JP5088948B2 - 棒状化粧料繰り出し容器 - Google Patents
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Description
棒状化粧料繰り出し容器は、棒状化粧料が配置される中皿と、この中皿を移動可能に内蔵するとともに先端部に棒状化粧料を繰り出す開口が形成される筒体(スリーブ)と、筒体に対して中皿を昇降動作することにより棒状化粧料の繰り出し操作および繰り込み操作を行う移動機構を有するように構成される。
ところが、このような大径の棒状化粧料では、輪郭を明確に描くことが難しく、特に、経時的な使用により棒状化粧料の先端が丸まってしまうと、この不具合は顕著になる。また、棒状化粧料を筒体の開口から長く繰り出すために、使用時に棒状化粧料が折れてしまうおそれもある。
また、上記棒状化粧料繰り出し容器において、直径の小さな棒状化粧料を繰り込むときに生じうる棒状化粧料の折れを防止するために、筒状部の回動方向を繰り出し方向のみに規制するための、例えば8つ以上の多数のラチェット歯とこれらの歯に対応して設けられる多数の爪とを備えたラチェット機構を筒体の長手方向中央近傍に設けることが開示されている。そして、このラチェット機構の存在により、移動機構操作時にクリック感を得ることができて好ましいとされている。
該ラチェット歯および該爪の数がそれぞれ同数の3〜6つであることを特徴とする。
筒体12は、好ましくは、開口11が斜面状に形成される。筒体12の長手方向中間部分の内面には環状のねじ部材(固定部)18が固着され、ねじ部材18の筒状部18aの内面に雌ねじ18bが設けられる。また、筒体12のねじ部材18の下方には筒体12の周方向に複数の縦溝21が形成される。また、筒体12は、内面下部が段差状に大きな内径に形成され、その大きな内径を有する段差部12aに突起19が設けられる。
中皿部20は、棒状化粧料を配置するためのものであり、皿部分20aと、皿部分20aの外周に脚状に設けられ、上下方向に延出し内側に向けて凹状に形成される環部20bで構成される。環部20bは筒体12の内面に摺接する。
押し上げ部22は、上昇することで中皿部20を押し上げて棒状化粧料の先端を開口11から繰り出させるためのものであり、上下方向(繰り出し容器10の中心線A方向)に延出する中空筒状に形成される。押し上げ部22は、中皿部20が押し上げ部22に対して回転可能なように、上端部が中皿部20に摺接、係合されるとともに、押し上げ部22の外周には長さ方向のほぼ全体にわたって雄ねじ22aが設けられる。繰り出し容器10組み立て状態において、雌ねじ18bは押し上げ部22の雄ねじ22aに螺合する。すなわち、ねじ部材18の雌ねじ18bと押し上げ部22の雄ねじ22aは、本実施の形態の螺合部を構成する。一方、押し上げ部22の内面下部には上下方向に延出する突条部22bが押し上げ部22の内面周方向に複数設けられる。
操作体16の底面28の周縁に立設される筒状部30の先端に先筒30aが段差状に形成され、先筒30aの外周には周回溝30bが設けられる。操作体16は、筒体12の段差部12aに緩挿されると、先筒30aの上端部が筒体12の段差面に当接して図1中上方向への動きが規制されるとともに、先筒30aの周回溝30bに筒体12の突起19が係合することで操作体16が回動可能となる。
操作体16の内底面中央には軸部24が突設される。軸部24の外周には上下方向に延出する溝26が周方向に複数設けられる。押し上げ部22に軸部24が内挿されることにより溝26に押し上げ部22の突条部22bが係合し、押し上げ部22が回動することが規制される。すなわち、押し上げ部22の突条部22bと軸部24の溝26で本実施の形態の回動規制部、言い換えれば、押し上げ部22の回り止めが構成される。
上記回動規制部、軸部24および螺合部で本実施の形態の上昇機構部が構成される。
図4のラチェットばねの斜視図を図および図5のラチェットばねの部分平面図をさらに参照してラチェット機構について説明する。
操作体16の筒状部30の内壁に、等間隔に離間して内底面上に4つの突起(爪)32が設けられる。突起32の頂部の一方向にアール(図3中、矢印Rで示す。)が設けられる。
また、繰り出し容器10は、押し上げ部22と筒体12の間に配置されるラチェットバネ34を有する。ラチェットバネ34は、コイルばね状に形成されるばね本体36の一端側に、等間隔に離間して4つのラチェット歯38を有する。ラチェット歯38は、ラチェットバネ34の周方向に沿って形成される山形の一方の傾斜面(稜線)42が実質的に垂直面であり、他方の傾斜面(稜線)44がなだらかな傾斜面状に形成される。この場合、傾斜面44は、山形の頂部から延出する傾斜角(傾斜角度)θ1の第一の傾斜面部44aと、第一の傾斜面部44aに連なって延出する、第一の傾斜面部44aより傾斜角度の小さい傾斜角(傾斜角度)θ2の第二の傾斜面部44bで構成される。ただし、これに限らず、傾斜面44を単一の傾斜角を持つ傾斜面に形成してもよい。また、第二の傾斜面部44bの傾斜角θ2を実質的に0度としてもよい。
ラチェットバネ34のラチェット歯38の設けられる側とは反対の端部の外周に複数の突起40が設けられる。繰り出し容器10組み立て状態において、ラチェットバネ34は、ラチェット歯38が形成される側を操作体16の突起32に係合するように配置され、これにより、ラチェットバネ34が操作体16の突起32と筒体12のねじ部材18の間に挟持されるとともに、突起40が筒体12の縦溝21に係合することで、ラチェットバネ34の回動が規制される。
なお、例えば筒体12の直径が13mm程度の繰り出し容器10の場合、ラチェット歯38の高さ(図5中,Hで示す。)を少なくとも1.5mm以上とし、隣り合うラチェット歯38の頂部間の距離を少なくとも3mm以上とすることが好ましい。また、ラチェット歯38およびこれに対応する突起(爪)32の数は、4つに限ることなくそれぞれ同数の3〜6つのなかから適宜選択することができる。ただし、ラチェット歯38およびこれに対応する突起(爪)32を操作体16の底面(内底面)近傍に設けるものである限り、ラチェット歯38およびこれに対応する突起(爪)32の数を7つ以上とすることを排除するものではない。
中皿部20を配置した押し上げ部22にねじ部材18の設けられた筒体12を外嵌し、雄ねじ22aの上端部分をねじ部材18の雌ねじ18bに係合して押し上げ部22にねじ部材18を取り付ける。
ついで、筒体12の開口11が設けられる側とは反対側から、突起40が筒体12の縦溝21に係合するようにラチェットバネ34を筒体12と押し上げ部22との間に挿入する。
ついで、押し上げ部22の突条部22bが軸部24の溝26に係合するようにして操作体16を筒体12に挿入する。そして、先筒30aの上端部を筒体12の段差面に当接させるとともに、先筒30aの周回溝30bに筒体12の突起19を係合して、筒体12に操作体16を取り付ける。この状態で、操作体16の底面(内底面)28近傍において突起32がラチェットバネ34のラチェット歯38に係合する。
このようにして組み立てられる繰り出し容器10の開口11から棒状化粧料を挿入し、棒状化粧料の下端部を中皿部20に突き当てる状態で棒状化粧料が繰り出し容器10に収容される。
なお、例えば、筒体12を半割状の2つの半体に形成しておくことも、組み立て作業上便宜である。
筒体12を手指で把持した状態で、他の手指で操作体16を図3および図4中矢印X方向に回転(回動)させると、操作体16の軸部24がX方向に回動し、軸部24に係合、固定される押し上げ部22が回動する。このとき、押し上げ部22は、螺合部の作用により、ねじ部材18に係合して開口11方向に向けて回動しながら上昇する。これにより、押し上げ部22に摺接する中皿部20が上昇することで、中皿部20に載置される棒状化粧料は回動することなく先端が開口11から繰り出される。
一方、操作体16を回転させるとき、筒体12によって回動を規制されたラチェットバネ34のラチェット歯38に係合する操作体16の突起32が、突起32のアールR部分をラチェット歯38に摺接しながらラチェット歯38の傾斜面44の第二の傾斜面部44bから第一の傾斜面部44aへ移動し、さらにラチェット歯38の頂部を乗り越えて傾斜面42に移動することで、操作体16を操作する手指にクリック感が与えられる。
このとき、ラチェット歯38と突起32の係合部が操作体16の底面28の近傍に設けられているため、ラチェット歯38と突起32の係合部が操作体16から離間した位置に設けられたものに比べて、より良好なクリック感を得ることができる。また、操作体16を操作する手指には、突起32がいわば遊び部である第二の傾斜面部44bの上を移動するときにはわずかな抵抗力が作用し、ついで突起32が第一の傾斜面部44aの上を移動するときに相対的に大きな抵抗力が作用し、ついでラチェット歯38の頂部を乗り越えて傾斜面42に移動するときに抵抗力が瞬時に解消するため、より明瞭で、緩急あるいはメリハリのある良好なクリック感を得ることができる。
なお、傾斜面42は実質的に垂直壁面状に形成されているため、操作体16をX方向とは逆方向に回転させる力を操作体16に加えても、突起32がラチェット歯38の頂部を乗り越えることができず、回転が阻止される。これにより、開口11から露出した棒状化粧料が繰り出し容器10の内部に繰り込まれることが防止され、繰り込まれることによって生じうる棒状化粧料の折損等の不具合を避けることができる。
また、ラチェット歯38の数を6つを超える例えば8つ以上の多数個設けた場合、1回の操作で棒状化粧料を所定量繰り出すときに、カチカチカチという多数回のクリック音を含むクリック感を生じることにより、使用者によってはわずらわしく感じられるおそれがある。このことは、1回当たりの繰り出し量が多いために操作体16の回転量あるいは回転角が大きくなる、太径の棒状化粧料において、より顕著になるものと思われる。これに対して、本実施の形態では好ましくはラチェット歯38の数を6つ以下とするため、このような心配が軽減され、良好なクリック感を得ることができる。
また、繰り出し容器10において、上昇機構部の軸部、回動規制部、固定部および螺合部は、本実施の形態例のものに限定されず、本発明の機能を奏するものであり限り、適宜の構造的な連結関係とすることができる。
12 筒体
12a 段差部
14 移動機構
16 操作体
18 ねじ部材
18a 筒状部
18b 雌ねじ
19 突起
20 中皿部
20a 皿部分
20b 環部
22 押し上げ部
22a 雄ねじ
22b 突条部
24 軸部
26 溝
28 底面
30 筒状部
30a 先筒
30b 周回溝
32、40 突起
34 ラチェットバネ
36 ばね本体
38、38a ラチェット歯
42、44 傾斜面
44a、46a 第一の傾斜面部
44b、46b 第二の傾斜面部
48a、48b 傾斜面領域
Claims (4)
- 先端に開口を有する筒体と、該筒体に内蔵される移動機構と、該筒体の下部に回動可能に係合される短筒状の操作体を備え、該移動機構が、棒状化粧料を配置するための中皿部と、上昇することで該中皿部を押し上げて棒状化粧料の先端を該開口から繰り出させる筒状の押し上げ部と、該操作体を一方向に回動することで該押し上げ部を上昇させる上昇機構部を有するとともに、周方向に沿って形成される山形の一方が実質的に垂直面であり他方が傾斜面である複数のラチェット歯が一端部に配設されるラチェットバネと、該ラチェット歯に係合する複数の爪からなるラチェット機構をさらに有し、該ラチェット機構が該操作体の回動により作用するように構成されてなる棒状化粧料繰り出し容器において、
該ラチェット歯および該爪の数がそれぞれ同数の3〜6つであることを特徴とする棒状化粧料繰り出し容器。 - 前記ラチェット歯の山形の傾斜面が、山形の頂部から延出する第一の傾斜面部と、該第一の傾斜面部に連なって延出する、第一の傾斜面部より傾斜角度の小さい第二の傾斜面部で構成されてなることを特徴とする請求項1記載の棒状化粧料繰り出し容器。
- 前記上昇機構部が、前記操作体の内底面中央に突設され、前記押し上げ部に内挿される軸部と、該押し上げ部を該軸部に係合して該押し上げ部の回動を規制する回動規制部と、前記筒体に固定される固定部および該押し上げ部に設けられる螺合部を有し、該操作体の回動により該軸部が該操作体と一体となって回動し、該固定部に螺合する該押し上げ部が上昇するように構成されてなることを特徴とする請求項1記載の棒状化粧料繰り出し容器。
- 前記筒体の前記開口が斜面状に形成されてなることを特徴とする請求項1記載の棒状化粧料繰り出し容器。
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