JP5087931B2 - 高圧放電灯点灯装置、プロジェクタ及び高圧放電灯の点灯方法 - Google Patents
高圧放電灯点灯装置、プロジェクタ及び高圧放電灯の点灯方法 Download PDFInfo
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また、特許文献3では、図11(b)に示すように、低周波矩形波電流をベースとして、その半サイクルにおいて開始時よりも終了時に向けて電流が徐々に高くなっていくようなランプ電流波形が開示されている。
高圧放電灯の分野では上記に説明したフリッカ発生及び抑制の原理など完全にそのメカニズムが解明されたわけではない。また、ランプ自体の構成や製造方法についても改良が重ねられ、今日では各メーカから新しい仕様のランプが次々と実用化されている。そして、プロジェクタ用のランプの目標寿命は数千〜1万時間程度であるのに対し、点灯装置等の電子装置は数万時間の寿命を確保するように信頼性設計がなされている。従って、目標寿命が達成されたとしても点灯装置が寿命を全うする間にランプの交換が行われる可能性がある。このランプ交換時に既にランプが仕様変更されていれば、フリッカの発生などに関して同じ条件のランプが装着されるとは限らないことになる。即ち、ある特定の種類(型名の)ランプについてフリッカ抑制のために有効なランプ電流波形が見出されたとしても、その波形が交換後の他のランプにとって有効なものとなるとは限らない。
また、信号源を高圧放電灯のランプ電圧を検出しランプ電圧の時間に対する微分値を演算する手段として、リセット信号は微分値が所定値以上になった場合に発生されるようにしてもよい。
また、信号源をタイマとして、リセット信号が所定の累積点灯時間経過ごとに発生されるようにしてもよい。
また、信号源を外部スイッチとして、リセット信号が外部スイッチの起動により発生されるようにしてもよい。ここで、外部スイッチを高圧放電灯を消灯させるための消灯ボタンとして、制御回路が消灯ボタン起動後にリフレッシュ点灯モードを経て高圧放電灯を消灯するように構成してもよい。
ここで、通常点灯モードにおける交流電流を矩形波電流として、リフレッシュ点灯モードにおける交流電流が、50Hz以上1kHz以下の矩形波電流(以下「低周波電流」という)の半サイクルの直前に低周波電流より高い周波数の電流(以下、「高周波電流」という)が1サイクル以上印加される電流波形であって高周波電流の1サイクルのうちの後半の半サイクルのみ又は1サイクル全部の電流値が低周波電流の電流値よりも高い交流電流となるようにしてもよいし、50Hz以上1kHz以下の矩形波電流を変形した交流電流であってその変形した交流電流の半サイクルにおいて後半の実効値が前半の実効値よりも大きいような交流電流としてもよい。
ここで、交流電流の周波数を50Hz以上1kHz以下として、リフレッシュ点灯モードにおける周波数fr1を通常点灯モードにおける周波数fnよりも低く、再形成する期間における周波数fr2が周波数fnよりも高くした。
ここで、交流電流の周波数が50Hz以上1kHz以下であり、リフレッシュ点灯モードにおける周波数frを通常点灯モードにおける周波数fnよりも低くした。
図1(a)及び(b)は本発明の回路構成図である。図1(a)及び(b)に共通の部分について以下に説明する。本発明の高圧放電灯点灯装置は、全波整流回路10、全波整流回路10の直流電圧をPWM(パルス幅変調)制御回路により所定のランプ電力又はランプ電流に制御する降圧チョッパ回路20、降圧チョッパ回路20の直流出力電圧を交流矩形波電流に変換してランプ60に印加するためのフルブリッジ回路40、ランプ始動時に高圧パルス電圧をランプに印加するためのイグナイタ回路50、並びに降圧チョッパ回路20及びフルブリッジ回路40を制御するための制御回路30で構成されている。なお、図面を見やすくするために整流回路10として全波整流・コンデンサインプット型の回路を示しているが、必要に応じて昇圧回路(力率改善回路)等も含むものとする。
いずれの場合も信号源は所定の条件でリセット信号を発生し、中央制御部35はリセット信号に応じて点灯モードを切替える。このリセット信号の発生については後述する。
まず、高圧放電灯点灯装置に電源が投入されると、ステップS101の始動制御を経てランプ60が点灯開始される(図4(a)のt0に対応)。この始動制御には一般的な始動制御を用いればよく、本発明の本質ではないので説明を省略する。この時点で電極先端には図3(a)のように突起ができているものとする。
なお、点灯時間が短く、点灯開始から消灯までにリセット信号が発動されない場合は点灯モードの切替えは行われない。
以下、「リセット信号の発生」、「点灯モード」及び「所定の期間の決定」について説明する。
図1(a)の信号源301について、前述したように信号源301はランプ電圧検出手段、ランプ電圧の微分値演算手段又はタイマであり、各手段がその条件に応じてリセット信号を発生するものである。なお、説明の便宜上、信号源301を中央制御部35の外部に記載しているが、信号源301は中央制御部35の内部にあってもよい。
消灯ボタンを用いる場合のタイミングチャートは図4(b)に示すものとなり、実際の消灯は消灯ボタンが起動されてから所定の期間経過後に行われる。この場合のみフローチャートは図5のようになり、ステップS105のリフレッシュ点灯モードが終了すると消灯する。
通常点灯モードの目的はいわゆる安定点灯である。即ち、通常点灯モード用のランプ電流の条件として、(1)電極先端の突起が成長傾向におかれること(フリッカ抑制)、(2)交流ランプ電流の極性反転が視認されないものであること(ちらつき回避)、(3)ランプのバルブ内で定在波が発生しないこと(音響共鳴現象回避)、(4)明るさ、即ち、ランプ電力又電流は定格値であること、及び(5)ランプ寿命確保等の観点から実績ある波形であること、を満たすことが要求される。条件(2)及び(3)は点灯周波数のみに依存し、条件(2)を満たす点灯周波数は50Hz以上であり、条件(3)を満たす点灯周波数は1kHz以下である。条件(5)を満たすために波形は実用での実績がある矩形波であることが望ましい。なお、将来における実績を考慮した場合、図7や図11(a)又は(b)に示すような波形とすることも可能であるが、以降の説明においては標準的な矩形波に焦点を当てて説明する。そして、条件(4)に従うことを前提として、条件(1)を満たすために検討すべき要素は点灯周波数のみとなる。
以上をまとめると、通常点灯モードにおけるランプ電流はfbを超え1kHz以下の矩形波の定格電流と決まる。
リフレッシュ点灯モードの目的は電極先端の突起の溶解である。即ち、リフレッシュ点灯モード用のランプ電流の条件として、(1)電極先端の突起が溶解傾向におかれることが必須の条件となる。さらに、使用内リフレッシュ点灯モードの場合は、(2)交流ランプ電流の極性反転が視認されないものであること(ちらつき回避)、(3)ランプのバルブ内で定在波が発生しないこと(音響共鳴現象回避)、及び(4)明るさ、即ち、ランプ電力又電流は定格値であること、を満たす必要があり、一方、使用外リフレッシュ点灯モードの場合は条件(2)〜(4)を満たす必要はないが、(5)モード継続時間が適切であることが要求される。
図2及び図5のフローチャートにおける所定の期間について説明する。所定の期間の決定方法には、モード継続時間による決定又はランプ電圧による決定がある。
以上、「リセット信号の発生」、「点灯モード」及び「所定の期間の決定」についてそれぞれ独立して説明したが、これらは実施に当たって各項目の好適なものを選択して組み合わせることができるという趣旨である。言い換えると、各項目を独立して検討・設計できるので、従来のような複雑な変調波形や間欠動作を検討する場合に比べて著しく開発効率を向上することができる。
上記を考慮した上で、発明者らは本発明の最も好適な実施例として以下のような高圧放電灯点灯装置を設計した。なお、使用ランプの定格電力は170Wである。
通常点灯モードのランプ電流を矩形波として、点灯周波数fnを300Hzとした。なお、境界周波数fbは75Hz付近である。リフレッシュ点灯モードには周波数切替え方式を採用し、そのランプ電流波形を矩形波として、点灯周波数frを50Hzとした。
信号源として電圧検出手段を用いて、そのリセット信号発生の条件をV1=85Vとした。所定の期間をランプ電圧で決定するものとし、具体的にはV2=105Vとした。なお、マスク用の電圧について、V3=70Vとした。
設計例1と同様のランプにおいて、通常点灯モードのランプ電流を矩形波として、点灯周波数fnを300Hzとした。リフレッシュ点灯モードには周波数切替え方式を採用し、そのランプ電流波形を矩形波として、点灯周波数frを50Hzとした。
信号源として微分値演算手段を用いて、そのリセット信号発生の条件を3.3msecあたりΔV=0.7Vとした。所定の期間をモード継続時間で決定するものとし、具体的にはTr=30分とした。
設計例1と同様のランプにおいて、通常点灯モードのランプ電流を矩形波として、点灯周波数fnを300Hzとした。リフレッシュ点灯モードには周波数切替え方式を採用し、そのランプ電流波形を矩形波として、点灯周波数frを50Hzとした。
信号源としてタイマ(累積)を用いて、そのリセット信号発生の条件をTn=30時間とした。所定の期間をモード継続時間で決定するものとし、具体的にはTr=30分とした。
なお、上記は設計の概要を明確にするために代表的な好適な設計例を示したものであり、本発明は上記の数値に限定されるものではない。
上記実施例では、視覚性、ランプ互換性及びランプ寿命を向上した高圧放電灯点灯装置を示したが、それを用いたアプリケーションとしての光源装置を図9(a)及び(b)に示す。
なお、プロジェクタにはリフレッシュ点灯モード中であることをユーザに知らせるための表示又は通知を行ってもよい。その表示又は通知は筐体73上に設けたLED等の光源による表示、リモコン上にある液晶表示中の表示、音声による通知、又はリフレッシュ点灯モード中である旨をスクリーン上に映し出すことによる表示であってもよい。
(1)本実施例における低周波電流としての「矩形波」とは、厳密には完全な矩形波ではないような波形も含むものとする。例えば、完全な矩形波に1サイクル以上の正弦波等がフリッカ抑制以外の目的で重畳されたような波形、矩形波半サイクルの開始時の電流値と終了時の電流値とが僅かに異なるような波形、半サイクルの中盤に僅かな凹凸があるような波形も含むものとする。従って、通常点灯モードにおけるランプ電流はそのような波形も含む趣旨である。
(2)実施例においては、点灯開始時から通常点灯モードで点灯することとしているが、始動直後の数秒〜数分の過渡的な放電状態(例えば、半波放電状態)では通常点灯モード以外のモードで点灯するような場合も本発明の範疇に含まれる。
(3)実施例においては、リフレッシュ点灯モードが1回行われるものを示したが、長時間の点灯が行われれば同モードが複数回行われることも想定される。
(4)実施例においては、交流電力供給回路を整流回路、降圧チョッパ回路及びフルブリッジ回路で構成したが、ランプに交流矩形波が供給できれば他の構成であってもよい。例えば、入力電源が直流電源であれば、フルブリッジ回路の前段部はDC/DCコンバータのみでよい。また、直流を交流に変換できればフルブリッジ回路の代わりにプッシュプル型インバータなどの他の方式の回路を用いてもよい。
(5)また、制御回路30は、フルブリッジ回路40のトランジスタ41〜44の反転制御と降圧チョッパ回路20のトランジスタ21のPWM制御を行うことができれば(その結果として上記に説明した各波形を出力できれば)、制御回路内の構成は図示したものに限定されない。
10:全波整流回路
11:ダイオード
12:コンデンサ
20:降圧チョッパ回路
21:トランジスタ
22:ダイオード
23:チョークコイル
24:コンデンサ
30:制御回路
31,32,33:抵抗
34:PWM制御回路
35:中央制御部
40:フルブリッジ回路
41,42,43,44:トランジスタ
45:ブリッジ制御回路
50:イグナイタ回路
51:イグナイタ制御回路
60:高圧放電灯
71.高圧放電灯点灯装置
72.レフレクタ
73.筐体
74.外部スイッチ
301,302.信号源
310.タイマリセットボタン
Claims (8)
- 高圧放電灯に交流電流を供給するための電力供給手段、点灯モードを決定して該点灯モードに従って該電力供給手段の動作を制御する制御手段、及びリセット信号を発生する信号源からなる高圧放電灯点灯装置であって、
前記点灯モードについて、
前記制御手段が、デフォルト状態においては前記高圧放電灯の電極先端に突起が成長し易い通常点灯モードを適用し、前記リセット信号受信時には該突起を溶解するためのリフレッシュ点灯モードを所定期間にわたって適用するよう構成され、
前記信号源が外部スイッチであり、前記リセット信号が該外部スイッチの起動により発生されるものであり、
前記外部スイッチが前記高圧放電灯を消灯させるための消灯ボタンであり、前記制御回路が該消灯ボタン起動後に前記リフレッシュ点灯モードを経て該高圧放電灯を消灯するように構成された高圧放電灯点灯装置。
- 請求項1記載の高圧放電灯点灯装置において、前記交流電流の周波数が50Hz以上1kHz以下であり、前記リフレッシュ点灯モードにおける周波数frが前記通常点灯モードにおける周波数fnよりも低い高圧放電灯点灯装置。
- 請求項2記載の高圧放電灯点灯装置において、
前記通常点灯モードにおける前記交流電流が矩形波電流であり、
前記リフレッシュ点灯モードにおける前記交流電流が、50Hz以上1kHz以下の矩形波電流(以下「低周波電流」という)の半サイクルの直前に該低周波電流より高い周波数の電流(以下、「高周波電流」という)が1サイクル以上印加される電流波形であって該高周波電流の1サイクルのうちの後半の半サイクルのみ又は1サイクル全部の電流値が該低周波電流の電流値よりも高い交流電流、あるいは50Hz以上1kHz以下の矩形波電流を変形した交流電流であって該変形した交流電流の半サイクルにおいて後半の実効値が前半の実効値よりも大きいような交流電流である高圧放電灯点灯装置。
- 高圧放電灯に交流電流を供給するための電力供給手段、点灯モードを決定して該点灯モードに従って該電力供給手段の動作を制御する制御手段、及びリセット信号を発生する信号源からなる高圧放電灯点灯装置であって、
前記点灯モードについて、
前記制御手段が、デフォルト状態においては前記高圧放電灯の電極先端に突起が成長し易い通常点灯モードを適用し、前記リセット信号受信時には該突起を溶解するためのリフレッシュ点灯モードを所定期間にわたって適用するよう構成され、
前記信号源が外部スイッチであり、前記リセット信号が該外部スイッチの起動により発生されるものであり、
前記リフレッシュ点灯モードの終了直前に前記高圧放電灯の電極先端に突起を再形成する期間を設けた高圧放電灯点灯装置。
- 請求項4記載の高圧放電灯点灯装置において、前記交流電流の周波数が50Hz以上1kHz以下であり、前記リフレッシュ点灯モードにおける周波数fr1が前記通常点灯モードにおける周波数fnよりも低く、前記再形成する期間における周波数fr2が該周波数fnよりも高い高圧放電灯点灯装置。
- 請求項1から5のいずれか一項に記載の高圧放電灯点灯装置、高圧放電灯、該高圧放電灯が取り付けられるレフレクタ、及び該高圧放電灯点灯装置及び該リフレクタを内包する筐体を備えたプロジェクタ。
- 高圧放電灯に交流電流を供給する電力供給手段、リセット信号を発生する信号源、及び該リセット信号の発生に応じて点灯モードを決定して該電力供給手段の動作を制御する制御手段からなる高圧放電灯点灯装置における高圧放電灯の点灯方法であって、該点灯モードが、該高圧放電灯の電極先端に突起が成長し易い通常点灯モード及び該突起を溶解するためのリフレッシュ点灯モードからなり、
前記制御手段が、点灯開始後デフォルトの設定として前記通常点灯モードを適用するステップ、及び
前記制御手段が、該リセット信号を受信した場合に、前記リフレッシュ点灯モードを所定の期間にわたって適用するステップ
からなり、
前記信号源が外部スイッチであり、前記リセット信号が該外部スイッチの起動により発生され、前記外部スイッチが前記高圧放電灯を消灯させるための消灯ボタンであり、前記制御手段が該消灯ボタン起動後に前記リフレッシュ点灯モードを経て該高圧放電灯を消灯する、点灯方法。
- 請求項7記載の点灯方法において、前記交流電流の周波数が50Hz以上1kHz以下であり、前記リフレッシュ点灯モードにおける周波数frが前記通常点灯モードにおける周波数fnよりも低い点灯方法。
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