JP5093070B2 - 加速度センサ及びそれを用いた半導体装置 - Google Patents
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図1に示すように加速度センサ1は略直方体であり、半導体基板からなるセンサ本体2と、ガラスなどからなる支持基板3により構成されている。図では加速度センサの面内に直交する2軸(X軸とY軸)を設定し、この2軸に垂直な方向をZ軸と定めている。センサ本体2はSOI(Silicon On Insulator)基板110からなり、シリコン膜120、シリコン酸化膜130、シリコン基板140が順に積層して構成されている。略中央に重錘体(錘部142)が配置され、重錘体の周囲に開口を有する枠状のフレーム(フレーム部121およびフレーム部141)が位置し、重錘体とフレームとを連結する可撓性を有する梁(可撓部123)を有する構成である。なお、2対の梁で重錘体を支持した構造を例示しているが、可撓部は薄膜ダイアフラム状であってもよい。支持基板3はセンサ本体2を支持する台座としての機能と、重錘体の下方(Z軸負方向)への過剰な変位を規制するストッパ基板としての機能を併せもっている。センサ本体2をパッケージ基板(図示しない)へ直接実装する場合には、支持基板3を必ずしも必要としない。
図5は配線及び電極パッドのレイアウトを示す図面である。図面の見易さのため、配線部152の折返し部分は図示を省略している。図示したように各歪検出部R間、そして歪検出部Rと電極パッドPとを配線部152で接続し、後述するブリッジ回路を構成している。Vdは駆動用電極パッド、XG〜ZGはグラウンド用電極パッド、X+,X-,Y+,Y-,Z+,Z-はブリッジ回路の両辺の出力を測定する電極パッドである。実装基板(図示せず)側のICなどの素子と接続するための電極パッドPが配線部152に接続された状態でフレーム部121上に配置されている。電極パッドPは導電性材料からなり、例えば金属材料である。電極パッドPはワイヤボンディングなどの手段により外部素子との接続のために用いるため、保護層153が開孔されて表面が露出している。電極パッドPの表面は導電性を有するバリア導電層(図示せず)により保護することで表面劣化を防ぐ構成としてもよい。
Vxout/Vxin=
[Rx4/(Rx1+Rx4)−Rx3/(Rx2+Rx3)] ……式(1)
Vyout/Vyin=
[Ry4/(Ry1+Ry4)−Ry3/(Ry2+Ry3)] ……式(2)
Vzout/Vzin=
[Rz3/(Rz1+Rz3)−Rz4/(Rz2+Rz4)] ……式(3)
ブリッジ回路の各辺の配線抵抗、あるいは各検出軸間の配線抵抗がそれぞれバランスが取れていることが好ましい。本発明では、可撓部とフレーム部との接続箇所において配線部152を折返して跨ぐように引回すことでセンサの耐衝撃性を向上させ、そして配線を折返すことで配線長を調整し、配線抵抗のバラツキを抑えている。このようにブリッジ回路に関する配線の長さに着目して配線抵抗を調整することで、各配線の抵抗値を算出して設計することが可能である。
これに対して、従来のようにブリッジ接続に関する配線から分岐して延伸させた場合には、寄生抵抗により配線抵抗の計算が煩雑となり、全体の配線抵抗バランスをとるのが困難になる。また、可撓部の長手方向全体にわたって調整用電極が配置されているので、可撓部上でのバイメタル領域の面積が大きくなり、材料間の熱膨張係数差に起因したオフセット電圧を誘引してしまう。
(変形例1)
図7は配線部の変形例を説明する平面図および断面図である。配線部152は上記と略同様に第1の折返し部161と第2の折返し部162を含む折返し形状を有している。上記と異なるのは、図7(A)に示したように第1、第2の折返し部の間の配線部は、フレーム部121と可撓部123の境界線L上において幅広に構成されていることである。より具体的には、第1、第2の折返し部間の配線部の幅(w)が、複数の歪検出部の間を接続する配線部の幅(w0)よりも大きいことである。境界線L上にある配線部を幅を大きくすることにより、耐衝撃性をさらに向上させることができる。高い耐衝撃性を得るには、w≧2w0であることが好ましい。このような構成とすることにより、レイアウトの制限によって折返し数を増やせない場合であっても所望の耐衝撃性を得ることができる。図7(B)は図7(A)のD−D断面図である。図7(B)に示すようにフレーム部121と可撓部123の境界線Lは、可撓部123の付根位置を指している。
図8は配線部の別の変形例を説明する平面図および断面図である。配線部152は上記と略同様に第1の折返し部161と第2の折返し部162を含む折返し形状を有している。上記と異なるのは、図8(B)に示したように第1、第2の折返し部の間の配線部は、フレーム部121と可撓部123の境界線L上において厚膜に構成されていることである。図8(B)は図8(A)のE−E断面図である。
具体的には、第1、第2の折返し部間の配線部の厚さ(d)が、複数の歪検出部の間を接続する配線部の厚さ(d0)よりも大きいことである。境界線L上にある配線部を厚くすることにより、耐衝撃性をさらに向上させることができる。より高い耐衝撃性を得るには、d≧1.5d0であることが好ましい。一方、厚さが大きくなりすぎると可撓部の変位量を制限したり、また膜応力による剥離が生じる可能性があるため、d≦3d0であることが好ましい。このような構成とすることにより、レイアウトの制限によって折返し数を増やせない場合であっても所望の耐衝撃性を得ることができる。
(1)SOI基板の準備(図9(A)参照)
シリコン膜120、酸化シリコン膜130、シリコン基板140を積層してなるSOI基板110を用意する。上述したように、シリコン膜120はフレーム部121、錘接合部122、可撓部123を構成する層である。酸化シリコン膜130は、シリコン膜120とシリコン基板140とを接合する層であり、かつエッチングストッパ層として機能する層である。シリコン基板140はフレーム部141、錘部142を構成する層である。SOI基板110は、SIMOXないし、貼り合せ法等により作成される。SOI基板110は、シリコン膜120、シリコン酸化膜130、シリコン基板140の厚みがそれぞれ、5μm、2μm、600μmである。なお、外周が1〜2mm程度の加速度センサ1が直径150mm〜200mmのウエハに多面付けで複数個配置されている。
SOI基板110のシリコン膜120側に不純物拡散用のマスクを形成する(図示せず)。このマスク材としては、例えばシリコン窒化膜(Si3N4)やシリコン酸化膜(SiO2)、レジストなどを用いることができる。ここではシリコン酸化膜をシリコン膜120全面に熱酸化あるいはプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition:化学気相成長)法により成膜した後、シリコン窒化膜を成膜し、シリコン窒化膜上にレジストパターン(図示せず)を形成し、シリコン窒化膜、シリコン酸化膜に検出部Rに対応する開口をRIE(Reactive Ion Etching)及びフッ酸などのウエットエッチングにより形成する。拡散用マスクはシリコン膜120側からシリコン酸化膜、シリコン窒化膜の2層構造とした。シリコン窒化膜は後述する拡散剤の拡散防止用のために用いている。
なお、熱拡散法以外にイオン注入法によってピエゾ抵抗素子を形成してもよい。イオン注入法の場合には、レジストをマスクとして用いることができる。
シリコン膜120上に絶縁層150を形成する。例えば、シリコン膜120の表面を熱酸化することで、絶縁層をSiO2の層により形成できる。絶縁層はプラズマCVD法で形成してもよい。絶縁層150上にレジストをマスクとしたRIEによってコンタクトホール151を形成する。なお、コンタクトホール151の形成はシリコン基板140の加工後であってもよい。
フレーム部141の内枠に沿った開口を有するマスク(図示せず)を用いて、シリコン基板140をエッチングしてギャップ170を形成する。ギャップ170は、錘部142が下方(支持基板3側)へ変位するために必要な間隔であり、例えば、5〜10μmである。ギャップ170の値は、センサのダイナミックレンジに応じて適宜設定することができる。
次に、フレーム部141、錘部142に画定するためのマスク(図示せず)をシリコン基板140の下面に形成する。このマスクを用いてシリコン基板140をシリコン酸化膜130の下面が露出するまでエッチングを行なう。エッチングにはDRIE(Deep Reactive Ion Etching)を用いるのが好適である。
配線部152、電極パッドPを形成する。これらはAl,Al−Si合金,Al−Nd合金などの金属材料を蒸着法、スパッタ法などによって、例えば、0.1μm〜1.0μmの厚さに成膜し、それをパターニングすることで得られる。配線部の幅は適宜設定しうるが、例えば2μm〜5μm程度である。また、電極パッドの面積はセンサのサイズなどによって適宜設定しうる値をとるものとする。Cu,Auなどの金属材料を用いることもできるが、Cuを用いた場合には金属拡散の可能性があり、Auを用いた場合には製造コストが嵩んでしまう。製品の信頼性および製造コストの点でAl系の材料が好ましい。なお、配線部152と歪検出部Rとの間でオーミックコンタクトを形成するために、熱処理(380℃〜400℃)を施す。
シリコン膜120をシリコン酸化膜130の上面が露出するまでRIEによりエッチングして開口124を形成して、フレーム部121、錘接合部122、可撓部123を画定する。
エッチングストッパとして用いた部分の不要なシリコン酸化膜をRIEあるいはウェットエッチングにより除去する。これにより、シリコン酸化膜130は、フレーム部121とフレーム部141、錘接合部122と錘部142の間に存在している。
センサ本体2と支持基板3とを接合する。支持基板3は、Naイオンなどの可動イオンを含む、いわゆるパイレックス(登録商標)ガラスであって、SOI基板110との接合には陽極接合を用いる。なお、陽極接合時の静電引力により錘部142が支持基板3の上面にスティッキングするのを防ぐために、支持基板3の上面にスパッタ法によりCrなどのスティッキング防止膜(図示せず)を形成しておいてもよい。これによりセンサ本体2と支持基板3が接合され、加速度センサ1が構成される。
加速度センサ1をダイシングソー等でダイシングし、個々の加速度センサ1に個片化する。本明細書ではウエハに多面付け配置された「加速度センサ」と、個片化された「加速度センサ」とを特に区別せず加速度センサ1と呼んでいる。以上は本発明に係る加速度センサの製造方法の一例であって、適宜順序は変更可能であり、上記に限られない。
以下、加速度センサ1の応用例について説明する。加速度センサ1はチップ単体としても流通するが、ICなどの能動素子を搭載したパッケージ基板/回路基板と組み合わせて、電子部品として流通する。電子部品としての加速度センサ1は、ゲーム機やモバイル端末機(例えば、携帯電話、ノートPC、PDA)等の様々な用途で利用可能である。なお、加速度センサ1の電極パッドPとパッケージ基板/回路基板とは、ワイヤボンディング、フリップチップ等の方法によって電気的に接続される。
SOI基板(5μm/2μm/625μm)に1.5mm正方の加速度センサを多面付けで作製した。1.5mm×1.5mm内に可撓部の幅を80μm、可撓部の長さを300μm、配線幅を2μm、歪検出部Rx,Rzと電極パッドとを接続する配線部における折返し回数を4回、歪検出部Ryと電極パッドとを接続する配線部における折返し回数を8回とした加速度センサを得た。なお、折返し部はフレーム部と可撓部の境界線から50μm以内(可撓部の全長の1/4以内)となるように配置した。
配線部に折返し構造を有しない従来の加速度センサ(構成は実施例と略同様)について、上記と同様の衝撃試験を行った。衝撃試験を行った後の加速度センサを顕微鏡で観察し、可撓部の破損の有無を調べた。200個の加速度センサにつき試験を行ったところ、可撓部が破損した加速度センサの数は101個あった。
2:センサ本体
3:支持基板
110:SOI基板
120:シリコン膜
121:フレーム部
122:錘接合部
123:可撓部
124:開口
130:シリコン酸化膜
140:シリコン基板
141:フレーム部
142:錘部
150:絶縁層
151:コンタクトホール
152:配線部
153:保護層
161:第1の折返し部
162:第2の折返し部
170:ギャップ
200:処理回路
201:増幅器
202:フィルター回路
300:センサモジュール
301:信号処理チップ
302:メモリチップ
303:センサチップ
304:基板
305:ボンディングワイヤ
400:モバイル端末機
401:筐体
402:ディスプレイ
403:キーボード
L:境界線
R:歪検出部
Rx:X軸方向検出用歪検出部
Rx:Y軸方向検出用歪検出部
Rz:Z軸方向検出用歪検出部
P:電極パッド
Vd:入力用端子
X+,X-,Y+,Y-,Z+,Z-:出力用端子
XG,YG,ZG:グラウンド端子
Claims (4)
- 枠状のフレーム部と、
前記フレーム部の内側に位置する錘部と、
前記フレーム部と前記錘部とを接続する可撓部と、
前記可撓部及び前記フレーム部の両方またはいずれか一方に配置された複数の歪検出部
と、
前記フレーム部上に配置された複数の電極パッドと、
前記可撓部及び前記フレーム部上に配置され、前記歪検出部同士の間を接続する配線部及び前記歪検出部と前記電極パッドとの間を接続する配線部と、を備え、
前記歪検出部と前記電極パッドとの間を接続する配線部のいずれかは、第1の折返し部と第2の折返し部とを含む複数回の折返し形状を有し、
前記第1の折返し部は前記フレーム部上に位置し、
前記第2の折返し部は前記可撓部上に位置することを特徴とする加速度センサ。 - 前記第1の折り返し部と前記第2の折返し部との間の配線部は、前記フレーム部と前記可撓部とが接続される箇所において前記歪検出部同士の間を接続する配線部よりも幅が大きいことを特徴とする請求項1記載の加速度センサ。
- 前記第1の折り返し部と前記第2の折返し部との間の配線部は、前記フレーム部と前記可撓部とが接続される箇所において複数の前記歪検出部同士の間を接続する配線部よりも厚さが大きいことを特徴とする請求項1又は2に記載の加速度センサ。
- 加速度センサと、
前記加速度センサにより検出される加速度検出信号を処理する処理回路と、を少なくとも含み、
前記加速度センサは、
枠状のフレーム部と、
前記フレーム部の内側に位置する錘部と、
前記フレーム部と前記錘部とを接続する可撓部と、
前記可撓部及び前記フレーム部の両方またはいずれか一方に配置された複数の歪検出部と、
前記フレーム部上に配置された複数の電極パッドと、
前記可撓部及び前記フレーム部上に配置され、前記歪検出部同士の間を接続する配線部及び前記歪検出部と前記電極パッドとの間を接続する配線部と、を備え、
前記歪検出部と前記電極パッドの間を接続する配線部のいずれかは、第1の折返し部と第2の折返し部とを含む複数回の折返し形状を有し、
前記第1の折返し部は前記フレーム部上に位置し、
前記第2の折返し部は前記可撓部上に位置することを特徴とする半導体装置。
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