JP5103986B2 - カラーフィルター用顔料分散液、カラーフィルター用硬化性樹脂組成物、カラーフィルター、及び表示装置 - Google Patents
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Description
一般にカラー液晶表示装置(101)は、図2(a)に示すように、カラーフィルター1とTFT基板等の電極基板2とを対向させて1〜10μm程度の間隙部3を設け、当該間隙部3内に液晶化合物Lを充填し、その周囲をシール材4で密封した構造をとっている。カラーフィルター1は、透明基板5上に、着色層間の境界部を遮光するために所定のパターンに形成された遮光層(ブラックマトリックス層)6と、各画素を形成するために複数の色(通常、赤(R)、緑(G)、青(B)の3原色)を所定順序に配列した着色層7と、保護膜8と、透明電極膜9とが、透明基板に近い側からこの順に積層された構造をとっている。また、カラーフィルター1及びこれと対向する電極基板2の内面側には配向膜10が設けられる。さらに間隙部3には、カラーフィルター1と電極基板2の間のセルギャップを一定且つ均一に維持するために、スペーサーが設けられる。スペーサーとしては一定粒子径を有するパール11を分散したり、又は、図2(b)に示すようにセルギャップに対応する高さを有する柱状スペーサー12を、カラーフィルターの内面側であって遮光層6が形成されている位置と重なり合う領域に形成する。そして、各色に着色された着色層それぞれ又はカラーフィルターの背後にある液晶層の光透過率を制御することによってカラー画像が得られる。
本発明の顔料分散液においては、前記顔料が顔料分散液の全量中に3〜20重量%含有されていることが、カラーフィルターの着色層に必要な特定の色味を達成しながら、コントラストを向上する点から好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物においては、前記顔料が固形分中に5〜40重量%含有されていることが、カラーフィルターの着色層に必要な特定の色味を達成しながら、コントラストを向上する点から好ましい。
本発明に係る表示装置は、上記本発明に係るカラーフィルターを備えることを特徴とする。
本発明のカラーフィルター及び表示装置は、上記本発明に係る硬化性樹脂組成物を用いることにより、高コントラストを実現可能という効果を奏する。
本発明に係るカラーフィルター用顔料分散液は、顔料と溶剤を含むカラーフィルター用顔料分散液であって、分散している顔料粒子の平均分散粒径が15〜60nmであり、且つ、分散している顔料粒子において、分散粒径5nm以上100nm未満の顔料粒子が全顔料粒子の99%以上であることを特徴とする。
ここで本発明の顔料分散液における、分散粒径は、少なくとも溶剤を含有する分散媒体中に分散している顔料粒子の分散粒径であって、レーザー光散乱粒度分布計により測定されるものである。レーザー光散乱粒度分布計による粒径の測定としては、顔料分散液に用いられている溶剤で、顔料分散液をレーザー光散乱粒度分布計で測定可能な濃度に適宜希釈(例えば、500倍など)し、レーザー光散乱粒度分布計(例えば、日機装社製ナノトラック粒度分布測定装置UPA−EX150)を用いて動的光散乱法により23℃にて測定することができる。ここでの平均分散粒径は、体積平均粒径である。また、分散粒径5nm以上100nm未満の顔料粒子が全顔料粒子の99%以上とは、99体積%以上であることを意味する。
本発明者らは上記課題に鑑み鋭意検討した結果、分散している顔料粒子において、分散粒径100nm以上の顔料粒子が除去され、分散粒径5nm以上100nm未満の顔料粒子が全顔料粒子の99%以上であるような粒径分布に制御された顔料分散液を用いてカラーフィルターの着色層を形成すると、同様の平均分散粒径であっても粒径100nm以上の顔料粒子を5体積%程度含む従来の顔料分散液の場合と比較して、光を遮断しなければならないとき(OFF状態)に漏れる光を大幅に減少させることができ、飛躍的にコントラストが向上することを見出した。
分散している顔料粒子において、分散粒径5nm以上100nm未満の顔料粒子が全顔料粒子の99%以上である場合、可視光の光散乱がミイ散乱による影響が無い領域となるものが多数を占め、粒子サイズによる影響が少なくなり、OFF状態に漏れる光を有効に低減できると推定される。一方、分散している顔料粒子において平均分散粒径を小さくしても従来のように分散粒径100nm以上の粒子が含まれると、分散粒径100nm以上の粒子はそのサイズによって散乱光に回折の性質を有するため、偏光の散乱光が多くなり、OFF状態に漏れる光を有効に低減できないと推定される。
一般に、顔料粒子の微細化を行うと顔料粒子の表面積の拡大により分散媒体中での分散性が低下する。また、分散終点(分散粒径が最も小さくなる分散時間)を超えて分散を行うと、顔料が凝集を始める。よって、分散終点まで分散を行っても分散媒体中に凝集した粒子ができやすくなる。つまり、顔料自体の微細化を行っても通常と同様の分散剤量、分散条件で分散をした時に100nm以上の粒子が残ってしまう可能性が高くなる。
一方、本発明においては、顔料分子の分散を進行させた後に、例えば後述するような遠心分離によって、分散された顔料分子中の特定の大きさ以上の粗大粒子や、一次粒径が5nm未満で安定な分散状態で存在できないために凝集した粒子や、5nm以上でも表面処理等が完全でなく凝集してしまった不安定な分散状態となっている粒子を除くために、微細粒子が安定に分散された分散液を得ることができる。このように、分散液中から凝集した不安定な粒子が除かれた場合、残された微細な顔料粒子は凝集し難い。更に、この顔料分散液を用いて調製した樹脂組成物中においても、微細な顔料粒子は凝集し難く、樹脂組成物中で安定して微細粒子として存在する。
以下、このような本発明の顔料分散液の各構成について順に詳細に説明する。
本発明に用いられる顔料としては、特に限定されるものではなく、カラーフィルターにおける用途や仕様により適宜選択される。顔料は、無機顔料および有機顔料の中の1種または2種以上を混合して用いられる。
有機顔料としては、例えばカラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists 社発行) においてピグメント(Pigment)に分類されている化合物、具体的には、下記のようなカラーインデックス(C.I.)番号が付されているものを挙げることができる。
また、緑色着色層用としては、前記顔料として、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン36において中心金属がZn等のCu以外の金属である化合物を含む緑顔料、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー138、及びC.I.ピグメントイエロー139よりなる群から選択される1種以上の顔料が用いられることが好ましい。
また、青色着色層用としては、前記顔料として、C.I.ピグメントブルー15:6及びC.I.ピグメントバイオレット23が用いられることが好ましい。
これらの微細化の手法を用いただけでは、顔料を分散媒体中に分散させたとき、通常、分散している顔料粒子において、分散粒径100nm以上の顔料粒子が1%超過で含まれることが多いため、後述するように、特定以上の高回転数で短時間遠心分離を行って分級し、分散している顔料粒子において、分散粒径100nm以上の顔料粒子を除去する手法を更に用いることが好ましい。
本発明に係るカラーフィルター用顔料分散液には、顔料を分散させるために溶剤が含まれる。
本発明の顔料分散液に用いる溶剤としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、N−プロピルアルコール、i−プロピルアルコールなどのアルコール系溶剤;メトキシアルコール、エトキシアルコールなどのセロソルブ系溶剤;メトキシエトキシエタノール、エトキシエトキシエタノールなどのカルビトール系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、乳酸エチルなどのエステル系溶剤;アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶剤;メトキシエチルアセテート、メトキシプロピルアセテート、メトキシブチルアセテート、エトキシエチルアセテート、エチルセロソルブアセテートなどのセロソルブアセテート系溶剤;メトキシエトキシエチルアセテート、エトキシエトキシエチルアセテートなどのカルビトールアセテート系溶剤;ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶剤;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどの非プロトン性アミド溶剤;γ−ブチロラクトンなどのラクトン系溶剤;ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレンなどの不飽和炭化水素系溶剤;N−ヘプタン、N−ヘキサン、N−オクタンなどの飽和炭化水素系溶剤などの有機溶剤が挙げられる。これらの溶剤の中では、メトキシエチルアセテート、エトキシエチルアセテート、エチルセロソルブアセテートなどのセロソルブアセテート系溶剤;メトキシエトキシエチルアセテート、エトキシエトキシエチルアセテート、ブチルカルビトールアセテート(BCA)などのカルビトールアセテート系溶剤;エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテルなどのエーテル系溶剤;メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、乳酸エチルなどのエステル系溶剤が好適に用いられる。中でも、本発明に用いる溶剤としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(CH3OCH2CH(CH3)OCOCH3)、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ブチルカルビトールアセテート(BCA)及びシクロヘキサノンよりなる群から選択される1種以上であることが、他の成分の溶解性や塗布適性の点から好ましい。
本発明に係る顔料分散液は、以上のような溶剤を、当該溶剤を含む顔料分散液の全量に対して、通常は60〜85重量%の割合で用いて調製する。溶剤が少なすぎると、粘度が上昇し、顔料分散性や顔料分散経時安定性が低下しやすい。また、溶剤が多すぎると、顔料濃度が低下し、樹脂組成物を調製後目標とする色度座標に達成することが困難な場合がある。
顔料分散剤は、上記顔料を良好に分散させるために顔料分散液中に更に配合されることが好ましい。顔料分散剤としては、例えば、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性、シリコーン系、フッ素系等の界面活性剤を使用できる。界面活性剤の中でも、次に例示するような高分子界面活性剤(高分子分散剤)が好ましい。また、溶剤に少量溶解するような顔料誘導体を顔料分散剤として用いてもよい。
顔料分散剤は、顔料100重量部に対して20〜80重量部、更に20〜60重量部の割合で配合するのが好ましい。
本発明に係る顔料分散液には、さらに必要に応じて、顔料分散補助樹脂やその他の成分を配合しても良い。
顔料分散補助樹脂としては、例えば後述のバインダー樹脂が挙げられる。
本発明に係るカラーフィルター用顔料分散液の製造方法は、予備調製顔料分散液を137000×g以上の最大遠心力で1〜60分間遠心分離することにより、分散粒径100nm以上の顔料粒子を分離除去する粗大粒子除去工程を有することを特徴とする。
本発明によれば、予備調製顔料分散液を137000×g以上の最大遠心力で1〜60分間遠心分離することにより、分散している顔料粒子において、分散粒径100nm以上の顔料粒子を選択的に分離除去することが可能になる。35000×gの最大遠心力程度で例えば1時間遠心分離を行うような条件では、顔料全体が沈降してしまう傾向があり、分散粒径100nm以上の顔料粒子を選択的に分離除去することはできなかった。本発明のような137000×g以上の最大遠心力が発生するような高回転数、且つ、短時間という条件を選択して遠心分離を行うことにより、分散粒径100nm以上の顔料粒子を選択的に分離除去することが可能になった。
本発明の顔料分散液の製造方法は、このような分散粒径100nm以上の顔料粒子を分離除去する粗大粒子除去工程を有することにより、分散している顔料粒子の平均分散粒径が15〜60nmであり、且つ、分散している顔料粒子において、分散粒径5nm以上100nm未満の顔料粒子が全顔料粒子の99%以上である顔料分散液を達成することが可能であり、顔料分散性に優れ、コントラストが高いカラーフィルターを形成可能なカラーフィルター用顔料分散液、カラーフィルター用硬化性樹脂組成物を得ることができる。
遠心分離機としては、137000×g以上の最大遠心力で5〜60分間遠心分離をすることが可能であるものであれば、特に限定されない。例えば、ベックマンコールター製超遠心分離機XL−100Kに、ローターとしてType90Tiおよび遠沈管として13.5mlクイックシールポリアロマーチューブをセットしたもの挙げることができる。また、遠心分離の条件としては、137000×g以上の最大遠心力で、且つ、1〜60分間という条件の中で、最も効率的に分散粒径100nm以上の顔料粒子を選択的に分離除去する条件を適宜選択して用いれば良い。すなわち、分散粒径100nm以上の顔料粒子を選択的に分級した上で、分散粒径100nm未満の粒子はなるべく分散粒径100nm以上の顔料粒子の分画に含まれないような条件を、適宜選択することが好ましい。
前記粗大粒子除去工程により除去された顔料粒子は、予備調製顔料分散液中の全顔料粒子中の30重量%以下であることが、生産効率の点から好ましく、更に10重量%以下であることが好ましい。
本発明に係る顔料分散液は、レーザー光散乱粒度分布計により測定した前記分散している顔料粒子の平均分散粒径が15〜60nmであり、且つ、分散している顔料粒子において、分散粒径5nm以上100nm未満の顔料粒子が全顔料粒子の99%以上である。中でも、レーザー光散乱粒度分布計により測定した前記顔料の平均分散粒径は15〜50nmであることが好ましく、更に15〜40nmであることが好ましい。また、中でも、分散している顔料粒子において、分散粒径5nm以上100nm未満の顔料粒子が全顔料粒子の99.5%以上、更に99.9%以上であることが好ましい。
さらに粒度分布の累計が全顔料粒子中の50体積%となるときの粒径が43nm以下であることが好ましい。
本発明に係るカラーフィルター用硬化性樹脂組成物は、顔料、硬化性バインダー系、溶剤を含むカラーフィルター用硬化性樹脂組成物であって、分散している顔料粒子の平均分散粒径が15〜60nmであり、且つ、分散している顔料粒子において、分散粒径5nm以上100nm未満の顔料粒子が全顔料粒子の99%以上であることを特徴とする。
ここで本発明のカラーフィルター用硬化性樹脂組成物における顔料粒子の分散粒径は、硬化性樹脂組成物中に分散している顔料粒子の分散粒径であって、レーザー光散乱粒度分布計により測定されるものである。レーザー光散乱粒度分布計による粒径の測定としては、カラーフィルター用硬化性樹脂組成物に用いられている溶剤で、カラーフィルター用硬化性樹脂組成物をレーザー光散乱粒度分布計で測定可能な濃度に適宜希釈(例えば、500倍など)し、レーザー光散乱粒度分布計(例えば、日機装社製ナノトラック粒度分布測定装置UPA−EX150)を用いて動的光散乱法により23℃にて測定することができる。ここでの平均分散粒径は、体積平均粒径である。また、分散粒径5nm以上100nm未満の顔料粒子が全顔料粒子の99%以上とは、99体積%以上であることを意味する。
顔料、溶剤、顔料分散剤については、上記カラーフィルター用顔料分散液の箇所において説明したものと同様のものを用いることができるので、ここでの説明は省略する。
本発明においては、塗膜に充分な強度、耐久性、密着性を付与する点から、基板上に塗工又は転写などによりパターンを形成後、当該塗膜を重合反応により硬化させることができる、硬化性バインダー系を用いる。このような硬化性バインダー系としては、例えば、可視光線、紫外線、電子線等により重合硬化させたり、溶解性を変化させることができる感光性のバインダー系や、加熱により重合硬化させることができる熱硬化性のバインダー系のような、硬化可能なバインダー系が挙げられる。本発明に用いられる硬化性バインダー系としては、感光性バインダー系や、熱硬化性バインダー系、さらには、感光性バインダー系及び熱硬化性バインダー系の両方を含むものを用いることができる。また、優れた顔料分散性及び顔料分散経時安定性を有する上記本発明に係る顔料分散液を用いて本発明に係る樹脂組成物を調製するにあたり、その優れた顔料分散性及び顔料分散経時安定性を阻害しないように、適宜硬化性バインダー系を選択する必要がある。
感光性バインダー系には、紫外線、電子線等の光により重合硬化させることができる光硬化性樹脂を含み、露光部を硬化させて未露光部を溶解除去することにより露光部のみの塗膜パターンの作成が可能となるネガ型の感光性バインダー系が挙げられる。
本発明に係るカラーフィルター用硬化性樹脂組成物においては、前記硬化性バインダー系が、ネガ型感光性バインダー系であることが、フォトリソグラフィー法によって既存のプロセスを用いて簡便にパターンを形成できる点から好ましい。
本発明におけるアルカリ可溶性樹脂は側鎖にカルボキシル基を有するものであり、上記バインダー樹脂として作用し、かつパターン形成する際に用いられる現像液、特に好ましくはアルカリ現像液に可溶性である限り、適宜選択して使用することができる。
本発明における好ましいアルカリ可溶性樹脂は、カルボキシル基を有する樹脂であり、具体的には、カルボキシル基を有するアクリル系共重合体、カルボキシル基を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂等が挙げられる。これらの中で特に好ましいものは、側鎖にカルボキシル基を有するとともに、さらに側鎖にエチレン性不飽和基等の光重合性官能基を有するものである。光重合性官能基を含有することにより形成される硬化膜の膜強度が向上するからである。また、これらアクリル系共重合体、及びエポキシアクリレート樹脂は、2種以上混合して使用してもよい。
カルボキシル基を有するアクリル系共重合体は、更に芳香族炭素環を有する構成単位を含有していてもよい。芳香族炭素環は硬化性樹脂組成物に塗膜性を付与する成分として機能する。
カルボキシル基を有するアクリル系共重合体は、更にエステル基を有する構成単位を含有していてもよい。エステル基を有する構成単位は、光硬化性樹脂組成物のアルカリ可溶性を抑制する成分として機能する。
エポキシ化合物としては、特に限定されるものではないが、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ビスフェノールS型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、脂肪族エポキシ化合物、またはビスフェノールフルオレン型エポキシ化合物などのエポキシ化合物が挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
このようにして得られるカルボキシル基を有するエポキシ(メタ)アクリレート化合物の分子量は特に制限されないが、好ましくは1000〜40000、より好ましくは2000〜5000である。
本発明における多官能性モノマーとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルキレングリコールのジ(メタ)アクリレート類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコールのジ(メタ)アクリレート類;グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等の3価以上の多価アルコールのポリ(メタ)アクリレート類やそれらのジカルボン酸変性物;ポリエステル、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキド樹脂、シリコーン樹脂、スピラン樹脂等のオリゴ(メタ)アクリレート類;両末端ヒドロキシポリ−1,3−ブタジエン、両末端ヒドロキシポリイソプレン、両末端ヒドロキシポリカプロラクトン等の両末端ヒドロキシル化重合体のジ(メタ)アクリレート類;トリス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)フォスフェート等を挙げることができる。
ネガ型感光性バインダー系には、通常、使用する光源の波長に対して活性を有する光重合開始剤が配合される。光重合開始剤は、光重合成を有する重合体や光重合成モノマーの反応形式の違い(例えばラジカル重合やカチオン重合等)や、各材料の種類を考慮して適宜選択され、特に限定されない。
熱硬化性の系としては、例えば、エポキシ基と活性水素、環状尿素基と水酸基等の開環付加反応系や、ポリアミック酸を加熱閉環イミド化するようなポリイミド前駆体系等を用いることができる。
熱硬化性バインダー系としては、1分子中に熱硬化性官能基を2個以上有する化合物と硬化剤の組み合わせが好適に用いられ、更に、熱硬化反応を促進できる触媒を添加しても良い。熱硬化性官能基としてはエポキシ基が好ましく用いられる。また、これらに上述のような、それ自体は重合反応性のない重合体を更に用いても良い。
上記バインダー性エポキシ化合物には、共重合体の分子内に導入できるエポキシ量には限界がある。樹脂組成物に比較的分子量が小さい多官能エポキシ化合物を添加すると、組成物中にエポキシ基が補充されてエポキシの反応点濃度が増加し、架橋密度を高めることができる。多官能エポキシ化合物は、上述した多価エポキシ化合物の中から適宜選択できる。
本発明に用いられる硬化剤の配合量は、熱硬化性官能基がエポキシ基の場合、エポキシ基を含有する成分(モノマーと樹脂)100重量部当たり、通常は1〜100重量部の範囲であり、好ましくは5〜50重量部である。硬化剤の配合量が1重量部未満であると、硬化が不充分となり、強靭な塗膜を形成することができない。また、硬化剤の配合量が100重量部を超えると、塗膜の基板に対する密着性が劣るうえに、均一で平滑な塗膜を形成することができない。
熱潜在性触媒は、加熱されたとき、触媒活性を発揮し、硬化反応を促進し、硬化物に良好な物性を与えるものであり、必要により加えられるものである。この熱潜在性触媒は、60℃以上の温度で酸触媒活性を示すものが好ましく、このようなものとしてプロトン酸をルイス塩基で中和した化合物、ルイス酸をルイス塩基で中和した化合物、ルイス酸とトリアルキルホスフェートの混合物、スルホン酸エステル類、オニウム化合物類等が挙げられ、特開平4−218561号公報に記載されているような各種の化合物を使用することができる。
本発明に係るカラーフィルター用硬化性樹脂組成物には、さらに必要に応じて、界面活性剤、密着促進剤、紫外線吸収剤、表面調整剤(レベリング剤)、或いは、その他の成分を配合しても良い。
さらに、各種界面活性剤を組み合わせて使用すると分散安定性を向上させることができる。界面活性剤としては、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性、シリコーン系、フッ素系等の界面活性剤を挙げることができる。例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類;ポリオキシエチレンn−オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンn−ノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類;ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート等のポリエチレングリコールジエステル類;ソルビタン脂肪酸エステル類;脂肪酸変性ポリエステル類;3級アミン変性ポリウレタン類;ポリエチレンイミン類を挙げることができる。
界面活性剤の商品名としては、KP(信越化学工業(株)製)、ポリフロー(共栄社化学(株)製)、エフトップ(トーケムプロダクツ社製)、メガファック(大日本インキ化学工業(株)製)、フロラード(住友スリーエム(株)製)、アサヒガード、サーフロン(以上、旭硝子(株)製)等を挙げることができる。
例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシランなどが挙げられる。
例えば、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、アルコキシベンゾフェノンなどが挙げられる。
(レベリング剤)
例えば、市販のシリコン系、ポリオキシアルキレン系、脂肪酸エステル系、特殊アクリル系重合体などが挙げられる。
顔料は、硬化性樹脂組成物の固形分全量に対して、10〜40重量%、より好ましくは15〜35重量%の割合で配合する。顔料が少なすぎると、硬化性樹脂組成物を所定の膜厚(通常は1.0〜4.0μm)に塗布した際の透過濃度が十分でないおそれがあり、また顔料が多すぎると、硬化性樹脂組成物を基板上へ塗布し硬化させた際の基板への密着性、硬化膜の表面荒れ、塗膜硬さ等の塗膜としての特性が不十分となるおそれがあり、またその硬化性樹脂組成物中の顔料分散に使われる分散剤の量の比率も多くなるために現像性、耐熱性等の特性も不十分になるおそれがある。
ここで、配合割合を特定するための固形分とは、溶剤を除く全ての成分を含み、液状の重合性モノマー等も固形分に含まれる。
顔料分散剤の含有量は、顔料の合計量100重量部に対して、20〜80重量部、更に20〜60重量部の割合で配合するのが好ましい。
硬化性バインダー系は、これらの合計量が、硬化性樹脂組成物の固形分全量に対して15〜95重量%、好ましくは25〜80重量%の割合で配合するのが好ましい。
本発明においては、溶剤を用いてカラーフィルター用硬化性樹脂組成物の固形分濃度を5〜70重量%となるように調節する。
本発明のカラーフィルター用硬化性樹脂組成物は、顔料、及び硬化性バインダー系を必要に応じて他の配合成分と共に、単独溶剤又は混合溶剤である溶剤に投入して混合し、公知の分散方法によって固形成分を溶解又は分散させることにより製造することもできる。
しかしながら、上記の方法では多量の顔料を溶剤中に十分に分散させることができずに、結果的に本発明の顔料の分散粒径分布を達成できない場合がある。そこで、予め、上記本発明に係る顔料分散液を準備し、一方、バインダー系等その他の成分を溶剤と混合、分散又は溶解したバインダー液を調製することが好ましい。そして、得られた本発明に係る顔料分散液とバインダー液を混合し、必要に応じて分散処理を行うことによって、顔料分散性、及び顔料分散経時安定性に優れたカラーフィルター用硬化性樹脂組成物が容易に得られる。
本発明に係る硬化性樹脂組成物は、分散している顔料粒子の平均分散粒径が15〜60nmであり、且つ、分散している顔料粒子において、分散粒径5nm以上100nm未満の顔料粒子が全顔料粒子の99%以上である。中でも、前記顔料の平均分散粒径は15〜50nmであることが好ましく、更に15〜40nmであることが好ましい。また、中でも、分散している顔料粒子において、分散粒径5nm以上100nm未満の顔料粒子が全顔料粒子の99.5%以上、更に99.9%以上であることが好ましい。
さらに粒度分布の累計が全顔料粒子中の50体積%となるときの粒径が43nm以下であることが好ましい。
このようにして得られたカラーフィルター用硬化性樹脂組成物が感光性樹脂組成物であって、アルカリ現像性を有する場合には、組成物を支持体に塗布して塗膜を形成し、乾燥させた後、当該塗膜に光線を所定のパターン状に照射することにより塗膜の一部を選択的に硬化させるなど、露光部と未露光部とで溶解性を変化させた後、アルカリ液で現像することにより、所定パターンの硬化膜が得られる。
また、得られたカラーフィルター用硬化性樹脂組成物が、熱硬化性樹脂組成物である場合やアルカリ現像性を有しない場合には、組成物を支持体の所定領域に印刷や、熱転写等により選択的に付着させた後、加熱又は光照射して硬化させることによって、所定パターンの硬化膜が得られる。
また、加熱硬化の条件は、バインダー系により異なるが、通常、真空乾燥機、オーブン、ホットプレート、或いはその他の熱を与えられる装置を用いて、50〜200℃で乾燥し、その後120〜400℃程度の温度で加熱硬化させる。
100nm以上の粒子が硬化膜中に存在するかどうかを確認するのに透過型電子顕微鏡が使用される。透過型電子顕微鏡による100nm以上の粒子確認の測定としては、カラーフィルター用硬化膜を例えば、FIB (集束イオンビーム装置) (例えばHitachi製FB−2000A)によって断面方向に薄膜化し、その断面TEMサンプルを透過型電子顕微鏡(例えば、日本電子製JEM−200CX、加速電圧100kV)で10000〜500000倍で観察し、個々の粒子の長径を測定する。観察試料中の全顔料粒子の長径から平均を求めることができ、更に、観察試料中の全顔料粒子数と5nm未満、及び100nm以上の顔料粒子数を計測することで、粒度分布を求めることができる。従って、分散している顔料粒子において、分散粒径5nm以上100nm未満の顔料粒子が全顔料粒子の99%以上とは、分散後の粒径5nm以上100nm未満の顔料粒子が全顔料粒子の99%以上であることを意味する。
本発明に係る硬化性樹脂組成物の硬化膜を、2枚の偏光板を直交、或いは平行となるように組み合わせて挟んだ時に透過する輝度の比((偏光板平行時の輝度/偏光板直交時の輝度)、本発明において単に「コントラスト」ともいう)は、3500以上であることが好ましく、更に4000以上であることが好ましい。
また、青色着色層用の硬化性樹脂組成物としては、C光源で測色した時のCIEのXYZ表色系においてy座標が0.090<y<0.130の硬化膜を形成した時に、コントラストが3500以上であることが好ましい。
また、緑色着色層用の硬化性樹脂組成物としては、C光源で測色した時のCIEのXYZ表色系においてy座標が0.450<y<0.600の硬化膜を形成した時に、コントラストが3500以上であることが好ましい。
壷坂電機製コントラスト測定装置CT−1(光源:冷陰極間F10ランプ、輝度計:コニカミノルタ製LS−100、分光輝度計:コニカミノルタ製CS−1000T)を用いて、輝度の測定を行う。コントラストは輝度の測定値を用い、以下の式により導き出せる。
コントラスト=平行輝度(cd/m2)/直交輝度(cd/m2)
本発明に係るカラーフィルターは、前記本発明に係るカラーフィルター用硬化性樹脂組成物を用いて形成されている着色層を備えることを特徴とする。
本発明に係るカラーフィルターは、前記本発明に係るカラーフィルター用硬化性樹脂組成物を用いて形成されている着色層を備えることにより、カラーフィルターに必要な分光スペクトルを実現しながら、高いコントラストを実現可能である。
このカラーフィルター103は、透明基板5に所定のパターンで形成された遮光層6と、当該遮光層上に所定のパターンで形成した着色層7(7R,7G,7B)と、当該着色層を覆うように形成された保護膜8を備えている。保護膜上に必要に応じて液晶駆動用の透明電極9が形成される場合もある。カラーフィルター103の最内面、この場合には透明電極上には、配向膜10が形成される。
遮光層の厚さは、適応するカラーフィルターにより異なり、0.5〜2.5μm程度とする。
着色層の厚さは、通常、0.5〜2.5μm程度とする。
保護膜を形成する場合の保護膜の厚さは、樹脂組成物の光透過率、カラーフィルターの表面状態等を考慮して設定し、例えば、0.1〜2.0μm程度とする。スピンコーターを使用する場合、回転数は500〜1500回転/分の範囲内で設定する。
配向膜10は、カラーフィルターの内面側に、着色層7を備える表示部及び遮光層6や柱状スペーサー12を備える非表示部を覆うように設けられる。配向膜は、ポリイミド樹脂等の樹脂を含有する塗工液をスピンコート等の公知の方法で塗布し、乾燥し、必要に応じて熱や光により硬化させた後、ラビングすることによって形成できる。
(カラーフィルター用顔料分散液の調製)
微細化顔料(C.I.ピグメントレッド254(PR254)一次粒子15〜60nm)10重量部に対して、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルの四級アンモニウム塩から誘導される繰り返し単位を含む重合体である顔料分散剤(BYK2000、ビックケミー製、固形分40重量%)10重量部とアルカリ可溶性樹脂(スチレン/ベンジルメタクリレート/アクリル酸/2−ヒドロキシメチルアクリレート共重合体(酸価:70mgKOH/g)、分子量6000)4重量部と、溶剤プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート76重量部とを混合し、ペイントシェーカーにて2mmジルコニアビーズで1時間、さらに0.1mmジルコニアビーズで2.5時間分散し、予備調製顔料分散液を得た。なお分散時のベッセル内のビーズ充填率は70%とした。顔料粒子の分散粒径は、顔料分散液をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートで1000倍希釈し、日機装社製ナノトラック粒度分布測定装置UPA−EX150を用いて、動的光散乱法により23℃にて測定した。上記予備調製顔料分散液の分散粒径は、体積平均粒径が42.9nm、100nm以上の粗大粒子が5体積%含まれ、5nm以上100nm未満の顔料粒子が全顔料粒子の95体積%であった。また、5〜30nmが32体積%、30nm〜61nmが52体積%、61nm〜100nmが11体積%であった。さらに粒度分布の累計が全顔料粒子中の50体積%となるときの粒径が43nmであった。
実施例2の顔料分散液の分散粒径は、体積平均粒径が43.2nm、5nm以上100nm未満の顔料粒子が全顔料粒子の100体積%であった。また、5nm以上30nm未満の顔料粒子が全顔料粒子の13体積%、30nm以上61nm未満の顔料粒子が79体積%、61nm以上100nm未満の顔料粒子が8体積%であった。さらに粒度分布の累計が全粒子中の50体積%となるときの粒径が42nmであった。
実施例3の顔料分散液の分散粒径は、体積平均粒径が43.4nm、5nm以上100nm未満の顔料粒子が全顔料粒子の100体積%であった。また、5nm以上30nm未満の顔料粒子が全顔料粒子の20体積%、30nm以上61nm未満の顔料粒子が68体積%、61nm以上100nm未満の顔料粒子が12体積%であった。さらに粒度分布の累計が全粒子中の50体積%となるときの粒径が41nmであった。
上記で得られた実施例1〜3の各顔料分散液を用いて、下記組成のバインダー組成物硬化性樹脂組成物を調製した。具体的には、上記各顔料分散液40重量部に下記バインダー組成物30重量部を添加し、加圧濾過を行って、それぞれ実施例1〜3のカラーフィルター用硬化性樹脂組成物を得た。
<バインダー組成物>
・アルカリ可溶性樹脂(スチレン/ベンジルメタクリレート/アクリル酸/2−ヒドロキシメチルアクリレート共重合体(酸価:70mgKOH/g)、分子量6000):20重量部
・6官能アクリレートモノマー(KAYARAD DPHA、日本化薬製):10重量部
・4官能アクリレートモノマー(アロニックスM450、東亞合成製):5重量部
・光重合開始剤(2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オン(商品名イルガキュア907、チバ スペシャルティ ケミカルズ製)):3重量部
・光重合開始剤(2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−1−ブタノン(商品名イルガキュア369、チバ スペシャルティ ケミカルズ製)):3重量部
・光増感剤(4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン):1.5重量部
・溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート):40重量部
粒径分布
顔料粒子の分散粒径は、カラーフィルター用硬化性樹脂組成物をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートで1000倍希釈し、日機装社製ナノトラック粒度分布測定装置UPA−EX150を用いて、動的光散乱法により23℃にて測定した。
実施例2の硬化性樹脂組成物の分散粒径は、体積平均粒径が45.3nm、5nm以上100nm未満の顔料粒子が全顔料粒子の100体積%であった。また、5nm以上30nm未満の顔料粒子が全顔料粒子の14体積%、30nm以上61nm未満の顔料粒子が81体積%、61nm以上100nm未満の顔料粒子が5体積%であった。さらに粒度分布の累計が全粒子中の50体積%となるときの粒径が43nmであった。
実施例3の硬化性樹脂組成物の分散粒径は、体積平均粒径が45.8nm、5nm以上100nm未満の顔料粒子が全顔料粒子の100体積%であった。また、5nm以上30nm未満の顔料粒子が全顔料粒子の19体積%、30nm以上61nm未満の顔料粒子が69体積%、61nm以上100nm未満の顔料粒子が13体積%であった。さらに粒度分布の累計が全粒子中の50体積%となるときの粒径が41nmであった。
厚み0.7mmのガラス基板(NHテクノグラス(株)製、NA35)上に、スピンコートにより上記カラーフィルター用感光性樹脂組成物を塗布した。
その後、80℃のホットプレート上で3分間加熱乾燥を行った。小型アライナーを用いて露光(60mJ)することによって硬化膜(着色層)を得た。乾燥硬化後の膜厚は目標色度x=0.645になるように調整した。
作製した硬化膜をFIB (集束イオンビーム装置) (Hitachi製FB−2000A)によって断面方向に薄膜化したサンプルを透過型電子顕微鏡(日本電子製JEM−200CX、加速電圧100kV)により断面TEM観察し、その粒径を測定した。
コントラスト=平行輝度(cd/m2)/直交輝度(cd/m2)
顔料分散液として、実施例1における予備調製分散液(平均粒径が42.9nm、100nm以上の粗大粒子が5体積%含まれ、5nm以上100nm未満の顔料粒子が全顔料粒子の95体積%)を用いた以外は、実施例1と同様にして硬化性樹脂組成物を調製し、同様に評価した。
その結果、比較例1の硬化性樹脂組成物は、平均粒径が43.1nm、5nm以上100nm未満の顔料粒子が全顔料粒子の94体積%であった。また、5nm以上30nm未満の顔料粒子が全顔料粒子の26体積%、30nm以上61nm未満の顔料粒子が、54体積%、61nm以上100nm未満の顔料粒子が14体積%であった。さらに粒度分布の累計が全粒子中の50体積%となるときの粒径が
43nmであった。
また、比較例1のカラーフィルター用硬化性樹脂組成物のコントラスト値は3438であった。すべての比較例において、断面TEM観察により100000倍の視野内に100nm以上の粒子が10個以上観察された。
図3に示したように、実施例2、3及び比較例1との比較により、平均分散粒径が同等でも、5nm以上100nm未満の顔料粒子が全顔料粒子の99%以上である実施例2、3の硬化性樹脂組成物を用いると、コントラストが大きく向上することが明らかになった。
更に、実施例1及び比較例1との比較により、5nm以上100nm未満の顔料粒子が全顔料粒子の99%以上であり、且つ平均分散粒径を適宜小さくすると、コントラストが飛躍的に向上することが明らかになった。
また、図4に示したように、実施例1と比較例1とで実際の偏光板直交時の分光輝度変化を確認したところ、実施例1では漏れ光が減少していることが確認された。
(カラーフィルター用顔料分散液の調製)
微細化顔料(C.I.ピグメントグリーン36(PG36)一次粒子15〜60nm)10重量部に対して、ポリアリルアミン誘導体である顔料分散剤(PB822、味の素ファインケミカル製)6重量部と、溶剤プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート84重量部とを混合し、ペイントシェーカーにて2mmジルコニアビーズで1時間、さらに0.1mmジルコニアビーズで3.5時間分散し、予備調製顔料分散液を得た。なお分散時のベッセル内のビーズ充填率は70%とした。分散粒径は顔料分散液をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートで1000倍希釈し、日機装社製ナノトラック粒度分布測定装置UPA−EX150を用いて、動的光散乱法により23℃にて測定した。上記予備調製顔料分散液の分散粒径は、体積平均粒径が61.9nm、100nm以上の粗大粒子が9体積%含まれ、5nm以上100nm未満の顔料粒子が全顔料粒子の91体積%であった。また、5〜30nmが35体積%、30nm〜61nmが38体積%、61nm〜100nmが18体積%であった。さらに粒度分布の累計が全粒子中の50体積%となるときの粒径が39nmであった。
実施例4の顔料分散液の分散粒径は、体積平均粒径が38.3nm、5nm以上100nm未満の顔料粒子が全顔料粒子の100体積%であった。また、5nm以上30nm未満の顔料粒子が全顔料粒子の33体積%、30nm以上61nm未満の顔料粒子が60体積%、61nm以上100nm未満の顔料粒子が7体積%であった。さらに粒度分布の累計が全粒子中の50体積%となるときの粒径が36nmであった。
実施例5の顔料分散液の分散粒径は、体積平均粒径が42.0nm、5nm以上100nm未満の顔料粒子が全顔料粒子の100体積%であった。また、5nm以上30nm未満の顔料粒子が全顔料粒子の25体積%、30nm以上61nm未満の顔料粒子が63体積%、61nm以上100nm未満の顔料粒子が12体積%であった。さらに粒度分布の累計が全粒子中の50体積%となるときの粒径が39nmであった。
実施例6の顔料分散液の分散粒径は、体積平均粒径が45.3nm、5nm以上100nm未満の顔料粒子が全顔料粒子の100体積%であった。また、5nm以上30nm未満の顔料粒子が全顔料粒子の21体積%、30nm以上61nm未満の顔料粒子が62体積%、61nm以上100nm未満の顔料粒子が17体積%であった。さらに粒度分布の累計が全粒子中の50体積%となるときの粒径が43nmであった。
上記で得られた実施例4〜6の各顔料分散液40重量部に実施例1と同様のバインダー組成物30重量部を添加し、加圧濾過を行って、それぞれ実施例4〜6のカラーフィルター用硬化性樹脂組成物を得た。
実施例1のカラーフィルター用硬化性樹脂組成物と同様にして、顔料粒子の分散粒径を測定した。
実施例5のカラーフィルター用硬化性樹脂組成物の分散粒径は、体積平均粒径が43.2nm、5nm以上100nm未満の顔料粒子が全顔料粒子の100体積%であった。また、5nm以上30nm未満の顔料粒子が全顔料粒子の22体積%、30nm以上61nm未満の顔料粒子が65体積%、61nm以上100nm未満の顔料粒子が13体積%であった。さらに粒度分布の累計が全粒子中の50体積%となるときの粒径が40nmであった。
実施例6のカラーフィルター用硬化性樹脂組成物の分散粒径は、体積平均粒径が46.0nm、5nm以上100nm未満の顔料粒子が全顔料粒子の100体積%であった。また、5nm以上30nm未満の顔料粒子が全顔料粒子の19体積%、30nm以上61nm未満の顔料粒子が62体積%、61nm以上100nm未満の顔料粒子が19体積%であった。さらに粒度分布の累計が全粒子中の50体積%となるときの粒径が44nmであった。
顔料分散液として、実施例4における予備調製分散液(平均粒径が61.9nm、100nm以上の粗大粒子が9体積%含まれ、5nm以上100nm未満の顔料粒子が全顔料粒子の91体積%)を用いた以外は、実施例4と同様にして硬化性樹脂組成物を調製し、同様に評価した。
その結果、比較例2の硬化性樹脂組成物は、平均粒径が62.2nm、5nm以上100nm未満の顔料粒子が全顔料粒子の90体積%であった。また、5〜30nmが33体積%、30nm〜61nmが38体積%、61nm〜100nmが19体積%であった。さらに粒度分布の累計が全粒子中の50体積%となるときの粒径が39nmであった。
また、比較例2のカラーフィルター用硬化性樹脂組成物のコントラスト値は5918であった。すべての比較例において、断面TEM観察により100000倍の視野内に100nm以上の粒子が10個以上観察された。
図5に示したように、実施例4〜6及び比較例2の比較により、5nm以上100nm未満の顔料粒子が全顔料粒子の99%以上である実施例4〜6の硬化性樹脂組成物を用いると、コントラストが飛躍的に向上することが明らかになった。
また、図6に示したように、実施例4と比較例2とで実際の偏光板直交時の分光輝度変化を確認したところ、実施例4では漏れ光が減少していることが確認された。
2 電極基板
3 間隙部
4 シール材
5 透明基板
6 ブラックマトリックス層
7(7R、7G、7B) 着色層
8 保護膜
9 透明電極膜
10 配向膜
11 パール
12 柱状スペーサー
101、102 カラー液晶表示装置
103 カラーフィルター
Claims (17)
- 顔料と、顔料分散剤と、溶剤を含むカラーフィルター用顔料分散液であって、前記顔料分散剤が(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルの四級アンモニウム塩から誘導される繰り返し単位を含む重合体、及び/又は、ポリアリルアミン誘導体であり、遠心分離によって分散粒径100nm以上の顔料粒子を分離除去されてなり、分散している顔料粒子の平均分散粒径が15〜60nmであり、且つ、分散している顔料粒子において、分散粒径5nm以上100nm未満の顔料粒子が全顔料粒子の99.9%以上であることを特徴とする、カラーフィルター用顔料分散液。
- 前記分散している顔料粒子の粒度分布の累計が全粒子中の50体積%となるときの粒径が39nm以下である、請求項1に記載のカラーフィルター用顔料分散液。
- 前記顔料が顔料分散液の全量に対して3〜20重量%含有されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のカラーフィルター用顔料分散液。
- 前記顔料が、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントブルー15:6、及びC.I.ピグメントバイオレット23よりなる群から選択される1種以上であることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記載のカラーフィルター用顔料分散液。
- 前記溶剤がプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ブチルカルビトールアセテート、及びシクロヘキサノンよりなる群から選択される1種類以上であることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれかに記載のカラーフィルター用顔料分散液。
- 顔料と、顔料分散剤と、溶剤を含むカラーフィルター用顔料分散液の製造方法であって、前記顔料分散剤が(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルの四級アンモニウム塩から誘導される繰り返し単位を含む重合体、及び/又は、ポリアリルアミン誘導体であり、予備調製顔料分散液を137000×g以上の最大遠心力で1〜60分間遠心分離することにより、分散粒径100nm以上の顔料粒子を分離除去し、分散している顔料粒子の平均分散粒径が15〜60nmであり、且つ、分散している顔料粒子において、分散粒径5nm以上100nm未満の顔料粒子が全顔料粒子の99.9%以上とする粗大粒子除去工程を有することを特徴とする、カラーフィルター用顔料分散液の製造方法。
- 前記粗大粒子除去工程により除去された顔料粒子が、予備調製顔料分散液中の全顔料粒子中の30重量%以下であることを特徴とする、請求項6に記載のカラーフィルター用顔料分散液の製造方法。
- 顔料、顔料分散剤、硬化性バインダー系、溶剤を含むカラーフィルター用硬化性樹脂組成物であって、前記顔料分散剤が(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルの四級アンモニウム塩から誘導される繰り返し単位を含む重合体、及び/又は、ポリアリルアミン誘導体であり、遠心分離によって分散粒径100nm以上の顔料粒子を分離除去されてなり、分散している顔料粒子の平均分散粒径が15〜60nmであり、且つ、分散している顔料粒子において、分散粒径5nm以上100nm未満の顔料粒子が全顔料粒子の99.9%以上であることを特徴とする、カラーフィルター用硬化性樹脂組成物。
- 前記分散している顔料粒子の粒度分布の累計が全粒子中の50体積%となるときの粒径が40nm以下である、請求項8に記載のカラーフィルター用硬化性樹脂組成物。
- 前記顔料が固形分中に5〜40重量%含有されていることを特徴とする、請求項8又は9に記載のカラーフィルター用硬化性樹脂組成物。
- 前記顔料が、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントブルー15:6、及びC.I.ピグメントバイオレット23よりなる群から選択される1種以上であることを特徴とする、請求項8乃至10のいずれかに記載のカラーフィルター用硬化性樹脂組成物。
- 前記溶剤がプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ブチルカルビトールアセテート、及びシクロヘキサノンよりなる群から選択される1種以上であることを特徴とする、請求項8乃至11のいずれかに記載のカラーフィルター用硬化性樹脂組成物。
- 前記硬化性バインダー系が感光性バインダー系であることを特徴とする、請求項8乃至12のいずれかに記載のカラーフィルター用硬化性樹脂組成物。
- C光源を使用して測定したXYZ表色色度図における色度座標(x、y)において、0.630<x<0.660となるか、0.090<y<0.130となるか、又は、0.450<y<0.600となる、樹脂組成物の硬化膜を形成したときに、当該樹脂組成物の硬化膜を2枚の偏光板を直交、或いは平行となるように組み合わせて挟んだ時に透過する輝度の比(偏光板平行時の輝度/偏光板直交時の輝度)が3500以上であることを特徴とする、請求項8乃至13のいずれかに記載のカラーフィルター用硬化性樹脂組成物。
- 前記請求項8乃至14のいずれかに記載のカラーフィルター用硬化性樹脂組成物を用いて形成されている着色層を備えた、カラーフィルター。
- 当該カラーフィルターを、2枚の偏光板を直交、或いは平行となるように組み合わせて挟んだ時に透過する輝度の比(偏光板平行時の輝度/偏光板直交時の輝度)が3500以上であることを特徴とする、請求項15に記載のカラーフィルター。
- 前記請求項15又は16に記載のカラーフィルターを備えた表示装置。
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