JP5002911B2 - ダイレクトメタノール型燃料電池(dmfc)での発電評価におけるプロトン1個あたりの電気浸透水量eowの測定方法 - Google Patents

ダイレクトメタノール型燃料電池(dmfc)での発電評価におけるプロトン1個あたりの電気浸透水量eowの測定方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5002911B2
JP5002911B2 JP2005140811A JP2005140811A JP5002911B2 JP 5002911 B2 JP5002911 B2 JP 5002911B2 JP 2005140811 A JP2005140811 A JP 2005140811A JP 2005140811 A JP2005140811 A JP 2005140811A JP 5002911 B2 JP5002911 B2 JP 5002911B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
water
amount
cathode
anode
equation
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2005140811A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2006012791A (ja
JP2006012791A5 (ja
Inventor
聖幸 希代
貴夫 植手
伸明 伊藤
眞哉 足立
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Industries Inc filed Critical Toray Industries Inc
Priority to JP2005140811A priority Critical patent/JP5002911B2/ja
Publication of JP2006012791A publication Critical patent/JP2006012791A/ja
Publication of JP2006012791A5 publication Critical patent/JP2006012791A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5002911B2 publication Critical patent/JP5002911B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/50Fuel cells

Landscapes

  • Polyethers (AREA)
  • Conductive Materials (AREA)
  • Fuel Cell (AREA)

Description

本発明は、ダイレクトメタノール型燃料電池(DMFC)での発電評価におけるプロトン1個あたりの電気透水量EOWの測定方法に関するものである。
燃料電池は、低排出物かつ高エネルギー効率で環境への負担の低い発電装置である。このため、近年の地球環境保護への高まりの中で再び脚光を浴びている。従来の大規模発電施設に比べ、比較的小規模の分散形発電施設、自動車や船舶など移動体の発電装置として、将来的にも期待されている発電装置である。また、小形移動機器、携帯機器の電源としても注目されており、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池などの二次電池に替わり、携帯電話、PDA、パソコン、ビデオなど携帯用電子機器への搭載が期待されている。
固体高分子形燃料電池においては、水素ガスを燃料とする固体高分子形燃料電池(以下、PEFCと記載する)に加えて、液体のメタノール水溶液を燃料とするダイレクトメタノール型燃料電池(以下、DMFCと記載する)も注目されている。DMFCは、PEFCに比べて出力が低いものの、燃料が液体で改質器を用いないことから、エネルギー密度が高くなり、一充填あたりの携帯機器の使用時間が長時間になるという利点がある。
燃料電池は、発電を担う反応の起こるアノードとカソードの電極と、アノードとカソード間のイオン伝導体となる電解質膜とが、膜―電極複合体(MEA)を構成し、このMEAがセパレータによって挟まれたセルをユニットとして構成されている。電極は、燃料液体や気体の供給や生成物の放出と集(給)電を行う電極基材(ガス拡散電極あるいは集電体とも云う)と、電気化学的な酸化あるいは還元反応の起こる電極触媒層とから構成されている。
たとえば、DMFCのアノード電極では、メタノール水溶液燃料がアノード電極の触媒層で反応してプロトン、電子と二酸化炭素を生じ、電子は電極基材にプロトンは電解質膜へと伝導し、二酸化炭素は系外に排出される。このため、アノード電極には、液体燃料の浸透、ガスの拡散性、電子伝導性、プロトン伝導性が良好なことが要求される。
一方、カソード電極では、酸素や空気などの酸化ガスがカソード電極の触媒層で、電解質膜から伝導してきたプロトンと、電極基材から伝導してきた電子とが反応して水を生成する。このため、カソード電極においては、ガス拡散性、電子伝導性、イオン伝導性とともに、生成した水を効率よく排出することも必要となる。
また、膜電極複合体の中心に配される電解質膜は、特にプロトン伝導度が高いことが重要である。なかでもDMFCにおいては、燃料のメタノール水溶液のアノードからカソードへの透過するメタノールクロスオーバー(以下MCOと略す)により、燃料が無駄に捨てられることによる燃料効率の低下だけでなく、カソードでの電位低下を引き起こし発電出力が低下するという問題もあることから、電解質膜にはMCOが低いということも求められている。
ところで、MEAにおける電解質膜は、高分子化合物あるいは無機化合物などの電解質が膜あるいはシート形態にて用いられることが多いが、これまでの電解質においては、プロトン伝導する際にプロトン伝導とともに水も移動する電気浸透現象が起きていた。特にDMFCにおいては水も燃料であることから、水の移動量の多い電解質は、MCOと同様に燃料が無駄に捨てられることになる。また、電気浸透水に伴いMCOも増大することから、更なる性能低下を引き起こすことになる(特許文献1)。一方、PEFCにおいても電気浸透による水移動量が多い場合には、電解質中の水分量が減少してプロトン伝導度が低下し、電池性能の低下を引き起こしていた(特許文献2、特許文献3、特許文献4)。
特表2000−512797 特開2002−8679 特開2003−272637 特開2003−288915
上述のように、電解質に含まれる水はプロトン伝導にとって必須であるにも拘わらず、そのプロトン伝導に伴う電気浸透水は、DMFCでの燃料効率の低下、あるいはPEFCでのプロトン伝導低下などの原因となり、固体高分子型燃料電池における重要な課題となっていた。
本発明は、かかる背景技術の課題に鑑み、DMFCでの燃料効率の低下、あるいはPEFCでのプロトン伝導低下のない電解質、およびそれを用いた膜電極複合体(MEA)およびそのMEAを用いた固体高分子型燃料電池を、再現性および精度に優れ、簡便に提供せんとするものである。
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。すなわち、本発明の測定方法は、ダイレクトメタノール型燃料電池(DMFC)での発電評価におけるプロトン1個あたりの電気透水量EOWの測定方法であって、発電電流I(A)、発電時間t(s)、アノードに供給されるMeOH水溶液の濃度Ca1(wt%)、アノードに供給されるMeOH水溶液量wa1(g)、アノードから排出されるMeOH水溶液の濃度Ca2(wt%)、アノードから排出されるMeOH水溶液量wa2(g)を測定し、下記(数式11)を用いて電気透水量W(g)を求め、さらに下記(数式5)を用いて求めることを特徴とするプロトン1個あたりの電気透水量EOWの測定方法であり、
Figure 0005002911
Figure 0005002911
また、本発明の測定方法の別の態様は、ダイレクトメタノール型燃料電池(DMFC)での発電評価におけるプロトン1個あたりの電気透水量EOWの測定方法であって、発電電流I(A)、発電時間t(s)、カソードに供給される空気中の水分量Cb1(wt%)、カソードに供給される空気中の水分重量wb1(g)、カソードから排出される空気中の水分量Cb2(wt%)、カソードから排出される空気中の水分重量wb2(g)、カソードで生成する二酸化炭素量m2(g)を測定し、下記(数式19)を用いてまずカソードで生成する水分重量m1(g)を求め、次ぎに下記(数式20)を用いて電気透水量W(g)を求め、さらに下記(数式5)を用いて求めることを特徴とする電気透水量EOWの測定方法である。
Figure 0005002911
Figure 0005002911
Figure 0005002911
本発明によれば、従来に比べて電気浸透水量が少ないので、高エネルギー密度化された優れた固体高分子型燃料電池を、再現性および精度に優れ、簡便に提供することができる。
本発明は、前記課題、つまりDMFCでの燃料効率の低下、あるいはPEFCでのプロ
トン伝導低下のない電解質について、鋭意検討し、そのプロトン伝導に伴う電気浸透水を、プロトン1個あたり特定な範囲の量に制御してみたところ、かかる課題を一挙に解決することを究明したものである。
すなわち、本発明の電解質は上記いずれかの測定方法で求めた、伝導するプロトン1個あたりの電気浸透水が0.1分子以上2.0分子以下、好ましくは0.1分子以上2.0分子以下であること特徴とするものである。かかるプロトン1個あたりの電気浸透水が、0.1分子未満であると、プロトン伝導度の低下が起きり、逆に、2.0分子を超えると、固体高分子型燃料電池に用いられる際の電池性能の低下を引き起こす傾向が出てくるので好ましくない。
本発明の電解質における電気浸透水の測定方法としては、ダイレクトメタノール型燃料電池(DMFC)での発電評価において求めることができる。この方法は、電解質膜をDMFCの膜電極複合体(MEA)に組み込んで発電させ、発電状態におけるアノードあるいはカソードでの供給量および排出量の物質収支測定に基づくものである。
以下に、DMFC発電における電気浸透水量の求め方を述べる。DMFCの電極反応は下式で表される。
アノード反応:CHOH+HO → CO+6H+6e(化学式 1)
カソード反応:6H+6e+1.5O → 3HO (化学式 2)
発電反応において、
発電電流=I(A) (数式 1)
発電時間=t(s) (数式 2)
とすれば、アノードからカソードへのプロトン移動量=H(mol)は下式(数式 3)で求められる。
Figure 0005002911
ここで、アノードからカソードへの電気浸透水量(数式 4)を用い、
電気浸透水量=W(g) (数式 4)
これと(数式 3)を(数式 5)に代入してプロトン1個あたりの電気浸透水量EOWが求められる。
Figure 0005002911
電気浸透水量Wの測定方法は、次のようにアノードにおける物質収支あるいはカソードにおける物質収支により求めることができる。
まず、アノードでの物質収支による求め方を次に示す。
アノードに供給されるMeOH水溶液の濃度=Ca1(wt%) (数式 6)
上記供給量=wa1(g) (数式 7)
アノードから排出されるMeOH水溶液の濃度=Ca2(wt%) (数式 8)
上記排出量=wa2(g) (数式 9)
とすると、アノードの水収支は下式で表される。
Figure 0005002911
この(数式 10)において左辺はアノードに供給される水重量で、右辺1項はアノードから排出される水重量、右辺2項は発電で消費される水重量、右辺3項はアノードからカソードに透過する電気浸透水重量である。この評価では電気浸透水量Wは上の(数式 10)を変形して下の(数式 11)で表される。
Figure 0005002911
具体的には、一定電流で一定時間発電した時に上(数式 1)(数式 2)(数式 6)(数式 7)(数式 8)(数式 9)を測定して、上(数式 11)に代入して電気浸透水量を求め、この値を上(数式 5)に代入してプロトン1モル当りの電気浸透水量(EOW)を求めることができる。
また、カソードでの物質収支からは電気浸透水量Wを次のようにして求めることができる。
カソードに供給される空気中の水分量=Cb1(wt%) (数式 12)
上記空気重量=wb1(g) (数式 13)
カソードから排出される空気中の水分量=Cb2(wt%) (数式 14)
上記空気重量=wb2(wt%) (数式 15)
アノードからカソードへの透過メタノールがカソードで生成する水分量=m1(g) (数式 16)
上記によりカソードで生成する二酸化炭素量=m2(g) (数式 17)
とすると、カソードの水収支は下式となる。
Figure 0005002911
Figure 0005002911
ここで、(数式 18)における左辺1項はカソードに供給される水重量、左辺2項はアノードからカソードに透過する電気浸透水量、左辺3項はアノードからカソードに透過するメタノールの一部がカソードで反応して得られた水重量、左辺4項は発電で生じた水重量、右辺はカソードで排出される水重量である。また、(数式 19)における左辺はアノードからカソードに透過したメタノールのうちカソードで反応して生成した水のモル数、右辺はカソードで反応して得られた二酸化炭素のモル数である。
故に電気浸透水量Wは、下(数式 20)で表される。
Figure 0005002911
ここでも具体的には、一定電流で一定時間発電した時に上(数式 1)(数式 2)(数式 12)(数式 13)(数式 14)(数式 15)(数式 17)を測定し、上(数式 16)(数式 19)(数式 20)から電気浸透水量を求め、これを(数式 5)に代入してプロトン1モル当りの電気浸透水量(EOW)を求めることができる。
上記以外に電気浸透水量を求める方法としては、水以外(重水など)の同位体元素を含む水を透過させて核磁気共鳴スペクトル(NMR)やガイガーカウンターなどで定量する方法が挙げられるが、ただし、再現性、精度、簡便性などの点からはDMFCでの発電評価が必要であり、中でもアノードでの物質収支から求める方法が特に好ましい。
本発明に規定された電気浸透水量とするために、高分子電解質膜としては、フッ素原子を持たない炭化水素系電解質膜や主鎖に芳香環を有する炭化水素系電解質膜が好ましく用いられる。中でも電解質膜中に含まれる不凍水量が、特定に範囲に入る電解質膜が好適である。ここでは、高分子電解質膜中に存在する水分を、0℃以上で融点が観測されるバルク水、0℃未満、−30℃以上で融点が観測される低融点水、および−30℃以上では融点が観測されない不凍水に分類し、それら各水の割合、特に、不凍水の割合を下(数式 21)に示す範囲に制御することによって、電気浸透水量を規定するものである。
(不凍水量率)=[(不凍水量)/(低融点水量+不凍水量)]×100(%) (数式 21)
なお高分子電解質膜は架橋型と非架橋型に分類されるが、架橋型においては、前記した(数式 21)で表される不凍水量率が20重量%以上100重量%以下であることが必要であり、30重量%以上99.9重量%以下であることがより好ましく、40重量%以上、99.9重量%以下であることがさらに好ましい。また非架橋型においては、前記した(数式 21)で表される不凍水量率が60重量%以上100重量%以下であることが必要であり、70重量%以上99.9重量%以下であることがより好ましく、80重量%以上99.9重量%以下であることがさらに好ましい。また、上述の不凍水量および低融点水量は後述する方法によって測定される値である。
さらに、下記の(数式 22)で表される不凍水含有率についても、特定の範囲に入ることが好ましい。
(不凍水含有率)=[(高分子電解質材中の不凍水量)/(高分子電解質材の乾燥重量)]×100(%) (数式 22)
ここでも、高分子電解質膜が架橋型の場合には、上記(数式 22)で表される不凍水含有率が5%以上、200%以下であることが好ましく、非架橋型の場合には、20%以上、200%以下であることが好ましい。
なお、高分子電解質材中の不凍水量および不凍水含有率は、例えば下記のように示差走査熱量分析(DSC)法により求めることができる。
すなわち、高分子電解質膜を20℃の水に12時間浸漬した後、水中から取り出し、過剰な表面付着水をできるだけ素早くガーゼで拭き取って除去してから、あらかじめ重量(Gp)を測定してあるアルミナコートされたアルミニウム製密閉型試料容器に入れてクリンプした後、できるだけ素早く試料と密閉型試料容器の合計重量(Gw)を測定し、直ちにDSC測定を実施する。測定温度プログラムは、室温から−30℃まで10℃/分の速度で冷却した後、0.3℃/分の速度で5℃まで昇温するものであり、この昇温過程のDSC曲線から下記の数式(n1)を使ってバルク水量(Wf)を求め、下記の数式(n2)を使って低融点水量(Wfc)を求め、また、全水分率(Wt)からそれら値を差し引くことで、不凍水量(Wnf)を求める〔下記の数式(n3)〕。
Figure 0005002911
ここで、バルク水量(Wf)、低融点水量(Wfc)、不凍水量(Wnf)、および全水分率(Wt)は、乾燥試料の単位重量あたりの重量で表される値である。mは乾燥試料重量、dq/dtはDSCの熱流束シグナル、T0はバルク水の融点、H0はバルク水の融点(T0)での融解エンタルピーである。
DSC測定後に密閉型試料容器に小さな穴を開け、真空乾燥機にて110℃で24時間真空乾燥した後、できるだけ素早く試料と密閉型試料容器の合計重量(Gd)を測定する。乾燥試料重量(m)は、m=Gd−Gp により求められ、また、全水分率(Wt)は、Wt=(Gw−Gd)/m により求められる。
DSC測定の機器および条件は下記のようにする。
DSC装置:TA Instruments社製"DSC Q100"
データ処理装置:東レリサーチセンター製"TRC-THADAP-DSC"
測定温度範囲:−50℃〜5℃
走査速度:0.3℃/分
試料量:約5mg
試料パン:アルミニウム製密閉型試料容器
温度・熱量校正:水の融点(0.0℃、融解熱量79.7cal/g)
なお、本測定法は株式会社東レリサーチセンターによって開発されたものであり、例えば、株式会社東レリサーチセンターで測定することができる。
また、本発明の電解質膜は、メタノール水などの水溶液を燃料とする場合、水透過量が30μmol・cm-2・min-1以下であることが好ましい。水の透過量が30μmol・cm-2・min-1以下であれば、透過する水に同伴されるメタノールが燃料電池性能におよぼす影響を少なく抑えることができ、単位燃料当たりの発電時間を延ばすことができる。好ましくは、20μmol・cm-2・min-1以下、さらに好ましくは10μmol・cm-2・min-1以下であり、できる限りゼロに近い方がよい。
本発明の水透過量は、50mA/cmの一定電流にて電圧が30mVとなるまで発電し、供給した燃料の水の量から、発電に要した水の量と発電後に燃料タンクに残存した水の量を引いた値を基に算出したものである。また、カソードでの発生水は圧縮空気等で吹き飛ばすか、拭き取るかして物質収支に影響を与えないようにした。
電流密度をI(A/cm)、発電部である電極面積をAe(cm)、電解質膜の面積をAm(cm)、発電時間をt(秒)、供給した燃料中の水の量をW(g)、発電終了後に残存した燃料中の水の量をW(g)とした場合の水の透過量(μmol・cm-2・min-1)は下記算式で計算した。
水の透過量(μmol・cm-2・min-1)=(W−(I×Ae×t/96500/6×18)−W)/18×1000000/Am/(t/60)
本発明ではAe=5cm、Am=16cmとなるような評価セルでアノード側が水平方向に対して上となるように配置し、30%メタノール水を1.5g供給して水の透過量を測定した。
本発明における電解質膜に用いられるポリマの種類は、前記した特性や要件を満足するものであれば特に限定されるものではないが、イオン性基を有し、耐加水分解性に優れる炭化水素系高分子電解質膜が好ましい。この中でも、非架橋型炭化水素系高分子電解質膜の具体例を挙げれば、イオン性基含有ポリフェニレンオキシド、イオン性基含有ポリエーテルケトン、イオン性基含有ポリエーテルエーテルケトン、イオン性基含有ポリエーテルスルホン、イオン性基含有ポリエーテルエーテルスルホン、イオン性基含有ポリエーテルホスフィンオキシド、イオン性基含有ポリエーテルエーテルホスフィンオキシド、イオン性基含有ポリフェニレンスルフィド、イオン性基含有ポリアミド、イオン性基含有ポリイミド、イオン性基含有ポリエーテルイミド、イオン性基含有ポリイミダゾール、イオン性基含有ポリオキサゾール、イオン性基含有ポリフェニレンなどのイオン性基を有する芳香族炭化水素系ポリマが挙げられる。ここで、イオン性基は、負電荷を有する原子団であれば特に限定されるものではないが、プロトン交換能を有するものが好ましい。このような官能基としては、スルホン酸基、硫酸基、スルホンイミド基、ホスホン酸基、リン酸基、およびカルボン酸基が好ましく用いられる。
これらの中でも、特に燃料としてメタノール水溶液を用いる液体供給形固体高分子型燃料電池用途には、該電解質膜が9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン由来の成分、フェノールフタレイン由来の成分、および4,4’−ジヒドロキシテトラフェニルメタン由来の成分から選ばれた少なくとも1種を含有することが、耐メタノールクロスオーバー性の観点から好ましい。さらに、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン由来の成分を含有する、および/または4,4’−ジヒドロキシテトラフェニルメタン由来の成分を含有するイオン性基含有ポリエーテルケトン、イオン性基含有ポリエーテルエーテルケトンが好ましい。
また、架橋型炭化水素系高分子電解質膜としては、ビニル単量体を主とする架橋構造体が好ましく用いられる。ビニル単量体の具体例としては、アクリロニトリルなどのアクリル系単量体、スチレンなどの芳香族ビニル単量体、N−フェニルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレートなどの含フッ素単量体が好ましい。また、複数個のビニル基を有する単量体としては、ジビニルベンゼンなどの芳香族多官能単量体類、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノキシエタノール(メタ)フルオレンジアクリレートなどの多価アルコールのジ−、トリ−、テトラ−、ペンタ−、ヘキサ−(メタ)アクリレート類が特に好ましい。特に、上記ビニル単量体を共重合することでさらに好ましいものとなる。
本発明の高分子電解質膜を構成するポリマは、ポリマ分子鎖が拘束されていることが必須であり、その方法は例えば電解質膜が9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン由来の成分、フェノールフタレイン由来の成分、および4,4’−ジヒドロキシテトラフェニルメタン由来の成分から選ばれた少なくとも1種を含有することにより拘束効果が発現される。ま、架橋や内部貫入高分子網目などによる方法によっても拘束効果が得られる。
本発明の電解質膜は、上記に述べた炭化水素系高分子電解質膜に無機材料を添加した電解質膜も好ましいものである。これら無機材料としては、アルミナ、シリカ、ゼオライト、チタニア、ジルコニア、セリアなどの金属酸化物、フラレノールなどの炭素材料などが挙げられる。
また、本発明の電解質膜は、プロトン伝導性の電解質が支持体に充填されて膜形状を有するものも好ましいものである。支持体としては、多孔性ポリマフィルム、多孔性無機材料、織布、不織布などが挙げられる。
本発明の電解質膜の厚さは、特に限定されるものではなく、プロトン伝導度や電気浸透水量などの電解質膜の物性とそれが用いられる膜電極複合体(MEA)の性能に応じて決められるべきものである。具体的には、前記の電解質膜の物性およびMEAの性能と作製方法の点から5μm〜500μmが好ましく用いられる。
本発明の電解質膜は、膜電極複合体(MEA)として用いられることは好ましい実施態様である。MEAは、電解質膜の両側に電極触媒層や電極基材などが設けられてなる。MEAの用途としては、燃料電池や水電解装置などが挙げられる。特に、本発明に規定された電気浸透水量であるMEAの好適な用途としては燃料電池が挙げられるが、中でも水素や有機溶媒を燃料とする固体高分子形燃料電池が好ましく、特にダイレクトメタノール形燃料電池が好ましい。
本発明のMEAに用いられる電極触媒層は、電極触媒、電子伝導体とバインダを主たる構成成分とし、これらが分散された複合体のシート形態を有する。
本発明のMEAに用いられる電極触媒としては、白金、パラジウム、ルテニウム、イリジウム、金、ロジウムなどの貴金属、スズ、鉄、チタン、コバルト、ニッケルなどの遷移金属、あるいはこれら金属の合金、混合物、酸化物などが適宜用いられる。MEAが燃料電池として用いられる場合には、アノード極では少なくともPtやRuが含まれ、カソード極では少なくともPtが含まれる電極触媒が好ましい。触媒が好ましく用いられる。
本発明のMEAに用いられる電子伝導体としては、炭素材料や金属などの電子伝導材料が挙げられる。特に、MEAが燃料電池に用いられる場合、電子伝導性、比表面積と耐蝕性の点から炭素材料が好ましく、中でもカーボンブラックやナノカーボンが好適である。具体的なカーボンブラックとしては、チャネルブラック、サーマルブラック、オイルファーネスブラック、アセチレンブラック、ランプブラックが好ましく、ナノカーボンとしては、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、フラーレンなどが好ましい。また、これらのカーボン材料の表面処理物、あるいは混合物を用いることも好ましいものである。
本発明のMEAにおいては、上記の電極触媒がカーボンなどの電子伝導体に担持された状態、あるいは電極触媒や電子伝導体が分散混合された状態、さらには電極触媒や電子伝導体や触媒担持カーボンが分散混合された状態のいずれもが好ましいものである。電極触媒がカーボンに担持された触媒担持カーボンや電極触媒のみの粒子としては、ジョンソンマッセイジャパン社製のHispec(R)シリーズや田中貴金属工業社製のTEC(R)シリーズなどが挙げられる。
本発明のMEAの電極触媒層におけるバインダは、結着力、耐溶剤性、耐酸化・耐蝕性などに加えて、良好な電極反応を得ることができれば特に限定されるものではない。本発明のMEAが燃料電池に用いられる場合には、プロトン伝導性基、フッ素原子、芳香環などを有するポリマが好適であり、具体的にはデュポン社製ナフィオン(R)ポリマ、ポリフッ化ビニリデンなどが挙げられる。
本発明のMEAにおける電極触媒層の組成比、厚さ、空隙率、触媒量などは適宜決められるべきものであり限定されるものではない。本発明のMEAがDMFCに用いられる場合には、電極触媒層の厚さ5〜50μm、Pt量0.5〜5mg/cm2が好適である。
本発明のMEAにおける電極基材としては、炭素や金属などの導電性無機物質の繊維あるいは粒子を主たる構成材とする多孔性導電シートが特に限定されることなく用いられる。たとえば、ポリアクリロニトリルやピッチなどから焼成された炭素繊維、ステンレススチール、モリブデン、チタンなどが例示され、具体的には東レ社製TGPシリーズカーボンペーパー、E-TEK社製カーボンクロスなどが挙げられる。また、上記のカーボンペーパーやカーボンクロス上にカーボンブラックとバインダからなる層を設けることも好ましい実施態様である。
本発明のMEAの製造方法としては、特に限定されるものではない。電解質膜に電極触媒層を塗工した後に電極基材をプレス成型する、電極基材に電極触媒を塗工した後に電解質膜をプレス成型するなどが例示される。
また、本発明の電解質膜および膜電極複合体(MEA)は、ダイレクトメタノール形燃料電池(DMFC)に最も好適に用いることができる。DMFCにおいては、燃料のメタノールが透過するメタノールクロスオーバー(MCO)が問題視されてきた。しかしながら、DMFCにおいてはメタノールのみならず水も燃料であり、この水の透過量が多い場合にはMCOと同様にエネルギー効率の低下をまねいている。本発明は、特に従来品に比べて電気浸透水量が少ないことからDMFCに好適となる。
さらに、本発明のMEAを用いた固体高分子型燃料電池の用途としては、特に限定されることなく考えられるが、固体高分子形燃料電池において有用な用途である移動体あるいは携帯機器の電力供給源が好ましいものである。
本発明の固体高分子型燃料電池の用途としては、移動体の電力供給源が好ましいものである。特に、携帯電話、パソコン、PDA、ビデオカメラ(カムコーダー)、デジタルカメラ、ハンディターミナル、RFIDリーダー、各種ディスプレー類、デジタルオーディオプレーヤーなどの携帯機器、電動シェーバー、掃除機等の家電、電動工具、家庭用電力供給機、乗用車、バスおよびトラックなどの自動車、二輪車、電動アシスト付自転車、電動カート、電動車椅子や船舶および鉄道などの移動体、各種ロボットなどの電力供給源として好ましく用いられる。特に携帯用機器では、電力供給源だけではなく、携帯機器に搭載した二次電池の充電用にも使用され、さらには二次電池やキャパシタや太陽電池と併用するハイブリッド型電力供給源としても好適に利用できる。
以下、本発明を実施例を用いて詳細に説明する。
[実施例1]
(1)電解質膜の作製および評価
(A)高分子電解質ポリマの作製
Figure 0005002911
炭酸カリウム35g、ヒドロキノン11g、4,4'−(9H−フルオレン−9−イリデン)ビスフェノール35g、および4,4'−ジフルオロベンゾフェノン44gを用いて、N−メチルピロリドン(NMP)中、155℃で重合を行った。水洗後、多量のメタノールで再沈することで精製を行い、上記式(い)で示されるFL50PEEKを定量的に得た。重量平均分子量は13万であった。
室温、N2雰囲気下でFL50PEEK10gをクロロホルムに溶解させた後、激しく撹拌しながらクロロスルホン酸12mLをゆっくり滴下し、5分反応させた。白色沈殿を濾別、粉砕し、水で十分洗浄した後、乾燥し、目的のスルホン化FL50PEEKを得た。得られたスルホン化FL50PEEKのスルホン酸基密度は、元素分析より2.0mmol/gであった。
(B)高分子電解質膜の作製
前記(A)で得られたポリマを飽和食塩水浸漬によりNa置換後、N,N−ジメチルアセトアミド溶液よりガラス基板上に流延塗布し、100℃にて4時間乾燥し、溶媒を除去後、300℃にて10分間熱処理した。1N塩酸浸漬によりプロトン置換し、水で充分洗浄した。得られた膜は、膜厚130μmであり、無色透明の柔軟な膜であった。
(C)高分子電解質膜の評価
前記(B)で作製した膜の30重量%メタノール透過量は16μmol/(min・cm)、イオン伝導度は5.4S/cm、不凍水量率は86%、不凍水含有率は48%、不凍水量の全水分量に対する割合は72%であり、"ナフィオン"(R)117膜(比較例1)に比べイオン伝導度が少し大きく、燃料クロスオーバー抑制効果が大きく、不凍水量率が極めて大きかった。
(2)膜電極複合体(MEA)の作製および評価
(A)アノード電極の作製
東レ製カーボンペーパーTGP−H−090に20%ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)懸濁液を用いて撥水処理を行ったのち、焼成してアノード電極基材を作製した。この電極基材上に、ジョンソンマッセイ社製Pt−Ru担持カーボン、Pt-Ru粒子、炭化水素系電解質ポリマ溶液からなるアノード電極触媒塗液を塗工、乾燥してアノード電極を作製した。得られたアノード電極の電極触媒層の厚さは40μm、Pt量は2.0mg/cmであった。
(B)カソード電極の作製
E-TEK社製カーボンクロスにアセチレンブラックとポリテトラフルオロエチレン(PTFE)懸濁液からなる分散液を塗工し、焼成してカソード電極基材を作製した。この電極基材上に、田中貴金属工業社製Pt担持カーボン、ジョンソンマッセイ社製Pt粒子、デュポン社製“ナフィオン”溶液からなるカソード電極触媒塗液を塗工、乾燥してカソード電極を作製した。得られたカソード電極の電極触媒層の厚さは40μm、Pt量は2.5mg/cmであった。
(C)MEAの作製
前記工程(1)の高分子電解質膜を、前記工程(A)と(B)で作製したアノード電極とカソード電極で夾持し加熱プレスすることで膜電極複合体(MEA)を作製した。
(D)MEAの評価
前記(C)で作製したMEAをエレクトロケム社製セルに挟みアノード側に30重量%メタノール水溶液を40μl/cm、カソード側に空気を10ml/cm供給し、20℃恒温水で温度制御した状態でMEA評価を行った。評価はMEAに定電流を流し、その時の電圧を測定した。電流を順次増加させ電圧が10mV以下になるまで測定を行った。各測定点での電流と電圧の積が出力となるが、実施例1の高分子電解質膜を使用したMEAの出力が22mW/cmであった。
(3)電気浸透水の評価
前記(2)(C)において、アノード側に10重量%メタノール水溶液を供給し、100mA/cmの一定電流にて発電することにより、電気浸透水評価を行った。プロトン1個当りの電気浸透水量は1.0個であった。水透過量は4.5μmol・cm-2・min-1であった。
[比較例1]
(1) “ナフィオン”(R)117の評価
市販の“ナフィオン”117膜(デュポン社製(商品名))を用い、イオン伝導度およびMCOを評価した。“ナフィオン”117膜は、100℃の5%過酸化水素水中にて30分、続いて100℃の5%希硫酸中にて30分浸漬した後、100℃の脱イオン水でよく洗浄した。膜厚210μmであり、メタノール透過量は60μmol/(min・cm)、イオン伝導度は5.0S/cm、不凍水量率は49%、不凍水含有率は18%、不凍水量の全水分量に対する割合は44%であった。
(2)MEAの作製および評価
電解質膜として“ナフィオン”117膜を用い、実施例1(2)に記載の方法でMEAおよび評価を行った。出力は10mW/cmであり、実施例1に比べて低いものであった。
(3)電気浸透水の評価
電解質膜として“ナフィオン”117膜を用い、実施例1(3)に記載の方法で電気浸透水量評価を行った。プロトン1個あたりの電気浸透水量は2.2個であり、水透過量は50μmol・cm-2・min-1で、実施例1に比べて多いものであった。
[実施例2]
(1)電解質膜の作製および評価
(A)単量体組成物の調製
ビーカーに、スチレン11g、N−シクロヘキシルマレイミド10g、多官能単量体であるエチレングリコールジメタクリレート6g、開孔剤であるプロピレンカーボネートを7g、重合開始剤である2,2´−アゾビスイソブチロニトリル0.05gに加えマグネッチクスターラーを使用して撹拌し均一に溶解し単量体組成物溶液とした。
(B)キャスト成型
厚み5mmで30cm×30cmサイズのガラス板2枚をその間隔が0.2mmとなるようにガスケットで調整したモールドを準備し、ガラス板間に上記(A)の単量体組成物溶液をガスケット内が満たされるまで注入した。
次に65℃の熱風乾燥機内で8時間、板間重合したのち、ガラス板間から膜状の重合体を取り出し、厚み190μmの高分子膜とした。
(C)開孔剤の除去とイオン性基の導入による高分子電解質膜の製造
得られた高分子膜を、5重量%のクロロスルホン酸を添加した1,2−ジクロロエタン中に30分間浸漬した後取り出し、メタノールで1,2−ジクロロエタンを洗浄した後、さらに洗浄液が中性になるまで水洗し、厚み約200μmの高分子電解質膜を製造した。
(D)特性評価
得られた高分子電解質膜につき、実施例1(1)(B)に記載の方法で特性評価を行った。膜中の不凍水量率59%、不凍水含有率38%、イオン伝導度4.8S/cm、メタノール透過量12μmol/(min・cm)であった。
(2)膜電極複合体(MEA)の作製および評価
(A)アノード電極の作製
東レ製カーボンペーパーTGP−H−090に20%ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)懸濁液を用いて撥水処理を行ったのち、焼成してアノード電極基材を作製した。この電極基材上に、田中貴金属工業社製Pt−Ru担持カーボン、Pt-Ru粒子、フッ素系ポリマ溶液からなるアノード電極触媒塗液を塗工、乾燥してアノード電極を作製した。得られたアノード電極の電極触媒層の厚さは35μm、Pt量は1.5mg/cmであった。
(B)カソード電極の作製
E-TEK社製カーボンクロスにアセチレンブラックとポリテトラフルオロエチレン(PTFE)懸濁液からなる分散液を塗工し、焼成してカソード電極基材を作製した。この電極基材上に、ジョンソンマッセイ社製Pt担持カーボン、田中貴金属工業社製Pt粒子、デュポン社製“ナフィオン”溶液からなるカソード電極触媒塗液を塗工、乾燥してカソード電極を作製した。得られたカソード電極の電極触媒層の厚さは50μm、Pt量は2.5mg/cmであった。
(C)MEAの作製および評価
実施例1(2)(D)と同様にMEAの作製と評価を行った。実施例2の高分子電解質膜を使用したMEAの出力が20mW/cmであった。
(3)電気浸透水の評価
実施例1(3)と同様に電気浸透水評価を行った。プロトン1個当りの電気浸透水量は0.77個、水透過量は4.0μmol・cm-2・min-1であった。
実施例3
(1)電解質膜の作製および評価
(A)高分子電解質膜の作製
スルホン化ポリフェニレンスルフィドスルホン(スルホン酸基密度:2.3mmol/g)をN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)に溶解し、濃度が20%の黄色透明溶液(M-A1)を得た。東レダウコーニングシリコーン社製テトラブトキシチタン6gに0.01N塩酸水溶液を添加し、室温にて30分間攪拌し、無色透明の加水分解物(M-B1)を得た。(M-A1)を10g採取し、(M-B1)を0.5g添加した。この液を開孔率20%、孔径12μmの独立した貫通孔を有するポリイミド基材に含浸し、100℃で40分間加熱し高分子電解質膜を作製した。膜厚は20μmであった。
(B)高分子電解質膜の評価
前記(A)で作製した高分子電解質膜は、不凍水量率は42%、不凍水含有率は43%、プロトン伝導度5.8S/cm、メタノール透過量16μmol/(min・cm)であった。
(2)膜電極複合体(MEA)の作製および評価
(A)アノード電極の作製
東レ製カーボンペーパーTGP−H−090にケッチェンブラックとポリテトラフルオロエチレン(PTFE)懸濁液からなる分散液を塗工し、焼成してアノード電極基材を作製した。この電極基材上に、ジョンソンマッセイジャパン社製Pt-Ru粒子を塗工、乾燥してアノード電極を作製した。得られたアノード電極の電極触媒層のPt量は2.2mg/cmであった。
(B)カソード電極の作製
東レ製カーボンペーパーTGP−H−060にアセチレンブラックとポリテトラフルオロエチレン(PTFE)懸濁液からなる分散液を塗工し、焼成してカソード電極基材を作製した。この電極基材上に、田中貴金属工業社製Pt粒子、キャボット社製カーボンブラックバルカン(R)XC−72R、デュポン社製ナフィオンポリマの分散液を塗工、乾燥してカソード電極を作製した。得られたカソード電極の電極触媒層の厚さは30μm、Pt量は1.5mg/cmであった。
(C)MEAの作製および評価
実施例1(2)(D)と同様にMEAの作製と評価を行った。実施例3の高分子電解質膜を使用したMEAの出力が21mW/cmであった。
(3)電気浸透水の評価
実施例1(3)と同様に電気浸透水評価を行った。プロトン1個当りの電気浸透水量は1.23個、水透過量は7.8μmol・cm-2・min-1であった。

Claims (2)

  1. ダイレクトメタノール型燃料電池(DMFC)での発電評価におけるプロトン1個あたりの電気透水量EOWの測定方法であって、発電電流I(A)、発電時間t(s)、アノードに供給されるMeOH水溶液の濃度Ca1(wt%)、アノードに供給されるMeOH水溶液量wa1(g)、アノードから排出されるMeOH水溶液の濃度Ca2(wt%)、アノードから排出されるMeOH水溶液量wa2(g)を測定し、下記(数式11)を用いて電気透水量W(g)を求め、さらに下記(数式5)を用いて求めることを特徴とするプロトン1個あたりの電気透水量EOWの測定方法。
    Figure 0005002911
    Figure 0005002911
  2. ダイレクトメタノール型燃料電池(DMFC)での発電評価におけるプロトン1個あたりの電気透水量EOWの測定方法であって、発電電流I(A)、発電時間t(s)、カソードに供給される空気中の水分量Cb1(wt%)、カソードに供給される空気重量wb1(g)、カソードから排出される空気中の水分量Cb2(wt%)、カソードから排出される空気重量wb2(g)、カソードで生成する二酸化炭素量m2(g)を測定し、下記(数式19)を用いてまずカソードで生成する水分重量m1(g)を求め、次ぎに下記(数式20)を用いて電気透水量W(g)を求め、さらに下記(数式5)を用いて求めることを特徴とする電気透水量EOWの測定方法。
    Figure 0005002911
    Figure 0005002911
    Figure 0005002911
JP2005140811A 2004-05-26 2005-05-13 ダイレクトメタノール型燃料電池(dmfc)での発電評価におけるプロトン1個あたりの電気浸透水量eowの測定方法 Expired - Fee Related JP5002911B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005140811A JP5002911B2 (ja) 2004-05-26 2005-05-13 ダイレクトメタノール型燃料電池(dmfc)での発電評価におけるプロトン1個あたりの電気浸透水量eowの測定方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004156255 2004-05-26
JP2004156255 2004-05-26
JP2005140811A JP5002911B2 (ja) 2004-05-26 2005-05-13 ダイレクトメタノール型燃料電池(dmfc)での発電評価におけるプロトン1個あたりの電気浸透水量eowの測定方法

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2006012791A JP2006012791A (ja) 2006-01-12
JP2006012791A5 JP2006012791A5 (ja) 2008-06-26
JP5002911B2 true JP5002911B2 (ja) 2012-08-15

Family

ID=35779754

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005140811A Expired - Fee Related JP5002911B2 (ja) 2004-05-26 2005-05-13 ダイレクトメタノール型燃料電池(dmfc)での発電評価におけるプロトン1個あたりの電気浸透水量eowの測定方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5002911B2 (ja)

Families Citing this family (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5247974B2 (ja) * 2004-10-05 2013-07-24 旭硝子株式会社 固体高分子形水素・酸素燃料電池用電解質膜の製造方法
JP4992184B2 (ja) * 2005-02-10 2012-08-08 東レ株式会社 イオン性基を有するポリマー、高分子電解質材料、高分子電解質部品、膜電極複合体、および高分子電解質型燃料電池
JP2007002016A (ja) * 2005-06-21 2007-01-11 Toyobo Co Ltd スルホン酸基含有ポリアリーレンエーテル系化合物およびその用途、スルホン酸基含有ポリアリーレンエーテル系化合物の製造方法
JP5151051B2 (ja) * 2006-03-27 2013-02-27 東レ株式会社 高分子電解質材料、ならびにそれを用いた高分子電解質部品、膜電極複合体および高分子電解質型燃料電池
JP2007291243A (ja) * 2006-04-25 2007-11-08 Jsr Corp フルオレン骨格を有する芳香族化合物およびスルホン酸基を有するポリアリーレン
JP5545609B2 (ja) 2006-08-24 2014-07-09 独立行政法人日本原子力研究開発機構 芳香族高分子膜基材からなる高分子電解質膜、及び、その製造方法
JP2008195748A (ja) 2007-02-08 2008-08-28 Japan Atomic Energy Agency 架橋芳香族高分子電解質膜及びその製造方法
JP5004178B2 (ja) 2007-09-11 2012-08-22 独立行政法人日本原子力研究開発機構 機械的強度に優れる高プロトン伝導性高分子電解質膜及びその製造方法

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4408599B2 (ja) * 2001-11-16 2010-02-03 東洋紡績株式会社 スルホン酸基含有芳香族ポリアリーレンエーテル化合物および高分子電解質膜
JP2003147076A (ja) * 2001-11-16 2003-05-21 Toyobo Co Ltd スルホン化フッ素含有重合体、それを含有する樹脂組成物および高分子電解質膜
JP2003257452A (ja) * 2001-12-27 2003-09-12 Toray Ind Inc 高分子固体電解質およびそれを用いた固体高分子型燃料電池
WO2004030132A1 (ja) * 2002-09-30 2004-04-08 Asahi Glass Company, Limited 電解質膜、その製造方法及び固体高分子型燃料電池

Also Published As

Publication number Publication date
JP2006012791A (ja) 2006-01-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Shimizu et al. Effects of both oxygen permeability and ion exchange capacity for cathode ionomers on the performance and durability of polymer electrolyte fuel cells
JP5002911B2 (ja) ダイレクトメタノール型燃料電池(dmfc)での発電評価におけるプロトン1個あたりの電気浸透水量eowの測定方法
JP2006140152A (ja) 燃料電池用電極、これを含む燃料電池用膜/電極アセンブリ、及び燃料電池システム
JP2004193106A (ja) 膜−電極構造体及びそれを用いる固体高分子型燃料電池
JP4804812B2 (ja) 燃料電池用高分子膜の製造方法
JP2009187848A (ja) 燃料電池
JP2002298867A (ja) 固体高分子型燃料電池
JP4823583B2 (ja) 燃料電池用高分子膜/電極接合体及びこれを含む燃料電池
JP4352878B2 (ja) モノマー化合物、グラフト共重合化合物、及びそれらの製造方法、高分子電解質膜、並びに燃料電池
US20070111085A1 (en) Electrocatalyst for fuel cell-electrode, membrane-electrode assembly using the same and fuel cell
JP5233065B2 (ja) イオン性基を有するポリマー、高分子電解質材料、高分子電解質部品、膜電極複合体および高分子電解質型燃料電池
JP2007128665A (ja) 燃料電池用電極触媒層、および、それを用いた膜電極接合体の製造方法
JP4984410B2 (ja) 固体高分子型燃料電池用電極触媒層および固体高分子型燃料電池用膜電極複合体
JP5309803B2 (ja) 水素燃料電池用膜電極複合体
JP2009049004A (ja) 液体供給型燃料電池の製造方法
JP2006236927A (ja) 固体高分子型燃料電池用膜電極接合体
US20230268531A1 (en) High-temperature anion-exchange membrane fuel cell
JP2006079840A (ja) 燃料電池用電極触媒、および、これを用いた燃料電池用mea
JP2007103293A (ja) 膜電極複合体およびその製造方法ならびにそれを用いた固体高分子型燃料電池
JP2009099520A (ja) 膜電極複合体およびその製造方法ならびに高分子電解質型燃料電池
KR101125651B1 (ko) 연료전지용 고분자 막/전극 접합체 및 이를 포함하는연료전지
JP2006310279A (ja) 固体高分子型燃料電池用電極触媒層、それを用いた固体高分子型燃料電池用膜電極複合体、固体高分子型燃料電池、携帯機器および移動体
JP5386775B2 (ja) 電解質膜の製造方法
JP2022095263A (ja) 固体高分子形燃料電池用触媒インク、固体高分子形燃料電池用触媒層、および固体高分子形燃料電池用膜―電極接合体
JP2008258155A (ja) 膜電極複合体およびその製造方法ならびに高分子電解質型燃料電池

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080513

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080513

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110315

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110516

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20110705

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20111004

A911 Transfer of reconsideration by examiner before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20111014

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120207

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120404

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120424

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120507

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150601

Year of fee payment: 3

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 5002911

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150601

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees