JP5083148B2 - マグネシウム合金部材 - Google Patents

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Description

本発明は、被覆層を設けたマグネシウム合金部材に関するものであり、特に深みのある色彩感を有する意匠性の高いマグネシウム合金部材に関する。
マグネシウムに種々の元素が添加されたマグネシウム合金は、携帯電話やノートパソコンといった携帯電気機器類の筐体や自動車部品などの部材の材料に利用されてきている。近年、この材料の需要は拡大しつつあり耐久性や、着色等による意匠性の向上が求められている。
しかしながら、マグネシウム合金は、大気中で容易に酸化されてしまうという問題を有する。そのため、機器筐体として使用する場合などにあっては、実用的には、マグネシウム合金材料の表面に対し、何らかの処理を施して耐食性を付与する必要がある。また、製品のデザイン設計上、マグネシウム合金製の筐体の表面に着色を施す場合には、染料または塗料との相性のよい下地を設ける処理を施し、染料の染色性または塗料の塗着性を向上させる必要もある。
例えば、特開2002−371380号公報(特許文献1)には、マグネシウム合金基材表面に、陽極酸化処理によって酸化マグネシウムおよびアルミン酸マグネシウムを含む皮膜を設け、この皮膜を染料により着色する方法が記載されている。
特開2002−371380号公報
上記の技術によっても、ある程度意匠性の高いマグネシウム合金部材は得られるが、今後の市場からのニーズを考えれば、さらに意匠性に優れた材料の開発が望まれている。そこで本発明は意匠性の高いマグネシウム合金部材を提供する。特許文献1には、マグネシウム合金基材に皮膜を設け、これを染料で着色することは開示されているが、着色されるマグネシウム合金基材の特性については検討されていない。そこで本発明は着色されるマグネシウム合金基材についても検討し、より意匠性を高めることを目的とする。
本発明は、圧延されたマグネシウム合金基材の少なくとも一表面に下塗層を有し、前記下塗層の上に染料層を有していることを特徴とするマグネシウム合金部材である。圧延されたマグネシウム合金基材は、内部欠陥、表面欠陥などが少ないことから、高い塑性加工性を有し、加工中の亀裂や割れの発生が少なく、優れた表面性状を実現できる。そのため塗装後も高い表面品質、すなわちきれいな塗装面が得られる。下塗層は染料層あるいは後述する散乱層との密着性をあげることを目的として配される。
本発明において、前記下塗層と前記染料層の間にさらに散乱層を有していることが好ましい。散乱層は染料層を透過した光を乱反射させることを目的としている。透過光が乱反射することで、より深みのある色彩感が得られる。
本発明において、前記染料層の上にさらに透明層を有していることが好ましい。透明層を配することで染料層を保護すると共に、深みのある色彩感を得ることができる。
本発明において、前記マグネシウム合金基材は、Mg−Al系マグネシウム合金からなる圧延材で構成され、Alを8質量%以上11質量%以下含有することが好ましい。さらには前記Mg−Al系マグネシウム合金は、AZ91系であることが好ましい。上記の合金を使用することで、染料を使用した塗装の場合でも、塗装部からの水分の浸透があっても基材表面の腐食が進行しにくい。前記の特徴を有することによって、本発明のマグネシウム合金部材は、意匠性に優れるものとなる。以下、本発明をより詳細に説明する。
本発明によれば、意匠性の高いマグネシウム合金部材が実現できる。
(基材の組成)
本発明部材の基材を構成するマグネシウム合金は、Mgに添加元素を含有した種々の組成のもの(残部:Mg及び不純物)が利用でき、特に限定されない。例えば、Mg−Al系、Mg−Zn系、Mg−RE(希土類元素)系、Y添加合金などが挙げられる。特に、Alを含有するMg−Al系合金は、耐食性が高く好ましい。Mg−Al系合金としては、例えば、ASTM規格におけるAZ系合金(Mg−Al−Zn系合金、Zn:0.2〜1.5質量%)、AM系合金(Mg−Al−Mn系合金、Mn:0.15〜0.5質量%)、AS系合金(Mg−Al−Si系合金、Si:0.6〜1.4質量%)、Mg−Al−RE(希土類元素)系合金、これらMg−Al系合金に更にBi、Sn、Pb、Ca及びBeからなる群から選択される1種以上の元素を添加した合金などが挙げられる。Alの含有量は、1.0質量%以上11質量%以下が好ましく、Al量が多くなるに従って耐食性や強度といった機械的特性に優れるが、多過ぎると塑性加工性が低下し易いため、耐食性、機械的特性及び成形性を考慮すると、8質量%以上11質量%以下がより好ましい。特に、Alを8〜11質量%、Znを0.2〜1.5質量%含有するMg−Al系合金、代表的にはAZ80や、AZ91相当材(例えば、AZ91E;8.3〜9.2質量%のAlを含有、AZ91D;Al8.5〜9.5質量%のAlを含有)が好適に利用できる。特にAZ91相当材は耐食性が高く、染料を使用した塗装の場合でも、塗装部からの水分の浸透があっても基材表面の腐食が進行しにくい。
(基材の形態)
基材は、代表的には、鋳造材を圧延した圧延材、この圧延材に更に熱処理やレベラー加工、研磨加工などを施した加工材、これら圧延材や加工材に更にプレス加工や曲げ加工、鍛造加工といった塑性加工を施した塑性加工材が挙げられる。圧延やプレス加工などの塑性加工が施された基材は、結晶粒径が細かく、鋳造材よりも強度といった機械的特性に優れるだけでなく、引け巣や空隙(ポア)といった内部欠陥や表面欠陥が少なく、良好な表面性状を有する。圧延材は、鋳造材に比べて表面欠陥が少ないことから、下塗層の形成前に、欠陥のパテ埋め(欠陥補正)や表面研磨の工程を低減できる、或いは行わなくてもよく、また、欠陥補正の不十分による不良品の発生を低減できるため、製品歩留まりの向上に寄与することができる。以下、鋳造条件及び圧延条件を説明する。
(鋳造条件)
鋳造材は、双ロール法といった連続鋳造法、特に、WO/2006/003899に記載の鋳造方法で製造することが好ましい。連続鋳造法は、急冷凝固が可能であるため、酸化物や偏析などを低減でき、圧延といった塑性加工性に優れる鋳造材が得られる。また、この鋳造材に圧延を施すことで、その後のプレス加工などの塑性加工に悪影響を及ぼすような欠陥、例えば、粒径10μm以上といった粗大な晶析出物を消滅させられる。特に、AZ系合金では、Al量が多くなるほど晶析出物が生成され易い傾向にあるが、上記連続鋳造材に圧延を施すことで、合金組成にかかわらず上記欠陥が少ない圧延材が得られる。得られた鋳造材には、組成を均質化するための熱処理(溶体化処理、加熱温度:380〜420℃、加熱時間:60〜600分)や時効処理などを施してもよい。特に、AZ系合金の場合、Alの含有量が高いものは長時間溶体化を行うことが好ましい。鋳造材の大きさは特に問わないが、厚過ぎると偏析が生じ易いため、10mm以下が好ましい。
(圧延条件)
圧延は、加工対象の加熱温度を200〜400℃、圧延ロールの加熱温度を150〜250℃、1パスあたりの圧下率を10〜50%の条件で複数パス行うことが好ましい。また、所望の厚さの圧延材が得られるように、上記各条件を適宜組み合わせることが好ましい。上記各温度、及び1パスあたりの圧下率、パス数の条件を適宜組み合わせることで、例えば、圧延前の板厚が3〜8mmの加工対象を1mm以下、具体的には0.2mmの厚さまで圧延することが可能である。
圧延加工途中に中間熱処理(加熱温度:250〜350℃、加熱時間:20〜60分)を行って、この熱処理までの加工により加工対象に導入された歪みや残留応力、集合組織などを除去、軽減すると、その後の圧延で不用意な割れや歪み、変形を防止して、より円滑に圧延できて好ましい。また、最終の圧延後に最終熱処理を施してもよい。最終熱処理の加熱温度は、例えば、AZ系合金の場合、Al量が高いほど、温度を高めることが好ましく、Al量が8〜11質量%の場合、300〜340℃、加熱時間:10〜30分が好ましい。これらの熱処理において、温度が高過ぎたり、時間が長過ぎると、結晶粒が粗大化し過ぎて、プレス加工などの塑性加工性を低下させる。
上記圧延が施された圧延材は、結晶粒径のばらつきが小さく、鋳造時の偏析(例えば、Mg17Al12といった金属間化合物)や内部欠陥、表面欠陥などが少ないことから、高い塑性加工性を有し、加工中の亀裂や割れの発生が効果的に低減され、優れた表面性状を有する。
(圧延後塑性加工前の予備加工)
得られた圧延材には、圧延材のうねりや結晶粒の配向などを矯正するためのレベラー加工や圧延材の表面を平滑化するための研磨加工を施すことが好ましい。レベラー加工は、例えば圧延材をローラーレベラーに通すことで行い、研磨加工は、湿式ベルト式研磨が代表的である。砥粒は♯240以上が好ましく、更に♯320以上、特に♯600が好ましい。上記予備加工が施された圧延材や、この圧延材にプレス加工といった塑性加工を施した塑性加工材は、後述のプライマーや染料等の層を形成しやすい。
(塑性加工)
プレス加工、深絞り加工、鍛造加工、ブロー加工、曲げ加工といった塑性加工は、圧延材の組織が再結晶化して、圧延材の機械的特性が大きく変化しないような温度範囲、具体的には300℃以下の温度、特に200〜300℃の温間で行うことが好ましい。このような温度で圧延材に塑性加工を行うと、塑性変形していない箇所の結晶粒の大きさがほとんど変化しないため、この箇所の強度は、塑性加工の前後で変化し難く、高強度を維持することができ、高強度な塑性加工材が得られる。
上記塑性加工は、後述する下塗層や染料層等の被覆層形成前、同形成後のいずれの段階で行ってもよい。
塑性加工後に熱処理を施して、塑性加工により導入された歪みや残留応力の除去、機械的特性の向上を図ってもよい。熱処理条件は、加熱温度:100〜450℃、加熱時間:5分〜40時間程度が挙げられる。
(防食処理)
防食処理は化成処理、陽極酸化処理等により行われる。防食処理を行うと、基材表面のマグネシウムが酸化して、マグネシウムの酸化物が生成され、この酸化物からなる層が防食層として機能する。この防食層は、プレス加工といった塑性加工前に形成してもよいし、塑性加工後に形成してもよい。塑性加工前に防食層を具えると、塑性加工時にこの層が潤滑剤として機能する場合もある。更に、この防食層は、微細なクラック(ひび)が生じた状態を生じるため、そのクラックに下塗層の構成材料が入り込むことで、下塗層との密着性が高くなる。
(下塗層)
下塗層は、水分等の腐食要因を基材へ浸透させない耐食性向上と、マグネシウム合金上の塗装膜の付着性および下塗層上の染料層あるいは散乱層との密着性をあげることを目的として配される。下塗層は樹脂剤によって形成される。樹脂剤とすることで染料層等と良好な密着性が得られる。使用される樹脂として、アルキド樹脂、アクリル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂、シリコン樹脂、アミド樹脂、エポキシ/アクリレート樹脂等があげられる。エポキシ樹脂系を使用する場合は、焼付型、二液型、一液型のものをスプレー法、ディップ法、または刷毛塗り法で塗布する。種類によって60〜180℃×10〜120分の熱処理(乾燥)を行って形成する。粉体塗料、または水性塗料でも付着性と耐食性が満たされるものであれば使用できる。下塗層は、厚さが10μm以上で30μm以下であることが好ましい。10μm未満では、均一な塗布が難しく、塗装膜全体で付着性、耐食性が満たされない場合があり好ましくない。また30μmを超えると、全体の塗装膜厚が大きくなり、付着性が悪くなる、製品の外形寸法が大きくなる、塗装コストが大きくなる、等の問題があり好ましくない。
(染料層)
マグネシウム合金部材に深みのある色彩感を与えるために、染料を含んだ層が下塗層の上に配される。染料層とは、染料を含んだ溶液を塗布することで形成される層である。着色方法としては、顔料を含んだ層を設けることも可能であるが、より深みのある色彩感を得るため、さらに自由度の高い良好な彩色を施すために染料を着色剤として用いる。染料層は、直接染料、酸性染料、含金属錯塩染料、油溶性染料等を各種溶媒に溶かしたものをスプレー法等で塗布し、50〜120℃×10〜100分の熱処理(乾燥)を行って形成する。染料層は、厚さが15μm以上で30μm以下であることが好ましい。15μm未満では、染料を用いても深みのある色彩感を得にくく、膜厚ばらつきによって色ムラとなるため好ましくない。また30μmを超えると、下塗層同様、全体の塗装膜厚が大きくなり、付着性が悪くなる、製品の外形寸法が大きくなる、塗装コストが大きくなる、等の問題があり好ましくない。
本発明の基本部分は上記下塗層と染料層からなるが、さらに意匠性、耐食性を高めるため次の散乱層、透明層を付加してもよい。
(散乱層)
散乱層は、下塗層と染料層の間に配される。散乱層とは、金属粉末を含んだ溶液を塗布することで形成される層である。この散乱層は染料層を透過した光を乱反射させることを目的としている。透過光が乱反射することで、より深みのある色彩が得られる。散乱層は、Al、Ti、Ag等の金属微粉末を分散させた塗料をスプレー法等で塗布し、50〜120℃×10〜100分の熱処理(乾燥)を行って形成する。散乱層は、厚さが10μm以上で20μm以下であることが好ましい。10μm未満では、均一な塗装が難しく、上の染料層の透過光の散乱状態が均一でなくなり、色ムラとなって好ましくない。また20μmを超えると、付着性が悪くなる、製品の外形寸法が大きくなる、塗装コストが大きくなる、等の問題があり好ましくない。
(透明層)
透明層は、染料層の上に配される。この透明層は透明であり、かつ染料層との密着性に優れ、ある程度耐食性や表面硬度に優れるものであれば特に問わない。例えば、透明のアクリル樹脂などの樹脂を用いた公知のクリア塗装や透明のフッ素樹脂を利用することができる。上記樹脂などを利用して透明層を形成するには、湿式法(浸漬法、スプレー塗装、電着塗装など)、乾式(PVD法、CVD法)のいずれを利用してもよい。また、各種の紫外線硬化樹脂を用いることもできる。透明層を配することで染料層を保護すると共に、深みのある色彩感を得ることができる。透明層は、厚さが20μm以上で200μm以下であることが好ましい。20μm未満では薄すぎて深みのある色彩感が得られにくく、また保護層としての役目を果たしにくい。また200μmを超えると、付着性が悪くなり、染料層の色彩感がぼやけてしまう恐れがある。
図1及び図2は本発明のマグネシウム合金部材を模式的に示す断面図である。図1に示されるように、圧延されたマグネシウム合金基材10の表面に下塗層11、その上に染料層12が配置されている。このような構成をとることで意匠性の高いマグネシウム合金部材となる。また図2のような構成をとることもできる。圧延されたマグネシウム合金基材10、下塗層11、散乱層13、染料層12、透明層14の順で各層が積層されている。このような積層構造とすることで、さらに深みのある色彩感が得られる。
(試験例1)
マグネシウム合金からなる鋳造材、圧延材を作製し、下塗層、染料層の被覆処理を施し、外観についてのパネル試験、耐食性試験、付着性試験を行った。
AZ31相当の組成(Mg−3.0質量%Al−0.7質量%Zn)、およびAZ91相当の組成(Mg−9.0質量%Al−0.7質量%Zn)を有するマグネシウム合金からなる板材を用意した。鋳造材はダイカスト法により作製され厚さ1mmである。圧延材は双ロール鋳造で得られた厚さ5mmの板を圧延して得る。条件として圧延対象の温度200〜400℃、圧延ロール温度150〜250℃、1パスあたりの圧下率を10〜50%の条件で複数回圧延し、最終的な厚さが0.6mmとなるようにした。得られた圧延材、鋳造材にレベラー加工、研磨加工を順に施し、所望の大きさに切断した切断片に温間プレス加工(プレス温度200〜300℃)を施して被覆前材とした。
上記被覆前材に、下地処理を行って被覆層(下塗層、染料層)を形成して、マグネシウム合金部材が得られる。下地処理は、脱脂→酸エッチング→脱スマット→表面調整→化成処理→乾燥の手順で行った。脱脂から乾燥までの各工程間には水洗いを行う。以下その条件を記す。
脱脂:10%KOHとノニオン系界面活性剤0.2%溶液の攪拌下、60℃、10分
酸エッチング:5%有機リン酸溶液の攪拌下、40℃、1分
脱スマット:10%KOH溶液の超音波攪拌下、60℃、5分
表面調整:pH8に調整した炭酸水溶液の攪拌下、60℃、5分
化成処理:10%リン酸を主成分とするA社製P系処理液+1%KOHを処理液として使用し、攪拌下、30℃、2分
乾燥:150℃、5分
下塗層は、焼付型エポキシ塗料をスプレー塗布し、160℃、30分の焼き付け処理を行い形成した。下塗層の厚さを変えていくつかの試験材を作製した。表1に被覆前材と下塗層の厚さの組み合わせを示す。
染料層は、含金属錯塩染料を使用した塗料をスプレー塗布し、80℃、20分の焼き付け処理を行い形成した。染料層の厚さを変えていくつかの試験材を作製した。表1に条件を示す。
(試験例2)
下地処理までは試験例1と同様の処理を施した材料を用意し、被覆層の構成を下塗層、散乱層、染料層、透明層とした試験材を作製した。
下塗層は試験例1と同様の条件で形成した。散乱層の形成は、Al微粉末を分散した塗料をスプレー塗布し、90℃、20分の焼き付け処理を施した。散乱層の厚さを変えていくつかの試験材を作製した。
染料層は試験例1と同様の条件で形成した。透明層の形成は無色透明なアクリル系塗料をスプレー塗布し、150℃、10分の焼き付け処理を施した。透明層についてもいくつか厚さを変え試験材を作製した。作製した試験材の各層の厚さを表1に示す。
(パネル試験)
得られた試験材について、任意の10人を対象としてパネルテストを実施した。10人中9人以上が深みのある色彩感があり、意匠性に優れるという回答を得た場合を◎、7人〜8人の場合を○、5人〜6人の場合を△、4人以下の場合を×と評価した。その結果を表1に示す。なお、パネルテストの対象は、パソコンや携帯電話などのマグネシウム合金部材を用いる製品のターゲット層(例えば、20歳代パソコン好きのグループなど)に応じて選ぶこともできる。
(耐食性試験)
JIS Z2371(塩水噴霧試験方法)に準じ、各試験材に5%塩水を240時間噴霧した後の腐食発生の有無を評価した。
(付着性試験)
JIS K5600−5−6(付着性(クロスカット))に準じ、付着性試験を行い、塗布層の付着性を評価した。すなわち、塗布膜に1mm間隔で縦横に11本ずつ切り込みを入れ、その上に粘着テープを貼り付けて剥離し、マグネシウム合金表面から剥離した塗付膜の個数を数える。100個全てが剥離しないものを◎、剥離する数が10個以下の物を○、11個以上剥離する物を×とする。
Figure 0005083148
表1の結果からわかるように、圧延材を使用した試験例(試験例1−A〜E、G、試験例2−A〜E、G、)は、鋳造材を使用した試験例(試験例1−F、試験例2−F)より、パネルテストの結果が高い。つまり意匠性に優れていると言える。また、試験例1−Aと試験例2−Aの比較から、散乱層、透明層を有している方が、意匠性が高いと言える。
さらに、試験例2−Aと試験例2−Gの比較から、AZ91材を用いた方が、意匠性が高いと言える。さらには耐食性の点からもAZ91材を用いた方が好ましい。さらに、AZ91圧延材を用いた場合、各層の膜厚は前述した好ましい範囲内のもの(下塗層10〜30μm、染料層15〜30μm、散乱層10〜20μm、透明層20〜200μm:試験例1−A、試験例2−A)と範囲外のもの(試験例1−B〜E、試験例2−B〜E)を比較すると、範囲内の方が、優れた意匠性、耐食性、付着性を兼ね備えていると言える。
なお、上述した実施形態は、本発明の要旨を逸脱することなく、適宜変更することが可能であり、上述した構成に限定されるものではない。例えば、マグネシウム合金の組成、鋳造、圧延、及び塑性加工の条件、鋳造後及び圧延後の板厚、凹凸加工の形成方法、形成条件、被覆層の形成材料、形成方法などを適宜変更することができる。
本発明マグネシウム合金部材は、携帯電気機器類の筐体といった意匠性に優れることが望まれる分野に好適に利用することができる。
本発明のマグネシウム合金部材を示す、断面模式図である。 本発明のマグネシウム合金部材を示す、断面模式図である。
符号の説明
10 マグネシウム合金基材
11 下塗層
12 染料層
13 散乱層
14 透明層

Claims (4)

  1. 圧延されたマグネシウム合金材の少なくとも一表面に下塗層を有し、前記下塗層の上に染料層を有しているマグネシウム合金部材であって、前記下塗層と前記染料層の間にさらに散乱層を有していることを特徴とするマグネシウム合金部材。
  2. 前記染料層の上にさらに透明層を有していることを特徴とする請求項1に記載のマグネシウム合金部材。
  3. 前記マグネシウム合金材は、Mg−Al系マグネシウム合金で構成され、Alを8質量%以上11質量%以下含有することを特徴とする請求項1または2に記載のマグネシウム合金部材。
  4. 前記Mg−Al系マグネシウム合金は、AZ91系であることを特徴とする請求項3に記載のマグネシウム合金部材。
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