JP7300173B2 - 酸化ケイ素を基質としたプルシアンブルー誘導体含有複合体、該複合体を用いるアンモニア吸着・脱離方法、およびアンモニア回収装置 - Google Patents

酸化ケイ素を基質としたプルシアンブルー誘導体含有複合体、該複合体を用いるアンモニア吸着・脱離方法、およびアンモニア回収装置 Download PDF

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Description

本発明は、アンモニアを吸着するプルシアンブルー誘導体粉末の固定化技術、および固定化ブルシアンブルー誘導体を用いるアンモニアの吸着、脱離、回収に関する。
目的とする物質を吸着、除去するための吸着剤は、産業界において幅広く使用される重要技術である。様々な物質のうち、工業、農業、環境分野において、アンモニア(NH3)の回収は重要な技術であり、多様な吸着剤が用いられている。
例えば、活性炭(特許文献1)、モレキュラーシーブ、ゼオライト(特許文献2)、Amberlyatとも呼ばれるスルホン酸を有する高分子等(非特許文献1)の材料等が使用されているが、それらの吸着容量は比較的低く、効率がよくない。
一方、プルシアンブルー(PB)の誘導体は、アンモニアの吸着容量が非常に大きく、吸着効率が良いことが知られている(非特許文献2)。また、PB誘導体をアルミナ、チタニア、ジルコニア、活性白土や高分子と混合したもの(特許文献3、4)、バインダーを用いて造粒化したPB誘導体の応用例(特許文献5)が報告されているが、PB誘導体をアルミナ、チタニア、ジルコニア、活性炭に混合したものでは、均一性、PB誘導体の固定化、造粒性に問題があり、バインダーを用いて造粒化したPB誘導体は、有機系のバインダーを用いているため、耐熱性に問題がある。
熱源を有する工業においては、プラント・装置や、プロセスする気体や液体が高温となっているため、高い耐熱性と、高温におけるアンモニア吸着能があるPB誘導体(非特許文献3)は、有用なアンモニア吸着材として期待されるが、PB誘導体は、作製時にナノレベルの超微粒子として得られるため、それに気体や液体の流体を流すと透過性が悪く、圧力が急激に上がり、実用化において課題があった。
特開2016-160170号公報 特開2000-317246号公報 特許第6345774号公報 特許第5858473号公報 特開2019-17796号公報
J. Helminen et al., J. Chem. Eng. Data (2001) 46 (2) p.391 A. Takahashi et al., J. Am. Chem. Soc. (2016) 138 p.6376 Y. Jiang et al., Chem. Comm. (2018) 54 p.11961
本発明は、高温条件において、気体中や液体中からアンモニア(NH3)を吸着・脱離させるため、アンモニアガスを含む高温条件に耐え、かつ接触する気体や液体がスムーズに流れることを可能にする、酸化ケイ素を基質としたプルシアンブルー誘導体含有複合体、および該複合体を用いるアンモニアの吸着方法、吸着したアンモニアの脱離方法、アンモニアの回収方法、およびアンモニア回収装置を提供することをその課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、高い耐熱性があり、かつ流体が容易に流れることができて、均一で作製が簡便なプルシアンブルー(PB)誘導体の造粒化に成功した。造粒化の基質に用いるのは、テトラアルコキシシランを出発原料として作製されるアモルファス状の酸化ケイ素(ガラス部材)であり、それは、安価で加工性に富み粒状化しやすく、高い耐熱性を示すガラス部材であり、実用化において有利である。本発明者らは、このガラス部材をバインダーとしてPB誘導体との共存下、原子分子レベルからガラス構造を構築することにより、均一で安定した酸化ケイ素を基質としたプルシアンブルー誘導体含有複合体の開発に成功した。
本発明は、以下(1)、(2)のプルシアンブルー誘導体含有複合体に係るものである。
(1)酸化ケイ素を基質としてプルシアンブルー誘導体を含む、アンモニアの吸着と脱離のためのプルシアンブルー誘導体含有複合体であって、
前記基質である酸化ケイ素が、下記一般式(I)で表されるテトラアルコキシシランを出発原料として作製されるアモルファス状の酸化ケイ素であり、
一般式(I) (RO)4Si (Rは、アルキル基)
前記プルシアンブルー誘導体が、下記一般式(II)で表され、
一般式(II) AXM[M’(CN)6]y・Z2
ここで、金属原子Mは、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、ルテニウム、コバルト、ロジウム、ニッケル、パラジウム、白金、銅、銀、亜鉛、ランタン、ユーロピウム、ガドリニウム、ルテチウム、バリウム、ストロンチウム、及びカルシウムからなる群より選ばれる一種または二種以上の金属原子であり、金属原子M’は、バナジウム、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、ルテニウム、コバルト、ニッケル、白金、及び銅からなる群より選ばれる一種または二種以上の金属原子であり、Aは水素、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、カルシウム、マグネシウム、バリウムからなる群より選ばれる一種または二種以上の陽イオンであり、
xは0~3、yは0.1~1.5、zは0~6の数値を表す。
前記プルシアンブルー誘導体含有複合体は、アンモニアの動的分子径よりも大きな内部空間を有し、プルシアンブルー誘導体が表面と内部に保持されていること特徴とする、プルシアンブルー誘導体含有複合体。
(2)平均直径が1μm~10cmであり、アンモニアを吸着させた後アンモニアを脱離させることができ、再利用によるアンモニアの吸着・脱離を3回以上行える、請求項1に記載のプルシアンブルー誘導体含有複合体。
また、本発明は、以下(3)~(6)のアンモニアの吸着方法、脱離方法、または回収方法に係るものである。
(3)上記(1)または(2)に記載のプルシアンブルー誘導体含有複合体を、アンモニアを含む気体、液体、もしくはそれらの混合物に接触させ、アンモニアを吸着させるアンモニアの吸着方法。
(4)圧力が1~500気圧、温度が0℃以上、および相対湿度が100%以下の条件下でアンモニアを吸着させる、上記(3)に記載のアンモニアの吸着方法。
(5)上記(1)または(2)に記載のプルシアンブルー誘導体含有複合体を、アンモニアを含む気体、もしくは液体、もしくはそれらの混合物に接触させ、アンモニアを吸着させた後、アンモニアを吸着させた圧力より圧力低下を行う処理、アンモニアを吸着させた温度より温度上昇を行う処理、アンモニアを吸着させた相対湿度より湿度を下げて除湿条件下にさらす湿度変化の処理、およびアンモニアを吸着させた相対湿度より湿度を上げ、加湿条件下にさらす湿度変化の処理、からなる群から選択される少なくとも1種の処理を行う、アンモニアの脱離方法。
(6)上記(5)に記載のアンモニアの脱離方法によりアンモニアを回収する、アンモニアの回収方法。
また、本発明は、以下(7)、(8)のアンモニアの回収装置に係るものである。
(7)上記(1)または(2)に記載のプルシアンブルー誘導体含有複合体に、アンモニアを吸着させるアンモニア吸着工程と、アンモニアを脱離させるアンモニア脱離工程を行うアンモニアの回収装置であって、
前記アンモニア脱離工程が、減圧条件下にする圧力低下の処理工程、加熱する温度上昇の処理工程、除湿条件下にする湿度変化の処理工程、および加湿条件下にする湿度変化の処理工程からなる群から選択される少なくとも1種の処理工程である、アンモニアの回収装置。
(8)前記アンモニア脱離工程の後に、気体状のアンモニアをボンベもしくはタンクに回収する工程、液化アンモニアをボンベもしくはタンクに回収する工程、またはアンモニウムイオンを含む溶液、水溶液、もしくは無機物の塩個体として回収する工程からなる群から選択される少なくとも1種の回収工程を行う、上記(7)に記載のアンモニアの回収装置。
さらに、本発明は、以下(9)のプルシアンブルー誘導体含有複合体の製造方法に係るものである。
(9)溶媒である水とアルコール、テトラアルコキシシラン、塩酸、及びプルシアンブルー誘導体とを混合攪拌した後、溶媒である水とアルコールを留出させることを特徴とする、上記(1)に記載のプルシアンブルー誘導体含有複合体の製造方法。
さらに、本発明は、以下のプルシアンブルー誘導体含有複合体、アンモニアの吸着方法、アンモニアの脱離方法、アンモニアの回収方法、アンモニアの回収装置、プルシアンブルー誘導体含有複合体の製造方法に係るものである。
(10)酸化ケイ素を基質としてプルシアンブルー誘導体を含む、アンモニアの吸着と脱離のためのプルシアンブルー誘導体含有複合体であって、
前記基質である酸化ケイ素が、アモルファス状の酸化ケイ素であり、
前記プルシアンブルー誘導体が、下記一般式(2)で表され、
一般式(2) AxM[M’(CN) 6 ]y・zH 2
ここで、金属原子Mは、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、ルテニウム、コバルト、ロジウム、ニッケル、パラジウム、白金、銅、銀、亜鉛、ランタン、ユーロピウム、ガドリニウム、ルテチウム、バリウム、ストロンチウム、及びカルシウムからなる群より選ばれる一種または二種以上の金属原子であり、金属原子M’は、バナジウム、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、ルテニウム、コバルト、ニッケル、白金、及び銅からなる群より選ばれる一種または二種以上の金属原子であり、Aは水素、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、カルシウム、マグネシウム、バリウムからなる群より選ばれる一種または二種以上の陽イオンであり、
xは0~3、yは0.1~1.5、zは0~6の数値を表す。
前記プルシアンブルー誘導体含有複合体は、前記基質を有し、(-Si-O-Si-O-)の1次元、2次元、3次元のネットワークを有するガラス部材であり、アンモニアの動的分子径よりも大きな内部空間を有し、プルシアンブルー誘導体が前記ガラス部材の表面と内部に保持されていることを特徴とする、プルシアンブルー誘導体含有複合体。
(11)平均直径が1μm~10cmであり、アンモニアを吸着させた後アンモニアを脱離させることができ、再利用によるアンモニアの吸着・脱離を3回以上行うことのできる、前記(10)に記載のプルシアンブルー誘導体含有複合体。
(12)前記(10)または(11)に記載のプルシアンブルー誘導体含有複合体を、アンモニアを含む気体、液体、もしくはそれらの混合物に接触させ、アンモニアを吸着させるアンモニアの吸着方法。
(13)圧力が1~500気圧、温度が0℃以上、および相対湿度が100%以下の条件下でアンモニアを吸着させる、前記(12)に記載のアンモニアの吸着方法。
(14)前記(10)または(11)に記載のプルシアンブルー誘導体含有複合体を、アンモニアを含む気体、液体、もしくはそれらの混合物に接触させてアンモニアを吸着させた後、アンモニアを吸着させた圧力より圧力低下を行う処理、アンモニアを吸着させた温度より温度上昇を行う処理、アンモニアを吸着させた相対湿度より湿度を下げて除湿条件下にさらす湿度変化の処理、およびアンモニアを吸着させた相対湿度より湿度を上げ、加湿条件下にさらす湿度変化の処理、からなる群から選択される少なくとも1種の処理を行う、アンモニアの脱離方法。
(15)前記(14)に記載のアンモニアの脱離方法によりアンモニアを回収する、アンモニアの回収方法。
(16)前記(10)または(11)に記載のプルシアンブルー誘導体含有複合体に、アンモニアを吸着させるアンモニア吸着工程と、アンモニアを脱離させるアンモニア脱離工程を行うアンモニアの回収装置であって、前記アンモニア脱離工程が、減圧条件下にする圧力低下の処理工程、加熱する温度上昇の処理工程、除湿条件下にする湿度変化の処理工程、および加湿条件下にする湿度変化の処理工程からなる群から選択される少なくとも1種の処理工程である、アンモニアの回収装置。
(17)前記アンモニア脱離工程の後に、気体状のアンモニアをボンベもしくはタンクに回収する工程、液化アンモニアをボンベもしくはタンクに回収する工程、またはアンモニウムイオンを含む溶液、水溶液、もしくは無機物の塩個体として回収する工程からなる群から選択される少なくとも1種の回収工程を行う、前記(16)に記載のアンモニアの回収装置。
(18)溶媒である水とアルコール、下記一般式(1)で表されるテトラアルコキシシラン、塩酸、及びプルシアンブルー誘導体とを混合攪拌した後、溶媒である水とアルコールを留出させることを特徴とする、上記請求項1に記載のアモルファス状の酸化ケイ素基質としたプルシアンブルー誘導体含有複合体の製造方法。
一般式(1) (RO) 4 Si (Rは、アルキル基)
本発明のプルシアンブルー誘導体含有複合体は、アンモニアの動的分子径よりも大きな内部空間を有し、プルシアンブルー誘導体が表面と内部に保持されているため、プルシアンブルー誘導体とアンモニアの接触面積が広く、それだけアンモニアの吸着容量が大きいため、吸着効率が高い。本発明のプルシアンブルー誘導体含有複合体は、高い耐熱性を示すガラス部材を使用した均一で作製が簡便な造粒物であり、パウダー状のプルシアンブルー誘導体に比べ、高温条件下でも気体や液体が容易に流れる造粒体であり、反応効率が高い。
また、本発明のプルシアンブルー誘導体含有複合体にアンモニアを吸着させた後、アンモニアを吸着させた圧力より圧力低下を行う処理、アンモニアを吸着させた温度より温度上昇を行う処理、アンモニアを吸着させた相対湿度より湿度を下げて除湿条件下にさらす湿度変化の処理、またはアンモニアを吸着させた相対湿度より湿度を上げ、加湿条件下にさらす湿度変化の処理、という、吸着させた条件の一つを変化させることにより、アンモニアを簡単に脱離することができる。そして、アンモニアを脱離したものは、3回以上アンモニアの吸着、脱離方法のために再利用することができるので、経済効率も良い。
さらに、本発明のプルシアンブルー誘導体含有複合体は、テトラアルコキシシランを出発原料として塩酸を加えて作製されるアモルファス状の酸化ケイ素基質に、プルシアンブルー誘導体と混合溶媒を添加してから留分するという簡便な製造方法により作製できるという利点がある。
本発明の実施例3で作製したプルシアンブルー誘導体含有複合体を用い、アンモニア吸着量(mmol/g)を、ガス吸脱着装置における圧力変化(0~100kPa)条件、および温度変化(25℃(△)、150℃(○)、300℃(●))条件により測定した結果を示す。
本発明に用いられるプルシアンブルー誘導体(以下、「PB誘導体」ということがある。)は、一般式(2)AXM[M’(CN)6]y・Z2Oで表され、金属原子Mは、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、ルテニウム、コバルト、ロジウム、ニッケル、パラジウム、白金、銅、銀、亜鉛、ランタン、ユーロピウム、ガドリニウム、ルテチウム、バリウム、ストロンチウム、及びカルシウムからなる群より選ばれる一種または二種以上の金属原子であり、金属原子M’は、バナジウム、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、ルテニウム、コバルト、ニッケル、白金、及び銅からなる群より選ばれる一種または二種以上の金属原子であり、Aは水素、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、カルシウム、マグネシウム、バリウムからなる群より選ばれる一種または二種以上の陽イオンであり、xは0~3、yは0.1~1.5、zは0~6の数値を表す。
PB誘導体は、金属イオン(カチオン)と、配位子の一種であるそれらの金属イオンを架橋するシアノ基(アニオン)からなリ、構造的にヘキサシアノ金属イオンを有する金属シアノ錯体と呼ばれる一連の化合物であって、その内部に対象ガスを取り込むことができるナノ空隙構造を有する。このナノ空隙構造の大きさは約0.5nmであり、それらが規則的に組み上がっているため、非常に大きな表面積を有し、原理的に非常に多くの臭気ガスを、効率よく脱臭できる格別の効果があり、対象ガスの内、特にアンモニアが効率よく取り込まれることが知られている。金属イオンM、M’には制限はないが、原子番号3から83までの金属から適切に選ばれ、金属イオンM、M’の組み合わせにより、アンモニアの吸着容量、吸着速度、選択性の能力、性能を変化、制御させ、アンモニアの吸着を行うことができる。例えば、M=Fe3+、M’=Fe2+や、M=Cu2+、M’=Fe2+や、M=Co2+、M’=Co3+が、その組み合わせの1つである。
Mがインジウム(III)、M’が鉄(II)や、Mがコバルト(III)、M’がコバルト(II)のPB誘導体の場合、アンモニアを低濃度から高濃度まで定量的、安定的に吸着できるため、吸着と脱離のための誘導体として好ましい。特にM’においては、鉄、コバルトがシアン化物の安定性の視点から好ましい。なお、PB誘導体にはシアノ基が存在するため、条件によっては、毒性の高いシアンガスの発生する懸念があり、応用、使用には細心の注意が必要である。
本発明の酸化ケイ素を基質とするPB誘導体含有複合体は、基質として、一般式(1) (RO)4Si (Rは、アルキル基)で表されるテトラアルコキシシランを出発原料として作製される酸化ケイ素を用いる。例えば、テトラエトキシシラン(tetraethoxysilane)は、オルトケイ酸テトラエチル(tetraethyl orthosilicate、以下、「TEOS」という。)とも呼ばれ、均一性やガラス部材の内部までアンモニア吸着に使用できる観点から、TEOSを原料として作製することが好ましい。TEOSは、Siを中心とする4角錐の原子分子レベルの酸化ケイ素を構築し、安定なアモスファス状のガラス部材を構築する。本発明のガラス部材の中には細かい内部空間を有し、アンモニアの動的分子径0.26nmよりも大きな内部空隙が多数形成されるので、内部までアンモニアを誘導するルートができて、アンモニアの効率的な吸着に用いることが可能となる。
本発明に用いられる酸化ケイ素を基質とするPB誘導体含有複合体は、ガラスの基本骨格である酸化ケイ素(-Si-O-Si-O-)の1次元、2次元、3次元のネットワークを有するガラス部材であり、その表面と内部にPB誘導体が混合されたPB誘導体含有複合体である。
本発明のPB誘導体含有複合体は、テトラアルコキシシランを出発原料として作製されるアモルファス状の酸化ケイ素の基質の表面と内部にPB誘導体が混合されているが、本発明の作製により、基質である酸化ケイ素の構造体中に、アンモニアの動的分子径0.26nmよりも大きな内部空間が、自然に、自律的に、多数形成されており、内部までアンモニアを誘導するルートが形成され、アンモニア吸着の効率を上げる格別な効果を有する。そのため、本発明の作製において、テトラアルコキシシランを出発原料としPB誘導体含有複合体を作製することが好ましい。さらに、含有されているPB誘導体自体、その結晶構造からアンモニアの動的分子径0.26nmよりも大きなPB誘導体の結晶空間を有するため、アンモニア吸着の効率がさらに増大する格別な効果を有する。その他、元々PB誘導体が混合された酸化ケイ素(-Si-O-Si-O-)の1次元、2次元、3次元のネットワークを有するガラス塊を、粉砕機やボールミル等によりナノレベルまで細かく粉砕し、得られた細かい粉を昇温加熱し、必要な場合圧縮することで、アンモニアの動的分子径0.26nmよりも大きな内部空間を有するPB誘導体含有複合体を作製することもできる。
テトラアルコキシシランの一種であるTEOSを原料に用いて基質となる酸化ケイ素を作製すると、その酸化ケイ素はアンモニアの動的分子径よりも大きな内部空間を有し、アンモニアの吸着と脱離を行うための部分が表面と内部に保持されガラス部材の表面積を上げ、内部までアンモニア分子が侵入できるルートが形成され、利用可能なガラス部材とすることができ、加えて、さらに酸化ケイ素を基質とする表面と内部空間にPB誘導体が存在する効果により、高温、例えば150℃におけるアンモニアの吸着容量を飛躍的に増大できる。
TEOSを出発原料とし、本発明の基質である酸化ケイ素を作製する方法には、硫酸、硝酸、塩酸、ホウ酸等の酸を用いる方法、水酸化ナトリウムやアミン、アンモニア等のアルカリを用いる方法、酸とアルカリの両方を用いる方法がある。PB誘導体の粒状化の観点からは、酸を用いて、より好ましくは塩酸を用い、それらを80℃以上に加熱し加水分解反応を促進させることで、アモルファス状の酸化ケイ素を形成させる作製工程が好ましい。
TEOSを出発原料とし、本発明の基質である酸化ケイ素を作製するため、まず水とアルコールの混合溶媒を準備する。アルコールは、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等から選ばれるアルコールである。特に、価格や取り扱いの容易さからエタノール、プロパノールが好ましい。水:アルコールの体積混合比は、1:0.1から1:100の範囲から選ばれ、特にエタノールの場合、TEOSの水-アルコールの混合溶媒への溶解度から、1:2.35が好ましい。次に得られた水-アルコールの混合溶媒に対し、TEOSを体積混合比として、0.1から0.4の範囲から選ばれる比のTEOSを加える。特に基質である酸化ケイ素のスムーズな粒状化の視点から、TEOSの体積混合比として、0.33が好ましい。尚、基本的に水:アルコールや、TEOSの体積混合比は前記の比に限定されるものではなく、作製の状況、温度条件等から前記の比からの変更は可能で、あらゆる比率の選択ができる。
次に、導入したTEOS中のSiのmol数に対して、前記混合溶液に存在する酸の規定数から換算したプロトンのmol%が、2から10mol%となるように、酸を加える。特に塩酸のプロトンのmol%が4から5mol%になるよう加えるのが好ましい。次に得られた混合液を約80℃にし、マグネティックスターラー、メカニカルスターラー、もしくは以下(c)に記述のミキサー等、撹拌が可能な機器を用いて約1から2時間程度撹拌する。次に、導入したTEOS中のSiのmol数に対して、PB誘導体中のカチオンのmol数の比が、9:1から2:8の範囲から選ばれる比となるようにPB誘導体を加える。特に、作成する粒の強度とアンモニア吸着容量のバランスの視点から、その比を約1:1になるようにPB誘導体を加えることは好ましい。
次に、温度を約110℃に昇温することで水-アルコールの混合溶媒を留去することにより、粒状のPB誘導体含有複合体が自然と自律的に形成され、大きさが少なくとも1μm以上の酸化ケイ素を基質とするブルシアンブルー誘導体含有複合体を簡便に作製できる。
また、アモルファス状の酸化ケイ素基質の作製工程は、上記のPB誘導体との混合工程において同時に行ってもよく、この場合は水とアルコールの混合溶媒にテトラアルコキシシランと塩酸とPB誘導体を同時に加えて混合攪拌することもできる。
なお、基本的に前記の各比は限定されるものではなく、作製の状況、温度条件等から前記の各比からの変更は可能で、あらゆる比率の選択ができる。
溶媒の留去の態様は、特に限定されないが、例えば、(a)シャーレ状もしくはビーカー状の容器から自然蒸発させる、(b)冷却管(コンデンサー)を具備した反応設備により留去し、集めた水、アルコールを再利用する、(c)ロータリーオーブン、セメントミキサー、大型汎用ミキサー、クラウドミキサー、ロッキングフロードライヤー、もしくは、ペレット、薬剤製造用の造粒機等を用いて、ロータリーや搬送の速度を制御し、内部温度を昇温させ留去する、等の態様が実施され、連続的に、PB誘導体含有複合体のサイズを制御しながら、作製、製造できる。
本発明のPB誘導体含有複合体のサイズは、気体や液体のアンモニアを通過させる観点から、1μm以上が好ましい。原理的に1μm未満のnmレベルのサイズとなると、気体や液体を通過の際、通過するための圧力が非常に高くなり、それらが通過しにくくなる問題がある。サイズは1μm以上が好ましく、実用化の視点から1μm以上10cm以下の範囲が適当なサイズであり、実用化、作製工程の観点からは0.1mmから1cmのサイズが好ましい。
本発明に用いられる酸化ケイ素を基質とするPB誘導体含有複合体は、それを含有する態様であれば、あらゆる形を含み、商品にすることができる。例えば、高分子や樹脂の板やファイルター素材に固定化、共存させたもの、高分子、樹脂や金属の箱、管、筒、袋、コップ状やコーン状の入れ物に入れたもの、ガラスの表面化学結合を利用し、ガラスウール、ゼオライトやモレキュラーシーブ上に固定化、共存させたもの、他の無機物と共存、混合したもの、有機物ポリマーもしくは、金属や酸化物の無機物から成るフィルターや板材に固定化、もしくは順番に配置したもの等、あらゆる態様を含む。さらに、多孔性容器もしくはガスを通すことができる2次元や3次元状の材料に詰めた態様、もしくは包んで容器とした態様、さらには、ジェル、インク、フィルム、プラスチック、樹脂、粉、砂、炭の個体に、または水やアルコールの液体に混合した態様も含む。
アンモニアは、窒素の3本の腕の先に水素が3つ結合した構造を有する分子である。本発明において吸着、脱離させるアンモニアの状態は、ガスすなわち気体の状態と、液体に溶解した液状(溶液状)の状態、アンモニア自体が液化した状態(液化アンモニア)、もしくは気体と液体の状態とが混在した状態のいずれにも適用できる。アンモニアをプロセスする工程において、前述の状態中、純粋なアンモニアの場合と、アンモニア以外に他の物質が混ざっている混合物の場合がある。本発明のアンモニアの吸着、脱離において、これらの状態のアンモニアを取り扱うことができるが、アンモニアの脱離の際、酸などの洗浄用の液体を用いた場合には、アンモニアはアンモニウムカチオン(NH4 +)に変換され、アンモニウムカチオンの塩として回収される。
本発明のアンモニアを吸着させる方法としては、基本的に、PB誘導体含有複合体を気体中もしくは液体中のアンモニアに接触させればよく、その研究や手法は公知として知られており、本発明のPB誘導体含有複合体中のPB誘導体に、アンモニアガス化学種が吸着される。接触の条件は、温度、圧力、湿度を制御することで実現できる。すなわち、温度は比較的低い温度を、圧力は比較的高い圧力を、湿度はPB誘導体によって適切な湿度を選択する。PB誘導体の金属置換や工場のプロセスによって吸着させる温度、圧力、湿度の具体的な範囲は変わるが、例えば、温度は150℃以下から選ばれる温度が好ましく、圧力は5kPa以上から選ばれる圧力が好ましく、湿度は、50%RH以下からから選ばれる湿度が好ましい。湿度ついては、PB誘導体の種類によって、吸着させる湿度の範囲が逆転、もしくは変化する場合もある。
本発明においてアンモニア化学種とは、PB誘導体含有複合体中のPB誘導体の内部、および/または、PB誘導体の表面、および/または、PB誘導体から成る粒子間に吸着している1種もしくは2種以上のアンモニアから派生する化学種であって、例えば、PB誘導体の内部においては、アンモニアがプロトン化されたアンモニウムカチオンや、金属Mにアンモニア分子の窒素上に存在する電子ローンペアが配位した配位化学種、PB誘導体の内部のCubic型の結晶構造の、シアノ基で囲まれた立方体に中心に吸着したNeutralなアンモニア化学種がある。PB誘導体の表面においては、アンモニアの配位化学種、もしくはファンデアワースル力により吸着した化学種がある。PB誘導体表面においては、ファンデアワースル力により吸着した化学種が存在する。その他に、これらのアンモニア化学種が、水分子と水素結合を介して結合ネットワークを形成し、クラスターとなって吸着する場合も考えられる。これらのアンモニア化学種は、比較的強く吸着する化学種と、弱く吸着する化学種がある。本発明においてアンモニア化学種は、これら様々な形態において吸着および脱離する。最終的に脱離する形態としては、Neutralなアンモニア(NH3)もしくはアンモニウムカチオン(NH4 +)が主だったものである。
吸着と脱離において、アンモニアの状態は、気体状もしくは液体中に溶解した溶液状である。すわなち、(1)吸着において気体状のアンモニアが吸着し、脱離において気体状のアンモニアが回収される場合、(2)吸着において気体状のアンモニアが吸着し、脱離において溶液状のアンモニアもしくはアンモニウムカチオンが回収される場合、(3)吸着において溶液中のアンモニアもしくはアンモニウムカチオンが吸着し、脱離において気体状のアンモニアが回収される場合、(4)吸着において溶液中のアンモニアもしくはアンモニウムカチオンが吸着し、脱離において溶液状のアンモニアもしくはアンモニウムカチオンが回収される場合、がある。一般に、(1)吸着において気体状が主に選ばれる。工業的な視点から、(1)の気体状(吸着)→気体状(脱離)の場合が、最も簡便でコスト的にも好ましい。
本発明におけるアンモニア脱離の方法には、温度上昇、圧力低下、湿度変化を利用した方法があり、それらを制御することにより、アンモニアや、その他系内に存在する各化学種の吸着速度や吸着容量の違い、吸着する各化学種の吸着力の違い、水に起因する湿度の影響、吸着脱離の平衡定数の違いにより、アンモニア脱離を行うことができる。実用化の観点からは、以下に説明の温度上昇、圧力低下、湿度変化を組み合わせることが好ましい。
本発明の脱離における温度上昇とは、PB誘導体含有複合体がある環境下において、アンモニアをアンモニア化学種としてPB誘導体含有複合体に吸着した後、その環境の温度を、吸着させた温度に比べて高くすることにより、アンモニア化学種を脱離させることをいう。温度を高くすることにより、PB誘導体含有複合体中の水分量が減る傾向にあり、これが一部、アンモニア化学種をPB誘導体に吸着させる確立や吸着力の低下を招き、脱離を促進させる効果があると考えられる。吸着させた温度に比べて高くする温度上昇は、100℃以上が好ましい。
本発明の脱離における圧力低下とは、PB誘導体含有複合体がある環境下において、アンモニアをアンモニア化学種としてPB誘導体含有複合体に吸着した後、その環境の圧力を、吸着させた圧力に比べて低くすることにより、アンモニア化学種を脱離させることをいう。圧力の範囲は0からあらゆる大きな圧力がある。原理的に圧力を低くすることにより、PB誘導体含有複合体中の水分量が減る傾向にあり、これが一部、アンモニア化学種をPB誘導体含有複合体に吸着させる確率や吸着力の低下を招き、脱離を促進させる効果があると考えられる。現実の実験装置やプラントの観点から、圧力の範囲は0から500気圧から選択されるのが好ましく、また、効率的な脱離の観点からは、圧力低下した圧力は1気圧未満が好ましい。
本発明の離脱における湿度変化とは、PB誘導体含有複合体がある環境下において、アンモニアをアンモニア化学種としてPB誘導体含有複合体に吸着した後、その環境の湿度を、吸着させた湿度に比べて高くすること、すなわち単位体積あたりの水蒸気の量を増やすことを含む。一方、吸着させた湿度に比べて低くすることにより、すなわち単位体積あたりの水蒸気の量を減らすことも含み、PB誘導体含有複合体の種類、特徴から具体的な湿度変化は選択され、その条件を用いて、選ばれたPB誘導体含有複合体に吸着したアンモニア化学種を脱離させることができる。湿度変化において、湿度を上昇させるのがよいのか、低下させるのがよいのかは、選ばれたPB誘導体含有複合体による。
PB誘導体含有複合体中のPB誘導体内のアンモニア化学種が、空隙サイトに主に存在するPB誘導体の場合には、湿度上昇が効果的なPB誘導体となる傾向がある。これは、アンモニア化学種中のアンモニウムカチオンの生成過程において、水分子が関係しているためと考えられる。PB誘導体の1つであるCobalt(II)[hexacyanocobaltate(Co=III)](CoHCC)の場合は、吸着したアンモニア化学種は、空隙サイトに主に存在しており、これを効果的に脱離するには、湿度変化において相対湿度70%RH以上に湿度上昇することが好ましい。一方、例えばPB誘導体含有複合体中のPB誘導体が、その誘導体1つであるZn(II)[hexacyanocobaltate(Co=III)](ZnHCC)の場合、脱離法のための組み合わせとして、吸着させた湿度に比べて低くすることにより、すなわち単位体積あたりの水蒸気の量を減らすことにより、アンモニア化学種を脱離させることができる。ZnHCCの場合の場合、アンモニアは比較的強くZnHCC中のZnに配位結合し、水分子の反応が大きく関係していないためと考えられる。この場合は、湿度変化のうち湿度を低下させ、且つ、温度上昇もしくは圧力低下を組み合わせることが好ましい。
脱離法には、前述した温度上昇、圧力低下、湿度変化以外にも他の方法がある。例えば、水や酸性水も含むその他アルコール等の有機溶媒、もしくはその有機溶媒に水や酸性水を混合した溶液で洗浄して、アンモニア化学種を脱離させることも可能である。
本発明のPB誘導体含有複合体は、繰り返し使用する際のアンモニア吸着量、脱離量を安定化させるため、3回程度アンモニアを吸脱着させてから使用することができる。すなわち、3回程度アンモニアを、吸着→脱離→吸着→脱離→吸着→脱離の順で吸脱着させてから、アンモニアの回収に使用すると、その吸着量、脱離量が安定化され、サイクル耐性が向上する。
本発明の回収装置は、アンモニア吸着部とアンモニア脱離部からなる。アンモニア吸着部は前記のアンモニアの吸着方法を実施する部分であり、アンモニア脱離部は、前記のアンモニアの脱離方法を実施する部分である。
回収装置には大きくわけて2つの形式があり、1つは、本発明のPB誘導体含有複合体を含む部品を、回収装置内のアンモニア吸着部とアンモニア脱離部を移動させる形式と、他方は、本発明のPB誘導体含有複合体を含む部品は回収装置内で固定化され、その部分の配管等の流入流出の切り替えを行う形式がある。
本発明のアンモニアの回収装置は、例えば、アンモニア供給源とアンモニア排出部とが、配管、パイプや溝、トレンチによって接続され、各配管は適切にポンプ及びバルブ、もしくは水門等を具備し、配管内の流入流出や圧力、温度、湿度を制御するための電子基板やデバイスを含有、接続したものである。
アンモニア吸着部は、PB誘導体含有複合体を含むものであれば特に限定されず、例えば、PB誘導体含有複合体を充填しプラントや工場内の工程部分に接続された袋、網、箱、カラム、管、溝、巨大なトレンチ、巨大なパイプ、巨大な池等が挙げられる。アンモニア吸着部は、少なくとも、アンモニア供給源と繋がり、そこからアンモニアが流入される構造を具備する。
アンモニア脱離部は、アンモニアが吸着したPB誘導体含有複合体を含むものであれば特に限定されず、少なくとも、アンモニア排出部と繋がり、そこからアンモニアが流出される構造を具備する。アンモニア脱離部は、前記アンモニア脱離の方法を実施する加熱部、減圧部、除湿部、及び加湿部からなる群から選択される少なくとも1種の手段を備える。
アンモニア脱離部において、加熱部は、アンモニアが吸着したPB誘導体含有複合体を加熱できるものであれば特に限定されず、例えば、ボイラー、電気加熱ヒーター、光加熱ヒーター、温風ヒーター等が挙げられる。減圧部は、アンモニアが吸着したPB誘導体含有複合体を減圧条件下にさらすものであれば特に限定されず、例えば、減圧ポンプを接続した、管、バルブ、アスピレーター等が挙げられる。除湿部は、アンモニアが吸着したPB誘導体含有複合体を除湿条件下にさらすものであれば特に限定されず、例えば、ペルチェ素子を組み込んだ冷却除湿器、熱力学的除湿機構を組み込んだ除湿器、シリカゲル等の乾燥剤を具備した除湿器、ナフィオン等の除湿チューブや膜を組み込んだ除湿器が挙げられる。加湿部は、アンモニアが吸着したPB誘導体含有複合体を加湿条件下にさらすものであれば特に限定されず、例えば、加湿器等が挙げられる。
本発明の回収装置には、アンモニア排出部から得られたアンモニアガスを、気体状にてアンモニアボンベもしくはアンモニアタンクに回収する、もしくは、液化アンモニアとしてアンモニアボンベもしくはアンモニアタンクに回収する、もしくはアンモニウムイオンの含む溶液、水溶液、または無機物の塩個体として回収するもの、もしくはそれらが混在するものを回収する工程を行う部位が含まれる。
以下には、実施例によって、本発明を説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
<PB誘導体の一般的調製方法>
PB誘導体の調製は、一般に以下のように行う。
[FeII(CN)6]4-、[FeIII(CN)6]3-、[CoIII(CN)6]3-、もしくは[MnII(CN)6]4-等のアニオンを含む水溶液と、対応する金属カチオンの塩化物、硫酸塩、もしくは硝酸塩の水溶液を混合し、振盪機(Shaking Incubator SI-300C(AsOne)により混合・振盪するか、またはY字管の2つの流路に前述の2種類の水溶液を流して混合するか、またはマグネティックスターラーにより攪拌し混合することにより、生成、沈澱したPB誘導体を得ることができる。各PB誘導体の混合量、混合条件の例は以下の実施例に記載している。なお、[FeII(CN)6]4-を「HCF(Fe=2+)」、[FeIII(CN)6]3-を「HCF(Fe=2+)」、[CoIII(CN)6]3-を「HCC」、と略称する。
<本発明で使用するPB誘導体の調製>
PB誘導体作製の1例:ZnHCF(Fe=2+)
筒状の遠心分離用のプラスティックチューブ中、室温においてK4-HCF(Fe=2+)濃度25mM(0.25mmolを10mLの純水に溶解)の水溶液へ、ZnCl2濃度50mM(0.5mmolを10mLの純水に溶解)の水溶液を一気に混合し、振盪機により、室温にて約24時間振盪した。沈殿した懸濁液中のPB誘導体は、遠心分離機(テーブルトップ高速冷却遠心機、Sigma(R)3-3-K)により、上澄み液と分離し、上澄み液を傾けて除去し、これに超純水を加え振盪・洗浄し、これを6回繰り返した。最後の上澄み液を傾けて除去した後、得られた沈澱物をオーブン(Oven OFW-450B)、約1気圧、約60℃、約1日乾燥した。得られた白いナノ粒子ZnHCF(Fe=2+)である各PB誘導体について、X線回折装置(XRD,Phaser D2[Bruker])で評価したところ、約16.3度、19.7度、21.8度付近等にメインピークを持つ結晶であった。これらは、データベース中のFe[Fe(CN)6]0.75ピーク位置とは異なるので、一般的なプルシアンブルーの立方晶系型の結晶構造とは異なるNa2Zn3[FeIII(CN)6]2の結晶構造を有した。
PB誘導体作製の1例:ZnHCF(Fe=3+)
筒状の遠心分離用のプラスティックチューブ中、室温においてK3-HCF(Fe=3+)濃度1.125mM (15mmolを20mLの純水に溶解)の水溶液へ、硫酸亜鉛 濃度0.5mM (0.5mmolを30mLの純水に溶解)の水溶液を一気に混合し、振盪機により、室温にて約18時間振盪した。沈殿した懸濁液中のPB誘導体は、遠心分離機(テーブルトップ高速冷却遠心機、Sigma(R)3-3-K)により、上澄み液と分離し、上澄み液を傾けて除去し、これに超純水を加え振盪・洗浄し、これを6回繰り返した。最後の上澄み液を傾けて除去した後、得られた沈澱物をオーブン(Oven OFW-450B)、約1気圧、約60℃、約1日乾燥した。得られた橙色のナノ粒子ZnHCF(Fe=3+)である各PB誘導体について、X線回折装置(XRD,Phaser D2[Bruker])で評価したところ、約17.5度、25度、36度付近等にメインピークを持つ結晶である。これらは、データベース中のFe[Fe(CN)6]0.75ピーク位置と一致し、一般的なプルシアンブルーの立方晶系型の結晶構造と同一の結晶構造を有する。
<酸化ケイ素を基質とするPB誘導体含有複合体の作製>
以下、酸化ケイ素を基質とするPB誘導体含有複合体を、1例としてPB誘導体ZnHCF(Fe=3+)を用いて作製した。
テトラエトキシシラン(オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)ともいう。)を水とエタノールの混合溶媒に溶かし、塩酸を微量加えて、得られた混合液を約80℃で90分加熱する。そこPB誘導体ZnHCF(Fe=3+)の橙色の粉を、TEOSのSiとZnHCF(Fe=3+)のZnのモル比が約1:1になるように直接加え、よく混合した。PB誘導体の粉がTEOSの溶液によく分散された後、それを約110℃に加熱し、水とエタノールを留去した。留去する水とエタノールは、蒸留塔や冷却トラップに回収し再利用できる。110℃で留去してゆくと、粒状のガラス部材が自然と形成され、得られたものを、約200℃、約10分焼結すると、大きさが0.1~3mm程度の粒状の酸化ケイ素を基質とするPB誘導体含有複合体が得られた。
得られた粒状のるPB誘導体含有複合体は、目的に応じて、さらに磨り潰したり、篩により振り分ける等の工程により、その大きさや分布を調整し使用することができる。必要であれば、得られた粒状のるPB誘導体含有複合体を、水で洗浄し細かいパウダーを篩により除去し、約200℃以上の高温で再度焼結してから使用する。
<気体、ガスの透過性評価>
得られたPB誘導体含有複合体の流体の流れやすさ、すなわち流体の透過性について、原料であるPB誘導体との比較実験を行った。本実施例では、実施例3で作製したPB誘導体含有複合体と、対照として原料のPB誘導体との比較を示す。
流体として室内空気を用いた。ダイヤフラムポンプを直流電源に接続し、ダイヤフラムポンプ排出口にシリコンチューブを繋ぎ、その先へミニカラムであるオムニフィット細径カラム(内径:3mm,長さ:25mm)を接続、出口側にシリコンチューブ、流量計とさらに繋いで設置した。ミニカラム内を空にして、流量計の空気流速の値が120mL/分となるように直流電源の出力を調整し、ダイヤフラムポンプが同じ力で空気を押し出す条件とした。そこに、PB誘導体含有複合体やPB誘導体が漏れ出ないようにするためのガラスウールを、ミニカラム内部の両端にそれぞれ3mgずつ、合計6mgセットし、同条件にてダイヤフラムポンプを動作したところ、空気流速は110mL/分であった。この110mL/分を比較基準とし、以下の実験を行った。
まず、原料であるPB誘導体ZnHCF(Fe=3+)を3mg、ミニカラム内部にセット、その両端をそれぞれ3mgずつのガラスウールにておさえた。そこで同条件にてダイヤフラムポンプを動作したところ、空気流速は90mL/分であった。一方、実施例3で作製したPB誘導体含有複合体を同じ3mg、ミニカラム内部にセットし、その両端をそれぞれ3mgずつのガラスウールにておさえた。そこで同条件にてダイヤフラムポンプを動作したところ、空気流速は100mL/分であった。PB誘導体含有複合体の方が、原料であるPB誘導体より、流体である気体(空気)を流しやすく透過性がよいことが示された。
次に、原料であるPB誘導体ZnHCF(Fe=3+)を20mg、ミニカラム内部にセットし、その両端をそれぞれ3mgずつのガラスウールにておさえ、同条件にてダイヤフラムポンプを動作したところ、空気流速は55mL/分であった。一方、実施例3で作製したPB誘導体含有複合体を同じ20mg、ミニカラム内部にセットして、その両端をそれぞれ3mgずつのガラスウールにておさえ、同条件にてダイヤフラムポンプを動作したところ、空気流速は90mL/分であった。
得られたPB誘導体含有複合体の流体の流れやすさ、すなわち流体の透過性について、原料であるPB誘導体との比較実験を行った。本実施例では、実施例1で作製したPB誘導体を原料に実施例3の方法で作製したPB誘導体含有複合体ZnHCF(Fe=2+)の粒について、実施例1で作製した原料のPB誘導体を用いた以外は、実施例4と同様の実験を行った。
まず、原料であるPB誘導体ZnHCF(Fe=2+)を3mg、ミニカラム内部にセットした場合の空気流速は60mL/分であった。一方、PB誘導体含有複合体ZnHCF(Fe=2+)の粒を3mg、ミニカラム内部にセットした場合の空気流速は100mL/分であった。
次に、原料であるPB誘導体ZnHCF(Fe=2+)を20mg、ミニカラム内部にセッした場合の空気流速は、ほぼ0mL/分で空気を流すことが困難であった。一方、PB誘導体含有複合体ZnHCF(Fe=2+)の粒を同じ20mg、ミニカラム内部にセットした場合の空気流速は90mL/分であった。
PB誘導体含有複合体の方が原料であるPB誘導体より、流体である気体(空気)を流しやすく透過性がよいことが、PB誘導体を変えても確認された。
<アンモニア吸脱着の評価>
実施例3で作製したPB誘導体含有複合体ZnHCF(Fe=3+)の粒について、アンモニアの吸着特性を、ガス吸脱着装置(BelsorpMax [マイクロトラックベル社])により調べた。サンプルの質量は150℃乾燥を十分に行い電子天秤により秤量した。PB誘導体含有複合体ZnHCF(Fe=3+)の粒を50mg、BelsorpMax装置用のサンプル管に入れて測定した。測定温度は150℃の一定とした。
次に、純アンモニアガスボンベから供給されるアンモニアガスを用い、サンプル管内のアンモニアガスの圧力を少しずつ変化させ、その直後から管内のアンモニアガスの圧力変化の測定を行い、該粒のアンモニア吸着容量を測定した。結果を図1(○:白丸点線)に示す。
PB誘導体含有複合体は、高温の150℃にもかかわらず、アンモニアの吸着容量が約5mmol/g程度であり、アンモニアの吸着を十分行えることがわかった。
テトラアルコキシシランの一種であるTEOSを原料に用いて基質となる酸化ケイ素を作製すると、その酸化ケイ素はアンモニアの動的分子径よりも大きな内部空間を有し、アンモニアの吸着と脱離を行うための部分が表面と内部に保持されガラス部材の表面積を上げ、内部までアンモニア分子が侵入できるルートが形成され、利用可能なガラス部材とすることができ、加えて、さらに酸化ケイ素を基質とする表面と内部空間にPB誘導体が存在する効果により、本実施例の高温150℃におけるアンモニアの吸着容量を飛躍的に増大できた。
実施例5で用いたPB誘導体含有複合体ZnHCF(Fe=2+)の粒の、液中におけるアンモニアの吸着能を次のように調べた。濃度約0.1wt%のアンモニア水(1mL)を準備し、その中にPB誘導体ZnHCF(Fe=2+)の粒であるPB誘導体含有複合体約215mgを約1分間浸漬した。浸漬した後、上澄みのpHを測定し、元の濃度約0.1wt%のアンモニア水のpHと比べたところ、PB誘導体含有複合体は、アンモニアが存在する液中において、pHを約10から7へと顕著に低下させた。
以上の結果から、PB誘導体含有複合体は、液中のアンモニアを効率よく吸着できることが示された。
実施例3で作製したPB誘導体含有複合体ZnHCF(Fe=3+)の粒について、実施例6と同様にアンモニアの脱離特性を、ガス吸脱着装置(BelsorpMax[マイクロトラックベル社])により調べた。サンプルの質量は150℃乾燥を十分に行い電子天秤により秤量し、該粒を50mg、BelsorpMax装置用のサンプル管に入れた。
図1に示すように、測定温度は、室温(25℃、△)と150℃(○)と300℃(●)の3通りで行った。それぞれの温度において、純アンモニアガスボンベから供給されるアンモニアガスを用い、サンプル管内のアンモニアガスの圧力を少しずつ変化させ、その直後からサンプル管内のアンモニアガスの圧力変化の測定を行い、該粒のアンモニア吸着容量を測定した。
その結果、PB誘導体含有複合体は、温度が上昇するにつれ、アンモニアの吸着容量が減少することがわかった。この結果は、本発明のPB誘導体含有複合体は、比較的低い温度で吸着させた後、吸着させた温度より高い温度にすることで、アンモニアを脱離でき、脱離されたアンモニアを回収できることを示された。
本実施例では、実用化の観点からサイクル耐性を向上させるため、実施例3で作製したPB誘導体含有複合体ZnHCF(Fe=3+)の粒について、アンモニアガスの吸脱着を3回行った粒を用いた。
ビニール袋の中、実施例3で作製したPB誘導体含有複合体ZnHCF(Fe=3+)の粒に、純アンモニアガスを導入し数分接触させた。次にPB誘導体含有複合体の粒を電気炉中、200℃にて約10分間加熱した。この操作を3回繰り返したものを実験に用いた。サンプルの質量は150℃乾燥を十分に行い電子天秤により秤量し、該粒を50mg、BelsorpMax装置用のサンプル管に入れ、アンモニアガスの脱離測定を行った。
測定温度は150℃で行い、始めに0kPaから約100kPaへアンモニアの圧力を増加させて、アンモニアを吸着させ、その後、約100kPaから0kPa近くへアンモニアの圧力を低下させて、アンモニア脱離量を測定した。
その結果、該PB誘導体含有複合体は、アンモニアを吸着させた該酸化ケイ素を基質とするPB誘導体含有複合体から、1kPa近くに減圧すると、吸着したアンモニアの約53%が脱離することがわかり、圧力低下により、PB誘導体含有複合体は、吸着したアンモニアを圧力低下により脱離でき、脱離したアンモニアを回収できることが示された。
実施例3で作製したPB誘導体含有複合体ZnHCF(Fe=3+)の粒について、アンモニアの吸着-脱離の繰り返し使用の特性、サイクル特性を、ガス吸脱着装置(BelsorpMax[マイクロトラックベル社])により調べた。本実施例でPB誘導体含有複合体ZnHCF(Fe=3+)の粒については、実用化の観点からサイクル耐性を調べるため、また、再現性を検討するため、実施例9と同様、アンモニアガスの吸脱着を3回行った粒を用いた。
本実施例では、セラミック管状炉(ARF-30KC)内のガラス管の中、PB誘導体含有複合体ZnHCF(Fe=3+)の粒に空気ベースの約1%アンモニアガスを150℃にて導入し10~15分程度接触させる。次に温度を300℃に昇温し、空気を約10分間流しながら加熱する。この操作を3回繰り返したものを実験に用いた。サンプルの質量は150℃乾燥を十分に行い電子天秤により秤量し、約50mgの粒をガス吸脱着装置(BelsorpMax [マイクロトラックベル社])用のサンプル管に入れ、アンモニアガス吸脱着の繰り返し測定を行った。
測定温度は、まず、1回目の吸脱着測定において、150℃にて前処理乾燥を行った後、そのままの150℃にて圧力を0kPaから約100kPaの間で変化させ、アンモニアの吸脱着測定を行った。1回目の吸脱着測定後、次に300℃にて前処理乾燥を行った後、測定温度150℃にし、同様に圧力を変化させながら、2回目のアンモニアの吸脱着測定を行った。3回目以降のアンモニアの吸脱着測定は、2回目と同じ操作により行った。その結果、以下のことが明らかとなった。
1回目のアンモニア吸着容量は約4.6mmol/gであった。約100kPa(約1気圧)おける該PB誘導体含有複合体の吸着容量が、1回目から2回目において約12%減少し、2回目以降、減少率は約8%前後であった。本発明のPB誘導体含有複合体は、高温150℃において、アンモニアの吸着容量は本繰り返し使用において、8%程度減少傾向にあるが、吸着を繰り返し行うことができた。また、アンモニア脱離は150℃より高い温度上昇この場合300℃で、これも繰り返し行うことが可能であった。


Claims (9)

  1. 酸化ケイ素を基質としてプルシアンブルー誘導体を含む、アンモニアの吸着と脱離のためのプルシアンブルー誘導体含有複合体であって、
    前記基質である酸化ケイ素が、アモルファス状の酸化ケイ素であり、
    記プルシアンブルー誘導体が、下記一般式(2)で表され、
    一般式(2) AxM[M’(CN)6]y・zH2
    ここで、金属原子Mは、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、ルテニウム、コバルト、ロジウム、ニッケル、パラジウム、白金、銅、銀、亜鉛、ランタン、ユーロピウム、ガドリニウム、ルテチウム、バリウム、ストロンチウム、及びカルシウムからなる群より選ばれる一種または二種以上の金属原子であり、金属原子M’は、バナジウム、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、ルテニウム、コバルト、ニッケル、白金、及び銅からなる群より選ばれる一種または二種以上の金属原子であり、Aは水素、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、カルシウム、マグネシウム、バリウムからなる群より選ばれる一種または二種以上の陽イオンであり、
    xは0~3、yは0.1~1.5、zは0~6の数値を表す。
    前記プルシアンブルー誘導体含有複合体は、前記基質を有し、(-Si-O-Si-O-)の1次元、2次元、3次元のネットワークを有するガラス部材であり、アンモニアの動的分子径よりも大きな内部空間を有し、プルシアンブルー誘導体が前記ガラス部材の表面と内部に保持されていること特徴とする、プルシアンブルー誘導体含有複合体。
  2. 平均直径が1μm~10cmであり、アンモニアを吸着させた後アンモニアを脱離させることができ、再利用によるアンモニアの吸着・脱離を3回以上行うことのできる、請求項1に記載のプルシアンブルー誘導体含有複合体。
  3. 請求項1または2に記載のプルシアンブルー誘導体含有複合体を、アンモニアを含む気体、液体、もしくはそれらの混合物に接触させ、アンモニアを吸着させるアンモニアの吸着方法。
  4. 圧力が1~500気圧、温度が0℃以上、および相対湿度が100%以下の条件下でアンモニアを吸着させる、請求項3に記載のアンモニアの吸着方法。
  5. 請求項1または2に記載のプルシアンブルー誘導体含有複合体を、アンモニアを含む気体、液体、もしくはそれらの混合物に接触させてアンモニアを吸着させた後、アンモニアを吸着させた圧力より圧力低下を行う処理、アンモニアを吸着させた温度より温度上昇を行う処理、アンモニアを吸着させた相対湿度より湿度を下げて除湿条件下にさらす湿度変化の処理、およびアンモニアを吸着させた相対湿度より湿度を上げ、加湿条件下にさらす湿度変化の処理、からなる群から選択される少なくとも1種の処理を行う、アンモニアの脱離方法。
  6. 請求項5に記載のアンモニアの脱離方法によりアンモニアを回収する、アンモニアの回収方法。
  7. 請求項1または2に記載のプルシアンブルー誘導体含有複合体に、アンモニアを吸着させるアンモニア吸着工程と、アンモニアを脱離させるアンモニア脱離工程を行うアンモニアの回収装置であって、
    前記アンモニア脱離工程が、減圧条件下にする圧力低下の処理工程、加熱する温度上昇の処理工程、除湿条件下にする湿度変化の処理工程、および加湿条件下にする湿度変化の処理工程からなる群から選択される少なくとも1種の処理工程である、アンモニアの回収装置。
  8. 前記アンモニア脱離工程の後に、気体状のアンモニアをボンベもしくはタンクに回収する工程、液化アンモニアをボンベもしくはタンクに回収する工程、またはアンモニウムイオンを含む溶液、水溶液、もしくは無機物の塩個体として回収する工程からなる群から選択される少なくとも1種の回収工程を行う、請求項に記載のアンモニアの回収装置。
  9. 溶媒である水とアルコール、下記一般式(1)で表されるテトラアルコキシシラン、塩酸、及びプルシアンブルー誘導体とを混合攪拌した後、溶媒である水とアルコールを留出させることを特徴とする、上記請求項1に記載のアモルファス状の酸化ケイ素基質としたプルシアンブルー誘導体含有複合体の製造方法。
    一般式(1) (RO) 4 Si (Rは、アルキル基)
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