JP5085638B2 - 金属鋳造に使用する分配装置 - Google Patents

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Description

本発明は、溶融金属を金属インゴットに鋳造する方法で使用する分配装置に関するものであり、該分配装置は、底部および概して長方形の壁を含んでなり、該壁が第一および第二の縦方向壁部分と第一および第二の交差壁部分とを含んでなり、底部が、使用の際に、高温の金属が該分配装置の中に供給される入口区域および少なくとも一個の底部開口部を有し、該第一および第二の交差壁部分が、第一前面開口部および第二前面開口部をそれぞれ有するものである。
そのような分配装置は、アルミニウムが、溶融金属として、所望の形状を有するインゴットに鋳造されるアルミニウム工業で使用されることが多い。分配装置は鋳型の内側に配置され、溶融金属は、大部分が鋳造パイプを通して、分配装置の中に供給される。分配装置の機能は、溶融金属を得るために、鋳型の中における溶融金属の速度および循環および固化工程を制御することである。
分配装置の最も一般的な形態は、ガラス織布から製造された箱の形態にあるバッグである。底部および壁は、ガラス布地から製造され、そのガラス布地は、その織り密度のために、溶融金属に対して不透過性である。
各種の開口部は、インゴット中に異物が入るのを阻止するためのフィルターとして作用する、開いたガラス織布で覆われている。
公知の、可撓性バッグの形態にある分配装置の問題は、その可撓性のために、分配装置から鋳型中への溶融金属の流れを制御するのが困難なことである。特に、添加剤および合金化元素の濃度がインゴットの断面全体にわたって変動するマクロ偏析が問題である。マクロ偏析は、鋳型中における高温金属の攪拌が不十分であること、分配装置中の様々な開口部を通した流れの制御が不十分であること、および鋳造の際のバッグの不安定な形状により引き起こされる。
可撓性バッグのもう一つの問題は、そのバッグを単一インゴットの鋳造にしか使用できず、その後はバッグを廃棄しなければならないことである。このためにコストが高くなり、廃棄物が生じるが、これは、環境の観点から好ましくない。
本発明の目的は、高温金属をインゴットに鋳造する時に、鋳型中の流れをより効果的に制御できる分配装置を提供することである。
本発明の別の目的は、鋳型中の好ましくない流れを阻止または少なくとも軽減する分配装置を提供することである。
本発明の別の目的は、複数のインゴットの鋳造に使用できる分配装置を提供することである。
本発明のさらに別の目的は、鋳型中のマクロ偏析を阻止または少なくとも軽減する分配装置を提供することである。
これらの目的および他の目的および利点は、本発明により、該分配装置が、第一および第二デフレクタプレートをさらに含んでなり、該第一デフレクタプレートが、該底部開口部と該第一縦方向壁部分との間に伸び、該第二デフレクタプレートが、該底部開口部と該第二縦方向壁部分との間に伸び、該底部および該壁が剛性材料から製造されることを特徴とする分配装置により達成される。
デフレクタプレートは、溶融金属の流れを誘導する。デフレクタプレートの位置および形状を適切に選択することにより、該または各底部開口部を通る流れを制御することができる。
底部および壁が剛性材料から製造されるために、分配装置の形状は、鋳造の際に安定し、一定である。
本発明の分配装置の一実施態様では、剛性材料が、所望によりガラス繊維で補強された耐火性材料である。
剛性材料から製造された分配装置は、インゴット鋳造の後、後に残るアルミニウムの残留物を容易に清掃することができる。
この分配装置は、何度も再使用でき、経費を節約し、環境汚染を軽減する。
別の実施態様では、第一および第二デフレクタプレートが剛性材料から製造される。
この実施態様では、鋳造工程の際にデフレクタプレートが変形せず、鋳型中における流れの制御をさらに改良することができる。
剛性デフレクタプレートも、各鋳造の後に容易に清掃することができ、多くの鋳造に再使用することができる。
好ましい実施態様では、第一および第二デフレクタプレートが、交差壁部分の方向でテーパーになるように伸びている。
好ましくは、デフレクタプレートは、交差壁部分の近くに隙間またはスリットを有する。
デフレクタプレートのテーパー位置により、テーパー方向で流動抵抗を増加する。その結果、該または各底部開口部の近くで溶融金属の流動速度が低下し、それによって、鋳型の方向で該または各底部開口部を通る流れが増加する。流動抵抗の増加により、分配装置中の、デフレクタプレート間で、テーパー方向でアルミニウム浴のレベルも増加し、そのため、底部のレベルにおける、および交差壁部分に近いテーパーにおけるデフレクタプレート間のスリットにおける静圧も高くなる。
静圧が高い程、該または各底部開口部を通る流れ、およびスリットを通して、交差壁にある開口部の方向に流れる金属の量が増加する。より高い静圧は、分配装置中の開口部およびスリットを通って流れる金属の量に対する自己安定化および自己制御効果を有する。
本発明の分配装置の別の実施態様は、第一および第二デフレクタプレートが入口区域の近くに通路を備え、高温金属を縦方向壁部分の方向に流すことができ、第一および第二縦方向壁のそれぞれが少なくとも一個の側方出口を備えていることを特徴とする。
公知の分配装置では、高温金属は、分配装置から交差壁部分および底部にある開口部を通って出る。
鋳型中の、鋳型の側壁と分配装置の壁との間にある高温金属のメニスカスは、底部開口部を通って鋳型に入る高温金属よりも温度が低い。この高温金属は、メニスカスにおける高温金属より比重が低く、従って、上昇する傾向がある。このため、鋳型中の高温金属は分配装置の底部に沿って流れる。しかし、マクロ偏析を阻止するには、底部開口部を通って鋳型に入る高温金属が、鋳型中の溶融金属の中に浸透し、鋳型中にある金属の固化した殻に沿った、いわゆる粥状の区域で上昇するのが望ましい。その状況では、上昇する流れが、溶融金属プールの最下点に沈んだ、固化した高度に純粋な金属、例えばアルミニウム粒子、を取り込み、メニスカスの方向に戻す。
底部の下近くでメニスカスの方向に溶融金属のかなりの流れがある場合、高度に純粋な金属、例えばアルミニウム粒子、はメニスカスの方向に取り込まれず、中央に残る。その場合、インゴットの中央およびその側壁で、化学組成に大きな差が生じることになる。本発明のこの実施態様は、この偏析を阻止または軽減する。
分配装置の縦方向壁にある開口部を通して分配装置を離れる高温金属の流れは、鋳型の縦方向壁に向けられ、メニスカスを加熱し、それによって、その温度を上昇させ、メニスカスの溶融金属と鋳型の中央における溶融金属との間の比重の差を抑制する。これによって鋳型の縦方向壁に沿った高温金属の上昇が抑制され、それによって、有害なマクロ偏析が阻止される。
本発明の分配装置の別の実施態様は、底部が、使用の際に底部開口部の下流に位置するデフレクタを備えることを特徴とする。
特に、複数の底部開口部を有する分配装置の、それらの底部開口部が金属の主要流動方向に並んで配置される実施態様では、交差壁の方向で底部に沿った溶融金属の流動速度が非常に高いので、高温金属は、流れの方向で見て少なくとも最初の開口部を通過し、その開口部に入らない傾向がある。
デフレクタは、溶融金属の流れを局所的に壊し、それを、デフレクタの前にある底部開口部の中に向ける。このようにして、デフレクタは、分配装置から鋳型中への溶融金属の望ましい流動パターンに貢献する。
デフレクタの効果は、使用の際に、高温金属の流れの上流方向で傾斜している実施態様で、さらに改良される。
別の実施態様では、デフレクタが概して三角形の断面を有する。
三角形断面により、高温金属流の衝撃により加えられる力に耐える大きな強度がデフレクタに与えられ、同時に、この形状が、デフレクタの周りに望ましい流れを造り、高温金属を前にある底部開口部の中に向ける。
断面で、鋳造されているインゴットの上部は、溶融金属で満たされたキャビティを包む固化した部分を示す。
鋳型中の、固化した部分と溶融金属の浴との間にある移行区域は、粥状の区域とも呼ばれ、固化した金属と溶融金属の混合物である。
マクロ偏析を阻止するために、この浴および粥状区域にある金属を攪拌することが望ましい。
試験により、効果的な攪拌は、本発明の分配装置の、入口区域における底部が少なくとも一個の通し穴を備えていることを特徴とする実施態様により、達成できることが分かった。
特定の溶融金属、例えば溶融アルミニウム、を鋳造する時、溶融金属の一部が、空気との接触により、不可避的に酸化し、固体粒子を形成することが多いが、これらの粒子は、インゴット中に入るべきではない。
固体粒子がインゴット中に入るのを防止するために、本発明の別の実施態様は、分配装置中の少なくとも一個の、好ましくは全ての開口部、出口または通し穴が、メッシュカバーを備えていることを特徴とする。
ここで、本発明を制限しない添付の図面を参照しながら、本発明を説明する。
これらの図面における同じ番号は、同一の部品、または同一の、もしくは同等の機能を有する部品を示す。
図1で、番号1は、先行技術による一般的な分配装置を示す。この分配装置は、ガラス織布から製造されている。一般的に分配装置の一部ではない鋳造パイプ2が、分配装置1の中に達している。
図1では、分配装置1および鋳造パイプ2の半分だけを示す。両端の部品は、線3および5を通る面に対して対称的である。底部6は、複数の底部開口部7、8および9を備えている。第一前面壁10は、第一前面開口部11および12を備えている。
使用の際、溶融金属、例えば溶融アルミニウム、が、例えば融解炉(図には示していない)から、鋳造パイプ2を通り、分配装置1中に供給される。溶融金属は、底部開口部7、8および9および第一前面開口部11および12を通って分配装置1から出る。第一前面開口部11および12を通る流れは、長方形鋳型の小側部の一方へ向けられ、溶融金属を鋳型の小側部および角部に供給する。
実際には、ガラス織布から製造された分配装置の様々な開口部7、8、9、10、11および12を通る溶融金属の流れを制御することは困難であることが分かっている。特に、底部開口部のそれぞれを通って流れる溶融金属の量を配分するのが問題である。
量の制御が不十分であるために、鋳造インゴット中にマクロ偏析が起こることがある。
図2は、本発明を具体化する分配装置を示す。
番号1は、やはり、金属インゴット、例えばアルミニウムインゴット、の鋳造方法で使用するのに好適な分配装置を概略的に示す。分配装置は、耐火性材料から製造され、長方形の堅い箱形状を有する。
この分配装置は、底部開口部7、8および9および第一前面開口部11および12を備えている。さらに、この分配装置は、第一縦方向壁20に側方出口部分12および14、および第二縦方向壁21に側方出口部分15および16を有する。
使用の際、溶融金属、例えば溶融アルミニウム、が、例えば融解炉(図には示していない)から、鋳造パイプ2を通り、分配装置1中の出口区域30に供給される。分配装置中に流れ込む溶融金属の第一部分は、デフレクタプレート17と18の間の空間中に流れ込む。デフレクタプレートの第一の効果は、分配装置に流れ込む溶融金属の一部だけを、底部開口部を通して流すことである。分配装置に流れ込む溶融金属の第二の部分は、第一縦方向壁20とデフレクタプレート17との間の空間中に、および第二縦方向壁21とデフレクタプレート18との間の空間中に流れ込む。デフレクタプレート17および18のテーパーの付いた位置のために、デフレクタプレート17と18との間の空間にある溶融金属のレベルがテーパー方向で増加する。
従って、底部上の静圧が、底部開口部7から、底部開口部8を通り、底部開口部9に向かう方向で増加する。
静圧の増加により、本発明の実施態様底部開口部8および9を通る流れが、先行技術の分配装置の底部開口部8および9を通る流れよりも、増加する。
従って、この分配装置により、本発明の分配装置の底部開口部を通る流れの配分が、先行技術の分配装置と比較して、改良される。
第一部分の一部は、デフレクタプレート17と18の間の、テーパー側におけるスリット22を通過し、第一前面開口部11および12を通り、鋳型の短壁(図には示していない)の方向で分配装置から離れる。
試験および数学的シミュレーションにより、鋳型中の流れは、分配装置の底部に沿って向けられ、次いで鋳型(図には示していない)の長側部に沿って上に向けられる傾向があることが分かった。
この上方向の流れを制限するために、第一縦方向壁20は側方出口13および14を備え、第二縦方向壁21は側方出口15および16を備えている。
溶融金属の流れの、デフレクタプレートと縦方向壁との間空間に入る第二部分の一部は、側方出口13、14、15および16を通って分配装置から離れ、上方向の流れを抑制する。
このように、側方出口は、鋳型中の溶融金属の流れをさらに安定化し、制御する可能性を与える。
底部は、鋳造パイプ2の下にある入口区域30に位置する通し穴26および27も備えている。これらの通し穴26および27を通って分配装置から出る溶融金属は、基本的に垂直方向で鋳型に入り、鋳型中の溶融金属プール、特に鋳型中で液体と固化した金属との間の移行区域である「粥状区域」に対して有益な攪拌効果を有する。
図に示すように、第一前面開口部11および12は、例えばガラス繊維のメッシュ4で覆われている。メッシュは、固体粒子のためのフィルターとして作用し、開口部を通る溶融金属の流れを滑らかにする。同様に、底部開口部の一個以上、側方出口の一個以上、および通し穴の一個以上もメッシュで覆うことができる。
図3は、デフレクタ25が平らなじゃま板の形態である分配装置の一部を図式的に示す。
このデフレクタは、底部開口部7に近い溶融金属の水平速度を下げ、分配装置に流れ込む溶融金属の第一部分の一部を垂直方向にそらせ、それによって、底部開口部7を通って鋳型中に流れ込む溶融金属の垂直速度を増加する。これによって、鋳型中における溶融金属の流れをさらに安定化させ、制御する。
図4は、本発明の、デフレクタが、分配装置の底部に沿った溶融金属の水平流れ方向と反対の方向に傾斜している実施態様を示す。デフレクタの傾斜角度を選択することにより、垂直速度にプロセスパラメータに応じた所望の値を与えることができる。
図5は、デフレクタが基本的に三角形の断面を有する実施態様を示す。この実施態様には、機械的強度およびデフレクタの下流にある溶融金属の水平の流れがあまり妨害されないという利点がある。
先行技術の対称的分配装置の半分を示す。 本発明の対称的分配装置の半分を図式的に示す。 本発明の、デフレクタを備えた実施態様による分配装置の一部を図式的に示す。 本発明の、異なった形状のデフレクタを備えた実施態様による分配装置の一部を図式的に示す。 本発明の、さらに別の形状のデフレクタを備えた実施態様による分配装置の一部を図式的に示す。

Claims (10)

  1. 溶融金属を金属インゴットに鋳造する方法で使用する分配装置であって、前記分配装置が、底部および長方形の壁を含んでなり、前記壁が、第一および第二の縦方向壁部分と第一および第二の交差壁部分とを含んでなり、前記底部が、使用の際に、溶融金属が前記分配装置の中に供給される入口区域および少なくとも一個の底部開口部を有し、前記第一および第二の交差壁部分が、第一前面開口部および第二前面開口部をそれぞれ有しており、前記分配装置が、第一および第二デフレクタプレートをさらに含んでなり、前記第一デフレクタプレートが、前記底部開口部と前記第一縦方向壁部分との間に伸び、前記第二デフレクタプレートが、前記底部開口部と前記第二縦方向壁部分との間に伸び、前記底部および前記壁が剛性材料から製造されている、分配装置。
  2. 前記第一および第二デフレクタプレートが剛性材料から製造される、請求項1に記載の分配装置。
  3. 前記第一および第二デフレクタプレートが、交差壁部分の方向にテーパー状に伸びている、請求項1または2に記載の分配装置。
  4. 前記第一および第二デフレクタプレートが前記入口区域に近接して位置する通路を備えることで、溶融金属を前記縦方向壁部分の方向に流すことが可能とされてなり、前記第一および第二縦方向壁のそれぞれが少なくとも一個の側方出口を備えている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の分配装置。
  5. 前記底部が、使用の際に前記底部開口部の下流に位置するデフレクタを備えている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の分配装置。
  6. 前記デフレクタが、使用の際に、前記溶融金属の流れの上流方向に傾斜している、請求項5に記載の分配装置。
  7. 前記デフレクタが、三角形の断面を有する、請求項5または6に記載の分配装置。
  8. 前記入口区域における前記底部が、少なくとも一個の通し穴を備えている、請求項1〜7のいずれか一項に記載の分配装置。
  9. 前記分配装置中の少なくとも一個の開口部、出口または通し穴が、メッシュカバーを備えている、請求項1〜8のいずれか一項に記載の分配装置。
  10. 前記分配装置中の全ての開口部、出口または通し穴が、メッシュカバーを備えている、請求項1〜9のいずれか一項に記載の分配装置。
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