JP5101130B2 - 落氷雪防止用材 - Google Patents
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Description
また、落下に至らないまでも、融水は雪塊の下面を傾斜に沿って移動し、雪塊の端部で外気にさらされ凍結して、軒先から邪魔で危険な氷柱や雪庇となって垂れ下がることになり、他方、凍結するに至らない融水は、時には軒先をつたいスガモリを発生させる等の問題も多い。
このような雪塊の落下や氷柱、雪庇やスガモリの発生を防止するため、従来から数多くの屋根面、特に、軒先部で雪を堰き止め又は付着させ、その雪塊を保持しつつ徐々に融かし去る技術が提案され、このための商品が各社それぞれの規格、仕様で販売されており、その現状は鋼製部材を組み合わせた装置が主流となっている。
本発明は、上記装置、用品等の有する問題点に鑑みてなしたものであり、軽量であって屋根面への荷重負担を軽減し、かつ、装着時に家屋にかかるストレス、例えば、網を展張するための牽引歪等を激減させ、さらには、傾斜屋根から氷雪塊の急激な落下を防止するとともに、屋根面で氷雪塊を徐々に融かし軒先の雨樋に自然排水する落氷雪防止用材を提供することを目的とする。
そして、矩形状ネットの中空膨出部側端部に、熱可塑性合成樹脂からなる帯状ネットの延設部を設けたことで、この延設部で雨樋を覆うことが可能になり、雨樋が枯葉で詰まるのを防止することができる。
この落氷雪防止用材1は、剛性を有する熱可塑性合成樹脂からなる矩形状ネット2Aの一辺端部の平面部11に、同様な合成樹脂製ネット2を対向辺20に平行させて中空に膨出させて設け、その中空膨出部10側が屋根面Rの低位側となるように設置するようにしてなるものであり、この第1実施例の場合は、図2で示すように、熱可塑性合成樹脂からなる剛性を有する矩形状ネット2Aの一辺端部を略直角に曲げて折り返し、その一辺端部を矩形状ネット2Aの平面部11に熱融着して接合部12を形成することで中空膨出部10を設けている。
屋根面Rへの止着手段は特に限定されないが、中空膨出部10の端部(設置時の屋根面での最下端)からの風による煽りの防止手段を別とすれば、屋根面Rの傾斜に沿って吊るすようにして止着することが作業を簡便にする最も合理的な手段となる。
また、合成樹脂製ネット2は、単糸部分を引っ掛けるように止着した場合は極端に引っ張り強度が低下することから、ネット面を掴むような形態で止着することが不可欠になる。
また、合成樹脂製ネット2同士を接合させるには、上記熱融着の他公知の挟着、止着、接着、縫着等の中から適宜最適な手段を選択する。
合成樹脂製ネット2に用いる単糸ネットは、原材料である熱可塑性樹脂を連続押出成形することにより得ることができるが、このようにして得られた単糸ネットは、例えば、角目の場合、縦糸(長手方向の糸)と横糸とが溶融着し、網目が崩れにくく、一部の破損が他の部分に及ぼす影響が極めて小さいため、取扱性、耐久性等の点で優れている。
また、上記角目の場合、図4(c)に示すように編み目の大小を部分制御して連続押出成形することが可能になる。
なお、合成樹脂製ネット2は、適正な剛性が得られる限りにおいて、溶融接合形態の単糸ネットのほか、有結形態の単糸ネットを用いることもできる。
また、本発明の落氷雪防止用材1においては、矩形状ネット2Aの張力を、屋根面Rで上下方向を幅方向に比べより強いことが好ましい形態となる。例えば、図4(c)の合成樹脂製ネット2を使用する時は、横糸が屋根面Rで上下方向に設置されることになり、このような場合は、縦糸に比べ横糸を十分に太くなるよう設計すればよいことになる。
合成樹脂製ネット2の網目の大きさは、積雪寒冷地といえ地域差がある上に同一地域においても日々気象は変化するため、地域差に応じて適宜設計することが好ましい。
寒冷豪雪地域では、積雪は順次層を形成し、日照により最上層の表面は融雪するとともに積雪もざら目化されてその結合は脆くなり、崩落し易い状態となる。
この日照間においても、夜間でも降温度が微小な屋根面と接する空気層3の上部の積雪最下層は間断なく融け続け、積雪層はその上下から挟まれるように暖められ、雪塊の融水化は昼間で益々加速される。
なお、図1〜3の記載した形態は、落氷雪防止用材1の一態様を示し、電熱、散水等の多大な経費を節減するが、例えば、2mを越すような積雪と家屋の老朽化を考慮した場合は、電熱、散水等との多少の併用が望ましいものになる。
このため、落氷雪防止用材1を屋根面Rの軒先に沿って設置すれば、屋根面Rからの落氷雪を防止し、その融水を屋根面Rへ落下させ屋根面Rでの流下を増大させ、氷柱、雪庇やスガモリの発生を抑制し、合成樹脂製ネット2の単糸が雪の結晶同士の凝固を分断し、氷柱や雪庇の成長を防止し、軽量な合成樹脂製ネット2を使用することで、屋根面Rへの荷重負担を軽減することができる。
この第2実施例における本発明の落氷雪防止用材1は、短冊状ネット2Bの対向長辺端部を平行させて曲折し、その両長辺端部を矩形状ネット2Aの一辺端部の平面部11に接合し中空膨出部10を設け、矩形状ネット2Aの中空膨出部10側端部に、同様な樹脂からなる帯状ネット2Dの延設部22を設けたものである。
この場合、前記図3(c)では帯状ネット2Dを接合して延設部22を設けているが、矩形状の合成樹脂製ネット2一辺端部帯状部分を帯状ネット2Dとすることで、延設部22を設ける形態となっている。このように、本発明においては、延設部22を設ける形態は特に問われるものではない。
そして、矩形状ネット2Aの中空膨出部10側端部に、帯状ネット2Dの延設部22を設け、この延設部22で雨樋4を覆うことが可能になり、これにより、雨樋4への枯葉等のごみの侵入を阻止し、雨樋4の詰まりを防止することができる。
この第3実施例における本発明の落氷雪防止用材1は、筒状ネット2Cを矩形状ネット2Aの一辺端部の平面部11に接合し中空膨出部10を設け、平面部11の裏面所定の部位に、桟状の嵩上げ材23を設けたものである。
この場合、嵩上げ材23の要否は屋根面Rの凹凸の高低差で決まるものであり、低すぎると落氷雪防止用材1の平面部11と屋根面Rとの間の空気層3の確保が不十分になる設置現場で必要とされる。
この第4実施例における本発明の落氷雪防止用材1は、矩形状ネット2Aに中空膨出部10と平行かつ所定の間隔で1つの同様な中空膨出部10を設けたものである。
この場合、二つ目からの中空膨出部10の高さは前の中空膨出部10のそれを超えないことが、屋根面の傾斜と積雪の滑り性の観点から望ましいものとなる。
この第5実施例における本発明の落氷雪防止用材1は、中空膨出部10の対向辺20に平行させて平面部の横方向端部間を通して合成樹脂被覆した通電発熱線5を設け、これを通電発熱線5の表面温度を感知するセンサー7aと積雪量を感知するセンサー7bに接続されている電源6に水密端子50で接続したものである。
この場合、電源6の開閉は自動化されており、例えば、積雪量が1mを超えると通電発熱線5が自動的に一定時間荷電され、その時間内で通電発熱線5の表面温度が70度を超えると数分間停止し再び荷電されるように設定される。
この落氷雪防止用材1で使用する合成樹脂製ネット2は電気絶縁性であることで、通電発熱線5を併用するには最適の材料となる。
10 中空膨出部
11 平面部
12 接合部
2 合成樹脂製ネット
2A 矩形状ネット
2B 短冊状ネット
2C 筒状ネット
2D 帯状ネット
20 中空膨出部の対向辺
21 止着部
22 延設部
23 嵩上げ材
3 空気層
4 雨樋
5 通電発熱線
50 水密端子
6 電源
7a センサー
7b センサー
D 真球の直径
W 網目空間の最大幅
R 屋根面
Claims (13)
- 剛性を有する熱可塑性合成樹脂からなる矩形状ネットの一辺端部の平面部に、合成樹脂製ネットを対向辺に平行させて中空に膨出させ、その中空膨出部側が屋根面の低位側となるように設置するようにした落氷雪防止用材であって、矩形状ネットの中空膨出部側端部に、熱可塑性合成樹脂からなる帯状ネットの延設部を設けたことを特徴とする落氷雪防止用材。
- 矩形状ネットに中空膨出部と平行かつ所定の間隔で少なくとも1つの中空膨出部を設けたことを特徴とする請求項1記載の落氷雪防止用材。
- 矩形状ネットの少なくとも中空膨出部の対向辺側に屋根面への止着部を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の落氷雪防止用材。
- 平面部の裏面所定の部位に、桟状の嵩上げ材を設けたことを特徴とする請求項1、2又は3記載の落氷雪防止用材。
- 合成樹脂ネットの網目を通過する真球の径が、矩形状ネットの平面部より中空膨出部の方が大きいことを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の落氷雪防止用材。
- 矩形状ネットの張力を、屋根面で上下方向を幅方向に比べより強くしたことを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の落氷雪防止用材。
- 溶融押し出し成形したネットであることを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6記載の落氷雪防止用材。
- ネットを構成する合成樹脂がポリオレフィン系樹脂であることを特徴とする請求項7記載の落氷雪防止用材。
- 合成樹脂被覆した通電発熱線を設け、これを水密接続する電源が装備されていることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7又は8記載の落氷雪防止用材。
- 電源の開閉がセンサーで自動化されていることを特徴とする請求項9記載の落氷雪防止用材。
- 矩形状ネットの一辺端部を折り返し、その一辺端部を矩形状ネットの平面部に接合して中空膨出部を設けたことを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10記載の落氷雪防止用材。
- 短冊状ネットの対向長辺端部を平行させて曲折し、その両長辺端部を矩形状ネットの一辺端部の平面部に接合し中空膨出部を設けたことを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10記載の落氷雪防止用材。
- 筒状ネットを、矩形状ネットの一辺端部の平面部に接合し中空膨出部を設けたことを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10記載の落氷雪防止用材。
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