JP5092194B2 - アルミノフォスフェート類担持吸着素子及びその製造方法 - Google Patents

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本発明は、アルミノフォスフェート類担持吸着素子及びその製造方法に関するものである。特に吸着材への水の吸脱着を利用したヒートポンプ、蓄冷システム、および調湿空調装置に用いるアルミノフォスフェート担持吸着素子及びその製造方法に関するものである。
従来より、疎水ゼオライトを担体に担持して有機溶剤蒸気を含有する空気等の気体から有機溶剤蒸気を吸着する装置が知られている。例えば、ゼオライト(通常のゼオライト又はアルミノシリケート)と共に配合するバインダーとして有機エマルジョンバインダーを配合したスラリーを用いれば、スラリーのゼオライト含有量を高くできるためゼオライトの含浸工程の効率が高くなり、バインダー自体のゲル化がないため長期間に渡りスラリーの粘度を適正範囲に保つことができ、またバインダーの配合によるpHの変化がほとんどなくスラリーがゼオライトの保存に適したpHを維持できるため長期間に渡りゼオライトの結晶構造を維持できることが知られている(特許文献1参照)。しかしながら、該特許文献にはアルミノフォスフェート類の水系分散液については記載されていない。又、該特許文献では吸着素子として使用するに際し、高温での焼成によって有機バインダーは全て除去されており、有機バインダーでゼオライトを保持した吸着素子及びその吸着性能についての記載はない。また、吸着ヒートポンプにおいて、吸着材の固定に酢酸ビニル系エマルジョンを用いること(特許文献2参照)或いは、揮発性有機化合物等を効率よく吸着し、脱着も容易、かつ迅速に行い得て、しかも安価で施工性に優れた吸着材として、シリコーン樹脂とゼオライト粉末からなる吸着材を基板上にコーティングし焼き付け処理をおこなった吸着材料(特許文献3参照)が知られている。
一方、吸着材への水の吸脱着を利用した吸着ヒートポンプ、蓄冷熱システム、居住空間の調湿を行う方法、が提案されており、吸着材としてアルミノフォスフェート系のゼオライトを使用すれば、高温熱源と低温熱源の温度差が小さくても動作が可能であったり、吸着材が低温で再生できるため有利であることが知られている(特許文献4〜6参照)。
特開2002−95964号公報 特開平06−58644号公報 特開2001−321425号公報 特開2002−372332号公報 特開2004−132690号公報 特開2004−136269号公報
上記の通り、特許文献4〜6に記載のアルミノフォスフェート系のゼオライトは、低温再生が可能で実用上有利である。かかるゼオライトを吸着素子に適用するには、通常、充分な接着強度を得るため、有機バインダーで吸着材を保持した状態で使用に供する必要がある。我々の検討によれば、従来知られているアルミノシリケートと同様の方法でアルミノフォスフェート系のゼオライトを担体に担持をしようとして、例えば前記特許文献1あるいは2に記載の有機エマルジョンバインダーを用いた場合には、スラリーのゲル化が著しかったり、担持層と担体との接着性が悪かったり、耐熱性が不充分だったり、吸脱着の繰り返しに伴い、接着強度が低下したり、吸着容量が低下する問題を生じる場合があるこ
とが判明した。また、前記特許文献3の場合、水分散液ではなく、又、これを用いて得られる吸着素子は、シリコーン系樹脂等でゼオライトが被覆される割合が高くなるためか、実使用条件での吸脱着速度が大幅に低下する問題が生じることが判明した。
すなわち、本発明の目的は、分散安定性が良好で吸着素子等の製造に適した水系均一分散液(塗布液)を用いて製造される、耐熱性及び吸着特性に優れた吸着素子及びその製造方法を提供することである。
更に、担体と担持層との接着強度が高く、吸着素子の使用温度範囲(通常、100℃以下)で吸着量が大きく、或いは吸脱着速度が速く、吸脱着の繰り返しでの吸着特性の変化が少なく、耐久性に優れた吸着素子及びその製造方法を提供することにある。
本発明者等は、上記課題を解決するべく鋭意検討した結果、アルミノフォスフェート類の水系分散液を形成する有機バインダーとして、少なくとも特定のQ値(共鳴安定化の尺度)を有するビニル系モノマーを重合成分して含有する重合体を用いることにより上記目的を達成することを見出し、本発明に到達した
即ち、本発明の要旨は、少なくともアルミノフォスフェート類と有機バインダーとを水に分散してなる水系分散液を、担体に添着し乾燥する工程を含むアルミノフォスフェート類担持吸着素子の製造方法であって、有機バインダーが、少なくとも共鳴安定化の尺度であるQ値が0.03以上であるビニル系モノマーを重合成分として含む重合体であり、かつ、(メタ)アクリル樹脂、シリカ変性アクリル共重合樹脂、シリコーンアクリル共重合樹脂、ウレタンアクリル共重合樹脂、ウレタン変性アクリル樹脂及び(メタ)アクリル・スチレン共重合樹脂から選ばれる少なくとも1種であるアルミノフォスフェート類担持吸着素子の製造方法、に存する。
更に、他の要旨は、この方法によって製造されたことを特徴とするアルミノフォスフェート類担持吸着素子、に存する。
本発明のアルミノフォスフェート類水系分散液は、アルミノフォスフェート類の分散性が良好で保存によるアルミノフォスフェート類の沈降が少ない。又、これを用いて得られる吸着素子は、耐熱性に優れ、バインダーに起因するアルミノフォスフェート類の吸着特性の低下が少なく、良好な吸着量特性(吸着量)を有する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、これらの内容に特定されない。
<アルミノフォスフェート類>
本発明に用いられるアルミノフォスフェート類(以下、ALPO類と略することがある)は、IZA(International Zeolite Association)の定める結晶性アルミノフォスフェートである。
結晶性アルミノフォスフェートは、骨格構造を構成する原子がアルミニウム及びリンであり、その一部が他の原子で置換されていても良い。中でも、I)アルミニウムがヘテロ原子(Me1:但し、Me1は周期表第三または第四周期に属し、2A族、7A族、8族、1B族、2B族,、3B族(Alのぞく)の元素から選ばれる少なくとも一種類の元素を示す。)で一部置換されたMe−アルミノフォスフェート、II)リンがヘテロ原子(Me2:但し、Me2は周期表第三または第四周期に属する4B族元素)で置換されたM
e−アルミノフォスフェート、あるいは、III)アルミニウムとリンの両方がヘテロ原子
(それぞれMe1、Me2)で置換されたMe−アルミノフォスフェートが吸着特性の点から好ましい。
ここで、骨格構造を構成しているMe、Al及びPの構成割合(モル比)は、通常、下記式1−1〜3−1のモル比であり、好ましくは、下記式1−2〜3−2である。xが上記範囲より小さいと、吸着質の圧力が低い領域での吸着量が小さくなったり、合成が困難となる傾向があり、上記範囲より大きいと、合成時に不純物が混入しやすい傾向がある。又、y、zが上記範囲外であると、合成が困難である。
0≦x≦0.3 …1−1
(xは、Me、Al、Pの合計に対するMeのモル比を示す)
0.2≦y≦0.6 …2−1
(yは、Me、Al、Pの合計に対するAlのモル比を示す)
0.3≦z≦0.6 …3−1
(zは、Me、Al、Pの合計に対するPのモル比を示す)
0.01≦x≦0.3 …1−2
(xは、Me、Al、Pの合計に対するMeのモル比を示す)
0.3≦y≦0.5 …2−2
(yは、Me、Al、Pの合計に対するAlのモル比を示す)
0.4≦z≦0.5 …3−2
(zは、Me、Al、Pの合計に対するPのモル比を示す)
Meは、1種でも2種以上含まれていても良い。好ましいMe(Me1,Me2)は、周期表
第3、第4周期に属する元素である。Me1は2価の状態でイオン半径が3以上、0.8nm以下であるのが好ましく、更に好ましくは2価、4配位の状態でイオン半径が0.4以上、7nm以下である。上記の中でも、合成の容易さ、吸着特性の点から、Fe,Co,Mg,Znから選ばれる少なくとも一種類の元素であるのが好ましく、特にFeであるのが好ましい。Me2は、周期表第三または第四周期に属する4B族元素であり、好ましくはSiである。
又、本発明のアルミノフォスフェート類は、そのフレームワーク密度(FD)が、通常、13T/nm3以上20T/nm3以下、好ましくは、13.5T/nm3以上であり、更に好ましくは14T/nm3以上であり、一方、19T/nm3以下が好ましい。ここで、T/nm3は、単位体積nm3あたり存在するT原子(ゼオライトの1nm3当たりの酸素以外の骨格を構成する元素の数)を意味し、フレームワーク密度:FDを示す単位である。上記範囲未満では、構造が不安定となる傾向があり耐久性が低下する問題があり、一方、上記範囲を越えると吸着容量が小さくなり、吸着材としての使用に適さなくなる傾向がある。
又、本発明のアルミノフォスフェート類は、その構造としては、International Zeolite Association(IZA)が定めるコードで、AEI、AEL、AET、AFI、AFN、AFR、AFS、AFT、AFX、ATO、ATS、CHA、ERI、LEV、VFIが挙げられるが、中でも、吸着特性、耐久性の点から、AEI、AEL、 AFI、CHA、LEVから選ばれるいずれかであるのが好ましく、特にAFI、CHAが好ましい。
尚、ALPO類は1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。
<有機バインダー>
本発明の有機バインダーは、少なくともQ値が0.03以上であるビニル系モノマーを重合成分として含む重合体である。該有機バインダーは、後述する吸着素子において、ALPO類の担体への接着剤として機能するものである。
ここで、ビニルモノマーのQ値とは、共鳴安定化の尺度であり、J. Brandrupら, Polymer Handbook, Interscience(1974)にその数値が記載されている。
Q値が0.03以上のビニルモノマーとそのQ値を()を例示すると以下の通りである。スチレン(1),塩ビ(0.044),塩化ビニリデン(0.22),メタクリル酸メチル(0.74),アクリル酸メチル(0.42),メチルビニルケトン(0.69),アクリロニトリル(0.60),イソプレン(3.33),ブタジエン(2.39),アクリルアミド(0.23),ビニリデンアシド(20.13),メチルビニルスルフィド(0.32)。
Q値の上限は、通常21以下である。これらのなかでも特に、Q値が0.1以上10以下のものが好ましく、0.2以上1以下が特に好ましい。
本発明の有機バインダーは、Q値が上記の範囲のモノマーの単独重合体でも共重合体で合っても良い。かかる有機バインダーとしては、具体的には、例えば、(メタ)アクリル樹脂、(メタ)アクリル・スチレン共重合樹脂、スチレン・ブタジエン共重合樹脂、及びスチレン・アクリロニトリル共重合樹脂、から選択される1種又は2種以上が挙げられる。本発明では、このうち、特に、(メタ)アクリル樹脂、(メタ)アクリル・スチレン共重合樹脂、が用いられる。これらは、水分散液の安定性及びこれを用いて得られた吸着素子の耐熱性及び吸着特性が良好なため好ましい。
又、本発明の有機バインダーは、Q値が上記の範囲であるビニルモノマーとシリコーンの共重合体又はその変成体、あるいはQ値が上記の範囲であるビニルモノマーとウレタンモノマーの共重合体又はその変性体も好ましい。かかる有機バインダーとしては、シリカ変性アクリル共重合体、シリコーンアクリル共重合体等が挙げられる。
尚、Q値が上記範囲より小さいものとして、酢酸ビニル(0.026),エチレン(0.015),プロピレン(0.002)等が挙げられる。有機バインダーが、上記Q値を満足するビニルモノマーを(共)重合成分として含有しない場合、水水分散液の安定性が不良となり、取り扱い性に問題があり、又これを用いて得られた吸着素子は、ALPO類の本来の吸着特性を十分に発揮することができないこととなる。
上記の通り、有機バインダーは、担体へのALPO類の接着剤として機能するもので、少なくともQ値が上記本発明の範囲であるモノマーを含むモノマーを重合して得られる有機バインダーがALPO類の接着に有効である理由は充分には明らかではないが、1)樹脂が平均粒径0.1−1μmの粒子として存在するため、樹脂が完全に吸着材粒子を覆わず、吸着材が点接触で保持されるため水蒸気の移動を妨げない、2)水分散液として使用される場合の樹脂エマルジョンの表面とALPO類粒子表面の相互作用によってスラリーの分散性が良好に保たれる、等の要因によると推察される。
<アルミノフォスフェート類水系分散液>
本発明のアルミノフォスフェート類水系分散液は、少なくともアルミノフォスフェート類と有機バインダーとが水に分散されてなる水系分散液であって、有機バインダーが、少なくともQ値が0.03以上であるビニル系モノマーを重合成分として含む重合体である水系分散液である。
本発明の水系分散液のALPO類の含有量は、通常10〜60重量%であり、好ましくは20〜50重量%である。ALPO類の含有量が上記該範囲内にあるとALPO類を担体に効率よく含浸させることができる。本発明では、樹脂エマルジョンが接着材として機能するが、スラリー中のゼオライトの含有量を高くすることができるためゼオライトを効率よく含浸させることができる。
ALPO類の重量平均粒子径は、特に制限はないが、通常0.5〜15μmのものが用いられる。分散性を向上させるには、0.5〜10μmが好ましく、特に0.5〜8μmが好ましい。又、上記水系分散液は、必要により界面活性剤、沈降防止剤、粘度調節剤を
含有していてもよい。界面活性剤としては、アニオン性、カチオン性あるいはノニオン性の界面活性剤を使用することができる。但し、通常、有機バインダーをエマルジョンとして製造する場合の製造に由来して界面活性剤を含有する。
本発明の水系分散液は、有機バインダー(有機バインダーがエマルジョンの場合、固形分に換算)を、通常1〜20重量%、好ましくは3〜15重量%含む。有機バインダーの配合量が該範囲内にあるとALPO類の担体に対する固着性や含浸性が良好なため好ましい。
又、ALPO類に対する有機バインダーの割合は、通常、1〜100重量%、好ましくは、5〜20重量%である。少なすぎると、接着強度が不十分であり、多すぎると吸着量が減少する傾向がある。
本発明の水系分散液は、pHが通常4〜8、好ましくは5〜7である。pHが該範囲内にあるとALPO類の結晶構造が崩壊せず、長期間に渡ってゼオライト担持用スラリーとしての品質を保持できるため好ましい。
<吸着素子>
本発明の吸着素子は、担体上に、ALPO類と有機バインダーとを有するアルミノフォスフェート類担持吸着素子であって、有機バインダーが、少なくともQ値が0.03以上であるビニル系モノマーを重合成分として含有する重合体であるものである。
ALPO類を担持する担体の形状としては、平板状、フィン状、あるいはハニカム状等が用いられる。担体の材質は、平板、フィン状では例えば、アルミニウム、銅、ステンレス鋼等の金属が挙げられ、ハニカムでは金属の他に、例えばセラミックペーパー等が使用される。ALPO類は、有機バインダーを接着剤として担体に担持される。担体に対するALPO類の担持量は、特に限定されないが、通常、1mg/cm2以上、50mg/c
2以下程度である。
<吸着素子の製造>
上記本発明の吸着素子の製造方法は、製造される素子が上記構成を満足する限り特に限定されないが、上記本発明の水系分散液を担体に塗布するか、担体を上記水系分散液に浸漬する等の手法により添着した後、乾燥することにより製造される。乾燥の条件としては特に限定されないが、乾燥温度としては、通常50〜140℃、好ましくは90〜140℃であり、乾燥時間としては、通常5分〜100時間、好ましくは10分〜120分である。雰囲気は特に限定されないが、通常、大気中あるいは乾燥空気、不活性雰囲気あるいは減圧下であり、大気圧下で行う場合は、気体を流通あるいは循環させるのが好ましい。乾燥条件が上記範囲内にあると有機物が燃焼せず乾燥効率が向上するため好ましい。
本発明の吸着素子は、吸着ヒートポンプやデシカント空調装置等の吸着素子として利用可能である。
以下に実施例及び比較例を挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
<実施例および比較例で使用したアルミノフォスフェート類>
ALPO−A:
特開2004−136269号公報、実施例1に従い、鉄アルミノフォスフェート(FAPO)を合成した。
水38.4gと85%リン酸17.6gの混合物に、擬ベーマイト(25%水含有、コンデア製)9.5gをゆっくりと加えて攪拌した。これを3時間攪拌し、これに硫酸第一鉄7水和物6.78gを水36.6gに溶かした水溶液を加え、さらにトリエチルアミン
10.8gを混合して3時間攪拌し、以下の組成を有する出発反応物を得た。
0.32FeSO4:0.92Al23:P25:1.4トリエチルアミン:60H2
上記の出発反応物をテフロン(登録商標)製内筒の入った200ccのステンレス製オートクレーブに仕込み、静置状態で200℃で12時間反応させた。反応後冷却して、デカンテーションにより上澄みを除いて、沈殿物を回収した。その沈殿物を水で3回洗浄した後濾別し、120℃で乾燥したのち、乾式で平均粒径3μmまで粉砕した。こうして得られたテンプレートが含まれたサンプル3gを採取し、縦型の石英焼成管に入れ、200ml/分の空気気流下、1℃/分で550℃まで昇温し、そのまま550℃で6時間焼成を行った。こうして得られた結晶性鉄アルミノフォスフェートのXRDを測定したところ、AFI型のいわゆるFAPO−5であった。また、塩酸水溶液で加熱溶解させ、ICP分析により元素分析を行ったところ、骨格構造のアルミニウムとリンと鉄の合計に対する各成分の構成割合(モル比)は、鉄が4.0%、アルミニウムが46.7%、リンが49.3%であった。
ALPO−B:
特開2003−183020号公報、実施例2に従い、シリコアルミノフォスフェート(SAPO)を合成した。
水180gに85%リン酸87.1gを加え、これに擬ベーマイト(25%水含有、コンデア製)57.2gをゆっくりと加え、3時間攪拌した。これをA液とした。A液とは別にfumedシリカ(アエロジル200)5.04g、モルホリン36.6g、水240gを混合した液を調製した。これをA液にゆっくりと加えた。さらにトリエチルアミン47.0gを加え、これを3時間攪拌し、以下の組成を有する水性ゲルを得た。
0.2SiO2:Al23:0.9P25:1モルホリン:1.1トリエチルアミン:60H2
こうして得られた混合物をフッ素樹脂内筒の入った1lのステンレス製オートクレーブに仕込み、100rpmで攪拌しながら190℃で60時間反応させた。反応後冷却して、デカンテーションにより上澄みを除いて沈殿物を回収した。沈殿物を水で3回洗浄した後濾別し、120℃で乾燥した。こうして得られたゼオライトのXRDを測定したところ、CHA構造であった。その後、平均粒径7μmまで乾式で粉砕し、焼成温度を560℃とした以外は実施例1と同様に空気気流下焼成を行いテンプレートを除去した。ゼオライトを塩酸水溶液で加熱溶解させ、ICP分析により元素分析を行った。その結果、ケイ素とアルミニウムとリンの合計に対する各成分の構成割合(モル比)は、ケイ素が7.9%、アルミニウムが48.7%、リンが43.3%であった。
<実施例及び比較例で使用した有機バインダーエマルジョン>
有機エマルジョンA:商品名リカボンドES−52(中央理化工業社製、アクリル共重合体 固形分43wt%)
有機エマルジョンB:商品名リカボンドES−232(中央理化工業社製、アクリル・スチレン共重合体 固形分51wt%)
有機エマルジョンC:商品名リカボンドET−19(中央理化工業社製、シリカ変性アクリル共重合体 固形分38wt%)
有機エマルジョンD:商品名リカボンドES−106(中央理化工業社製、シリコーンアクリル共重合体 固形分51wt%)
有機エマルジョンE:商品名リカボンドFK−480N(中央理化工業社製、アクリル・スチレン共重合体 固形分40wt%)
有機エマルジョンF:商品名リカボンドET−19N(中央理化工業社製、シリカ変性アクリル共重合体 固形分39wt%)
有機エマルジョンG:商品名木工ボンド速乾(コニシ社製、酢酸ビニル樹脂 固形分55wt%)
有機エマルジョンH:商品名リカボンドBE−800HQ(中央理化工業社製、エチレン酢酸ビニル共重合体 固形分55wt%)
なお、上記においてビニルモノマーのQ値は以下の通りである:
スチレン(1),アクリル酸メチル(0.42),アクリロニトリル(0.60),ブタジエン(2.39),酢酸ビニル(0.026),エチレン(0.015)
(実施例1)
アルミプレート上にアルミノフォスフェート類であるALPO−Aを担持した吸着素子を、次のように作製した。
水75.9部に有機バインダーとして有機エマルジョンA:商品名リカボンドES−52(中央理化工業社製、アクリル共重合体 固形分43wt%)を11.6部加えて攪拌した。ついで平均粒径3ミクロンであるALPO−Aを50部加えた。攪拌することによりアルミノフォスフェート類水系分散液(スラリー)を得た。ALPOと有機バインダーの固形分との合計は、40重量%である。またALPOと有機バインダーの固形分重量比は10:1である。このスラリーを15時間静置したが、スラリーは沈降することなく均一状態を維持した。
次にアルミプレート上にスラリーを塗布し、40℃で水分除去した後、120℃で30分の乾燥処理を行い、吸着素子を得た。
ALPO−Aの担持量は8mg/cm2である。
吸着量の測定は次のように行った。
吸着工程:90℃で47.4kPaの水蒸気と吸着素子を40秒間接触させ、水蒸気を吸着させた。
脱着工程:90℃で40秒間、水蒸気圧を0.9kPaとし、吸着素子から水蒸気を脱着させた。
吸着工程−脱着工程のサイクルを100回繰り返した場合の、一回当たりのALPO類1gあたりの平均水蒸気吸着量(g)を吸着量とした。
吸脱着繰り返し後も、プレートからのALPO剥離は観察されず、耐熱性は良好であった。。すなわち90℃でも接着層の軟化はみられなかった。又、スラリー安定性及び吸着量の結果を表1に示す。
(実施例2〜4)
有機バインダーとして有機エマルジョンAに代えて有機エマルジョンB,C,Dを用いた以外は実施例1と同様にして、アルミノフォスフェート類水系分散液を得た。固形分濃度は実施例1と同じである。結果を表1に示す。いずれもスラリー安定性、吸着量、耐熱性ともに良好であった。
(実施例5〜6)
有機バインダーとして有機エマルジョンAに代えて有機エマルジョンE、Fおよびアルミノフォスフェート類としてALPO−Aに代えてALPO−Bを用いた以外は実施例1と同様にして、アルミノフォスフェート類水系分散液を得た。固形分濃度は実施例1と同じである。結果を表1に示す。いずれもスラリー安定性、吸着量、耐熱性ともに良好であった。
(比較例1)
有機バインダーを使用しないこと以外は、実施例1に準じて吸着素子を作製した。結果を表1に示す。ほとんどのALPOがアルミプレートから剥離した。
(比較例2〜3)
有機バインダーとして有機エマルジョンAに代えて有機エマルジョンG、Hを用いた以外は実施例1と同様にして、アルミノフォスフェート類水系分散液を得た。固形分濃度は実施例1と同じである。結果を表1に示す。公知の酢酸ビニル系エマルジョンをはじめとする、本発明の以外の有機バインダーエマルジョンを用いた場合、ALPO類のスラリーは沈降性が高くハンドリング不良で、吸着素子とした場合、耐熱性が劣り、吸着水分量も低下した。
(比較例4)
アルミノフォスフェート類としてALPO−Aに代えてALPO−Bを用いた以外は比較例1と同様にして、有機バインダーを使用しないアルミノフォスフェート類水系分散液を得、実施例1に準じて吸着素子を作製した。評価結果を表1に示す。ほとんどのALPOがアルミプレートから剥離した。
Figure 0005092194
注)
*1 ○:Q値が0.03以上の成分を含む、×:Q値が0.03以上の成分を含まない。
*2 スラリー安定性は、水系分散液を調合し15時間後に沈降度合いを目視観察した。○:沈降なし、×:沈降あり。
*3 耐熱性は、90℃での接着層の軟化状態を観察した。○:軟化なし、×:軟化あり。

Claims (10)

  1. 少なくともアルミノフォスフェート類と有機バインダーとを水に分散してなる水系分散液を、担体に添着し乾燥する工程を含むアルミノフォスフェート類担持吸着素子の製造方法であって、
    有機バインダーが、少なくとも共鳴安定化の尺度であるQ値が0.03以上であるビニル系モノマーを重合成分として含む重合体であり、かつ、(メタ)アクリル樹脂、シリカ変性アクリル共重合樹脂、シリコーンアクリル共重合樹脂、ウレタンアクリル共重合樹脂、ウレタン変性アクリル樹脂及び(メタ)アクリル・スチレン共重合樹脂から選ばれる少なくとも1種であるアルミノフォスフェート類担持吸着素子の製造方法。
  2. 前記有機バインダーが、シリカ変性アクリル共重合樹脂及びシリコーンアクリル共重合樹脂から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1記載のアルミノフォスフェート類担持吸着素子の製造方法。
  3. 前記有機バインダーがエマルジョンであることを特徴とする請求項1又は2に記載のアルミノフォスフェート類担持吸着素子の製造方法。
  4. 乾燥温度が50℃以上140℃以下である請求項1ないし3のいずれか1項に記載のアルミノフォスフェート類担持吸着素子の製造方法。
  5. 前記吸着素子が、吸着材への水の吸脱着を利用したヒートポンプ、蓄冷熱システム及び調湿空調装置の少なくとも1つに用いるアルミノフォスフェート担持吸着素子であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のアルミノフォスフェート類担持吸着素子の製造方法。
  6. 前記担体が、金属又はセラミックペーパーであることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載のアルミノフォスフェート類担持吸着素子の製造方法。
  7. 前記水系分散液中のアルミノフォスフェート類の含有量が10〜60重量%であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載のアルミノフォスフェート類担持吸着素子の製造方法。
  8. 前記アルミノフォスフェート類は、フレームワーク密度(FD)が14T/nm以上20T/nm以下(ここで、T/nmは、単位体積nmあたり存在するT原子(ゼオライトの1nm当たりの酸素以外の骨格を構成する元素の数)を意味する。)であることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載のアルミノフォスフェート類担持吸着素子の製造方法。
  9. 前記アルミノフォスフェート類の構造が、AFI又はCHAであることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載のアルミノフォスフェート類担持吸着素子の製造方法。
  10. 請求項1ないし9のいずれか1項に記載のアルミノフォスフェート類担持吸着素子の製造方法によって製造されたことを特徴とするアルミノフォスフェート類担持吸着素子。
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