JP5091227B2 - 組立式のピストンの上部 - Google Patents

Description

本発明は請求項１の上位概念部に記載した組立式のピストンの上部に関する。

ドイツ連邦共和国特許第３６３３１３４号明細書によれば、上部と下部とから成る、組立式のピストンが公知である。このような組立式のピストンにおいては、上部及び下部の互いに接触し合う面の摩耗を減少させるために、これら面間に高耐摩耗性の層が配置されている。この層は、接触面における層の良好な付着を保証するために、２つの接触面のうちの一方に、爆発溶射法（Detonationsspritzverfahren）によって塗布される。この層は、炭化タングステン・コバルト・合金又は銅・ニッケル・インジウム・合金より成っている。これは、層が成っている材料も、爆発溶射法もいずれも高価な費用がかかるという欠点がある。

本発明の課題は、このような従来技術による欠点を避けることである。この課題は、本発明によれば請求項１の特徴部に記載した構成によって解決される。この場合、組立式のピストンの上部及び下部の接触面の摩耗を避けるために、上部の接触面に溝状のプロフィールを備えることによって、簡単かつ安価に実現することができる。

本発明の有利な実施態様は、従属請求項に記載されている。

本発明の幾つかの実施例を以下に図面を用いて説明する。

図１は、ピストンの下部に上部をねじで固定するための、中央に配置されたねじ山付きピンを有するピストンの上部、及び該ピストンの上部の半分を下から見た図、
図２は、ピストンの下部に上部をねじで固定するためのねじを受容するための雌ねじ山を備えた、中央に配置された盲穴を有するピストンの上部、及び該ピストン上部の半分を下から見た図である。

図１は、ピストンの上部１を示し、ピストンの下部は図示されていない。図１では、ピストンの上部１の半分を下から見た図によって、半径方向で内側の接触面２と、半径方向で外側の接触面３とが示されており、この場合、ピストンの上部１は前記接触面２及び３を介してピストン１の下部上に載っている。上部１は鋼より製造されている。下部は、鋼、アルミニウム又はノジュラー鋳鉄（Gusseisen mit Kugelgraphit）より成っていてよい。

上部１は、ピストン・ヘッド４に一体成形された燃焼凹部５を有している。上部１の半径方向外側の、ピストン・ヘッド側の領域は、ピストン・ランド６として構成されており、該ピストン・ランド６に続いて、ピストン・ヘッドとは反対方向に、３つのリング溝８，９，１０を備えたピストン・リング部７が設けられている。

上部１の、ピストン・ヘッドとは反対側の下側に、ピストン軸線１１に対して同軸的にねじ山付きピン１２が設けられており、該ねじ山付きピン１２を介して上部１がピストンの下部にねじで固定されている。ピストン軸線１１に対して同心的に、及び互いに同心的に、上部１の下側に、半径方向内側のリング状（環状）の切欠１３と、半径方向外側のリング状の切欠１４とが配置されており、これらの切欠１３，１４は、下部に設けられたピストン・ヘッド側の切欠と共に、冷却オイルを貫流させるための閉じた環状通路を形成する。外側の切欠１４は、半径方向内側がリング・リブ１５によって仕切られ、半径方向外側がピストン・ヘッド４に一体成形されたリング壁部２５によって仕切られていて、外側の切欠１４の半径方向外側には、ピストン・ランド６及びピストン・リング部７が配置されている。

リング・リブ１５の、ピストン・ヘッドとは反対側に内側の接触面２が設けられている。リング壁部２５の、ピストン・ヘッドとは反対側の端部領域内で、半径方向内側の環状の切欠１６が形成されており、この切欠１６は、外側の接触面３を有している。

最近のエンジンでは点火圧力が高くなっているので、エンジンに使用される、上部と下部とから成っていて、上部が下部にねじによって結合されている組立式のピストンにおいて、上部と下部との互いに接触し合う面間の相対運動及び接触圧も増大する。その結果、材料溶接部（microwelding；微細溶接）において、接触面がより高い摩耗（フレッチング；擦過）にさらされ、ひいては部分的に材料の剥がれが生じることになる。

このような不都合を避けるために、実験によれば、ピストンの上部１の接触面２及び３の表面を粗くすればよい、ことが分かった。この場合、接触面２，３の摩耗を避けるために、Ｒ_ｚ１０とＲ_ｚ２５との間の表面粗さを有する溝状のプロフィールが特に効果的である。つまり、０軸線を基準にして、プロフィールの平均的なずれが、正の方向及び負の方向で１０μｍ乃至２５μｍであるプロフィール構造を有していれば、特に効果的である。この場合、接触面２及び３のプロフィールは、図１に示されているように、３００乃至１２００μｍの溝間隔を有する同心的な溝（規格 ＤＩＮ，ＥＮ，ＩＳＯ １３２０参照、グラフ的な記号Ｃで示されている）の形状である。このようなプロフィールは、レーザを使用することによって又は旋削によって、特に簡単かつ安価に製造することができる。

同様に規格ＤＩＮ，ＥＮ，ＩＳＯ １３０２に基づく溝形状を有するプロフィール、及びグラフ的な記号Ｘ（交差した溝）又はグラフ的な記号Ｒ（半径方向に配置された葉；Ｂｌａｅｔｔｅｒの形状の溝）で示されている。

図２に示した上部１７は、図１に示した上部１とは異なり、ピストン・ヘッドとは反対側の下側に、ピストン軸線２４に対して同軸的に配置された、雌ねじ山１９を備えた盲穴１８を有しており、この盲穴１８内に、上部１７を図２に示されていない下部に結合するためのねじをねじ込むことができるようになっている。図１の上部１と図２の上部１７とのその他の相違点は、上部１７においては、ピストン・ヘッドとは反対側の、半径方向に向けられた、リング・リブ２１の内側の接触面２０（外側の切欠２２と内側の切欠２３との間で上部１７の下側に配置されている）だけが、同心的な溝の形状のプロフィールを有している（半分で示された上部１７を下から見た図参照）、という点にある。ピストンかかる負荷があまり高くなく、点火圧が低い場合には、図２に示されたように２つの載設面のうちの一方だけに異形成形部を設ければ十分である。

組立式のピストンの上部及び下部の接触面の摩耗を避けるために、ピストン下部の、ピストン・ヘッド側の半径方向に向けられた単数又は複数の接触面に、溝状の異形成形部（前記寸法つまり、粗さ、溝間隔及び前記ＤＩＮ規格を有している）を備えることも可能である。

ピストンの下部に上部をねじで固定するための、中央に配置されたねじ山付きピンを有するピストンの上部、及び該ピストンの上部の半分を下から見た図である。 ピストンの下部に上部をねじで固定するためのねじを受容するための雌ねじ山を備えた、中央に配置された盲穴を有するピストンの上部、及び該ピストン上部の半分を下から見た図である。

符号の説明

１ 組立式のピストンの上部、 ２ 半径方向で内側の接触面、 ３ 半径方向で外側の接触面、 ４ ピストン・ヘッド、 ５ 燃焼凹部、 ６ ピストン・ランド、 ７ ピストン・リング部、 ８，９，１０ リング溝、 １１ ピストン軸線、 １２ ねじ山付きピン、 １３ 内側の切欠、 １４ 外側の切欠、 １５ リング・リブ、 １６ 切欠、 １７ 組立式のピストンの上部、 １８ 盲穴、 １９ 雌ねじ山、 ２０ 内側の接触面、 ２１ リング・リブ、 ２２ 外側の切欠、 ２３ 内側の切欠、 ２４ ピストン軸線、 ２５ リング壁部

Claims (1)

1. 組立式のピストンの上部（１，１７）であって、
   ピストン・ヘッド（４）が設けられており、
   前記ピストン・ヘッドの燃焼凹部とは反対側で、ピストン・ヘッド（４）に一体成形されたリング壁部（２５）が設けられており、該リング壁部（２５）の半径方向外側面にピストン・リング部（７）が配置されており、
   前記ピストン・ヘッドの燃焼凹部とは反対側を成す、前記上部の下側に、リング状の外側の切欠（１４，２２）が成形されており、前記外側の切欠（１４，２２）が、半径方向外側でリング壁部（２５）によって仕切られていて、半径方向内側で、前記ピストンの上部（１，１７）の下側に一体成形されたリング・リブ（１５，２１）によって仕切られており、
   前記リング・リブ（１５，２１）の下側に配置された、半径方向に向けられた内側の接触面（２，２０）が設けられており、
   前記リング壁部（２５）の下側に配置された、半径方向に向けられた外側の接触面（３）が設けられている、
   形式のものにおいて、
   内側および外側の接触面（２，３，２０）は、３００μｍ乃至１２００μｍの間の溝間隔を有する、同心的に配置された溝として形成され、かつＲ _ｚ １０乃至Ｒ _ｚ ２５の表面粗さを有する溝状のプロフィールを有していることを特徴とする、組立式のピストンの上部。

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