JP5087306B2 - 膨張体及びつかみ装置 - Google Patents

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本発明は、流体により膨張可能な筒状の膨張体、及び、ボディー本体と膨張体との密封された空間に流体を注入することにより膨張体で部品をつかむつかみ装置に関する。
従来から、部品等(例えば、エンジンのシリンダブロックや筒状のパイプ、感光ドラム)をつかむつかみ装置について、様々な提案がなされている。例えば、つかみ装置を構成する膨張体の内部に補強コードを埋設させることにより、使用範囲を拡大する(例えば、高圧においても使用することが可能である)ことができるとともに、質量が大きい部品等を運搬可能なつかみ装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
つかみ装置では、一般的に、耐オゾン性や耐薬品性等の耐候性の向上、又は、補強コードの露出による破損の防止、耐摩耗性を良好とするなどの耐久性向上を目的として補強層101と同じ材料(例えば、クロロプレンゴム(CR))の外皮層が備えられているが、図7(a)に示すように、補強層101Aと異なる材料かつ耐薬品性が異なる外皮層103(例えば、エチレン−プロピレンゴム(EPDM))を配置することで、耐薬品性特性を変えることができる。
特開平8−333077号公報(第2頁−第3頁、第3図)
しかしながら、上述した従来のつかみ装置に用いられる膨張体100では、図7(b)に示すように、補強層101を筒状に成型する際に繋ぎ合わされる補強層ジョイント部101Jが互いの端部同士を付け合わせた状態で形成されるため、加硫時において、補強層ジョイント部101Jに外皮層103が侵入してしまうことがあり、伸び等が発生しやすくなってしまう。この結果、補強層ジョイント部101Jの接着性や耐久性が低下してしまい、膨張体100が破損してしまうことがあった。
そこで、本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、補強層ジョイント部の接着性及び耐久性を向上させることができる膨張体、及び、この膨張体を備えるつかみ装置を提供することを目的とする。
上述した状況を解決するため、本発明は、次のような特徴を有している。まず、本発明の第1の特徴に係る発明は、部品をつかむつかみ装置に用いられ、流体により膨張可能な筒状の膨張体であって、弾性体及び補強コードからなる補強層と、補強層の外側(径方向外側)に設けられ、弾性体からなる外皮層とを少なくとも備え、補強層を筒状に成型する際に繋ぎ合わされる補強層ジョイント部が、膨張体径方向へ向けて重なっていることを要旨とする。
ここで、部品とは、エンジンのシリンダブロックや筒状のパイプ、感光ドラム、食品、化粧品、医療用品など様々なものを示す。
かかる特徴によれば、補強層ジョイント部が膨張体径方向へ向けて重なっていることによって、加硫時において、補強層ジョイント部に外皮層が侵入してしまうことを防止することができるため、補強層ジョイント部の接着性及び耐久性を向上させることができる。この結果、膨張体の破損を抑制して寿命を延ばすことが可能となる。
その他の特徴に係る発明は、膨張体周方向断面において、膨張体周方向断面において、補強層ジョイント部が膨張体径方向へ向けて重なっている領域であるジョイント幅(W)が、前記補強層ジョイント部の両端が前記補強コードの中心を超える範囲以上、かつ、3本の前記補強コードが膨張体径方向へ向けて重なる範囲以下であることを要旨とする。
かかる特徴によれば、ジョイント幅(W)の範囲が規定されていることによって、加硫時において、補強層ジョイント部に外皮層が侵入してしまうことを防止することは勿論、補強層ジョイント部の肉厚部分を最小限に抑えて膨張体の柔軟性等のバラツキを抑制することができる。
その他の特徴に係る発明は、補強層の内側(径方向内側)に設けられ、弾性体と同一材料からなる内側ゴムをさらに備えることを要旨とする。
かかる特徴によれば、内側ゴムをさらに備えることによって、膨張体の耐久性をさらに向上させることができ、膨張体の破損を抑制して寿命を延ばすことが可能となる。
その他の特徴に係る発明は、流体が通過する通路が形成されている筒状のボディー本体と、流体により膨張可能な筒状の膨張体との密封された空間に流体を注入することによって、膨張体を膨らませて部品をつかむつかみ装置であって、膨張体が、弾性体及び補強コードからなる補強層と、補強層の外側(径方向外側)に設けられ、弾性体からなる外皮層とを少なくとも備え、補強層を筒状に成型する際に繋ぎ合わされる補強層ジョイント部が、膨張体径方向へ向けて重なっていることを要旨とする。
本発明によれば、補強層ジョイント部の接着性及び耐久性を向上させることができる膨張体、及び、この膨張体を備えるつかみ装置を提供することができる。
次に、本発明に係るつかみ装置の一例について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なのものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることを留意すべきである。従って、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。
(つかみ装置の構成)
まず、本実施の形態に係るつかみ装置の構成について、図1を参照しながら説明する。図1(a)は、本実施の形態に係るつかみ装置の排気状態を示す一部分解斜視図であり、図1(b)は、本実施の形態に係るつかみ装置の給気状態を示す一部分解斜視図である。
図1に示すように、つかみ装置1は、空気等の流体が通過する通路3が形成されている筒状のボディー本体5と、流体により膨張可能な筒状の膨張体7(いわゆる、チューブ)との密封された空間に流体を注入することによって、膨張体7を膨らませて部品(例えば、エンジンのシリンダブロックや筒状のパイプ)をつかむ装置である。
ボディー本体5に形成されている通路3は、ボディー本体5の内部で分岐しており、ボディー本体5の上部へ伸びる上部通路3Aと、ボディー本体5の側部へ伸びる側部通路3Bと、ボディー本体5と膨張体7との密封された空間へ伸びる内部通路3Cとによって構成されている。
膨張体7の上端部は、加締めリング9Aによりボディー本体5に密封される。膨張体7の下端部は、膨張体7の内側へ向けて折り返されており、折り返された部分が加締めリング9Bによりボディー本体5に密封される。
このようなつかみ装置1は、例えば、穴が空いた部品をつかむ場合、つかみ装置1における膨張体7(チューブ全体)を部品の穴に差し込む。その後、ボディー本体5と膨張体7とが密封された空間に通路3を介して流体を注入することによって膨張体7を膨張させる。膨張した膨張体7の外周面で部品の穴の内周面を圧接することで部品をつかむことができる。
(膨張体の構成)
次に、上述した膨張体の構成について、図2及び図3を参照しながら説明する。図2は、本実施の形態に係る膨張体の膨張体周方向断面図であり、図3は、本実施の形態に係る膨張体の展開上面図である。
図2に示すように、膨張体7は、弾性体11A及び補強コード11Bからなる補強層11と、補強層11の内側に設けられ、弾性体11Aと同一材料からなる内側弾性層13と、補強層11の外側に設けられ、弾性体11Aと異なる材料(弾性体)からなる外皮層15とを備えている。
なお、補強コード11Bは、補強層11全面に設けられている。この補強コード11Bは、図3(a)に示すように、ボディー本体5の軸方向に対して平行であってもよく(いわゆる、ラジアルコード)、図3(b)に示すように、互いに交差するようにボディー本体5の軸方向に対して所定の角度θ(例えば、20度)傾斜していてもよい(いわゆる、バイアスコード)。
弾性体11A及び内側弾性層13は、クロロプレンゴム(CR)等から選ばれることが好ましい。また、補強コード11Bは、ナイロンやスチールコード等から選ばれることが好ましい。さらに、外皮層15は、エチレン−プロピレンゴム(EPDM)等から選ばれることが好ましい。
この膨張体7を製造するには、該膨張体7を外側に折り返すために、まず、成型ドラム(不図示)に外皮層15を巻き付ける。次に、外皮層15を覆うように補強層11を巻き付ける。次に、補強層11を覆うように内側弾性層13を巻き付け、この未加硫状態の膨張体を加硫機(不図示)により加硫することにより、筒状の膨張体7を製造することができる。
ここで、図2に示すように、補強層11を筒状に成型する際(すなわち、外皮層15を覆うように補強層11を巻き付ける際)に繋ぎ合わされる補強層ジョイント部11Jは、膨張体径方向へ向けて重なっている。
具体的には、膨張体周方向断面において、補強層ジョイント部11Jが膨張体径方向へ向けて重なっている領域であるジョイント幅(W)は、図2に示すように、2本の補強コード11Bが膨張体径方向へ向けて重なる範囲である。
このジョイント幅(W)は、補強層ジョイント部11の両端が補強コード11Bの中心を超える範囲以上、かつ、3本の補強コード11Bが膨張体径方向へ向けて重なる範囲以下であることが好ましい。
なお、ジョイント幅(W)が最小範囲よりも小さいと、補強コード11Bで補強層11を補強する効果が薄れてしまい、補強層ジョイント部11Jの接着性及び耐久性を向上させることができない場合がある。また、ジョイント幅(W)が最大範囲よりも大きいと、補強層ジョイント部11Jの肉厚部分を最小限に抑えることが困難となってしまい、膨張体7の柔軟性等のバラツキを抑制することができない場合がある。
補強層ジョイント部11Jは、膨張体7の耐久性をさらに向上させるために、内側弾性層13を筒状に成型する際に繋ぎ合わされる内側ジョイント部13Jや、外皮層15を筒状に成型する際に繋ぎ合わされる外皮ジョイント部15Jと、膨張体周方向にずれて配置されていることが好ましい。
なお、内側ジョイント部13J及び外皮ジョイント部15Jは、肉厚部分を最小限に抑えて、膨張体7の柔軟性等のバラツキを抑制するために、互いの端部同士を付け合わせた状態で形成される。
(作用・効果)
以上説明した本実施の形態に係る膨張体7及びつかみ装置1によれば、補強層ジョイント部11Jが膨張体径方向へ向けて重なっていることによって、加硫時において、補強層ジョイント部11Jに外皮層15が侵入してしまうことを防止することができるため、補強層ジョイント部11Jの接着性及び耐久性を向上させることができる。この結果、膨張体7の破損を抑制して寿命を延ばすことが可能となる。
また、ジョイント幅(W)の範囲が規定されていることによって、加硫時において、補強層ジョイント部11Jに外皮層15が侵入してしまうことを防止することは勿論、補強層ジョイント部11Jの肉厚部分を最小限に抑えて膨張体の柔軟性等のバラツキを抑制することができる。
また、補強層ジョイント部11Jが、内側ジョイント部13Jや外皮ジョイント部15Jと膨張体周方向にずれて配置されていることによって、補強層ジョイント部11Jと、内側ジョイント部13Jと、外皮ジョイント部15Jとが膨張体径方向で重なることをなくすことができ、膨張体の耐久性をさらに向上させることができる。
(変更例1)
上述した実施の形態に係る膨張体7を構成する補強層11は、補強層11全面に設けられているものとして説明したが、以下のように変更することができる。なお、上述した実施の形態に係る膨張体7と相違する部分を主として説明する。図4は、変更例1に係る膨張体の膨張体周方向断面図である。
図4に示すように、補強層ジョイント部11J内で膨張体径方向外側に位置するジョイント外側部分11Oには、補強コード11Bが配置されていない。
このような変更例1に係る膨張体及び及びつかみ装置1によれば、ジョイント外側部分11Oに補強コード11Bが配置されないことによって、補強コード11Bと外皮層15とが接触しずらくなり、補強層ジョイント部11Jの接着性及び耐久性をさらに向上させることができる。
(変更例2)
上述した実施の形態に係る膨張体7を構成する内側ジョイント部13J及び外皮ジョイント部15Jは、互いの端部同士を付け合わせた状態で形成されるものとして説明したが、以下のように変更することができる。なお、上述した実施の形態に係る膨張体7と相違する部分を主として説明する。図5は、変更例2に係る膨張体の膨張体周方向断面図である。
図5に示すように、内側弾性層13を製造する際に繋ぎ合わされる内側ジョイント部13Jは、膨張体径方向へ向けて重なっている。また、外皮層15を製造する際に繋ぎ合わされる外皮ジョイント部15Jは、膨張体径方向へ向けて重なっている。
この場合であっても、補強層ジョイント部11Jは、膨張体の耐久性をさらに向上させるとともに、内側弾性層13や外皮層15の肉厚部分を分散させて膨張体の柔軟性等のバラツキを抑制するために、内側ジョイント部13Jや外皮ジョイント部15Jと膨張体周方向にずれて配置されていることが好ましい。
このような変更例1に係る膨張体及び及びつかみ装置1によれば、補強層ジョイント部11J、内側ジョイント部13J及び外皮ジョイント部15Jが膨張体径方向へ向けて重なっていることによって、補強層ジョイント部11Jの接着性及び耐久性を向上させるのみならず、内側ジョイント部13Jや外皮ジョイント部15Jの接着性及び耐久性をも向上させることができる。
[その他の実施形態]
上述したように、本発明の実施形態を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。
具体的には、膨張体7は、部品の穴の内周面を圧接することで部品をつかむつかみ装置1に用いられるものとして説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、図6に示すように、膨張体7は、部品の外周面を圧接することで部品をつかむつかみ装置21に用いられても勿論よい。
なお、このつかみ装置21は、空気等の流体が通過する通路23が形成されているリング状のボディー本体25と、流体により膨張可能な筒状の膨張体7(いわゆる、チューブ)とによって構成されている。この膨張体7の上端部は、膨張体7の外側へ向けて折り返されており、折り返された部分が加締めリング27Aによりボディー本体23に密封される。同様に、膨張体7の下端部は、膨張体7の外側へ向けて折り返されており、折り返された部分が加締めリング27Bによりボディー本体23に密封される。
この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。したがって、本発明の技術的範囲は、上述の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
本実施の形態に係るつかみ装置を示す一部分解斜視図である。 本実施の形態に係る膨張体の膨張体周方向断面図である。 本実施の形態に係る膨張体の展開上面図である。 変更例1に係る膨張体の膨張体周方向断面図である。 変更例2に係る膨張体の膨張体周方向断面図である。 その他の実施の形態に係るつかみ装置を示す一部分解斜視図である。 背景技術に係る膨張体の膨張体周方向断面図である。
符号の説明
1…つかみ装置、3…通路、3A…上部通路、3B…側部通路、3C…内部通路、5…ボディー本体、7…膨張体、9A、9B…加締めリング、11…補強層、11A…弾性体、11B…補強コード、11J…補強層ジョイント部、11O…ジョイント外側部分、13…内側弾性層、13J…内側ジョイント部、15…外皮層、15J…外皮ジョイント部、21…つかみ装置、23…通路、25…ボディー本体、27A,27B…加締めリング

Claims (4)

  1. 部品をつかむつかみ装置に用いられ、流体により膨張可能な筒状の膨張体であって、
    弾性体及び補強コードからなる補強層と、
    前記補強層の外側に設けられ、弾性体からなる外皮層とを少なくとも備え、
    前記補強層を筒状に成型する際に繋ぎ合わされる補強層ジョイント部は、膨張体径方向へ向けて重なっており、
    前記外皮層を筒状に成型する際に繋ぎ合わされる外皮ジョイント部と、前記補強層ジョイント部とは、膨張体周方向に間隔を設けてずれて配置されている
    ことを特徴とする膨張体。
  2. 膨張体周方向断面において、前記補強層ジョイント部が膨張体径方向へ向けて重なっている領域であるジョイント幅(W)は、前記補強層ジョイント部の両端が前記補強コードの中心を超える範囲以上、かつ、3本の前記補強コードが膨張体径方向へ向けて重なる範囲以下であることを特徴とする請求項1に記載の膨張体。
  3. 前記補強層の内側に設けられ、前記弾性体と同一材料からなる内側ゴムをさらに備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の膨張体。
  4. 流体が通過する通路が形成されている筒状のボディー本体と、前記流体により膨張可能な筒状の膨張体との密封された空間に前記流体を注入することによって、前記膨張体を膨らませて部品をつかむつかみ装置であって、
    前記膨張体は、弾性体及び補強コードからなる補強層と、前記補強層の外側に設けられ、弾性体からなる外皮層とを少なくとも備え、
    前記補強層を筒状に成型する際に繋ぎ合わされる補強層ジョイント部は、膨張体径方向へ向けて重なっており、
    前記外皮層を筒状に成型する際に繋ぎ合わされる外皮ジョイント部と、前記補強層ジョイント部とは、膨張体周方向に間隔を設けてずれて配置されている
    ことを特徴とするつかみ装置。
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