以下に本発明の一実施形態を示す。以下で説明される個別の実施形態は、本発明の上位概念、中位概念および下位概念など種々の概念を理解するために役立つであろう。また、本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲によって確定されるのであって、以下の個別の実施形態によって限定されるわけではない。
[実施形態1]
<画像形成装置について>
図1は、本実施形態の画像形成装置の構成図である。画像形成装置は、例えば、印刷装置、プリンタ、複写機、複合機、ファクシミリとして実現可能である。具体的に、画像形成装置100は、4つの像担持体を有した、中間転写方式のフルカラープリンタである。すなわち、画像形成装置100は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)に対応した画像形成ステーション10a〜10dを有する。さらに、画像形成装置100は、中間転写体としての中間転写ベルト1を含む転写装置と、定着器(定着手段)3とを有する。
画像形成ステーション10a〜10dは、画像形成ユニットとしてユニット化されている。画像形成ステーション10a〜10dは、それぞれ共通した構成を有しているため、以下では、画像形成ステーション10aを中心に説明する。
画像形成ステーション10aには、像担持体である感光体ドラム(ドラム状電子写真感光体)11が矢印方向に回転可能に設置される。感光体ドラム11の外周表面上に、それぞれ感光体ドラムの表面を一様に帯電する帯電ローラ12が配置される。帯電ローラ12の感光体ドラム回転方向下流側には、画像信号に対応して変調されたレーザ光を感光体ドラム表面に露光するレーザ露光器13が配置される。さらにレーザ露光器13の下流側には、レーザ露光により形成された感光体ドラム表面上の静電潜像を、対応する色の現像剤(トナー)を用いて現像する現像装置14が配置される。
感光体ドラム11の中間転写ベルト1を挟んだ位置(転写位置)には、感光体ドラムとともに一次転写部を形成する一次転写ローラ15が対向設置される。
中間転写ベルト1は、駆動ローラ17、テンションローラ18、二次転写対向ローラ19といった3本のローラに張架して設置され、各画像形成ステーション10a〜10dを縦貫して、それぞれの感光体ドラム11に接触配置される。中間転写ベルト1は、駆動ローラ17により図の矢印方向に回転駆動される。感光体ドラム11の一次転写ローラ15の下流側には、ドラムクリーナ16が設置される。中間転写ベルト1の表面には、ベルトクリーナ4が配置される。
以上のように構成された画像形成装置の画像形成動作について、画像形成ステーション10aを例にして説明する。画像形成ステーション10aの感光体ドラム11は、例えば、アルミニウムの円筒体と、その表面に形成された光導電層を備える。感光体ドラム11は、矢印方向へ回転しながら帯電ローラ12により表面を一様にマイナス帯電(例:帯電電位VD=−400V)される。レーザ露光器13により露光が行われると(例:露光電位VL=−100V)、感光体ドラム11の表面に原稿のイエロー画像成分と対応した静電潜像が形成される。
感光体ドラム11上に形成された静電潜像は、現像装置14によりマイナス帯電したイエロートナーを用いて現像され、イエローのトナー画像として可視化される(反転現像)。トナーは、例えば、負帯電性の非磁性一成分トナーである。得られたイエロートナー画像は、一次転写ローラ15によって、中間転写ベルト1上に一次転写される。一次転写後に、感光体ドラム11の表面に残存している転写残トナーは、ドラムクリーナ16によって除去される。
以上の画像形成動作が、各画像形成ステーション10a〜10dにおいて所定のタイミングで実行される。各感光体ドラム11からのそれぞれ色の異なるトナー画像が中間転写ベルト1上に順次一次転写される。その後、中間転写ベルト1上のトナー画像が、中間転写ベルト1の矢印方向の回動にともない、二次転写ローラ2と二次転写対向ローラ19とにより形成された二次転写部に移動する。そこで、給送ローラ9により所定のタイミングをもって供給された転写材P上に、トナー画像が二次転写される。転写材は、例えば、記録材、記録媒体、用紙、シート、転写紙と呼ばれることもある。その後、未定着のトナー画像を載せた転写材Pは、定着装置3へと搬送され、そこで加熱・加圧されて永久定着像となる。また、定着装置3から排出された転写材Pは、排出トレイ8に排出される。
<現像装置の詳細について>
図2は、実施形態に係る現像装置の構成図である。各画像形成ステーションに設けられた現像装置は、収容する現像剤の色が異なるものの、同様の構成を有するものとする。
現像装置14は、現像容器141とトナーホッパー142とを備えている。現像容器141は、現像部1411と攪拌部1412とを備えている。現像部1411は、感光体ドラム11と対向する側の一部が開口している。この開口部から現像部材としての現像ローラ143が一部露出している。現像ローラ143は、回転可能に現像容器141により支持されている。さらに、現像ローラ143は、感光体ドラム11に対して当接している。なお、現像ローラ143の周速は、感光体ドラム11の周速よりも速い。これは、効率よくトナーを感光体ドラム11に付着させるためである。
現像ローラ143へトナーを供給すると共に、現像ローラ143からトナーを除去して回収するための供給ローラ144は、弾性体を有したローラである。この供給ローラ144は、現像ローラ143に対して逆方向に回転しながら当接している。
また、現像容器141には、トナー層規制部材としてのブレード145が設けられている。このブレード145はSUS(ステンレス鋼)などで構成される板ばねであり、所定の当接圧にて現像ローラ143と当接している。現像ローラ143に供給されたトナーの層厚は、現像ローラの回転と共に、このブレード145によって規制される。その際、トナーは摩擦帯電により負電荷を付与される。そして、現像ローラの周面に形成されたトナーの薄層が、現像ローラと感光体ドラムが接触する現像領域へと供給され、これによって、感光体ドラム上に形成された静電潜像が現像される。
現像に寄与せずに、現像ローラ上に担持されたままのトナーは、供給ローラの摺擦により現像ローラの周面から剥ぎ取られ、現像容器内へと戻される。一方、現像ローラの周面に担持されたままのトナーは新たに供給ローラによって供給されたトナーと共に、再び現像ローラによって現像領域へと供給される。現像容器141内に設けられたスクリュー147及び攪拌部材148、並びに、トナーホッパー142内に設けられた解し部材1421及び補給ローラ1422は、現像装置内のトナー搬送に関わる部材である。
図3は、実施形態に係る現像容器141の概略断面図である。この断面図は、図2の左側から右側を見たときの断面図である。現像容器141は、仕切り壁146によって現像容器141の長手方向に亘って上下2つの部屋(第一収納部、第二収納部)に分かれている。第一収納部としての現像部1411は、現像部材としての現像ローラ143とトナー搬送部材としてのスクリュー147とを有する。この現像部1411は、現像ローラ143に供給するためのトナーを収納する。
第二収納部としての攪拌部1412は、攪拌部材148を有する。この攪拌部1412は、トナー補給手段としてのトナーホッパー142からトナーを補給され、補給されたトナーを一時的に収納すると共にさらに現像部1411に供給する。現像部1411と攪拌部1412は、現像ローラ143の長手方向における両端部に設けられた開口によって繋がっている。つまり、現像ローラ143の長手方向の一端側と他端側において、現像部1411と攪拌部1412が接続(連通)している。
現像部1411内のスクリュー147は、現像部1411内のトナーを長手方向に搬送する。即ち、このスクリュー147はスクリューの長手方向一端側に設けられた第一開口から落ちてきたトナーを現像部1411の長手中央方面に送り出す。そして、スクリュー147の他端側に設けられた第二開口までトナーを搬送する。さらに、攪拌部1412に第二開口からトナーを押し上げて送り出す。その過程で、このスクリュー147は、現像部1411内において、現像ローラ143にもトナーを供給する。
一方、攪拌部1412内の攪拌部材148は、複数の羽根を有する部材である。そして、羽根が回転する事によって交互にトナーを掻き揚げて攪拌する。これらのスクリュー147と攪拌部材148は、ギア(不図示)によって現像ローラ143や供給ローラ144と接続されている。よって、スクリュー147と攪拌部材148は、現像ローラ143が回転している間は共に回転運動を行い、画像形成終了と共に回転が停止する。両者の機能により、トナーは現像容器141内で十分に攪拌されながら、図3の矢印にそって循環する。
トナーホッパー142内には、解し部材1421と補給ローラ1422が設けられている。ここで、解し部材1421はトナーホッパー142内のトナーを解すためのものである。また、補給ローラ1422は、トナーホッパー142から、攪拌部1412に設けられた補給開口149を通して、攪拌部1412にトナーを補給するためのものである。この補給ローラ1422は、画像形成装置100本体からの補給指令により回転し、単位駆動時間当たり一定量のトナーを攪拌部1412に補給する。これによって、現像容器141内のトナー量が常に一定量に保たれる。補給指令のためのトナー量を検知するため、本実施形態では、攪拌部1412にトナー量センサ(不図示)が設けられている。このトナー量センサがトナー量の不足を検知すると、補給ローラ1422が回転してトナーがトナーホッパー142から攪拌部1412へ補給される。
<トナーの帯電電荷量分布について>
本実施形態の現像容器141内では、現像ローラへのトナーの供給と現像ローラからのトナーの除去が繰り返されることで、トナーが現像容器内を何度も循環する。その際に、帯電特性が劣化してしまったトナーと、トナーホッパーから新たに補給されたばかりの新しいトナーとが混在した状態となる。劣化したトナーと、新しいトナーとは、互いに帯電特性が異なる。これは以下の理由による。
現像容器内のトナーに対して、現像ローラへの供給と現像ローラからの除去が繰り返されると、機械的摺擦によってトナーを構成する樹脂が磨耗あるいは、変形する。また、現像剤表面に添加されている外添剤が、遊離したり、樹脂内に埋め込まれたりすることもある。トナーの帯電特性は、トナーを構成する樹脂や外添剤の、幾何学的形状や材料的性質により決定される。よって、劣化したトナーは、新しいトナーと比較し、帯電特性等が変化してしまう。つまり、現像ローラ上へ供給される際の摩擦帯電により付与される電荷量は、劣化したトナーほど小さく、新しいトナーほど大きくなる。従って、劣化したトナーほど小さな(絶対値の)電荷量となり、新しいトナーほど大きな(絶対値の)負電荷量となる。
これらの新旧トナーは、スクリュー147と攪拌部材148の機能により、現像容器内をよく混合された状態で循環する。しかし、スクリュー147によってトナーが、現像ローラ143の長手方向に沿って現像部内を搬送されながら、現像ローラ143上に供給される過程において、現像ローラ上に形成されるトナー層には長手方向の特性分布が生じる。すなわち、トナーが第一開口から第二開口の方向へ搬送される際、まず現像ローラのトナー搬送方向上流側(第一開口部寄り)部分では、良好な帯電特性を有する新しいトナーによる層形成が優先的に行われる。そして、下流側(第二開口部寄り)部分では、上流側で層形成を行わずに下流方向へ搬送された、帯電特性の悪化した劣化トナーによる層形成が行われる。その結果、現像ローラ上に形成されたトナー層が有する平均的な帯電量、搬送方向上流側で負帯電電荷量が大きく、下流側にかけて負帯電電荷量が低い分布となる。また、この負帯電電荷量の分布は、現像装置14の稼動状況によって、ある程度決まった変化の仕方で、動的に変化していく場合もある。
以下では、帯電電荷量の測定値の一例を示す。その際の画像形成装置のスペックは以下の通りである。画像形成装置100として、使用可能な転写材の最大サイズがA3(幅297mm)で、プロセススピードが190mm/秒のカラープリンタを採用した。さらに、A4横送りの印刷速度が40枚/分で、解像度が600DPIとした。感光体ドラム11は、直径31mmの負帯電性のOPC(有機光導電体)ドラムである。トナーは、重合方式によって製造された二層構造の球状トナーである。トナーは、中心部にあるワックスの周りをシェルと呼ばれるスチレンアクリル等の樹脂バインダー層が取り囲んだ構造を有する。粒径は、約6μmのトナーである。また、トナーの表面には、シリカ等の外添剤粒子が付加されている。ここでは、キヤノン製レーザビームプリンターLBP5400等に採用されているものと同種のトナーを使用した。現像ローラ143は、外径が20mmである。また、現像ローラ143は、カーボンなどの導電剤を分散させた体積抵抗率が102Ωcm〜1010Ωcmのシリコーン、ウレタンなどの低硬度のゴム材或は発泡体により構成された半導電性弾性体ローラである。現像ローラ143は、感光体ドラム11に対して、順方向に1.5倍の周速により回転しながら当接している。供給ローラ144は、外形16mmの絶縁性スポンジローラである。現像ローラに印加される現像電圧はVdev=−250Vである。
図4は、負帯電電荷量の平均値の一例を示す図である。横軸は、現像ローラ上の長手方向の位置(長手位置)を示す。縦軸は、対応する長手位置に形成されたトナー層における負帯電電荷量の平均値を示す。長手位置0[mm]は、現像ローラの長手方向の中心である。この例では、現像ローラの左端から右端にかけて負帯電電荷量の徐々に低下していることがわかる。
<感光体上の光量分布について>
次に、レーザ露光器13によるレーザ露光を行った場合の感光体ドラム上での光量分布について説明する。ここでは比較検討のため、(検討1)、(検討2)として、二種類の光量分布についての検討結果を説明する。
(検討1:本発明不適用)
図5は、検討1におけるレーザ露光の光量の長手分布を示す図である。横軸は、感光体ドラム上の長手位置を示す。縦軸は、対応する長手位置におけるレーザ露光の光量を示す。感光体ドラム11の長手位置は、現像ローラの長手位置に対応している。レーザ露光の光量は、フル点灯したときの光量(0.3μJ/cm2)を100%と定義している。フル点灯すると、感光体ドラム面上の電位が、帯電電位VD=−400Vから、露光電位VL=−100Vに変化する。フル点灯とは、画像形成装置100において、ハーフトーン画像処理のされていない画像濃度の最も高い画像、つまり100%濃度画像(ベタ画像)の画像信号が露光装置に送られた際のレーザ露光動作に対応する。図5に示したように、検討1におけるレーザ露光光量の長手分布は、感光体ドラム面上において均一な光量分布となっている。なお、感光体ドラム上におけるレーザのスポット径は、62μm×77μmの程度である。
図6は、ハーフトーン画像(70%濃度)の画像信号が送られた際のレーザ露光動作によって感光体ドラム上に形成された電位分布を示す図である。図6によれば、露光電位の分布が長手方向で均一(Vht=−170V)となっていることがわかる。ここでの均一とは、略均一であればよく、完全に均一な状態である必要は必ずしもない。また、光量分布としては、図5に示された光量に対して約70%の光量が長手方向に略均一に分布していることとなる。
図7は、転写材上で得られたハーフトーン画像濃度の長手分布を示す図である。横軸は転写材上の長手位置を示す。縦軸は長手位置における実際の画像濃度を示す。転写材上の長手位置も、感光体ドラム、現像ローラの各長手位置に対応している。第一開口側が転写材上の画像左端、第二開口側が画像右端に対応する。
図7に示した画像濃度は、キヤノン製CLC用紙(坪量80g/m2の平滑紙)上に印刷した画像をMacbeth濃度計RD918で測定して数値化したものである。図7によれば、画像濃度が長手方向で不均一な濃度分布となることがわかる。本来は、均一となるべきであるが、画像の右から左(グラフの左から右)にかけて濃度が上昇してしまっている。この理由は以下の通りである。
図8は、ハーフトーン露光電位部に現像されるトナー画像を模式的に示した図である。なお、図8には、感光体ドラム上の帯電電位(VD=−400V)、ハーフトーン露光電位(Vht=−170V)及び現像電圧(Vdev=−250V)の関係とも示されている。
感光体ドラム上の帯電電位部において、
帯電電位(の絶対値) > 現像電圧Vdev(の絶対値)
となる部分(非露光部分)では、トナー画像が現像されない。一方、ハーフトーン露光電位部では、
ハーフトーン露光電位Vht(の絶対値 )< 現像電圧Vdev(の絶対値)
が満たされるため、トナー画像が現像される。この過程で現像されるトナー量は、トナーの負帯電電荷量に依存する。つまり、トナーの負帯電電荷量が大きければ、露光電位と現像電圧の差分を埋めるのに必要なトナー量は少なくてすむ。これに対し、トナーの負帯電帯電荷量が小さければ、同じ差分を埋めるのに必要となるトナー量が相対的に多くなる。
従って、本検討の系においては、現像ローラ上におけるトナーの負帯電電荷量の大きな第一開口側に対応する感光体ドラム上の一端側での現像トナー量が相対的に少なくなり、転写材上における画像濃度が低くなる。また、トナーの負帯電電荷量の小さな第二開口側に対応する他端側でのトナー量が相対的に多くなり、転写材上における画像濃度が高くなる。このようにして、第一開口側から第二開口側へかけて濃度の長手方向のムラ(勾配)が生じてしまう。
(検討2:本発明適用)
図9は、検討2におけるレーザ露光の光量の長手方向における分布を示す図である。図5と比較するとわかるように、感光体ドラム上の長手方向における中心では、検討1と同じ感光体上に照射される光量が100%となっている。しかし、現像ローラの第一開口側に対応する端部にかけて照射される光量が徐々に大きくなっている。また、第二開口側に対応する端部にかけて照射される光量が徐々に小さくなっている。
図10は、図9に示した光量特性で露光(長手方向の中心光量=70%)したときの感光体ドラム上における露光電位の長手方向における分布を示す図である。中心から第一開口側にかけて徐々に露光電位(の絶対値)が低くなっている。第二開口側から中心にかけて徐々に露光電位(の絶対値)が高くなっている。長手方向の中心では、図6に示した検討1の露光電位と同じ電位(Vht=−170V)となっている。
図11は、図9に示した光量特性で露光(長手方向の中心光量=70%)したときの転写材上で得られた画像濃度の長手方向における分布を示す図である。図7と比較して、図11では、長手方向における濃度分布が概ね均一であることがわかる。理由は以下の通りである。
検討1で述べたように、感光体ドラムの表面のうち露光された部分である露光電位部においては、
ハーフトーン露光電位Vht(の絶対値) < 現像電圧Vdev(の絶対値)
の関係が満たされるので、トナー画像が現像される。検討2の系においては、現像剤の帯電特性の違いに起因した画像濃度の変動(図7)をキャンセルするよう、現像ローラの第一開口側に対応した感光体ドラム上の一端から第二開口側に対応した感光体ドラム上の他端にかけて徐々に光量を大きくしている。これにより、感光体ドラム上の一端から他端にかけて徐々に露光電位の絶対値が上昇する。その結果、感光体ドラム上の一端から他端にかけて画像濃度の均一となる。
このようにトナーの搬送方向における上流側から下流側にかけた帯電特性の逆特性をレーザ露光光量によって実現することで、現像剤の帯電特性の違いに起因した画像濃度の変動が緩和されることがわかる。なお、「逆特性」について、完全な逆特性である必要はなく、画像濃度の変動を緩和するに必要なだけ、即ち本実施形態における制御を施さない場合に比べ濃度変動を緩和するように逆特性であれば良い。
<レーザ露光器の詳細について>
次にレーザ露光器13の詳細について説明する。露光器は、走査式光学装置、光走査装置又は光学スキャナ装置と呼ばれることもある。レーザの走査光学系としては、UFS(アンダーフィールドスキャナ)方式とOFS(オーバーフィールドスキャナ)方式が知られている。また、UFS方式に比べてOFS方式のポリゴンミラー(回転多面鏡)は物理的大きさが相対的に小さい。
UFS方式では、入射光束幅に対してポリゴンミラーの偏向面の走査方向長さが長い。一般に、UFSにおいては、ポリゴンミラーに入射する全光束幅が反射されるため、感光体ドラム面における長手方向の光量はほぼ均一となる。
一方、OFS方式では、入射光束幅に対してポリゴンミラーの偏向面の走査方向長さが短いため、ポリゴンミラーに入射する光束幅の一部しか反射されない。よって、OFS方式では、ビームの入射角度によって反射される光束幅が変化してしまい、感光体ドラム面における長手方向の光量が不均一となってしまう。より具体的には、レーザ1200から出射される光束に対する偏向面の角度によって生じる光量分布のムラであって、主走査方向の両端部に挟まれる内側部において光量が高くなることによる上凸の光量分布のムラ(変動)が発生する。しかし、OFS方式は、UFS方式と比べてポリゴンミラーの回転数を小さくでき、描画スピードも上げることができるため、画像形成装置の高速化・高精細化に優れている。本実施形態では、レーザの光量を任意に可変することのできる光量補正手段を有するOFS方式の露光器について説明する。
図12は、レーザ露光器の一例を示した図である。半導体レーザ(以下レーザと呼ぶ)1200は光源の一例である。レーザ1200は、図示しないビデオコントローラからのビデオ信号またはエンジンコントローラからのコントロール信号によって発光しビーム(レーザ光)を照射するレーザ発光部として機能する。
ポリゴンミラー1201は回転多面鏡の一例である。ポリゴンミラー1201は、図示しないモータにより図中の矢印の方向に回転し、レーザからのビームを反射しながら走査する。ポリゴンミラー1201を回転させるモータは図示しないエンジンコントローラからの加速信号/減速信号によって一定の回転速度になるように制御される。レーザ1200からのビームは、fθレンズ1202および折り返しミラー1203を経由して、感光体ドラム11上を矢印の方向に走査する。fθレンズ1202は、ビームを感光体ドラム11上に等速で走査させるための光学部品である。
BD1204は、光−電圧変換を行う素子である。BDは、ビーム検出の略である。BD1204には、ビームの走査路上に設けられたミラー1205から反射したビームが所定のタイミングで入射する。BD1204は、入射光によって生じた電圧によってBD信号を生成し、図示しないエンジンコントローラのCPUやロジック回路へBD信号を出力する。水平同期信号としてBD信号は使用される。
図13は、実施形態に係る光量補正制御に関与するレーザ駆動回路とエンジンコントローラとの一例を示した図である。エンジンコントローラで1300はCPU1312を有する制御ユニットである。レーザ駆動回路1301は、光量補正回路1302、VI変換回路1303、レーザドライバIC1304、レーザ1200、フォトダイオード1306を備える。
レーザドライバIC1304の電流制御部1307は、ビデオ信号に応じて、レーザ1200に電流を通電して発光させるか、ダミー抵抗1308に電流を流してレーザ1200を消灯させるかの切換を行う。
次にサンプリング制御について説明する。レーザ露光器の立上げ時や画像形成の一走査ごとに、サンプリング制御が実行される。レーザ1200が駆動されて発光すると、レーザ1200からの出射光の一部がフォトダイオード1306に入射する。このとき、フォトダイオード1306によってレーザ1200の発光光量に比例した光電流が出力され、サンプル・ホールド回路1309に入力される。光電流の値は、サンプル・ホールド回路1309でサンプリングされて電流制御部1307に出力される。電流制御部1307は、サンプル・ホールド回路1309からの出力信号と必要光量とを比較する。必要光量に対して出力信号(発光光量)が低ければ、電流制御部1307は、レーザへの駆動電流を増大する。一方、発光光量が必要光量よりも高ければ、電流制御部1307は、レーザ電流を減少させる制御を行う。レーザ光量が所定の発光光量になると、サンプル・ホールド回路1309がホールドされる。このときの出力値をサンプル・ホールド回路1309に接続されたコンデンサ1310に電圧値として保持しておくことで、レーザ1200は、一走査ごとに所定光量で発光することができる。
定電流回路1311に流れる電流Isumはフォトダイオード1306で検出した光量が所定の光量となるようにVI変換回路1303によって設定される。光量補正回路1302の制御部1313は、エンジンコントローラ1300のCPU1312とシリアル通信で接続されている。エンジンコントローラ1300のCPU1312は、光量補正回路1302の制御部1313へプリントモードなどの情報を送信する。
光量補正回路1302は不揮発記憶手段であるNVRAM1314を有しており、各ビームの光量プロファイルに基づく補正プロファイルを記憶している。補正プロファイルには、感光体ドラム面におけるビームの走査長を所定の値で分割したときの、ビームの各走査位置におけるレーザの電流補正値が記憶されている。BD信号に同期してCPU1312からコントロール信号が入力されてから所定時間後に、光量補正回路1302の制御部1313は、NVRAM1314に記憶されている補正プロファイルの電流補正値の読み出しを開始する。読み出すタイミングはエンジンコントローラ1300のCPU1312から出力されたリードクロックである。リードクロックの周波数は、ビーム走査長の分割数に応じて決定されている。
光量補正回路1302の制御部1313は、読み出した補正プロファイルの電流補正値を光量補正回路1302に内蔵されたDAコンバータ1315によって所定のアナログ電圧値に変換する。光量補正回路1302から出力されたアナログ電圧は、VI変換回路1303において補正電流IDに変換され、定電流回路1311に流れ込む。よって、レーザ電流ILは、定電流回路1311に流れる設定電流Isumから、光量補正回路1302から出力された補正電流IDを減算することで得られる。算出式は、例えば、
IL = Isum − ID (式1)
である。
図14は、光量補正回路1302の詳細を示すブロック図である。NVRAM1314は、不揮発記憶手段である。制御部1313は、ロジック回路を備えている。DAコンバータ1315は、NVRAM1314から読出した多値のデータをD/A変換してアナログ電圧を出力する。VI変換回路1303は、DAコンバータから出力されたアナログ電圧を電流に変換する回路である。CPU1312は、エンジンコントローラにおける制御の中心的役割を果たす回路である。
制御部1313は、NVRAM1314と接続されており、制御部1313はNVRAM1314に記憶しているデータの読出し・書込みを行うことができる。CPU1312は、制御部1313とのシリアル通信を介して、NVRAM1314に記憶されているデータの読出し・書込みを行う。制御部1313は、NVRAM1314に記憶されているVref値(DAコンバータ1315の基準電圧)を読出し、基準電圧生成部1400にVref値を設定する。基準電圧生成部1400は、Vref値に相当する電圧をDAコンバータ1315に出力する。制御部1313はエンジンコントローラのCPU1312から受信したBD信号に同期したコントロール信号をトリガー信号として、NVRAM1314から補正プロフィルデータを読み出してDAコンバータ1315に設定する。DAコンバータ1315では、Vref値に相当する電圧に補正プロファイルデータを掛け合わせた電圧値をVI変換回路1303へ出力する。
なお、以下では説明をわかり易くする為に補正プロファイルデータとは区別してVref値を説明する。しかし、当該Vref値の大小差異に依存し、例えば後述の図16の1605のレーザ光量の大小も変更されものであり、実質的にはこのVref値も補正プロファイルデータの一部と解釈することが出来る。
図15は、OFS方式において、画像中央部/略中央部のレーザ光量を画像両端部の光量と比較して例えば最大50%低下させることで感光体ドラムの面光量を均一にするためのタイミングチャートである。本発明における詳細な濃度ムラ補正については、後述の図16、18で詳しく説明を行うものとし、以下では、説明を理解し易いように、まず、上で説明した、現像ローラ上に形成されるトナー層には長手方向の特性分布差を除いた形で説明を行う。図15では、ビーム走査長を22個の区間に分割している。なおビーム走査長を22個の区間に分割したのは一例であり、より細かい区間で分割しても良い。また、ここでは、一例として、1区間における補正プロファイルデータを2byteで表現している。なお、ビーム走査長の分割数や補正プロファイルのデータ長は大きい方がより精度良く光量を補正できる。
なお、本実施形態における補正プロファイルデータとは、各ビーム走査位置における補正電流値IDを決定するものである。そして、図14の制御部1313がNVRAM1314に記憶された補正プロファイルを読み出す。例えば、制御部1313は、画像中央部/略中央部では、2byteの補正プロファイルデータFFhを読出しDAコンバータ1315に設定する。また、補正プロファイルデータが最大であるFFhの場合に、補正電流IDがIsumの50%となるように予め決定しておいたVref値に相当する電圧を基準電圧生成部1400が出力する。基準電圧生成部1400が出力したVref値に相当する電圧に補正プロファイルデータを掛け合わせた電圧値をDAコンバータ1315においてVI変換回路1303へ出力し、補正電流IDを発生させる。補正プロファイルデータは2byteであるため、データがFFhの場合には、Vrefこのとき、補正電流IDはIsumの50%となる。一方、補正プロファイルデータが00hの場合には、補正電流IDは0mAとなる。
レーザの駆動電流を制御するための補正プロファイルデータの作成手順は以下の通りである。まず、予め工場などにおいてレーザ露光器単体で、光量補正を機能させずに走査方向の感光体ドラム面光量を数箇所測定する。ここで感光体ドラム面光量とは、レーザから照射されたビームが、fθレンズや折り返しミラー等の光学系を経由して、実際に感光ドラム上に露光されるレーザ光量である。次に、通常では、感光体ドラム面光量がいずれの箇所でも均一となるような補正プロファイルデータを作成する。補正プロファイルデータは、光量補正回路のNVRAM1314に格納される。尚、本実施形態においては、上に説明した、現像容器の長手方向における、トナーの帯電電荷量分布を考慮するために、感光体ドラム面光量のいずれの箇所でも均一にする訳ではない。後述にて詳しく説明するが、このトナーの帯電電荷量分布を考慮する分だけ、感光体ドラム面光量を変化させる。
BD信号に同期してエンジンコントローラのCPU1312から出力されるコントロール信号を、光量補正回路の制御部1313が検知すると、所定のタイミングt1後から補正プロファイルデータの読出しを開始する。通常、画像両端部では補正プロファイルデータが00hであるため、DAコンバータの出力電圧は0Vとなり、補正電流IDは0mAとなる。よって通常では、走査方向において、画像両端部のレーザ電流およびレーザ光量は最大となる。
一方、通常では画像中央部/略中央部で補正プロファイルデータがFFhである。よって、最大光量から50%だけ光量が低下するようにDAコンバータ1315の基準電圧Vref値を予め設定しておく。そして、Vrefと補正プロファイルの乗算に基づく出力により、画像中央部/略中央部における補正電流IDは、定電流回路1311に流れる設定電流Isumの50%となる。この図15で説明した補正プロファイルデータにより、OFS特有の、主走査方向の両端部に挟まれる内側部において光量が高くなることによる上凸の光量分布のムラを抑制することができる。
図16は、画像中央に対して画像右端の光量を約5%増加させ、画像中央に対して画像左端の光量を約5%低下させるためのタイミングチャートである。
図15と同様に、基本となる補正プロファイルデータを決定する。次に画像右端よりも画像左端のデータ値を線形に10%高くなるように補正した補正プロファイルデータを作成する。この補正プロファイルデータを光量補正回路のNVRAM1314に記憶させておく。ここでは、勾配を10%としているが、帯電特性の変化に起因した画像濃度の変化を緩和できるように勾配が決定される。図16ではDAC出力電圧1602が、図15のDAC電圧に対して線形に増加していくように示されている。しかし、OFSの入射光束幅に対してポリゴンミラーの偏向面の走査方向長さが短いという特性から、感光ドラム上で線形に光量変化を持たせたい場合には、半導体レーザ1200の出力光量は、厳密には線形に増加はしない。但し、図16にDAC出力の勾配が小さい場合には、測定系の誤差を考慮すると、半導体レーザ1200の、補正プロファイルの増加分を、単純に線形増加させるだけで、実用上は感光ドラム上でほぼ線形の光量変化が得られる。
図16によれば、画像左端における補正プロファイルデータ1601は33hとなっている。画像中央の補正プロファイルデータはFFhであり、補正電流ID(VI変換電流ID1603)はIsumの50%となる。また、画像左右で光量差を持たせない図15において画像右端および左端の補正プロファイルデータは00h、補正電流IDは0mAである。一方、図16の画像左端においては補正プロファイルデータが33hであり、補正電流IDはIsumの10%となるため、実際のレーザ電流IL1604はIsumの90%となる。そして、このレーザ駆動電流ILにより下凸の光量分布であるレーザ光量1605が実現される。このとき、レーザ光量1605では、走査方向に沿って、発光光量の減少幅と増加幅とが異なっている。そして、画像左端の感光ドラム面光量1606)は、画像右端の感光ドラム面光量1606に対して約10%低くなる。画像右端から画像左端にかけてデータ値を線形に10%高くなるように補正プロファイルデータを補正しておくことで、光量補正後の光量は画像中央の光量に対して画像右端の光量は5%増加し、画像左端の光量は5%低下する。
この図15に示されるタイミングチャートにより、図2に示した現像装置及びOFS方式のレーザの走査光学系を搭載したプリンタにおいて、以下2つの濃度ムラ要因に起因した画像濃度のムラ(変動)をまとめて補正できる。(a)OFS方式のレーザの走査光学系における、主走査方向の両端部に挟まれる内側部において光量が高くなることによる上凸の光量分布のムラ。(b)トナーの搬送方向における上流側に対応した像担持体の一端から、前記トナーの搬送方向における下流側に対応した像担持体の他端にかけて、使用されるトナーの帯電特性の違い。
図17は、OFS方式において、補正プロファイルデータを作成するための、感光体ドラム面の光量測定位置を示した図である。測定の際には、光量補正は機能させないように設定される。
ここで、図18のフローチャートで、画像右部と画像左部との光量差を10%にする上での背景/考え方について、その概略を以下説明する。
(i) まず、(式1)IL =Isum−IDを考慮すると、画像左部の光量を画像右部の光量よりも10%下げたいので、画像左部における補正電流(図13のID)を、画像右部に対して10%大きくすれば良い。
(ii) そして、図18のフローチャートは、上記(i)を実行すべく、画像左部の実測光量を、画像右部の実測光量に対して、10%多くするよう擬似的な設定を行う。これにより、実測電流が大きいので、10%分だけ光量を下げるよう、結果光ビーム強度を10%弱める補正プロファイルに設定される。以下、具体的に説明する。
図18は、補正プロファイルデータおよびDAコンバータの基準電圧であるVref値の設定方法の一例を示すフローチャートである。
(ステップS1801)
ステップS1801で、CPU1312は、レーザ露光器13を起動させ、画像領域でレーザ1200を全発光させる。
(ステップS1802)
ステップS1802で、制御部1313は、基準電圧生成部1400にVref値として00hを設定して、DAコンバータ1315の出力電圧を0Vとする。このとき、補正電流IDは0mAとなるため、定電流回路1311に流れる設定電流Isumは、レーザ電流ILとなる。
(ステップS1803)
ステップS1803で、CPU1312は、光量補正を機能させていない状態で、図17に示したセンサする。本実施形態では、感光体ドラム面の5ポイントでそれぞれ光量を測定する。例えば、300mmの画像領域に対して、画像幅の中央を0mmとし、0mm、±100mm、±150mmといった5箇所にセンサ1701〜1705を設置する。感光体ドラム面の光量を測定するためのセンサを多く設置した方がより精度良く補正プロファイルを作成できる。
(ステップS1804)
ステップS1804で、CPU1312は、センサ出力電圧値を増減させる。より具体的には、画像左端の−150mmにおいて、センサ出力電圧値を5%減少させる。また、画像右端の+150mmにおいてセンサ出力電圧値を5%増加させる。そして、CPU1312は、中心部0mmにおいて増減無し、−150mmにおいて5%減少、+150mmにおいて5%増加させるような式(2)の一次式を決定する。
mx + n 式(2)
ここで、変数xとは、ビームの走査長を所定の値で分割したときのビームの走査位置である。
さらに、CPU1312は、実際に測定された長手方向における感光体ドラム面の光量分布における5箇所の値に、式(2)で求めた一次式から求まる値を加算(反映)し、補正後の測定結果を得る。(ステップS1804)
本実施形態では、現像剤の帯電特性の違いに起因した画像濃度の変動(図7)をキャンセルするよう、現像ローラの第一開口側に対応した感光体ドラム上の一端から第二開口側に対応した感光体ドラム上の他端にかけて徐々に光量を大きくしている。
図15で説明したように、OFS方式に起因するドラム面上の上凸の光量分布ムラのみを補正する場合には、ドラム面上の光量を測定した結果を用いて補正プロファイルを生成する為、現像剤の帯電量に起因した画像濃度傾きは考慮されていない。
そこで、OFS方式に起因する光量分布ムラのみを補正する場合のドラム面上の光量を測定した結果に、現像剤の帯電量に起因した画像濃度傾きに相当するドラム面上の光量を加減する。これにより、光量分布を均一化するような補正プロファイルデータを決定することで対応している。
そして、ステップS1805で、図17で示されるようなトナーの帯電特性を加味しない上凸の光量分布のムラにトナー帯電特性による濃度勾配を反映した反映後の上凸の光量分布を補正する為の補正プロファイルを決定する。より具体的には、補正後の測定結果に基づき、ビームの走査長を所定の値で分割したときの、ビームの各走査位置におけるセンサ出力電圧値の変化を式(3)の4次式で近似する。
ax4 + bx3 + cx2 + dx + e 式(3)さらに、式(3)で求められた4次近似式により、各ビームの走査位置におけるセンサ出力電圧値を、求めた4次近似式から決定する。
(ステップS1806)
ステップS1806で、CPU1312は、4次近似式から補正プロファイルデータを作成し、NVRAM1314へ格納する。まず、CPU1312は、ビームの走査長を所定の値で分割したときの、各走査位置におけるセンサ出力値を上述の近似式から演算する。CPU1312は、各走査位置におけるセンサ出力値のうち最大電圧値をFFhとし、最低電圧値を00hとする。さらに、CPU1312は、最大電圧値と最小電圧値の差分電圧を255分割し、各走査位置におけるセンサ出力値を2byte形式のデータ値に変換する。このようにして作成した各走査位置における補正プロファイルデータがNVRAM1314に記憶される。この補正プロファイルデータと、後述にて決定されるVrefを乗算した出力により、ステップS1805で求められた4次近似式の形に類似した補正電流ID変化を実現することができる。
(ステップS1807)
ステップS1807〜1809では、一番補正量が大きい箇所について、光量補正が行われて無い場合の左部における光量(センサの出力電圧が対応する)と同じ光量になるようなVref値を決定する処理を行う。
(式1)で、IL=Isum−IDと説明したように、光量を下げるには、補正量(ID)を大きくする必要がある。そして、この補正量(ID)は、補正プロファイルデータ(この場合FFh)とVrefとの乗算に基づく出力で決定されるので、どれくらいのVrefにすれば、必要なだけの補正量にできるかを決定するのである。
ステップS1807で、CPU1312は、各走査位置における補正プロファイルデータのうちデータ値がFFhとなっている走査位置にセンサの1つを移動する。
(ステップS1808)
ステップS1808で、CPU1312は、Vref値を00hから所定値だけ増加させて基準電圧生成部1400に設定する。
(ステップS1809)
ステップS1809で、制御部1313は、最大センサ出力値VDmaxが最低電圧値Vminと等しいか否かを判定する。なお、最低電圧値Vminは、各走査位置におけるセンサ出力値のうちの最低値である。また、最大センサ出力値VDmaxは、移動後のセンサによって検出されたセンサ出力値である。VDmax=Vminでなければ、ステップS1808に戻り、さらに所定値だけVref値を増加させる。
最終的に、VDmax=Vminとなると、ステップS1810に進み、制御部1313は、そのときのVref値をNVRAM1314に記憶させる。
ステップS1806でNVRAMに保存した補正プロファイルは図16のタイミングチャートにおける補正プロファイルデータ1601である。また、S1810でNVRAM1314に記憶したVref値を補正プロファイルデータ1601と掛け合わせた電圧値が1602のDAC出力電圧となる。
Vminとなる走査位置における補正プロファイルデータ値は00hであり、そのときの補正電流IDは0mAとなる。よって、定電流回路1311に流れる設定電流Isumは、レーザ電流ILとなる。一方、補正プロファイルデータ値がFFhとなる走査位置においては、補正電流IDは1ビーム走査周期において最も高くなる。よって、レーザ電流ILは最低となる。
本実施形態によれば、現像剤の帯電特性の違いに起因した画像濃度の変動を補正することで、劣化した現像剤と新しく補給された現像剤とが混在した状態であっても、濃度ムラ等の画像不良の発生が抑制され、良好な画像が得られるようになる。
すなわち、トナー補給方式を採用した画像形成装置において、現像ローラと並行したトナー搬送スクリューによってトナーを現像ローラに沿って搬送しながら現像ローラ上にトナーを供給すると、帯電特性の違いに起因した画像濃度の変動が生じやすい。そこで、トナーの搬送方向における上流側に対応した感光体ドラムの一端から、当該搬送方向における下流側に対応した感光体ドラムの他端にかけて、露光光量が徐々に小さくなるようレーザ露光器を制御する。このような露光特性によって帯電特性がキャンセルされ、濃度ムラ等の画像不良の発生が抑制され、良好な画像が得られるようになる。
本実施形態においては、現像装置内におけるトナー帯電電荷量分布が、図4に示したような分布を持つと仮定した。しかし実際には、画像形成装置(現像装置14)の稼動状態や履歴(例:印刷環境、画像パターン、通算印刷回数等)に応じて、トナー帯電量分布が変動することもあり得る。ところが、このような場合においても、画像形成装置における平均的な稼動状態を想定し、その稼働状態で生じるトナー帯電電荷量分布を見込んでレーザ露光光量の分布を設定することで、本発明の狙う効果が得られる。例えば、レーザ露光光量の分布を設定するに際し、感光体ドラムの一端から他端にかけての露光光量(補正プロファイルデータ)の勾配を複数取得して、その平均値が使用されてもよい。より具体的には、帯電特性の変動を経験的に複数取得し、さらに取得した各変動に対応した露光光量の勾配を取得し、取得した複数の勾配から平均値が算出される。
また、CPU1312や制御部1313が、画像形成装置の稼働状態に応じて感光ドラムの一端から他端にかけてのレーザ発光部による光量を変化させる補正プロファイルデータ(図16の1601に相当)を設定する設定手段として機能してもよい。例えば、稼働状態としてCPU1312が画像形成枚数をカウントし、カウント値に対応した補正プロファイルデータをNVRAM1314から読み出し画像形成に用いるよう設定する。つまりNVRAM1314には、予め複数のカウント値のそれぞれに対応した補正プロファイルデータが格納されているものとする。あるいは、制御部1313が、カウント値に応じた係数を基本となる補正データプロファイルに乗算することで、そのカウント値に応じた補正プロファイルデータを演算してもよい。
本実施形態では、一成分現像剤を使用する画像形成装置について説明した。しかし、本発明は、二成分現像剤を使用する画像形成装置にも適用できることはいうまでもない。ただし、一成分現像剤の方が、より不均一なトナー帯電電荷量分布が生じ易いため、本発明の効果がより得られ易いだろう。尚、二成分現像剤を使用する画像形成装置では、一成分現像剤を使用する画像形成装置の場合とは逆に、現像ローラ上のトナー層における負帯電電荷量が、トナー搬送スクリューによる搬送方向上流側で小さく、下流側にかけて大きくなる分布を有する場合もある。また、図3に示した現像容器141の構成が左右逆の場合にも負帯電電荷量の分布は図4で示した分布とは逆になる。これらの場合には、露光光量分布の勾配を上述の実施形態とは逆にすればよい。即ち、図16で、画像右側の感光ドラム面光量が画像左側よりも10%低くなるように、補正プロファイルデータを作成して用いるようにすれば良いのである。
本実施形態では、フルカラー方式の画像形成装置について説明したが、モノカラー方式の画像形成装置についても、本発明をできる。その場合も、本発明の効果が同様に得られる。ただし、フルカラー方式の画像形成装置では、異なる色の画像を重ね合わせて多色画像を形成するため、モノカラー方式の画像形成装置に比べ濃度ムラ等の画像不良が目立ち易い。よって、フルカラー方式の画像形成装置では、より本発明の需要が高いだろう。
本実施形態では、レーザ露光器としてOFS方式を採用した。しかし、UFS方式が採用されたレーザ露光器を有する画像形成装置についても、本発明を適用できる。この場合、レーザ駆動制御を、UFS方式のレーザ露光器の光学的特性に合わせて実行し、感光体ドラム面における長手方向の光量に所望の分布を持たせることで、本発明の効果が同様に得られる。
本実施形態では、光源として半導体レーザを一例として説明したが、LEDなど、他の光源についても本発明を適用できる。すなわち、感光体ドラム上で所望の露光光量分布が得られるようLEDの発光パターンを最適化すれば、本発明の効果が得られ。
本実施形態では、補正プロファイルデータを画像形成装置が作成するものとして説明した。しかし、CPU1312やセンサ1701〜1705に相当するCPU及びセンサを備えた外部装置によって作成してもよい。また、センサ1701〜1705を取り外し式のセンサとすることで、工場出荷の際にだけ、センサ1701〜1705をCPU1312に接続してもよい。この場合、各画像形成装置にセンサ1701〜1705を設ける必要がなくなるため、コストの削減に寄与するであろう。
なお上に述べてきた各種変形例は、後述の各実施形態においても同様であることをここで述べておく。
[実施形態2]
本実施形態では、現像剤の帯電特性の違いに起因した画像濃度の変動を補正手段を、像担持体の露光感度を工夫することで実現するものである。すなわち、現像剤の搬送方向における上流側に対応した像担持体の一端から、現像剤の搬送方向における下流側に対応した像担持体の他端にかけて、露光感度が徐々に小さくなるように製造された像担持体を採用する。よって、実施形態1のようなレーザ露光光量の制御は必ずしも必要ない。
図19は、実施形態に係る感光体ドラムの露光感度の一例を示す図である。横軸は、感光体ドラム上の長手位置を示す。縦軸は対応する長手位置における感光体ドラム表面の露光感度を示す。
図19によれば、感光体ドラム上において、現像ローラの第一開口側に対応する端部側で感度が大きく、第二開口側に対応する端部側で感度が小さくなる。感光体ドラム11は、このような感度勾配を有している。このような感度勾配を達成するには、感光体ドラム11における光導電層の材料特性や膜厚等を長手方向で調整して製造すればよい。
実施形態2におけるレーザ露光光量の長手分布は、図5に示したものと同様であってよい。しかし、感光体ドラム11が図19に示したような露光感度の長手分布を有するため、各長手位置で同じ光量の露光を行ったとしても形成される露光電位は変化する。つまり、露光感度の大きな第一開口側では低い露光電位(の絶対値)が得られ、露光感度の小さい第二開口部側では相対的に高い露光電位(の絶対値)が得られる。例えば、感光体ドラム上に70%濃度で露光したときの露光電位の長手分布は、図10と同様のものとなる。従って、転写材上の画像濃度も、実施形態1(検討1)の図11と同様の、長手方向で均一な分布となる。
以上説明したように、本実施形態によれば、現像剤の帯電特性の違いに起因した画像濃度の変動を補正するような露光感度を感光体ドラムに持たせることで、濃度ムラ等の画像不良の発生が抑制され、良好な画像が得られるようになる。
実施形態2の構成は、実施形態1で述べたようなレーザ露光器の制御が製造コストダウン等の理由により実施できない画像形成装置で、特に有効であろう。感光体ドラムの変更だけであれば、製造コストの大きな上昇は生じないからである。
[実施形態3]
上述の実施形態においては、例えば、稼働状態としてCPU1312が画像形成枚数をカウントし、カウント値に対応した補正プロファイルデータをNVRAM1314から読み出すことを説明した。本実施形態では、このことについて、より詳細に説明を行う。
以下では、感光ドラムの一端から他端にかけてのレーザ発光部による光量を変化させる為の補正プロファイルを複数通りNVRAM1314に記憶させておく。そして、トナー像(パッチ)を左右に形成して検知することで、使用されるトナーの帯電特性の連続的な変化に起因した濃度変化の勾配を検出し、当該検出結果に基づき適切な補正プロファイルを読込み設定する形態を説明する。
<濃度センサの説明>
図20は、画像濃度検知手段としての濃度センサの構成を示す図である。この濃度センサは、例えば、図1における駆動ローラ17に対向する位置に設けられている。また本実施形態では、感光ドラムの長手方向の濃度ムラを検出する為、駆動ローラ17の長手方向に複数設けられている。長手方向に配置する濃度センサの数が多い程、長手方向における濃度ムラを精度よく検出できる。
濃度センサは、LED2000などの発光素子と、フォトダイオード2001、CdSなどの受光素子、及びホルダー2002から構成される。
中間転写ベルト1上に形成された画像濃度制御用のトナー像(以後、パッチと呼ぶ)に対し発光素子からの光を照射し、そこからの正反射光及び乱反射光を受光素子で受けることによりパッチの濃度を測定する。
<濃度センサの設置及び濃度検出様子>
図21は、中間転写ベルト1に対する濃度センサの配置様子及び濃度検出様子を示す図である。図21では二個の濃度センサが設置されており、2101は第一開口側、2102は第二開口側に設置されている。
中間転写ベルト1上に形成された第一開口側、及び第二開口側で同じ濃度である例えば70%ハーフトーンの画像濃度差検出用のトナー像(パッチ)を形成する。また、トナー像(パッチ)は各色毎に形成されているものとする。
中間転写ベルト1は図示した矢印の方向に回転し、濃度センサによって各トナー像の濃度を検出する。
トナー像の濃度は、画像の左右濃度差が顕著となる例えば70%のハーフトーンのみで検出する例を示したものの、幾つかの濃度のトナー像を形成し、検出してもよい。
本実施形態における画像濃度ムラ検出制御は、画像の階調特性を所定の特性に合わせる階調制御を行った後に行うことが望ましい。
<パッチ画像の形成及び検出>
図22は、実施形態に係る光量補正制御に関与するレーザ駆動回路とエンジンコントローラと濃度センサの一例を示した図である。図14との違いは、濃度センサがCPU1312に接続され、濃度センサの検出結果をCPUが取り込み、各種演算を行える点である。
画像の左右濃度差を検出する制御は、具体的には以下のようにして行われる。まず、現像装置の累計画像形成枚数、ホストコンピュータやユーザからの指示等の適当なタイミングを制御部内のCPUが検出すると、CPUは画像濃度差検出制御をスタートさせる。上に説明した図18、後述の図23、図24、図25のフローチャート等が、このCPUによる画像濃度差検出制御のスタートに応じて実行される。
CPUは制御部のROMから画像濃度差検出制御用の各色の現像バイアスを読み出す。その後、CPUは画像形成装置本体の初期動作を開始するとともに、感光ドラム1Y〜1Bkを所定の帯電バイアスでそれぞれ帯電する。
次に、CPUはテストパターン発生手段から発生させた画像濃度差検出用のパッチの画像データを露光装置に送り、感光ドラム上に回転方向に沿ってトナー像(パッチ)の潜像を形成する。感光ドラム上に形成されたパッチのトナー像は、感光ドラムと転写ローラとの間の電圧印加により転写ベルトに転写される。
そして、イエロー(Y)2103のパッチに続いてマゼンタ(M)のパッチ2104、シアン(C)のパッチ2105、ブラック(Bk)のパッチ2106も同様に形成し、転写ベルト上にパッチが形成される。CPUは濃度センサの発光部へ発光信号を送信しLEDを発光させる。
次に、これらのパッチY、M、C、Bkを濃度センサの受光部によってそれぞれ測定し、濃度信号としてCPUが検知する。CPUは検知した第一開口側の濃度測定値DRY、DRM、DRC、DRBkおよび第二開口側の濃度測定値DLY、DLM、DLC、DLBkを制御部内のRAMに書き込む。
一方、転写ベルト上に形成されたパッチは転写ベルトクリーニング手段によってクリーニングされる。
パッチの測定が終わると、CPUはRAMに保存された各色毎に各パッチの濃度を比較し、画像左右濃度差を演算する。
<補正プロファイルの作成手順について>
次にレーザの駆動電流を制御するための補正プロファイルデータの作成手順について説明する。
まず、予め工場などにおいてレーザ露光器13により、光量補正を機能させずに感光体ドラム面の走査方向に沿った光量を数箇所測定する。この測定される光量を感光ドラム面光量と呼ぶ。
ここで感光体ドラム面光量とは、レーザから照射されたビームが、fθレンズや折り返しミラー等の光学系を経由して、実際に感光ドラム上で露光されるレーザ光量である。
次に、通常では、感光体ドラム面光量がいずれの箇所でも均一となるような補正プロファイルデータを作成する。
感光体ドラム面光量が均一となるような補正プロファイルデータをP0、その際の基準電圧Vref値をVref0とし、光量補正回路のNVRAMに格納する。
次に画像右端よりも画像左端のデータ値を線形に10%高くなるように補正した補正プロファイルデータを作成する。
この補正プロファイルデータをP+10とし、その際の基準電圧Vref値であるVref+10とあわせて、画像左右濃度差DdY、DdM、DdC、DdBkが+7.5%より高い場合に採用するプロファイルとして光量補正回路のNVRAMに記憶させる。
同様に、画像右端よりも画像左端のデータ値を線形に5%高くなるように補正した補正プロファイルデータをP+5、その際の基準電圧Vref値をVref+5とする。そしてこれらを画像左右濃度差DdY、DdM、DdC、DdBkが+2.5%以上、+7.5%以下の場合に採用するプロファイルとする。また、10%低くなるように補正した補正プロファイルデータをP−10、その際の基準電圧Vref値をVref-10とし、像左右濃度差DdY、DdM、DdC、DdBkが−7.5%より低い場合に採用するプロファイルとする。また、5%低くなるように補正した補正プロファイルデータをP−5、その際の基準電圧Vref値をVref-5とし、画像左右濃度差DdY、DdM、DdC、DdBkが−7.5%以上、−2.5%より低い場合に採用するプロファイルとする。夫々のプロファイルを光量補正回路のNVRAMに記憶させておく。
図23Bは、光量補正回路のNVRAMのRAMデータの一例を示した図である。データとして、補正データの選択条件、ビーム走査長を22個の区間に分割した各補正プロファイルデータ、及び各補正プロファイルデータに対応した基準電圧Vrefが記憶されている。なおビーム走査長を22個の区間に分割したのは一例であり、より細かい区間で分割しても良い。
<補正プロファイルの選択方法>
ここで、図23Aのフローチャートで、濃度センサによって検出した画像の左右濃度差に基づき予め記憶させておいた補正プロファイルから最適な補正プロファイルを選択してレーザ発光光量を制御する方法の一例を説明する。
なお、図23Aのフローチャートが実行されるタイミングは上に説明したように、現像装置の累計画像形成枚数、ホストコンピュータやユーザからの指示等のタイミングである。
ステップS2301でCPUはテストパターン発生手段から発生させた画像濃度差検出用のパッチの画像データを露光装置に送る。そして感光ドラム上に濃度センサが設置されている第一開口側および第二開口側の2箇所に画像濃度差検出用のトナー像(パッチ)Y、M、C、Bkを形成する。
なお、ステップS2301でトナー像を形成する場合には、ステップS1803で測定された感光ドラム面の光量分布をキャンセルする補正プロファイルに基づき露光が行われる。このときに用いられる補正プロファイルは、ステッステップS1804で式(2)の一次式から求まる値を加算しない場合に求められた4次近似式に相当する。また、センサ出力値のうち最大電圧値をFFhとした場合のVref値の求めかたは、式(2)の一次式から求まる値を加算しない場合に求められた4次近似式に対して、図18のS1807〜1809を実行すれば良い。
図23Aの説明に戻る。次にステップS2302でCPUは濃度センサの発光部を発光させ、画像濃度差検出用のトナー像(パッチ)Y、M、C、Bkを濃度センサの受光部によってそれぞれ検出し、濃度信号としてCPUが検知する。CPUは検知した第一開口側の濃度測定値DRY、DRM、DRC、DRBkおよび第二開口側の濃度測定値DLY、DLM、DLC、DLBkを制御部内のRAMに書き込む。
パッチ濃度の検出が終わると、ステップS2303でCPUはRAMに記憶させた第一開口側の濃度測定値DRY、DRM、DRC、DRBk及び第二開口側の濃度測定値DLY、DLM、DLC、DLBkから各パッチの濃度を比較する。そして、画像左右濃度差DdY、DdM、DdC、DdBkを夫々、DdY=DRY−DLY、DdM=DRM−DLM、DdC=DRC−DLC、DdBk=DRBk−DLBkとして演算する。
そして、ステップS2304乃至ステップS2312では、ステップS2303で求められた結果を、図23Bに示されるテーブルに照らし合わせて、最適な光量補正プロファイルデータを画像形成に用いるよう設定する。図23Aには、使用されるトナーの帯電特性の連続的な変化に起因した画像濃度の変動(図7に例示)をキャンセルする為の補正プロファイルデータが、複数通りの画像濃度の変動に対応して記憶されている。以下、各ステップを具体的に説明していく。
ステップS2304で、ステップS2303で演算した画像左右濃度差DdY、DdM、DdC、DdBkが−7.5%以上、−2.5%以下であるかを判定する。該当すると判定されるとステップS2305へ進み、該当しない場合は、ステップS2307へ進む。
ステップS2305では、画像左右濃度差DdY、DdM、DdC、DdBkが−7.5%以上、−2.5%以下の場合には、画像右端よりも画像左端の露光光量が5%低くなるように補正した補正プロファイルデータP-5を選択する。次にステップS2306で基準電圧Vref-5を選択し設定する。
ステップS2307で、ステップS2303で演算した画像左右濃度差DdY、DdM、DdC、DdBkが−7.5%より低いかを判定する。該当すると判定されるとステップS2308へ進み、該当しない場合は、ステップS2310へ進む。
ステップS2308では、画像左右濃度差DdY、DdM、DdC、DdBkが−7.5%より低い場合には、画像右端よりも画像左端の露光光量が10%低くなるように補正した補正プロファイルデータP-10を選択及び設定する。次にステップS2309で、基準電圧Vref-10を選択し設定する。
ステップS2310で、ステップS2303で演算した画像左右濃度差DdY、DdM、DdC、DdBkが+2.5%以上、+7.5%以下であるかを判定する。該当すると判定されるとステップS2311へ進み、該当しない場合は、ステップS2313へ進む。
ステップS2311では、画像左右濃度差DdY、DdM、DdC、DdBkが+2.5%以上、+7.5%以下の場合には、画像右端よりも画像左端の露光光量が5%高くなるように補正した補正プロファイルデータP+5を選択し設定する。次にステップS2312で、基準電圧Vref+5を選択し設定する。
ステップS2313で、ステップS2303で演算した画像左右濃度差DdY、DdM、DdC、DdBkが+7.5%より高いかを判定する。該当すると判定されるとステップS2314へ進み、該当しない場合は、ステップS2316へ進み感光体ドラム面光量がいずれの箇所でも均一となるような補正プロファイルデータP0のままとなる。そしてステップS2317で、基準電圧Vref0を選択し設定する。
ステップS2314では、画像左右濃度差DdY、DdM、DdC、DdBkが+7.5%より高い場合には、画像右端よりも画像左端の露光光量が10%高くなるように補正した補正プロファイルデータP+10を選択し設定する。次にステップS2315で、基準電圧Vref+10を選択する。
以上のように本実施形態によれば、簡易な仕組みで、像担持体の一端から他端にかけての、使用されるトナーの帯電特性の連続的な変化に起因した画像濃度変動に動的に対応することができる。
より具体的には、現像剤の帯電特性の違いに起因した画像濃度の変動を補正することで、劣化した現像剤と新しく補給された現像剤とが混在した状態であっても、濃度ムラ等の画像不良の発生が抑制され、良好な画像が得られるようになる。
さらに、随時画像の左右濃度差を濃度センサによって検出し、検出結果から濃度左右差を解消する最適な補正プロファイルを選択することによって、経時変化による現像剤の帯電特性変動の影響を減少することこができる。よって、実施形態1よりも濃度ムラ等の画像不良の発生がより抑制され、良好な画像が得られるようになる。
[実施形態4]
上述の実施形態3は、予め事前にNVRAM1314lに記憶させておいた、複数とおりの補正プロファイルより、その都度の状況に応じた補正プロファイルを選択するよう説明した。
これに対して、本実施形態では、補正プロファイル及びVref値を、その都度の状況に応じて、その場で演算し決定する場合を説明する。
<正プロファイルデータの作成手順>
図24は、画像濃度変動を補正するための補正プロファイル及びVref値を決定するフローチャートである。ここでの画像濃度変動は、感光ドラムの両端部に挟まれる内側部で光量が高くなる上凸の光量分布のムラと、現像ローラの長手方向に沿って変化するトナーの帯電特性とに起因する。
より具体的には、図24は、本実施形態における補正プロファイルデータおよびDAコンバータの基準電圧であるVref値の設定方法と補正プロファイルデータ演算の一例を示すフローチャートである。
なお、図24のフローチャートが実行されるタイミングは図23のフローチャート実行タイミングと同様とする。
本フローチャートでは、Vref値の設定と補正プロファイルデータ演算に関してはイエロー(Y)のステーションを例に説明を行う。
(ステップS2401)
ステップS2401でCPUはテストパターン発生手段から発生させた画像濃度差検出用のパッチの画像データをレーザ露光器13に送る。そして感光ドラム上に濃度センサが設置されている第一開口側および第二開口側の2箇所に画像濃度差検出用のトナー像(パッチ)Y、M、C、Bkを形成する。パッチの形成様子は図21に示した通りである。
(ステップS2402)
ステップS2402でCPUは濃度センサの発光部を発光させ、画像濃度差検出用のトナー像(パッチ)Y、M、C、Bkを濃度センサの受光部によってそれぞれ測定し、濃度信号としてCPUが検知する。CPUは検知した第一開口側の濃度測定値DRY、DRM、DRC、DRBkおよび第二開口側の濃度測定値DLY、DLM、DLC、DLBkを制御部内のRAMに書き込む。
(ステップS2403)
ステップS2403で、CPUはRAMに記憶させた第一開口側の濃度測定値DRY、DRM、DRC、DRBkおよび第二開口側の濃度測定値DLY、DLM、DLC、DLBkから各パッチの濃度を比較する。より具体的には、画像左右濃度差DdY、DdM、DdC、DdBkをそれぞれ、DdY=DRY−DLY、DdM=DRM−DLM、DdC=DRC−DLC、DdBk=DRBk−DLBkとして演算する。
以下、ステップS2404〜S2406については、上に説明した図18と基本的に同様なので、ここでは詳しい説明を省略する。
(ステップS2407)
ステップS2407で、CPU1312は、センサ出力電圧値を増減(反映)させる。より具体的には、画像左端の−150mmにおいて、センサ出力電圧値をステップS2403で判定した結果から、DdY/2%減少させる。また、画像右端の+150mmにおいてセンサ出力電圧値をDdY/2%増加させる。そして、CPU1312は、中心部0mmにおいて増減無し、−150mmにおいてDdY/2%減少、+150mmにおいてDdY/2%増加させるような式(2)の一次式を決定する。
mx + n 式(2)
ここで、変数xとは、ビームの走査長を所定の値で分割したときのビームの走査位置である。
そして、CPU1312は、実際に測定された長手方向における感光体ドラム面の光量分布における5箇所の値に、式(2)で求めた一次式から求まる値を加算し、補正後の測定結果を得る。これにより、ステップS2408以降の処理で、図17で示されるようなトナーの帯電特性を加味しない上凸の光量分布のムラに対し、濃度検出結果(トナー帯電性)を反映した反映後の上凸の光量分布を補正する為の補正プロファイルを決定することができる。
ステップS2408〜ステップS2413については、図18のステップS1805〜S1809と同様の処理をおこなう。ここでは詳しい説明は省略する。
上述のフローチャートにより、光量補正後の光量は画像中央の光量に対して画像右端の光量は(DRY/2)%増加し、画像左端の光量は(DRY/2)%低下させる。これにより、画像右端から画像左端にかけてデータ値を線形にDRY%高くなるように補正プロファイルデータを補正できる。そして、図17に示した上凸の感光ドラム面光量のみならず、図4に例示したような、現像ローラの長手方向の負帯電電荷量の経年変化、環境変化にも、柔軟に対応することができる。
なお、本フローチャートでは、イエローのステーションを例に説明を行ったものの、他のステーションについても同様に実行されるものとする。
[実施形態5]
上述の実施形態4では、図17に示したセンサ1701〜1705を用い、補正プロファイルを演算する形態を説明した。これに対して、本実施形態では、工場出荷等の際に予め1度だけセンサ1701〜1705をCPU1312に接続し用いる。そして、ユーザ先の画像形成装置本体自身により、感光体ドラム面の光量を測定するためのセンサ1701〜1705を用いずに補正プロファイルを演算する形態を説明する。
この場合、各画像形成装置にセンサ1701〜1705を設ける必要がなくなるため、コストの削減に寄与するであろう。
まず前提について説明する。本実施形態においては、図17で説明した如く、光量補正を機能させていない状態で、感光体ドラム面の画像幅の中央を0mmとしたときの0mm、±100mm、±150mmの5箇所の光量をセンサ1701〜1705を用いて例えば工場で測定する。そして測定結果であるセンサ出力電圧値を光量補正回路1302のNVRAM1314に記憶させておく。
また、そのとき5箇所で測定した測定結果より、OFS特有の光量分布のムラを抑制する補正プロファイル、及びDAコンバータの基準電圧であるVoref値を予め工場での出荷時に測定して、光量補正回路1302のNVRAM1314に記憶させておく。この予め記憶されているVoref値に対応する補正プロファイルは、現像剤の帯電特性の違いに起因した画像濃度の変動を加味していない。
<ユーザ先画像形成装置による補正プロファイルデータの作成手順>
図25は、画像濃度変動を補正するための補正プロファイル及びVref値を決定するフローチャートである。ここでの画像濃度変動は、感光ドラムの両端部に挟まれる内側部で光量が高くなる上凸の光量分布のムラと、現像ローラの長手方向に沿って変化するトナーの帯電特性とに起因したものである。
より具体的には、図25は、本実施形態における補正プロファイルデータおよびDAコンバータの基準電圧であるVref値の設定方法と補正プロファイルデータ演算を図24の場合と比べて更に簡易的に行う。
なお、図25のフローチャートが実行されるタイミングは図23、図24のフローチャート実行タイミングと同様とする。
なお、本フローチャートでは、Vref値の設定と補正プロファイルデータ演算に関してはイエロー(Y)のステーションを例に説明を行う。
まず、ステップS2501〜ステップS2503については、先に説明したステップS2401〜ステップS2403と同様の処理なので詳しい説明を省略する。
(ステップS2504)
そして、ステップS2504で、CPU1312は、NVRAM1314より、予め工場で記憶させておいた光量補正を機能させていない状態での0mm、±100mm、±150mmの5箇所のセンサ出力電圧値を読み込む。そして、CPU1312は、S2503で得られた画像左右濃度差DdYの結果から、予め工場で記憶させておいた光量補正を機能させていない状態での0mm、±100mm、±150mmの5箇所のセンサ出力電圧値を増減(反映)させる。
より具体的には、画像左端の−150mmにおいて、センサ出力電圧値をDdY/2%減少させる。また、画像右端の+150mmにおいてセンサ出力電圧値をDdY/2%増加させる。そして、CPU1312は、中心部0mmにおいて増減無し、−150mmにおいてDdY/2%減少、+150mmにおいてDdY/2%増加させるような式(2)の一次式を決定する。
mx + n 式(2)
ここで、変数xとは、ビームの走査長を所定の値で分割したときのビームの走査位置である。
さらに、CPU1312は、実際に測定された長手方向における感光体ドラム面の光量分布における5箇所の値に、式(2)で求めた一次式から求まる値を加算(反映)し、補正後の測定結果を得る。これにより、ステップS2505以降の処理で、図17で示されるようなトナーの帯電特性を加味しない上凸の光量分布のムラに対し濃度検出結果を反映した反映後の上凸の光量分布を補正する為の補正プロファイルを決定することができる。
(ステップS2505)
そして、ステップS2505で、補正後の測定結果に基づき、ビームの走査長を所定の値で分割したときの、ビームの各走査位置におけるセンサ出力電圧値の変化を式(3)の4次式で近似する。
ax4 + bx3 + cx2 + dx + e 式(3)
さらに、式(3)で求められた4次近似式により、各ビームの走査位置におけるセンサ出力電圧値を、求めた4次近似式から決定する。
( ステップS2506)。
ステップS2506で、は上述したステップS1806と同様の処理なので詳しい説明は省略する。
(ステップS2507)
ステップS2507で、CPU1312は、ステップS2506で演算した各走査位置におけるセンサ出力値のうち最大電圧値をVtmax、最低電圧値Vtminとして、Vtd=Vtmax―Vtminを演算する。
(ステップS2508)
ステップS2508で、CPU1312は、予めNVRAM1314に記憶された、光量補正を機能させていない状態での0mm、±100mm、±150mmの5箇所のセンサ出力電圧値を読み込む。また読込んだセンサ出力電圧値から、ステップS1804〜S1806と同様の処理により各走査位置におけるセンサ出力値を決定する。演算した各走査位置におけるセンサ出力値のうち最大電圧値をVomax、最低電圧値Vominとして、Vod=Vomax―Vominを演算する。
ここで、図26に本フローチャートのステップS2506で演算した各走査位置におけるセンサ出力値およびステップS2508で求めた各走査位置におけるセンサ出力値を示す。Vtmaxの走査位置における補正プロファイルデータはFFh、Vtminの走査位置における補正プロファイルデータは00hとなる。
従って、ステップS2506のセンサ出力値において、Vtmaxによって補正電流IDtmaxは最大に、またVtminによって補正電流IDtminは最小(零)となる。
同様に、Vomaxの走査位置における補正プロファイルデータはFFh、Vominの走査位置における補正プロファイルデータは00hとなる。よって、S2506のセンサ出力値においてVomaxでは補正電流IDomaxは最大、Vominでは補正電流IDominは0となる。
ここで、補正電流IDは、基準電圧生成部1400が出力したVref値に相当する電圧に、補正プロファイルデータ(FFH等)を掛け合わせたものであるので、Vref値に比例する。即ち、VtmaxおよびVomaxの走査位置における補正プロファイルデータはFFhであるから、VtmaxおよびVomaxの走査位置における補正電流IDはそれぞれのVref値に比例する。従って、本実施形態におけるVrefは、光量補正を機能させていない状態のDAコンバータの基準電圧をVoref値とすると、
Voref×(IDtmax/IDomax)
となり、
Voref×(Vtd/Vod)
により演算することができ、当該演算がCPU1312により実行される。
(ステップS2509)
ステップS2509で、CPU1312は、予め光量補正回路1302のNVRAM1314に記憶させておいた光量補正を機能させていない状態のDAコンバータの基準電圧であるVoref値を読み出す。ステップS2507およびステップS2508で演算したVtdおよびVodから式(4)によってVref値を演算する。
Voref×(Vtd/Vod)
(ステップS2510)
ステップS2510で、制御部1313は、ステップS2509で演算したVref値をNVRAM1314に記憶させる。
これにより、図4に例示したような、現像ローラの長手方向の負帯電電荷量の経年変化、環境変化に柔軟に対応することができる。また、本実施形態では、感光体ドラム面のセンサを画像形成装置に設ける必要がないため、コストの削減に寄与する。
なお、本フローチャートでは、実施形態4と同様に、イエローのステーションを例に説明を行ったものの、他のステーションについても同様に実行されるものとする。
以上説明してきたように、本実施形態においては、各画像形成装置にセンサ1701〜1705を設ける必要がなくなるため、コストの削減に寄与することができる。