JP5095063B2 - 象牙質再生に用いる基質タンパク質組成物 - Google Patents

象牙質再生に用いる基質タンパク質組成物 Download PDF

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Description

【0001】
発明の分野
本発明は、象牙質再生用のエナメル基質、エナメル基質誘導体、および/またはエナメル基質タンパク質の使用に関する。
【0002】
発明の背景
エナメル基質中に存在するものなどのエナメル基質タンパク質は、歯のエナメル質の前駆体として知られている。エナメル基質タンパク質およびエナメル基質誘導体に関しては、エナメル質形成の誘導(米国特許第4,672,032号、Slavkin)、またはセメント質や骨などの異なる種類の石灰化組織間における結合の誘導(EP-B-0 337 967およびEP-B-0 263 086)のための文献について以前から開示されている。また、エナメル基質のタンパク質および誘導体は皮膚や粘膜などの軟組織における創傷治癒を促進することが開示されている(国際公開公報第99/43344号)。エナメル基質タンパク質、またはエナメル基質誘導体の象牙質再生のための使用については、発明者らの知る限り、これまで報告されていない。
【0003】
生活歯髄の露出は、通常の歯科修復処置および補綴処置中に、ならびに歯冠破折(fracture)、外傷、および齲食後に、偶然生じるまたは意図的に生じさせる、一般的な合併症である。従来から歯髄の微小な露出は、Ca(OH)2ペーストまたは充填材料(例えば複合剤(composite))を歯髄に直接塗布して表面壊死を誘導することにより処置されており、歯髄組織深部においてその後、硬化および反応性象牙質形成が起こることが多い。しかしこの戦略が、歯髄と修復用材料との間に、石灰化された障壁を回復させることはほとんどなく、歯髄は多くの場合炎症を起こし、抜髄(歯髄全体の除去)または断髄(大部分の歯髄の除去)、およびそれに続く合成材料(例えばグッダペルカ)を用いた歯内充填により、治療されねばならない。歯髄の大部分が露出している場合は、治療には常に抜髄および歯内充填が含まれる。
【0004】
歯内治療された歯は、血液供給、神経支配、および反応性硬組織(第2象牙質)産生能力を失う。結果として、このような歯は脆くなり、また咀嚼誘導性の外傷および(患者が痛みを感じる感受性を欠くため)重篤な齲食をより被りやすい。これは歯内治療を行った歯の寿命を生活歯の寿命より大幅に短くするため、したがって補綴的歯置換用の柱としての有用性は低い。
【0005】
露出した歯髄を有効に被覆して密封することが可能な新規象牙質形成を誘導する方法が見出されれば、歯科保存学における大きな進展となるだろう。
【0006】
発明の概要
本発明は、エナメル基質、エナメル基質誘導体、またはエナメル基質タンパク質(以下、「活性エナメル物質」と総称する)が、歯髄細胞における象牙質形成誘導能力をもつという驚くべき知見に基づく。
【0007】
したがって本発明は、生活歯髄組織の露出を伴う歯科的処置後に象牙質を形成または再生させるための薬学的組成物調製用の活性エナメル物質の調製物の使用に関する。
【0008】
別の局面において、本発明は、生活歯髄組織の露出を伴う歯科的処置後に象牙質の形成または再生を促進する方法であり、以下の段階を含む方法に関する:
有効量の活性エナメル物質を、露出した生活歯髄組織に歯科的処置後に塗布する段階。
【0009】
エナメル基質タンパク質が生活歯髄組織における象牙質形成の誘導能力をもつことは、ラットの発育中の歯からエナメル器を除く外科的処置中にエナメル基質に歯髄細胞が偶然露出した、発育中の歯を用いた実験中に最初に観察された。この知見は、ラットおよびブタにおける実験を繰り返すことで後に確認された。また本発明者らは、成体ブタの歯の外傷モデルを開発し、エナメル基質タンパク質組成物の使用が、露出歯髄における硬組織形成の誘導に極めて有効であることを確認した。エナメルタンパク質は、天然では発育中の歯にのみ存在し、他の組織または成熟歯科組織には(すなわち成人または約12歳を上回る小児において)全く存在しないため、このようなタンパク質が発育後の歯髄組織で象牙質形成を促進することは驚くべきことである。
【0010】
特定の理論に拘泥するわけではないが、歯形成中のこのような分子の作用が象牙質とエナメル質の両方の石灰化の開始に関連するので、これらのタンパク質が歯科硬組織形成機構の一部である可能性が高いと仮定されている。本知見に基づくと、たとえエナメル基質タンパク質が歯の発育時に歯組織から完全に除去されても、成体の歯髄中の細胞は、象牙質形成のための休止状態の発生過程を誘導することによりこれらのタンパク質に応答する能力を保持していることが考えられる。
【0011】
エナメル基質タンパク質が象牙質形成を誘導する機構は、L. ハマーストローム(Hammarstrom)、J. Clin. Periodontol. 24、1997、pp. 658〜668により報告された、セメント質形成を誘導する機構とは有意に異なると考えられ、ここで、露出した歯根表面にドリルで穴を開けた実験的窩洞にエナメル基質タンパク質を塗布したところ、実験歯を歯周靭帯に接するように再移植した場合にセメント質が形成された。ハマーストローム(Hammarstrom)の報告の場合、既に形成されていた硬組織の表面に直接セメント質の形成が生じた。しかし一方本発明では異所的な象牙質が形成される、すなわちエナメル基質タンパク質は、既存の硬組織が見出されない部位で象牙質形成を刺激することができる。
【0012】
本発明で示される、EMDによって歯髄創傷中に誘導される新しい象牙質の特徴的な形成は、EMDが外傷歯および齲歯の両方における直接歯髄覆罩(pulp capping)にも使用されうる能力を有することを示している。既に市販されておりかつ臨床適用が承認されているEMDは、急速に使用されつつあり、直接歯髄覆罩処置の成功のための臨床適用は拡大している。
【0013】
発明の詳細な説明
歯は、3種の硬組織(石灰化組織)、すなわちエナメル質、象牙質、およびセメント質から構成され、その中心に歯髄と呼ばれる軟組織がある。歯髄は主に繊維芽細胞から構成され、血管および神経を含む。完全に形成された歯(成熟歯)の歯髄は、歯根にある小さな孔を除いてすべての側が象牙質で囲まれている。象牙質は主要な歯組織であり、象牙質芽細胞と呼ばれる特定の細胞から形成される。象牙質にはいろいろな種類がある。象牙質の大部分は歯の発育中に形成され、原生象牙質と呼ばれる。歯の発育期間の後、象牙質の形成が継続するものもあるが、その速度は極めて遅い。歯の生育後に形成された象牙質は第2象牙質と呼ばれる。齲食の発生、窩洞形成、および外傷などの特定の事象は、反応性の修復象牙質(reparative dentin)または第3象牙質と呼ばれる、促進型の象牙質を誘導する場合がある。
【0014】
形態学的には、原生象牙質および第2象牙質は、歯髄から末梢へ広がる象牙細管と呼ばれる狭い歯根管を含む非細胞性の石灰化された歯組織である。歯髄に隣接して、象牙前質(predentin)と呼ばれる非石灰化薄層がある。修復象牙質は、象牙細管の不規則な分布を伴う不規則形態を示す場合がある。象牙質は、骨様象牙質(osteodentin)と呼ばれる閉じこめられた細胞を含む場合がありうる。歯の形態に関する更なる考察については、A.R. テンケイト(Ten Cate)「口内組織学 発展、構造、および機能(Oral Histology. Development, Structure and Function)」(第5版、Mosby 1998、pp.150〜196)に詳しい。
【0015】
上述したように、驚くべきことに、活性エナメル物質が、その内部に存在するエナメル基質またはタンパク質に天然の状態では曝露されない成熟歯(成人の歯または約12歳を上回る小児の歯)においても、歯髄組織における反応性象牙質の形成を促進する能力をもつことが見出された。したがって特定の態様において、本発明は、生活歯髄組織で第2象牙質を再生させるための活性エナメル物質の使用に関する。第2象牙質が原生象牙質に極めて似た構造を有し、したがって活性エナメル物質の塗布が、歯で本来形成される歯髄と同様の特性をもたらす構造機構をもつ歯髄の再生に関係するため、第2象牙質の再生が特に有益である。
【0016】
しかし、活性エナメル物質は、生活歯髄組織における修復象牙質または骨様象牙質の形成にも有用であり、それによって歯髄における迅速な修復過程が確実になるが、この組成および構造が原生象牙質に似ていないことから、原生象牙質または第2象牙質よりも幾分低品質の象牙質の形成を生じる。修復過程は主に、歯髄の露出を伴う主要な歯科的外傷、または断髄もしくは抜髄といった主要な歯科的処置の際に起こる。
【0017】
上述したように、活性エナメル物質の使用は、天然では歯科的処置後に治癒効果をもたらすのに十分な量のエナメル基質タンパク質が存在しないような、萌出した歯における生活歯髄組織における象牙質の形成または再生を促進する際に特に有用である。これは成人および、永久歯が生えた小児の両方についてあてはまる。
【0018】
活性エナメル物質が象牙質形成を促進または誘導する能力はまた、特に歯髄露出の危険を避けるか減少させるために、毒性物質もしくは刺激物質に対する歯髄の露出を避けるか減少させるために、または歯科治療後に現れることの多い過敏症を軽減するか消失させるために象牙質壁の厚みを増加させることが望ましい、深部の窩洞の窩洞形成と関連して活用されうる。
【0019】
本発明の使用によると、活性エナメル物質の調製物は、好ましくは、生活歯髄組織の露出を伴う歯科的処置後の充填材料の適用前に歯髄に塗布される。このような塗布に適した薬学的組成物については、以下に更に記載する。
【0020】
エナメル基質、エナメル基質誘導体、およびエナメル基質タンパク質
エナメル基質はエナメル質の前駆体であり、任意の関連する天然供給源、すなわち歯が発育中の哺乳類から得られる。適切な供給源は、屠殺された動物、例えば子ウシ、ブタ、子ヒツジ由来の発育中の歯である。他の供給源は、例えば魚の皮である。
【0021】
以前に記載されたように、エナメル基質を発育中の歯から調製することができる(EP-B-0 337 967およびEP-B-0 263 086)。エナメル基質をこすり落として、例えば、緩衝液、希釈酸もしくは希釈塩基、または水/溶媒混合物などの水溶液で抽出した後に大きさで分別し、脱塩処理またはその他の精製工程を行い、その後選択的に凍結乾燥することで、エナメル基質誘導体を調製する。酵素は、加熱処理または溶媒処理することで失活させることができ、この場合、凍結乾燥を行わずに、誘導体を液体状で保存することができる。
【0022】
本明細書の文脈では、エナメル基質誘導体とは、選択的スプライシングもしくはプロセシングによって天然に作製される、または天然長タンパク質の酵素的切断もしくは化学的切断で作製される、またはインビトロもしくはインビボにおけるポリペプチドの合成(組換えDNA法、または2倍体細胞の培養)で作製される、一つまたは複数のエナメル基質タンパク質、またはそのようなタンパク質の一部を含むエナメル基質の誘導体である。エナメル基質タンパク質誘導体はまた、エナメル基質に関連するポリペプチドまたはタンパク質も含む。このようなポリペプチドまたはタンパク質は、ポリアミノ酸もしくは多糖、またはこれらの組み合わせから構成される適切な生分解性担体分子に結合していてもよい。さらに、エナメル基質誘導体という用語には合成類似物質も含まれる。
【0023】
タンパク質とは、ペプチド結合で互いに結合したアミノ酸残基から構成される生体高分子である。アミノ酸の直線状ポリマーであるタンパク質はポリペプチドと呼ばれることもある。タンパク質は通常20アミノ酸残基〜800アミノ酸残基を有するので、その分子量は約6,000ダルトン〜数10万ダルトンまたはそれ以上の範囲内である。低分子量(または約20アミノ酸未満)のタンパク質は通常ペプチドまたはオリゴペプチドと呼ばれる。
【0024】
エナメル基質タンパク質とは、エナメル質の前駆体であるエナメル基質中に通常存在するタンパク質(Ten Cate:「口内組織学(Oral Histology)」、1994;Robinson:Eur. J. 「口内科学(Oral Science)」、Jan. 1998、106 別冊1:282〜91)、またはそのようなタンパク質の切断によって得られるタンパク質である。一般に、このようなタンパク質は分子量が120,000ダルトン未満で、アメロゲニン、非アメロゲニン、プロリンに富む非アメロゲニン、アメリン(アメロブラスチン、シースリン)、タフテリン、象牙質シアロタンパク質(DSP)、または象牙質シアロリンタンパク質(DSPP)を含む。
【0025】
本発明で使用するタンパク質の例は、アメロゲニン、プロリンに富む非アメロゲニン、タフテリン、タフトタンパク質、血清タンパク質、唾液タンパク質、アメリン、アメロブラスチン、シースリン、およびこれらの誘導体、ならびにこれらの混合物である。本発明で使用するための活性エナメル物質を含む調製物は、前述の少なくとも2種のタンパク質性物質も含む。アメロゲニンを含む市販品は、EMDOGAIN(登録商標)(Biora AB)として販売されており、プロピレングリコールアルジネート(PGA)中に約30 mg/mlの活性エナメル物質を含む。
【0026】
エナメル基質の主なタンパク質は一般にアメロゲニンとして知られている。これは基質タンパク質の約90% w/wを構成する。残りの10% w/wは、プロリンに富む非アメロゲニン、タフテリン、タフトタンパク質、血清タンパク質、および少なくとも1種の唾液タンパク質を含む。しかし例えば、エナメル基質と結合して同定されるアメリン(アメロブラスチン、シースリン)などの他のタンパク質も存在する場合がある。また、さまざまなタンパク質が、様々なサイズ(すなわち様々な分子量)に合成可能および/または加工可能である。したがってエナメル基質の大半を占めるタンパク質であるアメロゲニンが、超分子凝集体を互いに形成して様々な大きさで存在することがわかっている。これらは非常に疎水性の高い物質であり、生理学的条件下で凝集体を形成する。これらは、その他のタンパク質またはペプチドを含んでもよく、それらの担体となってもよい。
【0027】
他のタンパク質物質も、本発明の使用に適切な対象となる。例として、プロリンに富むタンパク質およびポリプロリンなどのタンパク質が挙げられる。本発明の使用に適切な対象となる物質のその他の例には、これらのタンパク質の凝集体、エナメル基質誘導体の凝集体、および/または、エナメル基質タンパク質の凝集体、ならびに、エナメル基質、エナメル基質誘導体、およびエナメル基質タンパク質の代謝物が含まれる。このような代謝物は、タンパク質の大きさから短いペプチドの大きさまでの範囲の任意の大きさであってよい。
【0028】
上述したように、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動で決定される、本発明で使用するためのタンパク質、ポリペプチド、またはペプチドの分子量は通常、最大約120 kDa、例えば最大100 kDa、90 kDa、80 kDa、70 kDa、または60 kDaである。
【0029】
本発明で使用するタンパク質は通常調製物の状態で存在し、ここで調製物中の活性エナメル物質のタンパク質含有量が約0.05% w/w〜100% w/wの範囲、例えば約5% w/w〜99% w/w、約10% w/w〜95% w/w、約15% w/w〜90% w/w、約20% w/w〜90% w/w、約30% w/w〜90% w/w、約40% w/w〜85% w/w、約50% w/w〜80% w/w、約60% w/w〜70% w/w、約70% w/w〜90% w/w、または約80% w/w〜90% w/wの範囲である。
【0030】
本発明で使用する活性エナメル物質の調製物は、分子量が異なる活性エナメル物質の混合物を含んでもよい。
【0031】
エナメル基質のタンパク質を高分子量部分と低分子量部分に分けることが可能であり、エナメル基質タンパク質の十分に定義された画分が歯周病(すなわち歯周の創傷)の治療に関して有用な特性を保持していることがわかっている。この画分は、アメロゲニンと総称される酢酸で抽出可能なタンパク質を含み、エナメル基質の低分子量部分で構成される(EP-B-0 337 967およびEP-B-0 263 086を参照)。
【0032】
上述したように、エナメル基質の低分子量部分は、歯周病における硬組織間の結合を誘導するための適切な活性を有する。しかし本明細書の文脈においては、活性タンパク質はエナメル基質の低分子量部分に限定されない。現時点では、好ましいタンパク質には、(SDS-PAGEによってインビトロで測定される)分子量が約60,000ダルトン未満のアメロゲニン、アメリン、タフテリン、DSPなどのエナメル基質タンパク質が含まれる。
【0033】
したがって、本発明で使用するための活性エナメル物質とは、分子量最大約40,000、例えば約5,000〜約25,000の分子量を有することが意図される。
【0034】
国際公開公報第97/02730号に記載されたペプチド、すなわち、テトラペプチドDGEA(Asp-Gly-Glu-Ala)、VTKG(Val-Thr-Lys-Gly)、EKGE(Glu-Lys-Gly-Glu)、およびDKGE(Asp-Lys-Gly-Glu)からなる群より選択される少なくとも1種の配列因子を含み、かつアミノ酸配列を更に含むペプチドの本発明による使用もまた、本発明の範囲に含まれ、ここで、上記のアミノ酸配列に由来する連続した20アミノ酸の鎖が、配列番号:1のアミノ酸配列、および配列番号:1の1位〜103位のアミノ酸を含む配列、ならびに配列番号:2の6位〜324位のアミノ酸を含む配列からなる群より選択される同じ長さを有するアミノ酸の鎖と少なくとも80%同一である。
【0035】
「配列同一性」という用語は、ペプチドのアミノ酸の同一性および位置に関して一致するアミノ酸配列の同一性を意味する。ギャップは、一つまたは複数のアミノ酸が非同一である時に適宜計数される。
【0036】
このようなペプチドは、6アミノ酸〜300アミノ酸、例えば少なくとも20アミノ酸、少なくとも30アミノ酸、例えば少なくとも60アミノ酸、少なくとも90アミノ酸、少なくとも120アミノ酸、少なくとも150アミノ酸、または少なくとも200アミノ酸を含みうる。
【0037】
エナメル基質タンパク質を単離する方法は、タンパク質の抽出、ならびに、例えばゲル濾過、透析、または限外濾過などの適切な方法による可溶化状態のヒドロキシアパタイトからのカルシウムイオンおよびリン酸イオンの除去を伴う(例えば、Janson, J-CおよびRyden, L.(編)、「タンパク質抽出(Protein purification)」、VCH Publishers 1989、ならびにHarris, ELV & Angal, S.、「タンパク質抽出法-実践アプローチ(Protein purification methods-A practical approach)」、IRL Press、Oxford 1990を参照)。
【0038】
典型的な凍結乾燥タンパク質調製物は、主にまたは独占的に、分子量(MW)40,000〜5,000ダルトンのアメロゲニンを最大70%〜90%、低分子量のペプチド、塩、および残存水を10%〜30%含む。SDS-PAGEで決定すると、主要なタンパク質のバンドは、20 kDaの位置、12 kDa〜14 kDaの位置、および5 kDa周辺にみられる。
【0039】
タンパク質を例えば、沈殿法、イオン交換クロマトグラフィー、分離用電気泳動、ゲル浸透クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、またはアフィニティクロマトグラフィーで分離することにより、異なる分子量のアメロゲニンを精製することができる。
【0040】
アメロゲニンの分子量の組み合わせは、支配的な20 KDaの化合物主体(dominating)から、40 kDa〜5 kDaの様々な分子量のアメロゲニンの凝集体まで、さらには5 kDaの化合物主体へと変動しうる。アメリン、タフテリン、または、通常エナメル基質中で見出されるタンパク質分解酵素などの他のエナメル基質タンパク質を、アメロゲニン凝集体に添加したり保持させたりすることができる。
【0041】
エナメル基質の誘導体またはタンパク質の他の供給源として、一般的に応用可能な、当業者に公知の合成経路を使用してもよく、組換えDNA手法で修飾された培養細胞または培養細菌を使用してもよい(例えば、Sambrook、J.ら「分子クローニング(Molecular Cloning)」Cold Spring Harbor Laboratory Press、1989を参照)。
【0042】
エナメル基質、エナメル基質誘導体、およびエナメル基質タンパク質の物理化学的特性
一般にエナメル基質、エナメル基質誘導体、およびエナメル基質タンパク質は疎水性物質である、すなわち特に高温で水に対する溶解性が低い。一般に、このようなタンパク質は、非生理的pH値、かつ約4℃〜20℃などの低温で可溶性であるが、体温(35℃〜37℃)および中性pHでは凝集して沈殿する。
【0043】
本発明で使用するためのエナメル基質、エナメル基質誘導体、および/またはエナメル基質タンパク質は活性エナメル物質も含み、ここで活性エナメル物質の少なくとも一部は、凝集状態にあるか、またはインビボでの適用後に凝集可能である。凝集体の粒径は約20 nm〜約1μmの範囲内である。
【0044】
エナメル基質、エナメル基質誘導体、およびエナメル基質タンパク質もまた、生物接着性を有することが、すなわち組織表面に強固に接着する能力をもつことが(本発明者らによって)観察されている。このような特性は、エナメル基質タンパク質と象牙質産生性象牙質芽細胞との間の迅速で密接な接触を促し、歯根再生過程を促進するため、特に歯内療法に関連してもっとも有用である。
【0045】
作用機構に関する理論
エナメル基質は、石灰質表面ならびにタンパク質性表面に接着する細胞外タンパク質基質の一例である。エナメル基質中に存在するアメロゲニンは、生理学的なpHおよび温度では不溶性の超分子凝集体を形成する(Finchamら、J. Struct. Biol. 1994 March-April;112(2):103〜9およびJ. Struct. Biol. 1995 July-August;115(1):50〜9)が、これはタンパク質分解酵素によって次第に分解されてゆく(プロテアーゼが不活性化されない限りインビボとインビトロの両方で生じる)。
【0046】
歯根および歯根セメント質の形成中にエナメル基質が形成されて一時的に存在するという近年の観察により、エナメル基質、エナメル基質誘導体、および/またはエナメル基質タンパク質がどのように歯周組織の再生を促進するかを説明することができる。しかしエナメル基質、エナメル基質誘導体、および/またはエナメル基質タンパク質が、歯内組織(すなわち歯髄組織)の形成または再生に正の作用も及ぼすという、本発明の元となった観察は極めて意外である。
【0047】
本発明の一つの態様において、歯髄覆罩処置後の窩洞修復のためにガラスイオノマー(glass-ionomer)セメントが使用され、接着性樹脂系は使用されない。本明細書においてEMDは、歯髄創傷治癒および迅速な象牙質形成を誘導するために使用され、これはEMD処置歯が、典型的な創傷治癒の特徴、すなわち、細胞外基質タンパク質および壊死細胞残存物からなり慢性炎症細胞浸潤領域を覆う表面層または瘡蓋を示すようになることを意味する。この態様におけるEMDは新しい象牙質の架橋形成をさらに促進し、これは健康歯髄組織由来の創傷を封じ込め、ここで、新しい象牙質下部の歯髄組織には炎症の徴候は観察されない。さらに、機能性象牙質芽細胞の無傷の層が形成され、新しく形成された象牙質に接するようになる。
【0048】
これらの知見は、EMDが歯冠部の歯髄創傷に塗布された場合に、歯髄組織の先端部に影響を及ぼすことなく、新しい象牙質形成を迅速に誘導する能力を有することを示唆している。創傷組織が、健康な歯髄組織から分離されることは、臨床使用用の歯髄治癒の理想的な状態とみなすことができる。EMDの作用は皮膚創傷治癒中における瘡蓋の作用に似ており、これは典型的な創傷治癒カスケード、およびそれに続く組織の再生または修復を促進する。
【0049】
EMDで形成されたタンパク質層が、創傷表面上に塗布後少なくとも1週間保持されることは、臨床実験において既に示されている(Gestrelius S、Andersson C、Johansson AC、Persson E、Brodin A、Rydhag L、Hammarstrom L(1997)、「表面コーティング用のエナメル基質誘導体の製剤化 動態および細胞コロニー化(Formulation of enamel matrix derivative for surface coating. Kinetics and cell colonization.)」J Clin Periodontol:678〜684)。近年、グラム陰性細菌の増殖がEMDの存在によって阻害されることも報告されている。したがってEMDの成分は、創傷を受けた歯髄組織における間葉細胞の分化および成熟の信号として作用するだけでなく、創傷を覆う保護的な外皮(protective crust)としてはたらく安定な細胞外基質を形成することで瘡蓋として作用する。
【0050】
EMDによる新しい象牙質形成の誘導機構の詳細は未だ解明されていない。しかし近年の実験による知見では、調和のとれたカスケードにおける繊維芽細胞からの自己分泌性成長発現の引き金となる細胞内環状AMPシグナルをEMDが誘導することが示唆されている(Lyngstadaas SP、Lundberg E、Ekdahl H、Andersson C、およびGestrelius S(2000)「エナメルマトリクス誘導体上で培養されたヒト歯根膜細胞における自己分泌性成長因子(Autocrine growth factors in human periodontal ligament cells cultured on enamel matrix derivative)」J Clin Periodontol(印刷中))。成長因子の放出後に、EMDに曝露された細胞は増殖して細胞外基質分泌細胞へと成熟する。同様の機構は、EMD存在下で歯髄創傷が治癒する過程でも役割を果たしていると思われる。
【0051】
したがって、本発明の一つの態様において、EMDは歯髄創傷の治癒に望ましい防御性環境を少なくとも提供する。しかし、新しい機能性象牙質芽細胞により視覚的に示された迅速に形成される大量の象牙質は、歯髄中に残る間葉細胞の分化および/または象牙質芽前駆細胞の成熟を誘導することにより、EMDがより直接的に作用することを示唆している。
【0052】
活性エナメル物質の調製物は通常、薬学的組成物として製剤化される。このような組成物がタンパク質性調製物からなってよいことはいうまでもなく、または薬学的に許容される希釈剤または賦形剤をさらに含みうる。希釈剤は通常、水であってよく、ここで、歯内組織への塗布の前に活性エナメル物質が溶解される。
【0053】
薬学的組成物
活性エナメル物質を含む適切な組成物の例を以下に示す。
【0054】
エナメル基質、エナメル基質誘導体、および/もしくはエナメル基質タンパク質(以下で「活性エナメル物質」とも呼ぶ)、ならびに/またはそれらの調製物を個体(動物またはヒト)に塗布する場合は、好ましくは活性エナメル物質、および選択的に1種または複数の薬学的に許容される賦形剤を含む薬学的組成物に製剤化する。
【0055】
以上のような組成物は、例えば以下などの、例えば固体、半固体または液体の組成物などの形状であってよい:
例えば、粉末、粒子、顆粒、カプセル、アガロースもしくはキトサンのビーズ、錠剤、ペレット、マイクロカプセル、マイクロスフェア、ナノ粒子、または凍結乾燥した粉末、粒子、顆粒、もしくはペレット、ゲル、水和ゲル、ペースト、溶液、分散液、懸濁液、乳化液、混合物。また例えば、2種の異なる容器を含むキットの形状であってよく、ここで第1の容器には、その他の活性薬剤物質および/または薬学的に許容される賦形剤と選択的に混合された活性エナメル物質が含まれ、第2の容器には、すぐ調製できる(ready-to-use)組成物を得るために使用前に第1の容器に添加されることが意図された適切な溶媒が含まれる。
【0056】
組成物を、従来の薬学的手法で製剤化することができる。これについては例えば、「レミントン薬科学(Remington's Pharmaceutical Sciences)」および「薬学的技術百科事典(Encyclopedia of Pharmaceutical Technology)」(Swarbrick, J.およびJ.C. Boylan編、Marcel Dekker社、New York、1988)を参照されたい。
【0057】
活性エナメル物質のほかに、本発明で使用するための薬学的組成物は、薬学的に許容される賦形剤を含む場合がある。
【0058】
薬学的に許容される賦形剤は、組成物が投与される対象に対して実質的に無害な物質である。このような賦形剤は通常、国立健康関連当局の定めた要件を満たしている。例えば英国薬局方、米国薬局方、および欧州薬局方などの公的な薬局方では、薬学的に許容される賦形剤の基準が規定されている。
【0059】
本発明で使用するための組成物内の薬学的に許容される賦形剤およびその最適濃度の選択は一般に予測不能なので、最終組成物の実験的評価を元に決定しなければならない。しかし薬学的製剤化の当業者であれば、例えば「レミントン薬科学(Remington's Pharmaceutical Sciences)」、第18版、マック出版社(Mack Publishing Company)、Easton、1990中に手引きを見出すことができる。
【0060】
薬学的に許容される賦形剤は、溶媒、緩衝剤、保存剤、キレート剤、抗酸化剤、安定剤、懸濁剤、およびゲル形成剤を含んでよい。
【0061】
溶媒の例には、例えば水、アルコール、または、歯での充填材料の使用を促進する、pH約5.5〜6.0の弱酸などのその他の親水性溶媒もしくはエーテル性溶媒などが含まれる。
【0062】
緩衝剤の例には例えば、クエン酸、酢酸、酒石酸、乳酸、リン酸水素、ジエチルアミンなどがある。
【0063】
組成物内で使用する保存剤の適切な例には、p-ヒドロキシ安息香酸メチル、p-ヒドロキシ安息香酸エチル、p-ヒドロキシ安息香酸プロピル、ブチルパラベン、イソブチルパラベン、イソプロピルパラベンなどのパラベン、ソルビン酸カリウム、ソルビン酸、安息香酸、安息香酸メチル、フェノキシエタノール、ブロノポール、ブロニドックス(bronidox)、MDMヒダントイン、ヨードプロピニルブチルカルバメート、塩化ベンザルコニウム、およびベンジルアルコール、または保存剤の混合物などが含まれる。
【0064】
抗酸化剤の例には、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、アスコルビン酸およびその誘導体、トコフェロールおよびその誘導体、システイン、ならびにこれらの混合物などが含まれる。
【0065】
懸濁剤の例には、例えばカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、微結晶セルロース(例えばAvicel(登録商標) RC 591)などの、例えばセルロースおよびセルロース誘導体、カラギーナン、アカシアゴム、アラビアゴム、トラガカント、ならびにこれらの混合物などが含まれる。
【0066】
ゲルベースまたは増粘剤の例には、液体パラフィン、ポリエチレン、脂肪油、コロイドシリカまたはアルミニウム、亜鉛石けん、グリセロール、プロピレングリコール、トラガカント、カルボキシビニルポリマー、マグネシウム-アルミニウムケイ酸塩、Carbopol(登録商標)、例えばデンプンまたは例えばカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、およびその他のセルロース誘導体などのセルロース誘導体などの親水性ポリマー、水で膨張する親水性コロイド、カラギーナン、ヒアルロン酸、ならびにプロピレングリコールアルジネートを含むアルジネートなどが含まれる。
【0067】
粉末成分の例には、アルジネート、コラーゲン、または乳糖が含まれる。通常、歯髄への塗布が意図された粉末は無菌状態でなければならず、かつ粒子は微粉化されなければならない。
【0068】
その他の賦形剤の例には、カルメロース、カルメロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのポリマー、ペクチン、キサンタンガム(zanthan gum)、イナゴマメ(locust bean)ガム、アカシアガム、ゼラチン、カルボマー、ビタミンE、ステアリン酸グリセリル、セタニルグルコシド(cetanyl glucoside)、コラーゲン、カラギーナン、ヒアルロン酸およびアルギン酸、ならびにキトサンなどの乳化剤が含まれる。
【0069】
本発明に使用するための適切な組成物は、懸濁剤、乳化剤、または分散剤の状態で存在してもよい。このような組成物は、分散剤もしくは湿潤剤と混合した活性エナメル物質、懸濁剤、および/または1種または複数の保存剤ならびに薬学的に許容される他の賦形剤を含む。適切な分散剤または湿潤剤には例えば、天然のホスファチド、例えばレシチン、またはダイズレシチン;酸化エチレンおよび例えば脂肪酸との縮合産物、長鎖の脂肪族アルコール、または、脂肪酸およびへキシトールもしくは無水へキシトールに由来する部分エステル、例えば、ステアリン酸ポリオキシエチレン、ポリオキシエチレンソルビトールモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートなどが含まれる。
【0070】
エナメル基質、エナメル基質誘導体、およびエナメル基質タンパク質の用量
本発明で使用するための薬学的組成物内で、活性エナメル物質は通常、約0.01%〜約99.9% w/wの範囲の濃度で存在する。塗布される組成物量は通常結果的に、約0.005 mg/mm2〜約5 mg/mm2、例えば約0.01 mg/mm2〜約3 mg/mm2に相当する歯髄面積1 cm2あたりの総タンパク質量となる。
【0071】
活性エナメル物質が液体組成物の状態で塗布される場合は、組成物に含まれる活性エナメル物質の濃度は、約0.01 mg/ml〜約50 mg/ml、例えば約0.1 mg/ml〜約30 mg/mlに相当する範囲内である。高い濃度が望ましい場合もあり、少なくとも約100 mg/mlの濃度とすることができる。ヒト歯髄における欠損面積は典型的には、約 200μlに相当する約5 mm〜10 mm×2 mm〜4 mm×5 mm〜10 mmの大きさであり、通常は、約1 mg 〜40 mgの総タンパク質/ml、例えば5 mg/ml〜30 mg/mlの濃度を有する組成物が最大で歯1本あたり約0.5 ml〜1 ml、例えば約0.2 ml〜0.3 mlで塗布される。0.2 mg/ml〜0.3 mg/mlは、歯根表面についてのみ計算した場合に約25 mm2〜100 mm2あたり6 mgのタンパク質、またはmm2あたり約0.1 mgに相当する。通常は、患部表面を適切に覆うために過剰な量が塗布される。多層であっても、上述の量のわずかな画分のみが必要となる。
【0072】
主張される本発明の範囲を制限することを何ら意図していない以下の実施例において、本発明をさらに説明する。
【0073】
実験項
実施例1
6匹の成体(18月齢またはそれ以上)のゲッティンゲンミニブタ(Mollegard、Denmarkより入手)をドルミカム(Dormicum;Roche、Switzerlandから入手可能な一般麻酔薬)で麻酔し、さらにキシロカイン(Xylocain)およびアドレナリンを注射して局所麻酔した。上顎小臼歯および臼歯の永久歯の歯髄(計36本の歯)を、無菌状態のラウンドスチールバー(round steel burr)(12番)と生理食塩水スプレーを用いて頬側クラスV窩洞(buccal class V cavity)中に露出させた。次に歯髄の歯冠部の大部分を除いて面積2 mm2以上の歯髄創傷を作製した。歯髄の生活力は、無菌性綿栓を用いて制御された大量の出血により示された。出血が止まった後に、エナメル基質誘導体(EMD、Emdogain(登録商標)、Biora ABより入手)、または対照としてのCa(OH)2ペースト(Dycal Dentine、Dentsply DeTrey、Switzerlandより入手)を露出歯髄に直接塗布した。次に市販のガラスイオノマー充填剤(GC Fuji II、Fuji Co.、Japan)により、通常の臨床状況を模倣した手順で窩洞を充填した。
【0074】
2週間後または4週間後にミニブタを殺して実験歯を抜き、パラフィンに包埋して、組織学的切片をヘマトキシリンおよびエオシンで染色した。組織学的切片を顕微鏡で観察したところ、EMDを塗布した位置において、4週間後の時点で充填材料に隣接した髄室の厚い象牙質様の閉鎖が認められた(図1〜図3)。EMDを用いていない対照では、このような様子は認められずに未発達な象牙質の形成のみが観察され、歯髄室の完全な閉鎖を示した対照歯はなかった(図4〜図6)。
【0075】
実施例2
ミニブタの上顎小臼歯および臼歯の永久歯の対照歯髄組織を、頬側クラスV窩洞から露出させた。露出させた歯髄にEMDを用いた覆罩を行った。反対側にある対照歯用の覆罩材料として水酸化カルシウムペーストを用いた。この処置に続き、窩洞をガラスイオノマーセメントで密封した。処置から2週間後および4週間後に連続切片を作製し、ヘマトキシリンおよびエオシンで染色し、盲検的に組織計測で分析した。EMD処置歯では、象牙質芽細胞に接した新しく形成された大量の象牙質が歯髄創傷の周囲に認められ、窩洞領域を残りの健康な歯髄組織から孤立させていた。炎症細胞は創傷内には存在していたが、これらの歯の新しく形成された象牙質の下部には存在していなかった。水酸化カルシウムで処置した対照歯では、断片的な新しい象牙質形成のみが認められた。EMD処置歯における新しい象牙質の量は対照の2倍を上回っていた(p<0.001)。
【0076】
処置手順
4匹のミニブタから得た全22本の歯を本実験に用いた。ミニブタを、10 mlのケタラール(Ketalar(登録商標))の筋注、および8 mlのペントバルビタールの静注で麻酔した。処置部位にキシロカイン(Xylocain(登録商標))(20 mg/ml)およびアドレナリン(12.5μg/ml)を浸潤させた。個々の歯髄を露出させ、無菌性バーおよび無菌性の生理食塩水スプレーを用いて直径2 mmの孔を頬側クラスV窩洞に穿孔した。出血を無菌性綿栓で制御した。次に、露出させた歯髄組織においてエムドガイン(EMDOGAIN(登録商標))(BIORA AB、Malmo、Sweden)または水酸化カルシウム(Dycal(登録商標):DENTSPLY、Konstanz、Germany)を用いた覆罩を行い、個々の窩洞をガラスイオノマーセメント(GC Fuji II(登録商標):GC Corporation、Tokyo、Japan)を充填した。
【0077】
組織学的検査
処置から2週間後および4週間後に、50 mlのペントバルビタールナトリウムのエタノール溶液の胸内(intra-cordial)ボーラス注射によりミニブタを殺した。安楽死させた後に、すべての実験用の歯および隣接する歯槽骨をまとめて除き、冷4%中性緩衝ホルムアミド中で24時間固定した。次に試料を12.5% EDTA中で脱塩処理し、続いてパラフィンに包埋した。連続切片(6μm)を作製した後に、1枚おきの切片をヘマトキシリンおよびエオシンで染色した。次に、歯冠歯髄組織を含む一連の切片を、組織計測装置(Olympus Microimage(登録商標))を接続した光学顕微鏡で分析した。
【0078】
新しく形成した象牙質の定量分析
各実験歯内の較正した窩洞に隣接して形成した新しい象牙質の量を、1枚おきに染色した切片中の新しい象牙質の面積を測定することにより、各歯由来の最も中心に位置する20枚の切片について評価した。歯根方向のカットオフ距離を、実験窩洞の底部から3 mmに設定した。
【0079】
結果
処置から2週間後に、EMD処置歯の実験窩洞に隣接しているのが観察される慢性炎症細胞で中程度に浸潤された領域を覆っている壊死層が観察された。明確な象牙質芽細胞層で周囲を囲まれた新しく形成された象牙質の結節(dentin nodule)は、創傷と境界を接していた(図7A)。
【0080】
Ca(OH)2処置歯では、この齢での炎症の徴候は認められず、正常の外見の結合組織が覆罩材料と密接に接触していることが示された。しかし、象牙質芽細胞または新しい象牙質は、これらの歯の実験窩洞に隣接して存在しなかった(図7B)。
【0081】
処置から4週間後に、窩洞の全幅を架橋する大量の新しい象牙質が、EMD処置歯内の創傷組織と生活歯髄組織との間の境界に形成されていた。このため象牙質の架橋形成が、実験窩洞の最先端部分からある程度離れた生活歯髄中で観察され、壊死組織および炎症細胞を含む歯髄の外傷部分を閉鎖していた(図8Aおよび8B)。歯髄架橋の下部にある象牙質組織は、正常でありかつ炎症もないと考えられた。機能性象牙質芽細胞の明確な層が、新しく形成された象牙質に接触しているのが観察できた。
【0082】
水酸化カルシウムを用いた対照では、ほんの少量の分散した新しい象牙質が、処置から4週間後の時点で、大部分が古い象牙質と隣接して、露出部位と会合して観察された。これらの歯の一部では、少量の反応性の不規則な硬組織が歯髄創傷部位に認められた。Ca(OH)2処置歯では炎症の徴候は認められなかった(図8C)。
【0083】
各実験窩洞由来の最も中心にある5枚の切片中の新しい象牙質で覆われた面積の合計として計算した、新しく形成された象牙質の定量分析の結果、EMD処置歯では、Ca(OH)2処置歯と比較して象牙質形成が有意に上昇している(p<0.001)ことが明らかとなった(図9)。2週間後と4週間後の両時点で、EMD処置歯の象牙質量は対照の2倍を上回っていた。
【0084】
実施例3
本試験を、エナメル基質誘導体(EMD)が、断髄歯に有害な副作用を生じることなく修復性の象牙質形成を誘導できるか否かを調べるように設計した。この目的のために、ミニブタ11匹由来の下部切歯36本を対象に断髄を行った。外科的処置の後、露出した歯髄組織をEMDで処置するか、または水酸化カルシウム調製物で被覆した。2週目、3週目、4週目、および8週目の時点で観察を行った後、実験歯を抜いて組織学的に検討した。その結果、EMD処置歯では、かなりの量の象牙質様組織の形成が、損傷部における完全な硬組織の架橋形成を一貫してもたらすことが示された。硬組織形成の開始は2週間後の時点で既に観察することができ、歯髄創傷領域にのみ位置していた。象牙質の形成は、EMD処置歯において観察されたのと同程度とは言えないものの、水酸化カルシウム処置歯でも認められた。しかしこれら対照歯では、髄室の幅を犠牲にして新しい硬組織が形成されており、これにより歯根管が狭くなり、それに続いて歯髄組織の発育阻止(strangulation)がもたらされた。EMD処置歯で新しく形成された石灰化組織の総量は、各実験窩洞に由来する最も中心に位置する切片5枚を対象としたデジタル組織形態計測分析を用いて総面積として計算したところ、水酸化カルシウムで処置した対照試料より有意に大きかった(p<0.005)。
【0085】
結論
これらの結果から、残存歯髄の正常機能に影響を及ぼすことなく、断髄歯における歯髄創傷治癒および象牙質形成を特異的に誘導する、生物活性をもつ歯髄ドレッシング剤としての潜在能力をEMDが有することが示された。
【0086】
材料および方法
外科的処置の手順
平均年齢3歳のミニブタ成体11匹に由来する総数36本の下部切歯の永久歯を使用した。ミニブタを3群に分けた。観察期間を、それぞれ3週間(n=4 本/EMD処置歯、n=4 本/Ca(OH)2処置歯)、4週間(n=7 本/EMD処置歯、n=7 本/Ca(OH)2処置歯)、および8週間(n=7 本/EMD処置歯、n=7 本/Ca(OH)2処置歯)とした。ミニブタに10 mlのケタラール(Ketalar(登録商標))を筋注し、かつ8 mlのペントバルビタールを静注して麻酔した。外科的処置部位に局所麻酔薬キシロカイン(Xylocain(登録商標))(20 mg/ml)、アドレナリン(12.5μg/ml)を浸潤させた。断髄時における窩洞調製を促進するために、切歯の歯冠(incisal crown)を歯肉溝から除去した。次に、アクセス用の窩洞を、ダイヤモンドバーを備えた高速ドリルを用いて咬合面に作製した。最後に、ラウンドスチールバーを低速で用いて歯髄を露出させて除いた。外科的処置の全段階において歯および切断機器を無菌生理食塩水スプレーで洗浄した。出血は無菌綿栓で制御した。次に露出した歯髄組織をEMD(EMDOGAIN(登録商標)ゲル;プロピレングリコールアルジネート(PGA)中に30 mg/ml;BIORA AB、Malmo、Sweden)、または水酸化カルシウム(Dycal(登録商標):DENTSPLY、Konstanz、Germany)で被覆した。続いて各窩洞をガラスイオノマーセメント(GC Fujii II(登録商標):GC Corporation、Tokyo、Japan)で充填し、窩洞を確実に閉鎖し、歯科機能を回復させた。
【0087】
組織学的試験
処置から3週間後、4週間後、または8週間後に、50 mlのペントバルビタールナトリウムのエタノール溶液の胸内ボーラス注射でミニブタを殺した。安楽死後に全実験歯を抜き、冷4%中性緩衝ホルムアミド中で24時間固定した。次に試料を12.5% EDTAで脱塩処理した後に、パラフィンに包埋した。縦方向の連続切片(6μm)を作製後、1枚おきに切片をヘマトキシリンおよびエオシンで染色した。次に歯髄組織を含む一連の切片を、組織計測用装置に接続した光学顕微鏡で分析した。
【0088】
新しい硬組織の定量分析
窩洞の下部に形成された新しい硬組織の量を各実験歯由来の中心切片(n=5)内で評価した。これらの切片中で、新しく形成された硬組織で覆われた面積をデジタル組織計測装置(Olympus Microimage(登録商標):Media Cybernetics、Maryland、U.S.A.)で測定した。組織計測分析の限界は、実験窩洞調製物の底部から先端方向に2 mmに任意に設定した。
【0089】
結果
EMDを塗布してから3週間後に、中程度の炎症細胞浸潤領域を覆う無細胞組織を、組織学的切片中の歯髄創傷において観察した。血管新生の顕著な上昇が、塗布部位の下部にあたる歯髄組織の深部で明確に認められ(図10A、図11A)、かつ歯の半分で、骨様象牙質様組織からなる小島(small islands)が切断部位の下部に形成されつつあることが観察された。EMD処置歯の組織写真は、瘡蓋の形成、創傷の下部にある中程度の炎症性浸潤物、ならびに血管新生および細胞増殖の局所的上昇を含む正常創傷治癒の写真に極めて似ていた。EMD処置歯で、不可逆的な歯髄損傷、部分壊死、または感染の徴候を示したものはなかった。この段階において、Ca(OH)2で処置した対照歯では、覆罩材料に近い組織の明確な液化壊死が認められた。大半の対照歯では、新しく形成された象牙前質の領域が、切断部位の下部にある髄周(circumpulpal)象牙質壁の上部または壁に沿って形成されつつあることが観察された。生活歯髄組織と壊死表層の間の縁では、ある程度の血管新生活性が認められた(図10D、図11B)。Ca(OH)2で処置した対照歯の状況は、下部領域で低い細胞活性しか示さない創傷部位において表面的な壊死組織を示す薬品熱傷の状況に極めてよく似ている。
【0090】
処置およびEMD塗布から4週間後に切片作製用に抜いた歯では、中等度の量の新しい象牙質様組織が、損傷歯髄組織と無傷の歯髄組織との境界において窩洞の全幅の架橋を形成していた。新しく形成された象牙質芽細胞様細胞に密接に接触した新しい硬組織島の膜(web)は、新しく形成された象牙質架橋の周囲を先端側で取り囲んでいた(図10B、図12A)。水酸化カルシウムの処置から4週間後に抜いた対照歯では、第2象牙質に似た新しい硬組織が歯根管壁上にのみ形成し、この時点でこれらの歯に架橋形成は認められなかった。新しく形成されたこの第2象牙質は、既存の象牙質壁上にまたは壁に沿って直接形成し、髄室をかなり狭くしていた(図10E、図12B)。EMD塗布の8週間後に抜いた7本の歯のうち6本は、残りの健康な歯髄を「瘡蓋」組織を含む実験損傷から有効に密封する、完全な歯髄架橋形状の歯髄の広範な新しい形成を示していた。架橋下部の歯髄組織には炎症および内部吸収がなく健康であると考えられた(図10C、図13A)。この群の最後の歯は、多量の修復象牙質形成を示していたが、欠損はまだ完全に架橋されていなかった(表1)。対照的に、水酸化カルシウムで処置された対照歯の7本中5本では歯髄創傷の完全な閉鎖を示していた。これら5本の歯のうち2本では、新しい第2象牙質は歯根髄室を犠牲にして形成され、これにより歯根管が過度に狭くなる。創傷を完全に閉鎖していない残りの2本のうち1本は蛇行した歯根管を示し、もう1本は新しい象牙質の形成をほとんど示しておらず、むしろ中等度の炎症浸潤および内部吸収の徴候を示した(p<0.005、表1)。
【0091】
【表1】
Figure 0005095063
露出歯髄のEMD処置およびCa(OH)2処置から8週間後における、欠損の大きさ、完全な象牙質架橋の頻度、完全な象牙質架橋の平均厚(±S.D.)、および新しく形成された象牙質の平均面積(±S.D.)。
【0092】
対照歯およびEMD処置歯に形成されてから8週間後に象牙質架橋の厚さを組織形態計測により評価したところ、欠損部を架橋する象牙質様組織の平均厚は、EMD処置歯の方が対照群より有意に大きかった(p<0.001)(図10F、図13Bおよび表1)。各実験窩洞由来の最も中心にある切片5枚を対象にデジタル組織形態計測分析を用いて総面積として計算された、EMD処置歯で新しく形成された石灰化組織の総量もまた、水酸化カルシウム処置した対象歯の試料より有意に多かった(p<0.005)(表1)。実際には、処置から8週間後の時点で、EMD処置歯で新しく形成された硬組織の量は対照における量の2倍を上回った。
【0093】
参照の一覧
Figure 0005095063

【図面の簡単な説明】
【図1】 EMD処置から2週間後の小臼歯を示す顕微鏡写真を示す。歯髄創傷は、典型的な活性創傷の特徴、すなわち慢性炎症細胞浸潤の狭い領域を覆う壊死性の表面層を有する。新しい象牙質様組織(ND)が、創傷組織と健康な下部歯髄組織との境界に形成されている。H&Eで染色された切片であり、スケールバーは1 mmである。
【図2】 Ca(OH)2処置から2週間後の小臼歯を示す顕微鏡写真を示す。炎症細胞を含まない正常な外見の歯髄組織が歯髄創傷に隣接しているのが観察され、これは薬品熱傷に典型的な不活性創傷に似ている。新しい象牙質または象牙質芽細胞は、これらの歯の創傷の内部または隣接部には観察されない。H&Eで染色された切片であり、スケールバーは1 mmである。
【図3】 EMD処置から4週間後の小臼歯を示す。ここでは歯髄創傷は、典型的な創傷治癒の特徴、すなわち慢性炎症細胞浸潤領域を覆う細胞外基質タンパク質および細胞残存物からなる表層または瘡蓋を示している。治癒中の創傷の下部に、新しい象牙質様組織(ND)の架橋が形成されつつあり、健康な歯髄と創傷を隔てている。H&Eで染色された切片であり、スケールバーは0.5 mmである。
【図4】 図3の高倍率写真を示す。新しい硬組織が象牙質芽細胞様細胞と境界を接しており、形成中の架橋の下部にある組織は健康で炎症細胞を含まない。H&Eで染色された切片であり、スケールバーは1 mmである。
【図5】 Ca(OH)2処置から4週間後の小臼歯を示す。炎症細胞を含まない正常な外見の歯髄組織が不活性歯髄創傷に隣接しているのが観察される。少量の新しい歯髄が、創傷に隣接する既存の象牙質壁に沿って形成されている。Cは実験窩洞を示す。Dは象牙質、NDは新しく形成された象牙質様組織、かつPは歯髄組織を示す。H&Eで染色された切片であり、スケールバーは0.5 mmである。
【図6】 Ca(OH)2処置から4週間後の小臼歯を示す。炎症細胞を含まない正常な外見の歯髄組織が不活性歯髄創傷に隣接しているのが観察される。少量の新しい象牙質が、創傷に隣接する既存の象牙質壁に沿って形成されている。Cは実験窩洞を示す。Dは象牙質、NDは新しく形成された象牙質様組織、かつPは歯髄組織を示す。H&Eで染色された切片であり、スケールバーは0.5 mmである。
【図7Aおよび図7B】 EMDまたはCa(OH)2による処置から2週間後の小臼歯を示す顕微鏡写真である。図7Aは、EMDで処置した歯を示す。歯髄創傷は、典型的な活性創傷の特徴、すなわち慢性炎症細胞浸潤の狭い領域を覆う壊死性表層を示す。新しい象牙質(ND)が、創傷組織と健康な下部歯髄組織との境界に形成されている。図7Bは、Ca(OH)2で処置した歯を示す。炎症細胞を含まない正常な外見の歯髄組織が歯髄創傷に隣接しているのが観察され、これは薬品熱傷に典型的な不活性創傷に似ている。新しい象牙質または象牙質芽細胞は、これらの歯における創傷の内部または隣接部に認められなかった。Cは実験窩洞を示す。Dは象牙質、NDは新しく形成された象牙質、かつPは歯髄組織を示す。H&Eで染色された切片であり、スケールバーは1 mmである。
【図8Aから図8C】 EMDまたはCa(OH)2による処置から4週間後の小臼歯を示す顕微鏡写真である。図8Aは、EMDで処置した歯を示す。歯髄創傷は、典型的な創傷治癒の特徴、すなわち慢性炎症細胞浸潤領域を覆う細胞外基質タンパク質および細胞残存物からなる表層または瘡蓋を示している。治癒中の創傷の下部には、新しい象牙質(ND)の架橋が形成されつつあり、健康な歯髄組織と創傷を隔てている。図8Bは、図8Aの高倍率写真である。新しい象牙質が、正常な外見の象牙質芽細胞と境界を接しており、形成中の象牙質架橋の下部にある組織は健康で、炎症細胞を含まない。図8Cは、Ca(OH)2で処置した歯を示す。炎症細胞を含まない正常な外見の歯髄組織が不活性歯髄創傷に隣接しているのが観察される。少量の新しい象牙質が、創傷に隣接した象牙質壁に沿って形成されている。不規則な象牙質の小さな島が、創傷部位からある程度離れた歯髄組織の周囲に観察されることがある。Cは実験窩洞を示す。Dは象牙質、NDは新しく形成された象牙質、かつPは歯髄組織を示す。H&Eで染色された切片であり、スケールバーは1 mm(AおよびC)または0.5 mm(B)である。
【図9】 EMDまたはCa(OH)2の塗布および窩洞閉鎖後に、歯において2週間後および4週間後に形成された新しい象牙質の総量を表すグラフである。連続切片の組織計測により測定された新しい象牙質の量を、mm2単位で表す。両時点において、EMD処置歯の内部に形成された新しい象牙質の量は、Ca(OH)2処置歯の内部よりも有意に多かった。すべての時点においてn=11であり、エラーバーは±SDを示す。両方のシリーズについてp<0.001である。
【図10Aから図10F】 EMD処置(図10A、図10B、図10C)、またはCa(OH)2処置(図10D、図10E、図10F)から3週間後、4週間後、および8週間後の切歯を示す顕微鏡写真である。
図10A)EMD処置から3週間後における切断歯髄の顕微鏡写真である。歯髄創傷は、中程度の炎症性細胞浸潤領域を覆う壊死性の表面「瘡蓋」層の特徴を有している。
図10B)EMD処置から4週間後における切断歯髄の顕微鏡写真である。中等度の量の新しい象牙質様組織が、創傷歯髄組織と非損傷歯髄組織との境界において窩洞の全幅の架橋を形成している。
図10C)EMD処置から8週間後における切断歯髄の顕微鏡写真である。象牙質の架橋形成は、切断部位からある程度離れた生活歯髄内で観察され、炎症細胞(IC)を含む創傷歯髄組織および瘡蓋を閉鎖している。
図10D)Ca(OH)2処置から3週間後における切断歯髄の顕微鏡写真である。水酸化カルシウムペースト(CA)の近傍に液化壊死が認められる。新しく形成された象牙前質(pre-dentin)の領域が、切断部位の下部にある髄周象牙質壁上およびそれに沿って形成しているのが観察される。
図10E)Ca(OH)2処置から4週間後における切断歯髄の顕微鏡写真である。新しく形成された第2象牙質が既存の象牙質壁上およびそれに沿って直接形成されており、髄室が有意に狭くなっている。
図10F)Ca(OH)2処置から8週間後における切断歯髄の顕微鏡写真である。得られた象牙質の架橋は、EMD処置歯内で形成された架橋に比べて有意に薄い層である。
Dは象牙質、Pは歯髄組織、ICは炎症細胞、かつCAは水酸化カルシウムペーストを示す(原倍率は×20、H&Eで染色された切片であり、スケールバーは1 mmである)。
【図11Aおよび図11B】 図10Aおよび図10Dの高倍率写真である。
図11A)EMD処置歯では、血管形成の著しい上昇が、塗布部位の下部にある歯髄組織のより深い部分で明らかである。
図11B)既存の象牙質芽細胞の近傍に位置する新しい血管の存在は、これらの細胞における活性の上昇を意味する。
Dは象牙質、Pは歯髄組織、かつCAは水酸化カルシウムペーストを示す(原倍率は×40、H&Eで染色された切片であり、スケールバーは0.5 mmである)。
【図12Aおよび図12B】 図10Bおよび図10Eの高倍率写真である。
図12A)EMD処置歯では、新しく形成された象牙質芽細胞様細胞に密接に接触した新しい硬組織の島の膜(web)が、先端の新しい象牙質架橋の周囲を囲んでいた。
図12B)対照歯では、新しい硬組織は、歯根管壁上にのみ形成する第2象牙質に似ており、この段階では架橋の形成が観察されなかった。
Dは象牙質、Pは歯髄組織、かつCAは水酸化カルシウムペーストを示す(原倍率は×40、H&Eで染色された切片であり、スケールバーは0.5 mmである)
【図13Aおよび図13B】 図10Cおよび図10Fの高倍率写真である。
図13A)EMD処置歯では、象牙質の架橋は、象牙質芽細胞様細胞と境界を接しており、架橋の下部にある組織は健康で炎症細胞を含まない。
図13B)対照歯では、形成された象牙質架橋は、EMD処置歯の場合と比較して有意に薄い。Dは象牙質、Pは歯髄組織、かつCAは水酸化カルシウムペーストを示す(原倍率は×40、H&Eで染色された切片であり、スケールバーは0.5 mmである)。

Claims (21)

  1. 生活(vital)歯髄組織の露出を伴う歯科的処置後に象牙質を形成または再生させるための薬学的組成物の調製用のエナメル基質誘導体(EMD)の使用であって、EMDがアメロゲニンを70〜90%含む、使用。
  2. アメロゲニンがSDS-PAGEで決定すると20 kDaの位置、12〜14 kDaの位置および5 kDa周辺にタンパク質のバンドを有する、請求項1記載の使用。
  3. EMDが屠殺された動物の発育中の歯から酸抽出により単離される、請求項1または2記載の使用。
  4. 生活歯髄組織中で第2象牙質を再生させるための、請求項1〜3のいずれか一項記載の使用。
  5. 生活歯髄組織中に修復象牙質または骨様象牙質を形成させるための、請求項1〜3のいずれか一項記載の使用。
  6. 萌出した(erupted)歯における生活歯髄組織中における象牙質形成を促進するための、請求項1〜3のいずれか一項記載の使用。
  7. 生活歯髄組織の露出を伴う歯科的処置後にEMDを歯髄上に塗布してから、充填材料を適用する、請求項1〜3のいずれか一項記載の使用。
  8. SDS-PAGE電気泳動で決定されるEMDの分子量が、最大120 kDaである、請求項1〜7のいずれか一項記載の使用。
  9. EMDが、異なる分子量のタンパク質の混合物を含む、請求項1〜8のいずれか一項記載の使用。
  10. EMDが、エナメリン、タフテリン、タフトタンパク質、血清タンパク質、唾液タンパク質、アメリン、アメロブラスチン、およびシースリンからなる群より選択される少なくとも1種の物質をさらに含む、請求項9記載の使用。
  11. EMDの分子量が最大40,000である、請求項1〜10のいずれか一項記載の使用。
  12. EMDの分子量が5,000〜25,000である、請求項11記載の使用。
  13. EMDの少なくとも一部が凝集物の形状であるか、またはインビボにおける塗布後に凝集体を形成することができる、請求項1〜12のいずれか一項記載の使用。
  14. 凝集物の粒子径が20 nm〜1μmである、請求項13記載の使用。
  15. 組成物に含まれるEMDのタンパク質含量が、0.05% w/w〜100% w/wの範囲内である、請求項1〜14のいずれか一項記載の使用。
  16. EMDが凍結乾燥状態である、請求項1〜15のいずれか一項記載の使用。
  17. 薬学的組成物が薬学的に許容される賦形剤をさらに含む、請求項1〜15のいずれか一項記載の使用。
  18. 薬学的に許容される賦形剤がプロピレングリコールアルジネートである、請求項17記載の使用。
  19. 薬学的に許容される賦形剤が、ヒアルロン酸、またはその塩である、請求項17記載の使用。
  20. 薬学的組成物が、プロピレングリコールアルジネート(PGA)中に30 mg/mlのEMDを含む、請求項1〜19のいずれか一項記載の使用。
  21. エナメル基質誘導体(EMD)を含んでなる、生活歯髄組織の露出を伴う歯科的処置後に象牙質を形成または再生させるための薬学的組成物であって、該EMDがアメロゲニンを70〜90%含む、薬学的組成物。
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