JP5094594B2 - 貼付材 - Google Patents

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本発明は、傷の保護や治療等のために傷口等を覆って皮膚に貼る貼付材に関する。
従来、傷の保護や治療等のために皮膚に貼る貼付材として、傷口からの滲出液を吸収保持したり傷口等のための薬液等を保持したりする吸収部と、前記吸収部から液体が外部へ滲出するのを防ぐ外層部が積層された構成のものがある。前記吸収部には、繊維体や発泡体が用いられ、一方、前記外層部には不織布やフィルム等が用いられている。また、前記発泡体として軟質ポリウレタン発泡体を用い、前記フィルムとしてポリウレタンフィルムを用いることが提案されている
特開2005−68086号公報 特開平8−154964号公報 特開平8−10283号公報 特開平8−183731号公報
しかし、前記吸収部に繊維体を用いる貼付材は、皮膚の表面で滲出液が硬化した場合、皮膚と接している吸収部の一部の繊維が浸出液の硬化によって皮膚に付着して残る問題がある。また、吸収部が発泡体の場合、滲出液の吸収性が不足したり、滲出液や薬液等により膨潤したりするおそれがあった。さらに、前記吸収部と外層部を接着剤で接着する際に、接着剤に含まれる溶剤等が吸収部に溶出して貼付材を汚すおそれがあり、衛生面上、接着剤に起因する溶剤等の溶出可能性がない貼付材が求められる。
本発明は前記の点に鑑みなされたものであって、滲出液の吸収性が高く、かつ滲出液や薬液等による膨潤を生じにくく、さらに貼付性を損なわない可撓性を有する貼付材の提供を目的とする。
請求項1の発明は、発泡体の片面に樹脂フィルムが積層された貼付材において、前記発泡体が吸水性を有するポリエステル系ポリウレタン発泡体からなり、前記樹脂フィルムが熱可塑性ポリウレタンフィルムからなり、前記吸水性を有するポリエステル系ポリウレタン発泡体は、少なくともポリエステルポリオール、ポリイソシアネート、発泡剤、触媒、整泡剤を含む原料から発泡形成されたものであって、前記整泡剤としてアニオン系界面活性剤を有し、前記原料には、架橋剤として官能基数2〜3のポリオキシアルキレンオキサイドを有すると共に、前記ポリオキシアルキレンオキサイドには、少なくともポリオキシエチレンオキサイドを有し、前記吸水性を有するポリエステル系ポリウレタン発泡体と前記熱可塑性ポリウレタンフィルムが溶着により接着していることを特徴とする。
本発明によれば、発泡体が吸水性を有するポリエステル系ポリウレタン発泡体からなるため、発泡体による滲出液の吸収性が良好である共に薬液等による発泡体の膨潤を生じにくい効果がある。また、本発明の貼付材は、吸水性を有するポリエステル系ポリウレタン発泡体と熱可塑性ポリウレタンフィルムが溶着により接着しており、接着剤を用いていないため、接着剤に含まれている溶剤等が滲出して貼付材を汚すことがなく、衛生的である。
以下本発明の実施例を詳細に説明する。図1は本発明の一実施例に係る貼付材の断面図である。図1に示す貼付材10は、傷の保護や治療等のために皮膚に貼る皮膚用貼付材であり、発泡体11の片面に樹脂フィルム21が積層された構成からなり、前記発泡体11が皮膚と当接するようにして使用される。前記樹脂フィルム21は、図2のように、前記発泡体11の周囲からはみ出す大きさとしてもよい。前記貼付材10の皮膚に対する固定は、前記貼付材10を患部の皮膚に載置した後、前記貼付材10の上から包帯や粘着テープ等を患部に巻き付けたりして行われるが、図2のように、樹脂フィルム21を前記発泡体11の周囲からはみ出す大きさとして、前記発泡体11の周囲からはみ出した部分の内面に粘着層(図示せず)を設けて、前記粘着層により皮膚に固定するようにしてもよい。
前記発泡体11は、傷等の患部に当接する部分であり、吸水性を有するポリエステル系ポリウレタン発泡体からなる。前記発泡体11を、吸水性を有するポリエステル系ポリウレタン発泡体で構成したことにより、前記発泡体11が患部からの滲出液を効率よく吸収したり、患部のためのアルコール等の薬液を保持したり、滲出液あるいはアルコール等の薬液による膨潤を防ぐことができると共に患部の保護のための緩衝性を有することができる。前記発泡体11の厚みは適宜とされるが、例えば1〜3mm程度が好ましい。
ポリエステル系ポリウレタン発泡体は、少なくともポリエステルポリオール、ポリイソシアネート、発泡剤、触媒、整泡剤を含み、より好ましくは架橋剤を含む原料から発泡形成されたものであり、吸水性を有するポリエーテル系ポリウレタン発泡体と比べて膨潤性を抑えることができると同時に高い強度特性を示すため、前記貼付材10の発泡体11として好ましいものである。
ポリエステルポリオールとしては、ポリウレタン発泡体用として使用されるものであれば特に限定されず、例えば、マロン酸、コハク酸、アジピン酸等の脂肪族カルボン酸やフタル酸等の芳香族カルボン酸と、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等の脂肪族グリコール等とから重縮合して得られたポリエステルポリオールを挙げることできる。
ポリイソシアネートとしては、芳香族系、脂環式、脂肪族系の何れでもよく、また、1分子中に2個のイソシアネート基を有する2官能のイソシアネートであっても、あるいは1分子中に3個以上のイソシアネート基を有する3官能以上のポリイソシアネートであってもよく、それらを単独であるいは複数組み合わせて使用してもよい。
例えば、2官能のポリイソシアネートとしては、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシネート、p−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニレンジイソネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ビフェニレンジイソシアネートなどの芳香族系のもの、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネートなどの脂環式のもの、ブタン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、リジンイソシアネートなどの脂肪族系のものを挙げることができる。
また、3官能以上のポリイソシアネートとしては、1−メチルベンゾール−2,4,6−トリイソシアネート、1,3,5−トリメチルベンゾール−2,4,6−トリイソシアネート、ビフェニル−2,4,4’−トリイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4,4’−トリイソシアネート、メチルジフェニルメタン−4,6,4’−トリイソシアネート、4,4’−ジメチルジフェニルメタン−2,2’,5,5’テトライソシアネート、トリフェニルメタン−4,4’,4”−トリイソシアネート、ポリメリックMDI等を挙げることができる。なお、その他ウレタンプレポリマーも使用することができる。また、ポリイソシアネートは、それぞれ一種類に限られず一種類以上であってもよい。例えば、脂肪族系イソシアネートの一種類と芳香族系イソシアネートの二種類を併用してもよい。
発泡剤としては、水、ペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ジクロロメタン、炭酸ガス等が用いられる。発泡剤が水の場合、添加量は吸水性を有するポリエステル系ポリウレタン発泡体において目的とする密度や良好な発泡状態が得られる範囲に決定され、通常はポリオール100重量部に対して1〜5重量部が好ましい。
触媒としては、ポリウレタン発泡体に用いられるものであればよく、例えば、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、ジエタノールアミン、ジメチルアミノモルフォリン、N−エチルモルホリン、テトラメチルグアニジン等のアミン触媒や、スタナスオクトエートやジブチルチンジラウレート等の錫触媒やフェニル水銀プロピオン酸塩あるいはオクテン酸鉛等の金属触媒(有機金属触媒とも称される。)を挙げることができる。触媒の添加量は、ポリオール100重量部に対して0.01〜2.0重量部程度が好ましい。
整泡剤としては、シリコーン系整泡剤、含フッ素化合物系整泡剤および公知の界面活性剤を挙げることができるが、ポリエステル系ポリウレタン発泡体の吸水性を高めるため、アニオン系界面活性剤を用いるのが好ましい。アニオン系界面活性剤としては、ドデシルベンゼンスルホン酸塩等のスルホン酸塩、ラウリル硫酸塩等の硫酸エステル塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸塩のリン酸エステル塩等が用いられる。整泡剤の添加量は、ポリオール100重量部に対して0.1〜2.0重量部が好ましい。なお、アニオン系界面活性剤と他の整泡剤を併用してもよい。
架橋剤は、ポリエステル系ポリウレタン発泡体に配合することにより、ポリエステル系ポリウレタン発泡体のセルの開放率を上げ、通気性を改善させ、ひいては吸水性を高める効果が期待できる。同架橋材は、官能基数2〜3のポリオキシアルキレンオキサイドを有すると共に、前記ポリオキシアルキレンオキサイドには、少なくともポリオキシエチレンオキサイドを有するものが好ましく、例えばポリオキシエチレングリコール、ポリオキシエチレンプロピレングリコール等を挙げることができる。また、前記架橋剤の分子量は、前記ポリエステル系ポリウレタン発泡体の柔軟性を維持させたまま、セルの開放率をあげ、吸水性を向上させるため、200〜800が好ましく、併せて、前記架橋剤の添加量は、ポリオール100重量部に対して0.2〜5.0重量部に設計するのが好ましい。
なお、前記ポリエステル系ポリウレタン発泡体の吸水性を向上させる方法としては、後処理でポリエステル系ポリウレタン発泡体に界面活性剤を含浸・乾燥させる方法もあるが、製造作業が繁雑になる問題があるため、前記のように、原料に整泡剤と架橋剤を含ませて発泡体を発泡形成することによって吸水性を高めるのが特に好ましい。
前記樹脂フィルム21は、前記発泡体11に含浸した滲出液や薬液が外部に漏出するのを防止すると共に前記発泡体11の表面を保護するものであり、それらを満たすために非透水性と耐薬品性及び十分な強度が必要とされる。また、前記樹脂フィルム21は、前記貼付材10を身体の形状に追従可能にするための柔軟性が求められる。さらに本発明では、前記発泡体11と樹脂フィルム21が溶着により接着しているため、前記樹脂フィルム21には前記発泡体11との溶着可能性が求められる。それらを可能とするため、前記樹脂フィルム21は、熱可塑性ポリウレタンフィルムが好ましい。前記熱可塑性ポリウレタンフィルム21の厚みは、前記貼付材10の可撓性を損なわないようにするため、20〜80μmmが好ましい。
前記発泡体11と前記樹脂フィルム21は溶着によって接着されている。前記溶着は、熱による接着であり、融着、熱接着とも称され、前記発泡体11と前記樹脂フィルム21の積層面を加熱により溶融させた後、冷却により固化させることにより、前記発泡体11と前記樹脂フィルム21を接着させる接着方法である。前記溶着方法としては、熱板等で前記発泡体11と前記樹脂フィルム21を圧着して前記発泡体11と前記樹脂フィルム21の積層面を溶融、接着させるドライラミネート加工、前記ポリエステル系ポリウレタン発泡体の表面をガスバーナー等であぶって溶融させ、前記ポリエステル系ポリウレタン発泡体の溶融面に前記樹脂フィルム21を積層し、冷却させることにより接着させるフレームラミネート加工等を挙げることができ、本発明では何れの方法でもよい。
表1に示す配合の発泡原料を混合し、公知のポリウレタン発泡方法によりポリウレタン発泡体を形成し、得られたポリウレタン発泡体と樹脂フィルムを積層し、表1に示す接着方法により接着して各実施例及び各比較例の貼付材を形成した。ポリウレタン発泡体の厚みは2mm、樹脂フィルムの厚みは30μmである。表1における各原料は次の通りである。
・ポリオール1;ポリエステルポリオール、品番:N−2200、日本ポリウレタン工業株式会社製、官能基数=2.7、水酸基価=60.5、分子量=2800
・ポリオール2;ポリエーテルポリオール、品番:GP−3050、三洋化成工業株式会社製、官能基数=3、水酸基価=56.1、分子量=3000
・架橋剤1;ポリオキシエチレングリコール、品番:PEG600、三洋化成工業株式会社製、官能基数=2、分子量=600
・架橋剤2;ポリオキシエチレングリコール、品番:PEG300、三洋化成工業株式会社製、官能基数=2、分子量=300
・整泡剤1;アニオン系界面活性剤、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを含む整泡剤、品番:B−8300、株式会社ゴールドシュミットAG社製
・整泡剤2;非アニオン系界面活性剤、品番:B−8324、株式会社ゴールドシュミットAG社製
・整泡剤3;シリコーン系の界面活性剤、品番:L−5340、株式会社日本ユニカー社製
・触媒1;NEM、品番:カオライザーNo22、花王株式会社製
・触媒2;TEDA、品番:DABCO 33LV、エアープロダクツジャパン株式会社製
・ポリイソシアネート1;トリレンジイソシアネート、品番:コロネートT−65、日本ポリウレタン工業株式会社製
・ポリイソシアネート2;トリレンジイソシアネート、品番:コロネートT−80、日本ポリウレタン工業株式会社製
Figure 0005094594
表1の樹脂フィルムにおける「エーテル系TPU」は、溶融温度160℃のエーテル系熱可塑性ポリウレタンフィルム、厚み30μm、品番:DUS231、シーダム株式会社製であり、「エステル系TPU」は、溶融温度175℃のエステル系熱可塑性ポリウレタンフィルム、厚み30μm、品番:DUS213、シーダム株式会社製、「熱可塑性オレフィン系」は、ポリエチレンフィルム、厚み30μmのLDPEである。また、接着方法の接着種類における「Dry(溶着)」は、発泡体の片面に樹脂フィルムを積層し、温度80〜160℃の熱板で両側から5〜30秒間プレスするドライラミネート加工を示し、一方、「F/L(溶着)」は、フレームラミネート加工を示す。フレームラミネート加工は、発泡体の表面を約800℃のガスバーナーの炎で1秒未満あぶることにより溶融させ、発泡体の溶融面に樹脂フィルムを積層させて冷却することにより行った。また、「接着剤」は接着剤を用いる接着を示し、クロロプレンゴム系接着剤を樹脂フィルムにおける発泡体との積層面に80g/mの割合で塗布した後、樹脂フィルムの接着剤塗布面に発泡体を積層することにより行った。
また、前記各実施例及び各比較例において、樹脂フィルムを接着する前の発泡体に対して発泡体物性と発泡体特性を測定した。発泡体物性としては、密度(JIS K 7222(1999)準拠)、硬さ(JIS K 6400−2(2004、D法)準拠)、引張強度(JIS−K 6400−5(2004)準拠)、伸び(JIS K 6400−5(2004)準拠)、セル数(JIS K 6400−1付属書1(参考))を測定した。一方、発泡体特性としては、吸水時間、吸水率、線膨張率を測定した。吸水時間は、0.5mlの水滴を発泡体の表面に滴下した後、水滴を発泡体が完全に吸水するまでの時間(sec)とした。吸水率は、発泡体から厚み10mmで50mm角からなる直方体の試験片を切り出し、水槽に浸漬する前の試験片と、3分間浸漬した後の試験片の重量を測定し、吸水率(%)=(3分間浸漬後の試験片重量−浸漬前の試験片重量)/(浸漬前の試験片重量)×100の式で求めた。線膨張率は、水の含浸による発泡体の膨潤性を表すものであり、吸水率の測定に用いた試験片において、線膨張率(%)=(3分間浸漬後の試験片の一片寸法−浸漬前の試験片の一片寸法)/(浸漬前の試験片の一片寸法)×100の式で求めた。各測定結果は、表1に示すとおりである。
実施例及び比較例の貼付材に対しては、引張剥離試験を行った。引張剥離試験は、厚み10mm、幅25mm、長さ200mmの試験片を長さ方向に100%伸長させた時の状態を目視で観察することにより行った。樹脂フィルムと発泡体間に界面剥離を確認できなかった場合は「○」、剥離が確認された場合は「×」として表1の引張剥離試験欄に示した。
表1における実施例1と2は、発泡体における架橋剤1の量を異ならせた例、実施例3は実施例1における樹脂フィルムを溶融温度の高いエステル系TPUとした例、実施例4は実施例1におけるドライラミネート加工による溶着をフレームラミネート加工による溶着とした例、参考例5は実施例1における架橋剤1を含まない例、実施例6は実施例1における架橋剤1に代えて架橋剤2を用いた例である。表1の測定結果から理解されるように、各実施例は、発泡体の吸水性(吸水時間、吸水率)が良好で、膨潤性(線膨張率)に問題がなく、引張試験においても剥離が見られないものであり、皮膚用貼付材として好適なものであった。特に、架橋剤1としてポリオキシエチレングリコールを含む実施例1〜4及び6は、架橋剤1を含まない参考例5よりも吸水時間が短く、吸水性の良好なものであり、傷口からの浸出液の吸収性及び薬液の保持が特に良好であり、皮膚用貼付材として特に好ましいものである。
一方、比較例1は実施例1の架橋剤1を含まず、かつアニオン系界面活性剤からなる整泡剤1に代えて非アニオン系界面活性剤からなる整泡剤2を含む例、比較例2は実施例1のポリエステルポリオールに代えてポリエーテルポリオールを用いると共に実施例1の架橋剤1を含まず、かつアニオン系界面活性剤からなる整泡剤1に代えてシリコーン系界面活性剤からなる整泡剤3を含む例、比較例3は比較例2におけるドライラミネート加工による溶着をフレームラミネートによる溶着とした例、比較例4は実施例1の架橋剤1を減らすと共に樹脂フィルムを熱可塑性オレフィン系とした例、比較例5は比較例4における溶着に代えて接着剤で樹脂フィルムと発泡体を接着した例である。表1の測定結果から理解されるように、比較例1は、架橋剤とアニオン系界面活性剤(整泡剤)の何れも含まないため、実施例と比べて発泡体の吸水性が劣っており、発泡体が傷口からの滲出液を十分吸収できなかったり、薬液を十分保持できなかったりする。比較例2と比較例3は、発泡体がポリエーテル系ポリウレタン発泡体からなるために引張剥離試験において剥離が見られ、また、架橋剤とアニオン系界面活性剤(整泡剤)の何れも含まないものであるため、吸水性に劣り、線膨張率が高い(膨潤し易い)ものであった。したがって、比較例2と比較例3は、貼付材として使用する際の引っ張りによって、発泡体と樹脂フィルム間に剥離が発生したり、また、皮膚に貼って使用した場合、傷口からの滲出液を発泡体が十分吸収できなかったり、薬液を発泡体が十分保持できなかったり、さらに傷口からの滲出液によって発泡体が膨潤して強度が低下したりするおそれがある。比較例4は樹脂フィルムに熱可塑性オレフィン系フィルムを用いたことにより、溶着による接着では樹脂フィルムと発泡体が接着しなかった。比較例5は樹脂フィルムに熱可塑性オレフィン系フィルムを用いて接着剤により樹脂フィルムと発泡体を接着したものであり、樹脂フィルム(熱可塑性オレフィン系フィルム)と発泡体の接着は行えたが、樹脂フィルム(熱可塑性オレフィン系フィルム)の伸び特性が低いため、引張剥離試験において樹脂フィルムと発泡体間に剥離が見られた。したがって、比較例5は、貼付材として使用する際の引っ張りによって、発泡体と樹脂フィルム間に剥離が発生するおそれがある。このように、比較例1〜5の貼付材は、皮膚用貼付材としては好ましいものではなかった。
本発明の一実施例に係る貼付材の断面図である。 樹脂フィルムを発泡体の周囲からはみ出す大きさとした貼付材の断面図である。
符号の説明
10 貼付材
11 発泡体
21 樹脂フィルム

Claims (1)

  1. 発泡体の片面に樹脂フィルムが積層された貼付材において、
    前記発泡体が吸水性を有するポリエステル系ポリウレタン発泡体からなり、
    前記樹脂フィルムが熱可塑性ポリウレタンフィルムからなり、
    前記吸水性を有するポリエステル系ポリウレタン発泡体は、少なくともポリエステルポリオール、ポリイソシアネート、発泡剤、触媒、整泡剤を含む原料から発泡形成されたものであって、前記整泡剤としてアニオン系界面活性剤を有し、
    前記原料には、架橋剤として官能基数2〜3のポリオキシアルキレンオキサイドを有すると共に、前記ポリオキシアルキレンオキサイドには、少なくともポリオキシエチレンオキサイドを有し、
    前記吸水性を有するポリエステル系ポリウレタン発泡体と前記熱可塑性ポリウレタンフィルムが溶着により接着していることを特徴とする貼付材。
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