JP2004152785A - 銅拡散防止膜用研磨組成物および半導体装置の製造方法 - Google Patents
銅拡散防止膜用研磨組成物および半導体装置の製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】銅拡散防止膜を高速度で研磨することが可能な銅拡散防止膜用研磨組成物を提供しようとものである。
【解決手段】コロイダルシリカ粒子およびこのコロイダルシリカ粒子のゼータ電位をプラス側にシフトさせる量のpH調整剤を含むことを特徴とする。
【選択図】 なし
【解決手段】コロイダルシリカ粒子およびこのコロイダルシリカ粒子のゼータ電位をプラス側にシフトさせる量のpH調整剤を含むことを特徴とする。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、銅拡散防止膜用研磨組成物および半導体装置の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体装置の高集積化により、回路配線の微細化が進み、配線材料がAlから比抵抗が低く許容電流密度が高いCuを用いることが検討され、盛んに研究、開発が進められている。
【0003】
このようなCu配線を有する半導体装置は、次のようなケミカルメカニカルポリシング(CMP)技術を用いて埋め込み配線層を形成し、表面の段差を解消する方法が採用されている。
【0004】
すなわち、半導体基板上の例えばSiO2からなる層間絶縁膜に溝を形成し、この溝を含む前記層間絶縁膜全面にTa膜のような銅拡散防止膜を形成し、さらに前記銅拡散防止膜上に銅または銅合金からなる配線材料膜を前記溝を十分に埋めるように形成した後、ポリシング装置および研磨組成物を用いて前記配線材料膜をCMP処理を施す第1研磨、さらにポリシング装置および別の研磨組成物を用いて前記溝を除く層間絶縁膜上の銅拡散防止膜をCMP処理する第2研磨、により前記溝内に表面を除く周囲が前記銅拡散防止膜で覆われた銅または銅合金の膜を残存させて埋め込み配線層を形成する。
【0005】
ところで、前記第2研磨により銅拡散防止膜をCMP処理するための従来の研磨組成物としてはヒュームドシリカのような研磨砥粒を含有するものが知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ヒュームドシリカのような研磨砥粒を含有する研磨組成物は、Taのような銅拡散防止膜を必ずしも高い速度で研磨することが困難であった。
【0007】
本発明は、銅拡散防止膜を高速度で研磨することが可能な銅拡散防止膜用研磨組成物を提供しようとするものである。
【0008】
本発明は、半導体基板上の絶縁膜に溝および開口部から選ばれる少なくとも1つの埋込み用部材を形成し、前記絶縁膜上に銅(Cu)または銅合金(Cu合金)からなる配線材料膜を第1研磨し、さらに表面に露出する銅拡散防止膜を第2研磨により高速度で除去し、周囲が銅拡散防止膜で覆われた埋め込み配線層のような導電部材を形成することが可能な半導体装置の製造方法を提供しようとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る銅拡散防止膜用研磨組成物は、コロイダルシリカ粒子およびこのコロイダルシリカ粒子のゼータ電位をプラス側にシフトさせる量のpH調整剤を含むことを特徴とするものである。
【0010】
本発明に係る半導体装置の製造方法は、半導体基板上の絶縁膜に配線層の形状に相当する溝およびビアフィルの形状に相当する開口部から選ばれる少なくとも1つの埋込み用部材を形成する工程;
前記埋込み用部材の内面を含む前記絶縁膜上に銅拡散防止膜を形成する工程;
前記銅拡散防止膜上に銅または銅合金からなる配線材料膜を形成する工程;
銅系金属用研磨組成物を用いて前記配線材料膜を少なくとも前記埋込み用部材を除く前記絶縁膜上の前記銅拡散防止膜部分が露出するまで研磨する工程;および
コロイダルシリカからなる研磨砥粒およびこの研磨砥粒のゼータ電位をプラス側にシフトさせる量のpH調整剤を含む銅拡散防止膜用研磨組成物を用いて少なくとも前記埋込み用部材を除く前記絶縁膜上の前記銅拡散防止膜部分を研磨し、それによって前記埋込み用部材内に表面を除く周囲が前記銅拡散防止膜で覆われた配線層およびビアフィルから選ばれる少なくとも1つの導電部材を形成する工程;
を含むことを特徴とするものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る銅拡散防止膜用研磨組成物を詳細に説明する。
【0012】
この銅拡散防止膜用研磨組成物は、コロイダルシリカ粒子およびこのコロイダルシリカ粒子のゼータ電位をプラス側にシフトさせる量のpH調整剤を含有する。
【0013】
前記コロイダルシリカ粒子は、0.02〜0.1μmの平均一次粒径を有し、球状もしくは球に近似した形状を有することが好ましい。
【0014】
前記研磨砥粒は、前記研磨組成物中に0.8〜20重量%含有されることが好ましい。前記研磨砥粒の含有量を0.8重量%未満にすると、その効果を十分に達成することが困難になる。一方、前記研磨砥粒の含有量が20重量%を越えると、研磨組成物の粘度等が高くなるなど取扱い難くなる。より好ましい研磨砥粒の含有量は、0.8〜10重量%である。
【0015】
前記pH調整剤としては、例えば塩酸、乳酸、2−キノリンカルボン酸(キナルジン酸)等を挙げることができる。
【0016】
本発明に係る銅拡散防止材料用研磨組成物において、非イオン性、両性イオン性、陰イオン性、陽イオン性の界面活性剤が添加されることを許容する。
【0017】
本発明に係る銅拡散防止材料用研磨組成物を用いて例えば基板上の絶縁膜に凹部を形成し、この凹部を含む前記絶縁膜上にチタン(Ta)膜のような銅拡散防止膜を成膜し、さらにCu膜またはCu合金膜を成膜し、これらCu膜またはCu合金膜を研磨後に銅拡散防止膜を研磨するには、図1に示すポリシング装置が用いられる。すなわち、ターンテーブル1上には例えば布、独立気泡を有するポリウレタン発泡体から作られた研磨パッド2が被覆されている。研磨組成物を供給するための供給管3は、前記研磨パッド2の上方に配置されている。上面に支持軸4を有する基板ホルダ5は、研磨パッド2の上方に上下動自在でかつ回転自在に配置されている。
【0018】
このようなポリシング装置において、前記ホルダ5により基板6をその研磨面(例えばTa膜)が前記研磨パッド2に対向するように保持し、前記供給管3から前述した組成の研摩液7を供給しながら、前記支持軸4により前記基板6を前記研磨パッド2に向けて所望の加重を与え、さらに前記ホルド5および前記ターンテーブル1をそれぞれ同方向に回転させることにより前記基板6上のTa膜が研磨される。
【0019】
次に、本発明に係る半導体装置の製造方法を説明する。
【0020】
まず、半導体基板上の絶縁膜に配線層の形状に相当する溝およびビアフィルの形状に相当する開口部から選ばれる少なくとも1つの埋込み用部材を形成する。つづいて、この埋込み用部材の内面を含む前記絶縁膜上に銅拡散防止膜を形成する。
【0021】
次いで、前記銅拡散防止膜上に銅または銅合金からなる配線材料膜を形成した後、銅系金属用研磨組成物を用いて前記配線材料膜を前記埋込み用部材を除く前記絶縁膜上の前記銅拡散防止膜部分が露出するまでCMP処理する第1研磨を行う。つづいて、前記銅系金属用研磨組成物に代えて前述した組成の銅拡散防止材料用研磨組成物を用いて前記埋込み用部材を除く前記絶縁膜上の前記銅拡散防止膜部分をCMP処理する第2研磨を行うことによって、前記埋込み用部材内に表面を除く周囲が前記銅拡散防止膜で覆われた配線層およびビアフィルから選ばれる少なくとも1つの導電部材を形成して半導体装置の製造する。
【0022】
前記絶縁膜としては、例えばシリコン酸化膜、ボロン添加ガラス膜(BPSG膜)、リン添加ガラス膜(PSG膜)、Low−K膜、SiOF、有機スピンオングラス、ポリイミド、フッ素添加ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン、フッ化ポリアリルエーテル、フッ素添加パレリン等を挙げることができる。
【0023】
前記銅拡散防止膜は、例えばTa,TaN、TaNb、W,WN,TaN,TaSiN,Co,Zrから選ばれる1層または2層以上から作られる。このような銅拡散防止膜は、15〜50nmの厚さを有することが好ましい。
【0024】
前記Cu合金としては、例えばCu−Si合金、Cu−Al合金、Cu−Si−Al合金、Cu−Ag合金等を用いることができる。
【0025】
前記CuまたはCu合金からなる配線材料膜は、スパッタ蒸着、真空蒸着、または無電解メッキ等により形成される。具体的には、銅もしくは銅合金をスパッタ法またはCVD法により堆積し、さらに無電解銅メッキを施して銅または銅合金からなる配線材料膜を形成する。
【0026】
前記第1研磨に用いられる銅系金属用研磨組成物としては、例えば水溶性の有機酸と、アルミナおよびシリカから選らればれる少なくとも1つの研磨砥粒と、酸化剤と、水とを含有する。前記有機酸は、銅と反応してこの有機酸および前記酸化剤の水溶液に実質的に不溶性で、かつ銅よりも機械的に脆弱な銅錯体を生成する性質を有する。
【0027】
前記有機酸としては、例えば2−キノリンカルボン酸(キナルジン酸)、2−ピリジンカルボン酸、2,6−ピリジンカルボン酸、キノリン等を挙げることができる。
【0028】
前記有機酸は、前記研磨組成物中に0.1重量%以上含有されることが好ましい。
【0029】
前記研磨砥粒は、0.02〜0.1μmの平均一次粒径を有し、球状もしくは球に近似した形状を有することが好ましい。
【0030】
前記研磨砥粒は、前記研磨組成物中に0.8〜20重量%含有されることが好ましい。前記研磨砥粒の含有量を0.8重量%未満にすると、その効果を十分に達成することが困難になる。一方、前記研磨砥粒の含有量が20重量%を越えると、研磨組成物の粘度等が高くなるなど取扱い難くなる。より好ましい研磨砥粒の含有量は、0.8〜10重量%である。
【0031】
前記酸化剤としては、例えば過酸化水素(H2 O2 )、次亜塩素酸ソーダ(NaClO)のような酸化剤を用いることができる。この酸化剤は、前記有機酸に対して重量割合で10〜100倍配合することが好ましい。
【0032】
前記銅系金属用研磨組成物は、さらにカルボキシル基およびヒドロキシル基をそれぞれ1つ持つ別の有機酸を含有することを許容する。この別の有機酸は、前記酸化剤による銅の水和物の生成を促進する作用を有する。かかる別の有機酸としては、例えば乳酸、酒石酸、マンデル酸およびリンゴ酸等を挙げることができ、これらは1種または2種以上の混合物の形態で用いることができる。この別の第2有機酸としては、特に乳酸を用いるが好ましい。
【0033】
前記銅系金属用研磨組成物および銅拡散防止材料研磨組成物による研磨処理は、例えば前述した図1に示すポリシング装置が用いて行われる。
【0034】
図1に示すポリシング装置を用いる研磨処理において、基板ホルダで保持された基板を前記研磨パッドに与える荷重は研磨組成物の組成により適宜選定されるが、例えば50〜1000g/cm2 にすることが好ましい。
【0035】
以上説明した本発明に係る銅拡散防止材料用研磨組成物は、コロイダルシリカ粒子およびこのコロイダルシリカ粒子のゼータ電位をプラス側にシフトさせるためのpH調整剤を含有するため、チタン(Ta)膜のような銅拡散防止膜の研磨において従来のようにヒュームドシリカを研磨砥粒として含有する研磨組成物に比べて研磨条件が同じである場合、高速度で銅拡散防止膜を研磨することができる。
【0036】
また、本発明に係る半導体装置の製造方法は、半導体基板上の絶縁膜に配線層の形状に相当する溝およびビアフィルの形状に相当する開口部から選ばれる少なくとも1つの埋込み用部材を形成し、前記埋込み用部材の内面を含む前記絶縁膜上に銅拡散防止膜を形成し、さらに前記銅拡散防止膜上に銅または銅合金からなる配線材料膜を形成し、つづいて前述した銅系金属用研磨組成物と例えば前述した図1に示すポリシング装置とを用いて前記配線材料膜を前記埋込み用部材を除く前記絶縁膜上の前記銅拡散防止膜部分が露出するまでCMP処理する第1研磨を行なう。絶縁膜表面に位置する銅拡散防止膜部分上の前記CuまたはCu合金の配線材料膜の研磨終了において、前記銅系金属用研磨組成物に代えて銅拡散防止材料用研磨組成物を用いて前記絶縁膜上に露出した銅拡散防止をCMP処理する第2研磨を行うことによって、前記絶縁膜表面に位置する銅拡散防止膜部分を高速度で除去できる。
【0037】
したがって、銅拡散防止膜で囲まれた前記溝および開口部から選ばれる少なくとも1つの埋込み用部材に配線層およびビアフィルから選ばれる少なくとも1つの埋め込み導電部材を形成することができるため、配線材料であるCuが前記絶縁膜に拡散するのを前記銅拡散防止膜で阻止し、Cuによる半導体基板の汚染を防止することが可能な半導体装置を製造することができる。
【0038】
【実施例】
以下、本発明の好ましい実施例を図面を参照しして詳細に説明する。
【0039】
(実施例1)
平均一次粒子径が0.02μmのコロイダルシリカを5重量%分散させたスラリーにpH調整剤である塩酸をそのスラリーのpH値が変化するように添加して銅拡散防止膜用研磨組成物を調製した。
【0040】
(比較例1)
平均一次粒子径が0.02μmのヒュームドシリカを5重量%分散させたスラリーにpH調整剤である塩酸をそのスラリーのpH値が変化するように添加して銅拡散防止膜用研磨組成物を調製した。
【0041】
前述した図1に示すポリシング装置を用いて基板ホルダ5にTa膜が成膜されたシリコンウェハをそのTa膜が研磨パッド(ローデル社製商品名;IC1000)2側に対向するように逆さにして保持し、支持軸4により前記ウェハを研磨パッド2に300gf/cm2 の荷重を与え、さらに前記ターンテーブル1およびホルダ5をそれぞれ63rpm、60rpmの速度で同方向に回転させながら、前記組成の銅拡散防止膜用研磨組成物を供給管3から200mL/分の速度で前記研磨パッド2に供給することによって、前記Ta膜の研磨を行なった。
【0042】
このような実施例1および比較例1の銅拡散防止膜用研磨組成物によるTa膜の研磨速度を図2、図3にそれぞれ示す。なお、図2、図3にはpHの変化に伴う銅拡散防止膜用研磨組成物中のコロイダルシリカ、ヒュームドシリカのゼータ電位を示す。
【0043】
図2、図3から明らかなようにコロイダルシリカを研磨砥粒として含む実施例1の銅拡散防止膜用研磨組成物はそのコロイダルシリカのゼータ電位がプラス側にシフトするpH値において高いTaの研磨速度を示すことがわかる。これに対し、ヒュームドシリカを研磨砥粒として含む比較例1の銅拡散防止膜用研磨組成物はそのヒュームドシリカのゼータ電位を変えてもTaの研磨速度が低い状態で変化しないことがわかる。
【0044】
(実施例2)
平均一次粒子径が0.02μmのコロイダルシリカを5重量%分散させたスラリーにpH調整剤である乳酸をそのスラリーのpH値が変化するように添加して銅拡散防止膜用研磨組成物を調製した。
【0045】
実施例1と同様に前述した図1に示すポリシング装置および前記組成の銅拡散防止膜用研磨組成物を用いてTa膜の研磨速度を測定した。その結果を図4に示す。なお、図4にはpHの変化に伴う銅拡散防止膜用研磨組成物中のコロイダルシリカのゼータ電位を示す。
【0046】
図4から明らかなようにコロイダルシリカを研磨砥粒として含む実施例2の銅拡散防止膜用研磨組成物はそのコロイダルシリカのゼータ電位がプラス側にシフトするpH値において高いTaの研磨速度を示すことがわかる。
【0047】
なお、pH調整剤として乳酸の代わりにキナルジン酸を用いても同様な結果を得た。
【0048】
(実施例3)
まず、図5の(A)に示すように表面に図示しないソース、ドレイン等の拡散層が形成されたシリコン基板21上にCVD法により層間絶縁膜としての例えば厚さ1000nmのSiO2 膜22を堆積した後、前記SiO2 膜22にフォトエッチング技術により配線層に相当する形状を有する深さ500nmの複数の溝23を形成した。つづいて、図5の(B)に示すように前記溝23を含む前記SiO2 膜22上にスパッタ蒸着により厚さ15nmのTaからなる銅拡散防止膜24および厚さ600nmのCu膜25をこの順序で形成した。
【0049】
次いで、前述した図1に示すポリシング装置の基板ホルダ5に図5の(B)に示す基板21を逆さにして保持し、前記ホルダ5の支持軸4により前記基板をターンテーブル1上のローデル社製商品名;IC1000からなる研磨パッド2に500g/cm2 の荷重を与え、前記ターンテーブル1およびホルダ5をそれぞれ103rpm、100rpmの速度で同方向に回転させながら、下記組成の銅系金属用研磨組成物を供給管3から50ml/分の速度で前記研磨パッド2に供給して前記基板21に形成したCu膜25を前記SiO2 膜22上の前記銅拡散防止膜24の表面が露出するまで研磨した。この研磨工程において、前記研磨組成物はCu膜との接触時のエッチングが全く起こらず、前記研磨パッドによる研磨時の研磨速度が約600nm/分であった。このため、研磨工程において図5の(B)に示す凸状のCu膜25は前記研磨パッドと機械的に接触する表面から優先的にポリシングされた。
【0050】
<銅系金属用研磨組成物;各成分量は水に対する割合>
・2−キノリンカルボン酸(キナルジン酸);0.67重量%、
・乳酸;0.67重量%、
・コロイダルアルミナ;1.67重量%、
・過酸化水素;4.67重量%、
・ドデシル硫酸アンモニウム;0.576重量%、
・ポリビニルピロリドン(PVP);0.4重量%。
【0051】
次いで、前述したCu膜研磨に用いたポリシング装置に隣接された図1と同構造を有する別のポリシング装置の基板ホルダ5に図5の(B)に示す基板21を逆さにして保持し、前記ホルダ5の支持軸4により前記基板をターンテーブル1上のローデル社製商品名;IC1000からなる研磨パッド2に500g/cm2 の荷重を与え、前記ターンテーブル1およびホルダ5をそれぞれ103rpm、100rpmの速度で同方向に回転させながら、下記組成の銅拡散防止材料用研磨組成物を供給管3から100ml/分の速度で前記研磨パッド2に供給して前記基板21に形成した銅拡散防止膜24を前記SiO2 膜22表面が露出するまで研磨した。
【0052】
<銅拡散防止材料用研磨組成物;各成分量は水に対する割合>
・コロイダルシリカ;5重量%、
・塩酸;pH値が3.00になる量。
【0053】
その結果、図5の(C)に示すように前記溝23内に銅拡散防止膜24が残存すると共に、前記銅拡散防止膜24で覆われた前記溝23内にデッシングが抑制された前記SiO2 膜22表面とほぼ面一な埋め込みCu配線層26が形成された。
【0054】
さらに、前記ポリシング装置のホルダ5による前記研磨パッド2への荷重を解除し、かつターンテーブル1およびホルダ5の回転の停止した後において、前記Cu配線層26が前記研磨組成物に接触されても溶解(エッチング)されることがなかった。
【0055】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば銅拡散防止膜を高速度で研磨することが可能な銅拡散防止膜用研磨組成物を提供することができる。
【0056】
さらに、本発明によれば半導体基板上の絶縁膜に溝および開口部から選ばれる少なくとも1つの埋込み用部材を形成し、前記絶縁膜上に銅(Cu)または銅合金(Cu合金)からなる配線材料膜を第1研磨し、さらに表面に露出する銅拡散防止膜を第2研磨により高速度で除去し、周囲が銅拡散防止膜で覆われた埋め込み配線層のような導電部材を形成することが可能な半導体装置の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の研磨工程に使用されるポリシング装置を示す概略図。
【図2】本発明の実施例1における銅拡散防止膜用研磨組成物によるTa膜の研磨速度とpH値の変化に伴う中のコロイダルシリカのゼータ電位とを示す特性図。
【図3】比較例1における銅拡散防止膜用研磨組成物によるTa膜の研磨速度とpH値の変化に伴う中のコロイダルシリカのゼータ電位とを示す特性図。
【図4】本発明の実施例2における銅拡散防止膜用研磨組成物によるTa膜の研磨速度とpH値の変化に伴う中のコロイダルシリカのゼータ電位とを示す特性図。
【図5】本発明の実施例3における半導体装置の製造工程を示す断面図。
【符号の説明】
1…ターンテーブル、
2…研磨パッド、
3…供給管、
5…ホルダ、
11…シリコン基板、
15…Cu膜、
12…SiO2 膜、
23…溝、
14…銅拡散防止膜、
26…Cu配線層。
【発明の属する技術分野】
本発明は、銅拡散防止膜用研磨組成物および半導体装置の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体装置の高集積化により、回路配線の微細化が進み、配線材料がAlから比抵抗が低く許容電流密度が高いCuを用いることが検討され、盛んに研究、開発が進められている。
【0003】
このようなCu配線を有する半導体装置は、次のようなケミカルメカニカルポリシング(CMP)技術を用いて埋め込み配線層を形成し、表面の段差を解消する方法が採用されている。
【0004】
すなわち、半導体基板上の例えばSiO2からなる層間絶縁膜に溝を形成し、この溝を含む前記層間絶縁膜全面にTa膜のような銅拡散防止膜を形成し、さらに前記銅拡散防止膜上に銅または銅合金からなる配線材料膜を前記溝を十分に埋めるように形成した後、ポリシング装置および研磨組成物を用いて前記配線材料膜をCMP処理を施す第1研磨、さらにポリシング装置および別の研磨組成物を用いて前記溝を除く層間絶縁膜上の銅拡散防止膜をCMP処理する第2研磨、により前記溝内に表面を除く周囲が前記銅拡散防止膜で覆われた銅または銅合金の膜を残存させて埋め込み配線層を形成する。
【0005】
ところで、前記第2研磨により銅拡散防止膜をCMP処理するための従来の研磨組成物としてはヒュームドシリカのような研磨砥粒を含有するものが知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ヒュームドシリカのような研磨砥粒を含有する研磨組成物は、Taのような銅拡散防止膜を必ずしも高い速度で研磨することが困難であった。
【0007】
本発明は、銅拡散防止膜を高速度で研磨することが可能な銅拡散防止膜用研磨組成物を提供しようとするものである。
【0008】
本発明は、半導体基板上の絶縁膜に溝および開口部から選ばれる少なくとも1つの埋込み用部材を形成し、前記絶縁膜上に銅(Cu)または銅合金(Cu合金)からなる配線材料膜を第1研磨し、さらに表面に露出する銅拡散防止膜を第2研磨により高速度で除去し、周囲が銅拡散防止膜で覆われた埋め込み配線層のような導電部材を形成することが可能な半導体装置の製造方法を提供しようとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る銅拡散防止膜用研磨組成物は、コロイダルシリカ粒子およびこのコロイダルシリカ粒子のゼータ電位をプラス側にシフトさせる量のpH調整剤を含むことを特徴とするものである。
【0010】
本発明に係る半導体装置の製造方法は、半導体基板上の絶縁膜に配線層の形状に相当する溝およびビアフィルの形状に相当する開口部から選ばれる少なくとも1つの埋込み用部材を形成する工程;
前記埋込み用部材の内面を含む前記絶縁膜上に銅拡散防止膜を形成する工程;
前記銅拡散防止膜上に銅または銅合金からなる配線材料膜を形成する工程;
銅系金属用研磨組成物を用いて前記配線材料膜を少なくとも前記埋込み用部材を除く前記絶縁膜上の前記銅拡散防止膜部分が露出するまで研磨する工程;および
コロイダルシリカからなる研磨砥粒およびこの研磨砥粒のゼータ電位をプラス側にシフトさせる量のpH調整剤を含む銅拡散防止膜用研磨組成物を用いて少なくとも前記埋込み用部材を除く前記絶縁膜上の前記銅拡散防止膜部分を研磨し、それによって前記埋込み用部材内に表面を除く周囲が前記銅拡散防止膜で覆われた配線層およびビアフィルから選ばれる少なくとも1つの導電部材を形成する工程;
を含むことを特徴とするものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る銅拡散防止膜用研磨組成物を詳細に説明する。
【0012】
この銅拡散防止膜用研磨組成物は、コロイダルシリカ粒子およびこのコロイダルシリカ粒子のゼータ電位をプラス側にシフトさせる量のpH調整剤を含有する。
【0013】
前記コロイダルシリカ粒子は、0.02〜0.1μmの平均一次粒径を有し、球状もしくは球に近似した形状を有することが好ましい。
【0014】
前記研磨砥粒は、前記研磨組成物中に0.8〜20重量%含有されることが好ましい。前記研磨砥粒の含有量を0.8重量%未満にすると、その効果を十分に達成することが困難になる。一方、前記研磨砥粒の含有量が20重量%を越えると、研磨組成物の粘度等が高くなるなど取扱い難くなる。より好ましい研磨砥粒の含有量は、0.8〜10重量%である。
【0015】
前記pH調整剤としては、例えば塩酸、乳酸、2−キノリンカルボン酸(キナルジン酸)等を挙げることができる。
【0016】
本発明に係る銅拡散防止材料用研磨組成物において、非イオン性、両性イオン性、陰イオン性、陽イオン性の界面活性剤が添加されることを許容する。
【0017】
本発明に係る銅拡散防止材料用研磨組成物を用いて例えば基板上の絶縁膜に凹部を形成し、この凹部を含む前記絶縁膜上にチタン(Ta)膜のような銅拡散防止膜を成膜し、さらにCu膜またはCu合金膜を成膜し、これらCu膜またはCu合金膜を研磨後に銅拡散防止膜を研磨するには、図1に示すポリシング装置が用いられる。すなわち、ターンテーブル1上には例えば布、独立気泡を有するポリウレタン発泡体から作られた研磨パッド2が被覆されている。研磨組成物を供給するための供給管3は、前記研磨パッド2の上方に配置されている。上面に支持軸4を有する基板ホルダ5は、研磨パッド2の上方に上下動自在でかつ回転自在に配置されている。
【0018】
このようなポリシング装置において、前記ホルダ5により基板6をその研磨面(例えばTa膜)が前記研磨パッド2に対向するように保持し、前記供給管3から前述した組成の研摩液7を供給しながら、前記支持軸4により前記基板6を前記研磨パッド2に向けて所望の加重を与え、さらに前記ホルド5および前記ターンテーブル1をそれぞれ同方向に回転させることにより前記基板6上のTa膜が研磨される。
【0019】
次に、本発明に係る半導体装置の製造方法を説明する。
【0020】
まず、半導体基板上の絶縁膜に配線層の形状に相当する溝およびビアフィルの形状に相当する開口部から選ばれる少なくとも1つの埋込み用部材を形成する。つづいて、この埋込み用部材の内面を含む前記絶縁膜上に銅拡散防止膜を形成する。
【0021】
次いで、前記銅拡散防止膜上に銅または銅合金からなる配線材料膜を形成した後、銅系金属用研磨組成物を用いて前記配線材料膜を前記埋込み用部材を除く前記絶縁膜上の前記銅拡散防止膜部分が露出するまでCMP処理する第1研磨を行う。つづいて、前記銅系金属用研磨組成物に代えて前述した組成の銅拡散防止材料用研磨組成物を用いて前記埋込み用部材を除く前記絶縁膜上の前記銅拡散防止膜部分をCMP処理する第2研磨を行うことによって、前記埋込み用部材内に表面を除く周囲が前記銅拡散防止膜で覆われた配線層およびビアフィルから選ばれる少なくとも1つの導電部材を形成して半導体装置の製造する。
【0022】
前記絶縁膜としては、例えばシリコン酸化膜、ボロン添加ガラス膜(BPSG膜)、リン添加ガラス膜(PSG膜)、Low−K膜、SiOF、有機スピンオングラス、ポリイミド、フッ素添加ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン、フッ化ポリアリルエーテル、フッ素添加パレリン等を挙げることができる。
【0023】
前記銅拡散防止膜は、例えばTa,TaN、TaNb、W,WN,TaN,TaSiN,Co,Zrから選ばれる1層または2層以上から作られる。このような銅拡散防止膜は、15〜50nmの厚さを有することが好ましい。
【0024】
前記Cu合金としては、例えばCu−Si合金、Cu−Al合金、Cu−Si−Al合金、Cu−Ag合金等を用いることができる。
【0025】
前記CuまたはCu合金からなる配線材料膜は、スパッタ蒸着、真空蒸着、または無電解メッキ等により形成される。具体的には、銅もしくは銅合金をスパッタ法またはCVD法により堆積し、さらに無電解銅メッキを施して銅または銅合金からなる配線材料膜を形成する。
【0026】
前記第1研磨に用いられる銅系金属用研磨組成物としては、例えば水溶性の有機酸と、アルミナおよびシリカから選らればれる少なくとも1つの研磨砥粒と、酸化剤と、水とを含有する。前記有機酸は、銅と反応してこの有機酸および前記酸化剤の水溶液に実質的に不溶性で、かつ銅よりも機械的に脆弱な銅錯体を生成する性質を有する。
【0027】
前記有機酸としては、例えば2−キノリンカルボン酸(キナルジン酸)、2−ピリジンカルボン酸、2,6−ピリジンカルボン酸、キノリン等を挙げることができる。
【0028】
前記有機酸は、前記研磨組成物中に0.1重量%以上含有されることが好ましい。
【0029】
前記研磨砥粒は、0.02〜0.1μmの平均一次粒径を有し、球状もしくは球に近似した形状を有することが好ましい。
【0030】
前記研磨砥粒は、前記研磨組成物中に0.8〜20重量%含有されることが好ましい。前記研磨砥粒の含有量を0.8重量%未満にすると、その効果を十分に達成することが困難になる。一方、前記研磨砥粒の含有量が20重量%を越えると、研磨組成物の粘度等が高くなるなど取扱い難くなる。より好ましい研磨砥粒の含有量は、0.8〜10重量%である。
【0031】
前記酸化剤としては、例えば過酸化水素(H2 O2 )、次亜塩素酸ソーダ(NaClO)のような酸化剤を用いることができる。この酸化剤は、前記有機酸に対して重量割合で10〜100倍配合することが好ましい。
【0032】
前記銅系金属用研磨組成物は、さらにカルボキシル基およびヒドロキシル基をそれぞれ1つ持つ別の有機酸を含有することを許容する。この別の有機酸は、前記酸化剤による銅の水和物の生成を促進する作用を有する。かかる別の有機酸としては、例えば乳酸、酒石酸、マンデル酸およびリンゴ酸等を挙げることができ、これらは1種または2種以上の混合物の形態で用いることができる。この別の第2有機酸としては、特に乳酸を用いるが好ましい。
【0033】
前記銅系金属用研磨組成物および銅拡散防止材料研磨組成物による研磨処理は、例えば前述した図1に示すポリシング装置が用いて行われる。
【0034】
図1に示すポリシング装置を用いる研磨処理において、基板ホルダで保持された基板を前記研磨パッドに与える荷重は研磨組成物の組成により適宜選定されるが、例えば50〜1000g/cm2 にすることが好ましい。
【0035】
以上説明した本発明に係る銅拡散防止材料用研磨組成物は、コロイダルシリカ粒子およびこのコロイダルシリカ粒子のゼータ電位をプラス側にシフトさせるためのpH調整剤を含有するため、チタン(Ta)膜のような銅拡散防止膜の研磨において従来のようにヒュームドシリカを研磨砥粒として含有する研磨組成物に比べて研磨条件が同じである場合、高速度で銅拡散防止膜を研磨することができる。
【0036】
また、本発明に係る半導体装置の製造方法は、半導体基板上の絶縁膜に配線層の形状に相当する溝およびビアフィルの形状に相当する開口部から選ばれる少なくとも1つの埋込み用部材を形成し、前記埋込み用部材の内面を含む前記絶縁膜上に銅拡散防止膜を形成し、さらに前記銅拡散防止膜上に銅または銅合金からなる配線材料膜を形成し、つづいて前述した銅系金属用研磨組成物と例えば前述した図1に示すポリシング装置とを用いて前記配線材料膜を前記埋込み用部材を除く前記絶縁膜上の前記銅拡散防止膜部分が露出するまでCMP処理する第1研磨を行なう。絶縁膜表面に位置する銅拡散防止膜部分上の前記CuまたはCu合金の配線材料膜の研磨終了において、前記銅系金属用研磨組成物に代えて銅拡散防止材料用研磨組成物を用いて前記絶縁膜上に露出した銅拡散防止をCMP処理する第2研磨を行うことによって、前記絶縁膜表面に位置する銅拡散防止膜部分を高速度で除去できる。
【0037】
したがって、銅拡散防止膜で囲まれた前記溝および開口部から選ばれる少なくとも1つの埋込み用部材に配線層およびビアフィルから選ばれる少なくとも1つの埋め込み導電部材を形成することができるため、配線材料であるCuが前記絶縁膜に拡散するのを前記銅拡散防止膜で阻止し、Cuによる半導体基板の汚染を防止することが可能な半導体装置を製造することができる。
【0038】
【実施例】
以下、本発明の好ましい実施例を図面を参照しして詳細に説明する。
【0039】
(実施例1)
平均一次粒子径が0.02μmのコロイダルシリカを5重量%分散させたスラリーにpH調整剤である塩酸をそのスラリーのpH値が変化するように添加して銅拡散防止膜用研磨組成物を調製した。
【0040】
(比較例1)
平均一次粒子径が0.02μmのヒュームドシリカを5重量%分散させたスラリーにpH調整剤である塩酸をそのスラリーのpH値が変化するように添加して銅拡散防止膜用研磨組成物を調製した。
【0041】
前述した図1に示すポリシング装置を用いて基板ホルダ5にTa膜が成膜されたシリコンウェハをそのTa膜が研磨パッド(ローデル社製商品名;IC1000)2側に対向するように逆さにして保持し、支持軸4により前記ウェハを研磨パッド2に300gf/cm2 の荷重を与え、さらに前記ターンテーブル1およびホルダ5をそれぞれ63rpm、60rpmの速度で同方向に回転させながら、前記組成の銅拡散防止膜用研磨組成物を供給管3から200mL/分の速度で前記研磨パッド2に供給することによって、前記Ta膜の研磨を行なった。
【0042】
このような実施例1および比較例1の銅拡散防止膜用研磨組成物によるTa膜の研磨速度を図2、図3にそれぞれ示す。なお、図2、図3にはpHの変化に伴う銅拡散防止膜用研磨組成物中のコロイダルシリカ、ヒュームドシリカのゼータ電位を示す。
【0043】
図2、図3から明らかなようにコロイダルシリカを研磨砥粒として含む実施例1の銅拡散防止膜用研磨組成物はそのコロイダルシリカのゼータ電位がプラス側にシフトするpH値において高いTaの研磨速度を示すことがわかる。これに対し、ヒュームドシリカを研磨砥粒として含む比較例1の銅拡散防止膜用研磨組成物はそのヒュームドシリカのゼータ電位を変えてもTaの研磨速度が低い状態で変化しないことがわかる。
【0044】
(実施例2)
平均一次粒子径が0.02μmのコロイダルシリカを5重量%分散させたスラリーにpH調整剤である乳酸をそのスラリーのpH値が変化するように添加して銅拡散防止膜用研磨組成物を調製した。
【0045】
実施例1と同様に前述した図1に示すポリシング装置および前記組成の銅拡散防止膜用研磨組成物を用いてTa膜の研磨速度を測定した。その結果を図4に示す。なお、図4にはpHの変化に伴う銅拡散防止膜用研磨組成物中のコロイダルシリカのゼータ電位を示す。
【0046】
図4から明らかなようにコロイダルシリカを研磨砥粒として含む実施例2の銅拡散防止膜用研磨組成物はそのコロイダルシリカのゼータ電位がプラス側にシフトするpH値において高いTaの研磨速度を示すことがわかる。
【0047】
なお、pH調整剤として乳酸の代わりにキナルジン酸を用いても同様な結果を得た。
【0048】
(実施例3)
まず、図5の(A)に示すように表面に図示しないソース、ドレイン等の拡散層が形成されたシリコン基板21上にCVD法により層間絶縁膜としての例えば厚さ1000nmのSiO2 膜22を堆積した後、前記SiO2 膜22にフォトエッチング技術により配線層に相当する形状を有する深さ500nmの複数の溝23を形成した。つづいて、図5の(B)に示すように前記溝23を含む前記SiO2 膜22上にスパッタ蒸着により厚さ15nmのTaからなる銅拡散防止膜24および厚さ600nmのCu膜25をこの順序で形成した。
【0049】
次いで、前述した図1に示すポリシング装置の基板ホルダ5に図5の(B)に示す基板21を逆さにして保持し、前記ホルダ5の支持軸4により前記基板をターンテーブル1上のローデル社製商品名;IC1000からなる研磨パッド2に500g/cm2 の荷重を与え、前記ターンテーブル1およびホルダ5をそれぞれ103rpm、100rpmの速度で同方向に回転させながら、下記組成の銅系金属用研磨組成物を供給管3から50ml/分の速度で前記研磨パッド2に供給して前記基板21に形成したCu膜25を前記SiO2 膜22上の前記銅拡散防止膜24の表面が露出するまで研磨した。この研磨工程において、前記研磨組成物はCu膜との接触時のエッチングが全く起こらず、前記研磨パッドによる研磨時の研磨速度が約600nm/分であった。このため、研磨工程において図5の(B)に示す凸状のCu膜25は前記研磨パッドと機械的に接触する表面から優先的にポリシングされた。
【0050】
<銅系金属用研磨組成物;各成分量は水に対する割合>
・2−キノリンカルボン酸(キナルジン酸);0.67重量%、
・乳酸;0.67重量%、
・コロイダルアルミナ;1.67重量%、
・過酸化水素;4.67重量%、
・ドデシル硫酸アンモニウム;0.576重量%、
・ポリビニルピロリドン(PVP);0.4重量%。
【0051】
次いで、前述したCu膜研磨に用いたポリシング装置に隣接された図1と同構造を有する別のポリシング装置の基板ホルダ5に図5の(B)に示す基板21を逆さにして保持し、前記ホルダ5の支持軸4により前記基板をターンテーブル1上のローデル社製商品名;IC1000からなる研磨パッド2に500g/cm2 の荷重を与え、前記ターンテーブル1およびホルダ5をそれぞれ103rpm、100rpmの速度で同方向に回転させながら、下記組成の銅拡散防止材料用研磨組成物を供給管3から100ml/分の速度で前記研磨パッド2に供給して前記基板21に形成した銅拡散防止膜24を前記SiO2 膜22表面が露出するまで研磨した。
【0052】
<銅拡散防止材料用研磨組成物;各成分量は水に対する割合>
・コロイダルシリカ;5重量%、
・塩酸;pH値が3.00になる量。
【0053】
その結果、図5の(C)に示すように前記溝23内に銅拡散防止膜24が残存すると共に、前記銅拡散防止膜24で覆われた前記溝23内にデッシングが抑制された前記SiO2 膜22表面とほぼ面一な埋め込みCu配線層26が形成された。
【0054】
さらに、前記ポリシング装置のホルダ5による前記研磨パッド2への荷重を解除し、かつターンテーブル1およびホルダ5の回転の停止した後において、前記Cu配線層26が前記研磨組成物に接触されても溶解(エッチング)されることがなかった。
【0055】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば銅拡散防止膜を高速度で研磨することが可能な銅拡散防止膜用研磨組成物を提供することができる。
【0056】
さらに、本発明によれば半導体基板上の絶縁膜に溝および開口部から選ばれる少なくとも1つの埋込み用部材を形成し、前記絶縁膜上に銅(Cu)または銅合金(Cu合金)からなる配線材料膜を第1研磨し、さらに表面に露出する銅拡散防止膜を第2研磨により高速度で除去し、周囲が銅拡散防止膜で覆われた埋め込み配線層のような導電部材を形成することが可能な半導体装置の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の研磨工程に使用されるポリシング装置を示す概略図。
【図2】本発明の実施例1における銅拡散防止膜用研磨組成物によるTa膜の研磨速度とpH値の変化に伴う中のコロイダルシリカのゼータ電位とを示す特性図。
【図3】比較例1における銅拡散防止膜用研磨組成物によるTa膜の研磨速度とpH値の変化に伴う中のコロイダルシリカのゼータ電位とを示す特性図。
【図4】本発明の実施例2における銅拡散防止膜用研磨組成物によるTa膜の研磨速度とpH値の変化に伴う中のコロイダルシリカのゼータ電位とを示す特性図。
【図5】本発明の実施例3における半導体装置の製造工程を示す断面図。
【符号の説明】
1…ターンテーブル、
2…研磨パッド、
3…供給管、
5…ホルダ、
11…シリコン基板、
15…Cu膜、
12…SiO2 膜、
23…溝、
14…銅拡散防止膜、
26…Cu配線層。
Claims (3)
- コロイダルシリカ粒子およびこのコロイダルシリカ粒子のゼータ電位をプラス側にシフトさせる量のpH調整剤を含むことを特徴とする銅拡散防止膜用研磨組成物。
- 半導体基板上の絶縁膜に配線層の形状に相当する溝およびビアフィルの形状に相当する開口部から選ばれる少なくとも1つの埋込み用部材を形成する工程;
前記埋込み用部材の内面を含む前記絶縁膜上に銅拡散防止膜を形成する工程;
前記銅拡散防止膜上に銅または銅合金からなる配線材料膜を形成する工程;
銅系金属用研磨組成物を用いて前記配線材料膜を少なくとも前記埋込み用部材を除く前記絶縁膜上の前記銅拡散防止膜部分が露出するまで研磨する工程;および
コロイダルシリカからなる研磨砥粒およびこの研磨砥粒のゼータ電位をプラス側にシフトさせる量のpH調整剤を含む銅拡散防止膜用研磨組成物を用いて少なくとも前記埋込み用部材を除く前記絶縁膜上の前記銅拡散防止膜部分を研磨し、それによって前記埋込み用部材内に表面を除く周囲が前記銅拡散防止膜で覆われた配線層およびビアフィルから選ばれる少なくとも1つの導電部材を形成する工程;
を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。 - 前記銅拡散防止膜は、Ta,TaNおよびWNから選ばれる1層または2層以上から作られることを特徴とする請求項2記載の半導体装置の製造方法。
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