JP6679339B2 - 集塵フィルター用布帛 - Google Patents
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Description
項1.耐熱性繊維(ただし、金属繊維を除く。)からなる布帛であって、前記耐熱性繊維上にケイ酸塩の粉粒体とバインダー成分とを含み、前記ケイ酸塩の粉粒体が、前記バインダー成分を介して前記布帛表面及び前記布帛内部の前記耐熱性繊維上に含まれる、集塵フィルター用布帛。
項2.前記バインダー成分が、分子構造内に側鎖及び分岐のない熱可塑性樹脂、又は、シリコーンオイルである、請求項1に記載の集塵フィルター用布帛。
項3.前記ケイ酸塩の粉粒体と前記バインダー成分との含有比率(ケイ酸塩の粉粒体の含有量(g/m2)/バインダー成分の含有量(g/m2))が10/90〜90/10である、項1又は2に記載の集塵フィルター用布帛。
項4.前記耐熱性繊維布帛が織物であり、かつ、該織物を構成する緯糸がマルチフィラメント糸からなるバルキー加工糸とマルチフィラメント糸からなるヤーンとの合撚糸である、項1〜3のいずれか1項に記載の集塵フィルター用布帛。
項5.前記ケイ酸塩の粉粒体が、層状ケイ酸塩である、項1〜4のいずれか1項に記載の集塵フィルター用布帛。
項6.前記耐熱性繊維がガラス繊維である、項1〜5のいずれか1項に記載の集塵フィルター用布帛。
項7.前記ガラス繊維を構成するガラス組成物が、SiO2の含有量が64.0〜66.0質量%、Al2O3の含有量が24.0〜26.0質量%、MgOの含有量が9.0〜11.0%、その他成分の含有量が3質量%以下(0質量%を含む。)である、項6に記載の集塵フィルター用布帛。
項8.下記評価方法により測定される耐折性が、経方向が2000回以上、緯方向が2000回以上である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の集塵フィルター用布帛。
(評価方法)
布帛を、マッフル炉にて400℃、24時間熱暴露し、自然冷却した後、布帛の経方向及び緯方向について、JIS R 3420:2013 7.14に準じ、折り曲げクリンプのRを0.38mm、荷重を9.8Nとして、測定、算出する。
本発明の布帛は、耐熱性繊維からなる。
本発明の布帛は、耐熱性繊維上にケイ酸塩の粉粒体を含む。
本発明において、バインダー成分は、上記ケイ酸塩の粉粒体を耐熱性繊維上に保持する役割を果たす。バインダー成分としては、固体状、液体状いずれでもよい。中でも、本発明の布帛をバグフィルターとする場合、布帛をバグとする際に縫製をよりしやすくするという観点から、バインダー成分は、分子構造内に側鎖及び分岐のない熱可塑性樹脂、又はシリコーンオイルとすることが好ましい。すなわち、上記熱可塑性樹脂又はシリコーンオイルを含むものとすることにより、針との動摩擦係数をより減少させ、針通し性をより向上させる。分子構造内に側鎖及び分岐のない熱可塑性樹脂としては、例えば、塩化ビニル樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ナイロン6樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリテトラフルオロエチレンが好ましく挙げられ、中でも、ナイロン6樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂がより好ましく、ポリテトラフルオロエチレンが特に好ましい。また、シリコーンオイルとしては、特に限定されず、例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、ジメチルシリコーンオイル、ジメチルシリコーンオイル等が挙げられる。また、針通し性をより向上させつつ、250℃を超える雰囲気温度の条件下に熱暴露した場合に、耐折性がより優れたものとするという観点からは、バインダー成分は、分子構造内に側鎖及び分岐のない熱可塑性樹脂とすることが好ましい。バインダー成分は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
布帛を、マッフル炉にて400℃、24時間熱暴露し、自然冷却した後、布帛の経方向及び緯方向について、JIS R 3420:2013 7.14に準じ、折り曲げクリンプのRを0.38mm、荷重を9.8Nとして、測定、算出する。
各実施例につき、以下の方法により評価をおこなった。
アルカリ融解−ICP発光分光分析法及び原子吸光光度法により測定した。
(2)ガラス繊維のフィラメント径(μm)
JIS R 3420:2013 7.6.1 A法に準じ、測定、算出した。
(3)ガラス糸(ヤーン、バルキー加工糸、及び、ヤーンとバルキー加工糸との合撚糸)の番手(tex)
JIS R 3420 2013 7.1に準じ、測定、算出した。なお、ヤーンとバルキー加工糸との合撚糸を構成するバルキー加工糸とヤーンとの単位長さあたりの質量比については、該合撚糸を1m採取し、該採取した合撚糸を解撚させてバルキー加工糸とヤーンに分離し、分離したバルキー加工糸とヤーンの質量についてJIS R 3420 2013 7.1に準じて測定、算出し、得られたそれぞれの値から前記質量比を求めた。
(4)ヤーン、及び、ヤーンとバルキー加工糸との合撚糸、の撚り数(回/25mm)
JIS R 3420:2013 7.5に準じ、測定、算出した。
(5)ガラス繊維織物の織密度(本/25mm)
得られた布帛を用い、JIS R 3420 2013 7.9に従い、経、緯糸の織密度を測定、算出した。
(6)布帛の厚さ(μm)
JIS R 3420 2013 7.10.1A法に従い、マイクロメータを用いて0.001mm(1μm)の桁まで測定した。これを5か所についておこない、該5か所の平均値をJIS Z 8401規則Bによって数値を丸め、0.001mm(1μm)の桁まで算出した。
(7)布帛の質量(g/m2)
JIS R 3420 2013 7.2に従い、測定及び算出した。
(8)処理剤の付着量(質量%)、各組成比(質量部)
ガラス繊維に付着する処理剤の各組成比については、後述する処理液中における各成分の固形分濃度から求めた。また、ケイ酸塩の粉粒体の付着量について、まず、得られた布帛のバインダー成分の付着量を、JIS R 3420:2013 7.3.2に準じ、測定、算出した。そして、得られたバインダー成分の付着量と、上記求めた各組成比から、布帛のケイ酸塩の粉粒体の付着量を算出した。
(9)布帛の通気度(cc/cm2/s)
JIS R 3420 7.13に準じ、測定、算出した。
(10)布帛の耐折性(回)
前述した方法にて、得られた布帛の熱暴露前及び熱暴露後の耐折性を測定、算出した。
(11)布帛の引張強さ(N/25mm)
JIS R 3420:2013 7.4に準じ、定速荷重形引張試験法により、試験片を長さ250mm、幅25mmとして、引張試験機としてORIENTEC社製商品名RTC−1310Aを用い、つかみ間隔150mm、速度200mm/minの条件にて、測定、算出した。なお、経方向及び緯方向について、上記(10)の評価における熱暴露の前後の布帛の引張強さを測定、算出した。
以下のガラス組成物からなるガラス繊維を使用した。
(1)ガラス組成物A:SiO2が65.0質量%、Al2O3が25.0質量%、MgOが10.0質量%であるガラス組成物
(2)ガラス組成物B:SiO2が61.9質量%、Al2O3が19.4質量%、MgOが15.3質量%、残部がN2O、K2O、Fe2O3、CaO及びB2O3であるガラス組成物
経糸として、ユニチカ株式会社製商品名D450 6/2 3.8S(D450 1/0 1Zを6本下撚りしたものを2本上撚りした合撚糸、上撚り数3.8回/25mm、フィラメント径5.0μm、番手134.4tex)、緯糸として、ユニチカ株式会社製商品名STD300(バルキー加工糸、フィラメント径5.0μm、番手302.0tex)を用いた。なお、経糸、緯糸とも、ガラス繊維を構成するガラス組成物は上記ガラス組成物Aとした。
経糸として、ユニチカ株式会社製商品名D450 6/2 3.8S(D450 1/0 1Zを6本下撚りしたものを2本上撚りした合撚糸、上撚り数3.8回/25mm、フィラメント径5.0μm、番手134.4tex)、緯糸として、ユニチカ株式会社製商品名STD410(バルキー加工糸、フィラメント径5.0μm、番手410.0tex)を用いた。なお、経糸、緯糸とも、ガラス繊維を構成するガラス組成物は上記ガラス組成物Aとした。
処理液として、バインダー成分とするポリテトラフロオロエチレン(以下、「PTFE」と略することがある。)溶液(三井・デュポンフロロケミカル株式会社製商品名PTFE 31−JR、PTFEの固形分濃度60質量%)50質量部に、ケイ酸塩の粉粒体(株式会社レプコ製商品名MYCA S−XF)120質量部を加え、十分攪拌したものを使用したもの以外は、実施例2と同様におこない、本発明の集塵フィルター用布帛を得た。該布帛において、ケイ酸塩の粉粒体は、例えば図1と同様に、バインダー成分を介して、布帛表面及び布帛内部のガラス繊維上に含まれていた。
経糸として、ユニチカ株式会社製商品名D450 6/2 3.8S(D450 1/0 1Zを6本下撚りしたものを2本上撚りした合撚糸、上撚り数3.8回/25mm、フィラメント径5.0μm、番手134.4tex)、緯糸として、ユニチカ株式会社製商品名STD300(バルキー加工糸、フィラメント径5.0μm、番手302.0tex)1本と、ユニチカ株式会社製商品名D450 3/0(フィラメント径5.0μm、番手33.6tex)1本とを合撚した糸(撚り数2.0S、番手335.6tex)を用いた。なお、経糸、緯糸とも、ガラス繊維を構成するガラス組成物は上記ガラス組成物Aとした。
経糸として、ユニチカ株式会社製商品名D450 6/2 3.8S(D450 1/0 1Zを6本下撚りしたものを2本上撚りした合撚糸、上撚り数3.8回/25mm、フィラメント径5.0μm、番手134.4tex)、緯糸として、ユニチカ株式会社製商品名STD300(バルキー加工糸、フィラメント径5.0μm、番手302.0tex)を用いた。なお、経糸、緯糸とも、ガラス繊維を構成するガラス組成物は上記ガラス組成物Bとした。
経糸として、ユニチカ株式会社製商品名D450 6/2 3.8S(D450 1/0 1Zを6本下撚りしたものを2本上撚りした合撚糸、上撚り数3.8回/25mm、フィラメント径5.0μm、番手134.4tex)、緯糸として、ユニチカ株式会社製商品名STD300(バルキー加工糸、フィラメント径5.0μm、番手302.0tex)を用いた。なお、経糸、緯糸とも、ガラス繊維を構成するガラス組成物は上記ガラス組成物Aとした。
経糸として、ユニチカ株式会社製商品名D450 6/2 3.8S(D450 1/0 1Zを6本下撚りしたものを2本上撚りした合撚糸、上撚り数3.8回/25mm、フィラメント径5.0μm、番手134.4tex)、緯糸として、ユニチカ株式会社製商品名STD410(バルキー加工糸、フィラメント径5.0μm、番手410.0tex)を用いた。なお、経糸、緯糸とも、ガラス繊維を構成するガラス組成物は上記ガラス組成物Aとした。
経糸として、ユニチカ株式会社製商品名D450 6/2 3.8S(D450 1/0 1Zを6本下撚りしたものを2本上撚りした合撚糸、上撚り数3.8回/25mm、フィラメント径5.0μm、番手134.4tex)、緯糸として、ユニチカ株式会社製商品名STD300(バルキー加工糸、フィラメント径5.0μm、番手302.0tex)1本と、ユニチカ株式会社製商品名D450 3/0(フィラメント径5.0μm、番手33.6tex)1本とを合撚した糸(撚り数2.0S、番手335.6tex)を用いた。なお、経糸、緯糸とも、ガラス繊維を構成するガラス組成物は上記ガラス組成物Aとした。
経糸として、ユニチカ株式会社製商品名D450 6/2 3.8S(D450 1/0 1Zを6本下撚りしたものを2本上撚りした合撚糸、上撚り数3.8回/25mm、フィラメント径5.0μm、番手134.4tex)、緯糸として、ユニチカ株式会社製商品名STD300(バルキー加工糸、フィラメント径5.0μm、番手302.0tex)を用いた。なお、経糸、緯糸とも、ガラス繊維を構成するガラス組成物は上記ガラス組成物Bとした。
得られた布帛の評価結果を表1に示す。
Claims (8)
- 耐熱性繊維(ただし、金属繊維を除く。)からなる布帛であって、
前記耐熱性繊維上にケイ酸塩の粉粒体とバインダー成分とを含み、
前記ケイ酸塩の粉粒体が、前記バインダー成分を介して前記布帛表面及び前記布帛内部の前記耐熱性繊維上に含まれる、集塵フィルター用布帛。 - 前記バインダー成分が、分子構造内に側鎖及び分岐のない熱可塑性樹脂、又は、シリコーンオイルである、請求項1に記載の集塵フィルター用布帛。
- 前記ケイ酸塩の粉粒体と前記バインダー成分との含有比率(ケイ酸塩の粉粒体の含有量(g/m2)/バインダー成分の含有量(g/m2))が10/90〜90/10である、請求項1又は2に記載の集塵フィルター用布帛。
- 前記耐熱性繊維布帛が織物であり、かつ、該織物を構成する緯糸がマルチフィラメント糸からなるバルキー加工糸とマルチフィラメント糸からなるヤーンとの合撚糸である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の集塵フィルター用布帛。
- 前記ケイ酸塩の粉粒体が、層状ケイ酸塩である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の集塵フィルター用布帛。
- 前記耐熱性繊維がガラス繊維である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の集塵フィルター用布帛。
- 前記ガラス繊維を構成するガラス組成物が、SiO2の含有量が64.0〜66.0質量%、Al2O3の含有量が24.0〜26.0質量%、MgOの含有量が9.0〜11.0%、その他成分の含有量が3質量%以下(0質量%を含む。)である、請求項6に記載の集塵フィルター用布帛。
- 下記評価方法により測定される耐折性が、経方向が2000回以上、緯方向が2000回以上である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の集塵フィルター用布帛。
(評価方法)
布帛を、マッフル炉にて400℃、24時間熱暴露し、自然冷却した後、布帛の経方向及び緯方向について、JIS R 3420:2013 7.14に準じ、折り曲げクリンプのRを0.38mm、荷重を9.8Nとして、測定、算出する。
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