JPH08338530A - エキスパンダ付きオイルリング - Google Patents

エキスパンダ付きオイルリング

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JPH08338530A
JPH08338530A JP14577695A JP14577695A JPH08338530A JP H08338530 A JPH08338530 A JP H08338530A JP 14577695 A JP14577695 A JP 14577695A JP 14577695 A JP14577695 A JP 14577695A JP H08338530 A JPH08338530 A JP H08338530A
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巌 平石
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 組み付け性がよく、軽量でオイルコントロー
ル性能にすぐれ、かつ耐久性のあるオイルリングを実現
する。 【構成】 上方リング1と下方リング2とからなるオイ
ルリング本体の上方リング1の内周面は、上部が内方に
傾斜する傾斜面13に形成され、一方、下方リング2の内
周面は、下部が内方に傾斜する傾斜面23に形成されてお
り、このオイルリング本体の内周側にあってこれを外方
に拡張するコイルエキスパンダ5との中間に、外周面が
中高で、内周面は凹面の断面形状を有するリング体であ
るリングプレート4を配設して構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ディーゼルエンジンや
ガソリンエンジン等の内燃機関においてシリンダ内壁か
ら過剰のオイルを掻き落とすためのエキスパンダ付きオ
イルリングに関する。
【0002】
【従来の技術】ディーゼルエンジンやガソリンエンジン
等の内燃機関においては、ピストンの外周に設けられた
リング溝に圧力ピストンリング(単に圧力リングともい
う)とオイルリングを装着し、主として前者により燃焼
ガスの漏洩を防止すると共に、後者でシリンダ内壁に付
着した余分な潤滑油を掻き落とし、潤滑油が燃焼室に流
入して燃焼することを防止するのが普通である。ピスト
ンリングの機能には、前記した以外にも燃焼熱をピスト
ンから外部に除去する伝熱作用や、ピストンの往復運動
を円滑にするベアリング作用等多くの作用が要求され
る。
【0003】これらのオイルリングは、所定の拡張力
(押しつけ力)によってシリンダ内壁に押しつけること
が必要であるが、リング自身の拡張力では不十分なた
め、内周に添ってコイルエキスパンダ等のリング状の弾
性体を挿入することが行われている。図3は、一般的な
コイルエキスパンダ付きオイルリングにおけるコイルエ
キスパンダを除いたオイルリング本体を示す斜視図、図
4は実開昭54-53108号公報に従来例として記載されてい
る図3に示すものと同様のオイルリングの要部を示す分
解斜視図で、(a)はオイルリング本体の一部、(b)
はコイルエキスパンダの一部を示し、3は一体形リン
グ、31は上方シール部、32は下方シール部、33は上下シ
ール部を結ぶ連結部、34は油孔、35は合口、5はコイル
エキスパンダである。
【0004】このオイルリング本体は、上方シール部31
と下方シール部32を連結部33で結合して一体形リング3
とした断面略I字状の鋳鉄製リングで、内径を押し広げ
てピストンに設けられたリング溝に装着するため、合口
35を設けてある。図5はこのオイルリングの使用状態を
示す要部の断面図で、7はピストン、71はその外周に設
けられたリング溝、8はシリンダ、81はその内壁であ
る。
【0005】ピストン7の上下運動に伴い、シリンダの
内壁81に付着している余分なオイルが上方シール部31と
下方シール部32の外周摺動面により掻き落とされる。連
結部33の外周部は掻き落としたオイルを受け入れる溝と
なっており、さらにこのオイルをピストン7の内側から
オイルパンへ戻してやるため、連結部33には油孔34が設
けられている。一方、連結部33の内周側にはコイルエキ
スパンダ5が配置され、これにより一体形リング3はシ
リンダの内壁81に押しつけられる。
【0006】このようにオイルリング本体が、上方シー
ル部31と下方シール部32が連結部33で結合されて一体と
なっているものにおいては、組み立て上と熱膨張の双方
から、一体形リング3の上下面とピストン側のリング溝
71との間に、図5に示したサイドクリアランスfが必要
であり、この隙間がオイルの抜け道となってオイル消費
が大きくなる場合がある。また、鋳鉄製オイルリングは
機械的強度が低いため断面寸法が大きくなり、ピストン
の作動に対して一層追随性が悪く、またエンジンの軽量
化にとっても好ましくない。
【0007】図6は、実開昭54-53108号公報に記載され
たオイルリングの使用状態を示す要部の断面図で、オイ
ルリング本体が上方リング1と下方リング2に分離さ
れ、これらの内周側に配置されるコイルエキスパンダ5
と合わせて3点で構成されている。この構成において
は、コイルエキスパンダ5との接触を上方リング1、下
方リング2の内周側の傾斜面13、23で行うことにより、
コイルエキスパンダ5による水平方向の拡張力の一部が
傾斜面によって上下方向の分力として作用し、上方リン
グ1と下方リング2を上下方向にも押し開くので、ピス
トンストロークの全域にわたって前記サイドクリアラン
スfが解消される。
【0008】しかし、コイルエキスパンダ5は線材をら
せん状にしたコイルであるから傾斜面13、23との接触面
積が少なく、力の伝達が不安定でかつ摩耗も速いという
問題点がある。そこで、コイルエキスパンダ5に代え
て、リング状の弾性体であるエキスパンダリングを使用
するものが実開昭55-67341号公報により提案されてい
る。図7にこれを示す。この図も使用状態を示す要部の
断面図で、このオイルリングは、上方リング1、下方リ
ング2の2枚のリングと、その内側に配置されるエキス
パンダリング6の3点で構成されている。
【0009】図8はエキスパンダリング6の単体を示す
斜視図で、61、62は傾斜面、64は油孔、65は合口であ
る。上方の傾斜面61は内方上方に傾斜し、下方の傾斜面
62は内方下方に傾斜した中高断面で、これらの傾斜角は
上方リング1、下方リング2の内周部分の傾斜と一致さ
せてあるから、ピストンの運動によって上方リング1、
下方リング2が相対的に運動してもエキスパンダリング
6との接触は安定して維持され、上方リング1、下方リ
ング2の外周面に拡張力を付与すると同時にこれらを上
下方向にも押圧する。
【0010】なお、上記実開昭55-67341号公報には、他
の実施例として、エキスパンダリング6の内側にさらに
コイルエキスパンダ5を配置して、拡張力を増強するこ
とも記載されており、これを図9に示す。ところで、上
記のような従来のオイルリングは、リング本体として通
常鋳鉄を用いており、機械的強度や耐摩耗性などの観点
から半径方向の寸法を大きくとらざるをえないため、組
み付け性、すなわちピストンへの装着作業にはとくに問
題がなかった。しかし、近年、ディーゼルエンジン用と
して耐摩耗性を重視してリング本体を鋼製にするととも
にシリンダへの追随性を向上させるためリング本体の半
径方向寸法を小さくし、コイルエキスパンダを併用して
シリンダに対する押しつけ力を高くすることが志向され
ている。
【0011】そこで、例えば図9に示したようなオイル
リングをピストンに組み付ける場合、ピストン7のリン
グ溝71内に内側に入るものから、すなわちコイルエキス
パンダ5をリング溝71内に装入し、この合口を接続し、
次にエキスパンダリング6の合口を開いてリング溝71内
に装入する。さらに同様にして上方リング1、下方リン
グ2を装入するのであるが、コイルエキスパンダ5につ
づいてエキスパンダリング6を装入しようとするとき、
コイルエキスパンダ5の外径Bがリング溝71の幅Wに対
して小さいので、コイルエキスパンダ5が現実には図の
ような中央位置にとどまらずにリング溝71内で逃げてし
まい、エキスパンダリング6をこれと正しく組み合わせ
て装着するのはきわめて困難であるという問題点があっ
た。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
問題点を解消し、組み付け性がよく、軽量でオイル掻き
性能にすぐれ、かつ耐摩耗性にすぐれるオイルリングを
実現することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の本発明
は、上方リングと下方リングとからなるオイルリング本
体の上方リングの内周面は、上部が内方に傾斜する円錐
状の傾斜面に形成され、一方、下方リングの内周面は、
下方が内側に傾斜する円錐状の傾斜面に形成されてお
り、このオイルリング本体の内周側にあってこれを外方
に拡張するリング状のコイルばねであるコイルエキスパ
ンダとの中間に、外周面が中高で、内周面は凹面の断面
形状を有するリング体であるリングプレートを配設して
なるエキスパンダ付きオイルリングである。
【0014】請求項2に記載の本発明は、リングプレー
トの外周面の中高断面が、上下部分が、上方リングの内
周の傾斜面および下方リングの内周の傾斜面とそれぞれ
略一致する傾斜の直線よりなる3つ折り形状である請求
項1に記載のエキスパンダ付きオイルリングである。ま
た、請求項3に記載の本発明は、リングプレートの外周
面の中高断面が、上方リングの内周の傾斜面および下方
リングの内周の傾斜面に内接する円弧状である請求項1
に記載のエキスパンダ付きオイルリングである。
【0015】さらに、請求項4に記載の本発明は、ピス
トンに設けられたリング溝の幅Wに対して、 リングプレートの幅A=(0.75 〜0.85) W、 コイルエキスパンダの外径B=(0.7〜0.8)W である請求項1ないし3のいずれかに記載のエキスパン
ダ付きオイルリングである。
【0016】
【作 用】本発明におけるオイルリングは、上方リング
と下方リングよりなるオイルリング本体とコイルエキス
パンダとの中間にリングプレートを配設することによ
り、コイルエキスパンダとリングプレート、リングプレ
ートとオイルリング本体とが確実に接触してコイルエキ
スパンダの拡張力が上方リングと下方リングに確実に伝
達されると同時に、サイドクリアランスも解消するの
で、オイル掻き性能がよい。
【0017】また、ピストンに設けられたリング溝の幅
Wに対して、 リングプレートの幅A=(0.75 〜0.85) W、 コイルエキスパンダの外径B=(0.7〜0.8)W、 の範囲とすることにより、コイルエキスパンダがリング
溝内で逃げることがなく、次に組み込まれるコイルプレ
ートと自然に正しい関係で嵌合するので、組み付け性が
きわめてよい。
【0018】
【実施例】本発明の一実施例を図1により説明する。図
1はオイルリングの使用状態における要部断面図で、こ
れまでと同じ部分については同一符号を使用している。
このオイルリングは、上方リング1と下方リング2より
なるオイルリング本体と、その内周にあってオイルリン
グ本体を半径方向に拡張するコイルエキスパンダ5との
中間に、外周面が中高で、内周面は凹面の断面形状を有
するリング体であるリングプレート4を配設して構成さ
れる。
【0019】上方リング1は、内周の傾斜面13は上部が
内方に傾斜する円錐状、外周は中央付近が突出してラン
ド部12を形成する凸状断面であり、下方リング2は、内
周の傾斜面23が下部が内方に傾斜する円錐状、外周は中
央付近が突出してランド部22を形成する凸状断面であ
る。リングプレート4の断面形状を図2に示す。内周面
43はコイルエキスパンダ5の外径よりやや大きい曲率を
有する円弧状の凹状溝、外周側はたとえば(a)の場合
は、上下の部分の傾斜が上方リング1と下方リング2の
内周面の傾斜に略一致する3つ折り面、(b)の場合
は、上方リング1と下方リング2の内周面に内接する円
弧状の球面で、いずれも上半分は上方が内方に傾斜し、
下半分は下方が内方に傾斜する中高形状である。図示し
ないが図8のエキスパンダリングと同様に、合口を有す
る。オイルリング本体を拡張する機能は主としてコイル
エキスパンダ5が受け持つので、リングプレート4自身
は弾性体でなくてもよい。
【0020】コイルエキスパンダ5とオイルリング本体
との中間にリングプレート4が挿入されたことにより、
コイルエキスパンダ5に対してリングプレート4は凹状
溝の内周面43により安定して接触するとともに、リング
プレート4と上方リング1、下方リング2とは円錐面あ
るいは球面と傾斜面との間で確実に接触し、かつ傾斜角
によってコイルエキスパンダ5の拡張力が上下方向にも
伝達されるから、ピストン7のリング溝71との間のサイ
ドクリアランスも解消してリング溝71上下面のシールが
良好となり、これによりオイル消費量を節減することが
できる。
【0021】ここで、ピストン7に設けられたリング溝
71の軸方向の幅Wに対して、 リングプレート4の幅A=(0.75 〜0.85) W、 コイルエキスパンダ5のコイルの外径B=(0.7〜0.8)
W、 の範囲とすると、コイルエキスパンダ5のみを装入した
状態でもコイルエキスパンダがリング溝71内で隅の方に
逃げることがなくほぼ溝中央に位置しており、次にリン
グプレート4を組み込むと、リングプレートの内周面43
の凹状溝と自然に正しい関係で嵌合するので、組み付け
性がきわめてよい。
【0022】上記A、Bの値は、エンジンの軽量化の見
地からは小さい方が望ましいので、上限値を1とせず、
効果の変わらない範囲で低めの値である0.85または0.8
とした。下限値未満となると前記したような「逃げ」が
発生し、組み付け性が悪くなる。コイルエキスパンダ5
の拡張力と上下方向の分力との配分は、前記接触面の傾
斜角θにより変化するわけであるが、実験結果によれば
傾斜角θは 5〜20°の範囲が望ましい。
【0023】なお、オイルリング本体およびリングプレ
ートの材質は特に鋼製に限定されるものではなく、鋳鉄
やそれ以外の金属、あるいは耐熱性合成樹脂等で製造し
てもよい。
【0024】
【発明の効果】本発明のオイルリングは、組み付け性が
よく、拡張力の伝達や部品間の接触がよいのでオイルコ
ントロール性能がよいとともに耐久性にもすぐれる等の
特徴を有し、オイルの消費量が節減されるとともにエン
ジンの軽量化が達成されるなどのすぐれた効果を奏す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例のオイルリングの使用状態を示
す部分断面図である。
【図2】本発明の実施例のリングプレートの形状を示す
断面図である。
【図3】従来一般的なオイルリングの例を示す斜視図で
ある。
【図4】従来一般的なオイルリングの例を示す部分斜視
図である。
【図5】従来一般的なオイルリングの使用状態を示す部
分断面図である。
【図6】他の従来例のオイルリングの使用状態を示す部
分断面図である。
【図7】さらに他の従来例のオイルリングの使用状態を
示す部分断面図である。
【図8】図7のオイルリングにおけるエキスパンダリン
グを示す斜視図である。
【図9】さらに他の従来例のオイルリングの使用状態を
示す部分断面図である。
【符号の説明】
1 上方リング 2 下方リング 3 一体形リング 4 リングプレート 5 コイルエキスパンダ 6 エキスパンダリング 7 ピストン 8 シリンダ 11 上面シール部 12、22 ランド部 13、23 傾斜面 21 下面シール部 31 上方シール部 32 下方シール部 33 連結部 34 油孔 35 合口 41、42 傾斜面 43 内周面 44 油孔 45 合口 71 リング溝 81 内壁

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 上方リング(1)と下方リング(2)と
    からなるオイルリング本体の上方リング(1)の内周面
    は、上部が内方に傾斜する円錐状の傾斜面(13)に形成
    され、一方、下方リング(2)の内周面は、下方が内側
    に傾斜する円錐状の傾斜面(23)に形成されており、こ
    のオイルリング本体の内周側にあってこれを外方に拡張
    するリング状のコイルばねであるコイルエキスパンダ
    (5)との中間に、外周面が中高で、内周面は凹面の断
    面形状を有するリング体であるリングプレート(4)を
    配設してなるエキスパンダ付きオイルリング。
  2. 【請求項2】 リングプレート(4)の外周面の中高断
    面が、上下部分が、上方リング(1)の内周の傾斜面
    (13)および下方リング(2)の内周の傾斜面(23)と
    それぞれ略一致する傾斜の直線よりなる3つ折り形状で
    ある請求項1に記載のエキスパンダ付きオイルリング。
  3. 【請求項3】 リングプレート(4)の外周面の中高断
    面が、上方リング(1)の内周の傾斜面(13)および下
    方リング(2)の内周の傾斜面(23)に内接する円弧状
    である請求項1に記載のエキスパンダ付きオイルリン
    グ。
  4. 【請求項4】 ピストン(7)に設けられたリング溝
    (71)の幅Wに対して、 リングプレート(4)の幅A=(0.75 〜0.85) W、 コイルエキスパンダ(5)の外径B=(0.7〜0.8)W である請求項1ないし3のいずれかに記載のエキスパン
    ダ付きオイルリング。
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