JP5084097B2 - 電解質膜の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、燃料電池の電解質膜の製造方法に関する。
温暖化ガスに代表される環境問題の観点からクリーンエネルギー源としての燃料電池が急ピッチで開発されてきてきる。特に固体電解質型燃料電池は低温作動や小型で高出力密度であることから研究開発が活発に進められている。その中、燃料電池電解質膜として低コストで燃料クロスオーバーの低い膜や酸化に強い膜など長期安定稼動できる膜が検討されてきた。酸化に対して長期安定な電解質膜としては特許文献1の特開2001−118591に過酸化物を分解する遷移金属化合物を含有する膜やフェノール水酸基を化合した膜等が提案されている。また特許文献2の特開2001−158806にはメタノールクロスオーバーを低減する膜として、イオン伝導性樹脂にポリビニールアルコールをスルホン化した層を形成した複合膜が検討されてきた。
しかしながら、これら炭化水素系の膜は触媒との界面で酸化と還元が行なわれる環境で使用されているため、長期運転において酸化還元反応場において電解質の劣化が進み、電解質と触媒の界面の減少が起こり電気特性の低下を引き起こしていた。
また、特許文献3の特開2004−79252には炭化水素系の電解質を、機械的、熱的強度に優れる基材に含浸させて膜を形成する事で、膜の機械強度を向上することが開示されている。これらは機械強度の向上はされるが、触媒層との界面において起こる、酸化還元による炭化水素材料の劣化については検討されていないため、電池性能としての耐久性に課題がある。
また特許文献4の特開2002−8680には化学的に安定なフッ素系電解質をフッ素系多孔質材料に含浸させ架橋することにより、機械的強度を向上していることが上げられている。これは、全フッ化電解質膜であり、低コスト化が困難となっている。
特開2001−118591号公報 特開2001−158806号公報 特開2004−79252号公報 特開2002−8680号公報
そこで本発明は、炭化水素を含有する電界配向膜において、抗酸化還元層を触媒層と電解質膜の間に設けることによって全フッ化電解質膜に比べ低コストが可能で、長期にわたり電気特性の安定な電解質膜を提供することを目的とする。
特に本発明は、以下の課題を解決することを主目的としている。
本発明の第1の目的は、燃料電池の触媒層と電解質膜の界面において、酸化還元による界面減少を防ぐことである。
また本発明の第2の目的は、抗酸化還元層を表層に有する電解質膜の機械特性が向上した膜を提供することである。
本発明の第3の目的は、イオン導電性を損なわずに酸化還元による界面減少を防ぐことである。
本発明の第4の目的は、抗酸化還元層と電解質膜の組成を近くすることで界面の接合を向上することである。
本発明の第5の目的は、抗酸化還元層を含む複合電解質膜の電気特性を向上することである。
本発明の第6の目的は、前記目的を達成した燃料電池を提供することである。
本発明の第7の目的は、エネルギー密度の高い液体燃料を用いた燃料電池において、安定した燃料電池を提供することである。
本発明の第8の目的は、前記目的を達成した燃料電池において、環境保全性および安全性が高い燃料を供給することである。
本発明の第9の目的は、前記目的を達成した燃料電池において、発電特性が長期安定した燃料電池を提供する事である。
本発明は、「全フッ化電解質膜に比べ低コストが可能で長期にわたり電気特性の安定な電解質膜を提供する」という目的を達成するためになされた発明であって、アルコールを燃料とする燃料電池に用いる電解質膜の製造方法であって、炭化水素を含有する電界配向膜の表面に抗酸化還元層となるフッ素系イオン伝導性樹脂を少なくとも含む溶液をキャストし、キャストされた前記溶液を乾燥成形し、前記乾燥成形する過程で電界を印加することで、抗酸化還元層を表面に備えた電解質膜を作製する工程と、前記工程にて得られた抗酸化還元層を表面に備えた電解質膜に、触媒層としてPt担持カーボンを配する工程を有することを特徴とする。
また、本発明者は、第1目的を達成するべく検討した結果、炭化水素結合を含むイオン伝導性樹脂に電界を印加して形成した複合電解質膜において、該電解質膜と触媒層との界面に抗酸化還元層を設けたことにより達成できることを見出した(本明細書が開示する発明[1])。
第2目的を達成するべく検討した結果、発明[1]において、該電解質膜がイオン伝導性樹脂と非イオン伝導性樹脂からなることにより達成できることを見出した(発明[2])
第3目的を達成するべく検討した結果、発明[1]又は[2]に記載の抗酸化還元層が、前記複合電解質膜よりもフッ素含有率が高いことにより達成できることを見出した(発明[3])
第4目的を達成するべく検討した結果、発明[2]に記載の非イオン導電性樹脂が、フッ素含有樹脂からなることか、または発明[3]に記載の抗酸化還元層がフッ素含有イオン伝導性樹脂と非イオン伝導性フッ素樹脂からなることによって達成できることを見出した(発明[4]、[5])
第5目的を達成するべく検討した結果、発明[5]に記載の抗酸化還元層に電界を印加させる工程を有することで達成できることを見出した(発明[6])
第6目的を達成するべく検討した結果、発明[1]から[5]のいずれか1つに記載の複合電解質膜を有する燃料電池を用いる事により達成できることを見出した(発明[7])
第7目的を達成するべく検討した結果、燃料にアルコールを用いることにより達成できることを見出した(発明[8])
第8目的を達成するべく検討した結果、燃料電池に供給する燃料に、エタノールを用いることにより達成できることを見出した(発明[9])
第9目的を達成すべく検討した結果、携帯機器に前記燃料電池を用いることで達成できることを見出した(発明[10])
本発明によれば、全フッ化電解質膜に比べ低コストが可能で長期にわたり電気特性の安定な電解質膜を提供することが可能になる。
発明[1]から[3]の説明)
プロトン伝導型固体高分子電解質を使用した燃料電池を例にとり、その発電概念図を図1に示す。
基本的構成要素として、中心にイオン伝導体(図1の場合はプロトン伝導体)が存在し、その両側にアノードおよびカソードが配置された構成を有している。
プロトン伝導型の電解質が使用される場合には、アノード側にプロトン源となる燃料(水素、アルコールなど)が供給され、アノード内の触媒作用により前記した燃料により、水素イオンが発生する。この時、発生する電子は外部回路に流れ出る。
発生した水素イオンは、プロトン伝導体中を伝搬し、アノードに達する。アノードに酸化剤(たとえば空気あるいは、酸素など。またこれらの混合物も含む)が供給されることにより、水素イオンと酸素と、外部回路を通して流れてくる電子(e-)とが反応し、水を生成する。以上が発電の概念であり、この反応式を表すと、下記式のようになる。
アノード反応;H2 → 2H+ + 2e-(水素燃料の場合)
カソード反応;2H+ + 1/2O2 + 2e- → H2
全反応;H2+1/2O2→H2
前記した式に示された反応が進行する場所は、燃料電池の電解質膜と電極の狭持体において、燃料と触媒と電解質との三相の界面(三相界面)である。
電子の授受はこの三相界面でのみ行なわれる。この三相を構成する燃料(燃料分子)は、電解質の薄層を透過して三相を構成する触媒表面で活性化され、電子を電極に与える。また電解質は、生成したプロトンなどのイオンが、この電解質を拡散伝搬していく。このように、“燃料”と、“燃料を活性化して電子を伝搬する伝導体触媒”と、“プロトンを伝搬する電解質”とからなる三相が、形成されていることが燃料電池にとって、不可欠なのである。
実際には、触媒の表面に、薄い電解質層が存在してもよく、水素はこの電解質層を透過可能であるので、燃料の拡散する空孔が存在しない場合でも反応は進行する。この場合にも、反応は三相界面で行なわれているといえる。さらにメタノールやエタノールなどの液体燃料を用いる燃料電池の場合においても、電解質層をこれらの液体燃料が浸透するので、水素燃料と同様に発電の反応が起こる。
この三相界面の形成が電気特性を得るために重要であり、その構造が種々検討されている。
しかしながら、触媒粒子に電解質との界面を増加した触媒インクを用いてこの界面の形成し、三相界面の面積を増加させた電極の製造を行なっても、その三相界面が長期間保持されないため、燃料電池の発電特性が低下してしまうという課題がある。
特に炭化水素系の電解質膜を用いた場合には、燃料電池の発電特性の低下が顕著であり、その原因は三相界面の電解質が、触媒の酸化還元雰囲気下にあって活性化された水素イオンに曝露されており、電解質自身が酸化されて劣化してしまい、触媒と電解質との界面が減少してしまうことにある。これまでにたとえば特許文献1の特開2001−118591公報に開示されているように、このような電解質膜の酸化を防ぐ為に、酸化マンガンや酸化ルテニウムなどの遷移金属酸化物を電解質膜に配合分散させるなどの検討が行なわれてきたが、発電特性を維持するには十分ではなかった。
また、特許文献3の特開2004−79252公報には、炭化水素系の電解質を、機械的、熱的強度に優れる基材に含浸させて膜を形成する事で、膜の機械強度を向上することが開示されている。これらは機械的強度は向上されるが、触媒層との界面において起こる酸化還元反応による炭化水素材料の劣化については検討されていない。このため、電池性能としての耐久性に課題がある。
また特許文献4の特開2002−8680には、フッ素系電解質をフッ素系多孔質材料に含浸させて架橋することにより、機械的強度を向上している技術が開示されている。これは、全フッ化電解質膜であり、低コスト化が図れない。
本発明では、炭化水素系樹脂またはベンズイミダゾールを主鎖として含有する膜に電界を印加させて配向させた電解質膜と、触媒層との間に、化学的に安定な抗酸化還元層を設けることによって、全フッ化電解質膜に比べ、低コストで長期にわたり電気特性の安定が可能な複合電解質膜を提供すること、この複合電解質膜を用いた燃料電池を提供することを目的としている。
本発明の抗酸化還元層は、配向した炭化水素系樹脂等からなる電解質の表面(触媒との界面)を酸化または還元反応の少なくとも1つから保護し、かつ、抗酸化還元層自体もプロトン伝導性でなければならないようにした点にある。そして電解質膜と触媒層との間に配置されている抗酸化還元層は、各々の界面(電解質膜と抗酸化還元層との界面、抗酸化還元層と触媒層との界面)において、発生したプロトンを効率よく伝搬する為に、図2に示すように、触媒と抗酸化還元層のプロトン伝導体との界面や、電解を印加して配向した電解質膜と抗酸化還元層の界面が十分形成されなければならない。
本発明の複合電解質膜は、ポリアリーレン系重合体やスルホン化ポリビニルアルコール膜を含む、ポリアクリル酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸、ポリ(アシッドホスホオキシ(アルキル)メタクリレート)、ポリ(アシッドホスホオキシ(アルキル)アクリレート)、ポリ(アシッドホスホオキシ(オキシアルキル)メタクリレート)、ポリ(アシッドホスホオキシ(オキシアルキル)アクリレート)などの炭化水素系重合体あるいはポリベンズイミダゾールから得られる重合体またはこれらの原料のモノマーを1種以上用いて得られる共重合体の電解質膜(プロトン伝導体)に、抗酸化還元層を設けるものである。その中でも電界を印加してイオン伝導部を配向させた電解質膜を利用する。
電界を印加した電解質膜としては、機械特性を補強する為に、炭化水素系のイオン伝導性樹脂に、成膜性の良い非イオン伝導性の樹脂を混合して膜化したものが好ましく用いることができる。炭化水素系の非イオン伝導性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのアルキル高分子や、ポリカーボネート、ポリエステルなどが挙げられ、また、ポリベンズイミダゾールあるいはこれら炭化水素系樹脂の共重合体、または炭化水素系重合体とポリイミダゾールあるいはポリベンズイミダゾールとの共重合体などの主鎖に、置換ないし非置換のアリーレン基を有する高分子などを電解質膜として用いることができる。
更に好ましくは、グラフト型フッ素樹脂やポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、またこれらフッ素樹脂(フッ素樹脂単量体)の共重合体などのフッ素系樹脂を、非イオン伝導性樹脂として用い、イオン伝導性樹脂として上記した樹脂を用いるのが良い。上記フッ素系樹脂には、塩素を有するグラフト型樹脂も含まれる。たとえば、塩素含有のグラフト型フッ素樹脂も本発明で使用される。
たとえば、上記したグラフト重合体としては、以下の式で重合した3元共重合体グラフトポリマー(1−プロペニルオキシカルボン酸と、1,1−ジフルオロ−2フルオロ−2−クロロ−エチレンと、1,1−ジフルオロエチレンとの3元共重合体)を挙げることができる。ただし、下記化1では、グラフト反応によるグラフト反応のみを挙げている。
Figure 0005084097
本発明の複合電解質膜として、前記非イオン伝導性樹脂と炭化水素系のイオン伝導性樹脂とを混合して形成した膜に電界を印加することで、導電性が向上し、機械的強度にも優れた膜が得られる。具体的には、前記したイオン伝導性樹脂と、前記した非イオン伝導性樹脂との2種類の樹脂とを用いて製造することができる。更に好ましくは前記各樹脂を各々が溶解する溶媒または分散する分散媒に溶解ないし分散してキャスト法などにより膜を形成した後に、その膜厚方向に外部電界を印加して配向させる。このとき、樹脂を溶解した溶媒(または樹脂を分散する分散媒)が除去される工程中に電界を印加するのが好ましい。こうして、外部電界を最適に選ぶことによって良好なイオン伝導性を有した電界配向膜が得られる。一般に、イオン伝導を行なう樹脂が主に炭化水素からなるため触媒による酸化還元環境において特に酸化が進み劣化してしまう。本発明では、このため、非イオン伝導性樹脂に、化学的に安定な樹脂を選ぶ事によって、酸化還元に対する安定性を向上することが可能である。ただし、この使用は、イオン伝導性を低下させてしまうため混合割合が制限される。
そこで本発明では、図2(b)に示すように、炭化水素系重合体を有するイオン伝導性樹脂と、触媒との間に、炭化水素系重合体からなるイオン伝導性樹脂にくらべ、酸化還元に強いイオン伝導性の樹脂を用いることで酸化還元による劣化を防ぐようにしている。酸化還元が行なわれる樹脂とは、酸性条件下において2重結合など電子密度が高い箇所を有し、酸に対し電子供与が行なわれる樹脂構造であったり、また逆に還元条件下で電子密度が低い箇所を有し還元剤に対して求核置換(反応)が行われやすい樹脂構造をとるものであったりする。さらに電気化学的には酸化還元電位において内部の炭化水素からなるイオン伝導性樹脂と比べてより貴な電位、あるいはより卑な電位まで分解が起こらない樹脂が酸化還元に強い樹脂として、抗酸化還元樹脂に用いる事ができる。具体的にはパーフルオロスルホン酸、パーフルオロカルボン酸などのフッ素系のイオン伝導性樹脂が好ましく用いられる。このフッ素系イオン伝導性樹脂には、塩素基を含有するものであってもよい。全フッ化イオン伝導性樹脂以外にも、抗酸化還元層が付与される電解質膜と比べて、フッ素含有率が高い樹脂などが用いられる。
電解質膜と触媒層の間に抗酸化還元層を設けることにより、抗酸化還元に有効なフッ素含有量の高い材料の使用量を低減させることができ、本発明では、コストが抑えられる。
発明[4]の説明)
炭化水素系重合体を有するイオン伝導部を有し電界配向された電解質膜の非イオン伝導性樹脂としてフッ素樹脂を用いることによって、フッ素系の抗酸化還元層との相溶性(接合)が良くなり、長期にわたりイオン伝導性の良い膜を得る事ができる。
前記したように、イオン伝導性樹脂と非イオン伝導性樹脂とを混合して形成した膜を本発明の抗酸化還元層を有する複合電解質膜に用いる事により、イオン伝導性を著しく低下させる事無く電解質膜の物性を抗酸化還元層に近いものに制御する事ができる。
全炭化水素系重合体の電解質膜表面にフッ素系の抗酸化還元層を接合させた場合に比べて本発明の複合電解質膜は前記した抗酸化還元膜との接合が良く、長期に亘って、電解質膜と抗酸化還元層との接合が安定している。
用いられるフッ素樹脂としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニール、ポリフッ化アルコール、フッ化ビニリデン−トリフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリテトラフルオロエチレン−エチレン共重合体などのフルオロアルキル高分子、あるいは上記した化1で示される塩素基含有フッ素樹脂(塩素含有フッ素グラフト重合体)などが挙げられるが、これに限定されない。
発明[5][6]の説明)
さらに抗酸化還元層と電解質膜との接合を良くするために、フッ素系の抗酸化還元樹脂に前記電界配向膜の非イオン伝導性樹脂として用いたフッ素系樹脂を混合して用いることができる。電界配向膜の非イオン伝導性樹脂としては、フッ素系の抗酸化還元樹脂との相溶性が良く、抗酸化還元性能は維持されている。これにより、電解質膜と抗酸化還元層の物性も近くなるため接合界面の剥離等が防げる。
また抗酸化還元層を炭化水素系重合体を含有する電解質の表面に形成する工程は、炭化水素を含有する電解質膜の表面に抗酸化還元層となるフッ素系などのイオン伝導性樹脂と非イオン伝導性樹脂を混合した物をキャストし乾燥成形するが、この前記乾燥工程において抗酸化還元層にも電界を印加することが出来る。これにより抗酸化還元層が、設けられる電解質膜と同様に、イオン伝導部が配向して抗酸化還元層においてもイオン伝導性能がより向上することができる。
発明[7]から[9]の説明)
燃料電池に供給される燃料は、燃料電池本体の特性にあわせて適宜設定されるものであるが、体積および重量エネルギー密度に優れるものを使用することが好ましい。燃料電池の小型化を実現するためには、体積および重量エネルギー密度にすぐれる燃料を使用することが好ましい。特にこのうちでも体積エネルギー密度にすぐれる燃料を用いた燃料電池が好ましい。したがって気体状燃料は体積エネルギー密度に劣るため好ましくなく、液体状燃料、固体状燃料がこのましい。
これは、たとえば燃料1分子当たりの酸化反応により取り出せる電子数が、燃料として水素を用いた場合には2個であり、メタノールであれば6個であり、エタノールであれば12個である。このことから、各燃料分子1molから取り出せるクーロンCの量は、1molの電子の電荷(1F:1ファラデー)を96,500C(クーロン)とすると、それぞれ理論値として、96500×2C(水素の場合)、96500×6C(メタノールの場合)、96500×12C(エタノールの場合)となる。各々の密度、分子量を考慮し、1cc当たりのクーロン量に換算すると水素で約9C/ml、メタノールで約14400C/ml、エタノールで15200C/mlのエネルギー密度となる。常圧の気体としての水素は単位体積あたりのエネルギー密度は著しく低くなることなる。メタノールとエタノールは酸化反応には水分子がそれぞれ、1分子、3分子必要である(以下の式)。これを加味しても、液体燃料が優れることはあきらかである。
CH3OH+H2O→6H+ + 6e- + CO2
25OH+3H2O→12H+ + 12e- + 2CO2
高圧の水素あるいは液体水素を使用することも可能であるが、容器を堅牢にする必要があり、容器込みのエネルギー密度を考慮すると、常温常圧で液体あるいは固体である燃料を用いることが、燃料電池にとって優れているといえる。
具体的には、水素吸蔵合金に蓄えた水素、ガソリン、液体状炭化水素、液体状アルコールなどの固体状または液体状の燃料が使用できるが、本体の燃料電池の小型化が可能な点、体積エネルギー密度に優れる点により、アルコール系の燃料を使用することが、燃料電池にとっては好ましいと言える。
中でも、炭素数4以下のアルコールを使用することが好ましく、さらに好ましくは、安全性が高く、生合成が可能である点(環境面)から、本発明に使用される燃料電池の燃料として、エタノールを使用することが好ましい。
またこのような本発明の燃料電池を搭載した携帯機器は、携帯性に優れる燃料と組み合わせる事で、長期間安定した稼動ができる携帯機器として利用することができる。
以下、本発明を実施例により、説明するが、このような実施例は、ほんの一例に過ぎない。
比較例1
炭化水素含有の電解質膜として、ポリアクリル酸とポリフッ化ビニリデンを溶解できる溶媒であるDMF(ジメチルホルムアミド)に溶かして混合し、離形性を有する樹脂上にキャストした後、
4kV/cmの電界を印加しながら乾燥させた。得られた膜Aの膜厚は50μmであり、その両面にPt担持触媒と拡散電極を配しセパレータを装着してセルを作製しセルAとした。
実施例1
炭化水素含有の電解質膜として比較例1の電解質膜を作製し、その表面にパーフルオロスルホン酸(Nafion、Dupont社製)の溶液をキャストし、乾燥を行ない抗酸化還元層を形成した。得られた複合膜Bは膜厚が80μmであった。複合膜Bを比較例1と同様にセルに装着しセルBとした。
実施例2
炭化水素含有の電解質膜として、ポリスチレンスルホン酸とフッ素樹脂(セフラルソフト、セントラル硝子社製)の溶液を混合し、離形成を有する樹脂上にキャストし、4kV/cmの電界を印加しながら乾燥させた。得られた膜の膜圧は50μmであり、その表面に前記フッ素樹脂(セフラルソフト、セントラル硝子社製)とパーフルオロスルホン酸(Nafion、Dupont社製)の溶液をキャストして乾燥させ、抗酸化還元層を形成した。得られた複合膜Cの膜厚は80μmであった。複合膜Cを比較例1と同様に両面にPt担持カーボンと拡散電極を配しセパレータを装着してセルを作製しこれをセルCとした。
実施例3
炭化水素含有の電解質膜として実施例2の電解質膜を用いた。電解質膜の膜圧は50μmであり、その表面に前記フッ素樹脂(セフラルソフト、セントラル硝子社製)とパーフルオロスルホン酸(Nafion、Dupont社製)の溶液をキャストし、4kV/cmの電界を印加しながら乾燥させ、抗酸化還元そうを形成した。得られた複合膜Dの膜厚は70μmであった。複合膜Dを比較例1)と同様に両面にPt担持カーボンと拡散電極を配しセパレータを装着してセルを作製しセルDとした。
評価法
1.作製したセルの初期特性としてアノード燃料としてメタノールを、カソードに空気(酸素)をそれぞれ供給して、電流電圧特性(I−V特性)から、電気特性(80mA/cm2における電池電圧)を比較した。
2.作製したセルにアノード燃料としてメタノールを、カソードに空気(酸素)をそれぞれ供給して、500時間発電を行ない、評価1と同様にして(80mA/cm2における電池電圧)電気特性を比較した。
結果
作製したセルの初期特性(80mA/cm2における電池電圧)は、セルA(膜A)>セルB(複合膜B)>セルD(複合膜D)>セルC(複合膜C)の順に良く、500時間においての電気特性(80mA/cm2における電池電圧)はセルD(複合膜D)>セルC(複合膜C)>セルB(複合膜B)>セルA(膜A)の順に良かった。
複合電解質膜は、抗酸化還元層を設けない膜にくらべて、膜厚が厚くなる分、初期特性が低く計測されたが、500時間運転を行なっている間に低下した電圧はセルD(複合膜D)<セルC(複合膜C)<セルB(複合膜B)<セルA(膜A)の順に小さく、本発明の複合電解質膜を用いたほうが、長時間運転において安定していることが分かった。
つまり、炭化水素系樹脂含有の電解質膜Aに、フッ素含有抗酸化還元層を設けたセルBの方が、長時間安定した電気特性が得られており、さらに電解質膜Aに含有されるフッ素樹脂を、抗酸化還元層に混合したセルCのほうがその電気特性が安定していることが結論された。
より好ましい状態として、電解質膜Aに含有されるフッ素樹脂を抗酸化還元層に混合し、電界を印加して得られたセルDのほうが、より電気特性がよく、長時間に亘って安定していることがわかった。
燃料電池の発電の原理を説明するための図である。 複合電解質膜の構造を説明するための図であり、(a)は、従来使用されている構造であり、(b)は、本発明の複合電解質膜の構造を示す図である。 本発明の燃料電池の長期間発電の特性を示す図であり、縦軸は電圧(V)を、横軸は時間(Hour)を表す。図中、Vinは、初期電圧値である。

Claims (2)

  1. アルコールを燃料とする燃料電池に用いる電解質膜の製造方法であって、
    炭化水素を含有する電界配向膜の表面に抗酸化還元層となるフッ素系イオン伝導性樹脂を少なくとも含む溶液をキャストし、
    キャストされた前記溶液を乾燥成形し、
    前記乾燥成形する過程で電界を印加することで、
    抗酸化還元層を表面に備えた電解質膜を作製する工程と、
    前記工程にて得られた抗酸化還元層を表面に備えた電解質膜に、触媒層としてPt担持カーボンを配する工程を有する
    ことを特徴とする電解質膜の製造方法。
  2. 前記アルコールがエタノールであることを特徴とする請求項1記載の電解質膜の製造方法。
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