JP5977525B2 - 表層濾過バグフィルタ - Google Patents
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前記バグフィルタ用不織布層の空気流入方向上流側に積層されるプレフィルタ層と、を備え、
前記プレフィルタ層は、織物からなる基体を備えることを特徴とする表層濾過バグフィルタを提供するものである。
前記無機微粒子層は、不飽和結合を有するシランモノマーで被覆された無機微粒子が、前記シランモノマーと前記基体の空気流入方向上流側の表面とを化学結合させることにより前記基体の空気流入方向上流側の表面上に形成されていることを特徴とする表層濾過バグフィルタを提供するものである。
また、プレフィルタ層10の基体1は、「マルチフィラメント」を含んだ織物であることが好ましい。「マルチフィラメント」は、数本のフィラメントを撚り合わせて1本の糸にしたフィラメントである。マルチフィラメントを用いることでマルチフィラメントを織物にした場合に、扁平に広がりやすくダストの捕集面積が増えるため、1本のフィラメントからなるモノフィラメントに比べ、ダスト捕集性が高くなる。また、マルチフィラメントのフィラメント数を増やしたり、異形断面糸を使用したりすることでさらにダストの捕集量を多くすることができる。
また、100 cc/cm2・sより大きい場合には、プレフィルタ層10でのダスト捕集性が低くなり、バグフィルタ用不織布層30への塵埃の流入が増えるため、バグフィルタ用不織布層30に塵埃が付着することによる圧力損失の上昇が速く、バグフィルタの長寿命化に適さない。
畳織としては、「綾畳織」がより好適である。「平畳織」は、経糸を緯糸一本ずつ交互に交わらせて、経糸は隣り合う経糸同士が接するようにし、緯糸は間隔をあけて配置する。一方「綾畳織」は、経糸を緯糸二本以上またいで交わらせた構造である。よって、「綾畳織」は「平畳織」よりも交点交差部が少なくなるため、交点交差部で詰まるダスト量が少なくなるので、プレフィルタ層10の目詰まりを低減することができる。
また、プレフィルタ層10に畳織の織物を用いる場合、経糸にモノフィラメントを、緯糸にマルチフィラメントを使うと、さらに良い。フィルタ正面から見ると、経糸は隙間なく並ぶため、緯糸が露出する面積が経糸よりも少なくなる。経糸にマルチフィラメントを使用し、緯糸にモノフィラメントを使用すると、経糸の扁平に広がったマルチフィラメント表面で小さなダストをより多く捕集できるが捕集面積が大きくなるためダストの払い落としを頻繁に行わなければならなくなる。このため、経糸をモノフィラメントとし緯糸をマルチフィラメントとした場合に比べダスト払い落とし性が劣るため目詰まりしやすい。また、経糸と緯糸の両方にモノフィラメントを使用すると、ダストの捕集性能が低下し、バグフィルタ用不織布層30へのダストの流入が増える。このため、経糸にモノフィラメントを、緯糸にマルチフィラメントを使うのがより好ましい。
バグフィルタ用不織布層としてPI8555-3(中尾フィルター工業株式会社製)にホットメルトアプリケーターを用い、PURホットメルト接着剤を5g/m2でスプレー塗布し、プレフィルタ層として平織の織物(経糸:モノフィラメント/緯糸:モノフィラメント)TNo-508T(株式会社NBCメッシュテック社製)を積層し、表層濾過バグフィルタを得た。
プレフィルタ層に綾畳織の織物(経糸:モノフィラメント/緯糸:マルチフィラメント)NMT16445(株式会社NBCメッシュテック社製)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で表層濾過バグフィルタを得た。
無機微粒子として市販のジルコニア微粒子(日本電工株式会社製、PCS)をメタノールに10.0質量%分散してpHを4.0に塩酸で調製した後、ビーズミルによりジルコニア微粒子を平均粒子径20nmに粉砕分散した。得られた分散溶液にシランモノマーとして不飽和結合を有する3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、KBM-503)を微粒子に対して質量比で5.0質量%加えた後、この粉砕分散溶液を、冷却管を備えたフラスコに移してフラスコをオイルバスで加熱し、4時間還流下で処理することによりジルコニア微粒子表面にシランモノマーを脱水縮合反応により化学結合させて被覆を形成した。
得られた分散溶液中にバインダー成分としてテトラメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、KBM-04)を、シランモノマーで被覆された無機微粒子に対して質量比で20.0質量%添加し、ビーズミルにより再度粉砕分散したところ、得られた分散溶液中のジルコニア微粒子の平均粒子径は20nmであった。なお、ここでいう平均粒子径とは、体積平均粒子径(Mean Volume Diameter)のことで、測定にはゼータ電位・粒径測定システム(大塚電子株式会社製、ELSZ−2)を用いた。
プレフィルタ層に綾畳織の織物(経糸:マルチフィラメント/緯糸:マルチフィラメント)PMT8032(株式会社NBCメッシュテック社製)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で表層濾過バグフィルタを得た。
プレフィルタ層に綾畳織の織物(経糸:モノフィラメント/緯糸:マルチフィラメント)NMT16320(株式会社NBCメッシュテック社製)を用いた以外は、実施例3と同様の方法で、プレフィルタ層に無機微粒子を固定化し、表層濾過バグフィルタを得た。
プレフィルタ層に平畳織の織物(経糸:モノフィラメント/緯糸:モノフィラメント)NBP29231(株式会社NBCメッシュテック社製)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で表層濾過バグフィルタを得た。
プレフィルタ層に平織の織物(経糸:マルチフィラメント/緯糸:マルチフィラメント)MO200E(帝人ファイバー株式会社製)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で表層濾過バグフィルタを得た。
プレフィルタ層に平畳織の織物(経糸:モノフィラメント/緯糸:モノフィラメント)NBP29236(株式会社NBCメッシュテック社製)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で表層濾過バグフィルタを得た。
プレフィルタ層に綾畳織の織物(経糸:モノフィラメント/緯糸:モノフィラメント)NMT16490(株式会社NBCメッシュテック社製)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で表層濾過バグフィルタを得た。
プレフィルタ層に平畳織の織物(経糸:モノフィラメント/緯糸:モノフィラメント)NBP29256(株式会社NBCメッシュテック社製)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で表層濾過バグフィルタを得た。
プレフィルタ層に平織の織物(経糸:モノフィラメント/緯糸:モノフィラメント)TNo-380S(株式会社NBCメッシュテック社製)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で表層濾過バグフィルタを得た。
プレフィルタ層に平畳織の織物(経糸:モノフィラメント/緯糸:マルチフィラメント)NBP29246(株式会社NBCメッシュテック社製)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で表層濾過バグフィルタを得た。
バグフィルタ用不織布層としてPI8555-3(中尾フィルター工業株式会社製)を用い、プレフィルタ層を積層していない。
JIS K 3822に基づき、Perm-Porometer(Porous Materials, Inc製)によりプレフィルタ層の平均孔径を測定した。
JIS L 1098(フラジール形法)によりプレフィルタ層の通気度を測定した。
実施例及び比較例それぞれのサンプルを10×10cmの大きさに切り取り、JIS1-10種フライアッシュ(体積平均径4μm)を満遍なく振りかけた後、軽く衝撃を加え(除塵操作)、重量を測定してダスト付着前と除塵操作後の表層濾過バグフィルタの重量差を測定し評価した。この重量差は除塵操作後の表層濾過バグフィルタに付着しているダスト重量となる。数値が小さいほど除塵操作後のダスト付着量が少ないためダスト剥離性が良く、数値が大きいほど除塵操作後のダスト付着量が多いためダスト剥離性が悪いということになる。
直径8cmの大きさの表層濾過バグフィルタを試験体とし、JIS1-10種フライアッシュを捕集効率試験機(柴田科学株式会社製、AP-632F型)にて捕集した。捕集中に5分ごとに通気抵抗を測定し、450Paに到達するまで捕集し、その後ダストの払い落としを行った。これを1サイクルとしてダスト払い落とし後も、通気抵抗が450Pa以上になった時点で試験終了とした。試験終了までに要した時間をフィルタ寿命時間とした。
畳織りの織物でも、通気度が100cc/cm2・s以下である実施例2〜実施例5と実施例12の方が、通気度が100 cc/cm2・sよりも大きい実施例6と実施例8よりもフィルタ寿命が延びていることが確認でき、さらにその中でも、綾畳織の実施例2〜5がより長寿命であることが確認された。
同図に示すように、従来のバグフィルタでは、バグフィルタ基体に直接ダストが付着してしまうため、除塵後もバグフィルタ基体にダストが残留してしまい、除塵をしても通気性能が回復しにくいという問題がある。
一方、本発明に係る表層濾過バグフィルタでは、表層濾過層であるプレフィルタによりダストが大幅に捕集されるため、バグフィルタ基体に付着するダスト量が従来のバグフィルタの構成に比べて少ない。従って、ダスト払い落し性に優れた表層濾過層に付着したダストを除塵することで、表層濾過バグフィルタ全体としての通気性能を良好に維持しやすいという効果を奏することができる。
20:接着部
30:バグフィルタ用不織布層
1:基体
2:無機微粒子
3:シランモノマー
4:化学結合
5:バインダー
6:無機微粒子層
Claims (4)
- バグフィルタ用不織布層と、
前記バグフィルタ用不織布層の空気流入方向上流側に積層されるプレフィルタ層と、を備え、
前記プレフィルタ層は、織物からなる基体を備えており、前記基体は、マルチフィラメントを含む畳織の織物の繊維構造体であることを特徴とする表層濾過バグフィルタ。 - 前記プレフィルタ層は、通気度が10cc/cm2・s以上100 cc/cm2・s以下の繊維構造体であることを特徴とする請求項1に記載の表層濾過バグフィルタ。
- 前記プレフィルタ層は、平均孔径が30μm以上80μm以下の繊維構造体であることを特徴とする請求項1または2に記載の表層濾過バグフィルタ。
- 前記プレフィルタ層は、前記基体と無機微粒子層を備え、
前記無機微粒子層は、不飽和結合を有するシランモノマーで被覆された無機微粒子の前記シランモノマーと前記基体の空気流入方向上流側の表面とを化学結合させることにより、前記基体の空気流入方向上流側の表面上に形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の表層濾過バグフィルタ。
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