JP4383451B2 - 内燃機関のためのピストン - Google Patents

Description

本発明は、請求項１の上位概念部に記載した形式の、内燃機関のためのピストンに関する。

コンプレッションリングの溝のための補強部を形成する、ピストントップの外側の領域に配置されたニレジストから成るリングエレメントを備えた、内燃機関のためのアルミニウムピストンは、特開平０６−００２６１３号公報から公知である。リングエレメントをアルミニウムベースボディに確実に固定するために、リングエレメントをベースボディに摩擦圧接法により固定することが必要である。ここでの欠点はこの固定法が比較的手間のかかるものである点にある。

本発明の課題は上記背景技術の欠点を回避することである。この課題は主請求項の特徴部に記載した特徴により解決される。本発明の有利な構成は従属請求項の対象である。

これにより得られる利点は、アルミニウムピストンに、迅速に、簡単にかつ確実に、機械的に負荷可能なリング溝補強部を設けることができる点にある。

本発明の実施例について以下に図面を参照しながら説明する。
図１：本発明によるニレジストリングエレメントを備えた内燃機関用ピストンの、互いに９０゜ずらされたピストン縦断面を示す２つの片側断面図から成る図である。
図２：ニレジストリングエレメントを有するピストントップの縁部領域を通る拡大断面図である。

図１には、内燃機関のためのピストン１の、２つの片側断面図から成る図が示されている。両片側断面図のうちの左図には、ボス孔６の長手方向軸線５に沿ったピストン１の断面図が示されており、右図には、ピストン１を通る、左図に対して９０゜ずらされた断面図が示されている。

ピストン１は実質的に円筒形のベースボディ２から成る。ベースボディ２はピストントップ３を有している。ピストントップ３の半径方向外側の縁部領域にはリングエレメント４が配置されている。リングエレメント４によりピストントップ３の半径方向外側の部分が形成される。ピストントップ３の中央の領域には燃焼室７が凹設されている。さらにベースボディ２は、ピストントップ３とは反対側に位置する下側に、ボス孔６のためのピンボス８と、ピンボス８を互いに結合するスカートエレメント９とを有している。リングエレメント４は半径方向外側に位置する周面１０に、図示していないコンプレッションリングのための溝１１を有しており、かつ下側の端面１２でもって、第２のリング溝１３の上側の溝側面（フランク）の半径方向外側の部分を形成する。ベースボディ２の半径方向外側の周面１４は第２のリング溝１３の下側にオイルリング溝１５を有している。

リングエレメント４のピストントップ側の領域には半径方向内側にカラー１６が一体成形されている。カラー１６はピストントップ３とは反対側の下面にリング面１７を有している。リング面１７は本実施例ではピストントップ３に対して平行に位置しているが、横断面で見てピストントップ３に対して斜めに位置していてもよい。その結果、リング面１７は円錐形の形状を有している。ピストントップ３の半径方向外側の領域には、断面で見てステップ状の切欠き１８が凹設されている。切欠き１８は、カラー１６が切欠き１８に係合もしくは嵌合し、付加的にリング面１７と切欠き１８との間に、皿ばね状に形成されたリング状のシールエレメント１９が埋設されることができるように、カラー１６に対して相補的な形状を有している。

リング面１７の下側にリングエレメント４はその内面に切欠き２０を有している。切欠き２０は、ピストントップ３の近傍でベースボディ２の外面に穿設された切欠き２１と相俟って、１つのリング状のクーリングギャラリもしくはクーリングチャンネル２２を形成する。ピストン内面２３をクーリングチャンネル２２に接続するオイルチャンネル２４を介して、クーリングオイルがクーリングチャンネル２２から導出される。クーリングオイルは、図示していない別のオイルチャンネルを介して、クーリングチャンネル２２に導入される。ここでのシールエレメント１９の役割はピストン１を燃焼ガスから封止することにある。

リングエレメント４の内面の、下側の端面１２の近傍に配置された雌ねじ山２５は、リングエレメント４をベースボディ２に固定するために役立つ。雌ねじ山２５は、周面１４の、第２のリング溝１３の近傍に設けられた雄ねじ山２６に適合する。ベースボディ２とリングエレメント４との間の、雌ねじ山２５と雄ねじ山２６とから成るねじ結合部に、エンジン運転のための十分な強度を提供するために、リングエレメント４は、雌ねじ山２５と切欠き２０との間に配置され、ピストントップ３に対して平行に位置するリング状の載置面２７を有している。載置面２７は、リングエレメント４をベースボディ２に螺合する際に、やはりピストントップ３に対して平行に位置し、ベースボディ２の雄ねじ山２６と切欠き２１との間に配置されたリング状の載置面２８に当て付けられる。

ねじ結合部の強度の改善は、リングエレメントの、リングエレメント４の載置面２７と雌ねじ山２５との間に軸方向で配置された薄肉化された壁領域２９により得られる。壁領域２９は雌ねじ山を有しておらず、リングエレメントをベースボディ２に固く螺合する際に延伸を受ける。それにより、ねじ結合部に機械的な応力が働き、ねじ結合部の強度をかなり改善する。

シールエレメント１９は、皿ばね状に形成されたことに基づいて、リングエレメント４をベースボディ２に螺合する際に変形される。それにより、シールエレメント１９は機械的に予圧され、力を両ピストン部分２，４に及ぼす。それにより、ねじ結合部の強度のさらなる改善が得られる。

それに加えて、ベースボディ２の周面はカラー１６とクーリングチャンネル２２との間に、半径方向外側に向かって方向付けられた突出部３０を有している。突出部３０はピストントップ側で切欠き１８を形成し、ピストントップ３とは反対側でクーリングチャンネル２２を画定する。突出部３０は、リングエレメント４をベースボディ２に螺合する際に変形され、ひいてはねじ結合部の緩みの防止に付加的に貢献するように僅かな肉厚を有している。

ベースボディ２はアルミニウムから製作される。アルミニウムは鍛造により所望の形状にもたらされる。リングエレメント４はニレジストから鋳造法の使用下で製作される。ニレジストは１２％〜２０％のニッケルを含むオーステナイト系の鋳鉄である。ニレジストはそれに加えてマンガン、銅、クロムといった合金成分を含んでいる。ニレジストはピストンリング溝の補強のために特に良好に適している。

図２には、ピストン１のピストントップ側の縁部領域を通る拡大断面図が示されており、螺合されたリングエレメント４を備えたベースボディ２が示されている。ピストントップ３の縁部領域に凹設された切欠き２１が明瞭に見て取れる。切欠き２１はクーリングチャンネル２２を形成するために、ニレジストから成るリングエレメント４により覆われる。その際、リングエレメント４は雌ねじ山２５を介してベースボディ２の雄ねじ山２６に螺合される。

本発明によるニレジストリングエレメントを備えた内燃機関用ピストンの、互いに９０゜ずらされたピストン縦断面を示す２つの片側断面図から成る図である。 ニレジストリングエレメントを有するピストントップの縁部領域を通る拡大断面図である。

符号の説明

１ ピストン
２ ベースボディ
３ ピストントップ
４ リングエレメント
５ 長手方向軸線
６ ボス孔
７ 燃焼室
８ ピンボス
９ スカートエレメント
１０ 周面
１１ 溝
１２ リングエレメント４の下側の端面
１３ 第２のリング溝
１４ 周面
１５ オイルリング溝
１６ カラー
１７ リング面
１８ 切欠き
１９ シールエレメント
２０ 切欠き
２１ 切欠き
２２ クーリングチャンネル
２３ ピストン内面
２４ オイルチャンネル
２５ 雌ねじ山
２６ 雄ねじ山
２７ 載置面
２８ 載置面
２９ 薄肉化された壁領域
３０ 突出部

Claims (6)

1. 内燃機関のためのピストン（１）であって、
   −アルミニウムから成る実質的に円筒形のベースボディ（２）が設けられており、該ベースボディ（２）の一方の端面がピストントップ（３）を形成し、
   −ベースボディ（２）の、ピストントップ（３）とは反対側の下側に配置された、ボス孔（６）を備えたピンボス（８）が設けられており、
   −ピンボス（８）を互いに結合するスカートエレメント（９）が設けられており、
   −ニレジストから成る、ピストントップ（３）の半径方向外側の縁部領域に配置されたリングエレメント（４）が設けられており、該リングエレメント（４）がベースボディ（２）と相俟って１つのリング状のクーリングチャンネル（２２）を形成し、かつベースボディ（２）にねじ山結合部を介して固定されており、該ねじ山結合部が、リングエレメント（４）の下側の端面（１２）とクーリングチャンネル（２２）との間に位置し、かつリングエレメント（４）の半径方向内側に位置する面に配置された雌ねじ山（２５）と、該雌ねじ山（２５）に係合し、かつベースボディ（２）の周面（１４）の、クーリングチャンネル（２２）の下側に配置された雄ねじ山（２６）とから成る
   形式のものにおいて、
   −リングエレメント（４）が断面で見て二段階に形成されており、
   ＝ピストントップ側の第１のステップは、リングエレメント（４）のピストントップ側の領域に、半径方向内側に向かって方向付けられ、断面で見てステップ状のカラー（１６）が一体成形されていることにより形成されており、該カラー（１６）にピンボス側でクーリングチャンネル（２２）が続いており、
   ＝第２のステップは、リングエレメント（４）がクーリングチャンネル（２２）と雌ねじ山（２５）との間に、ピストントップ（３）に対して平行に位置し、クーリングチャンネル（２２）を起点として半径方向外側に向かって延びるリング状の載置面（２７）を有していることにより形成されており、該載置面（２７）が、リングエレメント（４）をベースボディ（２）に螺合する際に、ピストントップ側でクーリングチャンネル（２２）と雄ねじ山（２６）との間にベースボディ（２）に作り込まれている載置面（２８）に当て付けられており、
   −リングエレメント（４）が載置面（２７）と雌ねじ山（２５）との間に、軸方向で位置する薄肉化された壁領域（２９）を有しており、該壁領域（２９）が、リングエレメント（４）をベースボディ（２）に螺合する際に軸方向で延伸可能である
   ことを特徴とする、内燃機関のためのピストン。
2. カラー（１６）が、ピストントップ（３）とは反対側の下面に、実質的にピストントップ（３）に対して平行に位置するリング面（１７）を有しており、ピストントップ（３）の半径方向外側の領域に、断面で見てステップ状の切欠き（１８）が作り込まれており、該切欠き（１８）が、カラー（１６）に対して実質的に相補的な形状を有しており、さらに、リング面（１７）と切欠き（１８）との間に、皿ばね状に形成されたリング状のシールエレメント（１９）が配置されており、該シールエレメント（１９）が、リングエレメント（４）をベースボディ（２）に螺合する際に変形可能である、請求項１記載の、内燃機関のためのピストン。
3. ベースボディ（２）が鍛造により製作される、請求項１または２記載の、内燃機関のためのピストン。
4. リングエレメント（４）が鋳造法により製作される、請求項１から３までのいずれか１項記載の、内燃機関のためのピストン。
5. リングエレメント（４）が、半径方向外側に位置する周面（１０）に、コンプレッションリングのための溝（１１）を有しており、リングエレメント（４）の下側の端面（１２）が、ベースボディ（２）に作り込まれたリング溝（１３）の上側の溝側面の、少なくとも半径方向外側の部分を形成する、請求項１から４までのいずれか１項記載の、内燃機関のためのピストン。
6. ベースボディ（２）が、半径方向外側に向かって方向付けられ弾性的に可撓なリング状の突出部（３０）を有しており、該突出部（３０）がピストントップ側で切欠き（１８）を形成し、クーリングチャンネル（２２）のピストントップ側の境界を形成し、かつリングエレメント（４）をベースボディ（２）に螺合する際に変形可能である、請求項１から５までのいずれか１項記載の、内燃機関のためのピストン。

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