以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1〜図20は、本発明に係る遊技機用基板ケース(以下、単に「基板ケース」という)およびこの基板ケースが内部に組み込まれた遊技機の一実施形態を示している。図1、図2は、本発明に係る遊技機1の例としてスロットマシンを示している。この遊技機1は、筺体2と、この筺体2に開閉自在に取り付けられた前扉3を有する。
図1に示すように、前扉3の表側の上部には、筺体2の内側に設けられた3個のリール5a、5b、5cを表示するための表示部6が設けられている。前扉3の表側の中央部には、リール5a、5b、5cを始動させるレバー8、リール5a、5b、5cを停止させる停止スイッチ9、電子データ形式で貯留されたクレジットメダルからゲームへの賭けメダルを設定するためのベットスイッチ10、クレジットメダルを精算するための精算スイッチ11、メダル投入口14等が設けられている。前扉3の表側の下部には、メダル払出口12や払い出されたメダルを受けるメダル受け皿13が設けられている。
図2、図3に示すように、筺体2の内側には、ホッパ15を有するメダル払出装置16、3個のリール5a、5b、5cを駆動するリールユニット5、電源ユニット17、遊技の進行を制御する制御基板(主制御基板)18等が設けられている。
制御基板18は、リールユニット5の上方位置に設けられている。この制御基板18は、遊技機1の遊技動作を制御するプログラムを記憶したROMや、他の基板、あるいは他の部品と信号線を介して接続するための接続端子21等を備えている。
制御基板18には、レバー8、停止スイッチ9、ベットスイッチ10等の操作による信号が入力される。これらの信号は、前扉3の裏側に設けられた扉中継基板23を介して制御基板18に送信される。制御基板18は、これらの信号を取り込みながら、リールユニット5、メダル払出装置16等を制御して、遊技の進行を制御するようになっている。
この遊技機1は、遊技者が所定の枚数のメダルを賭け、レバー8を操作してリール5a、5b、5cを回転させ、停止スイッチ9を順次押してリール5a、5b、5cを停止させることができ、リール5a、5b、5cに記載された図柄がそろったときに、図柄に応じたメダルの払い出しがなされるようになっている。
この遊技動作を実現するために、遊技機1側の制御としては、遊技者の操作に応じてメダルの賭け枚数等の変更表示を行うとともに、図柄の揃った状態(以下、「入賞状態」という)を判定するために表示部6に設定される有効ラインを設定する。そして、レバー8の操作入力を検知したことに伴って抽選を行い、同時にリール5a、5b、5cを一斉に回転させる。
続いて、停止スイッチ9の操作入力の検出に応じて、順次対応するリール5a、5b、5cを停止させる。停止時には各リール5a、5b、5cに対して、レバー8の操作入力と同時に行った抽選の当否結果に基づいて、停止スイッチ9の操作入力を検出したタイミングから所定駒数の範囲内で停止するように制御する。
そして、停止させたときのリール5a、5b、5cの位置データに基づいて、設定した有効ライン上に入賞状態が成立しているかどうかを判定して、成立している場合には、メダル払出装置16を駆動して、入賞状態に応じたメダルを払い出す制御を行う。
これらの制御は、制御基板18上のCPUが、種々の信号を取り込み、ROMに書き込まれたプログラムに基づいて各機器に向かって指令信号を発生することにより実現される。
図3〜図5に示すように、制御基板18は基板ケース25に収納されている。基板ケース25は、制御基板18の表面側を被覆する第1ケース部材25aと、制御基板18の裏面側を覆う第2ケース部材25bを有する。第1ケース部材25aと第2ケース部材25bは、制御基板18を挟むように収納している。基板ケース25は、取付板26を介して筺体2側に固定される。取付板26は、金属製で、平面視においてほぼ長方形状に形成されている。
第1ケース部材25aおよび第2ケース部材25bは、透明または半透明の合成樹脂により成形されている。これにより基板ケース25は、内部に収納された制御基板18を外側から目視で確認できるようになっている。
図4、図5に示すように、第1ケース部材25aには、複数の開口部27が形成されており、この開口部27から制御基板18に設けられた接続端子21が外側に露出するようになっている。
第1ケース部材25a及び第2ケース部材25bは、平面視においてほぼ長方形状に形成されている。第2ケース部材25bの互いに対向する2つの短辺のうち、一方の短辺には外方に延出する係合突起部28が形成されている。
また、第1ケース部材25aの長辺部分には、複数のL字型の切欠部29が形成されている。この切欠部29が形成されることにより、第1ケース部材25aの長辺部分には、その先端が第1ケース部材25aの長手方向に向いた突起部が形成されている。また、第2ケース部材25bに形成される係合突起部28に対面する第1ケース部材25aの短辺の部分には、係合突起部28が挿通される挿通口(図示せず)が形成されている。
基板ケース25を閉じる際には、第2ケース部材25bに形成された突起部(図示せず)と第1ケース部材25aに形成される切欠部29とを突き合わせ、また、係合突起部28を前述の挿通口に差し込んだ状態で、第1ケース部材25aを第2ケース部材25bに対して係合突起部28が設けられた側とは逆側の短辺の方向に摺動させることによって、第1ケース部材25aは第2ケース部材25bに取り付けられる。この後、後述する封止が行われる。
この状態では、第1ケース部材25aと第2ケース部材25bは上記した摺動の方向と平行な方向には、互いに移動させることができるが、切欠部29がL字状に形成されているために、摺動の方向と直交する方向には離脱不能となっている。
この基板ケース25には、第1ケース部材25aと第2ケース部材25bとの連結状態を維持するとともに、この基板ケース25が遊技機1の筺体2側へ固定された状態で封止する第1封止手段30が設けられている。また、この基板ケース25には、第1ケース部材25aと第2ケース部材25bとの連結状態を維持して封止する第2封止手段31が設けられている。
この第1封止手段30は、基板ケース25が不正に開けられて、制御基板18が不正なものに交換されたり、制御基板18のROMのプログラムが不正に改ざんされたりすることを防止するために、基板ケース25が開かないように第1ケース部材25aと第2ケース部材25bとを連結して結合させるとともに、この状態を保ちながらこの基板ケース25を遊技機1の筺体2側に固定するものである。
さらに、この第1封止手段30は、所定の検査時には、基板ケース25を筺体2から取り外すことができるとともに第1ケース部材25aと第2ケース部材25bとの連結を解除することができるようになっている。第1封止手段30は、その封止を解除したときに、解除の痕跡が残るようになっており、これによって、適切に検査がなされたかどうか、または、不正に封止が解除されたか否かを事後的に確認できるようになっている。
一方、第2封止手段31は、基板ケース25が不正に開けられて、制御基板18が不正なものに交換されたり、制御基板18のROMのプログラムが不正に改ざんされたりすることを防止するために、基板ケース25が開かないように第1ケース部材25aと第2ケース部材25bとを連結するものである。第2封止手段31は、第1封止手段30と同様に、検査等の際に、第1ケース部材25aと第2ケース部材25bとの連結を解除でき、解除された痕跡を残すことができる。
図4、図5、図8〜図10に示すように、第1封止手段30は、第1ケース部材25aと第2ケース部材25bとを連結するいわゆるプッシュピン方式(ピン部を所定の押圧によって操作する方式のものをいう)の連結部材33と、この連結部材33を受ける受け部材34を有する。
図6に示すように、連結部材33は、先端に第1係合爪35を有するピン部36と、円筒状の頭部37と、ピン部36と頭部37とを連結する連結部38を有する。連結部材33の頭部37の外周面には、第2係合爪41、第3係合爪42が設けられている。
この頭部37は、連結部材33が第1ケース部材25aと第2ケース部材25bとを連結しているときに、第1ケース部材25aと第2ケース部材25bの一方(本実施形態では第1ケース部材25a側)を係止する第1係止部となっており、ピン部36は、第1ケース部材25aの第2ケース部材25bの他方(本実施形態では第2ケース部材25b側)を係止する第2係止部となっている。
ピン部36は、その胴部が円柱状とされるともに、その一端側が二股状に形成されていて、第1片44と第2片45を有する。第1片44と第2片45は所定の間隔で離間されて形成されている。第1係合爪35は、第1片44と第2片45のそれぞれに形成されている。
頭部37の内径は、ピン部36の胴部の直径よりも大きく形成されており、この頭部37の内面とピン部36の外面とは所定の間隔をおいて離れている。連結部38は頭部37とピン部36がこのように離れた状態で、両者を一体に連結している。頭部37とピン部36は、2つの連結部38,38によって連結されている。したがって、連結部材33には、この頭部37とピン部36との間に隙間Sが形成されている。
図6、図7に示すように、この連結部材33には、この隙間Sを覆うように蓋体39が一体に取り付けられている。この蓋体39は、透明の合成樹脂によって形成され、この隙間Sを覆う被覆部39aと、被覆部39aを所定の取り付け位置に案内するガイド突起部39bが設けられている。
本実施形態では、被覆部39aは、円板状に構成されており、前記隙間Sの上方に設けられている。この被覆部39aは、蓋体39が連結部材33に取り付けられた状態において、前記隙間S、およびピン部36の上面、頭部37の上面、連結部38の上面を被覆している。これにより、後述する工具60を被覆部39aに当接させた場合に、被覆部39aは、工具60が隙間Sに進入するのを阻止するようになっている。すなわち、本実施形態では、被覆部39aは、隙間Sを覆うことによって、工具60が隙間Sに進入するのを阻止する阻止部として機能する。
また、この被覆部39aは、所定の工具60によって押圧される押圧部39cと、所定の工具60によって、押圧部39cが押圧されたときに破断する破断部39dを有する。
押圧部39cは、被覆部(阻止部)39aの上面に形成されている。この押圧部39cは、例えばドライバー等の工具60によって押圧されたときに、この工具60の先端がこの押圧部39cから外れないようにすべく、押圧される方向に凹んだ凹部となっている。この押圧部39c(凹部)の底面は、所定の曲率半径による凹曲面形状となっている。蓋体39は、全体が透明の合成樹脂によって形成され、そして、この押圧部39cを凹状に形成することで、この押圧部39cが連結部材33の状態を視認可能とするためのレンズとしても機能するようになっている。
破断部39dは、被覆部39aの表面と裏面に円環状の凹部または切欠(本実施形態では凹部)を形成することによって、他の部分よりも厚さが薄くなっており、その分、押圧部39cが押圧されることによって破断し易くなっている。破断部39dを形成するために、被覆部39aの表面側に形成された凹部と裏面側に形成された凹部は、平面視においてその位置が一致するようにほぼ等しい形状、ほぼ等しい大きさで形成されている。
このように破断部39dは、円環状の凹部または切欠によって環状に構成されることなるが、押圧部39cは、破断部39dの環の内側に位置しており、しかも、この破断部39dによって区切られて形成されている。
この蓋体39は、固定手段を介して連結部材33に一体に取り付けられている。本実施形態では、この固定手段は、融着、接着等の固着手段である。図7(b)に示すように、被覆部39aの裏面は、ほぼ平坦面状に形成されており、そのほぼ中央部に、この裏面の平坦面状の部分が、ピン部36、頭部37の上面に固着されて一体となっている。なお、連結部材33の連結部38の上面と蓋体39の裏面とは、連結部38を破断し易くするために、固着されていないことが望ましい。
図7(c)に示すように、この蓋体39の裏面には、この裏面と連結部材33の連結部38が接触しないようにすべく、連結部38に対応する位置に凹部39eが形成されている。この凹部39eは、連結部38よりも大きく形成されている。すなわち、この凹部39eの平面視における投影面積は、連結部の平面視における投影面積よりも大きくなっている。
蓋体39のガイド突起部39bは、被覆部39aの裏面から突出して形成されている(以下、ガイド突起部が突出する方向を、単に「突出方向」という)。本実施形態では、被覆部39aの裏面に、2つのガイド突起部39b、39bが形成されている。このガイド突起部39bは、図7(c)に示すように、円筒状の頭部37に対応して、背面視円弧状に形成されている。
2つのガイド突起部39bのうち、一方のガイド突起部39bの円弧方向の端部と、他方のガイド突起部39bの円弧方向の端部とは、所定の間隔をおいて形成されている。一方のガイド突起部39bの端部と、他方のガイド突起部39bの端部との間隔は、連結部材33の連結部38の平面における幅よりも若干大きく設定されており、蓋体39が連結部材33に取り付けられたときに、連結部38がこの2つのガイド突起部39bの端部の間に入り、連結部38とガイド突起部39bとが干渉しないようになっている。
図8〜図18に示すように、第1ケース部材25aには、連結部材33を取り付けるための複数の第1取付部47が設けられている。この実施形態では第1取付部47の数は4である。第1取付部47は円筒状に形成されている。第1取付部47の底部47aには、連結部材33のピン部36が挿通される第1挿通孔48が形成されている。この第1挿通孔48は、円形に形成されており、その直径は、第1取付部47の内径よりも小さくなっている。また、第1取付部47の内面には、連結部材33の第2係合爪41が嵌る第1凹部51、第3係合爪42が嵌る第2凹部52が形成されている。
図5、図20に示すように、受け部材34は内部が空洞とされた直方体状に形成されている。受け部材34には、その内部に連結部材33のピン部36が収納される複数の第1収納部54が形成されている。第1収納部54は第1ケース部材25aに対応して設けられている。この実施形態では、第1収納部54の数は4である。第1収納部54は、第1ケース部材25aの長手方向に直交する方向(以下、「第1ケース部材の幅方向」という)に沿って一列に並んで等間隔に配置されている。
図9〜図18に示すように、第1収納部54は、受け部材34の内部にピン部36の収納空間を形成する複数の仕切壁部55と、連結部材33が基板ケース25を封止しているときにピン部36の第1係合爪35を掛止する第1掛止部56と、封止が解除されたときに、ピン部36が第1収納部54から抜け外れないようにする第1抜け止め部57を有する。仕切壁部55は、受け部材34の側壁とともにピン部36の収納空間(第1収納部54)を形成している。
図20に示すように、第1掛止部56は、平面視において四角形状とされており、受け部材34の頂面34aから突出するように形成されている。この第1掛止部56には、ピン部36の第1係合爪35を掛止する掛止壁61が設けられている。掛止壁61にはピン部36が挿通される円形の第2挿通孔62が形成されている。なお、第2ケース部材25bには、第1掛止部56が嵌る貫通孔64が形成されている。この貫通孔64は、第1掛止部56に対応して四角形状に形成されている。
図9〜図18に示すように、第1抜け止め部57は、受け部材34の内部に設けられた抜け止め壁66を有する。この抜け止め壁66は、掛止壁61とほぼ平行に設けられている。抜け止め壁66には、ピン部36が挿通される円形の第3挿通孔67が形成されている。この第3挿通孔67は、平面視において、掛止壁61の第2挿通孔62と同心状に形成されている。
図20に示すように、受け部材34の外面には、遊技機1の筺体2側に係止される係止突起71が形成されている。係止突起71は、受け部材34の底部からこの受け部材34の長手方向に対してほぼ直角な方向(以下、「受け部材34の幅方向」という)に突出して形成されている。係止突起71は、受け部材34の幅方向の一方側に形成された1つの第1係止突起71aと、他方側に形成された2つの第2係止突起71b、71bとを有する。
図19に示すように、取付板26には、受け部材34を係止して保持する保持部73が形成されている。この保持部73は、受け部材34の第1係止突起71aを係止して保持する第1保持部73aと、第2係止突起71bを係止して保持する第2保持部73bとを有する。
第1保持部73aは、第1係止突起71aが挿脱される第1開口部75と、第1開口部75に挿入された第1係止突起71aを係止する第1係止片76を有する。
第2保持部73bは、取付板26に設けられた第2開口部78と、この第2開口部78の縁からこの第2開口部78の内側に突出して形成された第2係止片79を有する。取付板26には、受け部材34の2つの第2保持部73b、73bに対応して、2つの第2係止片79、79が設けられている。第2係止片79は、取付板26の表面側に突出して形成されている。
2つの第2係止片79、79の間には、受け部材34が所定の取り付け位置に設けられるように案内するとともに、所定の取り付け位置でこの受け部材34の位置決めを行う位置決め突起部81が形成されている。
受け部材34を取付板26に係止させるには、まず、受け部材34の第1係止突起71aを第1開口部75に挿入し、次に第1係止突起71aが第1係止片76に向かうように、受け部材34を取付板26の長手方向に直交する方向にスライドさせる。このとき、位置決め突起部81に受け部材34の側面があたり、受け部材34が所定の方向にスライドするように案内される。
このように受け部材34をスライドさせると、受け部材34の第1係止突起71aは、第1係止片76の裏側に回りこんで、この第1係止片76に係止される。これと同時に、受け部材34の第2係止突起71bは、第2係止片79の裏側に回り込んで、この第2係止片79に係止される。これによって、受け部材34は、取付板26に係止される。この状態において、位置決め突起部81は、受け部材34の側面に当たって、この受け部材34が取付板26の長手方向に移動しないように位置決めを行うようになっている。
図8〜図18に示すように、第1封止手段30の連結部材33は、第1ケース部材25aと第2ケース部材25bとを連結せずに待機する待機状態(図8〜図10参照)、第1ケース部材25aと第2ケース部材25bの結合(連結)状態を維持した状態でこの基板ケース25を筺体2側に固定して封止する封止状態(図12参照)、この封止を解除する解除状態(図13参照)へと位置変更可能となっている。
以下、連結部材33が待機状態から封止状態へ状態が変更される場合、および封止状態から解除状態に状態が変更される場合の作用を説明する。
図9に示すように、連結部材33が待機状態(待機位置)にあるとき、この連結部材33の第2係合爪41は、第1取付部47の第1凹部51に嵌っている。これにより、連結部材33は第1取付部47に保持される。このとき、連結部材33の第1係合爪35は、第1取付部47内に位置している。
図10に示すように、この位置から頭部37が押されると、第1凹部51に嵌っていた第2係合爪41が第1凹部51から抜けはずれる。さらに、頭部37が押されると、ピン部36の先端が第1挿通孔48を通じて第2挿通孔62に挿通される。
このとき、二股状のピン部36は、第1片44と第2片45との間隔が狭くなるように、弾性変形を伴って第2挿通孔62に挿通される。さらに頭部37が押されて第1係合爪35が受け部材34の第1掛止部56の掛止壁61を越えたとき、このピン部36は、弾性変形が解除されて復元し、ピン部36の第1片44と第2片45の間隔が元通りとなる。
このとき、第1係合爪35は、第1掛止部56の掛止壁61に当たって保持され、これによって第1ケース部材25aと第2ケース部材25bとが連結された状態を維持しながら、受け部材34を介して筺体2側に固定され、基板ケース25はこの状態で封止される。
この状態においては、受け部材34が、第2ケース部材25bの短辺側壁と当接状態にあり、第2ケース部材25bの離脱方向への摺動を規制しているため、第1ケース部材25aと第2ケース部材25bとは互いに離脱できないようになっている。
この封止を解除するには、まず、図12に示すように、第1取付部47に収容されている連結部材33の頭部37に取り付けられた蓋体39の押圧部39cに、ドライバー等の工具60の先端を当接させる。そして、この工具60を介して、この押圧部39cを所定の押圧力で押圧し、破断部39dを破断させる(図13参照)。このとき、蓋体39は、破断部39dを境界として、押圧部39cと、押圧部39c以外の部分とに分割される。
破断部39dが破断した状態で、さらに押圧部39cを押圧し、押圧部39cが固着されているピン部36の上面を押圧し、この力によって連結部38をも破断させる。これにより、連結部材33は、頭部37とピン部36とに分割される。
連結部38を破断させて頭部37とピン部36とを分割させた後、さらに工具60によって押圧部39cを押圧すると、この押圧部39cと一体となっているピン部36は、第1収納部54側に移動する。このとき、ピン部36は、第1片44と第2片45の間隔が狭くなるように弾性変形しながら第3挿通孔67に挿通される。ピン部36がさらに押されて第1係合爪35が第3挿通孔67を越えたとき、弾性変形していたピン部36が復元し、第1係合爪35が抜け止め壁66によって係止され、これによって、ピン部36の抜け止めがなされることになる。
以上によって、第1封止手段30による基板ケース25の封止が解除され、基板ケース25を筐体2側から取り外すことができるようになる。このように第1封止手段30の封止が解除された状態(解除状態)では、ピン部36から分割された頭部37が、第3係合爪42が第1取付部47内で係止されることによって、この第1取付部47内に残留し、頭部37から分割されたピン部36が、第1収納部54内で抜け止めが為された状態で残留した状態となり、封止解除の痕跡が基板ケース25および受け部材34に残り、基板ケース25は、事後的に封止解除がなされたか否かを確認できるようになっている。
第2封止手段31は、図10に示すように、第1ケース部材25aと第2ケース部材25bとを連結する連結部材33を有する。この連結部材33は、第1封止手段30と同じものであり、この連結部材33にも前記蓋体39が固定されている。第1ケース部材25aには、この連結部材33を取り付けるための第2取付部68が設けられている。第1ケース部材25aには2つの第2連結部38、38が形成されている。第2取付部68は、第1取付部47と1列になるように並んで形成されている。また、本実施形態では、2つの第2取付部68、68は、第1ケース部材25aの幅方向において、4つの第1取付部47を挟むように配置されている。
第2取付部68は、第1取付部47と同様に円筒状に形成され、その底部に連結部材33のピン部36が挿通される第4挿通孔70が形成されている。第2取付部68の内面には、連結部材33の第2係合爪41、第3係合爪42が嵌る第3凹部(図示略)、第4凹部85が形成されている。
図10に示すように、第2ケース部材25bには、第2封止手段31の連結部材33のピン部36を収納する第2収納部87が形成されている。この実施形態では、2つの前記第2取付部68、68に対応して、2つの第2収納部87、87が第2ケース部材25bに設けられている。この第2収納部87は、連結部材33が第1ケース部材25aと第2ケース部材25bとを連結した状態で封止しているときに連結部材33のピン部36を掛止する第2掛止部88と、封止が解除されたときに、ピン部36が第2収納部87から抜け外れないようにする第2抜け止め部89を有する。
第2掛止部88は、第1掛止部56と同様に、第2封止手段31によって基板ケース25を封止するときに、連結部材33の第1係合爪35を掛止する第2掛止壁88aを有し、この第2掛止壁88aには、第1係合爪35が挿通される第5挿通孔88bが形成されている。
第2抜け止め部89は、第2封止手段31による封止が解除される際に、この第2封止手段31の連結部材33の第1係合爪35が挿通される第6挿通孔89aを有する。この第6挿通孔89aの内径は、前記連結部材33の2つの第1係合爪35、35の端部間の距離よりも若干小さくなっている。
第2封止手段31は、第1封止手段30と同様に、連結部材33を待機状態から封止状態へ、また、封止状態から解除状態へと状態を変更できるようになっている。すなわち、第2封止手段31の連結部材33は、待機状態にある場合には、第2取付部68に保持されている。
そして、待機状態から封止状態へと変更された場合に、連結部材33の第1係止部である頭部37が第1ケース部材25aの第2取付部68内で係止され、かつ、第2係止部であるピン部36の第1係合爪35が第2ケース部材25bの第2収納部87の第2掛止壁88aに掛止された状態で、第1ケース部材25aと第2ケース部材25bの連結状態が維持されるようになっている。
さらに、第2封止手段31による封止が解除される場合には、蓋体39の押圧部39cが破断部39dの破断とともに分割された後、連結部38が破断されて頭部37とピン部36とが分割されるとともに、ピン部36の第1係合爪35が第2収納部87の第2抜け止め部89によって係止されて第2ケース部材25b側に残留し、連結部材33の頭部37が、第1ケース部材25aの第2取付部68内に残留した状態で、第1ケース部材25aと第2ケース部材25bとの結合が解除されるようになっている。
なお、図4、図5に示すように、基板ケース25は第1固定手段91によって筺体2側に固定される。第1固定手段91は、第2ケース部材25bの1つの第2収納部87から第2ケース部材25bの長手方向に突出形成された板状の突起部92と、この突起部92を筺体2側に取り付ける取付具93を有する。この突起部92には、その厚さ方向に貫通した孔95が形成されている。この孔95は、取付具93が挿通されるものである。この実施形態では、取付具93として、例えば螺子が用いられる。取付板26には、この螺子が嵌る螺子孔96が形成されている。
螺子孔96は、取付板26の長手方向の一端部側に形成されている。図5に示すように、取付板26の長手方向の他端部側には取付板26の厚さ方向に突出する壁部98が設けられており、この壁部98には、第2ケース部材25bの係合突起部28が嵌るスリット99が形成されている。
基板ケース25を取付板26に取り付けるには、係合突起部28が形成されている側の基板ケース25の端部を取付板26の中途部に当て、そのまま基板ケース25をスリット99に向かってスライドさせ、係合突起部28をスリット99にはめ込む。そして、第2ケース部材25bの突起部92に形成された孔95と取付板26に形成された螺子孔96とを一致させて螺子を嵌める。これによって基板ケース25は取付板26に固定される。このような構成により、基板ケース25は突起部92だけを固定することで簡単に取付板26に固定できるようになり、取り付けの際に作業性の良いものになる。
取付板26には、筺体2にこの取付板26を取り付けるための取付孔101が形成されている。取付板26は、この取付孔101を介して螺子、ピン、リベット等の締結具により筺体2の縦壁に固定されるようになっている。
上記構成の基板ケース25によれば、連結部材33の第1係止部である頭部37と第2係止部であるピン部36と連結部38との間に形成される隙間Sを覆う蓋体39が設けられることにより、待機状態にある連結部材33を操作して基板ケース25を封止状態にする場合に、蓋体39を指で押すだけで、簡単に封止状態へと移行できるようになる。
この蓋体39が設けられていない場合には、図11に示すように、ピン部36、頭部37、連結部38を、指で直接押圧して連結部材33を操作しなければならなくなる。この場合、作業者の指の位置によって、ピン部36または頭部37に偏った押圧力が作用する場合がある。この場合、作用する押圧力の大きさによっては、連結部38が不測に破断してしまうおそれがある。
これに対し、本実施形態に係る基板ケース25では、連結部材33に蓋体39が設けられ、図10に示すように、この蓋体39の被覆部39aを指で押して操作するようにすれば、ピン部36や頭部37に偏った押圧力が作用することを防止でき、これによって、連結部38が不測に破断することを防止できるようになる。
特に、被覆部39aの裏面に平坦面状の部分を形成し、この部分をピン部36の上面、頭部37の上面に当接(面接触)させて固定していることから、被覆部39aを押圧操作したときに、その押圧力が、連結部材33に対して偏って作用することを防止できるようになる。
また、連結部材33を封止状態から解除状態へと状態を変更する場合には、図12、図13に示すように、工具60を押圧部39cに当接させて押圧し、破断部39dを破断させるとともに連結部38を破断させることによって、容易に封止を解除できるようになる。また、工具60によって押圧される押圧部39cが凹部となっていることから、工具60をこの押圧部39cに当接して押圧したときに、この工具60の先端が押圧部39cからずれ難くなる。したがって、この蓋体39は、工具60を所定の押圧位置(押圧部39c)にて押圧することで、破断部39dおよび連結部38を確実かつ簡単に破断させることができるようになっている。
この連結部材33に蓋体39が設けられていない場合には、図14に示すように、ピン部36の上面を工具60で直接押圧して連結部38を破断させる必要があるが、この場合には、工具60の先端がピン部36の上面からずれてピン部36と頭部37の間の隙間Sに入り、連結部38をうまく破断できなくなる場合が考えられる。このように、工具60の先端がピン部36と頭部37の間の隙間Sに入った状態で、連結部38を破断させようとして、無理矢理に押圧したり、または、ピン部36の中心からずれた位置で押圧すると、たとえ連結部38を破断できたとしても、図15に示すように、ピン部36が斜めに傾いた状態で下方に移動する場合があり、封止の解除が適正になされないおそれがある。
これに対し、本実施形態にかかる基板ケース25では、蓋体39の被覆部(阻止部)39aが連結部材33の隙間Sを覆うように連結部材33に一体に設けられているので、工具60の隙間Sへの進入が阻止されることになり、上記のような封止の解除が不適正となることを防止できる。
また、この蓋体39は、固定手段によって連結部材33と一体に取り付けられていることから、連結部材33を待機状態から封止状態へと変更する場合、連結部材33の移動を何ら阻害することなく、連結部材33と共に移動することができる。
また、この蓋体39は、透明な合成樹脂によって形成されていることから、連結部材33が待機状態、封止状態、封止解除状態の各状態において、外部からこの蓋体39を通じて連結部材33の状態を視認することができる。
また、蓋体39が透明な合成樹脂製とされていること、および、押圧部39cが凹部(凹状)となっていることによって、この凹部は、レンズとしても機能することになり、これによって、基板ケース25に対する不正行為の有無を判断できるようになる。
この点について、図16〜図18を参照しながら詳しく説明する。
通常、ピン部36の上面には、連結部材33を個々に判別でき、しかも不正行為を防止する等の観点から、ピン部36の頂面には、アルファベットその他の識別記号が一体に形成されている(図16(a)を参照)。蓋体39が透明とされていることから、これらの識別記号は、蓋体39(押圧部39c)を通じて視認できる。
不正行為が行われていない適正な状態では、図16(a)に示すように、複数の連結部材33を平面から見た場合、レンズとなっている被覆部39aの押圧部39cを通じて、各連結部材33の識別記号は、それぞれ同じ大きさに見える。
例えば、図16(b)に示すように、(1)カッターやナイフその他の先端が鋭利な道具(工具)111を、封止状態にある第1封止手段30の連結部材33に対して蓋体39の被覆部39aの周縁から差し込んで、(2)図17に示すように、連結部38が破断するように第1取付部47から頭部37を引き抜き、(3)その後、ドライバー等の工具60によって、頭部37から分割されたピン部36を下方に押し込んで(図17参照)、封止解除の位置に移動させ、(4)取り外した頭部37を再び第1取付部47内に戻す、というように、破断部39dが破断されずに封止が解除される行為が行われたものと仮定する。
この場合には、ピン部36と頭部37が離れていることから、図18(a)に示すように、第2封止手段31の連結部材33のピン部36上面に形成された識別記号「A」と、上記行為が行われた連結部材33のピン部36上面に形成された識別記号「B」とを比較すると、第1封止手段30の連結部材33側の蓋体39に設けられた縮小レンズ(凹レンズ)の効果により、この蓋体39の識別記号「B」の方が、第1封止手段30の連結部材33側の識別記号「A」に比べて極端に小さく見える。基板ケース25は、この識別記号の極端な大きさの違いにより、封止が解除されたか否かを視認でき、封止解除の痕跡を確認することによって、不正行為の有無を判断できるようになっている。
図21は、連結部材33および蓋体39の変形例を示している。この変形例では、蓋体39を連結部材33に固定するための固定手段が上記した実施形態と異なる。この変形例では、蓋体39のガイド突起部39bの突出方向における中途部外面に連結部材33の筒状の頭部37に係止される係止突起部39fが形成されている。
連結部材33の頭部37には、蓋体39の係止突起部39fと係合する係止凹部37aが形成されている。この係止凹部37aは、頭部37の下面側から頭部37の上面側に向かって凹んだ凹部となっており、その頂面が蓋体39の係止突起部39fを係止する係止面37bとなっている。
この変形例では、蓋体39の係止突起部39fと連結部材33の係止凹部37aとによって、蓋体39を連結部材33に固定するための固定手段が構成される。
なお、この変形例では、ガイド突起部39bが被覆部39aから突出する突出長さは、連結部材33の頭部の筒心方向の長さと略等しくなっている。
この蓋体39を連結部材33に固定するには、まず、ガイド突起部39bを、連結部材33の連結部39と干渉しないようして、頭部37の内側に挿入する。そうすると、ガイド突起部39bの係止突起部39fが頭部37の内面に当接し、これによって、ガイド突起部39bは、頭部37の半径方向内方に若干弾性変形する。
さらにガイド突起部39bを押し込んで、係止突起部39fが係止凹部37aの係止面37bを越えたとき、弾性変形していたガイド突起部39bは元の形状に戻り、図21(c)に示すように、係止突起部39fが係止面37bに当接することによって、蓋体39は、頭部37から抜けはずれないように固定される。この変形例のその他の点は、上記した実施形態とほぼ同様であり、この変形例と上記の実施形態とが共通する部分には、共通符号を付して説明を割愛する。
図22は、連結部材33および蓋体39の他の変形例を示している。図21に示した蓋体39では、ガイド突起部39bの中途部外面に係止突起部39fが形成されていたが、この変形例では、蓋体39のガイド突起部39bの突出端部に係止突起部39fが形成されており、この点が図21のものと異なる。
連結部材33の頭部37に形成された係止凹部37aは、ガイド突起部39bの突出端部に形成された係止突起部39fを係止できるように、図21の場合よりも、その深さ(頭部37の下面から係止面までの距離)が浅く(短く)なっている。この変形例におけるその他の点は、図21の変形例とほぼ同じであり、この変形例が図21の変形例と共通する部分には、共通符号を付して、その説明を割愛する。
なお、本発明は上記の実施形態に限らず、以下のように種々の変更・変形が可能である。
例えば、上記の実施形態では、蓋体39の押圧部39cを凹部とした例を示したが、これに限らず、押圧部39cに環状または筒状の突起部を設けるようにしてもよい。これによって、この突起部の内側で工具60によって押圧すれば、工具60はこの突起部に規制されることになり、押圧位置がずれることなく、容易に封止解除の操作を行うことができるようになる。
また、上記実施形態では、蓋体39の押圧部39cの底面を所定の曲率半径の曲面形状とした例を示したが、これに限らず、凹状の押圧部39cの底面を平坦面状に構成するようにしてもよい。
また、上記の実施形態では、蓋体39を透明の合成樹脂によって形成していたが、これに限らず、半透明、または非透明の合成樹脂によって形成してもよい。
また、上記の実施形態では、第1ケース部材25aに第1取付部47、第2取付部68が設けられていたが、これらを第2ケース部材25b側に設けてもよい。同様に、第2ケース部材25bに設けられていた第2収納部87を第1ケース部材25a側に設けてもよい。このようにした場合は、連結部材33の第1係止部である頭部37によって、第2ケース部材25bを係止し、第2係止部であるピン部36によって第1ケース部材25aを係止することで、両者を連結できる。
上記実施形態では、蓋体39の表面側と裏面側に円環状の凹部または切欠を形成して、厚さが薄い破断部39dを形成した例を示したが、この凹部等の形状は円環状に限らず、楕円状、多角形状その他の環形状を採用できる。また、破断部39dの構成は、円環状の凹部等を形成する場合に限らず、例えば、被覆部39aの押圧部39cを取り囲むように複数の貫通孔を環状に配置する等して、他の部分よりも破断し易い破断部39dを構成するようにしてもよい。
上記実施形態では、連結部材33のピン部36と頭部37を2つの連結部38で連結し
た例を示したが、これに限らず、連結部38の数は、3以上の複数であっても
よい。蓋体39のガイド突起部39bの数は、この連結部38と干渉しないように、この
連結部38の数に応じて、3以上の複数であってもよい。
上記実施形態では、第2封止手段30として、その封止が解除されたときに、第1係止部である頭部37が基板ケース25の第1ケース部材25aに残留し、第2係止部であるピン部36が基板ケース25の第2ケース部材25bに残留する例を示したが、これに限らず、頭部37とピン部36の一方が、第1ケース部材25aと第2ケース部材25bの一方に残留するような構成にしてもよい。
すなわち、本実施形態において、基板ケース25の封止手段(第1封止手段30、第2封止手段31)は、その封止が解除されたときに、第1係止部と第2係止部の少なくとも一方が、第1ケース部材25aと第2ケース部材25bの少なくとも一方に残留するように構成されていればよい。
上記の実施形態では、蓋体39(被覆部39a)と連結部材33を別体に構成し、蓋体39を固定手段を介して連結部材33の頭部37に取り付けられるようにした例を示したが、これに限らず、連結部材33と被覆部39aとを樹脂成形によって一体に形成するようにしてもよい。この場合、ガイド突起部39bは、省略可能である。このように、阻止部である被覆部39aを連結部材33一体に形成した場合には、連結部材33の連結部38を省略することができる。
すなわち、被覆部39aを介して頭部37とピン部36とを連結した状態に形成するとともに、工具60を用いて押圧部39cを押圧して破断部39dを破断させ、頭部37とピン部36とを分割して封止を解除し、さらに押圧部39cとともにピン部36を所定の解除位置まで移動させることができる。
また、上記の実施形態では、蓋体39の被覆部39aに押圧部39cを形成した例を示したが、これに限らず、平面視においてピン部36の位置に対応する被覆部39aの中央部分に工具60を挿通可能な貫通孔を形成し、貫通孔を通じてピン部36を工具60で直接押圧できるようにしてもよい。この場合、この貫通孔が、工具60が所定の押圧位置からずれるのを阻止する阻止部となり、連結部38を容易に破断させて封止の解除作業を容易に行うことができる。