以下、図面を参照しながら、この発明の実施の形態に係るステープラ及びステープルについて説明をする。
図1は、本発明に係る実施形態としてのステープラ100の構成例を示す断面図である。
図1に示すステープラ100は、携帯可能な小型のステープラである。このステープラ100には、図4に示すように、JIS規格の10号のステープルよりサイズが大きくかつ、JIS規格の3号のステープルよりサイズが小さく形成されたステープル(針)30、すなわち10号と3号のステープルの中間サイズのステープル30を適合させて使用することを想定している。
ステープラ100は、所定の綴り力に基づいてステープル30を綴じる機能を有している。このステープラ100は、クリンチャアーム1を有している。クリンチャアーム1は綴じ腕部の一例を構成し、金属板を底板面及び両側面を有するように折り曲げ加工して形成され、ステープラ100の本体ベース部を構成している。クリンチャアーム1の先端にはクリンチャ部1sが取り付けられている。このクリンチャ部1sは、上端面が溝形状に形成されたクリンチャ1hと、このクリンチャ1hを上方へ付勢する不図示のバネとを有している。このクリンチャ1hの上端面の溝形状は、ステープル30の脚部30b(図4参照)をメガネ状又は平形状に折り曲げる機能構造を有している。なお、実施例で図示する構成のクリンチャ1hは、ステープル30の脚部30bを平形状に折り曲げるのに好適な例を示している。
また、このクリンチャ1hは、同一直線上に溝部が設けられ、当該溝部に脚部30bを沿わせて同一直線上に折り曲げる直線折曲構造(インラインクリンチャ方式)、又は二直線上に溝部が設けられ、当該溝部により脚部30bの先端同士が対峙しないように折り曲げる先端非対峙折曲構造(バイパスクリンチャ方式)に形成する。なお、この例では、クリンチャ1hにインラインクリンチャ方式を適用している。
この上方に付勢されたクリンチャ1hはクリンチャガイド部20の開口部に当接されて位置決めされている。この例で、クリンチャ1hの上端面は、クリンチャガイド部20の開口面と略等しい位置(上死点)に設定されている。
このクリンチャガイド部20は綴じ案内部の一例を構成し、クリンチャアーム1に取り付けられてクリンチャ1hを案内する。クリンチャガイド部20は、マガジン3のステープル打出口12からステープル30が打ち出された際に、当該マガジン3とクリンチャ1hとの間に間隔を一旦保持し、その後、ドライバアーム4に取り付けられた操作レバー5aにより操作されてマガジン3により押し下げられる。
このクリンチャガイド部20は、クリンチャガイド20a、スライド部材20b及びコイルバネ20c(第1のバネ)、20dから構成されている。クリンチャガイド20aは綴じ案内部本体の一例を構成し、当該クリンチャガイド20aの後端に不図示の係合爪を有し、この係合爪がクリンチャアーム1の不図示の開口部の縁に回動自在に係合されている。このクリンチャガイド20aは、コイルバネ20cにより上方に付勢されている。クリンチャガイド20aの先端には、このクリンチャガイド20aの本体から略垂直方向に延設された当接柱20eが設けられている。この当接柱20eは、滑動自在に取り付けられたスライド部材(滑動部材の一例)20bの支持部20fに当接されて支持される。これにより、クリンチャガイド20aは、スライド部材20bによりロックされる。このスライド部材20bは、コイルバネ20dにより前方に付勢されている。このように、クリンチャガイド部20は構成されている。
クリンチャアーム1の裏面側は、意匠形状を施した合成樹脂製のクリンチャアーム用のカバー(以下クリンチャカバー2という)で被覆するように套装されている。このクリンチャアーム1には、装填部の一例を構成するマガジン3が回動自在に取り付けられている。マガジン3は、所定形状の主体枠3a(図9参照)を有している。マガジン3は、その主体枠3aの先端にステープル打出口12を有し、かつ、他端に駆動軸支点用の孔部(以下孔部3b,3cという)を有してステープル30が装填される。
マガジン3の後部側で、主軸用のピン(以下主ピン21という)がクリンチャアーム1の孔部3b,3cに係合される。マガジン3には、一連接着個数が50個であるステープル一連300(図4参照)を一連乃至二連を装填可能となされている。
マガジン3には、押圧部の一例を構成するプッシャ6がスライド(滑動)自在にバネガイド6aに係合(摺嵌)され、マガジン3に装填されたステープル30を先端のステープル打出口12に向けて押圧するように動作する。
マガジン3の後部側とクリンチャアーム1の後部側との間には、コイルバネ10が介在するように配置される。このコイルバネ10は、クリンチャアーム1とマガジン3との間に用紙束を介在させるために、そのクリンチャ1hとそのステープル打出口12との間に所定の隙間を保持するようになされる。
上述の主ピン21には、駆動腕部の一例を構成するドライバアーム4が回動自在に取り付けられている。このドライバアーム4は、本体枠を有している。この本体枠は、天板面及び両側面を有するように、金属板を折り曲げ加工して形成される。ドライバアーム4は、その一端(先端)にドライバ5(駆動部の一例)を有し、かつ、他端(後端)に主ピン21(第1の駆動軸支点部)を受けるための孔部を有している。
ドライバ5は弾性を有した略L字形状を成しており、当該ドライバ5の本体部がドライバアーム本体枠の天板面に密着して取り付けられると共に、当該ドライバ5の先端部が本体枠の天板面に対して略垂直に取り付けられている。また、ドライバ5の後端部は、天板面と離反する方向に湾曲形成されており、この湾曲された弾性部5c(図18A参照)がマガジン3に装着されたステープルカバー7に当接する。これにより、ドライバ5及びドライバアーム4とマガジン3との間隔を待機時に一定に保つことができる。なお、ステープルカバー7は装填被覆部の一例を構成し、後端に主ピン21を共有し、マガジン3のステープル30を被覆する。
ステープル30を綴じる方向(反時計回り)にドライバアーム4が回動されると、弾性を有したドライバ5の後端部がドライバアーム4に接近すると共に、ドライバ5がマガジン3の内部に進入する。このドライバ5は、プッシャ6により押圧されたステープル30の先頭の上部に当接され、ドライバアーム4に加えられる押下力でステープル30の上部を押下して打ち込むようになされる。
ドライバアーム4の本体枠の内側であって、マガジン3上にはステープルカバー7が設置され、マガジン3に装填されたステープル30を下方に向けて押え込むようになされる。ステープルカバー7は主ピン21に回動自在に取り付けられる。この例でステープルカバー7の端部は、U状を成し、主ピン21に覆い被さるように回動自在に係合される。
ドライバアーム4の上方には操作部の一例を構成するハンドル8が設けられ、当該ドライバアーム4のドライバ5に綴じ力を加えるように操作される。ハンドル8は、天板面及び両側面を有するように、金属板を折り曲げ加工して形成した主体枠8a(図27参照)を有している。
ハンドル8の上部には操作被覆部の一例を構成するハンドルカバー9が設けられ、当該ハンドル8の主体枠8aの表面を被覆するように套装されている。ハンドルカバー9は、クリンチャカバー2と同様にして、意匠形状を施した合成樹脂製の整形枠から構成されている。
ハンドル8及びハンドルカバー9は、その後端部において、主ピン21より上方に配置した第2の駆動軸支点部(以下接続軸22という)で、回動自在に係合(枢着)されている。接続軸22は、例えば、クリンチャアーム1の板金側面をバーリング加工等よって環状に設けられた凸状の軸部22a(図25参照)と、ハンドル8の板金側面に設けられたU状の軸受け部22b(図27参照)で構成されている。
しかも、ハンドル8及びハンドルカバー9の接続軸22からその先端部(ステープル打出口方向)に至る途中にドライバアーム4を押下する作用点qが設定されている。この作用点qには、ハンドル8とドライバアーム4とを自在に係合する作用点用のピン(以下作用ピン23という)が設けられる。
このように、マガジン3及びドライバアーム4が共有する主ピン21の位置よりも接続軸22の位置を上方に設定すると、ハンドル8及びハンドルカバー9の先端部を力点pとしたとき、この接続軸22が支点となって、作用点qでドライバアーム4を押下すると共にハンドルカバー9の力点pとで、少ない押下力でステープル30を綴じることができる(倍力機構)。
この例で、マガジン3、ドライバアーム4及びステープルカバー7の主ピン21や、ハンドル8及びハンドルカバー9の接続軸22等が構成されたステープラ100の後端部には、バックカバー15が設けられる。このバックカバー15によって、クリンチャカバー2やハンドルカバー9等の後端側部位で形成される開口部に異物が入り込むのを防止でき、かつ、外観デザインにおいて美観を有したステープラ100を構成することができる。
続いて、ステープラ100の動作を説明する。ハンドルカバー9の上からハンドル8が押し下げられると、ハンドル8は接続軸22を中心にして回動して作用ピン23を押し下げる。作用ピン23が押下されると、ドライバアーム4及びマガジン3が主ピン21を中心に回動し、当該マガジン3の先端がクリンチャガイド20aの先端側に当接する。この状態から更にハンドル8が押し下げられると、マガジン3及びクリンチャガイド20aの位置が固定された状態で、ハンドル8及びドライバアーム4が回動して、当該ドライバアーム4の先端のドライバ5がマガジン3の先頭のステープル30をマガジン3の内部からステープル打出口12を経て外部に向けて打ち出す。打ち出されたステープル30は、脚部30bの直線状態を維持しながら下降してクリンチャ1hを上方へ付勢するバネ1i(第2のバネ;図2A参照)の付勢力に抗して当該クリンチャ1hを押し下げる。
その後、更にハンドル8が押し下げられると、ドライバアーム4に取り付けられた操作レバー5aが反時計回りに回動して、当該操作レバー5aの先端部によりスライド部材20bが後方へ退避移動する。スライド部材20bの退避移動により、当該スライド部材20bの支持部20fにより支持されていたクリンチャガイド20aの当接柱20eがフリー状態(クラッチ切状態)となり、ハンドル8、ドライバ5及びマガジン3の回動と共に、当該クリンチャガイド20aがマガジン3を介して押し下げられて回動する。クリンチャ1hも下死点まで押し下げられる。このとき、ドライバ5に当接されたステープル30は、当該ドライバ5の回動と下死点に位置したクリンチャ1hにより、当該ステープル30の脚部30bが平形状に折り曲げられる。このようにして、ステープル30の綴じ処理が実施される。
このステープル30の綴じ処理において、ハンドル8の作動に応動して押し下げられたクリンチャ1hがクリンチャアーム1により支持されることにより、当該クリンチャ1hの下死点を設定している。この場合に、クリンチャ1hがクリンチャアーム1に衝突して騒音が発生する事象を回避するために、クリンチャ1hとクリンチャアーム1との当接部に、当該当接を緩衝するクリンチャバンパ60が設けられている。このクリンチャバンパ60は緩衝部材の一例を構成する。
図2A及びB並びに図3A及びBは、クリンチャバンパ60の機能例を示す説明図である。図2Aは、ステープラ100の要部を拡大した断面図である。図2Bは、図2Aに示すステープラ100のX8−X8矢視の要部断面図である。
図2Aに示すステープラ100は、ドライバアーム4が押し下げられて、そのドライバ5がマガジン3の先頭のステープル30を途中まで打ち出している。このマガジン3から打ち出されたステープル30は、図2Bに示すようにマガジン3とクリンチャガイド20aとの間に挟まれた用紙束Pを貫通して、クリンチャ1hを若干押し下げている。
図2Bに示すバネ1iにより上方に付勢されたクリンチャ1hとクリンチャアーム1との間には、当該クリンチャ1hが、上下動するための隙間Wが設けられている。この隙間Wは、クリンチャ1hの上下位置によって変化する。この例でクリンチャバンパ60は、クリンチャアーム1の先端に取り付けられている。このクリンチャバンパ60のクリンチャ当接部60cには、クリンチャ1hの底面部1jが当接する。
図3Aは、ステープラ100の要部を拡大した断面図である。図3Bは、図3Aに示すステープラ100のX9−X9矢視の要部断面図である。図3A及びBに示すステープラ100は、図2A及びBに示した状態から更にドライバアーム4が押し下げられた状態である。
このとき、図3Aに示すドライバアーム4に取り付けられた操作レバー5aが、当該操作レバー5aの先端部によりスライド部材20bを後方へ退避移動させる。このスライド部材20bの退避移動により、当該スライド部材20bの支持部20fにより支持されていたクリンチャガイド20aの当接柱20eがクラッチ切状態となる。
このクラッチ切状態で、ドライバアーム4の回動と共にクリンチャガイド20a及びクリンチャ1hがマガジン3を介して押し下げられる。図3Bに示すように、このマガジン3により押し下げられたクリンチャ1hは、クリンチャアーム1に取り付けられたクリンチャバンパ60のクリンチャ当接部60cにその底面部1jが当接する。
当接後、ドライバ5に当接されたステープル30は、当該ドライバ5の回動と下死点に位置したクリンチャ1hにより、当該ステープル30の先端が平形状に折り曲げられて用紙束Pを綴じる。
このように、クリンチャ1hとクリンチャアーム1とがクリンチャバンパ60を介して当接するようになる。これにより、ステープル30を綴じる時の音圧を小さくできると共に高周波を減少できるので、耳障りでない音にすることができる。
続いて、ステープル30の構成を説明する。図4は、ステープル30の構成例(その1)を示す斜視図である。図4に示すステープル30の各々は、一連に接着されて50個から成るステープル一連300を構成する。このステープル一連300の状態でマガジン3に装填される。
ステープル30は、図6Aに示すJIS規格の10号のステープル30’よりサイズが大きくかつ、図6Bに示すJIS規格の3号のステープル30”よりサイズが小さく形成されている。このステープル30は、クラウン部30aと当該クラウン部30aの両端から延出する一対の脚部30bとから成る。
図5A及びBは、ステープル30の構成例(その2)を示す説明図である。図5Aに示すステープル30は、図4に示したステープル30を上面から見た図である。図5Bに示すステープル30は、図4に示したステープル30を正面から見た図である。図5Bに示す一対の脚部30bの内幅L5と、当該脚部30bの各々の厚みL4とを合計した長さをステープル30におけるクラウン部30aの全長L1としたとき、このクラウン部30aの全長L1が、9.48mmよりも長く、12.45mmよりも短く形成され、かつ、ステープル30の脚部30bの長さL2の一対の和が、クラウン部30aの全長L1と同等の長さ以下に形成される。更に、クラウン部30aの前後幅L3が、0.47mmよりも厚く、0.53mmよりも薄く形成され、かつ、脚部30bの各々の厚みL4が、0.30mmよりも厚く、0.54mmよりも薄く形成されている。
図6A〜Cは、ステープル30’、30”、30の比較例を示す正面図である。図6Aに示すJIS規格の10号のステープル30’は、綴じ枚数20枚程度を想定し、クラウン部30a’の全長L1’が9.48mm以下に規定され、一対の脚部30b’の内幅L5’が8.40mm以上に規定されている。また、脚部30b’の長さL2’が4.8±0.2mmに規定され、脚部30b’の各々の厚みL4’が0.30mm以上に規定され、前後幅は、0.50mm±0.03mmに規定されている。
これに対して、図6Bに示すJIS規格の3号のステープル30”は、綴じ枚数30枚程度を想定し、クラウン部30a”の長さが12.97mm以下に規定され、一対の脚部30b”の内幅L5”が11.55mm以上に規定されている。また、脚部30b”の長さL2”が6.0±0.2mmに規定され、脚部30b”の各々の厚みL4”が0.45mm以上に規定され、前後幅は、0.70mm±0.03mmに規定されている。
図6Cに示すステープル30は、上述の10号のステープル30’と3号のステープル30”との中間サイズの大きさに形成されている。この例で、ステープル30のクラウン部30aは、10号のステープル30’におけるクラウン部30a’の全長L1’よりも全長差M1だけ長く形成され、かつ、3号のステープル30”におけるクラウン部30a”の全長L1”よりも全長差M2だけ短く形成されている。
このステープル30のクラウン部30aの全長L1は、上述した全長L1’よりも長く、かつ、全長L1”よりも短い、すなわちL1’<L1<L1”を満たす範囲N1(0mm<N1<2.97mm)に設定される。この最大値2.97mmは、全長L1”(12.45mm)−全長L1’(9.48mm))により算出される。このように、ステープル30のクラウン部30aの全長L1が設定される。
また、ステープル30の脚部30bの長さL2は、この脚部30bの長さL2の一対の和が、クラウン部30aの全長L1と同等の長さ以下に形成される。この例では、脚部30bの長さL2は、脚部30b’の長さL2’よりも全長差M3だけ長く、脚部30b”の長さL2”よりも全長差M4だけ短く設定されている。
このように、ステープル30のクラウン部30a及び脚部30bのサイズを従来の10号、3号の各ステープルにおける中間サイズに形成したので、薄い用紙束から10号のステープル30’では綴じることのできない用紙束(綴じ枚数20枚以上からなる用紙束)までを1種類のステープルで綴じることができるようになる。
しかも、ステープル30の一対の脚部30bの長さL2の和をクラウン部30aの全長L1と同等の長さ以下に設けたので、ステープル30を綴じた状態のとき、とりわけ薄い用紙束を綴じた際でも脚部30bの先端同士が用紙を再貫通することを防ぐことができる。また、用紙束の裏面に折り曲げられたステープル30の脚部30bが互いに当接することなく見映えが良い冊子を提供できるようになる。
また、この例でステープル30の脚部30bの厚みL4、すなわち当該ステープル30の線材の厚みは、10号のステープル30’の厚みL4’と略同等の厚みに設定されている。また、この例でステープル30の前後幅L3(図5A参照)は、10号のステープル30’の前後幅と略同等の厚みに設定されている。これにより、綴じ荷重を少なくすることができると共に、ジャム発生時のステープル30の除去作業も容易にできる。
また、ステープル30は、3号のステープル30”の線材よりも細い線材である10号のステープル30’と同等の線材を用いて形成されているので、綴じ状態にあっても線材が目立つことがなく、冊子の見映えが良好になる。また、ステープル30は従来の10号針用ステープラには装填できないため、誤ったサイズのステープルを用いてしまうといった問題は発生しない。
また、ステープル30は従来の3号針用ステープラに装填はできるが、クラウン部の幅が異なるため誤装填とすぐに判断できる。また、ステープル30は、流通量大で安価な素材で形成可能である。
図7A及びBは、ステープル30の動作例を示す正面図である。図7Aに示すステープル30は、単一のステープル30の基本状態を示している。図7Bに示すステープル30は、図7Aに示した基本状態から各脚部30bの根元を約90°内側にフラットに折り曲げた折曲状態(クリンチ状態)を示している。この折曲状態において、一対の脚部30bの長さの和(長さL2+長さL2)が、クラウン部30aの全長L1と同等の長さ以下になる。
これにより、折曲状態における脚部30bの先端同士が接触しないので、用紙枚数が2枚程度の薄い用紙束を綴じることができる。また、この脚部30bは、好ましくは、先端同士が接触しない最大の長さに脚部30bの長さL2が設定されて10号のステープル30’の脚部30b’よりも全長差M3だけ延長されているので、10号のステープル30’では綴じることのできない厚みの用紙束を綴じることができるようになる。
このように、本発明に係るステープル30によれば、このステープル30のクラウン部30aの全長L1を、9.48mmよりも長く、12.45mmよりも短く形成し、かつ、ステープル30の一対の脚部30bの長さの和を、クラウン部30aの全長L1と同等の長さ以下に形成したものである。
従って、従来の10号、3号の各ステープルにおける中間サイズに形成したステープル30により、薄い用紙束から10号のステープル30’では綴じることのできない用紙束(綴じ枚数20枚以上からなる用紙束)までを1種類のステープルで綴じることができるようになる。
また、ステープル30は、クラウン部30aが10号のステープル30’のクラウン部30a’よりも全長差M1だけ長く形成されているので、既存の10号用のステープラのマガジンに装填できない。これにより、仮に、10号のステープル30’のクラウン部30a’の長さを一定にし、脚部30b’のみ延長した場合に、誤って、当該脚部30b’のみ延長したステープルを10号用のステープラに装填して、当該10号用のステープラが誤動作(例えばプッシャリンクの破損や、ステープルカバーの閉鎖不良)するおそれを回避することができる。
また、3号用のステープラのマガジンには、ステープル30を装填できるが、ステープル30は、クラウン部30aが3号のステープル30”のクラウン部30a”よりも全長差M2だけ短く形成されているので、誤装填とすぐに判断できる。
なお、好ましくは、図8Aに示すように、ステープル30'''のクラウン部30a'''の長さL11を、11.35mm以上で11.49mm以下に形成し、一対の脚部30b'''の各々の長さL21を、5.7mm以上で6.0mm以下とすると良い。
この場合仮に、一対の脚部30b'''の長さL21を6.0mmとした場合、L11(11.49mm)<L21(6mm)×2の関係となってしまうが、ステープル30'''をクリンチして曲げる際には、クリンチの都合上、曲げ部R(図8B参照)の部分には、多少の厚みdが発生してしまう為、ステープル30'''のクラウン部30a'''の長さに対して、ステープル30'''の脚部30b'''の長さにわずかな余長が存在したほうが好ましいからである。
続いて、ステープラ100のマガジン3に組み立てられたプッシャ6、ステープル押え部の一例を構成する針押え40及びステープルガイド50の構成を説明する。図9は、マガジン3に係る部品の構成例を示す斜視図である。図9に示すマガジン3の主体枠3aの底面には、ステープルガイド50がスライド自在に取り付けられている。このステープルガイド50はステープル案内部の一例を構成し、バネ3i(図14A参照)によりマガジン3のステープル打出口12に向けて付勢されている。
マガジン3の前方には、当該マガジン3の底面の一部が略垂直に折り曲げられ、中央部が円形に開口された前方取付部3dが設けられている。この前方取付部3dの円形孔3f(図10参照)に案内軸部の一例を構成するバネガイド6aの先端が取り付けられている。また、マガジン3の後方には、前方と同様に当該マガジン3の底面の一部が略垂直に折り曲げられ、中央部が円形に開口された後方取付部3eが設けられている。この後方取付部3eの円形孔3g(図10参照)にバネガイド6aの後端が取り付けられている。このバネガイド6aの後端は、マガジン3の孔部3b,3cに挿入された主ピン21(図1参照)により抜け止めされている。
プッシャ6は、このバネガイド6aに挿通されてスライド自在に取り付けられている。また、プッシャ6は、図16Aに示すスプリングバネ6b(付勢部材)によりステープル打出口12に向けて付勢され、マガジン3に装填されるステープル30を当該ステープル打出口12の側に押圧する。
続いて、マガジン3にプッシャ6、針押え40及びステープルガイド50を組み立てる方法を説明する。図10は、マガジン3に係る部品の組立例を示す分解斜視図である。なお、各部品の構成についても同時に説明する。
図10に示すマガジン3は、何も組み込まれていない状態である。このマガジン3の前方取付部3dの根元には、差し込み開口部3m(図11B参照)が設けられている。この差し込み開口部3mに、ステープルガイド50のガイド本体(案内部本体の一例)50jの先端に設けられた差込部50aを差し込むと共に、マガジン3の主体枠3aの底面に設けられた矩形状の開口部3hに、ステープルガイド50に設けられたバネ受け部50cを係合する。その後、バネ受け部50cにバネ3i(図14A参照)の一端を取り付け、当該バネ3iの他端をマガジン3の底面に設けられたバネ受け部3k(図14A参照)に取り付ける。
なお、このステープルガイド50は、バネ受け部50cと矩形状の開口部3hとの間隙の範囲内で滑動(スライド)する。この間隙は、ステープル30の前後幅L3(図5A参照)よりも若干長く設定されている。これは、マガジン3に装填された先頭のステープル30が打ち込まれて降下する場合に、当該ステープル30のクラウン部30aが、マガジン3のステープル打出口12の側に向けて付勢されたステープルガイド50の先頭に当接して、当該ステープルガイド50を後退させるからである。
このようにしてステープルガイド50をマガジン3に取り付けた後、プッシャ6及び針押え40をマガジン3に取り付ける。このプッシャ6は、プッシャ本体6d及び左右のプッシャプレート6eから構成されている。プッシャ本体6dは押圧部本体の一例を構成し、ステープルガイド50の内部に設置され、プッシャバンド6c(図16B参照)の一端が挿通されて当該プッシャバンド6cが固定される。
左右のプッシャプレート6eは第1及び第2の押圧板の一例を構成し、プッシャ本体6dの両側にステープルガイド50の両端の側面ガイド部50dを挟んで連結され、当該ステープルガイド50により案内されるステープル30に当接する。
プッシャ6は、プッシャ本体6dと左右のプッシャプレート6eとが一体形成、又は別体形成される。例えば当該別体形成の場合、プッシャ本体6dは、樹脂射出成形により形成される。プッシャプレート6eは、例えば、金属板をプレス機で型抜きすることにより成形される。また、当該一体成形の場合、プッシャ本体6d及び左右のプッシャプレート6eは、例えば樹脂射出成形により予め結合された状態で形成される。
この例で別体成形されたプッシャ本体6dは、これらのプッシャプレート6eを結合するための異なる形状の2個の突起部6f、6gを両側に有している。例えば、突起部6fは直方体に形成され、突起部6gは直方体の一部が欠けた形状に形成されている。プッシャ本体6dの両側に設けられた突起部6f、6gは、第1及び第2の結合部の一例を構成する。
これらの突起部6f、6gは、当該プッシャ本体6dの左側と右側で前後の配列が異なる。この例で、プッシャ本体6dの左側には、前に突起部6fが配置され、後に突起部6gが配置されている。また、プッシャ本体6dの右側には、前に突起部6gが配置され、後に突起部6fが配置されている。
プッシャプレート6eには、これらの突起部6f、6gに嵌合する2個の嵌合孔(嵌合部)6h、6iが形成されている。この例で、嵌合孔6hは長方形に開口されて形成され、嵌合孔6iは、長方形の一部が欠けた形状に開口されて形成されている。
このように前後が異なる形状に突起部6f、6g及び嵌合孔6h、6iを形成することにより、プッシャ本体6dとプッシャプレート6eの組み付け方向を一定にすることができる。この例で、左側のプッシャプレート6eは、右側のプッシャプレート6eに対して180°回動された状態(前端と後端が入れ替わった状態)でプッシャ本体6dに取り付けられる。これにより、例えばプッシャプレート6eのパンチ抜き成形工程の際に生じる成形誤差のバラツキを一定にすることができる。なお、この例では、プッシャ本体6dの左右側で突起部6f、6gの前後位置を入れ替えたが、これに限られることなくプッシャ本体6dの左右側で突起部6f、6gの前後位置を同一にしてもよい。この場合、左右のプッシャプレート6eは、同一方向にプッシャ本体6dに取り付けられる。この場合も、例えばプッシャプレート6eのパンチ抜き成形工程の際に生じる成形誤差のバラツキを一定にすることができる。
プッシャ本体6dは、上部にバンド挿入部6jを備える。このバンド挿入部6jには、バンド部の一例を構成するプッシャバンド6c(図16B参照)の先端が挿入されて固定される。このプッシャバンド6cの後端は、ステープルカバー7(図1参照)に取付けられる。プッシャ6は、このステープルカバー7の回動動作(オープン動作)に応じて、プッシャバンド6cにより付勢方向の反対方向に引っ張られ(牽引され)て、マガジン3の後部側に後退するように移動される。プッシャ本体6dは、内部に係合溝6kを備える。この係合溝6kには、案内軸部としてのバネガイド6aが係合される。
針押え40は、マガジン3のステープル打出口12から打ち出されたステープル30を当該マガジン3の前面内壁に押し当てて当該ステープル30を押える機能を有する。この針押え40は、鋭角を有するように金属板が略半分に折り曲げられて湾曲(折曲)板形状に形成され、この湾曲板形状により弾性を保持する。針押え40は取付け部40cを有し、この取付け部40cの略中央には円形状の第2孔部としての孔部40aが設けられている。また、この取付け部40cの後端部40bは、ステープルガイド50の差込部50aを介してマガジン3の主体枠3aの底面に差し込んで固定するために、段差形状に形成されている。
このように形成された針押え40及びプッシャ6を、ステープルガイド50が取り付けられたマガジン3に取り付ける。先ず、プッシャ本体6dにプッシャプレート6eを取り付ける。例えば、プッシャ本体6dの突起部6fにプッシャプレート6eの嵌合孔6hに嵌め込むと共に、突起部6gに嵌合孔6iを嵌め込んで、プッシャ本体6dの両側にプッシャプレート6eを結合する。次に、プッシャ6の先頭側から当該プッシャ6の係合溝6kにバネガイド6aの後端を係合する。係合後、スプリングバネ6b(図16A参照)をバネガイド6aに装着する。これにより、バネガイド6aが係合溝6kの上方側とバンド挿入部6jの下方側との間に配されることになって、バネガイド6aがプッシャ6に遊嵌される。
このようにしてプッシャ6を装着後、針押え40の先端をマガジン3の前面内壁に向けた状態で、当該針押え40の後端部40bをマガジン3の前方取付部3dを跨いで主体枠3aの底面の開口部3n(図11A参照)に差し込むと共に、当該針押え40の孔部40aと前方取付部3dの第1孔部としての円形孔3fとを重ねる。続いて、プッシャ6が取り付けられたバネガイド6aの後端部をマガジン3の後方取付部3eの円形孔3gに挿入し、その後、針押え40の孔部40aと前方取付部3dの円形孔3fにバネガイド6aの先端部を挿入する。このとき、針押え40の取付け部40cは、バネガイド6aの先端部に設けられた係止部としてのストッパー6mにより、前方取付部3dに押し当てられて挟持して固定される。先端部を挿入後、バネガイド6aの後端部を、主ピン21(図1参照)により抜け止めする。このようにして、針押え40及びプッシャ6をマガジン3に組み込む。なお、左右のプッシャプレート6eは、ステープルガイド50の側面ガイド部50dとマガジン3の主体枠3aの内壁との間隙に設置されている。また、プッシャ本体6dは、ステープルガイド50の左右の側面ガイド部50dの間に設置されている。また、プッシャ6をマガジン3に取り付け時、ステープルガイド50のガイド本体50jにおける側面ガイド部50dは、プッシャ本体6dと左右のプッシャプレート6eとを連結する突起部6f、6gよりも低く形成されている。
続いて、針押え40の取り付け方法及び取付け時の構成を詳しく説明する。図11A及びBは、針押え40の取付例(その1)を示す説明図である。図11Aは、マガジン3、バネガイド6a及び針押え40で構成され、これらの構成要素を上面から見た図である。なお、この例で図11Aには、図9及び図10に示したプッシャ6及びステープルガイド50が、マガジン3に組み込まれていない。
図11Aに示す針押え40は、バネガイド6aによりマガジン3の前方取付部3dに係止されて取り付けられている。この例で、針押え40の取付け部40cは、当該取付け部40cの後端部40b(図10参照)がマガジン3の底面の開口部3nに差し込まれ、かつ、この取付け部40cは、バネガイド6aのストッパー6mと前方取付部3dにより挟持されている。これにより、新たな取付部品の追加や大きな設計変更を要せずに、針押え40をマガジン3に組み込むことができるようになる。なお、針押え40の先端部は、マガジン3の前面内壁に当接するように配置されている。
図11Bは、図11AのX1−X1矢視断面図である。なお、図11Bには、2点鎖線でステープル30を図示している。図11Bに示す針押え40は、先端側に弾性押え部40dを有する。針押え40は、この弾性押え部40dにより、ステープル30のクラウン部30aの中央部を、当該ステープル30が下降する過程において押えるように設置されている。
図12A及びBは、針押え40の取付例(その2)を示す説明図である。図12Aは、図11AのY1−Y1矢視断面図である。図12Bは、図12Aの破線四角内を拡大した図である。図12Bに示す針押え40の取付け部40cの後端部40bがマガジン3の底面の開口部3nに差し込まれている。また、針押え40の取付け部40cは、マガジン3の前方取付部3dとバネガイド6aのストッパー6mにより挟持されて固定されている。針押え40の弾性押え部40dの先端部は、マガジン3の前面内壁に当接すると共に当該前面内壁の開口部3pに入り込むように配置されている。
このように、本発明に係るステープラ100によれば、マガジン3のステープル打出口12から打ち出されるステープル30を当該マガジン3の前面内壁に押し当てて当該ステープル30を押える針押え40を備え、バネガイド6aにより、この針押え40をマガジン3の前方取付部3dに係止してマガジン3の内部に取り付けるものである。
これにより、新たな取付部品の追加や大きな設計変更を要せずに、針押え40をマガジン3に組み込むことができるようになる。従って、ステープルの打ち込みに際してステープルが座屈してしまうことを招きにくいステープラ100を簡易に提供できるようになる。
続いて、ステープルガイド50の取付け時の構成を詳しく説明する。図13A及びBは、ステープルガイド50の取付例(その1)を示す説明図である。図13Aは、マガジン3及びステープルガイド50で構成され、これらの構成要素を上面から見た図である。なお、この例で図13Aには、図9及び図10に示したプッシャ6、バネガイド6a及び針押え40がマガジン3に組み込まれていない。
図13Aに示すマガジン3の差し込み開口部3m(図11B参照)に、ステープルガイド50の差込部50aが差し込まれて取り付けられている。また、マガジン3の開口部3hに、ステープルガイド50のバネ受け部50cが係合されている。
図13Bは、図13AのX2−X2矢視断面図である。なお、図13Bには、2点鎖線でステープル30を図示している。図13Bに示すステープルガイド50の側面ガイド部50dとマガジン3の内壁との間隙は、ステープル30の脚部30bの厚みL4(図5B参照)と同程度に設定されている。これにより、ステープル30の脚部30bのガタツキを抑えることができるので、ステープルガイド50の案内精度を高めることができる。
また、ステープルガイド50の先端の両側には、逆U字形状の弾性U字部50e(図14B参照)が対峙して設けられている。この弾性U字部50eは、ステープル打出口12から打ち出されて下降するステープル30の脚部30bを支持する。弾性U字部50eの各先端部50iとマガジン3の内側壁との間隔L6は、ステープル30の脚部30bの厚みL4より狭く設定されている。
この弾性U字部50eは、下降したステープル30の脚部30bが、当該弾性U字部50eの各先端部50iとマガジン3の内側壁との間(間隔L6)を通過時、当該脚部30bが当該弾性U字部50eの各先端部50iに当接する。このとき、弾性U字部50eの各先端部50iは、脚部30bにより内側に撓まされると共に当該両脚部30bを当該マガジン3の両側壁に押し付け、当該脚部30bが通過後に元の状態に復帰する。これにより、ステープル30の脚部30bがマガジン3の内側壁に密着して下降できると共に、用紙に対して当該脚部30bを垂直に打ち出すことができる。従って、ステープラ100は、安定した綴りを得ることができる。
図14A及びBは、ステープルガイド50の取付例(その2)を示す図13AのY2−Y2矢視断面図である。図14Aに示すステープルガイド50のバネ受け部50cは、マガジン3のバネ受け部3kとバネ3iにより係合されている。これにより、ステープルガイド50は、マガジン3のステープル打出口12の方向にスライド自在に付勢されている。
ステープルガイド50の先端に設けられた弾性U字部50eは、この弾性U字部50eの前端面50fがマガジン3の前面内壁に当接されている。また、弾性U字部50eの前端面50fの上部には、受入部50gが設けられている。この受入部50gは、前端面50fが一部斜めに切り落とされた傾斜部50hを有して形成されている。
受入部50gは、ステープル30が下降時に、当該ステープル30のクラウン部30aを受け入れると共に、当該受入部50gの傾斜部50hにクラウン部30aが摺接される。このクラウン部30aの摺接により、ステープルガイド50の傾斜部50hが後退されると共に当該ステープルガイド50も後退する。このように、ステープルガイド50はマガジン3に組み込まれている。
続いて、プッシャ6の構成を説明する。図15は、プッシャ6の構成例を示す斜視図である。図15に示すプッシャ6は、プッシャ本体6dの左右にプッシャプレート6eが取り付けられた状態である。図10で説明したように、プッシャ本体6dに設けられた異なる形状の突起部6f、6gは、当該プッシャ本体6dの左側と右側で前後の配列が異なる。この例で、プッシャ本体6dの左側には、前に突起部6fが配置され、後に突起部6gが配置されている。また、プッシャ本体6dの右側には、前に突起部6gが配置され、後に突起部6fが配置されている。
左側のプッシャプレート6eは、嵌合孔6hがプッシャ本体6dの突起部6fに嵌合され、かつ、嵌合孔6iが突起部6gに嵌合されている。右側のプッシャプレート6eも、嵌合孔6h、6iがそれぞれ突起部6f、6gに嵌合されている。これにより、突起部6f、6gの前後配置が異なるため、右側のプッシャプレート6eは、左側のプッシャプレート6eに対してプレートの前端と後端とを入れ替えて180°反転させた状態でプッシャ本体6dに取り付けられている。これにより、例えばプッシャプレート6eのパンチ抜き成形工程の際に生じる成形誤差を吸収することができる。
図16A〜Cは、プッシャ6の取付例を示す説明図である。図16Aは、マガジン3、プッシャ6、バネガイド6a、針押え40及びステープルガイド50で構成され、これらの構成要素を上面から見た図である。
図16Aに示すプッシャ6は、当該プッシャ6の係合溝6k(図16C参照)が、バネガイド6aに係合されてスライド自在に固定されている。このプッシャ6は、スプリングバネ6bにより当該プッシャ6の後端部が、ステープル打出口12の方向に付勢されている。
図16Bは、プッシャ6に取り付けられるプッシャバンド6cの構成例を示す上面図である。このプッシャバンド6cには、所定の長さを有し、剣先部61、T状部62及び突起部63を有した舌状のものが使用される。プッシャバンド6cには、合成樹脂製のものが使用される。例えば、プッシャバンド6cは、図15に示したプッシャ6のバンド挿入部6jに剣先部61が一旦湾曲されて挿入され、挿入後、当該剣先部61が平坦状に復帰して抜け止めする。T状部62及び突起部63は、図1に示したステープルカバー7の開口部に取り付けられる。
図16Cは、図16AのX3−X3矢視断面図である。ステープルガイド50の側面ガイド部50dとマガジン3の内側壁との間隙L7は、プッシャ6のプッシャプレート6eが設置されている。このプッシャプレート6eの厚みは、間隙L7と同程度に設定されている。プッシャプレート6eは、図10に示したプッシャ本体6dの突起部6f、6gに嵌合されて、当該プッシャ本体6dに固定されている。
このように、本発明に係るステープラ100によれば、ステープルガイド50の内部に設置されて、プッシャバンド6cの先端の剣先部61が挿通自在に係止されるプッシャ本体6dと、このプッシャ本体6dの両側に設けられて、ステープル30に当接する左右のプッシャプレート6eとを有するプッシャ6とするものである。
従って、ステープルガイド50を有したステープラ100において、取付け部品を追加することなく、プッシャバンド6cの一端をプッシャ本体6dに取り付けることができる。これにより、プッシャ本体6dの高さを低く抑えることができると共に、プッシャ6のサイズをコンパクトにできる。また、プッシャ6は、金属板により形成したプッシャプレート6eにより所定の強度を有した構成を採ることができる。
続いて、プッシャ6の他の構成を説明する。図17A及びBは、プッシャ6’の構成例を示す側面図である。図17Aに示すプッシャ6’は、プッシャ本体6d’、突起部6f’、6g’及び左右のプッシャプレート6e’を備える。
左右のプッシャプレート6e’は同形に形成され、嵌合溝6h’、6i’を有している。嵌合溝6h’の溝は、嵌合溝6i’の溝より深く形成されている。
プッシャ本体6d’は、これらのプッシャプレート6e’を結合するための2個の突起部6f’、6g’を両側面に有している。例えば、これらの突起部6f’、6g’は円柱状に形成されている。
突起部6f’、6g’は、当該プッシャ本体6d’の左側面と右側面で前後の取り付け位置が異なるように設定している。この例で、図17Aに示すプッシャ本体6d’の左側面において、当該プッシャ本体6d’の前方に位置する突起部6f’は、後方に位置する突起部6g’に比べて低い位置に設けられている。また、図17Bに示すプッシャ本体6d’の右側面において、プッシャ本体6d’の前方に位置する突起部6f’は、後方に位置する突起部6g’に比べて、左側面とは反対に高い位置に設けられている。
これにより、図17Bの左側のプッシャプレート6e’は、図17Aの右側のプッシャプレート6e’に対してプレートの前端と後端とを入れ替えて180°反転させた状態でプッシャ本体6d’に取り付けられる。これにより、例えばプッシャプレート6e’のパンチ抜き成形工程の際に生じる成形誤差のバラツキを一定にすることができる。
続いて、ドライバ5の構成を説明する。図18A及びBは、ドライバ5の構成例を示す説明図である。図18Aに示すドライバ5は全体斜視図であり、弾性部5c、打出部5d及び取付部5eを備える。
ドライバ5は、図1に示したドライバアーム4にバーリング加工等よって環状に設けられた不図示の凸部に、当該ドライバ5の取付部5eの開口部5fが嵌合されて取り付けられる。このようにして取り付けられたドライバ5は、湾曲された弾性部5cが図1に示したマガジン3に装着されたステープルカバー7に当接して、ドライバ5及びドライバアーム4とマガジン3との間隔を待機時に一定に保つようになる。
ドライバ5の先端には、打出部5dが設けられている。このドライバ5の打出部5dは、図1に示したドライバアーム4が回動されて、マガジン3の先頭のステープル30を当該マガジン3の内部から外部に向けて打ち出す。
打出部5dの先端には、突起部(オニ歯)5b及び平坦部5i(図18B参照)が備えられている。突起部5bは、打出部5dの両側に設けられ、ステープルガイド50(図13B参照)により支持されたステープル30の脚部30bの上方に当接する。平坦部5iは、突起部5bがステープル30の脚部30bに当接後、当該ステープル30のクラウン部30aに当接して押し出すようになされる。
図18Bは、ドライバ5の打出部5dの構成例を示す要部拡大の正面図である。図18Bに示す打出部5dの先端の両側に設けられた突起部5bの各々は、傾斜部5g及び当接部5hを有する。当接部5hは、突起部5bの先端に設けられ、ステープル30の脚部30bの上方に当接する。傾斜部5gは、ドライバ5の平坦部5iに対して所定の傾斜を有して形成されている。この傾斜部5gは、ステープル30が打ち出されたときに、当該ステープル30のクラウン部30aを滑らかに若干湾曲形状に形成する。これにより、ステープル30の脚部30bの各々にかかる用紙からの抗力をこの湾曲されたクラウン部30aで相殺できるようになる。
図19は、ドライバ5とマガジン3の配置例を示す斜視図である。図19に示すドライバ5は、マガジン3の先端部に配置されている。このとき、ドライバ5の打出部5dは、マガジン3のステープル打出口12の上方に配置されている。すなわち、ドライバ5の押し下げ時、当該ドライバ5の打出部5dの先端がマガジン3の前面内壁に接近するように当該ドライバ5が配置されている。
続いて、ドライバ5、針押え40及びステープルガイド50の動作を説明する。図20A〜Dは、ドライバ5及びステープルガイド50の動作例(その1)を示す正面図である。図20A〜Dは、ステープルガイド50が取り付けられてステープル30が装填されたマガジン3を、図13Aに示したX2−X2矢印方向から見た断面図である。
図20Aに示すマガジン3に装填されたステープル30は、図16Aに示したプッシャ6により押圧されてマガジン3のステープル打出口12を臨む位置に配されている。
図1に示したドライバアーム4には、綴り力が加えられておらず、ドライバ5は、当該ドライバ5の弾性部5cが図1に示したマガジン3に装着されたステープルカバー7に当接して、ドライバ5とマガジン3との間隔を一定に保っている。これにより、ドライバ5の打出部5dは、ステープル一連300(図4参照)の先頭のステープル30の上方に所定の間隔を有して待機する(待機状態)。
ドライバアーム4に綴り力が加えられると、その先端に取り付けられたドライバ5は下降を開始する。例えば、図20Bに示すドライバ5は、先頭のステープル30の脚部30bに、当該ドライバ5の突起部5bの当接部5hが当接した状態である。
更に、ドライバアーム4に綴り力が加えられると、ドライバ5はステープル30の打ち出しを開始する。例えば、図20Cに示すドライバ5は、ステープル一連300の先頭のステープル30を打ち出して分離し、当該ステープル30の脚部30bの先端が用紙束Pに差し込まれた状態である。このとき、ドライバ5の打出部5dの突起部5bは、先頭のステープル30の脚部30bを略直上から押下するようになされる。これにより、綴り力が突起部5bを介して脚部30bに略一直線状に伝わるので、綴り力を脚部30bに集中できるようになる。
突起部5bからの押下によりステープル30が下降すると、ステープルガイド50の先端に設けられた弾性U字部50eの各先端部50iとマガジン3の内側壁との間(図13Bに示した間隔L6)を通過時、当該脚部30bが当該弾性U字部50eの各先端部50iに当接する。このとき、弾性U字部50eの各先端部50iは、脚部30bにより内側に撓まされると共に当該両脚部30bを当該マガジン3の両側壁に押し付け、用紙束Pに対して当該脚部30bを垂直に打ち出すようにする。これにより、脚部30bがステープルガイド50により支持されるので、脚部30bの座屈を防止できるようになる。
また、突起部5bの傾斜部5g及び平坦部5iは、当該ステープル30のクラウン部30aを滑らかに若干湾曲形状に形成する。これにより、ステープル30の脚部30bの各々にかかる用紙束Pからの抗力をこの湾曲されたクラウン部30aで相殺できるようになる。これにより、ステープル30にかかる抗力を好適に受け止めることができて、対座屈性の高いステープラ100を提供できるようになる。
更に、ドライバアーム4に綴り力が加えられると、ドライバ5は打ち出したステープル30を下降させる。例えば、図20Dに示すドライバ5は、ステープル一連300から分離したステープル30を下降し、当該ステープル30の脚部30bの先端が用紙束Pを貫通した状態である。このとき、ドライバ5の打出部5dの突起部5bは、引き続き先頭のステープル30の脚部30bを押圧するようになされる。
また、弾性U字部50eの各先端部50iは、脚部30bにより内側に撓まされた状態で当該両脚部30bを当該マガジン3の両側壁に押し付け、用紙束Pに対して当該脚部30bを垂直に打ち出すようにする。
また、突起部5bの傾斜部5g及び平坦部5iは、当該ステープル30のクラウン部30aを滑らかに若干湾曲形状に形成して、ステープル30の脚部30bの各々にかかる用紙束Pからの抗力をクラウン部30aで相殺する。このように、ドライバ5の打出部5dの突起部5b及びステープルガイド50の弾性U字部50eの各先端部50iは動作する。
このように、本発明に係るステープラ100によれば、所定の綴り力に基づいてステープル30を打ち出すドライバアーム4の先端に設けたドライバ5が、ステープルガイド50により支持したステープル30の脚部30bの上方に当接する突起部5bを有するものである。
従って、綴り力がドライバ5の突起部5bを介して脚部30bに伝わるので、綴り力を脚部30bに集中できるようになる。しかも、ステープルガイド50により当該脚部30bを支持するので、脚部30bの座屈を防止できるようになる。
また、両端の突起部5bとドライバ5本体によりステープル30のクラウン部30aを湾曲形成するので、脚部30bにかかる用紙束Pからの抗力を相殺できるようになる。これにより、ステープル30にかかる抗力を好適に受け止めることができて対座屈性の高いステープラ100を提供できるようになる。
図21A〜Dは、ドライバ5及びステープルガイド50の動作例(その2)を示す側面図である。図21A〜Dは、ステープルガイド50が取り付けられ、ステープル一連300(ステープル残数6個)が装填されたマガジン3を、図13Aに示したY2−Y2矢印方向から見た要部拡大の断面図である。
図21Aに示すマガジン3に配置されたドライバ5は、上述した待機状態である。この状態において、ステープルガイド50の弾性U字部50eの前端面50fは、バネ3i(図14A参照)により付勢されてマガジン3の前面内壁に当接している。
この待機状態からドライバアーム4に綴り力が加えられると、その先端に取り付けられたドライバ5は下降を開始する。例えば、図21Bに示すドライバ5は、先頭のステープル30の脚部30bに、当該ドライバ5の突起部5bが当接して当該ステープル30の打ち出しを開始した状態である。この状態において、図21Bに示すドライバ5は、ステープル一連300の先頭のステープル30を打ち出して分離し、当該ステープル30の脚部30bの先端が用紙束Pに差し込まれた状態である。このとき、ステープルガイド50の先端に設けられた弾性U字部50eの各先端部50i(図20C参照)は、脚部30bにより内側に撓まされると共に当該両脚部30bを当該マガジン3の両側壁に押し付け、用紙束Pに対して当該脚部30bを垂直に打ち出すようにする。
更に、ドライバアーム4に綴り力が加えられると、図21Cに示すドライバ5は、分離したステープル30を下降させ、当該ステープル30の脚部30bの先端が用紙束Pを貫通した状態である。このとき、先頭のステープル30のクラウン部30aが、ステープルガイド50の弾性U字部50eの傾斜部50h(図14B参照)に摺接している。この摺接によって、図21Cに示すように、バネ3i(図14A参照)によりマガジン3の前方側へ向かって付勢されているステープルガイド50が、押し戻されて若干後退している。なお、この若干後退したとき、ステープルガイド50の弾性U字部50eの各先端部50i(図20C参照)は、ステープル30の脚部30bにより内側に撓まされている。
更に、ドライバアーム4に綴り力が加えられると、図21Dに示すドライバ5はステープル30を下降させる。このステープル30の下降により、当該ステープル30のクラウン部30aは、用紙束Pの上面に略接触した状態である。この状態に至る過程において、クラウン部30aに傾斜部50h(図14B参照)が摺接されたステープルガイド50は、当該クラウン部30aにより押し戻されて、当該クラウン部30aの前後幅L3(図5A参照)ほど後退している。このとき、ステープルガイド50は、前端面50fによりステープル30のクラウン部30aをマガジン3の前面内壁に押し当てて支持する。これにより、クラウン部30aの座屈を防止できるようになる。なお、ステープルガイド50が図21Dに示す位置に後退したとき、ステープル30の脚部30bにより内側に撓まされた、ステープルガイド50の弾性U字部50eの各先端部50i(図20C参照)は、元の状態に戻る(図20D参照)。
図22A〜Dは、ドライバ5及び針押え40の動作例を示す側面図である。図22A〜Dは、針押え40及びステープルガイド50が取り付けられ、ステープル一連300(ステープル残数6個)が装填されたマガジン3を、図11Aに示したY1−Y1矢印方向から見た一部破砕の断面図である。
図22Aに示すマガジン3に配置されたドライバ5は、上述した待機状態である。この状態において、マガジン3の前方取付部3dに取り付けられた針押え40は、当該針押え40の先端部が、マガジン3の前面内壁に当接すると共に当該前面内壁の開口部3pに入り込むように配置されている。このとき、針押え40は、先頭のステープル30に当接していない。
この待機状態からドライバアーム4に綴り力が加えられると、その先端に取り付けられたドライバ5は下降を開始する。例えば、図22Bに示すドライバ5は、ステープル一連300の先頭のステープル30を打ち出して分離し、当該ステープル30の脚部30bの先端が用紙束Pに差し込まれた状態である。このとき、針押え40の弾性押え部40dは、ステープル30のクラウン部30aに当接している。
更に、ドライバアーム4に綴り力が加えられると、図22Cに示すドライバ5は、分離したステープル30を下降させる。当該ステープル30の下降により、このステープル30は、脚部30bの先端が用紙束Pを貫通した状態である。このステープル30の下降時に、当該ステープル30のクラウン部30aに当接した針押え40の弾性押え部40dは、自らの湾曲板形状から生じる弾性力を利用してクラウン部30aをマガジン3の前面内壁に押し付けて当該クラウン部30aを支持する。このとき、針押え40は、弾性押え部40dが撓んでいるので、弾性押え部40dと取付け部40cとの間隔が、図22A及び図22Bに示すこの間隔よりも縮まっている。
更に、ドライバアーム4に綴り力が加えられると、図22Dに示すドライバ5はステープル30を下降させる。このステープル30の下降により、当該ステープル30のクラウン部30aは、用紙束Pの上面に略接触した状態である。この状態に至る過程において、弾性押え部40dは、自らの弾性力を利用してクラウン部30aをマガジン3の前面内壁に押し付けて当該クラウン部30aを支持し続ける。
なお、弾性押え部40dの先端部は、外側に若干沿った形状に形成されている。これは、ステープル30が下降を開始する初期の状態(図22B参照)から、下降が終了して用紙束Pの上面にクラウン部30aが略接触した状態(図22D参照)となるまでの期間において、極力長い期間、クラウン部30aをマガジン3の前面内壁に押し付けて当該クラウン部30aを支持するためである。すなわち、図22Bに示すように、ステープル30が下降を開始する初期の状態では、弾性押え部40dの基端部側でクラウン部30aをマガジン3の前面内壁に押し付ける。その後、ステープル30の脚部30bが用紙束Pを貫通後からは、図22Cに示すように、弾性押え部40dの先端部の外側に若干沿った形状に形成された部分で、クラウン部30aをマガジン3の前面内壁に押し付ける。
このようなステープルガイド50、プッシャ6、突起部5bを有したドライバ5及び針押え40と組み合わせることにより、ステープラ100の本体の高さを低く抑えながら高い綴り能力を得ることができる。
続いて、クリンチャバンパ60について詳しく説明する。図23は、クリンチャバンパ60の装着例を示す斜視図である。このクリンチャバンパ60は、クリンチャアーム1とクリンチャガイド部20(図1参照)とが当接する位置、及びクリンチャアーム1とクリンチャ1hとが当接する位置に設けられ、当該当接を緩衝するものである。この例で、クリンチャバンパ60は、クリンチャガイド部20及びクリンチャ1hが当接するクリンチャアーム1の先端に取り付けられている。なお、図1に示したクリンチャガイド部20は、上述したようにクリンチャ1hを案内するものである。
クリンチャバンパ60には、ゴム材や樹脂系発泡材などが用いられる。この樹脂系発泡材は樹脂を発泡させて形成し、樹脂の種類、発砲方法、発泡倍率などで多種多様の緩衝材がある。もちろんこれらに限らず、クリンチャバンパ60は、ゴム材等と同様の緩衝機能を有した他の素材を用いて形成してもよい。
図24は、クリンチャバンパ60の構成及び組立例を示す分解斜視図である。図24に示すクリンチャバンパ60は、断面が略「コ」形状の嵌合部60a、「U」形状の切欠部60b及びクリンチャ当接部60cを有している。
クリンチャバンパ60の切欠部60bには、クリンチャ1hを付勢するためのバネ1iが配される。この切欠部60bの両側には、クリンチャ当接部60cが設けられている。このクリンチャ当接部60cの各々には、クリンチャ1hの底面部1jの各々が当接する。
クリンチャバンパ60をクリンチャアーム1に取り付ける場合、嵌合部60aにクリンチャアーム1の先端部を嵌め合わせる。その後、クリンチャバンパ60が先端に取り付けられたクリンチャアーム1をクリンチャカバー2に装着する。このとき、クリンチャバンパ60の先端は、クリンチャカバー2の先端内壁2aに当接する。この先端内壁2aにより、クリンチャバンパ60は先端が抜け止めされる。また、クリンチャバンパ60の左右端は、クリンチャカバー2の両側壁に設けられた突起部2bに当接する。この両側の突起部2bにより、クリンチャバンパ60は左右方向が抜け止めされて固定される。なお、バネ1iは、クリンチャカバー2の底面突起部2cに挿入されて固定される。
図25A〜Cは、クリンチャバンパ60の取付例を示す説明図である。図25Aは、クリンチャアーム1にクリンチャバンパ60を取り付けた状態を上面から見た上面図である。図25Bは、図25Aに示すX4−X4矢視断面図である。図25Bに示すクリンチャバンパ60の断面略「コ」形状の嵌合部60aに、クリンチャアーム1の先端が挿入されて取り付けられている。図25Cは、図25Aに示す矢印Y4方向から見た正面図である。図25Cに示すクリンチャバンパ60は、クリンチャアーム1の厚みの3倍程度の厚みを有して形成されている。
このように、本発明に係るステープラ100によれば、衝撃を緩衝するクリンチャバンパ60を備え、図1に示したクリンチャガイド部20とクリンチャアーム1との当接部及びクリンチャ1hとクリンチャアーム1との当接部に、クリンチャバンパ60を介在させて取り付ける。
従って、クリンチャガイド部20とクリンチャアーム1とがクリンチャバンパ60を介して当接するようになると共に、クリンチャ1hとクリンチャアーム1とがクリンチャバンパ60を介して当接するようになる。すなわち、図3Bに示したように、マガジン3により押し下げられたクリンチャ1hは、クリンチャアーム1に取り付けられたクリンチャバンパ60にその底面部1jが当接する。これにより、ステープル30を綴じる時の音圧を小さくできると共に高周波を減少できるので、耳障りでない音にすることができる。
続いて、ハンドルバンパ64について説明する。図26は、ハンドルバンパ64の装着例を示す斜視図である。図26に示すハンドルバンパ64は、第2の緩衝部材の一例を構成する。このハンドルバンパ64は、ドライバアーム4(図1参照)とハンドル8とが当接する位置に設けられ、当該当接を緩衝するものである。この例で、ハンドルバンパ64は、ドライバアーム4が当接するハンドル8の先端に取り付けられている。
ハンドルバンパ64には、ゴム材や樹脂系発泡材などが用いられる。もちろんこれらに限らず、ハンドルバンパ64は、ゴム材等と同様の緩衝機能を有した他の素材を用いて形成してもよい。
図27は、ハンドルバンパ64の構成及び組立例(その1)を示す分解斜視図である。図27に示すハンドルバンパ64は、背面側64bに略「T」形状の嵌合突起部(第2の嵌合部の一例)64aを2個有している。これらの嵌合突起部64aをハンドル8の嵌合孔8bに嵌合する。その後、ハンドルバンパ64が先端に取り付けられたハンドル8をハンドルカバー9に取り付ける。このとき、ハンドルバンパ64の先端を、ハンドルカバー9の先端溝9aに挿入する。この先端溝9aにより、ハンドルバンパ64は、先端が抜け止めされると共に落下が防止されて固定される。
図28は、ハンドルバンパ64の構成及び組立例(その2)を示す分解斜視図である。図28に示すハンドルバンパ64の背面側64bの後端部に設けられた略「T」形状の嵌合突起部64aの各々を、ハンドル8の嵌合孔8bの各々に嵌合する。この例で、略「T」形状の嵌合突起部64aは、ハンドルバンパ64の本体に突起状に形成されている。この嵌合突起部64aは、根元から先端に至るまでは棒状に形成され、当該先端部分は平板状に形成されている。また、ハンドルバンパ64の背面側64bの先端部には、引っ掛け用の爪部64cが設けられている。
この嵌合突起部64aを嵌合する嵌合孔8bは、凸形状に開口されている。先ず、この凸形状の嵌合孔8bの広領域部分に、嵌合突起部64aの平板状の先端を挿入する。次に、この嵌合突起部64aが挿入されたハンドルバンパ64を矢印Q1方向にスライド移動すると共に、当該ハンドルバンパ64の爪部64cを、ハンドル8の係合部8cに係合する。これにより、ハンドルバンパ64をハンドル8に固定することができる。
図29A〜Cは、ハンドルバンパ64の取付例を示す説明図である。図29Aは、ハンドル8にハンドルバンパ64を取り付けた状態を底面から見た(図28に示す矢印Q2方向)底面図である。図29Bは、図29Aに示すX5−X5矢視断面図である。図29Bに示すハンドルバンパ64の嵌合突起部64aの先端部が、ハンドル8の上面に引っ掛けられて固定されている。図29Cは、図29Aに示す矢印Y5方向から見た正面図である。図29Cに示すハンドルバンパ64は、嵌合突起部64aの先端部が、ハンドル8の上面に引っ掛けられて固定されている。
このように、ハンドル8とドライバアーム4とがハンドルバンパ64を介して当接するようになる。これにより、ステープル30を綴じる時の音圧を小さくできると共に高周波を減少できるので、耳障りでない音にすることができる。
なお、上述の実施例では、ハンドルバンパ64及びクリンチャバンパ60を嵌め合わせて取り付けたが、これに限らず、接着剤により貼り付けるようにして取り付けてもよい。また、ハンドルバンパ64をハンドル8に取り付けたが、ドライバアーム4の先端に取り付けても良い。また、クリンチャバンパ60をクリンチャアーム1に取り付けたが、クリンチャ1hの下端に取り付けても良い。
続いて、ステープラ100に設けられたバネの振動を抑える機能を有したコイルバネ10、20c、20dについて説明する。図30A及びBは、コイルバネ10、20c、20dの構成例を示す説明図である。図30Aは、ステープラ100の要部構成であって、コイルバネ10、20c、20dの設置例を示す断面図である。
図30Aに示すコイルバネ10は第3の付勢部材の一例及び装填部付勢部材の一例を構成し、マガジン3の後部側とクリンチャアーム1の後部側との間に設置されている。このコイルバネ10は、図1で説明したように、クリンチャアーム1とマガジン3との間に用紙束を介在させるために、当該マガジン3を上方に付勢してそのクリンチャ1hとそのステープル打出口12との間に所定の隙間を保持するようになされる。
コイルバネ20cは第1の付勢部材の一例を構成し、クリンチャガイド部20のクリンチャガイド20aとクリンチャアーム1との間に設置され、当該クリンチャガイド20aを上方に付勢する。コイルバネ20dは第2の付勢部材の一例を構成し、クリンチャガイド20aの後端部とスライド部材20bとの間に設置され、当該スライド部材20bを前方に付勢する。
図30Bは、コイルバネ10、20c、20dの構成例を示す斜視図である。コイルバネ10は、バネ本体10aと防振部材70を有して構成されている。バネ本体10aは、弾力性を有するように線材が螺旋状に形成されている。防振部材70は円柱状に形成され、バネ本体10aの内径よりも若干大きい径又は同等の径に形成される。もちろん、防振部材70の形状は、円柱状に限らず立方体や直方体などバネ本体10aに収納可能な形状ならば如何なる形状でもよい。
防振部材70は、このバネ本体10aの内部に設置され、当該バネ本体10aに接触してバネ本体10aの振動を抑える。防振部材70には、例えばスポンジなどのように多孔質素材の樹脂部材が用いられる。もちろんこれらに限らず、防振部材70は、スポンジ等と同様の防振機能を有した他の素材を用いて形成してもよい。例えば、バネ本体10aをゴム素材などにより形成された管状部材で全体又は一部を被覆する構造が考えられる。
このコイルバネ10と同様にコイルバネ20cは、バネ本体20ccと防振部材70を有して構成されている。防振部材70は、このバネ本体20ccの内部に設置され、当該バネ本体20ccに接触して振動を抑える。
また、このコイルバネ10と同様にコイルバネ20dは、バネ本体20ddと防振部材70を有して構成されている。防振部材70は、このバネ本体20ddの内部に設置され、当該バネ本体20ddに接触して振動を抑える。
図31は、コイルバネ10の組立例を示す分解斜視図である。図31に示すバネ本体10aの内径よりも若干大きい径に形成された円柱状の防振部材70を、当該バネ本体10aの内部に矢印Q3方向から押し込む。このとき、スポンジなどの防振部材70の幅長を縮めてバネ本体10aの内部に押し込む。これにより、防振部材70がバネ本体10aの内部に接触したコイルバネ10を構成することができる。また、コイルバネ20c、20dも、コイルバネ10と同様にして組み立てる。
このように、本発明に係るステープラ100によれば、クリンチャガイド20aを上方に付勢するコイルバネ20cと、このクリンチャガイド20aを上方位置に保持可能に設けられたスライド部材20bを前方に付勢するコイルバネ20dとを備え、コイルバネ20c又は20d、或いはコイルバネ20c及び20dに、振動を抑える防振部材70を設けるものである。
従って、防振部材70によりコイルバネ20c、20dが弾発する際の自己振動を速やかに減衰することができる。これにより、これらのコイルバネが振動することに起因するコイルバネの振動音を減少できる。
また、本発明に係るステープラ100によれば、マガジン3を上方に付勢するコイルバネ10を備え、このコイルバネ10に、振動を抑える防振部材70を設けるものである。
従って、防振部材70によりコイルバネ10が弾発する際の自己振動を速やかに減衰することができる。これにより、このコイルバネ10が振動することに起因するコイルバネの振動音を減少できる。
続いて、ステープラ100の背後に取り付けられたバックカバー15について説明する。図32は、バックカバー15の構成例(その1)を示す斜視図である。図32に示すバックカバー15は被覆部材の一例を構成し、基端部15a及び可撓性を有した湾曲カバー部15d(被覆部の一例)を有している。バックカバー15は、この基端部15aが図1に示したマガジン3の底面に取り付けられ、当該基端部15aに連設された湾曲カバー部15dの先端部15eを当該マガジン3を跨いでハンドル8とハンドルカバー9の間に通されて装着され、ステープラ100の背後を被覆する。
基端部15aは、基端部本体15xと、当該基端部本体15xの前方の左右に設けた2個の突起部15bと、当該基端部本体15xの後方中央に設けた爪状の引掛部15cとを有している。2個の突起部15bは、基端部本体15xの左右両端に向かって突出して形成されている。
基端部本体15xの上面の先端及び中央には、直方体形状の第1及び第2の凸部15h、15fが設けられている。これらの凸部15h、15fは、マガジン3の底面に設けられた不図示の凹部に嵌合される。これにより、マガジン3に取り付けられた基端部15aのガタツキを防止することができる。基端部本体15xの後端には、補強用のリブ15gが設けられている。
また、基端部15aの後端には、折り曲げ支点部P−Pを介して湾曲カバー部15dが連設されている。この湾曲カバー部15dは、例えば、合成樹脂を金型射出成形したもので、板厚方向に弾性変形可能な硬い性質を有している。
湾曲カバー部15dは、折り曲げ支点部P−Pを基準にして回動する。この例で、折り曲げ支点部P−Pは、湾曲カバー部15dの厚みと比較して薄く形成され、セルフヒンジを構成している。この湾曲カバー部15dに綴り力が伝わると、湾曲カバー部15dは、この折り曲げ支点部P−Pを基準にして時計回り及び反時計周りに回動する。
図33A〜Cは、バックカバー15の構成例(その2)を示す説明図である。図33Aは、バックカバー15の側面図である。図33Aに示すバックカバー15の湾曲カバー部15dは、基端部15aの底部から略垂直に立ち上がり、その後、ほぼ90°に折り曲げられ、更にその先で、水平部分を保つような湾曲形状に成形されている。基端部本体15xの上面と引掛部15cとの間隙は、マガジン3の底面の板厚と同程度に設けられている。突起部15bは「L」字型に形成され、弾性を有している。
図33Bは、バックカバー15の正面図(図33Aの矢印Q4方向から見た図)である。図33Bに示す左右に設けられた「L」字型の突起部15bの先端は、外側に向けて突き出して形成されている。図33Cは、バックカバー15の上面図(図33Bの矢印Q5方向から見た図)である。図33Bに示したように、突起部15bの先端は、外側に向けて突き出して形成されている。
図34A及びBは、バックカバー15の装着例(その1)を示す斜視図である。図34Aは、マガジン3の後端に装着されたバックカバー15を上斜側から見た図である。図34Bは、マガジン3の後端に装着されたバックカバー15を底斜側から見た図である。マガジン3には、当該マガジン3の底面側から延設した鉤状の取付部3rと、当該取付部3rから所定間隔離れた位置(後端)に嵌合部3s(図19参照)とが設けられている。
バックカバー15をマガジン3に装着する場合、マガジン3の嵌合部3sにバックカバー15の引掛部15c(図32参照)を引っ掛けて固定し、かつ、バックカバー15の突起部15bをマガジン3の取付部3rに係合する。これにより、マガジン3の内部に影響を与えずに、バックカバー15をマガジン3に容易かつ頑丈に取り付けることができる。
この例で、この取付部3rは、抜け止め用の凹部3t(図10参照)を有している。この取付部3rの凹部3tは、突起部15bがマガジン3の後端側へ抜けることを防止している。
このため、ステープラ100の組み立て作業の過程において、マガジン3にバックカバー15を組み付けて中間組立体とした際に、マガジン3からバックカバー15が安易に脱落してしまうことが防止できて、ステープラ100の組み立て作業が容易になる。
図35A及びBは、バックカバー15の装着例(その2)を示す説明図である。図35Aは、マガジン3の後端に装着されたバックカバー15を底面側から見た図である。図35Bは、図35AのX6−X6矢視断面図である。図35Bに示すバックカバー15の引掛部15cは、マガジン3の嵌合部3sに引っ掛けられて固定されている。また、バックカバー15の凸部15h、15fは、マガジン3の底面に設けられた不図示の凹部に嵌合されている。
図36A及びBは、バックカバー15の装着例(その3)を示す説明図である。図36Aは、マガジン3の後端に装着されたバックカバー15を側面側から見た図である。図36Bは、図36AのX7−X7矢視の拡大断面図である。図36Bに示すマガジン3の取付部3rには、バックカバー15の突起部15bの先端が引っ掛けられて固定されている。このように、バックカバー15はマガジン3に装着されている。
このように、本発明に係るステープラ100によれば、ステープラ100の背後を被覆するバックカバー15の爪状の引掛部15cをマガジン3の嵌合部3sに引っ掛けて固定し、かつ、当該バックカバー15の突起部15bをマガジン3の底面側から延設した取付部3rに係合するものである。
従って、マガジン3の内部に影響を与えずに、バックカバー15をマガジン3に容易かつ頑丈に取り付けることができる。これにより、マガジン3の内部を有効に活用できるようになる。特に、ステープルガイド50を備えたステープラ100においては、マガジン3の内部の設計の自由度が限られるので、当該バックカバー15は効果が顕著になる。
続いて、図37を参照してステープラ100の動作例を説明する。この動作例において、クリンチャバンパ60、ハンドルバンパ64、防振部材70及びバックカバー15の作用効果を説明する。
図37A及びBはステープラ100の動作例を示す断面図である。図37Aに示すステープラ100は、上述の待機状態(図1に示したステープラ100と同じ状態)である。なお、バックカバー15は、マガジン3の底面に取り付けられた状態で、コイルバネ10によりバックカバー15の底面が押圧されて固定されている。
この待機状態において、バックカバー15の湾曲カバー部15dは、基端部15aの底部に対して略垂直に立ち上がり、その後、ほぼ90°に折り曲げられ、更にその先で、水平部分を保つような湾曲形状に整形されている。このとき、湾曲カバー部15dの先端部15eは、ハンドル8とハンドルカバー9との間隙に位置し、ステープラ100の背後は、当該湾曲カバー部15dにより覆われている。
図37Bに示すステープラ100は、この待機状態からハンドルカバー9を介してハンドル8に綴り力が加えられて、当該ハンドル8が回動してドライバ5によりマガジン3のステープル30が打ち込まれ、クリンチャガイド部20のクリンチャガイド20aが下降して用紙束を綴じた綴じ状態である。
この綴じ状態において、バックカバー15の湾曲カバー部15dの先端部15eは、ハンドル8の回動に伴い待機状態よりは若干後退して、ハンドル8とハンドルカバー9との間隙に位置している。ステープラ100の背後は、この湾曲カバー部15dにより覆われている。
このとき、例えば仮に湾曲カバー部15dの先端部15eが、ハンドル8とドライバアーム4との間に延在するように設計した場合、湾曲カバー部15dがハンドル8に押しつぶされて変形すると共に、綴り力の無駄が生じる問題がある。この例で、湾曲カバー部15dの先端部15eがハンドル8とハンドルカバー9との間に延在することにより、当該湾曲カバー部15dがハンドル8からの干渉を避けることができるので、綴り力の無駄を省くことができる。
また消音効果として、ハンドル8の先端に取り付けられたハンドルバンパ64を介して、ハンドル8とステープルカバー7とが当接するので、ステープル30を綴じる時の音圧を小さくできる。
更に、クリンチャアーム1の先端に取り付けられたクリンチャバンパ60を介して、クリンチャアーム1とクリンチャガイド20aとが当接すると共にクリンチャアーム1とクリンチャ1hとが当接するので、ステープル30を綴じる時の音圧を小さくできると共に高周波を減少できる。これにより、耳障りでない音にすることができる。
また、マガジン3を上方に付勢するコイルバネ10、クリンチャガイド20aを上方に付勢するコイルバネ20c、スライド部材20bを前方に付勢するコイルバネ20dには、スポンジなどの防振部材70が設けられているので、これらのコイルバネに生じる振動を速やかに減衰させることができて、当該コイルバネの振動音を減少できる。