JP5089530B2 - ロボット走行台車の移動経路の決定方法及びその決定方法を実施可能なロボットシステム - Google Patents

ロボット走行台車の移動経路の決定方法及びその決定方法を実施可能なロボットシステム Download PDF

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本発明は、ワーク上に設定された作業部位に対して作業を行うロボットを搭載したロボット走行台車の移動経路の決定方法及びその決定方法を実施可能なロボットシステムに関するものである。
近年、ワークに対する溶接、塗装、バリ取り及び切断などの各種作業をロボットに行わせることが多くなっている。このような各種作業においてロボットが行う作業結果の品質及び効率を向上させるために、ロボットの動作範囲よりも広い作業部位に対して作業を行わせることが増えていた。そのため、ワークに対するロボットの位置を変化させるロボット走行台車を移動させつつロボットの動作範囲内にワークが納まるように、ロボット走行台車及びロボットを連動させることが必要となっていた。
しかし、ロボットの動作範囲内にワークが納まるようなロボット走行台車の移動経路は無数にあり、移動経路を算出するために莫大な時間と労力がかかり、その中から最も適切な移動経路を決定することは非常に困難であった。
そこで従来は、熟練した使用者が長年培った経験に基づいてロボット走行台車の移動経路を決めたり、ワークに対して真正面にロボットが位置するようにロボット走行台車を移動させる等の簡単なルールによって移動経路を決定していた。
また、特許文献1には、ロボット走行台車の移動経路を決定する技術が開示されている。
この技術は、ワークに対して作業を行わせる際に複数の中間点をロボットに教示する場合において、各中間点に対してロボットが届きうる領域の共通部分にロボットを順次移動させることで、適切なロボット走行台車の移動経路を決定することを特徴としている。
特開平06−254782号公報
しかしながら、特許文献1に記載されたロボット走行台車の移動経路の決定方法は、ロボット走行台車の移動速度が限界を超える移動経路を決定する可能性があった。特に、ワーク上に設定された作業部位が短いにもかかわらず、ロボット走行台車の移動距離が極端に長い場合には、ロボット走行台車の移動速度が限界を超える可能性が大であった。そのような場合、実際には動作速度リミッタなどの保護回路により、ロボット走行台車は停止、又は限界の移動速度で移動するなどしていたものの、ワークに対してロボットが行う作業結果の品質を満たすことが必ずしも十分ではなかった。
そこで、本発明は、上述した問題点を鑑み、ワーク上に設定された作業部位に対して作業を行うロボットを搭載したロボット走行台車の適切な移動経路を自動的に決定し、決定作業の効率及びワークに対してロボットが行う作業結果の品質を向上させるロボット走行台車の移動経路の決定方法及びその決定方法を実施可能なロボットシステムを提供することを目的とする。
前記目的を達成するため、本発明は、以下の技術的手段を採用した。
本発明に係るロボット走行台車の移動経路の決定方法は、ワーク上に設定された作業部位に対して作業を行うロボットを搭載したロボット走行台車の移動経路の決定方法において、前記ワーク上の作業部位に対応して移動する前記ロボット走行台車の移動経路と、この移動経路での前記ロボットの動作を予め設定する初期設定工程と、前記初期設定工程で設定された移動経路におけるロボット走行台車の移動速度が所定の速度を超える際に、当該移動経路を変更すると共に変更された移動経路でのロボットの動作を再設定する再設定工程と、を備えていることを特徴とする。
これにより、ロボット走行台車の移動速度の限界を超えない適切な移動経路を自動的に決定することができる。さらに、ロボット走行台車の移動経路の決定作業の効率及びワークに対してロボットが行う作業結果の品質を向上させることができる。
好ましくは、前記ロボット走行台車の移動速度は、前記ロボット走行台車の移動経路の距離をワーク上の作業部位に対するロボットの作業時間で除することで算出され、前記所定の速度は、ロボット走行台車の移動速度の上限値とされていて、前記再設定工程では、ロボット走行台車の移動速度が前記上限値を下回るように、移動経路の始点及び/又は終点を再設定することを特徴とする。
これにより、ワーク上の作業部位ごとの作業完了させるべき作業時間をロボットが守ることで、ワークに対してロボットが行う作業結果の品質を保ちつつ、ロボット走行台の移動速度の上限値を越えることのない移動経路を決定できる。
また、ワーク上に設定された作業部位に対して作業を行うロボットを搭載したロボット走行台車の移動経路の決定方法において、前記ワーク上の作業部位に対応して移動する前記ロボット走行台車の移動経路と、この移動経路での前記ロボットの動作を予め設定する初期設定工程と、前記初期設定工程で設定された移動経路と前記作業部位との距離の比が所定の比を超える際に、当該移動経路を変更すると共に変更された移動経路でのロボットの動作を再設定する再設定工程と、を備えていることとしてもよい。
これにより、ロボット走行台車の移動速度の限界を超えない適切な移動経路を自動的に決定できると同時に、ロボット走行台車の移動経路の決定作業の効率及びワークに対してロボットが行う作業結果の品質を向上させることができる。また、各作業部位ごとに作業時間、ロボット走行台車の移動速度を計算する場合よりも、ロボット走行台車の適切な移動経路を自動的に決定する際の計算量を低減できる。さらに、共に視認できるワーク上に設定された作業部位の長さとロボット走行台車の移動距離との比を用いているため、ロボット走行台車の移動速度が限界を越えているか否かを操作者にとってより直感的に理解しやすくすることができる。
好ましくは、前記所定の比は、前記ロボット走行台車の移動速度の上限値をワーク上の作業部位に対するロボットの許容できる作業速度で除した算出値であり、前記再設定工程では、初期設定工程で設定された移動経路と前記作業部位との距離の比が前記算出値を下回るように、移動経路の始点及び/又は終点を再設定することとしてもよい。
これにより、ワーク上の作業部位ごとの作業完了させるべき作業時間をロボットが守ることで、ワークに対してロボットが行う作業結果の品質を保ちつつ、ロボット走行台の移動速度の上限値を越えることのない移動経路を決定できる。
また、本発明に係るロボットシステムは、ワーク上に設定された作業部位に対して作業を行うロボットと、該ロボットを搭載したロボット走行台車と、前記ロボット及びロボット走行台車を制御する制御装置と、前記ロボット走行台車の移動経路の教示データを作成するオフライン教示装置を備えており、前記オフライン教示装置は、前記ワーク上の作業部位に対応して移動する前記ロボット走行台車の移動経路と、この移動経路での前記ロボットの動作を予め設定する初期設定部と、前記初期設定部で設定された移動経路におけるロボット走行台車の移動速度が所定の速度を超える際に、当該移動経路を変更すると共に変更された移動経路でのロボットの動作を再設定する再設定部と、を有していることを特徴とする。
これにより、ロボット走行台車の移動速度の限界を超えない適切な移動経路を自動的に決定することができる。さらに、ロボット走行台車の移動経路の決定作業の効率及びワークに対してロボットが行う作業結果の品質を向上させることができる。
また、ワーク上に設定された作業部位に対して作業を行うロボットと、該ロボットを搭載したロボット走行台車と、前記ロボット及びロボット走行台車を制御する制御装置と、前記ロボット走行台車の移動経路の教示データを作成するオフライン教示装置を備えており、前記オフライン教示装置は、前記ワーク上の作業部位に対応して移動する前記ロボット走行台車の移動経路と、この移動経路での前記ロボットの動作を予め設定する初期設定部と、前記初期設定部で設定された移動経路と前記作業部位との距離の比が所定の比を超える際に、当該移動経路を変更すると共に変更された移動経路でのロボットの動作を再設定する再設定部と、を有していることとしてもよい。
これにより、ロボット走行台車の移動速度の限界を超えない適切な移動経路を自動的に決定できると同時に、ロボット走行台車の移動経路の決定作業の効率及びワークに対してロボットが行う作業結果の品質を向上させることができる。また、各作業部位ごとに作業時間、ロボット走行台車の移動速度を計算する場合よりも、ロボット走行台車の適切な移動経路を自動的に決定する際の計算量を低減できる。さらに、共に視認できるワーク上に設定された作業部位の長さとロボット走行台車の移動距離との比を用いているため、ロボット走行台車の移動速度が限界を越えているか否かを操作者にとってより直感的に理解しやすくすることができる。
なお、本発明に係るロボット走行台車の移動経路の決定方法の最も好ましい形態は、ワーク上に設定された作業区間に対して作業を行うロボットを搭載したロボット走行台車の移動経路の決定方法において、前記ワーク上の作業区間に対応して移動する前記ロボット走行台車の移動経路と、この移動経路での前記ロボットの動作を予め設定する初期設定工程と、前記初期設定工程で設定された移動経路におけるロボット走行台車の移動速度が所定の速度を超える際に、当該移動経路を変更すると共に変更された移動経路でのロボットの動作を再設定する再設定工程と、を備えていて、前記ロボット走行台車の移動速度は、前記ロボット走行台車の移動経路の距離をワーク上の作業区間に対するロボットの作業時間で除することで算出され、前記所定の速度は、ロボット走行台車の移動速度の上限値とされていて、前記再設定工程は、各作業区間において、ロボット走行台車の移動速度が前記上限値を下回るように、移動経路の始点及び/又は終点を設定する工程を有していることを特徴とする。
本発明に係るロボット走行台車の移動経路の決定方法の最も好ましい他の形態は、ワーク上に設定された作業区間に対して作業を行うロボットを搭載したロボット走行台車の移動経路の決定方法において、前記ワーク上の作業区間に対応して移動する前記ロボット走行台車の移動経路と、この移動経路での前記ロボットの動作を予め設定する初期設定工程と、前記初期設定工程で設定された移動経路と前記作業区間との距離の比が所定の比を超える際に、当該移動経路を変更すると共に変更された移動経路でのロボットの動作を再設定する再設定工程と、を備えていて、前記所定の比は、前記ロボット走行台車の移動速度の上限値をワーク上の作業区間に対するロボットの許容できる作業速度で除した算出値であり、前記再設定工程は、各作業区間において、初期設定工程で設定された移動経路と前記作業区間との距離の比が前記算出値を下回るように、移動経路の始点及び/又は終点を設定する工程を有していることを特徴とする。
本発明に係るロボットシステムの最も好ましい形態は、ワーク上に設定された作業区間に対して作業を行うロボットと、該ロボットを搭載したロボット走行台車と、前記ロボット及びロボット走行台車を制御する制御装置と、前記ロボット走行台車の移動経路の教示データを作成するオフライン教示装置を備えており、前記オフライン教示装置は、前記ワーク上の作業区間に対応して移動する前記ロボット走行台車の移動経路と、この移動経路での前記ロボットの動作を予め設定する初期設定部と、前記初期設定部で設定された移動経路におけるロボット走行台車の移動速度が所定の速度を超える際に、当該移動経路を変更すると共に変更された移動経路でのロボットの動作を再設定する再設定部と、を有していて、前記ロボット走行台車の移動速度は、前記ロボット走行台車の移動経路の距離をワーク上の作業区間に対するロボットの作業時間で除することで算出され、前記所定の速度は、ロボット走行台車の移動速度の上限値とされていて、前記再設定部は、各作業区間において、ロボット走行台車の移動速度が前記上限値を下回るように、移動経路の始点及び/又は終点を設定するように構成されていることを特徴とする。
本発明に係るロボットシステムの最も好ましい他の形態は、ワーク上に設定された作業区間に対して作業を行うロボットと、該ロボットを搭載したロボット走行台車と、前記ロボット及びロボット走行台車を制御する制御装置と、前記ロボット走行台車の移動経路の教示データを作成するオフライン教示装置を備えており、前記オフライン教示装置は、前記ワーク上の作業区間に対応して移動する前記ロボット走行台車の移動経路と、この移動経路での前記ロボットの動作を予め設定する初期設定部と、前記初期設定部で設定された移動経路と前記作業区間との距離の比が所定の比を超える際に、当該移動経路を変更すると共に変更された移動経路でのロボットの動作を再設定する再設定部と、を有していて、前記所定の比は、前記ロボット走行台車の移動速度の上限値をワーク上の作業区間に対するロボットの許容できる作業速度で除した算出値であり、前記再設定部は、各作業区間において、初期設定工程で設定された移動経路と前記作業区間との距離の比が前記算出値を下回るように、移動経路の始点及び/又は終点を設定するように構成されていることを特徴とする。
本発明のロボット走行台車の移動経路の決定方法及びその決定方法を実施可能なロボットシステムを用いることで、ワーク上に設定された作業部位に対して作業を行うロボットを搭載したロボット走行台車の適切な移動経路を自動的に決定することができ、決定作業の効率及びワークに対してロボットが行う作業結果の品質を向上させることができる。
以下、本発明のおける第1実施形態及び第2実施形態の共通点を、図面に基づき説明する。
図1には、本発明に係るロボット走行台車の移動経路の決定方法を実施可能なロボットシステム1が示されている。
なお、以下の各実施形態においては、溶接作業を行うロボットシステム1について述べる。
ロボットシステム1は、溶接対象となるワークW上に設定された作業部位に対して溶接作業を行う溶接ロボット2と、溶接ロボット2を搭載したロボット走行台車3と、溶接対象となるワークWを所定の姿勢で保持するポジショナ4と、溶接ロボット2、ロボット走行台車3及びポジショナ4を制御する制御装置5とからなる。
溶接ロボット2は、産業用ロボットとして一般的な6軸の多関節型ロボットであり、その先端に溶接トーチを把持する。なお、溶接ロボット2は、他の形式のロボットでもよい。
ロボット走行台車3は、ワークWに対する溶接ロボット2の位置を変化させる3方向へ移動可能なスライダであり、溶接ロボット2を搭載している。また、ロボット走行台車3は、x軸方向(ワークW及びポジショナ4に近接離反する水平な方向)、y軸方向(x軸方向及び鉛直方向に直交する方向)、z軸方向(鉛直方向)の各方向に沿ってそれぞれ直線的に移動する。
ポジショナ4は、ワークWを支持する装置であり、ワークWを適切な角度で傾けるために用いられる。なお、図1においては、ポジショナ4をも含んだロボットシステム1を示しているが、ポジショナ4はなくてもよい。
制御装置5は、コンピュータを搭載しており、予め動作・移動を教示する教示データに従って、溶接ロボット2、ロボット走行台車3及びポジショナ4を制御する。また、制御装置5には、教示ペンダントが接続されている。
前述した教示データは、外部のパソコンを利用したオフライン教示装置6を使用して事前に作成する。
オフライン教示装置6は、ワークW上の作業部位に対応して移動するロボット走行台車3の移動経路と、この移動経路での溶接ロボット2の動作を予め設定する初期設定部と、初期設定部で設定された移動経路におけるロボット走行台車3の移動速度Vsが所定の速度を超える際に、当該移動経路を変更すると共に変更された移動経路での溶接ロボット2の動作を再設定する再設定部と、を備えている。
なお、前述した制御装置5の教示ペンダントを用いて以下に示す移動経路の決定方法を実施してもよい。
図2は、ワークW上に設定された作業部位を溶接ロボット2にて溶接する際のロボット走行台車3の移動経路を示す模式図である。
図2において、溶接対象としてワークW上に設定された作業部位は、溶接区間W〜溶接区間Wによって構成されている。ここで、溶接ロボット2を搭載したロボット走行台車3は、溶接区間W〜溶接区間W中の端点P〜端点Pにそれぞれ対応する位置S〜位置Sを順に移動している。この間、溶接ロボット2は、把持した溶接トーチを溶接区間W〜溶接区間Wに追従する動作を行っている。
また、図3には、ワークW上における溶接区間W〜溶接区間W中の端点P(x,y,z)〜端点P(x,y,z)の座標値が示されている。その具体的な数値は、P(−25,−225,20)、P(−225,−25,20)、P(−225,25,20)、P(−25,225,20)(各値の単位はmm)である。なお、端点P〜端点Pの座標値は、ポジショナ4のワークW取付面の中心を基準としている。
ここで、溶接区間Wの端点Pに対応するロボット走行台車3の位置Sを、溶接区間Wに対応するロボット走行台車3の移動経路の始点と設定している。また、溶接区間Wの端点Pに対応するロボット走行台車3の位置Sを、ロボット走行台車3の移動経路の終点と設定している。
さらに、以下の第1実施形態及び第2実施形態においては、使用者が簡単なルールに則って予め設定したロボット走行台車3の位置S(Sx,Sy,Sz)〜位置S(Sx,Sy,Sz)の座標値を、S(664.3,−1285.7,20.0),S(139.2,−599.0,20.0),S(139.2,599.0,20.0),S(664.3,1285.7,20.0)(各値の単位はmm)としている。
なお、ポジショナ4は、溶接作業中に動作させないため、図2においては省略している。
[第1実施形態]
本発明に係るロボット走行台車3の移動経路の決定方法の第1実施形態について説明する。
以下、第1実施形態の概要を示す。
図4は、第1実施形態における初期設定工程P1をステップS101〜ステップS104によって構成し、再設定工程P2をステップS105〜ステップS110によって構成した場合のフローチャートである。
ステップS101において、溶接対象となるワークW上の作業部位を構成する各溶接区間Wにおける各端点Pの座標値、溶接条件及び溶接トーチの姿勢を初期設定する。
ステップS102において、使用者は、ワークW上の各溶接区間W中の端点P、端点Pのそれぞれに対応するロボット走行台車3の位置S及び位置Sの座標値を、簡単なルールによって、ロボット走行台車3の移動経路の始点及び終点として初期設定する。
ステップS103において、ステップS102で初期設定された各溶接区間Wに対応するロボット走行台車3の移動経路にあわせて、溶接ロボット2の溶接トーチが各溶接区間Wの各端点Pを通過するような逆変換をして溶接ロボット2の6軸の角度・角速度を決めることで、溶接ロボット2の動作を初期設定する。
ステップS104において、ロボット走行台車3の移動経路にて、溶接ロボット2がワークW及びポジショナ4に干渉(接触)するか否かを判定する。干渉がある(つまりYes)と判定されると、処理はステップS102へ移される。もしそうでない(つまりNo)と判定されると、処理は再設定工程P2すなわちステップS105へ移される。
ステップS105において、各溶接区間Wに対応するロボット走行台車3の移動速度Vsを算出する。
ステップS106において、各溶接区間Wに対応するロボット走行台車3の移動速度Vsの限界から設定された所定の速度(以下、「移動速度の許容閾値Vs」という)を超えている溶接区間Wがあるか否かを判定する。
移動速度Vsが許容閾値Vsを越えている(つまりYes)と判定されると、ロボット走行台車3の移動経路は決定し、処理は終了する。
移動速度Vsが許容閾値Vsを越えていない(つまりNo)と判定されると、処理はステップS107へ移される。
ステップS107において、移動速度Vsが許容閾値Vsを越えた当該溶接区間Wに対応するロボット走行台車3の移動距離Lsが、ステップS106にて算出したロボット走行台車3の許容できる最大移動距離Ls以下となるように、ロボット走行台車3の移動経路の始点S及び/又は終点Sを再設定する。
ステップS108において、ステップS107で新たに再設定された各溶接区間Wに対応するロボット走行台車3の移動経路にあわせて、溶接ロボット2の溶接トーチが各溶接区間Wの各端点Pを通過するような逆変換をして溶接ロボット2の6軸の角度・角速度を決めることで、溶接ロボット2の動作を再設定する。
ステップS109において、ロボット走行台車3の移動経路にて、溶接ロボット2がワークW及びポジショナ4に干渉(接触)するか否かを判定する。干渉がある(つまりYes)と判定されると、処理はステップS107へ移される。もしそうでない(つまりNo)と判定されると、処理はステップS105へ移される。
なお、ステップS107〜ステップS109を繰り返しても、ワークW等に干渉しない溶接ロボット2の動作を見いだしうるような始点S、終点Sの組み合わせが無い場合は、使用者に修正を促すメッセージを出し、当該溶接区間Wに対応するロボット走行台車3の移動経路の始点S及び/又は終点Sを再設定しないこととする。
ステップS110において、全ての溶接区間Wに対応するロボット走行台車3の移動経路の始点S及び/又は終点Sに対して再設定する必要がなくなるまで、又は規定回数まで、ステップS105〜ステップS109を繰り返し実行する。これは、ステップS107にて当該溶接区間Wに対応するロボット走行台車3の移動経路の始点S及び/又は終点Sが再設定されたため、再設定された溶接区間Wの前後の溶接区間W、溶接区間Wに対応するロボット走行台車3の移動経路にも影響を及ぼしているからである。
なお、初期設定工程P1であるステップS101〜ステップS104は、他の方法・手順で溶接位置、溶接姿勢、ロボット走行台車3及びポジショナ4などの周辺軸を設定しても、なんら差し障りない。
以下、第1実施形態の詳細を説明する。
図5は、第1実施形態の詳細を示したフローチャートである。図5に示すように、初期設定工程P1はステップS201〜ステップS203によって構成され、再設定工程P2はステップS204〜ステップS209によって構成されている。
なお、ステップS201及びステップS202は、図4のステップS101に相当する。
また、ステップS203は、図4のステップS102に相当する。
さらに、ステップS204及びステップS205は、図4のステップS105に相当する。
そして、ステップS206は、図4のステップS106に相当する。
また、ステップS207及びステップS208は、図4のステップS107に相当する。
さらに、ステップS209は、図4のステップS110に相当する。
ここで、図5においては、ステップS103、ステップS104、ステップS108、ステップS109に相当するステップを省略している。
ステップS201では、オフライン教示装置6に入力したワークWの情報を元に、図3に示すような各溶接区間Wの端点Pの座標値を初期設定する。
ステップS202では、指定された各溶接区間Wに対し、溶接トーチを把持する溶接ロボット2の姿勢及び許容できる溶接速度Vを、開先形状や溶接部の要求強度などの施工情報に基づいて初期設定する。
ステップS203では、各溶接区間Wに対して溶接作業を行うときのロボット走行台車3の移動経路の設定を行う。本実施形態においては、使用者は、簡単なルールによって、各溶接区間Wの端点P、端点Pにそれぞれ対応するロボット走行台車3の移動経路の始点S、終点Sの座標値をそれぞれ初期設定する。
なお、上述した簡単なルールとは、ワークWに対して真正面に溶接ロボット2が位置するようにロボット走行台車3の移動経路を決定する、つまり、各溶接区間Wに対しては垂直に、且つ各溶接区間W中の端点Pに対しては前後の溶接区間W、溶接区間Wがなす角の2等分線上に溶接ロボット2が位置するように、溶接区間Wに対応するロボット走行台車3の移動経路の始点S、終点Sを決定すること等を指す。
また、溶接ロボット2がワークW及びポジショナ4に干渉(接触)する場合には、溶接ロボット2が干渉しなくなるような適切なロボット走行台車3の移動経路を探索し、溶接ロボット2の動作を初期設定しなおす(図4におけるステップS102〜ステップS104参照)。
ステップS204では、各溶接区間Wの溶接長さLと、及びワークWの溶接部の品質を考慮して決められた各溶接区間Wごとにおける溶接ロボット2の許容できる溶接速度Vとから、各溶接区間Wにおける溶接ロボット2の溶接時間Tを算出する。
各溶接区間Wの溶接長さLは、端点P−端点Pの距離に等しいので、式(1)にて算出できる。
Figure 0005089530
各溶接区間Wごとの許容できる溶接速度Vは、ステップS202にて開先形状や溶接部の要求強度などの施工情報に基づいて設定されており、溶接区間Wにおける溶接ロボット2の溶接時間Tは、式(2)にて算出できる。
Figure 0005089530
ステップS205では、まず各溶接区間Wに対応するロボット走行台車3の移動距離Lsを算出する。次に、そのロボット走行台車3の移動距離LsをステップS204で求めた溶接時間Tで除算し、各溶接区間Wにそれぞれ対応するロボット走行台車3の移動速度Vsを算出する。
各溶接区間Wにおけるロボット走行台車3の移動距離Lsは、位置S−位置Sの距離に等しいので、式(3)にて算出できる。
Figure 0005089530
このロボット走行台車3の移動距離Lsを、先ほど求めた溶接時間Tで除算する、すなわち式(4)を用いて、ロボット走行台車3の移動速度Vsに算出できる。
Figure 0005089530
ステップS206では、ステップS205にて求めたロボット走行台車3の移動速度Vsにて実際にロボット走行台車3が移動可能かどうかのチェックを行う。
ロボット走行台車3の移動速度Vsが、許容閾値Vsを越えている(つまりYes)と判定されると、処理はステップS207へ移される。
ロボット走行台車3の移動速度Vsが、許容閾値Vsを越えていない(つまりNo)と判定されると、ロボット走行台車3の移動経路は決定し、処理は終了する。
ここで、あらかじめ、ロボット走行台車3における車軸の定格回転などから規定されるロボット走行台車3の最大移動速度Vsを求め、そのVsから設定されるロボット走行台車3の移動速度の許容閾値Vs(たとえば、式(4)に示すように、ワークWの溶接部の品質を考慮し最大移動速度Vsの25%)を設定しておく。
Figure 0005089530
ステップS207では、ステップS205の式(4)にて求めたロボット走行台車3の移動速度Vsが許容閾値Vsを超えた溶接区間Wに対しては、式(5)にて当該溶接区間Wに対応するロボット走行台車3の許容できる最大移動距離Lsを、移動速度の許容閾値Vs及び溶接時間Tより算出する。
Figure 0005089530
ステップS208では、ロボット走行台車3の移動速度Vsが許容閾値Vsを超えた溶接区間Wに対して、ロボット走行台車3の移動距離Lsをロボット走行台車3の許容できる最大移動距離Lsとなるように、ロボット走行台車3の移動経路の始点S及び/又は終点Sを再設定する。
つまり、まず当該溶接区間Wの再設定前でのロボット走行台車3の移動経路における始点Sから終点Sに向かうベクトルを正規化したものをuとする。このベクトルuに沿いつつ、ロボット走行台車3の移動距離Lsとロボット走行台車3の許容できる最大移動距離Lsとの差ΔLの分だけ、当該溶接区間Wに対応するロボット走行台車3の移動距離Lsを短くするように、移動経路の始点S及び/又は終点Sを再設定している。
なお、当該溶接区間Wに対応するロボット走行台車3の移動距離Lsを、差ΔL以上に短くするように、移動経路の始点S及び/又は終点Sを再設定してもよい。
ここで、再設定後のロボット走行台車3の移動経路の始点をS’(S’x,S’y,S’z)、終点をS’(S’x,S’y,S’z)とすると、以下の式(7)〜式(11)となる。また、再設定後のロボット走行台車3の移動距離をL’s、移動速度をV’sとする。
Figure 0005089530
本実施形態においてはα=βとし、ロボット走行台車3の移動経路の始点Sをその移動経路の終点S方向へ、ロボット走行台車3の移動経路の終点Sはその移動経路の始点S方向へ、それぞれを等しい距離だけ近づけように再設定することで、ロボット走行台車3の移動距離Lsを短くしている。
また、α、βのいずれかを0にすることで、ロボット走行台車3の移動経路の始点S、終点Sのいずれか一方のみを他方へ近づけように再設定することで、ロボット走行台車3の移動距離Lsを短くしてもよい。
なお、α、βの値の組み合わせは無限にある。そこで、α、βの値を適当な間隔で刻みながら様々な組み合わせを試行し、溶接ロボット2がワークW及びポジショナ4に干渉(接触)することなく、かつ溶接ロボット2の動作範囲内にワークWが収まるα及びβの組み合わせを探索する。そして、そのα、βの値に基づいてロボット走行台車3の移動経路を再設定する(図4におけるステップS107〜ステップS109参照)。
また、α、βの値の適切な組み合わせが見つからなかったときは、使用者に対して修正を促すメッセージを出し、当該溶接区間Wに対応するロボット走行台車3の移動経路の始点S及び/又は終点Sを再設定しない。
ステップS209では、溶接ロボット2が周辺環境に干渉することなく再設定できた際に、全ての溶接区間Wに対応するロボット走行台車3の移動経路の始点S及び/又は終点Sに対して再設定する必要がなくなるまで、又は規定回数まで、ステップS204〜ステップS208を繰り返し実行する。
これは、ステップS208にて当該溶接区間Wに対応するロボット走行台車3の移動経路の始点S及び/又は終点Sが再設定されたため、再設定された溶接区間Wの前の溶接区間Wに対応するロボット走行台車3の移動経路の終点S、及び再設定された溶接区間Wの後の溶接区間Wに対応するロボット走行台車3の移動経路の始点Sも変化しているからである。
上述した第1実施形態の実施結果を以下に示す。
表1は、第1実施形態におけるワークW上に設定された各溶接区間Wの端点Pの座標値、各溶接区間Wにおける溶接長さL・許容できる溶接速度V・溶接時間T、ロボット走行台車3の移動速度の許容閾値Vs、各溶接区間Wに対応するロボット走行台車3の許容できる最大移動距離Lsを示している。
また、表2は、許容閾値Vs、再設定工程P2を経る前後の各溶接区間Wに対応するロボット走行台車3の移動経路における始点S及び終点Sの座標値・移動距離Ls・移動速度Vs、ロボット走行台車3の移動速度Vsが移動速度の許容閾値Vs以下かを示している。
なお、ワークWにおける溶接部の品質の影響などを考慮して、溶接速度Vを全溶接区間Wで一律に30(cm/分)=5(mm/sec)としている。また、ロボット走行台車3の移動速度の許容閾値Vsを25(mm/sec)(ロボット走行台車3の最大移動速度Vsである100(mm/sec)の25%にあたる)とし、式(9)〜式(11)においてα=βとしている。
Figure 0005089530
Figure 0005089530
ここで、再設定工程P2(ステップS105〜ステップS110、ステップS204〜ステップS209)を経る前後の各溶接区間Wに対応するロボット走行台車3の移動速度Vs、及び溶接ロボット2の実際の溶接速度について考察する。
再設定工程P2前においても溶接区間W及び溶接区間Wのそれぞれに対応するロボット走行台車3の移動速度Vsは、それぞれの許容閾値Vsである25(mm/sec)を超えていない。これは、溶接区間W及び溶接区間Wに対応するロボット走行台車3の移動経路内における溶接ロボット2のワークWに対する実際の溶接速度を、許容できる溶接速度Vである5(mm/sec)以下に保つことができることを意味し、溶接ロボット2がワークWに対して行う溶接作業後の品質、つまりワークWの溶接部の品質を確保することができる。
一方、再設定工程P2前における溶接区間Wに対応するロボット走行台車3の移動速度Vsは、許容閾値Vsである25(mm/sec)を超えている。これは、溶接区間Wにおける実際の溶接速度が、許容できる溶接速度Vを越えることを意味しており、ロボット走行台車3の移動経路の再設定をしなければワークWの溶接部の品質が低下する。
そこで、当該溶接区間Wに対応するロボット走行台車3の移動距離Lsが最大移動距離Lsと等しくなるように、溶接区間Wに対応するロボット走行台車3の移動経路の始点S及び終点Sが互いに等距離ずつ近づくように再設定している。
つまり、再設定工程P2前における溶接区間Wに対応するロボット走行台車3の移動経路の始点S(139.2,−599.0,20.0)及び終点S(139.2,599.0,20.0)は、再設定工程P2後において、始点S’(139.2,−125.0,20.0)及び終点S’(139.2,125.0,20.0)に再設定されている。このように再設定工程P2を経ることで、溶接区間Wに対応するロボット走行台車3の移動距離Lsは1198(mm)から最大移動距離Lsと等しい250(mm)まで短縮されている。
これに伴って、溶接区間Wに対応するロボット走行台車3の移動速度Vsも、119.8(mm/sec)から許容閾値Vsと等しい25(mm/sec)まで減速されている。これは、溶接区間Wに対応するロボット走行台車3の移動経路内における溶接ロボット2のワークWに対する実際の溶接速度を、許容できる溶接速度V以下に保つことができることを意味し、溶接区間Wにおいても溶接ロボット2がワークWに対して行う溶接作業後の品質、つまりワークWの溶接部の品質を確保することができる。
また、再設定工程P2を経ることで、溶接区間W及び溶接区間Wに対応するロボット走行台車3の移動距離Lsが、それぞれ864.5(mm)から1274.0(mm)へと距離が延びているものの、双方ともに最大移動距離Lsである1414.2(mm)を下回っている。また、溶接区間W及び溶接区間Wに対応するロボット走行台車3の移動速度Vsも、それぞれ15.3(mm/sec)から22.5(mm/sec)へと速度が上がっているものの、双方ともに移動速度の許容閾値Vsである25(mm/sec)を下回っている。
したがって、再設定工程P2後においても、溶接区間W及び溶接区間WでのワークWの溶接部の品質が低下することはない。
その結果、ロボット走行台車3の移動速度Vsが限界を超えることがないと同時に、ワークWの溶接部の品質を高く保つことが可能なロボット走行台車3の移動経路を決定できる。
また、使用者が各溶接区間Wに対応するロボット走行台車3の移動経路における始点S、終点Sの座標値のデータを一度入力するだけで、ロボット走行台車3の移動経路の全体的なバランスを保ちながら適切な移動経路を自動的に決定することができる。
その結果、従来は使用者が行っていたロボット走行台車3の移動経路の修正作業の負荷を大幅に低減でき、ロボット走行台車3の移動経路の決定作業の効率を飛躍的に向上させることができる。
[第2実施形態]
次に、本発明に係るロボット走行台車3の移動経路の決定方法の第2実施形態について説明する。
第2実施形態は、全溶接区間Wにおける溶接ロボット2の許容できる溶接速度Vが決まっているとき、各溶接区間Wでの溶接時間Tを算出せず、ロボット走行台車3の移動距離Lsを溶接長さLで除算した比γを、所定の比(以下、「比の許容閾値γ」という)以下となるように同様の再設定を行うものである。
なお、第2実施形態において、前述したオフライン教示装置6の再設定部は、初期設定部で設定された移動経路と作業部位との距離の比γが所定の比γを超える際に、当該移動経路を変更すると共に変更された移動経路での溶接ロボット2の動作を再設定する。
図6は、第2実施形態の詳細を示したフローチャートである。図6に示すように、初期設定工程P1はステップS301〜ステップS303によって構成され、再設定工程P2はステップS304〜ステップS310によって構成されている。
なお、第2実施形態においても、初期設定工程P1であるステップS301〜ステップS303は、他の方法・手順で溶接位置、溶接姿勢、ロボット走行台車3及びポジショナ4などの周辺軸を設定しても、なんら差し障りない。
また、図6においても、ステップS103、ステップS104、ステップS108、ステップS109に相当するステップを省略している。
ここで、ステップS301〜ステップS303は、第1実施形態におけるステップS101〜ステップS104、ステップS201〜ステップS203と同様であるため、ステップS304から以降の詳細を説明する。
ステップS304では、式(1)から各溶接区間Wの溶接長さLを算出する。
ステップS305では、式(3)から各溶接区間Wに対応するロボット走行台車3の移動距離Lsを算出する。
ステップS306では、ロボット走行台車3の移動距離Lsを溶接長さLで除算した比γを、式(12)により算出する。
Figure 0005089530
ステップS307では、ステップS306にて求めた比γが、比の許容閾値γを越えたかどうかのチェックを行う。
求めた比γが、比の許容閾値γを越えている(つまりYes)と判定されると、処理はステップS308へ移される。
求めた比γが、比の許容閾値γを越えていない(つまりNo)と判定されると、ロボット走行台車3の移動経路は決定し、処理は終了する。
なお、比の許容閾値γは、対象となる全溶接区間W共通の許容できる溶接速度Vに対するロボット走行台車3の移動速度の許容閾値をVsとすると、式(13)により算出される。
Figure 0005089530
ステップS308では、ステップS306にて求めた比γが比の許容閾値γを超えた溶接区間Wに対応するロボット走行台車3の許容できる最大移動距離Lsを算出する。
なお、第2実施形態における許容できる最大移動距離Lsは、式(14)にて求めることができる。
Figure 0005089530
ステップS309では、ロボット走行台車3の移動距離Lsをロボット走行台車3の許容できる最大移動距離Lsとなるように、ロボット走行台車3の移動経路の始点S及び/又は終点Sを再設定する。
なお、再設定後のロボット走行台車3の移動距離L’sを溶接長さLで除算した比をγ’とする。
以降は、第1実施形態におけるステップS107〜ステップS110、ステップS208・ステップS209と同様であるので省略する。
上述した第2実施形態の実施結果を以下に示す。
表3は、第2実施形態におけるワークW上に設定された各溶接区間Wの端点Pの座標値、各溶接区間Wにおける溶接長さL、全溶接区間W共通の許容できる溶接速度V、比の許容閾値γ、各溶接区間Wに対応するロボット走行台車3の許容できる最大移動距離Lsを示している。
また、表4は、比の許容閾値γ、再設定工程P2を経る前後の各溶接区間Wに対応するロボット走行台車3の移動経路における始点S及び終点Sの座標値・移動距離Ls・移動距離Lsを溶接長さLで除算した比γ、比γが比の許容閾値γ以下かを示している。
なお、ワークWにおける溶接部の品質の影響などを考慮して、全溶接区間W共通の許容できる溶接速度Vを30(cm/分)=5(mm/sec)としている。また、ロボット走行台車3の移動速度の許容閾値Vsを25(mm/sec)(ロボット走行台車3の最大移動速度Vsである100(mm/sec)の25%にあたる)とし、式(13)より比の許容閾値γを5と算出している。さらに、式(9)〜式(11)においてα=βとしている。
Figure 0005089530
Figure 0005089530
ここで、再設定工程P2(ステップS304〜ステップS310)を経る前後の各溶接区間Wに対応するロボット走行台車3の移動距離Lsを溶接長さLで除算した比γ、及び溶接ロボット2の実際の溶接速度について考察する。
再設定工程P2前においても溶接区間W及び溶接区間Wにおける比γはそれぞれの比の許容閾値γである5を超えておらず、溶接区間W及び溶接区間Wにおける溶接ロボット2のワークWに対する実際の溶接速度を許容できる溶接速度Vである5(mm/sec)以下に保つことができ、溶接ロボット2がワークWに対して行う溶接作業後の品質、つまりワークWの溶接部の品質を確保することができる。
一方、再設定工程P2前における溶接区間Wにおける比γは、比の許容閾値γを超えており、溶接区間Wにおける実際の溶接速度は許容できる溶接速度Vを上回り、ロボット走行台車3の移動経路の再設定をしなければワークWの溶接部の品質が低下する。
そこで、当該溶接区間Wに対応するロボット走行台車3の移動距離Lsが最大移動距離Lsと等しくなるように、溶接区間Wに対応するロボット走行台車3の移動経路の始点S及び終点Sが互いに等距離ずつ近づくように再設定している。
なお、再設定工程P2前後における溶接区間Wに対応するロボット走行台車3の移動経路の始点S及び終点Sの具体的な座標値及びその変化は、第1実施形態と同様であるため省略する。
また、移動経路の始点S及び終点Sの再設定に伴って、溶接区間Wにおける比γは、24.0から5.0に低減されている。これは、溶接区間Wにおける実際の溶接速度が許容できる溶接速度Vを下回ることを意味し、溶接区間Wにおいても溶接ロボット2がワークWに対して行う溶接作業後の品質、つまりワークWの溶接部の品質を確保することができる。
また、第1実施形態と同様に、再設定工程P2後においても、溶接区間W及び溶接区間WでのワークWの溶接部の品質が低下することはない。
その結果、ロボット走行台車3の移動速度Vsが限界を超えることがないと同時に、ワークWの溶接部の品質を高く保つことが可能なロボット走行台車3の適切な移動経路を自動的に決定することができ、使用者の負荷の低減、及びロボット走行台車3の移動経路の決定作業の効率を飛躍的に向上させることができる。
さらに、第2実施形態においては、各溶接区間Wにおける溶接長さL及び各溶接区間Wごとの許容できる溶接速度Vに基づいて各溶接区間Wごとに溶接時間Tを算出する必要はない。また、各溶接区間Wにおけるロボット走行台車3の移動距離Ls及び溶接時間Tに基づいて各溶接区間Wごとにロボット走行台車3の移動速度Vsを算出する必要もない。したがって、第1実施形態と同様の結果を少ない計算量で効率的に得ることができる。
また、第1実施形態においては、ロボット走行台車3の移動速度Vsが許容閾値Vsを越えるか否かを判断基準にしているため、動いているロボット走行台車3の移動速度Vsを使用者が正確に知覚することは非常に困難であり、使用者は計算によってでしか移動速度Vsの違いを認識できなかった。
しかし、第2実施形態においては、視認できる移動距離Ls及び溶接長さLを除算しした比γが、比の許容閾値γを越えるか否かを判断基準にしており、使用者はワークW上の溶接区間Wとそれに対応するロボット走行台車3の移動距離Lsと見比べるだけでおおまかな違いを認識できる。したがって、ロボット走行台車3の移動速度Vsが限界を越えるか否かを、使用者が非常に直感的にとらえやすくなっている。
ところで、本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、実施形態に応じて適宜変更可能である。
ロボット走行台車3は、溶接作業を行う溶接ロボット2に限らず、塗装作業、シーリング作業などを行うロボット2を備えた際にも、適切な作業速度等に読み替えることによって、適用可能である。
なお、塗装作業、シーリング作業などと比べ、溶接ロボット2を用いた溶接作業では、ワークWの溶接部の品質を確保するため、特に、実際の溶接速度が許容できる溶接速度V、Vを越えないことが重要である。よって、溶接作業に対しては、実際の溶接速度が許容できる溶接速度V、Vを越えないようにしつつ、溶接ロボット2を搭載したロボット走行台車3の移動速度Vsが限界を超えないように適切な移動経路を決定する本発明に係る決定方法及びその決定方法を実施可能なロボットシステムを用いることが好適である。
また、ポジショナ4は、第1実施形態、第2実施形態において動作させなかったものの、溶接ロボット2及びロボット走行台車3とポジショナ4を連動させて溶接作業を行わせてもよい。
さらに、ステップS208、ステップS309において、α、βが式(11)を満たしつつもα、βのうちいずれか一方を負の値とし、ロボット走行台車3の移動経路の始点S及び終点Sが同一方向へずれるように再設定することで、ロボット走行台車3の移動距離Lsを短くしてもよい。
なお、溶接ロボット2の制御機構又はロボットシステム1の制御装置5に、この移動経路の決定機能を組み込んで実現する事も可能である。
本発明は、溶接作業、シーリング作業及び塗装作業などの対象となるワーク上に設定された作業部位に対して作業を行うロボットを搭載したロボット走行台車の移動経路の決定方法及びその決定方法を実施可能なロボットシステムとして利用することができる。
本発明に係るロボットシステムの概要図である。 ワーク上に設定された作業部位を溶接ロボットにて溶接する際の、ロボット走行台車の移動経路を示す模式図である。 ワーク上における各溶接区間の各端点の座標値を示す図である。 第1実施形態における初期設定工程及び再設定工程の概要を示したフローチャートである。 第1実施形態における初期設定工程及び再設定工程の詳細を示したフローチャートである。 第2実施形態における初期設定工程及び再設定工程の詳細を示したフローチャートである。
符号の説明
1 ロボットシステム
2 ロボット(溶接ロボット)
3 ロボット走行台車
4 ポジショナ
5 制御装置
6 オフライン教示装置
P1 初期設定工程
P2 再設定工程
W ワーク

Claims (4)

  1. ワーク上に設定された作業区間に対して作業を行うロボットを搭載したロボット走行台車の移動経路の決定方法において、
    前記ワーク上の作業区間に対応して移動する前記ロボット走行台車の移動経路と、この移動経路での前記ロボットの動作を予め設定する初期設定工程と、
    前記初期設定工程で設定された移動経路におけるロボット走行台車の移動速度が所定の速度を超える際に、当該移動経路を変更すると共に変更された移動経路でのロボットの動作を再設定する再設定工程と、
    を備えていて、
    前記ロボット走行台車の移動速度は、前記ロボット走行台車の移動経路の距離をワーク上の作業区間に対するロボットの作業時間で除することで算出され、前記所定の速度は、ロボット走行台車の移動速度の上限値とされていて、
    前記再設定工程は、各作業区間において、ロボット走行台車の移動速度が前記上限値を下回るように、移動経路の始点及び/又は終点を設定する工程を有していることを特徴とするロボット走行台車の移動経路の決定方法。
  2. ワーク上に設定された作業区間に対して作業を行うロボットを搭載したロボット走行台車の移動経路の決定方法において、
    前記ワーク上の作業区間に対応して移動する前記ロボット走行台車の移動経路と、この移動経路での前記ロボットの動作を予め設定する初期設定工程と、
    前記初期設定工程で設定された移動経路と前記作業区間との距離の比が所定の比を超える際に、当該移動経路を変更すると共に変更された移動経路でのロボットの動作を再設定する再設定工程と、
    を備えていて、
    前記所定の比は、前記ロボット走行台車の移動速度の上限値をワーク上の作業区間に対するロボットの許容できる作業速度で除した算出値であり、
    前記再設定工程は、各作業区間において、初期設定工程で設定された移動経路と前記作業区間との距離の比が前記算出値を下回るように、移動経路の始点及び/又は終点を設定する工程を有していることを特徴とするロボット走行台車の移動経路の決定方法。
  3. ワーク上に設定された作業区間に対して作業を行うロボットと、該ロボットを搭載したロボット走行台車と、前記ロボット及びロボット走行台車を制御する制御装置と、前記ロボット走行台車の移動経路の教示データを作成するオフライン教示装置を備えており、
    前記オフライン教示装置は、前記ワーク上の作業区間に対応して移動する前記ロボット走行台車の移動経路と、この移動経路での前記ロボットの動作を予め設定する初期設定部と、
    前記初期設定部で設定された移動経路におけるロボット走行台車の移動速度が所定の速度を超える際に、当該移動経路を変更すると共に変更された移動経路でのロボットの動作を再設定する再設定部と、
    を有していて、
    前記ロボット走行台車の移動速度は、前記ロボット走行台車の移動経路の距離をワーク上の作業区間に対するロボットの作業時間で除することで算出され、前記所定の速度は、ロボット走行台車の移動速度の上限値とされていて、
    前記再設定部は、各作業区間において、ロボット走行台車の移動速度が前記上限値を下回るように、移動経路の始点及び/又は終点を設定するように構成されていることを特徴とするロボットシステム。
  4. ワーク上に設定された作業区間に対して作業を行うロボットと、該ロボットを搭載したロボット走行台車と、前記ロボット及びロボット走行台車を制御する制御装置と、前記ロボット走行台車の移動経路の教示データを作成するオフライン教示装置を備えており、
    前記オフライン教示装置は、前記ワーク上の作業区間に対応して移動する前記ロボット走行台車の移動経路と、この移動経路での前記ロボットの動作を予め設定する初期設定部と、
    前記初期設定部で設定された移動経路と前記作業区間との距離の比が所定の比を超える際に、当該移動経路を変更すると共に変更された移動経路でのロボットの動作を再設定する再設定部と、
    を有していて、
    前記所定の比は、前記ロボット走行台車の移動速度の上限値をワーク上の作業区間に対するロボットの許容できる作業速度で除した算出値であり、
    前記再設定部は、各作業区間において、初期設定工程で設定された移動経路と前記作業区間との距離の比が前記算出値を下回るように、移動経路の始点及び/又は終点を設定するように構成されていることを特徴とするロボットシステム。
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