の記憶領域111へ記憶する(S1211)。その後、主制御部202は表示部204にネットワークセットアップが完了したことを表示し(S1212)、処理を終了する。この段階で図3に示したUSBケーブル308は取り外すことが可能となる。以後はコンピュータ201で印刷操作を行うと、主制御部206からプリンタ101へ送信される印刷データは印刷データ変換部213、印刷データ一時記憶部214、ポート切替部212、無線LAN通信制御部208、無線LAN通信部206および無線LANポート211を通ってプリンタ101へ送信される。
なお、図12においてS1213、S1214、S1215、S1216、S1217およびS1218はそれぞれ図5に示したS211、S212、S213、S214、S215およびS216と同じ動作をするステップであるので、説明を省略する。
また、図12において説明したセットアップが完了した後は、プリンタ101は、上述した図6に示したフローチャートと同様な動作を行なう。
S1211でコンピュータ201の無線LAN用MACアドレスをアドレス記憶部109の第2の記憶領域111に自動的に書き込むことにより、MACアドレスによるアクセス制限が設定された場合、コンピュータ201の無線LAN用MACは既にアクセス可能なMACアドレスとして登録されていることになり、コンピュータ201のMACアドレスを手入力する煩雑さがなく、また手入力による誤りの心配もなくプリンタ101と通信することが可能になる。
(第4の実施の形態)
図13は、第4の実施の形態に係るフローチャートである。本実施の形態では、図1に示したプリンタ101および図2に示したコンピュータ201を図10に示したようにそれぞれ有線LANを使用して通信させる場合を想定している。第3の実施の形態で説明した図12のS1201において、プリンタを有線LANで使用する方が選択された場合に、図13のフローチャートに示す処理を行なう。
この場合、コンピュータ1002は既に有線LANでルータ1003に接続されていて、IPアドレスの取得または決定が済んでおり、コンピュータ1002とルータ1003間は通信可能な状態になっていることを前提とする。まずUSB経由でコンピュータ1002からプリンタ1001へプリンタの有線LANポートがリンクONになっているかどうか問い合わせる(S1301)。リンクONとはプリンタの有線LANポートと接続先とがLANケーブルが接続されていて、なおかつ電気信号をLANケーブルを通して互いにやりとりできる状態を言う。プリンタ1001の通信制御部106がこの問い合わせを解釈して有線LAN通信部104の状態を見て判断する。リンクONであればプリンタ1001はルータ1003にIPアドレスを要求し、返信されたIPアドレスを自分のIPアドレスとするか、または予め通信設定パラメータ記憶部に記憶されていたIPアドレスを読み出すなどして、IPアドレスを決定する(S1302)。リンクONであることをプリンタ1001からコンピュータ1002にUSBケーブル1010を通して返信すると、コンピュータ1002は有線LANケーブル1008、ルータ1003および有線LANケーブル1009を通してプリンタ1001を検出するためのNWPP806に従ったコマンドを送信する(S1303)。プリンタ1001およびコンピュータ1002が同じルータ1003のLAN側に接続されていて両者ともリンクONになっており、プリンタ1001とコンピュータ1002のIPアドレスがルータ1003のIPアドレスと同じネットワークアドレスになっていて、それぞれ重複しないIPアドレスになっていれば、なおかつファイヤウォールでこの検出するためのコマンドおよびその応答コマンドが防御されていなければ、プリンタ1001から上記コマンドの応答が返信されるので、コンピュータ1002からプリンタ1001が検出されるはずである。プリンタ1001が検出されれば(S1304)、コンピュータ1002に、プリンタ1001のネットワークポートを作成する(S1305)。
ここで本実施の形態では、コンピュータ1002の主制御部202は、有線LAN制御部216を介して有線LAN通信部217または有線LAN用パラメータ記憶部219からコンピュータ1002の有線LANに一意に割り当てられているMACアドレスを読み出す。そして読み出されたMACアドレスをUSB経由でプリンタ1001へ送信する(S1306)。プリンタ1001の通信制御装置106は受信したMACアドレスをアドレス記憶部109の第2の記憶領域111へ記憶する(S1307)。その後、コンピュータ1001の主制御部202は表示部204にネットワークセットアップが完了したことを表示し(S1308)、処理を終了する。
これによってUSBケーブル1010は取り外すことが可能となり、以後はコンピュータ1002とプリンタ1001間はLANケーブル1008、ルータ1003およびLANケーブル1009を通して通信が可能である。
なお、図13におけるS1309、S1310、S1311、S1312、S1313およびS1314はそれぞれ図11に示したS1107、S1108、S1109、S1110、S1111およびS1112と同じ動作をするステップであり、第2の実施の形態の説明と同様であるため、説明を省略する。
また、図13において説明したセットアップが完了した後は、プリンタ101は、上述した図6に示したフローチャートと同様な動作を行なう。ただし、第2の実施形態と同様に、パケットは有線LAN経由で受信する。
S1307でコンピュータ1002の有線LAN用MACアドレスをアドレス記憶部109の第2の記憶領域111に自動的に記憶することにより、MACアドレスによるアクセス制限が設定された場合、コンピュータ1002の有線LAN用MACは既にアクセス可能なMACアドレスとして登録されていることになり、コンピュータ1002のMACアドレスを手入力する煩雑さがなく、また手入力による誤りの心配もなくプリンタ1001と通信することが可能になる。
(第5の実施の形態)
更にプリンタ101にMACアドレスによるアクセス制限を有効に設定する際に、アクセスポイントやルータのMACアドレスを登録する必要がある場合がある。例えば、図3においてプリンタ101がルータ303のDHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)サーバ機能によりIPアドレスを取得している場合、ルータ303のDHCPサーバ機能が定めているIPアドレスのリース時間が経過すると、それまでに取得して使用していたIPアドレスが使用できなくなる。そのため、リース時間経過前に、再度DHCPサーバ機能によってIPアドレスを要求し、応答によって得られたIPアドレスを使用することになる。ところが、プリンタ101にMACアドレスによるアクセス制限を有効に設定し、かつルータ303のMACアドレスが登録されていなければ、プリンタ101からルータ303へIPアドレスを要求してもその応答であるルータ303からのルータ303のMACアドレスのパケットはアクセス許可の対象ではない為に受信処理しないことになってしまう。その他、WPA(Wi−Fi Protected Access)(商標)に従って再度ルータ303に認証を受ける場合や暗号化のためのキーをルータ303から受信する場合にもそのためのパケットが制限されてしまい、受信処理ができなくなってしまう。そこで本実施の形態では、図5のS206または図12のS1206において接続指定されたアクセスポイントまたはルータに接続ができた場合、接続されたアクセスポイントまたはルータから送信されるパケットから得られるBSSIDを当該アクセスポイントまたはルータのMACアドレスとしてアドレス記憶部109の第2の記憶領域111へ記憶する。BSSID(Basic Service Set Identifier)とは、一般にIEEE Std 802.11b/gにおけるインフラストラクチャーモードではアクセスポイントまたはルータの無線LAN部のMACアドレスである。アクセスポイントまたはルータのBSSIDをアドレス記憶部109の第2の記憶領域111へ記憶することにより、アクセスポイントまたはルータのMACアドレスをわざわざ煩雑な操作で登録しなくとも、上述したパケットの受信が可能となり、安心してMACアドレスのアクセス制限を有効に設定することが可能となる。
図14は第1の実施の形態、第3の実施の形態および第5の実施の形態を組み合わせて実施した場合の、図3のシステム構成でコンピュータ201に表示されるプリンタ101へのアクセス制限設定ユーティティの画面例である。
同図の各部は前述した図7と同様であり、アクセス可能なMACアドレスとして、第3の実施の形態で説明したプリンタ101を無線LANで使用するようにセットアップしたコンピュータ201のMACアドレス、第5の実施の形態で説明したプリンタ101が接続されたルータ303のMACアドレス、および第1の実施の形態で説明したようにアクセスされたMACアドレス画面1406から登録されたノートパソコンのMACアドレスがそれぞれ登録されている。すなわちプリンタ101のアドレス記憶部109の第2の記憶領域111に格納されている場合の例である。ルータ303はアクセスポイントと表示されている。ルータは一般にWAN側のMACアドレスおよびLAN側のMACアドレスを持っている場合が多く、同図の場合に登録されているのはLAN側のMACアドレスである。またLAN側が有線LANと無線LANの各々のMACアドレスを有している場合は無線LANのMACアドレスになる。
本実施の形態により、プリンタを無線LANで使用するためのセットアップを行い、更にプリンタにMACアドレスによるアクセス制限を有効に設定する場合に、アクセスポイント(ルータ)の無線LANMACアドレスを登録しなくとも自動的に登録されるため、登録し忘れにより、アクセスポイントからのパケットを受信できなくなる問題を解消することが可能となる。また。わざわざわかりにくいアクセスポイントの無線LANMACアドレスを調べる必要もなくなる。
なお、本発明は、上述した以外の接続形態、すなわちプリンタ101が無線LANでルータと接続され、コンピュータ201が有線LANでルータと接続される形態でも、逆にプリンタ101が有線LANでルータと接続され、コンピュータ201が無線LANでルータと接続される形態でも、プリンタ101が無線LANまたは有線LANのどちらかでルータに接続され、複数のコンピュータがあって有線LANでルータに接続されるものと無線LANでルータに接続されるものが混在する環境であってもよい。
以上説明した実施の形態はインフラストラクチャーモードでもアドホックモードでも適用可能である。また無線LANがIEEE Std 802.11b、IEEE Std 802.11a、IEEE Std 802.11gまたは将来の無線LAN規格に従ったものなどいずれでも対応可能であり、またはBluetooth(商標)、HomeRF(商標)などの他の無線通信方式に準拠した無線通信手段であってもアドレスを扱うものであれば有効である。
プリンタ101、301はインクジェットプリンタでなく、電子写真方式などその他のプリンタであってもよい。また、スキャナ(画像読み取り)機能を併せ持つ複合機のプリンタであっても本発明は適用可能である。更にはプリンタ以外のスキャナなどのコンピュータ用周辺装置にも適用を拡大することが容易に可能になることを理解されたい。
アクセス制限設定ユーティリティはコンピュータによって起動されるものとして説明したが、印刷装置または他の周辺装置が液晶表示機や操作部を有していれば、それらを利用して表示および設定されるものであってもよい。
以上説明したように、本発明の実施の形態によれば、印刷装置へのアクセスを許可するアドレスを登録する際にその候補となるアドレスを送信して表示し、その中からユーザに選択させることが可能になる。また、アクセス許可の候補となるアドレスは、所定のプロトコルに従って送信したものであるから、アクセスを許可するアドレスとして登録する必要がある機器のアドレスである可能性が高く、印刷装置へアクセスして欲しくない機器は含まれていない可能性が高いため、アクセスを許可するアドレスの登録操作に非常に有効である。
また、印刷装置へのアクセスを許可するアドレスを登録する際に、長くてわかりにくいアドレスを入力する必要がなくなり、誤入力がなく、非常に簡単な操作でアドレスの登録操作ができるようになるという多大な効果がある。
さらに、アクセス制限を実行している際にも、アクセス許可の候補となるアドレスを記憶することにより、アクセスを許可するアドレスを追加する場合にも、容易な操作で誤入力の心配がない追加操作が可能となる。
また、印刷装置のネットワーク設定を実施したホストコンピュータのアドレス情報をアクセスを許可するアドレスとして記憶することにより、アクセスを許可するアドレスを登録せずに印刷装置へのアクセス制限を有効に設定してしまったり、誤入力したアドレスを登録した状態で印刷装置へのアクセス制限を有効に設定してしまった場合でも、上記ネットワーク設定を行ったホストコンピュータからは確実にアクセスが可能となるという効果がある。これにより、どのコンピュータ装置からも印刷装置へのアクセスができなくなるという問題は回避できるようになる効果がある。
更に、印刷装置を無線LANで使用する場合に、ネットワーク設定手順の中で指定されたアクセスポイントと接続した場合に、当該アクセスポイントのアドレス情報をアクセスを許可するアドレスとして記憶することにより、アクセスポイントのわかりにくい無線LANMACアドレスをわざわざ煩雑な操作で入力しなくとも、アクセスポイントからIPアドレスを取得するためのパケット、認証パケット、または暗号化のためのキー交換のようなアクセスポイントと印刷装置との間の必要なパケットの送受信が可能になる。
また、アクセス制限の設定のためのアプリケーションが起動された時に、アクセス許可の対象としているアドレスを表示することにより、ネットワーク設定を実施したホストコンピュータのアドレスやアクセスポイントのアドレスがアクセスを許可するアドレスとして表示されるため、わかり易い設定手段を提供でき、例えばネットワーク設定を行ったホストコンピュータのアドレスが何らかの理由で存在しなくなったり、アクセスポイントを変更したり、その他の理由で削除したくなった場合には、これらを削除することも容易に行える効果がある。
昨今の無線通信の普及および動向をみると、セキュリティに関する課題が非常に大きい中、本発明の一つを実施しても効果は大であるが、組み合わせて実施することにより更に効果は大きくなる。