JP2006076980A - 歯の再生材料とこれを利用した歯の再生方法 - Google Patents

歯の再生材料とこれを利用した歯の再生方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2006076980A
JP2006076980A JP2004266058A JP2004266058A JP2006076980A JP 2006076980 A JP2006076980 A JP 2006076980A JP 2004266058 A JP2004266058 A JP 2004266058A JP 2004266058 A JP2004266058 A JP 2004266058A JP 2006076980 A JP2006076980 A JP 2006076980A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
amelogenin
tooth
cells
periodontal
regeneration material
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2004266058A
Other languages
English (en)
Inventor
Akiyoshi Taniguchi
彰良 谷口
Reimei Jo
麗明 徐
Toshiyuki Ikoma
俊之 生駒
Shuichiro Matsumoto
修一郎 松本
Eiko Harada
英光 原田
Junzo Tanaka
順三 田中
Mitsuo Okano
光夫 岡野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
National Institute for Materials Science
Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
National Institute for Materials Science
Sekisui Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by National Institute for Materials Science, Sekisui Chemical Co Ltd filed Critical National Institute for Materials Science
Priority to JP2004266058A priority Critical patent/JP2006076980A/ja
Publication of JP2006076980A publication Critical patent/JP2006076980A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Dental Preparations (AREA)

Abstract

【課題】 抗原性や感染性等における安全性を向上させ、歯周組織や歯周細胞、歯の再生をさらに促進させることができる、新しい歯の再生材料とこれを利用した歯の再生方法を提供することを課題とする。
【解決手段】 アメロジェニンを主成分とするエナメルマトリックスを含有する歯の再生材料とする。
【選択図】 なし

Description

本願発明は、歯の再生材料とこれを利用した歯の再生方法に関するものである。
アメロジェニンは、エナメルマトリックスタンパク質を構成する主成分として知られており、また、歯周組織や歯周組織を構成する歯周細胞に対して石灰化に関与する遺伝子の発現を促進することが知られている(たとえば、非特許文献1)。
このエナメルマトリックスタンパク質(エナメル基質タンパク質)を利用して、生活(vital)歯髄組織の露出に伴う歯科的処置の後に、象牙質を形成または再生させる方法が提案されている(たとえば、特許文献1)。このエナメルマトリックスタンパク質として、たとえば、子豚の歯胚から抽出して得られるエナメルマトリックスデリバティブ(EMD)である市販のEMDOGAIN(登録商標)がよく使用されている。このEMDOGAIN(登録商標)は、アメロジェニンのほかに、アメロブラスチンやエナメリン、タフトタンパク質、プロテアーゼ等を含有しており、象牙質の形成や再生、歯周組織の再生等を可能としている(たとえば、非特許文献2、3)。
特表2003-535904号公報 Viswanathan, H. L., et al., J. Periodontol. 2003, 74: 1423-1431 Gestrelius, S., et al., J. Clinical Periodontology 1997, 24: 685-692 Hammersorm, L., J. Periodontol. 1997, 24: 658-668
しかしながら、上記特許文献1におけるエナメルマトリックスタンパク質や、このエナメルマトリックスタンパク質として使用しうる市販のEMD(EMDOGAIN(登録商標))や非特許文献2および3のエナメルマトリックスタンパク質は、ヘテロタンパク質の集合体であり、特に市販のEMD(EMDOGAIN(登録商標))は、動物(ブタ)からの抽出タンパク質であるため、抗原性や感染性等における安全性に問題があった。そして、また、歯周組織や歯周細胞の再生促進も必ずしも十分ではないという問題があった。
そこで、本願発明は、以上のとおりの背景から、従来の問題点を解消し、抗原性や感染性等における安全性を向上させ、歯周組織や歯周細胞の再生をさらに促進させることができる、新しい歯の再生材料とこれを利用した歯の再生方法を提供することを課題としている。
本願発明は、上記の課題を解決する手段として、第1には、アメロジェニンを主成分とするエナメルマトリックスを含有することを特徴とする。
第2には、エナメルマトリックスが、生体吸収性物質によりゲル化されていること特徴する。また、第3には、エナメルマトリックスに、ハイドロキシアパタイトを複合させてなることを特徴とし、第4には、ハイドロキシアパタイトが、プレート状またはパーティクル状に形成されていることを特徴とする。そして、第5には、歯周組織前駆細胞をさらに含有させてなることを特徴とする。
さらに、本願発明は、第6には、上記第1、第2および第5いずれかの発明を、ハイドロキシアパタイトがコートされているインプラントに付着させていることを特徴とする。
そして、第7には、上記第1から第5いずれかの発明を、歯の欠損箇所に充填して歯周組織を構成する歯周細胞の分化誘導を促進させ、歯を再生させることを特徴とする。
上記第1の発明によれば、抗原性や感染性等における安全性を向上させ、歯周組織や歯周細胞、歯の再生をさらに促進させることができる。
第2の発明によれば、上記第1の効果に加え、歯の再生材料の取り扱い性をより容易とすることができる。
第3および第4の発明によれば、上記第1および第2の発明の効果に加え、さらに効果的に歯周組織や歯周細胞、歯の再生を促進させることができる。
第5の発明によれば、上記第1から第4の発明の効果に加え、さらに効果的に歯周組織や歯周細胞、歯の再生を促進させることができる。
第6の発明によれば、効率よく歯の再生を促進させることができる。
第7の発明によれば、抗原性や感染性等における安全性を向上させ、歯周組織や歯周細胞をさらに促進させることができるため、歯の再生の促進も効率よく実現できる。
本願発明は上記のとおりの特徴をもつものであるが、以下にその実施の形態について詳しく説明する。
アメロジェニンは、歯周組織の細胞の石灰化に関与する遺伝子の発現を促進することが知られており(Viswanathan, H. L., et al., J. Periodontol. 2003, 74: 1423-1431)、また、このアメロジェニンをコードする遺伝子の配列についても開示されている(たとえば、Snead, M. L., et al, Biochem. Biophys. Res. Commun. 1985, 129 (3): 812-818、GenBank Accession No. D31768)。しかしながら、アメロジェニンによって、アメロジェニン自身をコードする遺伝子(つまり、アメロジェニン遺伝子)の発現を促進することに関しては本願発明によって初めて解明されたものであり、この新規の事項に基づいて、本願発明は発明者の鋭意研究の結果からなされたものである。すなわち、本願発明は、アメロジェニンを主成分とするエナメルマトリックス(エナメルマトリックスタンパク質)を含有することを特徴とする歯の再生材料である。この歯の再生材料の使用によって、アメロジェニン遺伝子の発現を促進させることができ、歯周組織はもちろん、この歯周組織を構成する歯周細胞、さらに歯の再生を促進させることができる。この促進の効果は、アミロジェニンの用量依存的に上昇し、200-300倍程度も上昇させることができる。なお、エナメルマトリックスの構成成分であるアメロジェニンは、エナメルマトリックスの成分の中でも、特に顕著に歯や歯周組織の再生や石灰化を促進する機能を発揮する。つまり、「アメロジェニンを主成分とするエナメルマトリックス」とは、アメロジェニンは機能性においてエナメルマトリックスの主成分であることを意味する。
このエナメルマトリックスには、アメロブラスチンやエナメリン、タフトタンパク質、プロテアーゼ等の各種の成分が含まれており、これらの成分は歯や歯周組織の再生の促進効果を向上させることができる。さらに、このエナメルマトリックスを、生体吸収性物質によってゲル化させることで、取り扱い性が向上し、歯や歯周組織の再生が完了後、生体に吸収(あるいは、分解)されるため不要な残骸の発生を抑制することができる。生体吸収性物質としては、たとえば、ゼラチン、ヒアルロン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、コラーゲン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、ラミニン、プロテオグリカン、グリコサミノグリカン等、各種のものを使用することができる。
なお、歯周組織とは、一般的に歯肉、歯根膜、歯槽骨、セメント質等であるが、本願発明においては、エナメル質(その形成には、たとえば、エナメル上皮細胞等が関与)、象牙質(その形成には、たとえば、象牙芽細胞等が関与)、セメント質(その形成には、たとえば、セメント芽細胞等が関与)等の硬組織や歯髄組織等から構成されている歯も対象としている。
本願発明におけるアメロジェニンの作成は、たとえば、図1に示したマウス由来のアメロジェニンcDNA配列(配列番号1)、もしくは、アメロジェニンタンパク質をコードするアミノ酸配列のcDNA配列(配列番号2)を鋳型として、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR反応)を行った。具体的には、右矢印で示した「5'-atggggacctggattttgtttgcctgcctc-3'」を鋳型として、5’側プライマー「5'-tacccctggacctaaaacaaacggacggag-3'」(配列番号3)を作成し、左矢印で示した「5'-gacaagaccaagcgggaagaagtggattaa-3'」を鋳型として、3’側プライマーを「5'-ctgttctggttcgcccttcttcacctaatt-3'」(配列番号4)を作成して、これらプライマーをそれぞれ用いてPCR反応を行い、アメロジェニン遺伝子のクローニングし、これをさらに、たとえば、後述の実施例1にて説明する公知の大量発現システムを利用することで得ることができる。つまり、遺伝子工学的な方法を用いて製造することで、純度が高く、またヒト由来のアメロジェニンを得ることができて好ましい。
具体的には、アメロジェニンをコードする遺伝子配列(Snead, M. L., et al, Biochem. Biophys. Res. Commun. 1985, 129 (3): 812-818、GenBank Accession No. D31768等)を有した発現カセットを備えた発現ベクターをバキュロウイルス等のウイルス、大腸菌や酵母、植物細胞、動物細胞等に公知の方法である、エレクトロポレーション法、リン酸カルシウム法、マイクロインジェクション法等に従い導入することによって、大量、かつ、簡便に製造することができる。さらに、この発現カセットに、たとえば、6×ヒスチジン−タグ(His)、FLAG、β−ガラクトシターゼ、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)、c-myc、マルトース結合タンパク質(MBP)等をコードする配列をタグ配列として含ませることにより、精製の効率が向上する。
発現ベクターは、アメロジェニンをコードする遺伝子配列を有する発現カセットをベースベクター内に挿入結合することによって作製することができる。したがって、発現カセットは、ベースベクターの任意のクローニングサイトに対応した制限酵素配列を有することが好ましい。ベースベクター(ドナープラスミド)は、たとえば、昆虫細胞用ベクター、動物細胞用ベクター、酵母用ベクター、大腸菌用ベクター、また酵母・大腸菌等といった複数種用のシャトルベクター等、種々のベースベクターがあるが、これらベースベクターは宿主細胞や目的に応じて適宜に選択することができる。また、適当な宿主細胞で外来タンパク質を発現させるための既存のベクターDNAを一部改変して使用することもできる。たとえば、宿主細胞として大腸菌等の微生物を利用する場合には、オリジン、プロモータ、ターミネータ等を有するpUC系、pBluescriptIIやpET系システム等が使用することができる。また、昆虫細胞用のバキュロウイルス発現系を利用する場合では、ドナープラスミドに、一旦アメロジェニン遺伝子を挿入し、次いで、相同性変換によりバキュロウイルスDNAに挿入することで、アミロジェニン遺伝子発現ウイルスを作成することができる。
この発現ベクターを導入する際に利用する細菌や細胞(受容体)は、アメロジェニンを安定に発現することのできるものであれば、特に限定されるものではなく、たとえば、昆虫細胞、大腸菌や酵母類、各種植物細胞、各種動物細胞等を使用することができる。このように形質転換の対象とする細胞の種類を任意に選択および使用することができるため、アメロジェニンを有効成分とした歯の再生材料の主な使用対象となるヒトを含めた動物の由来に合わせて、形質転換する細胞の由来や種類を適宜に選択することにより、免疫原生を抑制することができる。
さらに、本願発明は、歯や歯周組織(歯周細胞)の足場材料として生体親和性の高いハイドロキシアパタイトをアメロジェニンにコーティングすることや混合すること等で複合させ、さらに効率のよい歯の再生材料としてもよい。このハイドロキシアパタイトの形状としては、アメロジェニン遺伝子の発現促進(つまり、歯や歯周組織の再生促進)を妨げるものではないのであれば、その形状は特に制限されるものではなく、たとえば、プレート状(板状)やパーティクル状(粒子状)等としてもよい。
さらには、上記のとおりの歯の再生材料に、歯周組織前駆細胞をさらに含有させてもよい。この歯周組織前駆細胞としては、たとえば、歯や歯周組織(歯周細胞)に分化する間葉細胞はもちろんのこと、エナメル器や歯乳頭、歯小嚢(つまり、歯胚)、エナメル器の外側を覆う外エナメル上皮や内側を覆う内エナメル上皮、外エナメル上皮と内エナメル上皮との間の部分のエナメル髄、さらに象牙芽細胞に分化する歯乳頭の未分化間葉細胞等が挙げられる。なお、歯周組織前駆細胞は、自家細胞および他家細胞どちらでもよく、免疫原生を抑制するという安全性を確保するという観点から、自家細胞であることが好ましい。
さらにまた、本願発明は、アメロジェニンおよび歯周組織前駆細胞の少なくともいずれかを含有する歯の再生材料を、ハイドロキシアパタイトが予めコートされている、歯が欠失した場合の治療として活用するインプラント(人工歯根)に付着させて、歯の再生材料としてもよい。このとき、歯の再生材料の付着は、ハイドロキシアパタイトの表面であることが好ましい。これによって、人工物であるインプラントでも、生体によく馴染み、より天然歯に近い状態にすることができる。
上記のような特徴を有する歯の再生材料は、歯の欠損箇所を修復する歯の再生方法として利用することができる。具体的には、アメロジェニンを必須成分として、これにハイドロキシアパタイトおよび歯周組織前駆細胞の少なくともいずれかを含有した歯の再生材料を、歯の欠損箇所に充填し、歯周組織を構成する歯周細胞、たとえば、歯髄に存在する象牙芽細胞の分化誘導を促進させ、象牙質を再生させて、歯を従来よりも効果的に、しかも安全に再生させることができる。このとき、充填の対象となる歯は、歯髄を残して洗浄することで、本願発明の効果を効率よく発揮できる。また、たとえば、歯周組織前駆細胞の栄養素として血清や種々の薬理成分等とともに充填してもよい。なお、薬理成分とは、たとえば、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンC、葉酸、パントテン酸等の各種ビタミン類やフッ素やカルシウム、マグネシウム等の各種微量元素等が挙げられる。
図2は、この歯の再生方法の工程手順の概略を例示した図である。
そして、本願発明は、上記の歯の再生材料を有効成分として、歯磨き粉に含有させて歯の再生歯磨き粉としてもよく、この歯磨き粉を使用して歯を磨くことによって、日常的に歯周組織や歯周細胞および歯の再生を効果的に促進させることができる。なお、一般的な歯磨き粉の成分として、たとえば、収れん剤として炭酸水素ナトリウム、研磨剤として重炭酸ナトリウム、二リン酸カルシウム、陶土、ベントナイト、シリカ、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、基剤としてソルビット液、薬用成分として塩化ナトリウム、塩化ベンゼトニウム、β-グリチルレチン酸、湿潤剤として濃グリセリンやプロピレングリコール、発泡剤としてラウリル硫酸塩、香味剤としてアニスペパーミントやストロベリーフレーバー、サッカリンナトリウム、キシリトール、粘結剤としてカラギーナン等が含まれているが、本願発明の歯や歯周組織の再生促進を妨げるものでなければ、これら各種の歯磨き粉の成分を含有させてもよい。
以下に実施例を示し、さらに詳しく、本願発明について説明する。もちろん、以下の例によって本願発明が限定されることはない。
実施例1:アメロジェニンによる歯の再生材料
1.アメロジェニンの作成
アメロジェニンをマウス由来のアメロジェニン遺伝子(cDNA配列)から合成した。具体的には、まず、図1に示したマウス由来のアメロジェニンcDNA配列(配列番号1)を鋳型として、5’側のプライマー(forward primer)である「5'-tacccctggacctaaaacaaacggacggag-3'」(配列番号3)と、3’側プライマー(reverse primer)である「5'-ctgttctggttcgcccttcttcacctaatt-3'」(配列番号4)をそれぞれ用いて、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR反応)を行い、アメロジェニン遺伝子のクローニングを行った。
つぎに、バキュロウイルスタンパク質大量発現キット(Invitorgen社製)を使用して、アメロジェニンを発現させた。つまり、クローニングで得られたアメロジェニン遺伝子を、バキュロウイルスタンパク質大量発現キット(Invitorgen社製)にあるドナープラスミドに挿入し、バキュロウイルスに組換え、大腸菌でこれを培養した。そして、大腸菌から得られたバキュロウイルスを昆虫細胞としてヨトウ蛾由来のSF9に感染させて(トランスフェクション)、培養し、アメロジェニンを大量発現させ、このアメロジェニンを精製した。本実施例におけるアメロジェニンの収量は、75Tサイズの培養皿1枚当たり、約300μgであり、また197アミノ酸残基であった。
図3に、このアメノジェニンを電子顕微鏡で観察した写真図を示した。この図3にも示したとおり、上記のように大きなサイズでアメロジェニン(75Tサイズの培養皿1枚当たり、約300μg、197アミノ酸残基)を精製することができたことは、本願発明によって初めてなされたものであり、アメロジェニンがこのように大きなサイズとすることで、歯周組織や歯細胞および歯の再生促進に大きく貢献することができる。
2.アメロジェニンからなる歯の再生材料の評価
上記1.にて精製されたアメロジェニンの効果を評価した。具体的には、歯周細胞としてHAT-7細胞(ラットエナメル上皮細胞)を使用し、このHAT-7細胞を2.5×105細胞/ウエルで12ウエルプレートに播種し、細胞密度が約100%になるまで培養した。なお、培養液にはD-MEM/F-12(GIBCO社製)に10%FBSを加えたものを用いた。培養後、アメロジェニンを、0μg/ml、1μg/ml、2μg/mlまたは4μg/mlを添加し、その効果を評価した。
結果は、図4に示したようにHAT-7細胞の形態が、アメロジェニンの用量に依存して変化した。つまり、アメロジェニンの添加量が増加するとともに、HAT-7細胞の石灰化が促進した。
3.アメロジェニンの濃度変化におけるアメロジェニンのmRNA発現量
アメロジェニンの濃度変化における、アメロジェニンのmRNA発現量を評価するため、まず、上記2.と同様にHAT-7細胞を細胞密度が約100%になるまで培養した。培養後のHAT-7細胞からRNAを公知の方法(たとえば、グアニジン-塩化セシウム超遠心法やAGPC法)に従って抽出し、リアルタイムPCR(サイバーグリーン法)でアメロジェニン遺伝子(mRNA)の発現量を定量した。
結果は、図5に示したとおり、アメノジェニンが自身をコードするアメノジェニン遺伝子(mRNA)の発現を、用量依存的(0μg/ml、1μg/ml、2μg/ml、3μg/mlまたは4μg/ml)に上昇させていることが確認でき、最大で200-300倍も上昇していることが確認できた。
4.アメロジェニンの時間経過におけるアメロジェニンのmRNA発現量
アメロジェニンの時間経過における、アメロジェニンのmRNA発現量を評価した。まず、上記2.および3.と同様に、HAT-7細胞を細胞密度約100%になるまで培養した。培養後のHAT-7細胞に、アメロジェニンを3μg加え、0-3日間培養した。そして、それぞれの培養日数が経過したHAT-7細胞からRNAを公知の方法(たとえば、グアニジン-塩化セシウム超遠心法やAGPC法)に従って抽出し、リアルタイムPCR(サイバーグリーン法)でアメロジェニン遺伝子(mRNA)の発現量を定量した。
結果は、図6に示したとおり、時間の経過とともに、アメノジェニン遺伝子(mRNA)の発現が上昇することが確認できた。
実施例2:アメロジェニン、ハイドロキシアパタイトおよび歯周前駆細胞からなる複合型の歯の再生材料
1.アメロジェニン、ハイドロキシアパタイトおよび歯周前駆細胞からなる複合型の歯の再生材料の作成
a軸c軸がランダム配向したΦ20nmハイドロキシアパタイト焼結体に、0μg/ml、1μg/ml、2μg/ml、3μg/mlまたは4μg/mlの実施例1の1.にて得られたアメロジェニンを塗布し、さらに、その上に歯周前駆細胞としてHAT-7細胞(ラットエナメル上皮細胞)を2.5×104細胞播種し、細胞密度がコンフルエントの状態から、さらに3日間培養した。なお、培養液にはD-MEM/F-12(GIBCO社製)に10%FBSを加えたものを用いた。
また、図7に、アメロジェニン(1)、ハイドロキシアパタイト(2)およびHAT-7細胞(3)からなる、本願発明の複合型の歯の再生材料の模式図を例示した。
2.複合型の歯の再生材料の評価
つぎに、培養後のHAT-7細胞からRNAを公知の方法(たとえば、グアニジン-塩化セシウム超遠心法やAGPC法)に従って抽出し、リアルタイムPCR(サイバーグリーン法)でアメロジェニン遺伝子(mRNA)の発現量を定量することで、歯周細胞の分化誘導の評価を行った。
HAT-7細胞の培養は、<1>通常の培養シャーレで、アメロジェニンの塗布なし、<2>ハイドロキシアパタイトのみ、<3>前記培養シャーレに1μg/ml、2μg/mlまたは3μg/mlのアメロジェニンの塗布あり、<4>ハイドロキシアパタイトに3μg/mlのアメロジェニンの塗布あり、を調製しそれぞれによる歯周細胞の分化誘導(アメロジェニン遺伝子(mRNA)の発現量増加率)の評価を行った。
結果は、図8に示したとおりであった。図8は、通常の培養シャーレでアメロジェニンの添加なし(図8中のコントロール)、ハイドロキシアパタイトのみ(図8中のHAp)、アメロジェニンの添加のみ(図8中のameg)、ハイドロキシアパタイトにアメロジェニンの添加あり(複合型の再生材料;図8中のHAp+ameg)、それぞれのアメロジェニンによる歯周細胞の分化誘導(mRNA発現量増加率)の評価を示したものである。この図8の結果を検討すると、ハイドロキシアパタイトの存在下においても、アメロジェニンの用量依存的にアメロジェニン遺伝子(mRNA)の発現量が上昇し、しかも、アメロジェニンとハイドロキシアパタイトとの併用(図8中のHAp+ ameg)で、その発現量は顕著に上昇することが確認できた。
マウス由来のアメロジェニンcDNA配列を示した図である。 本願発明の歯の再生方法の工程を概略的に例示した図である。 アメロジェニンの電子顕微鏡で観察した写真図である。 アメロジェニン添加(0μg/ml、1μg/ml、2μg/ml、4μg/ml)によるHAT-7細胞の形態変化を例示した図である。 アメロジェニンの濃度変化における、アメロジェニン遺伝子(mRNA)の発現量の評価した結果を示した図である。 アメロジェニンの時間経過における、アメロジェニン遺伝子(mRNA)の発現量の評価した結果を示した図である。 アメロジェニン、ハイドロキシアパタイトおよびHAT-7細胞からなる再生材料を例示した模式図である。 図7の再生材料におけるアメロジェニンの効果を評価した結果を示した図である。
符号の説明
1 アメロジェニン
2 ハイドロキシアパタイト
3 HAT-7細胞

Claims (7)

  1. アメロジェニンを主成分とするエナメルマトリックスを含有することを特徴とする歯の再生材料。
  2. エナメルマトリックスが、生体吸収性物質によりゲル化されている請求項1記載の歯の再生材料。
  3. エナメルマトリックスに、ハイドロキシアパタイトを複合させてなる請求項1または2に記載の歯の再生材料。
  4. ハイドロキシアパタイトが、プレート状またはパーティクル状に形成されている請求項3記載の歯の再生材料。
  5. 歯周組織前駆細胞をさらに含有させてなる請求項1から4いずれかに記載の歯の再生材料。
  6. 請求項1、2および5いずれかに記載の歯の再生材料を、ハイドロキシアパタイトがコートされているインプラントに付着させていることを特徴とする歯の再生材料。
  7. 請求項1から5いずれかに記載の歯の再生材料を、歯の欠損箇所に充填して歯周組織を構成する歯周細胞の分化誘導を促進させ、歯を再生させることを特徴とする歯の再生方法。

JP2004266058A 2004-09-13 2004-09-13 歯の再生材料とこれを利用した歯の再生方法 Pending JP2006076980A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004266058A JP2006076980A (ja) 2004-09-13 2004-09-13 歯の再生材料とこれを利用した歯の再生方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004266058A JP2006076980A (ja) 2004-09-13 2004-09-13 歯の再生材料とこれを利用した歯の再生方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2006076980A true JP2006076980A (ja) 2006-03-23

Family

ID=36156735

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004266058A Pending JP2006076980A (ja) 2004-09-13 2004-09-13 歯の再生材料とこれを利用した歯の再生方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2006076980A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009067700A (ja) * 2007-09-11 2009-04-02 Akio Tanaka 骨形成剤および骨形成方法
JP2009184936A (ja) * 2008-02-04 2009-08-20 Kiyomi Seida 歯茎用組成物
WO2013115128A1 (ja) * 2012-02-01 2013-08-08 株式会社オーガンテクノロジーズ 歯科用インプラントおよびその製造方法
JP2016192962A (ja) * 2015-04-01 2016-11-17 学校法人慶應義塾 ヒトiPS細胞から、ヒト歯原性上皮細胞やヒト歯原性間葉細胞を製造する方法
JP2022516147A (ja) * 2018-12-31 2022-02-24 美釉(西安)生物技術有限公司 歯のエナメル質の脱灰に耐えるための鉱化物質及びその応用

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001269167A (ja) * 2000-03-27 2001-10-02 Japan Science & Technology Corp エナメル上皮細胞株
JP2003535904A (ja) * 2000-06-20 2003-12-02 バイオラ アーベー 象牙質再生に用いる基質タンパク質組成物
WO2004075939A1 (ja) * 2003-02-26 2004-09-10 Trial Corporation 生分解性樹脂及びリン酸カルシウムを含む再生医療用材料及びその製造方法

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001269167A (ja) * 2000-03-27 2001-10-02 Japan Science & Technology Corp エナメル上皮細胞株
JP2003535904A (ja) * 2000-06-20 2003-12-02 バイオラ アーベー 象牙質再生に用いる基質タンパク質組成物
WO2004075939A1 (ja) * 2003-02-26 2004-09-10 Trial Corporation 生分解性樹脂及びリン酸カルシウムを含む再生医療用材料及びその製造方法

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009067700A (ja) * 2007-09-11 2009-04-02 Akio Tanaka 骨形成剤および骨形成方法
JP2009184936A (ja) * 2008-02-04 2009-08-20 Kiyomi Seida 歯茎用組成物
WO2013115128A1 (ja) * 2012-02-01 2013-08-08 株式会社オーガンテクノロジーズ 歯科用インプラントおよびその製造方法
EP2823787A4 (en) * 2012-02-01 2015-09-23 Organ Technologies Inc DENTAL IMPLANT AND MANUFACTURING METHOD THEREFOR
AU2013216173B2 (en) * 2012-02-01 2017-02-16 Organ Technologies, Inc. Dental implant and method for producing same
US10022205B2 (en) 2012-02-01 2018-07-17 Organ Technologies, Inc. Dental implant and method for producing same
JP2016192962A (ja) * 2015-04-01 2016-11-17 学校法人慶應義塾 ヒトiPS細胞から、ヒト歯原性上皮細胞やヒト歯原性間葉細胞を製造する方法
JP2022516147A (ja) * 2018-12-31 2022-02-24 美釉(西安)生物技術有限公司 歯のエナメル質の脱灰に耐えるための鉱化物質及びその応用
JP7297901B2 (ja) 2018-12-31 2023-06-26 美釉(西安)生物技術有限公司 歯のエナメル質の脱灰に耐えるための鉱化材料及びその応用

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Zhai et al. Dental stem cell and dental tissue regeneration
Hynes et al. Clinical utility of stem cells for periodontal regeneration
Bartold et al. Tissue engineered periodontal products
Yen et al. Dental tissue regeneration–a mini-review
Khorsand et al. Autologous dental pulp stem cells in regeneration of defect created in canine periodontal tissue
Zhu et al. Transplantation of dental pulp stem cells and platelet-rich plasma for pulp regeneration
Yu et al. Current approaches and challenges in making a bio-tooth
Han et al. Stem cells, tissue engineering and periodontal regeneration
Yildirim et al. Tooth regeneration: a revolution in stomatology and evolution in regenerative medicine
CN111712512B (zh) 肽、包含肽的组合物及其应用
Tan et al. Research on promoting periodontal regeneration with human basic fibroblast growth factor-modified bone marrow mesenchymal stromal cell gene therapy
Mohabatpour et al. Novel trends, challenges and new perspectives for enamel repair and regeneration to treat dental defects
Yang et al. A novel possible strategy based on self‐assembly approach to achieve complete periodontal regeneration
JP2006076980A (ja) 歯の再生材料とこれを利用した歯の再生方法
Nakashima et al. Pulp and dentin regeneration
Kim et al. Adult stem cell therapy for periodontal disease
Nakajima et al. Development of a functional biohybrid implant formed from periodontal tissue utilizing bioengineering technology
Lim et al. From endodontic therapy to regenerative endodontics: New wine in old bottles
Honda et al. Recent advances in engineering of tooth and tooth structures using postnatal dental cells
Marei Regenerative dentistry
Zivkovic et al. Stem cell‐based dental tissue engineering
Battistella et al. Dental tissue engineering: a new approach to dental tissue reconstruction
JP5424353B2 (ja) 硬組織再生治療用組成物
Shiba et al. Effect of inorganic polyphosphate on periodontal regeneration
Dhingra et al. Challenges of bioengineering and endodontics

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070515

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20070607

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20070607

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070611

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20101102

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20110308