以下、図面を参照して、本発明のステープラの実施の形態について説明する。
<第1の実施の形態のステープラの構成例>
図1は、第1の実施の形態のステープラの一例を示す分解斜視図、図2は、第1の実施の形態のステープラの一例を示す斜視図である。第1の実施の形態のステープラ1Aの全体構成について説明すると、ステープラ1Aは、ステープル10が装填されるマガジン2Aを備える。
マガジン2Aに装填されるステープル10は、針クラウン10aと、針クラウン10aの両端から一の方向に略平行となるように折り曲げられて構成される2本の針足10bを備え、複数本のステープル10が接着で一体とされ、一連のステープル10として構成される。
ステープラ1Aは、マガジン2Aに装填されたステープル10を、針クラウン10aに直交する線幅方向に押圧するプッシャ3Aと、プッシャ3Aを押圧するプッシャバネ4を備える。
また、ステープラ1Aは、プッシャバネ4をガイドするバネガイド50A、及び、プッシャ3Aの移動をガイドすると共に、ステープル10の装填及び取り出しをガイドするプッシャガイド51Aが一体成型で構成されたガイド部材5Aを備える。更に、ステープラ1Aは、マガジン2Aに装填されたステープル10を1本に分離して打ち出すドライバ6と、ドライバ6が設けられた上ハンドル7を備える。
また、ステープラ1Aは、用紙を貫通したステープル10の針足10bを折り曲げるクリンチャ80が設けられると共に、マガジン2A及び上ハンドル7が軸81により回転可能に支持される下ハンドル8を備える。更に、ステープラ1Aは、上ハンドル7を開く動作をプッシャ3Aに伝達して、プッシャ3Aを退避させるプッシャバンド9を備える。
ステープラ1Aは、バネガイド50Aにプッシャバネ4が取り付けられると共に、プッシャガイド51Aにプッシャ3Aが取り付けられたガイド部材5Aが、マガジン2Aの内側に取り付けられて、マガジン組立体11Aが構成される。
マガジン組立体11Aは、軸81により下ハンドル8に回転可能に取り付けられる。また、上ハンドル7は、軸81により下ハンドル8及びマガジン組立体11Aに回転可能に取り付けられる。
ステープラ1Aは、上ハンドル7にドライバ6が取り付けられ、上ハンドル7と下ハンドル8を握る動作で、マガジン2Aと下ハンドル8のクリンチャ80との間に用紙Pが挟持されると共に、ドライバ6により1本のステープル10がマガジン2Aから打ち出される。
マガジン2Aから打ち出された1本のステープル10は、マガジン2Aと下ハンドル8のクリンチャ80との間に挟持された用紙Pを貫通し、クリンチャ80により折り曲げられることで、用紙Pが綴じられる。
また、ステープラ1Aは、プッシャ3Aと上ハンドル7側のドライバ6がプッシャバンド9で連結され、軸81を支点として上ハンドル7を開く動作で、プッシャバンド9によりプッシャバネ4を圧縮しながらプッシャ3Aが引かれて退避し、マガジン組立体11Aのマガジン2Aに対してステープル10の装填が可能となる。
マガジン組立体11Aは、バネガイド50A及びプッシャバネ4の左右両側にプッシャガイド51Aが設けられ、マガジン2Aに対してステープル10を装填あるいは取り出す動作で、ステープル10がバネガイド50Aあるいはプッシャバネ4等に引っ掛かることが防止される。
ステープラ1Aは、軸81を支点として上ハンドル7を閉じる動作で、プッシャバネ4が復元する力によってプッシャ3Aが押圧され、マガジン2Aに装填されたステープル10が押圧される。
上ハンドル7は、板状の金属材料をプレス等の折り曲げ加工によって所定の形状に構成した本体部70と、樹脂で構成されるカバー71a,71bを備える。上ハンドル7は、本体部70の下面に、ドライバ6が取り付けられる図示しない固定機構を備える。また、上ハンドル7は、本体部70の対向する側壁部に、マガジン2Aに係止される係止凸部72と、軸81が係止される図示しない軸受部を備える。
下ハンドル8は、板状の金属材料をプレス等の折り曲げ加工によって所定の形状に構成した本体部82と、樹脂で構成されるカバー83を備える。下ハンドル8は、本体部82の先端側にクリンチャ80を備える。クリンチャ80は、ステープル10の針足10bを誘導する溝部を本体部82と一体に成型して構成される。
また、下ハンドル8は、本体部82の後端側に一対の側壁部84を備え、軸81が挿入される軸穴部84aが、対向する側壁部84を貫通して形成される。また、下ハンドル8は、対向する側壁部84の内側に、マガジン2Aに係止される係止凸部84bが突出形成される。
<第1の実施の形態のマガジン組立体の構成例>
図3〜図6は、第1の実施の形態のステープラを構成するマガジン組立体の一例を示し、次に、第1の実施の形態のマガジン組立体11Aを構成するマガジン2Aについて説明する。
ここで、図3は、第1の実施の形態のマガジン組立体の一例を示す平面図、図4は、第1の実施の形態のマガジン組立体の一例を示す側面図である。また、図5は、第1の実施の形態のマガジン組立体の一例を示す側断面図、図6は、第1の実施の形態のマガジン組立体の一例を示す正面断面図である。
マガジン2Aは、ステープル10が載置されるマガジン底面20aを備える。また、マガジン2Aは、ステープル10の針クラウン10aに沿った幅方向の位置を規制するマガジン側壁20bと、ステープル10の線幅方向に沿った前後方向の位置を規制するマガジン前壁20cを備える。更に、マガジン2Aは、ステープル10の針足10bに沿った上下方向の位置を規制するステープルカバー20dを備える。
マガジン2Aは、板状の金属材料がプレス等の形抜き及び折り曲げ加工によって折り曲げられることで所定の形状に構成され、ステープル10が装填可能で上面が開口した空間が設けられる。すなわち、マガジン2Aは、マガジン底面20aの両側部が一の方向である上方に向けて折り曲げられることで、マガジン底面20aの両側部から立設される形態で一対のマガジン側壁20bが構成される。
マガジン2Aは、対向するマガジン側壁20bの内幅が、ステープル10が挿入可能な程度で、ステープル10の針クラウン10aの外幅と略同等に構成され、対向するマガジン側壁20bの間にステープル10が装填可能で、かつ、装填されたステープル10の幅方向の位置が規制される。
また、マガジン2Aは、それぞれのマガジン側壁20bの先端側の上端部が内側に向けて折り曲げられることで、マガジン側壁20bから内側に突出する形態でステープルカバー20dが構成される。
マガジン2Aは、対向するステープルカバー20dの内幅が、ステープル10の針クラウン10aの外幅より狭く構成される。また、マガジン2Aは、マガジン底面20aとステープルカバー20dとの間の間隔が、ステープル10が挿入可能な程度で、ステープル10の針足10bの長さと略同等に構成される。
更に、ステープルカバー20dの長さは、連結された一連のステープル10より長く構成される。マガジン2Aは、プッシャバネ4を圧縮させてプッシャ3Aを最後退位置まで退避させた状態で、2連分のステープル10が装填可能となるように、プッシャ3Aの大きさ、マガジン2Aの長さ等が設定されている。このため、マガジン2Aに2連のステープル10が装填されると、1連目のステープル10の針クラウン10aの幅方向の両端が全長に亘り規制されると共に、2連目のステープル10の先端側の一部が規制される。
これにより、マガジン2Aでは、マガジン底面20aとステープルカバー20dとの間にステープル10が装填可能で、装填されたステープル10の上下方向の移動が規制され、かつ、対向するステープルカバー20dの間からステープル10が外れることが防止される。また、2連分のステープル10が装填されても、別のカバーを設けることなく、装填されたステープル10の上下方向の移動が規制される。
更に、マガジン2Aは、それぞれのマガジン側壁20bの先端側が内側に向けて折り曲げられることで、対向するマガジン側壁20bの先端を塞ぐ形態でマガジン前壁20cが構成される。また、マガジン2Aは、マガジン底面20aの先端側でマガジン前壁20cの下部に、1本に分離されたステープル10が通る寸法で開口部20eが設けられる。
これにより、マガジン2Aでは、ステープル10の線幅方向に沿った先端がマガジン前壁20cに押圧されることで、ステープル10の前後方向の位置が規制され、最先端の1本のステープル10の位置が規制される。
マガジン2Aは、上ハンドル7を閉位置で保持する係止凸部21を備える。係止凸部21は、対向するマガジン側壁20bから外側に向けて突出し、上ハンドル7の係止凸部72が係止される。
また、マガジン2Aは、下ハンドル8を閉位置で保持する係止凹部22を備える。係止凹部22は、対向するマガジン側壁20bに開口を設けて構成され、下ハンドル8の係止凸部84bが係止される。
更に、マガジン2Aは、上ハンドル7を係止凸部21に係止する動作で上ハンドル7に掛かる荷重を調整する開口部23を備える。開口部23は、マガジン側壁20bの係止凸部21が設けられる部位が、所望の荷重で変形するように、対向するマガジン側壁20bに開口を設けて構成される。本例では、係止凹部22と開口部23が一体で構成される。
マガジン2Aは、ステープル10の装填の有無及び残数の目安を確認可能とする確認窓部24を備える。確認窓部24は、マガジン2Aに装填されたステープル10が見えるように、対向するマガジン側壁20bの先端側に、本例では長穴形状の開口を設けて構成される。
マガジン2Aは、軸81が挿入される穴部25を備える。穴部25は、対向するマガジン側壁20bの後端側に、軸81の径に合わせた円形の貫通穴を設けて構成される。
マガジン2Aは、ガイド部材5Aを支持する第1の支持部26aと第2の支持部26bを備える。第1の支持部26aは、マガジン2Aの先端側において、マガジン底面20aから立設した形態で構成され、本例では、円形の貫通穴が形成された四角形状の片部が、マガジン底面20aを曲げ起こす形態で一体に構成される。
第2の支持部26bは、マガジン2Aの後端側において、マガジン底面20aから立設した形態で構成され、本例では、円形の貫通穴が形成された四角形状の片部が、マガジン底面20aを曲げ起こす形態で一体に構成される。
図7〜図10は、第1の実施の形態のガイド部材の一例を示し、次に、第1の実施の形態のマガジン組立体11Aを構成するガイド部材5Aについて説明する。ここで、図7は、第1の実施の形態のマガジン組立体を構成するガイド部材の一例を示す平面図、図8は、第1の実施の形態のマガジン組立体を構成するガイド部材の一例を示す側面図である。
また、図9は、第1の実施の形態のマガジン組立体を構成するガイド部材の一例を示す側断面図、図10は、第1の実施の形態のマガジン組立体を構成するガイド部材の一例を示す正面図である。
ガイド部材5Aは、プラスチック等の樹脂材料で構成され、バネガイド50Aの左右両側にプッシャガイド51Aが設けられ、バネガイド50Aとプッシャガイド51Aが、マガジン2Aの長手方向に沿って延在する。
ガイド部材5Aは、ステープル10の針クラウン10aの内幅より若干短い間隔で、一対のプッシャガイド51Aが並列され、バネガイド50Aとプッシャガイド51Aの先端側が、左右のプッシャガイド51Aの間をつなぐ形状の第1の連結部52aによって一体に接続される。また、ガイド部材5Aは、プッシャガイド51Aの後端側が、左右のプッシャガイド51Aの間をつなぐ形状の第2の連結部52bによって一体に接続される。
バネガイド50Aは、圧縮荷重を受けると共に、圧縮による弾性変形に対する復元力で伸張する圧縮コイルバネで構成されるプッシャバネ4が挿入可能な円柱状、角柱状等の形状で、先端側が第1の連結部52aで支持される。
バネガイド50Aは、マガジン2Aの第1の支持部26aに挿入される第1の軸部53aが、第1の連結部52aの前方から突出する形態で設けられる。また、バネガイド50Aは、マガジン2Aの第2の支持部26bに挿入される第2の軸部53bが、バネガイド50Aの後端部分で構成される。
プッシャガイド51Aは、プッシャ3Aをガイドするガイド凸部54を備える。ガイド凸部54は、プッシャガイド51Aの側部から外側に向けて突出する凸部が、プッシャ3Aの可動範囲に合わせて、プッシャガイド51Aの長手方向に沿って設けられる。
プッシャガイド51Aは、ガイド部材5Aをマガジン2Aに固定する軸当て部55aを備える。軸当て部55aは、プッシャガイド51Aの後端側に段差部55bを設けて構成される。
ガイド部材5Aは、スライド金型を用いること無く、一体成型が可能な形状に構成され、金型に掛かるコストを下げることで、部品コストの低減を図っている。
マガジン組立体11Aでは、マガジン2Aにガイド部材5Aが取り付けられ、マガジン2Aの穴部25に軸81が挿入されると、段差部55bが軸81の下側に入ると共に、軸当て部55aが軸81に当たる。これにより、ガイド部材5Aの後端側がマガジン2Aに固定される。
<第1の実施の形態のプッシャ退避機構の構成例>
図11〜図13は、第1の実施の形態のプッシャ退避機構の一例を示し、次に、第1の実施の形態のプッシャ退避機構を構成するプッシャ、ドライバ、及びプッシャバンドの構成について説明する。
ここで、図11は、第1の実施の形態のプッシャ退避機構の全体構成の一例を示し、図11(a)は、第1の実施の形態のプッシャ退避機構の全体構成の一例を示す平面図、図11(b)は、第1の実施の形態のプッシャ退避機構の全体構成の一例を示す側断面図である。
また、図12は、第1の実施の形態のプッシャの一例を示し、図12(a)は、第1の実施の形態のプッシャの一例を示す平面図、図12(b)は、第1の実施の形態のプッシャの一例を示す側断面図である。
更に、図13は、プッシャバンドが係止される部位であるドライバの要部構成の一例を示し、図13(a)は、第1の実施の形態のドライバの要部構成の一例を示す平面図、図13(b)は、第1の実施の形態のドライバの要部構成の一例を示す側断面図である。
まず、プッシャ3Aの構成について説明すると、プッシャ3Aは、ステープル10を押圧する押圧部30aと、プッシャバネ4に押圧されるバネ押圧部30bと、ガイド部材5Aのプッシャガイド51Aにガイドされるガイド溝31を備える。
また、プッシャ3Aは、プッシャバンド9が係止されるバンド係止部32と、バンド係止部32に係止されたプッシャバンド9がプッシャ3Aから外れることを防止するバンド抜け止め部33を備える。
押圧部30aは、プッシャ3Aの先端側の左右両側から前方に突出する形状で構成され、ステープル10の2本の針足10bを押圧する。バネ押圧部30bは、プッシャガイド51Aを覆うプッシャ3Aの内側で、一対のプッシャガイド51Aの間に入ると共に、バネガイド50Aに挿入される穴部を設けて構成される。
ガイド溝31は、プッシャガイド51Aを覆うプッシャ3Aの内側で、各プッシャガイド51Aの外側の側部と対向する部位に、プッシャガイド51Aのガイド凸部54に嵌まり、プッシャ3Aの移動方向に沿った凹状の溝を設けて構成される。
バンド係止部32は、プッシャ3Aの上面に突出し、プッシャバンド9の第1の係止穴部90が挿入される係止凸部32aと、係止凸部32aの上端から前方に突出し、プッシャバンド9の第1の係止穴部90が係止凸部32aから外れることを防止する抜け止め防止凸部32bを備える。
バンド抜け止め部33は、バンド係止部32より前方でプッシャ3Aの上面に突出し、プッシャバンド9が突き当てられる突き当て凸部33aと、突き当て凸部33aの上端から後方に突出し、プッシャバンド9の先端が突き当て凸部33aから外れることを防止する抜け止め防止凸部33bを備える。
次に、ドライバ6の構成について説明すると、ドライバ6は、ステープル10を打ち出すドライバ部60と、上ハンドル7に対してマガジン2Aを復元させるマガジンリターンバネ61aと、上ハンドル7及びマガジン2Aに対して下ハンドル8を復元させる下ハンドルリターンバネ61bを備える。
また、ドライバ6は、プッシャバンド9が係止されるバンド係止部62と、バンド係止部62に係止されたプッシャバンド9がドライバ6から外れることを防止するバンド抜け止め部63を備える。
ドライバ6は、上ハンドル7の下面に取り付けられ、ドライバ部60が上ハンドル7の先端側から下方に突出する。ドライバ部60は、ステープル10の針クラウン10aの外幅と略同等の幅を有すると共に、ステープル10の線幅と略同等の板厚を有し、マガジン2Aの対向するマガジン側壁20bの間に、マガジン前壁20cに沿って挿入される。
ドライバ6は、マガジンリターンバネ61aと下ハンドルリターンバネ61bが、上ハンドル7の後端側から下方に突出する。マガジンリターンバネ61aは、上ハンドル7を閉じた状態でマガジン2Aの一方のマガジン側壁20bに接触し、上ハンドル7と下ハンドル8を握る動作で押圧される。また、下ハンドルリターンバネ61bは、下ハンドル8を閉じた状態で下ハンドル8の一方の側壁部84と接触し、上ハンドル7と下ハンドル8を握る動作で押圧される。
バンド係止部62は、ドライバ6を貫通する穴部64に突出し、プッシャバンド9の第2の係止穴部91が挿入されると共に、プッシャバンド9の第2の係止穴部91が突き当てられる係止片部62aを備える。係止片部62aは、ドライバ6の板厚と同等程度の高さでドライバ6に対して段差が設けられ、ドライバ6の面から突出する。
バンド抜け止め部63は、穴部64の他の辺で構成され、ドライバ6の板厚と同等程度の高さでドライバ6に対して段差が設けられ、バンド係止部62より前方でドライバ6の面から突出する。
次に、プッシャバンド9について説明すると、プッシャバンド9は、シート状あるいはフィルム状等の樹脂材料で構成され、プッシャ3Aとドライバ6との間で任意の形状に曲げられる。また、プッシャバンド9は、先端から第1の係止穴部90までの長さが、プッシャ3Aのバンド抜け止め部33の突き当て凸部33aと、バンド係止部32の係止凸部32aとの間の長さと同等程度に構成される。第1の係止穴部90は、プッシャ3Aのバンド係止部32から突出した抜け止め防止凸部32bが挿入可能な長穴形状で構成される。
プッシャバンド9は、後端から第2の係止穴部91までの長さが、ドライバ6のバンド係止部62と、バンド抜け止め部63との間の長さと同等程度に構成される。第2の係止穴部91は、ドライバ6のバンド係止部62から突出した係止片部62aが挿入可能な形状で構成される。
<第1の実施の形態のマガジン組立体の組み立て工程例>
次に、各図を参照して、第1の実施の形態のマガジン組立体11Aの組み立て工程について説明する。
まず、ガイド部材5Aのプッシャガイド51Aにプッシャ3Aが取り付けられる。プッシャ3Aは、ガイド溝31がプッシャガイド51Aのガイド凸部54に嵌められると共に、バネ押圧部30bがガイド部材5Aのバネガイド50Aに挿入されることで、バネガイド50A及びプッシャガイド51Aに沿って移動可能に取り付けられる。
次に、ガイド部材5Aのバネガイド50Aにプッシャバネ4が取り付けられる。プッシャバネ4は、プッシャ3Aのバネ押圧部30bが挿入されたバネガイド50Aに挿入されることで、コイルの軸芯方向に沿った先端側がプッシャ3Aと接する。
プッシャ3A及びプッシャバネ4が取り付けられたガイド部材5Aは、マガジン2Aに取り付けられる。まず、ガイド部材5Aは、バネガイド50Aの第2の軸部53bが、マガジン2Aの第2の支持部26bに挿入される。次に、プッシャバネ4を圧縮させながら、ガイド部材5Aを後退させ、第1の軸部53aをマガジン2Aの第1の支持部26aに合わせる。
そして、ガイド部材5Aを前進させることで、第1の軸部53aがマガジン2Aの第1の支持部26aに挿入される。これにより、ガイド部材5Aは、先端側は第1の軸部53aがマガジン2Aの第1の支持部26aに支持され、後端側は第2の軸部53bがマガジン2Aの第2の支持部26bに支持される。
プッシャを押圧するバネに引っ張りコイルバネを使う構成では、通常、バネの一端のフックをプッシャに引っ掛け、バネを引っ張りながら、バネの他端のフックをガイド側に引っ掛ける工程が必要で、バネの取り付けに手間が掛かる。
これに対して、第1の実施の形態のマガジン組立体11Aでは、プッシャバネ4をガイド部材5Aに取り付ける工程で、プッシャバネ4をバネガイド50Aに挿入すれば良く、引っ張りコイルバネを使用する構成と比較して、組み立てに掛かる手間を省くことができる。
また、ガイド部材5Aをマガジン2Aに取り付ける工程が、軸状のバネガイドをマガジンの支持部に取り付ける従前からのステープラと同等の工程で行うことができ、バネガイド50Aとプッシャガイド51Aを一体成型としたガイド部材5Aでも、マガジン2Aへの取り付けに掛かる手間を増やすことなく、従前と同等の作業で行える。
<第1の実施の形態のマガジン組立体の作用効果例>
上述したように組み立てられたマガジン組立体11Aは、下ハンドル8の軸穴部84aとマガジン2Aの穴部25の位置が合わせられ、各穴を通して軸81が挿入されてかしめられる。
マガジン2Aの穴部25に軸81が挿入されると、ガイド部材5Aの段差部55bが軸81の下側に入ると共に、軸当て部55aが軸81に当たる。これにより、ガイド部材5Aの後端側がマガジン2Aに固定される。
マガジン2Aにガイド部材5Aが取り付けられたマガジン組立体11Aでは、マガジン2Aの略中心線状にバネガイド50Aが通り、バネガイド50A及びプッシャバネ4の左右両側に、バネガイド50Aと一体でプッシャガイド51Aが設けられる。
プッシャガイド51Aの高さは、バネガイド50Aと同等程度で、ステープル10の針足10bの長さより低い。また、プッシャガイド51Aとマガジン側壁20bとの間には、ステープル10の線厚より広い空間が形成される。更に、プッシャガイド51Aの先端とマガジン前壁20cとの間には、ステープル10の線幅と同等、あるいはそれ以上の空間が形成される。
ステープラ1Aは、軸81を支点として上ハンドル7を開く動作で、プッシャバンド9によりプッシャバネ4を圧縮しながらプッシャ3Aが引かれて退避し、プッシャ3Aとマガジン前壁20cとの間に、ステープル10が装填可能な空間が形成される。
プッシャバネ4として圧縮コイルバネを用いた構成では、プッシャ3Aを退避させることでプッシャバネ4が圧縮されることで、マガジン2A内のステープル10が装填される空間には、プッシャバネ4は露出しない。また、マガジン2A内のステープル10が装填される空間に露出するバネガイド50Aは、両側にプッシャガイド51Aが設けられる。
これにより、マガジン2Aに対してステープル10を装填あるいは取り出す動作で、ステープル10の針足10bが、プッシャガイド51Aとマガジン側壁20bとの間の空間でガイドされ、ステープル10がバネガイド50Aあるいはプッシャバネ4等に引っ掛かることが防止される。
また、ステープラ1Aは、軸81を支点として上ハンドル7を開く動作で、プッシャバンド9によりプッシャ3Aが引かれると、プッシャ3Aをプッシャガイド51Aに沿って移動させる力に加えて、プッシャ3Aをプッシャガイド51Aから持ち上げる方向の力が掛かる。
プッシャ3Aは、ガイド溝31がプッシャガイド51Aのガイド凸部54に嵌められることで、プッシャ3Aをプッシャガイド51Aから持ち上げる方向の力が掛かっても、プッシャガイド51Aから外れることが防止される。
また、プッシャガイド51Aは、第1の連結部52aで一体に成型された第1の軸部53aが、マガジン2Aの第1の支持部26Aに支持されることで、先端側がマガジン2Aに固定される。更に、上述したように、プッシャガイド51Aの段差部55bが軸81の下側に入ると共に、軸当て部55aが軸81に当たることで、後端側がマガジン2Aに固定される。
これにより、プッシャ3Aをプッシャガイド51Aから持ち上げる方向の力が掛かっても、プッシャガイド51Aを有したガイド部材5Aがマガジン2Aから外れることが防止されると共に、プッシャガイド51Aが大きく変形することが防止される。
また、プッシャガイド51Aの先端とマガジン前壁20cとの間には、ステープル10の線幅と同等、あるいはそれ以上の空間が形成されることで、1本に分離されたステープル10が後方に倒れることが防止される。
一般的に、針足の短いステープルが装填される小型のステープラでは、マガジンの底面でステープルを支持しており、マガジンにステープルのガイドを設ける構成で、ガイドに強度が要求されない。一方、針足の長いステープルと針足の短いステープルの両方を装填可能としたような中型以上のステープラでは、ステープルの針クラウンをガイドで支持している構成が多い。このため、ガイドに強度が要求される。
第1の実施の形態のステープラ1Aでは、ステープル10はマガジン底面20aで支持される構成で、ドライバ6による打ち出しで、ガイド部材5Aに強い力が掛からない。このため、ガイド部材5Aは、プラスチック等の樹脂材料で、バネガイド50Aとプッシャガイド51Aを一体に成型することが可能である。
<第1の実施の形態のプッシャバンドの取り付け工程例>
図14は、第1の実施の形態のプッシャバンドのプッシャへの取り付け工程の一例を示す斜視図、図15は、第1の実施の形態のプッシャバンドのプッシャへの取り付け工程の一例を示す側断面図で、次に、各図を参照して、第1の実施の形態のプッシャバンド9をプッシャ3Aに取り付ける工程について説明する。
上述したように組み立てられたマガジン組立体11A、下ハンドル8及びドライバ6が取り付けられた上ハンドル7が、軸81を介して一体に組み立てられた状態で、上ハンドル7を開くと、図11(a)に示すように、プッシャ3Aのバンド係止部32及びバンド抜け止め部33と、ドライバ6のバンド係止部62及びバンド抜け止め部63が露出する。
プッシャ3Aへのプッシャバンド9の取り付けは、図11(a)に矢印F1で示す方向をプッシャ3A側における前方としたとき、プッシャ3Aのバンド係止部32に対して、プッシャバンド9が、長穴形状の第1の係止穴部90を前方にずらした状態で位置が合わせられる。そして、図14(a)及び図15(a)に示すように、プッシャ3Aのバンド係止部32に、プッシャバンド9の第1の係止穴部90が挿入される。この状態では、プッシャバンド9の先端側は、プッシャ3Aのバンド抜け止め部33に乗り上げた状態である。
次に、図14(b)及び図15(b)に示すように、プッシャバンド9が後方に引かれる。プッシャバンド9が後方に引かれることで、長穴形状の第1の係止穴部90が、プッシャ3Aのバンド係止部32に対して後方に移動し、バンド係止部32の係止凸部32aに、第1の係止穴部90の先端が突き当てられる。また、第1の係止穴部90の先端側の縁部が、バンド係止部32の抜け止め防止凸部32bで押さえられる。
次に、図14(c)及び図15(c)に示すように、プッシャバンド9が後方に引かれながら、プッシャバンド9の先端がバンド抜け止め部33に押し込まれる。プッシャバンド9の先端がバンド抜け止め部33に押し込まれると、バンド抜け止め部33の抜け止め防止凸部33bを乗り越えて、プッシャバンド9の先端がバンド抜け止め部33の突き当て凸部33aに突き当てられる。
図16は、第1の実施の形態のプッシャバンドのドライバへの取り付け工程の一例を示す斜視図、図17は、第1の実施の形態のプッシャバンドのドライバへの取り付け工程の一例を示す破断斜視図で、次に、各図を参照して、第1の実施の形態のプッシャバンド9をドライバ6に取り付ける工程について説明する。
ドライバ6へのプッシャバンド9の取り付けは、図11(a)に矢印F2で示す方向をドライバ6側における前方としたとき、ドライバ6のバンド係止部62に対して、プッシャバンド9が、第2の係止穴部91を前方にずらした状態で位置が合わせられる。そして、図16(a)及び図17(a)に示すように、ドライバ6のバンド係止部62に、プッシャバンド9の第2の係止穴部91が挿入される。この状態では、プッシャバンド9の後端側は、ドライバ6のバンド抜け止め部63に乗り上げた状態である。
次に、図16(b)及び図17(b)に示すように、プッシャバンド9をドライバ6の穴部64方向に押しながら、プッシャバンド9が後方に引かれる。プッシャバンド9が後方に引かれることで、第2の係止穴部91が、ドライバ6のバンド係止部62に対して後方に移動し、第2の係止穴部91がバンド係止部62の係止片部62aの根元部分の平面あるいは曲面で構成される部位に突き当てられる。また、第2の係止穴部91の縁部が、バンド係止部62の係止片部62aで押さえられる。
また、プッシャバンド9の後端が、バンド抜け止め部63を乗り越えて、プッシャバンド9の後端がバンド抜け止め部63に突き当てられる。
<第1の実施の形態のプッシャ退避機構の動作例>
次に、各図を参照して、上述したようにプッシャバンド9でプッシャ3Aと上ハンドル7側のドライバ6が連結された第1の実施の形態のプッシャ退避機構の動作について説明する。
軸81を支点として上ハンドル7を開く動作では、プッシャバンド9によりプッシャ3Aが引かれる方向の力が掛かり、プッシャ3Aは、バンド係止部32の係止凸部32aに、プッシャバンド9の第1の係止穴部90が押し当てられる。また、ドライバ6は、バンド係止部62にプッシャバンド9の第2の係止穴部91が押し当てられる。
これにより、上ハンドル7を開く動作で、プッシャバンド9は、ドライバ6に設けたバンド係止部62によって、第2の係止穴部91で力を受けて引かれる。また、プッシャ3Aは、バンド係止部32の係止凸部32aが、プッシャバンド9の第1の係止穴部90によって力を受けて引かれる。
軸81を支点として上ハンドル7を閉じる動作では、プッシャバネ4でプッシャ3Aが押圧されることで、プッシャ3Aでプッシャバンド9を引く力が掛かり、プッシャバンド9は、プッシャ3Aのバンド係止部32の係止凸部32aによって、第1の係止穴部90が力を受けて引かれる。また、上ハンドル7は、ドライバ6に設けたバンド係止部62が、プッシャバンド9の第2の係止穴部91によって力を受けて引かれる。
マガジン2Aにステープル10が装填されている場合、プッシャ3Aの押圧部30aがステープル10に接する位置までプッシャ3Aが前進すると、ステープル10の先端がマガジン前壁20cに押し付けられ、プッシャ3Aの移動が停止する。
プッシャ3Aの移動が停止した状態で、上ハンドル7を更に閉じると、プッシャバンド9でプッシャ3Aを前方に押す力が掛かる。プッシャ3Aの移動が停止した状態で、プッシャバンド9でプッシャ3Aを前方に押す力が掛かると、プッシャバンド9の先端がバンド抜け止め部33の突き当て凸部33aに押し付けられる。
これにより、プッシャバンド9の移動が規制され、プッシャ3Aからの外れが防止されると共に、上ハンドル7を閉じる動作で、プッシャバンド9が折り曲げられる。プッシャバンド9が折り曲げられることで、上ハンドル7を更に閉じると、ドライバ6側でもプッシャバンド9が前方に押される力が掛かり、プッシャバンド9の後端が、ドライバ6のバンド抜け止め部63に押し付けられる。これにより、プッシャバンド9の移動が規制され、ドライバ6からの外れが防止される。
<第1の実施の形態のプッシャ退避機構の作用効果例>
プッシャバンド9は、先端から第1の係止穴部90までの長さが、プッシャ3Aのバンド抜け止め部33の突き当て凸部33aと、バンド係止部32の係止凸部32aとの間の長さと同等程度に構成される。
これにより、プッシャ3Aにプッシャバンド9が取り付けられると、プッシャバンド9の先端が、バンド抜け止め部33の突き当て凸部33aに突き当てられると共に、バンド係止部32の係止凸部32aに、第1の係止穴部90の先端が突き当てられた状態で保持される。また、第1の係止穴部90の先端側の縁部が、バンド係止部32の抜け止め防止凸部32bで押さえられる。
従って、上ハンドル7を開閉する動作、及び、プッシャ3Aが移動する動作で、プッシャ3Aに対してプッシャバンド9が外れる方向に移動することが防止され、プッシャ3Aからプッシャバンド9が外れることが防止される。また、プッシャバンド9の先端が、バンド抜け止め部33の抜け止め防止凸部33bで押さえられることで、プッシャバンド9の先端が、バンド抜け止め部33から外れることが防止される。
上述したように、プッシャ3Aに対するプッシャバンド9の取り付けは、プッシャ3Aのバンド係止部32にプッシャバンド9の第1の係止穴部90を挿入し、図15に矢印a1で示すようにプッシャバンド9を引くと共に、矢印a2で示すようにプッシャバンド9の先端を押し込む動作で行われる。
これにより、プッシャバンド9の一方の取り付け部位であるプッシャ3Aに対して一の面側から、プッシャバンド9を押さえる動作及び引く動作で、プッシャバンド9をプッシャ3Aに取り付けることができ、作業が容易で、作業の自動化も可能である。
プッシャバンド9は、後端から第2の係止穴部91までの長さが、ドライバ6のバンド係止部62と、バンド抜け止め部63との間の長さと同等程度で、少なくとも、プッシャバンド9の後端がバンド抜け止め部63に突き当てられた状態で、バンド係止部62の係止片部62aが第2の係止穴部91から抜けない程度の長さに構成される。
これにより、ドライバ6にプッシャバンド9が取り付けられると、バンド係止部62の段差部分にプッシャバンド9の第2の係止穴部91が突き当てられると共に、第2の係止穴部91の縁部が、バンド係止部62の係止片部62aで押さえられる。また、プッシャバンド9が前後に移動しても、第2の係止穴部91の縁部が、バンド係止部62の係止片部62aで押さえられた状態で、プッシャバンド9の後端が、バンド抜け止め部63に突き当てられる。
従って、上ハンドル7を開閉する動作、及び、プッシャ3Aが移動する動作で、ドライバ6に対してプッシャバンド9が外れる方向に移動することが防止され、ドライバ6からプッシャバンド9が外れることが防止される。
上述したように、ドライバ6に対するプッシャバンド9の取り付けも、ドライバ6のバンド係止部62にプッシャバンド9の第2の係止穴部91を挿入し、図17に矢印b1で示すようにプッシャバンド9を引くと共に、矢印b2で示すようにプッシャバンド9の後端を押し込む動作で行われる。
これにより、プッシャバンド9の他方の取り付け部位であるドライバ6に対して一の面側から、プッシャバンド9を押さえる動作及び引く動作で、プッシャバンド9をドライバ6に取り付けることができ、作業が容易で、作業の自動化も可能である。なお、本実施の形態では、プッシャ3Aと上ハンドル7側のドライバ6において、同等の取り付け構造でプッシャバンド9を取り付けることとしたが、異なる取り付け構造であっても良い。また、バンド係止部62とバンド抜け止め部63は、ドライバ6の面に対して段差を設ける構成としたが、ドライバ6と上ハンドル7との間にプッシャバンド9を挿入可能な空間が確保できれば、同一平面とする構成も可能である。
<第1の実施の形態のプッシャ退避機構の変形例>
次に、第1の実施の形態の変形例のプッシャ退避機構を構成するドライバ、及びプッシャバンドの構成について説明する。
ここで、図18は、プッシャバンドが係止される部位であるドライバの要部構成の変形例を示し、図18(a)は、第1の実施の形態のドライバの要部構成の変形例を示す平面図、図18(b)は、第1の実施の形態のドライバの要部構成の変形例を示す側断面図である。
ドライバ6は、プッシャバンド9が係止されるバンド係止部62と、バンド係止部62に係止されたプッシャバンド9がドライバ6から外れることを防止するバンド抜け止め部63を備える。
バンド係止部62は、ドライバ6を貫通する穴部64に突出し、プッシャバンド9の第2の係止穴部91が挿入される係止片部62aと、係止片部62aに挿入されたプッシャバンド9の第2の係止穴部91が突き当てられる受け部62bを備える。
係止片部62aは、ドライバ6の板厚と同等程度の高さでドライバ6に対して段差が設けられ、ドライバ6の面から突出する。受け部62bは、穴部64から突出する係止片部62aの後端側に穴部64の一の辺で構成される。
バンド抜け止め部63は、穴部64の他の辺で構成され、ドライバ6の板厚と同等程度の高さでドライバ6に対して段差が設けられ、バンド係止部62より前方でドライバ6の面から突出する。
変形例におけるドライバ6へのプッシャバンド9の取り付けは、ドライバ6のバンド係止部62に対して、プッシャバンド9が、第2の係止穴部91を前方にずらした状態で位置が合わせられる。そして、ドライバ6のバンド係止部62に、プッシャバンド9の第2の係止穴部91が挿入される。この状態では、プッシャバンド9の後端側は、ドライバ6のバンド抜け止め部63に乗り上げた状態である。
次に、プッシャバンド9をドライバ6の穴部64方向に押しながら、プッシャバンド9が後方に引かれる。プッシャバンド9が後方に引かれることで、第2の係止穴部91が、ドライバ6のバンド係止部62に対して後方に移動し、バンド係止部62の受け部62bに、第2の係止穴部91が突き当てられる。また、第2の係止穴部91の縁部が、バンド係止部62の係止片部62aで押さえられる。
また、プッシャバンド9の後端が、バンド抜け止め部63を乗り越えて、プッシャバンド9の後端がバンド抜け止め部63に突き当てられる。
軸81を支点として上ハンドル7を開く動作では、ドライバ6側では、バンド係止部62の受け部62bに、プッシャバンド9の第2の係止穴部91が押し当てられる。
これにより、上ハンドル7を開く動作で、プッシャバンド9は、ドライバ6に設けたバンド係止部62の受け部62bによって、第2の係止穴部91の中央付近で力を受けて引かれる。
軸81を支点として上ハンドル7を閉じる動作では、上述したように、プッシャバネ4でプッシャ3Aが押圧されることで、上ハンドル7側では、ドライバ6に設けたバンド係止部62の受け部62bが、プッシャバンド9の第2の係止穴部91によって力を受けて引かれる。
マガジン2Aにステープル10が装填されている場合、上述したように、プッシャ3Aの押圧部30aがステープル10に接する位置までプッシャ3Aが前進して、プッシャ3Aの移動が停止した状態で、上ハンドル7を更に閉じると、プッシャバンド9が折り曲げられる。
プッシャバンド9が折り曲げられることで、上ハンドル7を更に閉じると、ドライバ6側でプッシャバンド9が前方に押される力が掛かり、プッシャバンド9の後端が、ドライバ6のバンド抜け止め部63に押し付けられる。これにより、プッシャバンド9の移動が規制され、ドライバ6からの外れが防止される。
第1の実施の形態の変形例のプッシャ退避機構では、ドライバ6の中央部付近で、バンド係止部62の受け部62bで力を受けることで、プッシャバンド9の第2の係止穴部91とドライバ6が、第1の実施の形態と比較して、比較的広い面積の平面で接触する。これにより、プッシャバンド9に掛かる負荷を軽減することができる。
次に、第1の実施の形態の変形例のプッシャ退避機構を構成するプッシャの構成について説明する。ここで、図19は、第1の実施の形態のプッシャ及びプッシャバンドの変形例を示し、図19(a)は、第1の実施の形態のプッシャ及びプッシャバンドの変形例を示す平面図、図19(b)は、第1の実施の形態のプッシャ及びプッシャバンドの変形例を示す側断面図である。
変形例のプッシャ3Aは、プッシャバンド9が係止されるバンド係止部32と、バンド係止部32に係止されたプッシャバンド9がプッシャ3Aから外れることを防止するバンド抜け止め部33に加えて、プッシャバンド9の取り付けをガイドするガイド凸部34を備える。
ガイド凸部34は、バンド係止部32の後方でプッシャ3Aの上面に突出し、プッシャバンド9のガイド穴部92が挿入される。プッシャ3Aのガイド凸部34とプッシャバンド9のガイド穴部92で位置合わせを行うことで、自動機等で組み立てを行う場合に、プッシャ3Aとプッシャバンド9の位置決めがより確実に行えるようになる。
<第2の実施の形態のステープラの構成例>
図20は、第2の実施の形態のステープラの一例を示す分解斜視図である。第2の実施の形態のステープラ1Bでは、ガイド部材5Bを構成するバネガイド50Bを片持ち構造とし、マガジン2Bの形状を単純化したものである。
第2の実施の形態のステープラ1Bの全体構成は、第1の実施の形態のステープラ1Aと同様で、ステープル10が装填されるマガジン2Bと、マガジン2Bに装填されたステープル10を押圧するプッシャ3Bと、プッシャ3Bを押圧するプッシャバネ4を備える。
また、ステープラ1Bは、プッシャバネ4をガイドするバネガイド50B、及び、プッシャ3Bの移動をガイドすると共に、ステープル10の装填及び取り出しをガイドするプッシャガイド51Bが一体成型で構成されたガイド部材5Bを備える。更に、ステープラ1Bは、マガジン2Bに装填されたステープル10を1本に分離して打ち出すドライバ6と、ドライバ6が設けられた上ハンドル7を備える。
また、ステープラ1Bは、用紙を貫通したステープル10の針足10bを折り曲げるクリンチャ80が設けられると共に、マガジン2B及び上ハンドル7が軸81により回転可能に支持される下ハンドル8を備える。更に、ステープラ1Bは、上ハンドル7を開く動作をプッシャ3Bに伝達して、プッシャ3Bを退避させるプッシャバンド9を備える。
ステープラ1Bは、バネガイド50Bにプッシャバネ4が取り付けられると共に、プッシャガイド51Bにプッシャ3Bが取り付けられたガイド部材5Bが、マガジン2Bの内側に取り付けられて、マガジン組立体11Bが構成される。
マガジン組立体11Bは、軸81により下ハンドル8に回転可能に取り付けられる。また、上ハンドル7は、軸81により下ハンドル8及びマガジン組立体11Bに回転可能に取り付けられる。
ステープラ1Bは、上ハンドル7にドライバ6が取り付けられ、上ハンドル7と下ハンドル8を握る動作で、マガジン2Bと下ハンドル8のクリンチャ80との間に用紙Pが挟持されると共に、ドライバ6により1本のステープル10がマガジン2Bから打ち出される。
マガジン2Bから打ち出された1本のステープル10は、マガジン2Bと下ハンドル8のクリンチャ80との間に挟持された用紙Pを貫通し、クリンチャ80により折り曲げられることで、用紙Pが綴じられる。
また、ステープラ1Bは、プッシャ3Bと上ハンドル7側のドライバ6がプッシャバンド9で連結され、軸81を支点として上ハンドル7を開く動作で、プッシャバンド9によりプッシャバネ4を圧縮しながらプッシャ3Bが引かれて退避し、マガジン組立体11Bのマガジン2Bに対してステープル10の装填が可能となる。
マガジン組立体11Bは、バネガイド50B及びプッシャバネ4の左右両側にプッシャガイド51Bが設けられ、マガジン2Bに対してステープル10を装填あるいは取り出す動作で、ステープル10がバネガイド50Bあるいはプッシャバネ4等に引っ掛かることが防止される。
ステープラ1Bは、軸81を支点として上ハンドル7を閉じる動作で、プッシャバネ4が復元する力によってプッシャ3Bが押圧され、マガジン2Bに装填されたステープル10が押圧される。
<第2の実施の形態のマガジン組立体の構成例>
図21〜図24は、第2の実施の形態のステープラを構成するマガジン組立体の一例を示し、次に、第2の実施の形態のマガジン組立体11Bを構成するマガジン2Bについて説明する。
ここで、図21は、第2の実施の形態のマガジン組立体の一例を示す平面図、図22は、第2の実施の形態のマガジン組立体の一例を示す側面図である。また、図23は、第2の実施の形態のマガジン組立体の一例を示す側断面図、図24は、第2の実施の形態のマガジン組立体の一例を示す正面断面図である。
マガジン2Bは、板状の金属材料がプレス等の形抜き及び折り曲げ加工によって折り曲げられることで所定の形状に構成され、ステープル10が載置されるマガジン底面20aを備える。また、マガジン2Bは、ステープル10の針クラウン10aに沿った幅方向の位置を規制するマガジン側壁20bと、ステープル10の線幅方向に沿った前後方向の位置を規制するマガジン前壁20cを備える。
更に、マガジン2Bは、ステープル10の針足10bに沿った上下方向の位置を規制するステープルカバー20dを備える。また、マガジン2Bは、マガジン底面20aの先端側でマガジン前壁20cの下部に、1本に分離されたステープル10が通る寸法で開口部20eが設けられる。
マガジン2Bは、上ハンドル7を閉位置で保持する係止凸部21を備える。係止凸部21は、対向するマガジン側壁20bから外側に向けて突出し、上ハンドル7の係止凸部72が係止される。
また、マガジン2Bは、下ハンドル8を閉位置で保持すると共に、ガイド部材5Bを保持する係止凹部22を備える。係止凹部22は、対向するマガジン側壁20bに開口を設けて構成され、下ハンドル8の係止凸部84b及びガイド部材5Bが係止される。
更に、マガジン2Bは、上ハンドル7を係止凸部21に係止する動作で上ハンドル7に掛かる荷重を調整する開口部23を備える。開口部23は、マガジン側壁20bの係止凸部21が設けられる部位が、所望の荷重で変形するように、対向するマガジン側壁20bに開口を設けて構成される。本例では、係止凹部22と開口部23が一体で構成される。
マガジン2Bは、ステープル10の装填の有無及び残数の目安を確認可能とする確認窓部24を備える。確認窓部24は、マガジン2Bに装填されたステープル10が見えるように、対向するマガジン側壁20bの先端側に、本例では長穴形状の開口を設けて構成される。
マガジン2Bは、軸81が挿入される穴部25を備える。穴部25は、対向するマガジン側壁20bの後端側に、軸81の径に合わせた円形の貫通穴を設けて構成される。
マガジン2Bは、ガイド部材5Bを支持する支持部27を備える。支持部27aは、マガジン2Bの先端側において、マガジン底面20aから立設した形態で構成される。
図25〜図28は、第2の実施の形態のガイド部材の一例を示し、次に、第2の実施の形態のマガジン組立体11Bを構成するガイド部材5Bについて説明する。ここで、図25は、第2の実施の形態のマガジン組立体を構成するガイド部材の一例を示す平面図、図26は、第2の実施の形態のマガジン組立体を構成するガイド部材の一例を示す側面図である。
また、図27は、第2の実施の形態のマガジン組立体を構成するガイド部材の一例を示す側断面図、図28は、第2の実施の形態のマガジン組立体を構成するガイド部材の一例を示す正面図である。
ガイド部材5Bは、プラスチック等の樹脂材料で構成され、バネガイド50Bの左右両側にプッシャガイド51Bが設けられ、バネガイド50Bとプッシャガイド51Bが、マガジン2Bの長手方向に沿って延在する。
ガイド部材5Bは、ステープル10の針クラウン10aの内幅より若干短い間隔で、一対のプッシャガイド51Bが並列され、バネガイド50Bとプッシャガイド51Bの後端側が、軸81に支持される軸受部56によって一体に接続される。軸受部56は、軸81が挿入される穴部56aが形成される。また、軸受部56は、マガジン2Bの係止凹部22に挿入される係止凸部56bが、側部に突出形成される。
ガイド部材5Bは、プッシャガイド51Bの先端側が、左右のプッシャガイド51Bの間をつなぐ形状の連結部57によって一体に接続される。連結部57は、マガジン2Bの支持部27に係止される形状を有する。
バネガイド50Bは、圧縮荷重を受けると共に、圧縮による弾性変形に対する復元力で伸張する圧縮コイルバネで構成されるプッシャバネ4が挿入可能な円柱状、角柱状等の形状で、後端側が軸受部56で支持される。
プッシャガイド51Bは、プッシャ3Bが取り付けられるガイド凹部58を備える。ガイド凹部58は、プッシャガイド51Bの一部に高さ方向に延在した溝部を設けて構成される。
次に、プッシャ3Bの構成について説明すると、プッシャ3Bは、ステープル10を押圧する押圧部30aと、プッシャバネ4に押圧されるバネ押圧部30bと、ガイド部材5Bのプッシャガイド51Bにガイドされるガイド溝35を備える。
また、プッシャ3Bは、プッシャバンド9が係止されるバンド係止部32と、バンド係止部32に係止されたプッシャバンド9がプッシャ3Bから外れることを防止するバンド抜け止め部33を備える。
押圧部30aは、プッシャ3Bの先端側の左右両側から前方に突出する形状で構成され、ステープル10の2本の針足10bを押圧する。バネ押圧部30bは、プッシャガイド51Bを覆うプッシャ3Bの内側で、一対のプッシャガイド51Bの間に入ると共に、バネガイド50Bに挿入される穴部を設けて構成される。
ガイド溝35は、プッシャガイド51Bを覆うプッシャ3Bの内側でプッシャガイド51Bに嵌まり、プッシャ3Bの移動方向に沿った凹状の溝を設けて構成される。プッシャ3Bは、ガイド溝35の下部に、プッシャガイド51Bに設けたガイド凹部58の形状に合わせた図示しない溝部が設けられ、ガイド凹部58の位置では、上方からプッシャガイド51Bに挿入可能に構成される。
バンド係止部32は、プッシャ3Bの上面に突出し、プッシャバンド9の第1の係止穴部90が挿入される係止凸部32aと、係止凸部32aの上端から前方に突出し、プッシャバンド9の第1の係止穴部90が係止凸部32aから外れることを防止する抜け止め防止凸部32bを備える。
バンド抜け止め部33は、バンド係止部32より前方でプッシャ3Bの上面に突出し、プッシャバンド9が突き当てられる突き当て凸部33aと、突き当て凸部33aの上端から後方に突出し、プッシャバンド9の先端が突き当て凸部33aから外れることを防止する抜け止め防止凸部33bを備える。
<第2の実施の形態のマガジン組立体の組み立て工程例>
次に、各図を参照して、第2の実施の形態のマガジン組立体11Bの組み立て工程について説明する。
まず、ガイド部材5Bのバネガイド50Bにプッシャバネ4が取り付けられる。次に、ガイド部材5Bのプッシャガイド51Bにプッシャ3Bが取り付けられる。プッシャ3Bは、バネガイド50Bの先端側を上方に撓ませて、バネ押圧部30bがプッシャバネ4が挿入されたバネガイド50Bに挿入されると共に、プッシャガイド51Bのガイド凹部58に位置を合わせて、ガイド溝35が上方からプッシャガイド51Bに挿入される。
これにより、プッシャ3Bは、バネガイド50B及びプッシャガイド51Bに沿って移動可能に取り付けられる。また、プッシャバネ4は、コイルの軸芯方向に沿った先端側がプッシャ3Bと接する。
プッシャ3B及びプッシャバネ4が取り付けられたガイド部材5Bは、マガジン2Bに取り付けられる。まず、ガイド部材5Bは、先端側の連結部57が、マガジン2Bの支持部27に係止される。次に、ガイド部材5は、後端側の軸受部56がマガジン2Bのマガジン側壁20bの間に挿入され、軸受部56の係止凸部56bが、マガジン2Bの係止凹部22に挿入されて係止される。
これにより、ガイド部材5Bは、先端側は連結部57がマガジン2Bの支持部27に支持され、後端側は係止凸部56bがマガジン2Bの係止凹部22に支持される。第2の実施の形態のマガジン組立体11Bでも、プッシャバネ4をガイド部材5Bに取り付ける工程で、プッシャバネ4をバネガイド50Bに挿入すれば良く、引っ張りコイルバネを使用する構成と比較して、組み立てに掛かる手間を省くことができる。
<第2の実施の形態のマガジン組立体の作用効果例>
上述したように組み立てられたマガジン組立体11Bは、下ハンドル8の軸穴部84aとマガジン2Bの穴部25の位置が合わせられ、各穴を通して軸81が挿入されてかしめられる。
マガジン2Bの穴部25に軸81が挿入されると、ガイド部材5Bの軸受部56の穴部56aに軸81が挿入される。これにより、ガイド部材5Bの後端側がマガジン2Bに固定される。
マガジン2Bにガイド部材5Bが取り付けられたマガジン組立体11Bでは、マガジン2Bの略中心線状にバネガイド50Bが通り、バネガイド50B及びプッシャバネ4の左右両側に、バネガイド50Bと一体でプッシャガイド51Bが設けられる。
プッシャガイド51Bの高さは、バネガイド50Bと同等程度で、ステープル10の針足10bの長さより低い。また、プッシャガイド51Bとマガジン側壁20bとの間には、ステープル10の線厚より広い空間が形成される。更に、プッシャガイド51Bの先端とマガジン前壁20cとの間には、ステープル10の線幅と同等、あるいはそれ以上の空間が形成される。
ステープラ1Bは、軸81を支点として上ハンドル7を開く動作で、プッシャバンド9によりプッシャバネ4を圧縮しながらプッシャ3Bが引かれて退避し、プッシャ3Bとマガジン前壁20cと間に、ステープル10が装填可能な空間が形成される。
プッシャバネ4として圧縮コイルバネを用いた構成では、プッシャ3Bを退避させることでプッシャバネ4が圧縮されることで、マガジン2B内のステープル10が装填される空間には、プッシャバネ4は露出しない。また、マガジン2B内のステープル10が装填される空間に露出するバネガイド50Bは、両側にプッシャガイド51Bが設けられる。
これにより、マガジン2Bに対してステープル10を装填あるいは取り出す動作で、ステープル10の針足10bが、プッシャガイド51Bとマガジン側壁20bとの間の空間でガイドされ、ステープル10がバネガイド50Bあるいはプッシャバネ4等に引っ掛かることが防止される。
また、ステープラ1Bは、軸81を支点として上ハンドル7を開く動作で、プッシャバンド9によりプッシャ3Bが引かれると、プッシャ3Bをプッシャガイド51Bに沿って移動させる力に加えて、プッシャ3Bをプッシャガイド51Bから持ち上げる方向の力が掛かる。
プッシャ3Bは、ガイド溝35がプッシャガイド51Bに嵌められることで、プッシャ3Bをプッシャガイド51Bから持ち上げる方向の力が掛かっても、プッシャガイド51Bから外れることが防止される。
また、プッシャガイド51Bは、連結部57がマガジン2Bの支持部27に支持されることで、先端側がマガジン2Bに固定される。更に、ガイド部材5Bの軸受部56に軸81が挿入されることで、後端側がマガジン2Bに固定される。
これにより、プッシャ3Bをプッシャガイド51Bから持ち上げる方向の力が掛かっても、プッシャガイド51Bを有したガイド部材5Bがマガジン2Bから外れることが防止されると共に、プッシャガイド51Bが大きく変形することが防止される。