JP5094112B2 - 研磨液 - Google Patents

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Description

本発明は、半導体デバイスの製造工程において用いられる研磨液に関し、詳細には、半導体デバイスの配線工程での平坦化において主としてバリア金属材料の研磨に好適に用いられる研磨液に関する。
半導体集積回路(以下LSIと記す)で代表される半導体デバイスの開発においては、小型化・高速化のため、近年配線の微細化と積層化による高密度化・高集積化が求められている。このための技術として化学的機械的研磨(Chemical Mechanical Polishing、以下CMPと記す)等の種々の技術が用いられてきている。このCMPは層間絶縁膜等の被加工膜の表面平坦化、プラグ形成、埋め込み金属配線の形成等を行う場合に必須の技術であり、基板の平滑化や配線形成時の余分な金属薄膜の除去や絶縁膜上の余分なバリア層の除去を行っている。
CMPの一般的な方法は、円形の研磨定盤(プラテン)上に研磨パッドを貼り付け、研磨パッド表面を研磨液で浸して、パッドに基板(ウエハ)の表面を押しつけ、その裏面から所定の圧力(研磨圧力)を加えた状態で、研磨定盤及び基板の双方を回転させ、発生する機械的摩擦により基板の表面を平坦化するものである。
LSIなどの半導体デバイスを製造する際には、微細な配線を多層に形成することが行われており、その各層においてCuなどの金属配線を形成する際には層間絶縁膜への配線材料の拡散を防止することや、配線材料の密着性を向上させることを目的として、TaやTaN、Ti、TiNなどのバリアメタルを前もって形成することが行われている。
各配線層を形成するためには、まず、メッキ法などで盛付けられた余分な配線材を除去する金属膜のCMP(以下、金属膜CMPと呼ぶ)を1段若しくは多段に渡って行い、次に、これによって表面に露出したバリア金属材料(バリアメタル)を除去するCMP(以下、バリアメタルCMPと呼ぶ)を行うことが一般的になされている。しかしながら、金属膜CMPによって、配線部が過研磨されてしまういわゆるディッシングや、更にエロージョンを引き起こしてしまうことが問題となっている。
このディッシングを軽減するため、金属膜CMPの次に行うバリアメタルCMPでは、金属配線部の研磨速度とバリアメタル部の研磨速度とを調整して、最終的にディッシングやエロージョンなどの段差が少ない配線層を形成することが求められている。即ち、バリアメタルCMPでは、金属配線材に比較してバリアメタルや層間絶縁膜の研磨速度が相対的に小さい場合は、配線部が早く研磨されるなどディッシングや、その結果としてのエロージョンが発生してしまうため、バリアメタルや絶縁膜層の研磨速度は適度に大きい方が望ましい。これはバリアメタルCMPのスループットを上げるメリットがあることに加え、実際的には金属膜CMPによってディッシングが発生していることが多く、前述の理由からバリアメタルや絶縁膜層の研磨速度を相対的に高くすることが求められている点においても望ましいからである。
CMPに用いる金属用研磨溶液は、一般には砥粒(例えば、アルミナ、シリカ)と酸化剤(例えば、過酸化水素、過硫酸)とが含まれる。基本的なメカニズムは、酸化剤によって金属表面を酸化し、その酸化皮膜を砥粒で除去することで研磨していると考えられている。
しかしながら、このような固体砥粒を含む研磨液を用いてCMPを行うと、研磨傷(スクラッチ)、研磨面全体が必要以上に研磨される現象(シニング)、研磨金属面が皿上にたわむ現象(ディッシング)、金属配線間の絶縁体が必要以上に研磨された上、複数の配線金属面が皿上にたわむ現象(エロージョン)などが発生することがある。
また、固体砥粒を含有する研磨液を用いることによって、研磨後に、半導体面に残留する研磨液を除去するために通常行なわれる洗浄工程が複雑となり、更に、その洗浄後の液(廃液)を処理するには、固体砥粒を沈降分離する必要があるなどコスト面での問題点が存在する。
このような固体砥粒を含有する研磨液については、以下のような種々の検討がなされている。
例えば、研磨傷をほとんど発生させずに高速研磨することを目的としたCMP研磨剤及び研磨方法(例えば、特許文献1参照。)、CMPにおける洗浄性を向上させた研磨組成物及び研磨方法(例えば、特許文献2参照。)、及び、研磨砥粒の凝集防止を図った研磨用組成物(例えば、特許文献3参照。)がそれぞれ提案されている。
しかしながら、上記のような研磨液においても、バリア層を研磨する際に高研磨速度を実現し、且つ、固体砥粒の凝集に起因して発生するスクラッチを抑制しうる研磨液が未だ得られていないのが現状である。
特開2003−17446公報 特開2003−142435公報 特開2000−84832公報
本発明の目的は、バリア金属材料を研磨するバリアCMPにおいて用いられる固体砥粒を用いた研磨液であって、バリア膜の優れた研磨速度と、砥粒の凝集に起因するスクラッチの抑制を達成しうる固体砥粒を含むバリア層用研磨液を提供することにある。
本発明者は鋭意検討した結果、下記研磨液を用いることによって上記問題を解決できることを見出して課題を達成するに至った。すなわち、本発明は、下記の通りである。
<1> 下記一般式(I)で表されるカチオン性化合物、カルボキシル基を有する化合物、ベンゾトリアゾール及びその誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種の腐食抑制剤、及び、該カチオン性化合物の存在下、研磨液中において表面のゼータ電位がプラスを示すコロイダルシリカを含みpHが3〜4であることを特徴とする研磨液。
[一般式(I)中、Rは炭素数1〜5の炭化水素基から選択される同一の置換基を表す。]
<2> 前記一般式(I)で表される化合物がテトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、及び、テトラペンチルアンモニウムからなる群より選択される化合物であることを特徴とする<1>に記載の研磨液
<3> 前記カルボキシル基を有する化合物が、下記一般式(III)で表される化合物であることを特徴とする<1>又は<2>に記載の研磨液。
[一般式(III)中、R及びRはそれぞれ独立に炭化水素基を表し、RとRとは互いに結合し環状構造を形成していてもよい。]
4> 前記一般式(III)で表される化合物が、2−フランカルボン酸、2,5−フランジカルボン酸、3−フランカルボン酸、2−テトラヒドロフランカルボン酸、ジグリコール酸、メトキシ酢酸、メトキシフェニル酢酸、及び、フェノキシ酢酸からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする<3>に記載のバリア用研磨液。
5> 前記腐食抑制剤が、1,2,3−ベンゾトリアゾール、5,6−ジメチル−1,2,3−ベンゾトリアゾール、1−(1,2−ジカルボキシエチル)ベンゾトリアゾール、1−[N,N−ビス(ヒドロキシエチル)アミノメチル]ベンゾトリアゾールおよび1−(ヒドロキシメチル)ベンゾトリアゾールからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする<1>乃至<4>のいずれかに記載の研磨液。
<6> 前記一般式(III)で表される化合物が、ジグリコール酸、2,5−フランジカルボン酸、2−フランカルボン酸、シュウ酸エチル、メトキシフェニル酢酸、フェノキシ酢酸、及び、酢酸メチルカルボン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする<3>又は<4>に記載のバリア用研磨液。
<7> 前記pHが、3.2〜4.0であることを特徴とする<1>乃至<6>のいずれかに記載の研磨液。
<8> 前記pHが、3.5〜4.0であることを特徴とする<1>乃至<7>のいずれかに記載の研磨液。
本発明の作用は明確ではないが、pH=3〜4の液中における、一般式(I)で表されるカチオン性化合物の存在に起因にして、砥粒であるコロイダルシリカ粒子の表面が正のゼータ電位(ζ電位)を示し、該粒子の表面電位に起因して、バリア膜表面への砥粒の吸着性/反撥性が適切に制御されることで、高い研磨速度が実現されるものと考えられる。
本発明によれば、バリア膜の優れた研磨速度と、砥粒の凝集に起因するスクラッチの抑制を達成しうる固体砥粒を含有するバリア層用研磨剤を提供することができる。
以下、本発明の具体的態様について説明する。
本発明の研磨液は、半導体集積回路のバリア層を研磨するための研磨液であって、必須成分として、(A)一般式(I)で表されるカチオン性化合物、(B)カルボキシル基を有する化合物、(C)ベンゾトリアゾール及びその誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種の腐食抑制剤、及び、(D)該カチオン性化合物の存在下、研磨液中において表面のゼータ電位がプラスを示すコロイダルシリカを含み、pHが3〜4の研磨液である。
また、本発明の研磨液は、この必須成分に加え、更に他の成分を含有してもよく、好ましい成分として、陰イオン界面活性剤、有機酸、複素芳香環化合物等を挙げることができる。研磨液が含有する上記成分は1種でも2種以上併用してもよい。
なお、以下、本発明のバリア層用研磨液を、単に、研磨液と称する場合がある。
本発明において「研磨液」とは、研磨に使用する際の研磨液(即ち、必要により希釈された研磨液)のみならず、研磨液の濃縮液をも包含する意である。濃縮液又は濃縮された研磨液とは、研磨に使用する際の研磨液よりも、溶質の濃度が高く調製された研磨液を意味し、研磨に使用する際に、水又は水溶液などで希釈して、研磨に使用されるものである。希釈倍率は、一般的には1〜20体積倍である。本明細書において「濃縮」及び「濃縮液」とは、使用状態よりも「濃厚」及び「濃厚な液」を意味する慣用表現にしたがって用いており、蒸発などの物理的な濃縮操作を伴う一般的な用語の意味とは異なる用法で用いている。
以下、本発明の研磨液を構成する各成分について詳細に説明する。
まず、本発明の特徴的な成分であるカチオン性化合物について説明する。
〔(A)一般式(I)で表されるカチオン性化合物〕
本発明に使用しうるカチオン性化合物は、下記一般式(I)で表される化合物である。
前記一般式(I)中、Rは炭素数1〜5の炭化水素基から選択される同一の置換基を表す。
は、好ましくは炭素数1〜5の炭化水素基であり、ここで炭化水素基としては、アルキル基、アリール基、フェニル基などが挙げられる
一般式(I)で表される化合物の具体例としては、例えば、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、テトラペンチルアンモニウム等が挙げられる。
前記一般式(II)中、R、Rはそれぞれ独立に炭化水素基、好ましくは、炭素数1〜10の炭化水素基を表す。Rは好ましくは炭素数1〜10の2価の炭化水素基、例えば、炭素数1〜10のアルキレン基などを表す。Rは炭素数1〜10の1価の炭化水素基、例えば、炭素数1〜10のアルキル基、アリール基、アルキルフェニル基などを表す。
、Rはさらに置換基を有していてもよく、導入可能な置換基としては、アルキル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基などが挙げられる。nは、1以上の整数を表す。
即ち、一般式(II)で表される化合物は、上記構造単位がn個連結してなるオリゴマーやポリマーであり、重量平均分子量は100〜20000程度であることが研磨粒子の安定性の観点から好適である。従って、一般式(II)における構造単位の連結数を示すnは、該構造単位が有する置換基やその分子量及び化合物としての上記好ましい重量平均分子量より適宜決定される。
一般式(II)で表される化合物の具体例としては、例えば、ポリエチレンイミン、ポリプロピレンイミンなどが挙げられる。
これらの(A)カチオン性化合物は研磨液に1種のみ用いてもよく、2種以上を併用してもよい。2種以上用いる場合、一般式(I)で表されるカチオン性化合物を2種以上組み合わせて用いてもよく、一般式(II)で表されるカチオン性化合物を2種以上組み合わせて用いてもよく、また、一般式(I)で表されるカチオン性化合物と一般式(II)で表されるカチオン性化合物とを組み合わせて用いてもよい。
これら(A)成分の存在に起因して、後述するコロイダルシリカの表面におけるζ電位が正の値を示す。即ち、研磨液中において(A)成分と砥粒であるコロイダルシリカ粒子とを共存させると、(A)成分がコロイダルシリカ粒子表面に吸着し、電位を制御することで、(D)表面のゼータ電位がプラスを示すコロイダルシリカとなる。
上記(D)一般式(I)又は一般式(II)で表されるカチオン性化合物の添加量は、
研磨粒子の安定性の観点から、研磨に使用する際の研磨液の質量に対して、0.001〜1質量%であることが好ましく、0.01〜5質量%の範囲であることがより好ましい。
〔(B)カルボキシル基を有する化合物〕
本発明の研磨液には、(B)カルボキシル基を有する化合物を含有することを要する。カルボキシル基を有する化合物としては、分子内に少なくとも1つのカルボキシル基を有する化合物であれば特に制限はないが、研磨速度向上の観点からは、下記一般式(III)で表される化合物を選択することが好ましい。
分子内に存在するカルボキシル基は、1〜4個である事が好ましく、安価に使用できる観点からは1〜2個であることがより好ましい。
前記一般式(III)中、R及びRはそれぞれ独立に炭化水素基を表し、好ましくは、炭素数1〜10の炭化水素基を表す。RとRとは互いに結合し環状構造を形成していてもよい。
及びRは、さらに置換基を有するものであってもよく、導入可能な置換基としては、例えば、炭素数1〜3のアルキル基、アリール基、アルコキシ基、カルボキシル基、などが挙げられ、置換基としてカルボキシル基を有する場合、この化合物は複数のカルボキシル基を有することになる。
及びRとしては、例えば、炭素数1〜10のアルキル基、アリール基、アルコキシ基、フェニル基、シクロアルキル基などが挙げられる。
前記一般式(III)で表される化合物としては、例えば、2−フランカルボン酸、2,5−フランジカルボン酸、3−フランカルボン酸、2−テトラヒドロフランカルボン酸、ジグリコール酸、メトキシ酢酸、メトキシフェニル酢酸、フェノキシ酢酸などが挙げられ、なかでも、ジグリコール酸、2−フランカルボン酸、2,5−フランジカルボン酸、であることが研磨速度向上の観点から好ましい。
(B)分子内に少なくとも1つのカルボキシル基を有する化合物は、研磨液中に1種のみ用いてもよく、2種以上を併用していてもよい。
本発明の研磨液には、上記(B)カルボキシル基を有する化合物、好ましくは、一般式(III)で表される化合物の添加量は、研磨に使用する際の研磨液の質量に対して、0.1質量%以上5質量%以下が好ましく、0.5質量%以上2質量%以下が更に好ましい。即ち、このようなカルボキシル基を有する化合物の含有量は、十分な研磨速度を達成する点で、0.1質量%以上が好ましく、過剰なディッシングを発生させない点から、5質量%以下が好ましい。
〔(D)カチオン性化合物の存在下、表面のゼータ電位がプラスを示すコロイダルシリカ〕
本発明の研磨液は、砥粒の少なくとも一部として、コロイダルシリカを含有する。
コロイダルシリカとしては、粒子内部にアルカリ金属などの不純物を含有しない、アルコキシシランの加水分解により得たコロイダルシリカであることがより好ましい。一方、ケイ酸アルカリ水溶液からアルカリを除去する方法で製造したコロイダルシリカも用いることができるものの、この場合、粒子の内部に残留するアルカリ金属が徐々に溶出し、研磨性能に影響を及ぼす懸念がある。このような観点からは、前記アルコキシシランの加水分解により得られたものが原料としてはより好ましい。
原料となるコロイダルシリカの粒径は、砥粒の使用目的に応じて適宜選択されるが、一般的には10〜200nm程度である。
なお、本発明においては、このコロイダルシリカは、前記(A)一般式(I)又は一般式(II)で表されるカチオン性化合物と共存することで、(A)成分が表面に吸着し、粒子表面のゼータ電位が正の値を示す。このようなゼータ電位が正の値を示すコロイダルシリカを、以下、適宜、(D)特定コロイダルシリカと称する。研磨液中のこの(D)特定コロイダルシリカ粒子表面のゼータ電位は、例えば、電気泳動法、超音波振動法の手段により測定することができる。具体的な測定機器としては、DT-1200(日本ルフト社)等が挙げられ、このような測定機器を用い、常法により測定することができる。
また、本発明の研磨液中の(D)特定コロイダルシリカの含有量は、研磨に使用する際の研磨液(即ち、水又は水溶液で希釈する場合は希釈後の研磨液。以降の「研磨に使用する際の研磨液」も同意である。)の質量に対して、好ましくは1質量%以上15質量%以下であり、更に好ましくは3質量%以上12質量%以下であり、特に好ましくは5質量%以上12質量%以下である。即ち、(D)特定コロイダルシリカの含有量は、充分な研磨速度でバリア層を研磨する点で1質量%以上が好ましく、保存安定性の点で15質量以下が好ましい
本発明の研磨液には、前記(D)特定コロイダルシリカ以外の砥粒を、本発明の効果を損なわない限りにおいて併用することができるが、その場合でも、全砥粒のうち、(D)特定コロイダルシリカの含有割合は、好ましくは50質量%以上であり、特に好ましくは80質量%以上である。含有される砥粒の全てが(D)特定コロイダルシリカであってもよい。
本発明の研磨液に対し、(D)特定コロイダルシリカに併用しうる砥粒としては、ヒュームドシリカ、セリア、アルミナ、チタニア等が挙げられる。これら併用砥粒のサイズは、(A)コロイダルシリカと同等か、それ以上、また、2倍以下であることが好ましい。
〔(C)腐食抑制剤〕
本発明の研磨液には、被研磨表面に吸着して皮膜を形成し、金属表面の腐食を制御するベンゾトリアゾール及びその誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種の腐食抑制剤を含有する。本発明における腐食抑制剤としては、分子内に3以上の窒素原子を有し、且つ、縮環構造を有する複素芳香環化合物を含有することが好ましい。ここで、「3以上の窒素原子」は、縮環を構成する原子であることが好ましく、このような複素芳香環化合物としては、ベンゾトリアゾール、及び該ベンゾトリアゾールに種々の置換基が導入されてなる誘導体であることが好ましい。
本発明に用いうる腐食抑制剤としては、ベンゾトリアゾール、1,2,3−ベンゾトリアゾール、5,6−ジメチル−1,2,3−ベンゾトリアゾール、1−(1,2−ジカルボキシエチル)ベンゾトリアゾール、1−[N,N−ビス(ヒドロキシエチル)アミノメチル]ベンゾトリアゾール、1−(ヒドロキシメチル)ベンゾトリアゾール等が挙げられ、1,2,3−ベンゾトリアゾール、5,6−ジメチル−1,2,3−ベンゾトリアゾール、1−(1,2−ジカルボキシエチル)ベンゾトリアゾール、1−[N,N−ビス(ヒドロキシエチル)アミノメチル]ベンゾトリアゾールおよび1−(ヒドロキシメチル)ベンゾトリアゾールから選ばれる1つ以上の化合物であることがより好ましい。
このような(C)腐食抑制剤の添加量は、研磨に使用する際の研磨液の質量に対して、0.01質量%以上0.2質量%以下が好ましく、0.05質量%以上0.2質量%以下が更に好ましい。即ち、このような複素芳香環化合物の添加量は、ディッシングを拡大させない点で、0.01質量%以上が好ましく、保存安定性の点から、0.2質量%以下が好ましい。
本発明の研磨液には、上記(A)乃至(D)の必須成分を目的に応じて適宜添加することができる。このような添加成分について述べる。
〔酸化剤〕
本発明の研磨液は、研磨対象の金属を酸化できる化合物(酸化剤)を含有することが好ましい。
酸化剤としては、例えば、過酸化水素、過酸化物、硝酸塩、ヨウ素酸塩、過ヨウ素酸塩、次亜塩素酸塩、亜塩素酸塩、塩素酸塩、過塩素酸塩、過硫酸塩、重クロム酸塩、過マンガン酸塩、オゾン水、及び銀(II)塩、鉄(III)塩が挙げられ、中でも、過酸化水素が好ましく用いられる。
鉄(III)塩としては、例えば、硝酸鉄(III)、塩化鉄(III)、硫酸鉄(III)、臭化鉄(III)など無機の鉄(III)塩の他、鉄(III)の有機錯塩が好ましく用いられる。
酸化剤の添加量は、バリアCMP初期のディッシング量によって調整できる。バリアCMP初期のディッシング量が大きい場合、即ち、バリアCMPにおいて配線材をあまり研磨したくない場合には酸化剤を少ない添加量にすることが望ましく、ディッシング量が十分に小さく、配線材を高速で研磨したい場合は、酸化剤の添加量を多くすることが望ましい。このように、バリアCMP初期のディッシング状況によって酸化剤の添加量を変化させることが望ましいため、研磨に使用する際の研磨液の1L中に、0.01mol〜1molとすることが好ましく、0.05mol〜0.6molとすることが特に好ましい。
〔pH及びpH調整剤〕
本発明の研磨液は、pH3〜4であることを要する。研磨液のpHをこの範囲に制御することが高研磨速度を達成する観点から好ましい。pHを上記好ましい範囲に調整するために、アルカリ/酸又は緩衝剤が用いられる。本発明の研磨液はpHがこの範囲において優れた効果を発揮する。
アルカリ/酸又は緩衝剤としては、アンモニア、水酸化アンモニウム及びテトラメチルアンモニウムハイドロキサイドなどの有機水酸化アンモニウム、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミンなどのようなアルカノールアミン類などの非金属アルカリ剤、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどのアルカリ金属水酸化物、硝酸、硫酸、りん酸などの無機酸、炭酸ナトリウムなどの炭酸塩、リン酸三ナトリウムなどのリン酸塩、ホウ酸塩、四ホウ酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩等を好ましく挙げることができる。特に好ましいアルカリ剤として水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム及びテトラメチルアンモニウムハイドロキサイドである。
アルカリ/酸又は緩衝剤の添加量としては、前述した電気伝導度の値以下であれば、pHが好ましい範囲に維持される量であればよく、研磨に使用する際の研磨液の1L中、0.0001mol〜1.0molとすることが好ましく0.003mol〜0.5molとすることがより好ましい。
〔キレート剤〕
本発明の研磨液は、混入する多価金属イオンなどの悪影響を低減させるために、必要に応じてキレート剤(すなわち硬水軟化剤)を含有することが好ましい。
キレート剤としては、カルシウムやマグネシウムの沈澱防止剤である汎用の硬水軟化剤やその類縁化合物であり、例えば、ニトリロ三酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、エチレンジアミン四酢酸、N,N,N−トリメチレンホスホン酸、エチレンジアミン−N,N,N’,N’−テトラメチレンスルホン酸、トランスシクロヘキサンジアミン四酢酸、1,2−ジアミノプロパン四酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、エチレンジアミンオルトヒドロキシフェニル酢酸、エチレンジアミンジ琥珀酸(SS体)、N−(2−カルボキシラートエチル)−L−アスパラギン酸、β−アラニンジ酢酸、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、N,N’−ビス(2−ヒドロキシベンジル)エチレンジアミン−N,N’−ジ酢酸、1,2−ジヒドロキシベンゼン−4,6−ジスルホン酸等が挙げられる。
キレート剤は必要に応じて2種以上併用してもよい。
キレート剤の添加量は混入する多価金属イオンなどの金属イオンを封鎖するのに充分な量であれば良く、例えば、研磨に使用する際の研磨液の1L中、0.0003mol〜0.07molになるように添加する。
なお、本発明の研磨液の濃縮液作製時に添加する成分の内、室温での水に対する溶解度が5%未満のものの配合量は、濃縮液を5℃に冷却した際の析出を防止する点で、室温での水に対する溶解度の2倍以内とすることが好ましく、1.5倍以内とすることがより好ましい。
本発明の研磨液は、一般に、銅金属及び/又は銅合金からなる配線と層間絶縁膜との間に存在させる銅の拡散を防ぐためのバリアメタル層の研磨に適する。
〔バリア金属材料〕
本発明の研磨液の研磨対象のバリアメタル層を構成する材料としては、一般に低抵抗のメタル材料がよく、特に、TiN、TiW、Ta、TaN、W、WNが好ましく、中でも、Ta、TaNが特に好ましい。
〔配線金属原材料〕
本発明においては、研磨対象である被研磨体は、例えば、LSI等の半導体デバイスに適用されるような、銅金属及び/又は銅合金からなる配線を有することが好ましい。特にこの配線の原材料としては、銅合金が好ましい。更に、銅合金の中でも銀を含有する銅合金が好ましい。
なお、銅合金に含有される銀含量は、40質量%以下が好ましく、特には10質量%以下、更には1質量%以下が好ましく、0.00001〜0.1質量%の範囲である銅合金において最も優れた効果を発揮する。
〔配線の太さ〕
本発明においては、研磨対象である被研磨体が、例えば、DRAMデバイス系に適用される場合、ハーフピッチで0.15μm以下である配線を有することが好ましく、より好ましくは0.10μm以下、更に好ましくは0.08μm以下である。
一方、被研磨体が、例えば、MPUデバイス系に適用される場合、0.12μm以下である配線を有することが好ましく、より好ましくは0.09μm以下、更に好ましくは0.07μm以下である。
このような配線を有する被研磨体に対して、上述の本発明における研磨液は特に優れた効果を発揮する。
〔研磨方法〕
本発明の研磨液は、1.濃縮液であって、使用する際に水又は水溶液を加えて希釈して使用液とする場合、2.各成分が次項に述べる水溶液の形態で準備され、これらを混合し、必要により水を加え希釈して使用液とする場合、3.使用液として調製されている場合がある。
本発明の研磨液を用いた研磨方法にはいずれの場合の研磨液も適用可能である。
この研磨方法は、研磨液を研磨定盤上の研磨パッドに供給し、被研磨体の被研磨面と接触させて、被研磨面と研磨パッドを相対運動させる方法である。
研磨に用いられる装置としては、被研磨面を有する被研磨体(例えば、導電性材料膜が形成されたウエハ等)を保持するホルダーと、研磨パッドを貼り付けた(回転数が変更可能なモータ等を取り付けてある)研磨定盤と、を有する一般的な研磨装置が使用できる。研磨パッドとしては、一般的な不織布、発泡ポリウレタン、多孔質フッ素樹脂などが使用でき、特に制限がない。また、研磨条件には制限はないが、研磨定盤の回転速度は被研磨体が飛び出さないように200rpm以下の低回転が好ましい。被研磨面(被研磨膜)を有する被研磨体の研磨パッドへの押しつけ圧力は、0.68〜34.5KPaであることが好ましく、研磨速度の被研磨体の面内均一性及びパターンの平坦性を満足するためには、3.40〜20.7KPaであることがより好ましい。
研磨している間、研磨パッドには、研磨液をポンプ等で連続的に供給する。
研磨終了後の被研磨体は、流水中でよく洗浄された後、スピンドライヤ等を用いて被研磨体上に付着した水滴を払い落としてから乾燥させる。
本発明において、前記1.の方法のように、濃縮液を希釈する際には、下記に示す水溶液を用いることができる。水溶液は、予め、酸化剤、有機酸、添加剤、界面活性剤のうち少なくとも1つ以上を含有した水であり、この水溶液中に含有している成分と、希釈される濃縮液中に含有している成分と、を合計した成分が、研磨する際に使用する研磨液(使用液)の成分となるようにする。
このように、濃縮液を水溶液で希釈して使用する場合には、溶解しにくい成分を水溶液の形で後から配合することができることから、より濃縮した濃縮液を調製することができる。
また、濃縮液に水又は水溶液を加え希釈する方法としては、濃縮された研磨液を供給する配管と水又は水溶液を供給する配管とを途中で合流させて混合し、混合し希釈された研磨液の使用液を研磨パッドに供給する方法がある。濃縮液と水又は水溶液との混合は、圧力を付した状態で狭い通路を通して液同士を衝突混合する方法、配管中にガラス管などの充填物を詰め液体の流れを分流分離、合流させることを繰り返し行う方法、配管中に動力で回転する羽根を設ける方法など通常に行われている方法を採用することができる。
研磨液の供給速度は10〜1000ml/minが好ましく、研磨速度の被研磨面内均一性及びパターンの平坦性を満足するためには、170〜800ml/minであることがより好ましい。
更に、濃縮液を水又は水溶液などにより希釈しつつ、研磨する方法としては、研磨液を供給する配管と水又は水溶液を供給する配管とを独立に設け、それぞれから所定量の液を研磨パッドに供給し、研磨パッドと被研磨面の相対運動で混合しつつ研磨する方法がある。また、1つの容器に、所定量の濃縮液と水又は水溶液とを入れ混合してから、研磨パッドにその混合した研磨液を供給し、研磨をする方法を用いることもできる。
また、別の研磨方法としては、研磨液が含有すべき成分を少なくとも2つの構成成分に分けて、それらを使用する際に、水又は水溶液を加え希釈して研磨定盤上の研磨パッドに供給し、被研磨面と接触させて被研磨面と研磨パッドを相対運動させて研磨する方法がある。
例えば、酸化剤を構成成分(A)とし、有機酸、添加剤、界面活性剤、及び水を構成成分(B)とし、それらを使用する際に水又は水溶液で、構成成分(A)及び構成成分(B)を希釈して使用することができる。
また、溶解度の低い添加剤を2つの構成成分(A)と(B)に分け、例えば、酸化剤、添加剤、及び界面活性剤を構成成分(A)とし、有機酸、添加剤、界面活性剤、及び水を構成成分(B)とし、それらを使用する際に水又は水溶液を加え、構成成分(A)及び構成成分(B)を希釈して使用する。これらの場合において、本発明における特定コロイダルシリカ(砥粒)は、構成成分(A)に含有されることが好ましい。
上記のような例の場合、構成成分(A)と構成成分(B)と水又は水溶液とをそれぞれ供給する3つの配管が必要であり、希釈混合は、3つの配管を、研磨パッドに供給する1つの配管に結合し、その配管内で混合する方法があり、この場合、2つの配管を結合してから他の1つの配管を結合することも可能である。具体的には、溶解しにくい添加剤を含む構成成分と他の構成成分を混合し、混合経路を長くして溶解時間を確保してから、更に、水又は水溶液の配管を結合する方法である。
その他の混合方法は、上記したように直接に3つの配管をそれぞれ研磨パッドに導き、研磨パッドと被研磨面の相対運動により混合する方法や、1つの容器に3つの構成成分を混合して、そこから研磨パッドに希釈された研磨液を供給する方法がある。
上記した研磨方法において、酸化剤を含む1つの構成成分を40℃以下にし、他の構成成分を室温から100℃の範囲に加温し、1つの構成成分と他の構成成分とを混合する際、又は、水若しくは水溶液を加え希釈する際に、液温を40℃以下とするようにすることができる。この方法は、温度が高いと溶解度が高くなる現象を利用し、研磨液の溶解度の低い原料の溶解度を上げるために好ましい方法である。
上記の他の構成成分を室温から100℃の範囲で加温することで溶解させた原料は、温度が下がると溶液中に析出するため、低温状態の他の構成成分を用いる場合は、予め加温して析出した原料を溶解させる必要がある。これには、加温し、原料が溶解した他の構成成分を送液する手段と、析出物を含む液を攪拌しておき、送液し、配管を加温して溶解させる手段と、を採用することができる。加温した他の構成成分が、酸化剤を含む1つの構成成分の温度を40℃以上に高めると酸化剤が分解する恐れがあるので、この加温した他の構成成分と酸化剤を含む1つの構成成分とを混合した場合、40℃以下となるようにすることが好ましい。
このように、本発明においては、研磨液の成分を二分割以上に分割して、被研磨面に供給してもよい。この場合、酸化物を含む成分と有機酸を含有する成分とに分割して供給することが好ましい。また、研磨液を濃縮液とし、希釈水を別にして被研磨面に供給してもよい。
本発明において、本発明においては、研磨液の成分を二分割以上に分割して、被研磨面に供給する方法を適用する場合、その供給量は、各配管からの供給量の合計を表すものである。
〔パッド〕
本発明の研磨方法に適用しうる研磨用の研磨パッドは、無発泡構造パッドでも発泡構造パッドでもよい。前者はプラスチック板のように硬質の合成樹脂バルク材をパッドに用いるものである。また、後者は更に独立発泡体(乾式発泡系)、連続発泡体(湿式発泡系)、2層複合体(積層系)の3つがあり、特には2層複合体(積層系)が好ましい。発泡は、均一でも不均一でもよい。
更に、一般的に研磨に用いる砥粒(例えば、セリア、シリカ、アルミナ、樹脂など)を含有したものでもよい。また、それぞれに硬さは軟質のものと硬質のものがあり、どちらでもよく、積層系ではそれぞれの層に異なる硬さのものを用いることが好ましい。材質としては、不織布、人工皮革、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート等が好ましい。また、被研磨面と接触する面には、格子溝/穴/同心溝/らせん状溝などの加工を施してもよい。
〔ウエハ〕
本発明における研磨液でCMPを行なう対象の被研磨体としてのウエハは、径が200mm以上であることが好ましく、特には300mm以上が好ましい。300mm以上である時に顕著に本発明の効果を発揮する。
〔研磨装置〕
本発明の研磨液を用いて研磨を実施できる装置は、特に限定されないが、Mirra Mesa CMP、Reflexion CMP(アプライドマテリアルズ)、FREX200、FREX300 (荏原製作所)、NPS3301、NPS2301(ニコン)、A−FP−310A、A−FP−210A(東京精密)、2300 TERES(ラムリサーチ)、Momentum(Speedfam IPEC)などを挙げることができる。
以下実施例によって本発明をより詳しく説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
<実施例1>
下記に示す研磨液を調製し、研磨評価した。
(研磨液の調製)
下記組成を混合して研磨液を調整した。
<組成(1)>
・(D)コロイダルシリカ(PL3スラリー:扶桑化学製) 200g/L
(研磨液中のコロイダルシリカは固形分換算で5質量%となる)
・(B)ジグリコール酸(和光純薬工業(株)製) 15g/L
・(C)複素環化合物:BTA(ベンゾトリアゾール) 0.5g/L
・(A)カチオン性化合物:硝酸テトラブチルアンモニウム(TBA添加剤)
1g/L
・酸化剤:30%過酸化水素 10g/L
・純水を加えて全量 1000mL
pH(アンモニア水と硝酸で調整) 3.5
<ゼータ電位の測定>
得られた研磨液に含まれる(D)特定コロイダルシリカ粒子の表面のゼータ電位を下記の条件で測定した。その結果、ゼータ電位は12mVであり、正の値を示すことが確認された。なお、実施例1に用いた(A)カチオン性化合物である硝酸テトラブチルアンモニウムの未添加時におけるコロイダルシリカ粒子の表面ゼータ電位は−4mVであった。
ゼータ電位は日本ルフト社製DT−1200によって、実施例1の研磨液を非濃縮の形で測定した。
<研磨速度評価用被研磨体>
シリコン基板上に、スッパタリング法により厚さ100nmのTa膜を形成した試験用の8inchウェハを使用した。
<スクラッチ評価用被研磨体(基盤))>
フォトリソグラフィー工程と反応性イオンエッチング工程によりTEOS(テトラエトキシシラン)基板をパターニングして、幅0.09〜100μm、深さ600nmの配線用溝と接続孔を形成、さらに、スッパタリング法により厚さ20nmのTa膜を形成し、続いてスッパタリング法により厚さ50nmの銅膜を形成後、メッキ法により合計厚さ1000nmの銅膜を形成した8inchウェハを使用した。
(評価方法)
研磨装置としてラップマスター社製装置「LGP−612」を使用し、下記の条件で、スラリーを供給しながら各ウェハ膜を研磨した。
テ−ブル回転数: 64rpm
ヘッド回転数: 65rpm
研磨圧力: 13.79kPa
研磨パッド: ロデール・ニッタ株式会社製 IC1400 XY−K−Pad
研磨液供給速度: 200ml/min
<研磨速度>
研磨速度は、CMP前後におけるタンタルの膜厚を測定し、以下の式から換算する事で求めた。
研磨速度(Å/分)=(研磨前の膜厚さ−研磨後の膜厚さ)/研磨時間
<スクラッチ評価>
スクラッチ性能に関しては上記スクラッチ評価用ウェハを研磨加工後、純水洗浄後に順次乾燥し、光学顕微鏡にて観察し、下記の評価基準に基づいて研磨後の加工面状態の評価を行った。
スクラッチ性能の評価基準は以下の通りである。
○:スクラッチの発生がほとんどなく良好
△:1μm以上のスクラッチが少数観察される
×:1μm以上のスクラッチを多数観察
なお、○及び△は、実用上問題の無いレベルと判断する。
<実施例1〜20、参考例1〜6及び比較例1、2>
研磨条件は実施例1と同様の条件で、研磨液の組成を、組成(1)において、(A)〜(D)成分を表1に記載の組成に変更し調製した研磨スラリー用い、実施例1と同様にして、実施例2〜20、参考例1〜6及び比較例1〜2の研磨試験を行った。結果を表1及び表2に示す。
上記表1及び表2において略記された化合物の詳細を下記に示す。
TBA添加材=硝酸テトラブチルアンモニウム〔(A)成分〕
TMA添加材=硝酸テトラメチルアンモニウム〔(A)成分〕
TEA添加材=硝酸テトラエチルアンモニウム〔(A)成分〕
TPA添加材=硝酸テトラプロピルアンモニウム〔(A)成分〕
TPNA添加材=硝酸テトラペンチルアンモニウム〔(A)成分〕
PEI=ポリエチレンイミン(重量平均分子量:2000)〔(A)成分〕
PPI=ポリプロピレンイミン(重量平均分子量:3000)〔(A)成分〕
BTA=1,2,3−ベンゾトリアゾール〔(C)成分〕
DBTA=5、6−ジメチル−1,2,3−ベンゾトリアゾール〔(C)成分〕
DCEBTA=1−(1,2−ジカルボキシエチル)ベンゾトリアゾール〔(C)成分〕
HEABTA=1−[N,N−ビス(ヒドロキシエチル)アミノメチル]ベンゾトリアゾール〔(C)成分〕
HMBTA=1−(ヒドロキシメチル)ベンゾトリアゾール〔(C)成分〕
また、表1及び表2に記載された(D)砥粒としてのコロイダルシリカ粒子〔(B−1)乃至(B−5)〕の形状、一次粒径、及び、(B)分子内にカルボキシル基を有する化合物〔(A−1)乃至(A−7)〕の化合物名を下記表3及び表4に示す。
表1によれば、本発明のバリア用研磨液である実施例1〜20の研磨液を用いた場合は、研磨速度が高速であり、スクラッチも少ないことが分かる。一方、一般式(I)又は一般式(II)で表される化合物を含まず、コロイダルシリカ粒子表面のゼータ電位が負の値を示す比較例1、2においては、十分な研磨速度が得られないことがわかる。

Claims (8)

  1. 半導体集積回路のバリア層を研磨するための研磨液であって、
    下記一般式(I)で表されるカチオン性化合物、カルボキシル基を有する化合物、ベンゾトリアゾール及びその誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種の腐食抑制剤、及び、該カチオン性化合物の存在下、研磨液中において表面のゼータ電位がプラスを示すコロイダルシリカを含みpHが3〜4であることを特徴とする研磨液。

    [一般式(I)中、Rは炭素数1〜5の炭化水素基から選択される同一の置換基を表す。
  2. 前記一般式(I)で表される化合物がテトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、及び、テトラペンチルアンモニウムからなる群より選択される化合物であることを特徴とする請求項1に記載の研磨液。
  3. 前記カルボキシル基を有する化合物が、下記一般式(III)で表される化合物であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の研磨液。

    [一般式(III)中、R及びRはそれぞれ独立に炭化水素基を表し、RとRとは互いに結合し環状構造を形成していてもよい。]
  4. 前記一般式(III)で表される化合物が、2−フランカルボン酸、2,5−フランジカルボン酸、3−フランカルボン酸、2−テトラヒドロフランカルボン酸、ジグリコール酸、メトキシ酢酸、メトキシフェニル酢酸、及び、フェノキシ酢酸からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項3に記載のバリア用研磨液。
  5. 前記腐食抑制剤が、1,2,3−ベンゾトリアゾール、5,6−ジメチル−1,2,3−ベンゾトリアゾール、1−(1,2−ジカルボキシエチル)ベンゾトリアゾール、1−[N,N−ビス(ヒドロキシエチル)アミノメチル]ベンゾトリアゾールおよび1−(ヒドロキシメチル)ベンゾトリアゾールからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の研磨液。
  6. 前記一般式(III)で表される化合物が、ジグリコール酸、2,5−フランジカルボン酸、2−フランカルボン酸、シュウ酸エチル、メトキシフェニル酢酸、フェノキシ酢酸、及び、酢酸メチルカルボン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載のバリア用研磨液。
  7. 前記pHが、3.2〜4.0であることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の研磨液。
  8. 前記pHが、3.5〜4.0であることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の研磨液。
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