JP5104454B2 - バグフィルタ用ガラス繊維織物 - Google Patents

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Description

本発明は、バグフィルタ用ガラス繊維織物に関するものである。
ごみ焼却炉及び鉄鋼炉等の集塵用バグフィルタとしてガラス繊維織物が使用されている。従来のバグフィルタ用のガラス繊維織物としては、例えば特許文献1に記載されているように、ガラス繊維織物に、シリコーン樹脂、グラファイト、PTFE(四フッ化エチレン樹脂)を含む組成物で被覆処理したものが知られている。
特開平6−39220号公報
バグフィルタは上記の各種炉の排気口に設けられるので、バグフィルタに用いられるガラス繊維織物は、常に圧力が作用した状態で使用される。従って、ガラス繊維織物には、この圧力に抗し得る引張強度を備えることが要求される。また、バグフィルタは、定期的にいわゆる逆洗等を行うことにより粉塵の分離をする保守を行いながら、一定の期間使用される。この逆洗において、ガラス繊維織物は繰り返し屈曲される。従って、ガラス繊維織物には、この繰り返しの屈曲に抗し得る耐折性を備えることが要求される。このようなバグフィルタは、常に高温且つ酸性の環境下に晒されており、引張強度及び耐折性の低下に起因する破損に備えてガラス繊維織物は一定期間ごとに交換される。従って、コスト低減を目的として交換の周期を可能な限り長くするためには、バグフィルタ用のガラス繊維織物に対しては、高温且つ酸性の環境において、強度及び耐折性が劣化し難いことが要求される。この点において、従来のガラス繊維織物は耐酸性及び耐熱性に欠け、十分な強度及び耐折性を維持し難かった。
本発明は、以上の問題点に鑑みてなされたものであり、耐酸性及び耐熱性に優れ、高温及び酸性の環境下においても、引張強度及び耐折性が劣化し難いバグフィルタ用ガラス繊維織物を提供することを目的とする。
本発明に係るバグフィルタ用ガラス繊維織物は、耐酸性ガラスのガラス繊維束から成るガラス繊維織物と、ガラス繊維織物を被覆する樹脂被覆層とを備えるバグフィルタ用ガラス繊維織物であって、前記耐酸性ガラスは、SiO、Al、CaO、MgO、B、及びRO(RはNa又はK)を成分として含み、当該耐酸性ガラスの全質量を100質量%としたときの各成分の含有量は、SiOが55〜60質量%、Alが10〜14質量%、CaOとMgOとが合計で20〜28質量%、Bが1質量%以下及びROが1質量%以下であり、樹脂被覆層は、四フッ化エチレン樹脂(以下、PTFEと記す)、グラファイト及びシリコーン樹脂を含む樹脂組成物で被覆処理することにより形成されていることを特徴とする。
本発明のバグフィルタ用ガラス繊維織物では、上記成分を含む耐酸性ガラスのガラス繊維束からなるので、酸性の環境下においても強度及び耐折性が劣化しにくい。また、シリコーン樹脂を含む樹脂被覆層により被覆されているので、バグフィルタ用ガラス繊維織物の、高温の環境下における強度及び耐折性が劣化し難い。従って、高温及び酸性の環境下においても引張強度及び耐折性が劣化し難いバグフィルタ用ガラス繊維織物を得ることが可能となる。
また、本発明に係るバグフィルタ用ガラス繊維織物では、樹脂組成物に含まれるPTFE、グラファイト及びシリコーン樹脂の質量比は、1:0.2〜0.5:0.05〜1.0であることが好ましい。PTFEの質量を1としたときのシリコーン樹脂の質量比が0.05未満である場合には、高温の環境下において引張強度及び耐折性が劣化し易い傾向がある。また、シリコーン樹脂の質量比が1.0を超える場合には、相対的にPTFEの質量が小さくなるので、高温の環境下において耐折性が劣化し易い傾向がある。PTFEを1としたシリコーン樹脂の質量比を0.05〜1.0とすることにより、高温の環境下において強度及び耐折性の劣化が極めて小さいバグフィルタ用ガラス繊維織物を得ることができる。
また、本発明に係るバグフィルタ用ガラス繊維織物では、ガラス繊維織物の質量を100質量%としたときに、樹脂被覆層の質量は5〜20質量%であることが好ましい。樹脂被覆層に含まれるシリコーン樹脂の質量の割合が大きい場合には、PTFEの質量は相対的に小さい。PTFEは樹脂被覆層の硬さに寄与するので、PTFEの少ない樹脂被覆層で被覆されているバグフィルタ用ガラス繊維織物は、耐折性に欠ける。このため、ガラス繊維織物の質量を100質量%としたときの樹脂被覆層の質量が5質量%未満である場合には、バグフィルタ用ガラス繊維織物の耐折性が低下する。また、樹脂被覆層の質量が20質量%を超える場合には、バグフィルタ用ガラス繊維織物の通気性が低下し、バグフィルタとしての効率性が低下したり、耐折性が低下することがある。従って、ガラス繊維織物の質量を100質量%としたときの樹脂被覆層の質量を5〜20質量%とすることにより、十分な量のPTFEで被覆されるので、高温及び酸性の環境下においても耐折性が劣化し難いバグフィルタ用ガラス繊維織物を得ることができる。
本発明によれば、耐酸性及び耐熱性に優れ、高温及び酸性の環境下においても、引張強度及び耐折性が劣化し難いバグフィルタ用ガラス繊維織物を提供することが可能となる。
以下、図面を参照して、本発明に係るバグフィルタ用ガラス繊維織物の実施形態について詳細に説明する。なお、全図中、同一又は相当部分には同一符号を付すこととする。
図1は、本実施形態に係るバグフィルタ用ガラス繊維織物の一部を切り出して示す図である。バグフィルタ用ガラス繊維織物1は、ガラス繊維織物10と樹脂被覆層15とからなる。ガラス繊維織物10は、樹脂被覆層15により被覆されている。
ガラス繊維織物10は、経糸12及び緯糸14が平織りされて成る。織布方法としては、平織りに限られず、例えば二重織り、朱子織り及び綾織等が採用される。ガラス繊維織物10の厚さは、例えば0.2〜1.0mmであることが好ましい。また、ガラス繊維織物10の単位面積あたりの質量は、例えば250〜950g/mであることが好ましい。
経糸12及び緯糸14の一方は、フィラメント糸から成り、他方はバルキー糸からなる。これらの糸はガラス繊維束から成り、ガラス繊維束の番手は、例えば60〜360texであることが好ましい。なお、ガラス繊維束の番手(tex)は、ガラス繊維の1000mあたりの質量(グラム数)に相当する。ガラス繊維束を構成するガラス繊維の呼び径は7μm以下であることが好ましい。呼び径が7μmより大きい場合には、ガラス繊維織物10の耐折性が低下する。
ガラス繊維の素材であるガラスは、耐酸性ガラスである。耐酸性ガラスは、SiO、Al、CaO及びMgOを成分として含む。また、耐酸性ガラスは、B及びRO(RはNa又はK)を成分として含むことができる。当該耐酸性ガラスの全質量に対する各成分の含有量は、SiOが55〜60質量%、Alが10〜14質量%、CaOとMgOとの合計で20〜28質量%、Bが1質量%以下及びROが1質量%以下である。このような組成を有する耐酸性ガラスを用いることにより、酸性の環境下においても引張強度及び耐折性が劣化し難いバグフィルタ用ガラス繊維織物1を得ることができる。
樹脂被覆層15は、ガラス繊維織物10に樹脂組成物を含浸して固化させることにより、ガラス繊維織物10の縦糸12及び緯糸14を覆うように形成された層である。各種炉からの排気中に含まれる粉塵は樹脂被覆層15に捕集され、排気中の気体は経糸12及び緯糸14の隙間を通過することにより、バグフィルタ用ガラス繊維織物1は、バグフィルタとしての機能を発揮する。
樹脂被覆層15の形成に用いられる樹脂組成物は、PTFE、グラファイト及びシリコーン樹脂を含む。PTFEは樹脂被覆層15の硬さに寄与するので、樹脂組成物にPTFEが含まれることにより、耐折性に優れたバグフィルタ用ガラス繊維織物1を得ることができる。シリコーン樹脂は樹脂被覆層15の引張強度の向上に寄与するので、樹脂組成物にシリコーン樹脂が含まれることにより、引張強度に優れたバグフィルタ用ガラス繊維織物1を得ることができる。さらに、樹脂組成物に含まれるPTFE、グラファイト及びシリコーン樹脂の質量比は、1:0.2〜0.5:0.05〜1.0であることが好ましい。PTFEを1としたときのグラファイトの質量比を0.2〜0.5とすることにより、バグフィルタ用ガラス繊維織物1の耐折性を向上させることができる。PTFEを1としたときのグラファイトの質量比が0.2未満又は0.5を超える場合には、耐折性が低下する。また、PTFEを1としたときのシリコーン樹脂の質量比を0.05以上とすることにより、高温の環境下において引張強度及び耐折性が劣化し難いバグフィルタ用ガラス繊維織物1を得ることができる。また、PTFEを1としたときのシリコーン樹脂の質量比を1以下とすることにより、高温の環境下において耐折性が劣化し難いバグフィルタ用ガラス繊維織物1を得ることができる。また、PTFEを1としたシリコーン樹脂の質量比を1以下とすることは、縫製等の加工時に必要な硬度の維持にも寄与する。PTFEの質量を1としたときのシリコーン樹脂の質量比が0.05未満である場合には、高温の環境下において引張強度及び耐折性が劣化し易い傾向があり、シリコーン樹脂の質量比が1.0を超える場合には、相対的にPTFEの質量が小さくなるので、高温の環境下において耐折性が劣化し易い傾向がある。
樹脂被覆層15の質量は、バグフィルタ用ガラス繊維織物1の質量を100質量%としたときに、5〜20質量%であることが好ましい。引張強度を向上させるために樹脂被覆層15に含まれるシリコーン樹脂の質量の割合を大きくすると、PTFEの質量の割合は相対的に小さくなる。PTFEは樹脂被覆層15の硬さに寄与するので、PTFEが少ない樹脂被覆層15で被覆されているバグフィルタ用ガラス繊維織物1は、耐折性に欠ける。樹脂被覆層15の質量を5〜20質量%とすることにより、ガラス繊維織物10は十分な量のPTFEで被覆されるので、高温及び酸性の環境下においても耐折性が劣化し難いバグフィルタ用ガラス繊維織物1を得ることができる。
次に、バグフィルタ用ガラス繊維織物1を製造するための製造方法について説明する。
まず、耐酸性ガラスからなるガラス繊維織物10を加熱処理し、当該ガラス繊維織物に付着しているサイズ剤を除去する。サイズ剤は、ガラス繊維を束ねてガラス繊維束とするための集束剤であり、例えばでんぷん系の材料からなる。サイズ剤が残留しているガラス繊維織物10に樹脂被覆層15を被覆しバグフィルタ用ガラス繊維織物1を製造すると、このサイズ剤は、熱により劣化し、樹脂被覆層15がガラス繊維織物10と剥離する原因となる。ガラス繊維織物10から剥離された樹脂被覆層15は、耐熱性等の性能を発揮しない。
この加熱処理により、ガラス繊維織物10に残留するサイズ剤の質量は、ガラス繊維織物の質量に対して、0.3質量%以下になることが好ましい。残留するサイズ剤の質量を0.3質量%以下にすることにより、樹脂被覆層15とガラス繊維織物10との密着が保たれ、バグフィルタ用ガラス繊維織物1の、高温の環境下における耐折性の劣化を防止できる。
また、この加熱処理は、350〜650℃の温度及び30秒以下の時間で行われることが好ましい。350℃以上の温度で加熱することにより、ガラス繊維織物に残留するサイズ剤の質量の割合を、ガラス繊維織物の質量に対して0.3質量%以下にすることができる。350℃未満で加熱した場合には、ガラス繊維織物に残留するサイズ剤を十分に除去することができない。650℃以下の温度及び30秒以下の時間で加熱することにより、ガラス繊維織物10の強度の低下を防ぐことができる。
さらに、加熱処理を行う前のガラス繊維織物10に、硝酸カリウムを塗布することも好ましい。硝酸カリウムは酸化剤として作用するので、硝酸カリウムを塗布することにより、加熱処理によりサイズ剤が分解されやすくなる。
次に、ガラス繊維織物10に樹脂組成物を含浸して固化させることにより、ガラス繊維織物10を樹脂被覆層15で被覆する。
具体的には、まず、PTFE、グラファイト及びシリコーン樹脂を含む樹脂組成物から成る溶液を、ガラス繊維織物10に含浸させる。溶液を含浸させる方法としては、例えば、ガラス繊維織物10を溶液中に浸漬する方法、ガラス繊維織物に溶液を塗布する方法等が挙げられる。樹脂組成物に含まれるPTFE、グラファイト及びシリコーン樹脂の質量比は、1:0.2〜0.5:0.05〜1.0であることが好ましい。樹脂組成物を上記組成とすることにより、高温の環境下において引張強度及び耐折性が劣化し難いバグフィルタ用ガラス繊維織物1を得ることができる。
次に、溶液を含浸させたガラス繊維織物10を250℃以下の温度で乾燥させる。250℃以下の温度で乾燥させることにより、ガラス繊維における微細クラックの発生及びシリコーン樹脂の熱分解が防止される。この乾燥により、樹脂組成物が固化して、ガラス繊維織物10の縦糸12及び緯糸14を覆うように樹脂被覆層15が形成される。以上説明した工程により、バグフィルタ用ガラス繊維織物1が得られる。
以下、本発明の好適な実施例を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
[ガラス繊維織物の作製]
表1に示す組成の耐酸性ガラスのガラス繊維から成るガラス繊維束を経糸及び緯糸とし、二重織りの織布方法を用いて、ガラス繊維織物を作製した。経糸は135texのフィラメント糸であり、織布の際の密度は48本/25mmとした。緯糸は270texのバルキー糸であり、織布の際の密度は48本/25mmとした。ガラス繊維の呼び径は6μmであった。このガラス繊維織物を3.6質量%硝酸カリウム液に浸漬し、乾燥して、硝酸カリウムをガラス繊維織物に付着させ、さらに20秒の時間及び590℃の温度で加熱しサイズ剤を除去した。この加熱処理により、ガラス繊維織物の質量に対するサイズ剤の質量の割合は、0.13質量%となった。
Figure 0005104454
[樹脂被覆層の作製]
まず、樹脂組成物を含む処理液を作成した。処理液は、PTFE60%液、グラファイト20%液及びシリコーン樹脂35%液からなる混合液である。ここで、「%液」とは、溶液中に含まれる溶質の質量の割合を示している。PTFE溶液には、分子量200万〜1000万、0.15〜0.35μmの粒径のディスパージョンを用いることが好ましく、ここでは、ダイキン工業(株)社製のポリフロン(商品名)を用いた。グラファイト溶液には、天然黒鉛分散ディスパージョンを用いることが好ましく、ここでは、日本黒鉛工業(株)社製のコロハイト(商品名)を用いた。シリコーン樹脂溶液には、フェニルメチルシリコーンを用いることが好ましく、ここでは、東レダウコーニング(株)社製のシリコーン樹脂を用いた。配合する各溶液の質量を適宜調整することにより、PTFE、グラファイト及びシリコーン樹脂の溶質の質量比が、1:0.3:0.1とした。この処理液をガラス繊維織物に含浸させ、3分間、190℃で乾燥させ、樹脂被覆層を形成し、バグフィルタ用ガラス繊維織物を得た。ガラス繊維織物の質量に対する樹脂被覆層の質量の割合は、7.18質量%であった。
(実施例2)
処理液のPTFE、グラファイト及びシリコーン樹脂の質量比を、1:0.3:0.3としたこと以外は実施例1と同様にしてバグフィルタ用ガラス繊維織物を得た。ガラス繊維織物の質量に対する樹脂被覆層の質量の割合は、8.01質量%であった。
(実施例3)
処理液のPTFE、グラファイト及びシリコーン樹脂の質量比を、1:0.3:0.6としたこと以外は実施例1と同様にしてバグフィルタ用ガラス繊維織物を得た。ガラス繊維織物の質量に対する樹脂被覆層の質量の割合は、8.54質量%であった。
(比較例1)
ガラス繊維織物を構成するガラスとして、耐酸性ガラスに代えて表2に示すEガラスを用いたこと以外は、実施例3と同様にバグフィルタ用ガラス繊維織物を得た。
(比較例2)
処理液のPTFE、グラファイト及びシリコーン樹脂の質量比を、1:0.3:0としたこと以外は実施例1と同様にしてバグフィルタ用ガラス繊維織物を得た。即ち、処理液にシリコーン樹脂は含まれていない。ガラス繊維織物の質量に対する樹脂被覆層の質量の割合は、5.75質量%であった。
(実施例4)
処理液のPTFE、グラファイト及びシリコーン樹脂の質量比を、1:0.3:1.2としたこと以外は実施例1と同様にしてバグフィルタ用ガラス繊維織物を得た。ガラス繊維織物の質量に対する樹脂被覆層の質量の割合は、12.04質量%であった。
(実施例5)
処理液に含まれる樹脂組成物の総量を調整することにより、ガラス繊維織物の質量に対する樹脂被覆層の質量の割合を4.43質量%としたこと以外は、実施例1と同様にしてバグフィルタ用ガラス繊維織物を得た。
上記実施例及び比較例におけるバグフィルタ用ガラス繊維織物の製造条件を表2に示す。サイズ剤及び樹脂被覆層については、ガラス繊維織物の質量に対する質量の割合を示した。
Figure 0005104454
[バグフィルタ用ガラス繊維織物の評価]
実施例1〜5及び比較例1,2の各々のバグフィルタ用ガラス繊維織物について、常態、酸浸漬及び熱暴露の各々の条件において、引張試験及び耐折試験を行った。試験結果を表3に示す。常態は、上記作製方法により作製した後、特段の負荷を与えていない状態で試験を行った。酸浸漬は、バグフィルタ用ガラス繊維織物の試料片を10質量%硫酸水溶液に浸漬し、室温で72時間放置した後、水洗及び110℃での乾燥を行った後にそれぞれの試験を行った。酸浸漬の条件での試験により、酸性の環境下におけるバグフィルタ用ガラス繊維織物の劣化の程度を評価することができる。熱暴露は、試料片を250℃の雰囲気温度のオーブン中で100時間の加熱をした後にそれぞれの試験を行った。
引張試験は、25mm幅の試料片を掴み間隔150mmで保持し、200mm/minの速度で試料片を引き伸ばし、試験片の破断時の最大引張荷重を測定した。これらの条件は、JIS R3420のタイプIIIに準拠している。
耐折試験は、15mm幅の試料片掴み間隔55mmで保持し、試料片を毎分175回の速度で270度に折り曲げて、試料片が破断するまでの往復折り曲げ回数を測定した。これらの条件は、JIS R3420に準拠している。
Figure 0005104454
比較例1では、酸浸漬における引張強力及び耐折回数が、常態における同試験結果に比べて大きく悪化した。これに対して、実施例3では、常態における試験結果に比べた酸浸漬における試験結果の変化は小さかった。
比較例2では、熱暴露における引張強力及び耐折回数が、常態における試験結果に比べて大きく悪化した。これに対して、実施例1〜5では、常態における試験結果に比べた熱暴露における試験結果の変化は小さかった。
比較例2では、熱暴露における引張強力及び耐折回数が、常態における試験結果に比べて大きく悪化した。また、実施例4では、常態の試験結果に比較して熱暴露における引張強力及び耐折回数の試験結果に、小さな悪化が見られた。比較例2及び実施例4に対して、実施例1〜3では、常態の試験結果に比較して熱暴露における引張強力及び耐折回数の試験結果に、悪化はほとんど見られなかった。
実施例5の試験結果と比較して、実施例3の引張強力及び耐折回数の試験結果は、常態、酸浸漬及び熱暴露のいずれにおいても優れている。
実施例1〜5は、比較例1及び比較例2よりも、耐酸性及び耐熱性に優れており、高温及び酸性環境下においても、引張強度及び耐折性が劣化し難いことが確認された。また、実施例1〜3は、実施例4よりも、顕著に耐酸性及び耐熱性に優れていることが確認された。さらに、実施例1〜3は、実施例5よりも、顕著に耐酸性及び耐熱性に優れていることが確認された。
実施形態に係るバグフィルタ用ガラス繊維織物の一部を切り出して示す図である。
符号の説明
1…バグフィルタ用ガラス繊維織物、10…ガラス繊維織物、12…経糸、14…緯糸、15…樹脂被覆層。

Claims (3)

  1. 耐酸性ガラスのガラス繊維束から成るガラス繊維織物と、
    前記ガラス繊維織物を被覆する樹脂被覆層と
    を備えるバグフィルタ用ガラス繊維織物であって、
    前記耐酸性ガラスは、SiO、Al、CaO、MgO、B、及びRO(RはNa又はK)を成分として含み、当該耐酸性ガラスの全質量を100質量%としたときの各成分の含有量は、SiOが55〜60質量%、Alが10〜14質量%、CaOとMgOとが合計で20〜28質量%、Bが1質量%以下及びROが1質量%以下であり、
    前記樹脂被覆層は、四フッ化エチレン樹脂、グラファイト及びシリコーン樹脂を含む樹脂組成物で被覆処理することにより形成されており、
    前記樹脂組成物に含まれる四フッ化エチレン樹脂、グラファイト及びシリコーン樹脂の質量比は、1:0.2〜0.5:0.05〜1.0である
    ことを特徴とするバグフィルタ用ガラス繊維織物。
  2. 前記樹脂組成物に含まれる四フッ化エチレン樹脂、グラファイト及びシリコーン樹脂の質量比は、1:0.2〜0.5:0.1〜0.6であることを特徴とする請求項1に記載のバグフィルタ用ガラス繊維織物。
  3. 前記ガラス繊維織物の質量を100質量%としたときに、前記樹脂被覆層の質量は5〜20質量%であることを特徴とする請求項1または2に記載のバグフィルタ用ガラス繊維織物。
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