JP5096761B2 - 真空封止デバイスの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば、加速度センサ、ジャイロセンサ、アクチュエータ、赤外線センサや、画像形成装置などの真空封止デバイスの製造方法に関するものである。
従来から、真空封止デバイスとして、例えば、加速度センサ、ジャイロセンサ、アクチュエータ、赤外線センサや、画像形成装置などが知られている(例えば、特許文献1,2)。
ここで、上記特許文献1,2には、図3に示すように、多数個の電子源素子401が一表面側においてマトリクス状に配置された平板状のガラス基板からなるリアプレート400と、リアプレート400の上記一表面側に離間して配置されリアプレート400に対向する面側に電子加速電極を兼ねるメタルバック501および蛍光体層502が形成された平板状のガラス基板からなるフェースプレート500と、フェースプレート500とリアプレート400との間に介在する矩形枠状のフレーム(ガラス外枠)600とを備え、リアプレート400とフェースプレート500とフレーム600とで構成される気密容器内の空間を真空に保つように構成された画像形成装置が記載されている。ここにおいて、上述の画像形成装置は、フェースプレート500およびリアプレート400とフレーム600とがフリットガラスを用いて封着されており、フェースプレート500とリアプレート400との互いの対向面側それぞれの適宜位置にZrを主成分とする合金あるいはTiを主成分とする合金からなる非蒸発型ゲッタ504,404が形成されている。
ところで、真空封止デバイスの製造方法として、気密容器内に、別途に形成したペレット状の非蒸発ゲッタを配置するような製造方法を採用した場合には、非蒸発ゲッタのサイズに起因して真空封止デバイスの小型化が制限されてしまうという問題があった。
そこで、真空封止デバイスの気密パッケージの構成部材の所定部位に微細な非蒸発ゲッタを形成する方法として、粉末のゲッタ粒子を溶媒に溶かしたり分散させたスラリーをスクリーン印刷法などにより所定部位に塗布する塗布工程を行ってから、所定の焼成温度において溶媒を蒸発させて除去することで層状の非蒸発ゲッタを形成する焼成工程を行い、その後、非蒸発ゲッタの不要部分を除去するパターニング工程を行う方法が提案されている。
また、上記特許文献2には、上述の画像形成装置の製造方法において、リアプレート400の上記一表面側の配線などの微細パターン上に非蒸発ゲッタ404を形成する方法として、インクジェット法を利用することが記載されている。
一方、上記特許文献1には、上述の画像形成装置の製造方法として、フェースプレート500およびリアプレート400とフレーム600とをフリットガラスを用いて所定の封着温度(例えば、410℃)で封着する封着工程(接合工程)と、封着工程の後に気密容器内を排気管を通して真空排気する真空排気工程と、内部空間が真空に保たれた気密容器内の非蒸発型ゲッタ404,504を所定の活性化温度(例えば、350℃)で活性化する活性化工程と、活性化工程の後に排気管を封じ切る封止工程とを備え、封着工程において封着部を局所的に封着温度に加熱するとともに非蒸発ゲッタ具備領域を封着温度未満の規定温度(例えば、270℃)に加熱するようにし、活性化工程において非蒸発型ゲッタ404,504を上記規定温度よりも高温の活性化温度で加熱することで活性化するようにした画像形成装置の製造方法が提案されている。なお、この製造方法では、真空排気工程よりも後に気密容器内の脱ガスを行うベーキング工程が活性化工程を兼ねている。
特開2000−148036号公報 特開平10−337900号公報
ところで、上記特許文献1に記載された真空封止デバイスの製造方法では、封着工程において封着部を局所的に封着温度に加熱するとともに非蒸発ゲッタ具備領域を封着温度未満の規定温度に加熱するので、封着工程において非蒸発ゲッタ404,504が受けるダメージを小さくすることができ、非蒸発ゲッタ404,504の性能の低下を抑制することができる。
しかしながら、上記特許文献1に記載された真空封止デバイスの製造方法では、封着工程において封着部の熱が非蒸発型ゲッタ404,504へ熱伝導して非蒸発型ゲッタ404,504がダメージを受けて気密容器内が設計よりも低真空となってしまう恐れがあり、加速度センサ、ジャイロセンサ、アクチュエータ、赤外線センサなどの小型化が要求される真空封止デバイスの気密容器の小型化が制限されたり、非蒸発型ゲッタ404,504の配置位置の自由度が低くなる恐れがあった。
また、気密容器用部材に非蒸発型ゲッタを形成した後で他の気密容器要素との接合用部位を形成するような場合、接合用部位の形成時に非蒸発型ゲッタのゲッタ性能の低下を防止する必要があり、一方で、気密容器用部材に接合用部位を形成した後に非蒸発型ゲッタを形成する場合、非蒸発型ゲッタの形成時に接合用部位がダメージが受けるのを防止して、気密容器用部材と気密容器要素との接合工程での接合信頼性を高めることが重要である。しかしながら、上記特許文献2に開示された画像形成装置の製造方法では、非蒸発型ゲッタ404を形成するリアプレート400(気密容器用部材)とフレーム600(気密容器要素)とを接合するとともに、フレーム600とフェースプレート500とを接合する接合方法と、非蒸発型ゲッタ404の形成方法との時系列的な関係などについて明記されていなかった。
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、非蒸発ゲッタの配置位置の自由度が高く且つ気密容器内の高真空化を図れる真空封止デバイスの製造方法を提供することにある。
請求項1の発明は、気密容器内の所定部位に形成された非蒸発ゲッタにより気密容器内の真空を維持する真空封止デバイスの製造方法であって、ゲッタ粒子と溶媒とを混合したスラリーを気密容器の一部を構成する気密容器用部材における前記所定部位にのみ塗布する途布工程と、塗布工程の後に所定の焼成温度において前記溶媒を蒸発させて除去することにより非蒸発型ゲッタを形成する焼成工程と、焼成工程の後に気密容器用部材とともに気密容器を構成する少なくとも1つの気密容器要素と気密容器用部材とを所定の接合温度において接合することで気密容器を形成する接合工程と、接合工程の後に所定の活性化温度において前記非蒸発型ゲッタを活性化する活性化工程とを備え、焼成温度よりも活性化温度が高く、且つ、接合温度よりも活性化温度が高く、焼成工程と接合工程との間に、非蒸発型ゲッタの表面に保護膜を形成する保護膜形成工程を備え、保護膜形成工程では、N ガス雰囲気中で非蒸発型ゲッタを、焼成温度よりも高く且つ非蒸発型ゲッタの活性化温度よりも低い温度でアニールすることで非蒸発型ゲッタの表面を窒化して保護膜を形成することを特徴とする。
この発明によれば、塗布工程においてゲッタ粒子と溶媒とを混合したスラリーを気密容器の一部を構成する気密容器用部材における前記所定部位にのみ塗布し、また、非蒸発型ゲッタの焼成温度よりも活性化温度が高く、且つ、接合温度よりも活性化温度が高いので、接合工程において非蒸発型ゲッタがダメージを受けるのを防止することができるとともに非蒸発型ゲッタが活性化されるのを防止することができ、非蒸発型ゲッタの性能低下を防止することができるから、非蒸発ゲッタの配置位置の自由度が高く且つ気密容器内の高真空化を図れる真空封止デバイスを提供することが可能になる。また、この発明によれば、焼成工程と接合工程との間に、非蒸発型ゲッタの表面に保護膜を形成する保護膜形成工程を備えるので、焼成工程後に活性化工程を行うまでの間に非蒸発型ゲッタの表面に他の成分(例えば、水分など)が吸着するのを抑制でき、ゲッタ性能の低下を抑制できる。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記塗布工程では、ノズルから前記スラリーを吐出させることで塗布することを特徴とする。
この発明によれば、メタルマスク法やスクリーン印刷法などのようにマスクを前記気密容器用部材に接触させて前記スラリーを塗布することでパターン形成する必要がなく、非接触でパターン形成できるので、前記塗布工程において塗布箇所以外の部位がダメージを受けるのを防止することができ、また、所望の塗布箇所に精度良く塗布することができ、真空封止デバイスの小型化を図れる。
請求項3の発明は、請求項1または請求項2の発明において、前記塗布工程では、前記スラリーとして、前記ゲッタ粒子および前記溶媒に加えて粒子状のバインダを混合したものを用いるようにし、前記焼成工程が、前記非蒸発ゲッタとして、ゲッタ粒子とバインダとを密着させて隣り合うゲッタ粒子間がバインダで繋がれた複合層からなる非蒸発ゲッタを形成する複合化工程を兼ねていることを特徴とする。
この発明によれば、前記非蒸発型ゲッタがゲッタ粒子のみにより形成されている場合に比べて、一部のゲッタ粒子が剥離するのをより確実に防止でき、前記非蒸発型ゲッタそのものの信頼性および耐久性が向上するとともに、前記非蒸発型ゲッタの密着性が向上し、デバイス性能の安定化を図れる。
請求項1の発明では、非蒸発ゲッタの配置位置の自由度が高く且つ気密容器内の高真空化を図れる真空封止デバイスの製造方法を提供することが可能になるという効果がある。
本実施形態の真空封止デバイスは、図1(e)に示すように、第1の半導体基板(第1のシリコン基板)10を用いて形成されたデバイス本体1と、第2の半導体基板(第2のシリコン基板)20を用いて形成されデバイス本体1の一表面側(図1(e)における上面側)に封着された第1のパッケージ用基板2と、第3の半導体基板(第3のシリコン基板)30を用いて形成されデバイス本体1の他表面側(図1(e)における下面側)に封着された第2のパッケージ用基板3とを備えている。ここにおいて、デバイス本体1および第1のパッケージ用基板2および第2のパッケージ用基板3の外周形状は矩形状であり、各パッケージ用基板2,3はデバイス本体1と同じ外形寸法に形成されている。
本実施形態の真空封止デバイスは、静電容量型の加速度センサであり、センサ本体を構成するデバイス本体1は、枠状(本実施形態では、矩形枠状)のフレーム部11の内側に配置される重り部12が上記一表面側において可撓性を有する薄肉の撓み部13を介してフレーム部11に揺動自在に支持されており、重り部12が第1のパッケージ用基板2に設けられた固定電極25に対向する可動電極を兼ねている。ここにおいて、重り部12の周囲には撓み部13を除いてフレーム部11との間にスリット14が形成されている。なお、デバイス本体1の上述のフレーム部11、重り部12、各撓み部13は、マイクロマシニング技術(本実施形態では、バルクマイクロマシニング技術)を利用して形成すればよい。
また、デバイス本体1は、上記一表面側においてフレーム部11上に、上述の可動電極に電気的に接続された第1の電気接続用金属層19が形成されており、当該第1の電気接続用金属層19が、第1のパッケージ用基板2に設けられている2つの貫通孔配線24のうちの一方の貫通孔配線24(図1(e)における左側の貫通孔配線24)の一端側(図1(e)における下端側)に設けられた第2の電気接続用金属層29と接合されて電気的に接続されている。なお、本実施形態では、上述のように重り部12が可動電極を兼ねているが、重り部12における第1のパッケージ基板2側に金属膜や不純物拡散層などからなる可動電極を形成し、当該可動電極と第1の電気接続用金属層19とを金属配線や拡散層配線などにより適宜接続するようにしてもよい。
また、デバイス本体1は、上記一表面側においてフレーム部11の周部の全周に亘って第1の封止用金属層18が形成されており、上述の第1の電気接続用金属層19が、フレーム部11上において第1の封止用金属層18よりも内側に配置されている。
ここにおいて、デバイス本体1は、上記一表面側および上記他表面側それぞれに熱酸化膜(シリコン酸化膜)からなる絶縁膜16,17が形成されており、第1の封止用金属層18および第1の電気接続用金属層19は上記一表面側の絶縁膜16の同一レベル面上に同一厚さで形成されている。また、第1の封止用金属層18および第1の電気接続用金属層19は、接合用のAu膜と絶縁膜16との間に密着性改善用のTi膜を介在させてある。言い換えれば、第1の封止用金属層18および第1の電気接続用金属層19は、絶縁膜16の同一レベル面上に形成されたTi膜と当該Ti膜上に形成されたAu膜との積層膜により構成されている。要するに、第1の電気接続用金属層19と第1の封止用金属層18とは同一の金属材料により形成されているので、第1の電気接続用金属層19と第1の封止用金属層18とを同時に形成することができるとともに、第1の電気接続用金属層19と第1の封止用金属層18とを同じ厚さに形成することができる。ここで、第1の封止用金属層18および第1の電気接続用金属層19は、Ti膜の膜厚を30nm、Au膜の膜厚を500nmに設定してあるが、これらの数値は一例である。なお、本実施形態では、各Au膜と絶縁膜16との間に密着性改善用の密着層としてTi膜を介在させてあるが、密着層の材料はTiに限らず、例えば、Cr、Nb、Zr、TiN、TaNなどでもよい。また、第1の封止用金属層18および第1の電気接続用金属層19は、例えばスパッタ法などにより成膜した後に、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を利用してパターニングすればよい。
一方、第1のパッケージ用基板2は、デバイス本体1側(図1(e)における下面側)の表面(一表面)に、デバイス本体1の重り部12と撓み部13とで構成される可動部の変位空間を確保する変位空間形成用凹部21が形成されている。また、第1のパッケージ用基板2は、変位空間形成用凹部21の周部に厚み方向に貫通する複数(本実施形態では、2個)の貫通孔22が形成されており、上記一表面および他表面と各貫通孔22の内面とに跨って熱酸化膜(シリコン酸化膜)からなる絶縁膜23が形成され、貫通孔22の内側に形成された貫通孔配線24と貫通孔22の内面との間に絶縁膜23の一部が介在している。ここにおいて、変位空間形成用凹部21は、リソグラフィ技術およびエッチング技術などを利用して形成してある。また、貫通孔配線24の材料としては、Cuを採用しているが、Cuに限らず、例えば、Niなどを採用してもよい。
また、第1のパッケージ用基板2は、変位空間形成用凹部21の内底面に、デバイス本体1の可動電極に対向する上述の固定電極25が形成されており、固定電極25が、他方の貫通孔配線24(図1(e)における右側の貫通孔配線24)の一端側(図1(e)における下端側)に設けられた第2の電気接続用金属層29と金属配線26を介して電気的に接続されている。なお、固定電極25は、金属膜(例えば、Al膜)により構成されている。
また、第1のパッケージ用基板2は、デバイス本体1側の表面の周部の全周に亘って第2の封止用金属層28が形成されており、上述の2つの第2の電気接続用金属層29は、第2の封止用金属層28よりも内側に配置されている。ここにおいて、第2の封止用金属層28および第2の電気接続用金属層29は、接合用のAu膜と絶縁膜23との間に密着性改善用のTi膜を介在させてある。言い換えれば、第2の封止用金属層28および第2の電気接続用金属層29は、絶縁膜23の同一レベル面上に形成されたTi膜と当該Ti膜上に形成されたAu膜との積層膜により構成されている。要するに、第2の電気接続用金属層29と第2の封止用金属層28とは同一の金属材料により形成されているので、第2の電気接続用金属層29と第2の封止用金属層28とを同時に形成することができるとともに、第2の電気接続用金属層29と第2の封止用金属層28とを同じ厚さに形成することができる。ここで、第2の封止用金属層28および第2の電気接続用金属層29は、Ti膜の膜厚を30nm、Au膜の膜厚を500nmに設定してあるが、これらの数値は一例である。なお、本実施形態では、各Au膜と絶縁膜23との間に密着性改善用の密着層としてTi膜を介在させてあるが、密着層の材料はTiに限らず、例えば、Cr、Nb、Zr、TiN、TaNなどでもよい。また、第2の封止用金属層28および第2の電気接続用金属層29は、例えばスパッタ法などにより成膜した後に、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を利用してパターニングすればよい。
また、第1のパッケージ用基板2は、各貫通孔配線24の他端側(図1(e)における上端側)に外部接続用電極(パッド)27が形成されている。要するに、第1のパッケージ用基板2は、デバイス本体1側とは反対側の表面に、各貫通孔配線24それぞれと電気的に接続された複数の外部接続用電極27が形成されている。
なお、第1のパッケージ用基板2の形成にあたっては、例えば、第2の半導体基板20の一表面に変位空間形成用凹部21を形成した後で、第2の半導体基板20に貫通孔22をドライエッチングにより形成し、その後、第2の半導体基板20の厚み方向の上記一表面側および他表面側および各貫通孔22の内周面に絶縁膜23を形成し、続いて、電気メッキ技術およびCMP技術を利用して貫通孔配線24を形成してから、第2の半導体基板20の上記他表面側に外部接続用電極27を形成し、その後、第2の半導体基板20の上記一表面側に固定電極25を形成してから、第2の封止用金属層28および第2の電気接続用金属層29を形成し、金属配線26を形成すればよい。
これに対して、第2のパッケージ用基板3は、デバイス本体1側の表面(図1(e)における上面)である一表面に周辺部位に比べて凹んだ所定深さのゲッタ形成用凹部31が形成されており、上記一表面側の全面に熱酸化膜(シリコン酸化膜)からなる絶縁膜32が形成され、デバイス本体1側とは反対側の表面である他表面側の全面に熱酸化膜(シリコン酸化膜)からなる絶縁膜33が形成されている。なお、ゲッタ形成用凹部31は、リソグラフィ技術およびエッチング技術などを利用して形成してある。
また、第2のパッケージ用基板3は、ゲッタ形成用凹部31の内底面上に上述の絶縁膜32を介して層状の非蒸発型ゲッタ4が形成されている。ここにおいて、非蒸発型ゲッタ4の材料としては、例えば、ジルコニウム合金、Zr−Co合金、Zr−Co−希土類元素合金、Zr−Fe合金、Zr−Ni合金、Ti合金などの非蒸発ゲッタ材料を採用すればよい。なお、本実施形態では、ゲッタ形成用凹部31が重り部12の第2のパッケージ用基板3側での変位空間を形成する変位空間形成用凹部を兼ねている。
また、上述の加速度センサにおけるデバイス本体1と第1のパッケージ用基板2とは、デバイス本体1の厚み方向において重なる封止用金属層18,28同士が全周に亘って接合されるとともに、デバイス本体1の厚み方向において重なる電気接続用金属層19,29同士が接合されて電気的に接続されている。これに対して、デバイス本体1と第2のパッケージ用基板3とは、互いの対向面の周部同士が全周に亘って接合されている。
なお、本実施形態の加速度センサは、デバイス本体1の上記一表面側に接合された第1のパッケージ用基板2と、デバイス本体1の上記他表面側に接合された第2のパッケージ用基板3と、デバイス本体1のフレーム部11とからなる気密パッケージ(チップサイズパッケージ)Pが気密容器を構成しており、上述の非蒸発型ゲッタ4により気密パッケージP内の真空が維持されている。また、本実施形態では、第2のパッケージ用基板3が気密容器用部材を構成し、デバイス本体1のフレーム部11および第1のパッケージ用基板2それぞれが気密容器要素を構成しており、ゲッタ形成用凹部31の内底面上の絶縁膜32の表面が気密容器用部材における所定部位を構成している。
以下、本実施形態の加速度センサの製造方法について図1を参照しながら説明する。
第3の半導体基板30の上記一表面側にゲッタ形成用凹部31をリソグラフィ技術およびエッチング技術などを利用して形成し、その後、熱酸化法により第3の半導体基板30の上記一表面側の全面に熱酸化膜(シリコン酸化膜)からなる絶縁膜32を形成するとともに上記他表面側の全面に熱酸化膜(シリコン酸化膜)からなる絶縁膜33を形成することによって、図1(a)に示す構造の第2のパッケージ用基板3を得る。
その後、非蒸発型ゲッタ4の材料からなるゲッタ粒子(例えば、活性化温度が500℃程度のジルコニウム合金の粒子)と溶媒(例えば、テトラデカンとメタノールとの混合物で適当な粘度を調節したものなど)とを混合したスラリーを気密パッケージPの一部を構成する第2のパッケージ用基板3における上記所定部位のみに塗布する途布工程を行い、当該塗布工程の後に所定の焼成温度(例えば、120℃程度)、所定の焼成時間(例えば、2時間程度)の条件下において上記溶媒を蒸発させて除去することにより非蒸発型ゲッタ4を形成する焼成工程を行うことによって、図1(b)に示す構造を得る。ここにおいて、塗布工程では、ノズルからスラリーを吐出させることで塗布する方法(例えば、インクジェット法など)を利用するようにしている。なお、溶媒は、上述の例に限らず、水や有機溶剤、例えば、アルコール(メタノール、デカノールなど)、テトラデカンなどを用いてもよい。
上述の焼成工程の後、例えばNガス雰囲気中で非蒸発型ゲッタ4を所定のアニール温度(焼成温度よりも高く、且つ、非蒸発ゲッタ4の活性化温度よりも低い温度)でアニールすることで非蒸発型ゲッタ4の表面を窒化して保護膜5を形成する保護膜形成工程を行うことによって、図1(c)に示す構造を得る。
その後、デバイス本体1と第1のパッケージ用基板2および第2のパッケージ用基板3を接合することで気密パッケージPを形成する接合工程を行い、接合工程の後に所定の活性化温度(例えば、500℃)において非蒸発型ゲッタ4を活性化する活性化工程を行うことによって、図1(e)に示す構造の加速度センサを得る。ここにおいて、接合工程では、デバイス本体1と第1のパッケージ用基板2および第2のパッケージ用基板3との接合方法として、デバイス本体1の残留応力を少なくするために、より低温での直接接合が可能な常温接合法を採用しており、デバイス本体1と第2のパッケージ用基板3とを常温接合法により接合することによって図1(d)に示す構造を得た後、デバイス本体1と第1のパッケージ用基板2とを常温接合法により接合することによって図1(e)に示す構造を得るようにしている。
ここで、常温接合法では、接合前に互いの接合表面へアルゴンのプラズマ若しくはイオンビーム若しくは原子ビームを真空中で照射して各接合表面の清浄化・活性化を行ってから、接合表面同士を接触させ、常温(例えば、25℃)下で直接接合する。本実施形態では、上述の常温接合法により、常温下で適宜の荷重を印加してデバイス本体1のフレーム部11と第2のパッケージ用基板3の周部とを直接接合し、その後、常温下で適宜の荷重を印加して、デバイス本体1の第1の封止用金属層18と第1のパッケージ用基板2の第2の封止用金属層28とを直接接合するのと同時に、デバイス本体1の第1の電気接続用金属層19と第1のパッケージ用基板2の一方の第2の電気接続用金属層29とを直接接合している。すなわち、接合工程では、デバイス本体1と第2のパッケージ用基板3とが、SiO−SiOの組み合わせの常温接合により接合されているので、上記荷重を小さくすることができるとともに接合工程の歩留まりを向上でき、しかも、接合安定性を向上でき、また、デバイス本体1と第1のパッケージ用基板2とが金属−金属の常温接合により接合されており、金属−金属の組み合わせが、化学的に安定な材料であるAu−Auの組み合わせなので、接合工程の歩留まりを向上できるとともに接合安定性を向上できる。ここで、第2の電気接続用金属層29における第1の電気接続用金属層19との接合部位を、当該第2の電気接続用金属層29における貫通孔配線24との接続部位からずらすようにすれば、第2の電気接続用金属層29における第1の電気接続用金属層19との接合部位の接合前の接合表面の平滑性を高めることができ、第1の電気接続用金属層19と第2の電気接続用金属層29とを常温接合法により常温接合する場合の接合信頼性を高めることが可能となる。なお、デバイス本体1と第2のパッケージ用基板3とは、SiO−SiOの組み合わせに限らず、Si−Si、Si−SiO、SiO−SiOの群から選択される1組の組み合わせの常温接合により接合するようにしてもよい。また、デバイス本体1と第1のパッケージ用基板2とは、Au−Auの組み合わせに限らず、例えば、Cu−Cuの組み合わせや、Al−Alの組み合わせの常温接合により接合するようにしてもよい。
ところで、上述の活性化工程が終了するまでの全工程をデバイス本体1および各パッケージ用基板2,3それぞれについてウェハレベルで行うことで加速度センサを複数備えたウェハレベルパッケージ構造体を形成するようにし、当該ウェハレベルパッケージ構造体から個々の加速度センサに分割する分割工程を行うようにすれば、気密パッケージPの平面サイズをデバイス本体1の平面サイズに合わせることができるから、より小型の加速度センサを提供でき、また、量産性を高めることができる。また、本実施形態では、第2の半導体基板20を用いて第1のパッケージ用基板2を形成してあるが、第2の半導体基板20の代わりに、デバイス本体1の基礎となる第1の半導体基板10との線膨張率が略等しいガラス基板を用いて形成してもよい。また、第2のパッケージ用基板3についても第3の半導体基板30の代わりに、ガラス基板を用いて形成してもよい。ここにおいて、各パッケージ用基板2,3の基礎とするガラス基板としては、例えば、パイレックス(登録商標)のようなガラス基板を用いればよい。
以上説明した本実施形態の加速度センサの製造方法によれば、塗布工程においてゲッタ粒子と溶媒とを混合したスラリーを気密パッケージPの一部を構成する第2のパッケージ用基板3における上記所定部位にのみ塗布し、また、非蒸発型ゲッタ4の焼成温度よりも活性化温度が高く、且つ、接合温度よりも活性化温度が高いので、接合工程において非蒸発型ゲッタ4がダメージを受けるのを防止することができるとともに非蒸発型ゲッタ4が活性化されるのを防止することができ、非蒸発型ゲッタ4の性能低下を防止することができるから、非蒸発ゲッタ4の配置位置の自由度が高く且つ気密パッケージP内の高真空化を図れる加速度センサを提供することが可能になる。
また、上述の製造方法によれば、塗布工程において、ノズルからスラリーを吐出させることで塗布する方法を利用しているので、メタルマスク法やスクリーン印刷法などのようにマスクを第2のパッケージ用基板3に接触させてスラリーを塗布することでパターン形成する必要がなく、非接触でパターン形成できるので、塗布工程において塗布箇所以外の部位がダメージを受けるのを防止することができ、常温接合法を利用した接合工程の接合歩留まりを高めることができるとともに接合信頼性を高めることができて気密パッケージP内の高真空化を図れ、また、スラリーを所望の塗布箇所に精度良く塗布することができ、加速度センサの小型化を図れる。なお、気密パッケージP内の真空度は、活性化工程終了後の初期真空度を基準として、〔気密パッケージP内で発生するガスの量〕+〔気密パッケージP外から流入するガスの量〕−〔非蒸発型ゲッタ4が吸着するガスの量〕により決まるので、本実施形態の加速度センサのように小型の気密パッケージP内の所定領域上にのみ非蒸発ゲッタ4が形成された真空封止デバイスでは、上述の接合工程の接合信頼性が重要である。
また、上述の製造方法によれば、焼成工程と接合工程との間に、非蒸発型ゲッタ4の表面に保護膜5を形成する保護膜形成工程を備えているので、焼成工程後に活性化工程を行うまでの間に非蒸発型ゲッタ4の表面に他の成分(例えば、水分など)が吸着するのを抑制でき、非蒸発型ゲッタ4のゲッタ性能の低下を抑制できる。
ところで、上述の塗布工程において、スラリーとして、図2(a)に示すように、ゲッタ粒子4aおよび溶媒4cに加えて粒子状のバインダ4bを混合したものを用いるようにし、焼成工程が、非蒸発ゲッタ4として、図2(b)に示すようにゲッタ粒子4aとバインダ4bとを密着させて隣り合うゲッタ粒子4a間がバインダ4bで繋がれた複合層からなる非蒸発ゲッタ4を形成する複合化工程を兼ねるようにしてもよく、この場合には、非蒸発型ゲッタ4がゲッタ粒子4aのみにより形成されている場合に比べて、一部のゲッタ粒子4aが剥離するのをより確実に防止でき、非蒸発型ゲッタ4そのものの信頼性および耐久性が向上するとともに、上記所定部位への非蒸発型ゲッタ4の密着性が向上し、デバイス性能の安定化を図れる。ここにおいて、ゲッタ粒子4aの材料としては、上述のように、例えば、ジルコニウム合金、Zr−Co合金、Zr−Co−希土類元素合金、Zr−Fe合金、Zr−Ni合金、Ti合金などの非蒸発ゲッタ材料を採用すればよく、バインダ4bの材料としては、例えば、Au、Ag、Al、Cu、Ni、In、Pbなどのゲッタ粒子4aと共晶化もしくは化合物化する材料を採用すればよい。また、ゲッタ形成用凹部31の内底面上の絶縁膜32と非蒸発型ゲッタ4との間に、両者それぞれとの密着性の良い材料(例えば、Inなど)からなり両者それぞれと密着した密着層5を介在させるようにすれば、非蒸発型ゲッタ4が剥離するのをより確実に防止することができ、信頼性および耐久性が向上する。
また、上述の複合層からなる非蒸発型ゲッタ4を採用する場合には、バインダ4bをゲッタ粒子4aよりも粒径が小さな粒子状に形成しておくことにより、バインダ4bがゲッタ粒子4aよりも大きな粒子状に形成されている場合に比べて、各ゲッタ粒子4aの露出表面積を大きくでき、非蒸発型ゲッタ4の吸着性能の向上を図れる。
ここにおいて、ゲッタ粒子4aの活性化温度がバインダ4bの融点よりも高い例(例えば、ゲッタ粒子4aとして活性化温度が500℃程度のジルコニウム合金を用い、バインダ4bとして融点が157℃程度のInを用いる例)では、まず、図2(a)に示すように粉体のゲッタ粒子4aおよび粉体のバインダ4bを溶媒(例えば、テトラデカンとメタノールとの混合物で適当な粘度を調節したものなど)4cと混合したスラリーを気密パッケージPの一部を構成する第2のパッケージ用基板3の上記所定部位に塗布する途布工程を行い、その後、例えば窒素雰囲気中で所定の焼成温度(例えば、120℃程度)、所定の焼成時間(例えば、2時間程度)において溶媒4cを蒸発させるとともにゲッタ粒子4aとバインダ4bとを密着させて隣り合うゲッタ粒子4a間がバインダ4bで繋がれた複合層からなる非蒸発型ゲッタ4を形成し、上述の接合工程の後で所定の活性化温度(例えば、500℃)において非蒸発型ゲッタ4のゲッタ粒子4aを活性化する活性化工程を行えばよい。この活性化工程では、バインダ4bの温度が融点を超えてバインダ4bが溶融することでゲッタ粒子4aとバインダ4bとが密着する(ゲッタ粒子4aとバインダ4bとが密着する温度を密着温度と称する)ので、焼成温度よりもゲッタ粒子4aとバインダ4bとの密着温度が高く、且つ、当該密着温度よりもゲッタ粒子4aの活性化温度が高いという条件を満足させる必要があり、このような条件を満足させることにより、焼成工程においてゲッタ粒子4aが活性化されるのを防止することができ、非蒸発型ゲッタ4の性能低下を防止することができるから、小型で且つデバイス性能の安定性の高い真空封止デバイスを提供することが可能となる。
一方、ゲッタ粒子4aの活性化温度がバインダ4bの融点よりも低い例(例えば、ゲッタ粒子4aとして活性化温度が500℃程度のジルコニウム合金を用い、バインダ4bとして融点が1064℃程度のAuを用いる例)では、バインダ4bとして、ゲッタ粒子4aと共晶化もしくは化合物化することで密着可能な材料を適宜選択し、焼成工程と接合工程との間に、ゲッタ粒子4aとバインダ4bとを共晶反応もしくは化合反応させることによりゲッタ粒子4aとバインダ4bとを密着させる複合化工程を行うようにすればよい。この場合、ゲッタ粒子4aの活性化温度がゲッタ粒子4aとバインダ4bとの共晶温度もしくは化合反応温度よりも高く且つバインダ4bの溶融温度よりも低ければ、複合化工程においてゲッタ粒子4aが活性化されるのを防止することができ、非蒸発型ゲッタ4の性能低下を防止することができる。
また、上述の実施形態で説明した加速度センサは、気密パッケージPが2枚のパッケージ用基板2,3を備えているが、デバイス本体1の構造によっては、必ずしも2枚のパッケージ用基板2,3を備えている必要はなく、非蒸発型ゲッタ4を形成した1枚のパッケージ用基板のみでもよい。また、上述の実施形態では、非蒸発型ゲッタ4を第2のパッケージ用基板3に形成しているが、非蒸発型ゲッタ4は、第2のパッケージ用基板3に限らず、第1のパッケージ用基板2やデバイス本体1に形成するようにしてもよい。また、デバイス本体1や第1のパッケージ用基板2に信号処理用のIC部を集積化してもよい。
なお、本発明の技術思想は、静電容量型の加速度センサに限らず、例えば、ピエゾ抵抗形の加速度センサ、赤外線センサ、ジャイロセンサ、アクチュエータ、各種電子源を利用した画像形成装置などの他の真空封止デバイスにも適用可能であることは勿論である。
実施形態1における加速度センサの製造方法を説明するための主要工程断面図である。 同上における非蒸発型ゲッタの形成方法の説明図である。 従来例を示す画像形成装置の一部破断した概略斜視図である。
符号の説明
1 デバイス本体
2 第1のパッケージ用基板(気密容器要素)
3 第2のパッケージ用基板(気密容器用部材)
4 非蒸発ゲッタ
4a ゲッタ粒子
4b バインダ
4c 溶媒
5 保護膜
11 フレーム部(気密容器要素)
P 気密パッケージ(気密容器)

Claims (3)

  1. 気密容器内の所定部位に形成された非蒸発ゲッタにより気密容器内の真空を維持する真空封止デバイスの製造方法であって、ゲッタ粒子と溶媒とを混合したスラリーを気密容器の一部を構成する気密容器用部材における前記所定部位にのみ塗布する途布工程と、塗布工程の後に所定の焼成温度において前記溶媒を蒸発させて除去することにより非蒸発型ゲッタを形成する焼成工程と、焼成工程の後に気密容器用部材とともに気密容器を構成する少なくとも1つの気密容器要素と気密容器用部材とを所定の接合温度において接合することで気密容器を形成する接合工程と、接合工程の後に所定の活性化温度において前記非蒸発型ゲッタを活性化する活性化工程とを備え、焼成温度よりも活性化温度が高く、且つ、接合温度よりも活性化温度が高く、焼成工程と接合工程との間に、非蒸発型ゲッタの表面に保護膜を形成する保護膜形成工程を備え、保護膜形成工程では、N ガス雰囲気中で非蒸発型ゲッタを、焼成温度よりも高く且つ非蒸発型ゲッタの活性化温度よりも低い温度でアニールすることで非蒸発型ゲッタの表面を窒化して保護膜を形成することを特徴とする真空封止デバイスの製造方法。
  2. 前記塗布工程では、ノズルから前記スラリーを吐出させることで塗布することを特徴とする請求項1記載の真空封止デバイスの製造方法。
  3. 前記塗布工程では、前記スラリーとして、前記ゲッタ粒子および前記溶媒に加えて粒子状のバインダを混合したものを用いるようにし、前記焼成工程が、前記非蒸発ゲッタとして、ゲッタ粒子とバインダとを密着させて隣り合うゲッタ粒子間がバインダで繋がれた複合層からなる非蒸発ゲッタを形成する複合化工程を兼ねていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の真空封止デバイスの製造方法
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