以下、本発明を実施するための形態を説明する。なお、本実施形態において、複合サイクル試験とは、JIS H8502に規定されるサイクル試験であり、その具体的な条件の例は、後掲の実施例の欄で提示する。
本実施の一形態に係る塗装金属板1は、金属板20と、金属板20を覆う樹脂層22とを備える。樹脂層22は、フッ素樹脂とエポキシ樹脂とを含有する。樹脂層22に対するフッ素樹脂の含有量は、4質量%以上50質量%以下である。塗装金属板1は、樹脂層22がフッ素樹脂とエポキシ樹脂とを含有することで、塗装金属板1に複合サイクル試験を実施しても、折り曲げ加工を施した部分(加工部)における高い耐食性を得ることができる。その理由は明確には解明されていないが、後述するように樹脂層22の皮膜中におけるフッ素樹脂の分布が、加工部における複合サイクル試験で評価される耐食性に影響を与えているものと推察される。
本実施の他の形態に係る塗装金属板1は、図1Aに示すように、金属板20と、めっき層21と、樹脂層22と、をこの順に積層して備えることが好ましい。すなわち、塗装金属板1は、金属板20と樹脂層22との間に、めっき層21を備えることが好ましい。
塗装金属板1を構成する各層及び材料について詳細に説明する。
[金属板20]
金属板20は、例えばアルミ板又は鋼板である。金属板は、鋼板であることがより好ましい。鋼板としては、例えば薄鋼板、厚鋼板等の種々の部材が挙げられる。通常、アルミ板は、加工する等して成形されるが、鋼板に比して延性に乏しいため、成形性に劣る。例えば、アルミ板を、缶等のエンド材及びボディ材、自動車用のボディ、あるいは建材等の種々の材料へ加工するにあたっては、潤滑油等の潤滑剤を使用することによって成形性を向上させることがある。しかし、潤滑油を使用すると、加工時に潤滑油が飛散したり、加工後の潤滑油の除去及び洗浄といった製造上の手間及びコストが増加したりするなどの問題があった。これに対し、本実施の一形態の塗装金属板1では、金属板20上、又は金属板20に形成された保護層上に、フッ素樹脂を含有する樹脂層22が形成されているため、複合サイクル試験を実施しても、折り曲げ加工を施した部分(加工部)において高い耐食性を得ることができる。また、この場合、塗装金属板1を成形加工するにあたって、潤滑油等を使用しなくても、成形性を向上させることが可能である。
[めっき層21]
めっき層21は、例えば溶融めっき浴2に金属板20を浸漬させる等の公知の手段で形成される。
めっき層21は、例えば、AlとZnとのうち少なくとも一方を含有する。めっき層21がアルミニウム(Al)及び亜鉛(Zn)を含有すると、めっき層21表面は、薄いアルミニウムの酸化皮膜によって覆われる。この酸化皮膜の保護作用によって、特にめっき層21の表面の耐食性が向上する。さらに、亜鉛による犠牲防食作用により塗装金属板1の切断端面におけるエッジクリープが抑制される。このため、塗装金属板1に高い耐食性が付与される。めっき層21は、AlとZnとを含有し、めっき層21のAl含有量は25質量%以上75質量%以下であることが好ましい。この場合、塗装金属板1は、加工部における複合サイクル試験で評価される耐食性がより向上する。Alの含有量が25質量%以上であれば、めっき層21の表面における耐食性が充分に確保されるため、塗装金属板1は、高い耐食性を有しうる。Alの含有量が75質量%以下であればZnによる犠牲防食効果が充分に発揮されるとともにめっき層21の硬質化が抑制されて、塗装金属板1の折り曲げ加工性を高くすることができる。Al含有量は、45質量%以上であればより好ましく、また65質量%以下であることもより好ましく、45質量%以上65質量%以下であれば更に好ましい。
めっき層21は、Al、Zn、Mg、及びSiを含有することも好ましい。この場合、めっき層21の、Al含有量は25質量%以上75質量%以下であり、Mg含有量は0質量%を超えて10質量%以下であることが好ましい。めっき層21がAl及びZnを含有すると、上述の通り、めっき層21表面は、薄いAlの酸化皮膜による保護作用によって、特にめっき層21の表面の耐食性が向上する。さらに、Znによる犠牲防食作用により塗装金属板1の切断端面におけるエッジクリープが抑制される。このため、塗装金属板1に高い耐食性が付与される。めっき層21がケイ素(Si)を含有すると、塗装金属板1の機械的加工性を向上させることができる。また、めっき層21がSiを含有するとめっき層21中のAlと金属板20との間の過度の合金化が抑制され、めっき層21と金属板20との間に介在する後述の合金層25が形成される場合にはその合金層25が塗装金属板1の加工性を損なうことを抑制しうる。さらに、めっき層21がZnよりも卑な金属であるマグネシウム(Mg)を含有することで、めっき層21の犠牲防食作用が強化され塗装金属板1の耐食性がより向上する。
めっき層21の、Mgの含有量は、上述の通り、0質量%を超えて10質量%以下であることが好ましい。このMgの含有量が特に、0.1質量%以上であるとMgの添加による効果が明瞭に現れる。この割合が0.5質量%以上10.0質量%以下であると、耐食性向上効果が安定して得られるので、より好ましい。Mg含有量は、5.0質量%以下であればより好ましく、3.0質量%以下であれば更に好ましい。Mg含有量は、1.0質量%以上3.0質量%以下であれば特に好ましい。めっき層21は、0.2体積%以上15体積%以下のSi-Mg相を含むことが好ましい。Si-Mg相は、SiとMgとの金属間化合物で構成される層であり、めっき層21中に分散して存在することができる。
めっき層21におけるSi-Mg相の体積割合は、めっき層21をその厚み方向に切断した場合の切断面におけるSi-Mg相の面積割合と等しい。めっき層21の切断面におけるSi-Mg相は、電子顕微鏡観察により明瞭に確認され得る。このため、切断面におけるSi-Mg相の面積割合を測定することで、めっき層21におけるSi-Mg相の体積割合を間接的に測定することができる。
めっき層21中のSi-Mg相の体積割合が高いほど、めっき層21におけるしわの発生が抑制される。これは、めっき層21の作製時に溶融めっき金属が冷却されることで凝固してめっき層21が形成されるプロセスにおいて、溶融めっき金属が完全に凝固する前に、Si-Mg相が溶融めっき金属中で析出し、このSi-Mg相が溶融めっき金属の流動を抑制するためと考えられる。このSi-Mg相の体積割合は0.2%以上10%以下であればより好ましく、0.4%以上5%以下であれば更に好ましい。
めっき層21におけるSiの含有量は、Alの含有量に対して0.5質量%以上10質量%以下であることが好ましい。SiのAlに対する含有量が0.5質量%以上であるとめっき層21中のAlと金属板20との過度の合金化が充分に抑制される。この含有量が10質量%より多くなるとSiによる作用が飽和するだけでなくめっき層21の作製時に溶融めっき浴2中にドロスが発生しやすくなってしまう。このSiの含有量は特に1.0質量%以上であることが好ましい。またこのSiの含有量は特に5.0質量%以下であることが好ましい。Siの含有量が1.0質量%以上5.0質量%以下であれば特に好ましい。
さらに、めっき層21中のSi:Mgの質量比が100:50~100:300の範囲内であることが好ましい。この場合、めっき層21中のSi-Mg層の形成が特に促進され、めっき層21におけるしわの発生が更に抑制される。このSi:Mgの質量比は、更に100:70~100:250であることが好ましく、更に100:100~100:200の範囲内であることが好ましい。
めっき層21は、Ni、Ce、Cr、Fe、Ca、Sr及び希土類から選択される一種以上の元素を含有してもよい。めっき層21が、Ni及びCr;Ca、Srなどのアルカリ土類元素;並びにY、La、Ceなどの希土類からなる群から選択される、一種以上の元素を含有する場合、めっき層21のアルミニウムに起因する保護作用と、亜鉛に起因する犠牲防食作用とがともに強化されることで、塗装金属板1の耐食性は更に向上する。
特に、めっき層21は、NiとCrとのうち、1種以上を含有することが好ましい。めっき層21がNiを含有する場合、めっき層21のNiの含有量は、0質量%を超えて1質量%以下であることが好ましい。この含有量は、0.01質量%以上0.5質量%以下であればより好ましい。めっき層21がCrを含有する場合、めっき層21中のCrの含有量は、0質量%を超えて1質量%以下であることが好ましい。この含有量は、0.01質量%以上0.5質量%以下であればより好ましい。これらの場合、塗装金属板1の耐食性は向上する。耐食性向上のためには、例えばNi及びCrが、金属板20とめっき層21との界面付近に存在し、あるいはめっき層21内のNi及びCrの濃度分布が金属板20に近い位置ほど濃度が高くなるような偏りを有していることが好ましい。
めっき層21は、Ca、Sr、Y、La及びCeのうち、1種類以上の元素を含有してもよい。
アルカリ土類元素(Be、Ca、Ba、Ra)、Sc、Y、及びランタノイド元素(La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu等)は、Srと同様の作用を発揮する。めっき層21におけるこれらの成分の含有量の総量は、質量比率で1.0質量%以下であることが好ましい。
Znは、めっき層21の構成元素全体のうち、Zn以外の構成元素を除いた残部を占める。
めっき層21は、Al、Zn、Mg、Si、Ni、Ce、Cr、Fe、Ca、Sr及び希土類以外の元素を含有してもよい。例えば、めっき層21は、Pb、Sn、Co、B、Mn及びCuからなる群から選択される一種以上の元素を含有してもよい。Al、Zn、Mg、Si、Ni、Ce、Cr、Fe、Ca、Sr及び希土類以外の元素は、めっき層21中にその構成元素として含有していてもよく、金属板20から溶出したり、めっき浴の原料中に不純物として混在していてもよい。めっき層21におけるAl、Zn、Mg、Si、Ni、Ce、Cr、Fe、Ca、Sr及び希土類以外の元素の総量の割合は、0.1質量%以下であることが好ましい。
ただし、言うまでもないが、めっき層21は、Pb、Cd、Cu、Mn等の不可避的不純物を含有してもよい。この不可避的不純物の含有量はできるだけ少ない方が好ましく、特にこの不可避的不純物の含有量の合計がめっき層21に対して質量比率で1質量%以下であることが好ましい。
めっき層21と金属板20との間にはAlとCrとを含有する合金層25が介在していてもよい。
[樹脂層22]
樹脂層22は、例えば、金属板20の上に樹脂層22を形成するための塗料を塗布し、焼付を行うことで形成される。金属板20の上に保護層を作製し、保護層の上に樹脂層22を形成してもよい。塗装金属板1がめっき層21を備える場合は、樹脂層22は、例えば、めっき層21の上に樹脂層22を形成するための塗料を塗布し、焼付を行うことで形成される。めっき層21の上に保護層を作製し、保護層の上に樹脂層22を形成してもよい。保護層については、後に改めて説明する。
金属板20と樹脂層22との間には樹脂層22以外の塗料から形成される層を有さないことが好ましい。塗装金属板1がめっき層21を備える場合は、めっき層21と樹脂層22との間には樹脂層22以外の塗料から形成される層を有さないことが好ましい。すなわち、金属板20又はめっき層21上における、塗料から形成される層の第一層目は、樹脂層22であることが好ましい。
樹脂層22は、上記の通り、フッ素樹脂とエポキシ樹脂とを含有する。そのため、塗料は、フッ素樹脂とエポキシ樹脂とを含有する。これにより、塗装金属板1に複合サイクル試験を実施しても、折り曲げ加工を施した部分(加工部)における高い耐食性を得ることができる。すなわち、この場合、塗装金属板1の複合サイクル試験によって評価される加工部の耐食性を向上させることができる。その理由は、必ずしも明確にはされていないが、塗装金属板1における樹脂層22中のフッ素樹脂とエポキシ樹脂との表面張力の差によって生じる樹脂層22内でのフッ素樹脂の分布の偏りが良好な影響を与えるためと推察される。例えば、樹脂層22がエポキシ樹脂を含有することにより、樹脂層22とめっき層21との密着性が高くなることも、塗装金属板1の複合サイクル試験によって評価される加工部の耐食性の向上に影響していると推察される。これは、フッ素樹脂は数万以上の大きな分子量を有する一方、エポキシ樹脂及び架橋剤は、加熱(焼付)前においては小さな分子量であり、加熱(焼付)により重合させることで大きな分子量となる。そのため、塗料を塗布してから焼き付けて樹脂層22を形成する場合、焼付前の塗料中ではエポキシ樹脂及び架橋剤と、フッ素樹脂との間には分子量に大きな差がある。このような分子量の差が、樹脂層22とめっき層21との密着性を向上させ、塗装金属板1の加工部における複合サイクル試験で評価される耐食性の向上に寄与できると考えられる。さらにまた、樹脂層22に対するフッ素樹脂の含有量は、4質量%以上50質量%以下である。フッ素樹脂の含有量がこの範囲内であることにより、塗装金属板1の複合サイクル試験によって評価される加工部の耐食性を高く維持することができる。樹脂層22に対するフッ素樹脂の含有量は、4質量%以上45質量%以下であればより好ましく、10質量%以上30質量%以下であれば更に好ましい。また、樹脂層22において、フッ素樹脂とエポキシ樹脂との合計量に対するフッ素樹脂の含有量は、4質量%以上50質量%以下であることが好ましく、4質量%以上45質量%以下であればより好ましく、10質量%以上30質量%以下であれば更に好ましい。
フッ素樹脂は、例えばポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニル(PVF)、及びポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE又はCTFE)、並びに四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、エチレン・四フッ化エチレン共重合体(ETFE)及びエチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)といったフッ素化共重合体等を含有できる。
エポキシ樹脂は、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水素添加ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水素添加ビスフェノールF型エポキシ樹脂、レゾルシン型エポキシ樹脂、及びノボラック型エポキシ樹脂からなる群から選択される少なくとも一種の樹脂を含む。
本実施形態では、エポキシ樹脂は、エポキシ変性ポリエステル樹脂を含むことが好ましい。すなわち、樹脂層22は、エポキシ変性ポリエステル樹脂を含有することがより好ましい。ここで、本実施形態において、エポキシ変性ポリエステル樹脂は、例えばポリエステル樹脂の末端に、置換基としてエポキシ基を有する構造を有する樹脂である。エポキシ変性ポリエステル樹脂の具体的な製品としては、日本ペイントインダストリアルコーティング株式会社製の品名FLC5100が挙げられる。なお、エポキシ変性ポリエステル樹脂は、少なくとも一つのエポキシ基を有していればよい。
樹脂層22は、例えばポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、及びこれらの樹脂の変性体からなる群から選択される少なくとも一種の樹脂を含有できる。
ポリエステル樹脂は、例えばポリカルボン酸成分及びポリオール成分からなるポリエステル原料を縮重合して得られる。ポリエステル樹脂は水に溶解又は分散されていてもよく、すなわち水系化されていてもよい。
ポリカルボン酸成分に含まれる化合物の例としては、フタル酸、無水フタル酸、テトラヒドロフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラフタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水ハイミック酸、トリメリット酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、無水ピロメリット酸、イソフタル酸、ライン酸、セバシン酸、コハク酸、無水コハク酸、乳酸、ドデセニルコハク酸、ドデセニル無水コハク酸、シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸、無水エンド酸等を挙げることができる。ポリカルボン酸成分は、これらからなる群から選択される少なくとも一種の化合物を含むことができる。
ポリオール成分に含まれる化合物の例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,2-プロパンジオール、トリエチレングリコール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、2-メチル-1,4-ブタンジオール、2-メチル-3-メチル-1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、1,2-シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノール-A、ダイマージオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等を挙げることができる。ポリオール成分は、これらからなる群から選択される少なくとも一種の化合物を含むことができる。
ポリウレタン樹脂は、例えばポリオール化合物とポリイソシアネート化合物とを反応させ、その後に更に鎖伸長剤によって鎖伸長して得られる。
ポリオール化合物は、1分子当たり2個以上の水酸基を含有する化合物であればよい。ポリオール化合物は、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、1,6-へキサンジオール、ネオペンチルグリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリオール、ビスフェノールヒドロキシプロピルエーテル等のポリエーテルポリオール、ポリエステルアミドポリオール、アクリルポリオール、及びポリウレタンポリオールから選択される少なくとも一種の化合物を含有できる。
ポリイソシアネート化合物としては、1分子当たり2個以上のイソシアネート基を含有する化合物であればよく、例えばヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)等の脂肪族イソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)等の脂環族ジイソシアネート、トリレンジイソシアネート(TDI)等の芳香族ジイソシアネート、及びジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)等の芳香脂肪族ジイソシアネートからなる群から選択される少なくとも一種の化合物を含有できる。
鎖伸長剤は、分子内に1個以上の活性水素を含有する化合物であればよい。鎖伸長剤は、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン等の脂肪族ポリアミン、トリレンジアミン、キシリレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン等の芳香族ポリアミンや、ジアミノシクロヘキシルメタン、ピペラジン、2,5-ジメチルピペラジン、イソホロンジアミン等の脂環式ポリアミンや、ヒドラジン、コハク酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、フタル酸ジヒドラジド等のヒドラジン類や、ヒドロキシエチルジエチレントリアミン、2-[(2-アミノエチル)アミノ]エタノール、3-アミノプロパンジオール等のアルカノールアミンを含有できる。
アクリル樹脂としては、例えばエチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレートや、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートや、アルコキシシラン(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステルを、(メタ)アクリル酸とともに水中で重合開始剤を用いてラジカル重合することにより得られるものが挙げられる。アクリル樹脂は、これらからなる群から選択される少なくとも一種の樹脂を含むことができる。ここで、「(メタ)アクリレート」とはアクリレートとメタクリレートを意味し、例えば「(メタ)アクリル酸」とはアクリル酸とメタクリル酸を意味する。
重合開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、アゾビスシアノ吉草酸、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物等を使用することができる。
ポリオレフィン樹脂は、例えばエチレンとメタクリル酸、アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸等の不飽和カルボン酸類とを高温高圧下でラジカル重合したのち、アンモニアやアミン化合物、水酸化カリウム(KOH)、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化リチウム(LiOH)等の塩基性金属化合物、又はそれらの金属化合物を含有するアンモニアやアミン化合物等で中和して水系化したもの等が挙げられる。ポリオレフィン樹脂は、これらからなる群から選択される少なくとも一種の樹脂を含む。
塗料は、上記成分以外に公知の添加剤等の成分を含有してもよく、例えば顔料、架橋剤、潤滑剤等を含有することができる。
塗料は、例えば水系溶媒又は有機溶剤系溶媒中に塗料の構成成分を添加し、ディスパーで攪拌し、溶解又は分散することで得られる。水系溶媒とは、水又は水と親水性溶媒との混合溶媒である。親水性溶媒は、例えばエタノール、イソプロピルアルコール、t-ブチルアルコール及びプロピレングリコール等のアルコール類;エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のセロソルブ類;酢酸エチル、策酸ブチル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトン等のケトン類が挙げられる。
樹脂層22の付着量は、5g/m2以上60g/m2未満であることが好ましい。この場合、塗料を塗布することによって形成される樹脂層22にわき(泡状あるいは蜂の巣状の小さな膨れ)が生じることが抑制され、良好に樹脂層22を形成することができるため、例えば樹脂層22上に、後述する上塗樹脂層23を良好に形成することができる。このため、塗装金属板1の加工性及び強度を確保できるとともに、上塗樹脂層23が形成された場合にも、塗装金属板1の加工部における複合サイクル試験で評価される耐食性を更に向上させることができる。樹脂層22の付着量は、10g/m2以上40g/m2以下であることがより好ましい。
樹脂層22は、環境問題などの環境負荷への低減が要求される場合には、クロム化合物を含まないことができる。すなわち、樹脂層22は、クロメートフリーの塗料から作製されてもよい。この場合、塗装金属板1は、複合サイクル試験で評価される耐食性を維持することができ、かつ環境負荷を低減することが可能である。クロメートフリーの塗料の具体的な製品の例は、日本ペイントインダストリアルコーティング株式会社製の品名FLC5510等が挙げられる。
本実施形態に係る塗装金属板1は、樹脂層22上に重なる、樹脂を含む層(以下、上塗樹脂層23、という)を更に備えることも好ましい。
上塗樹脂層23は、例えば上記の金属板20上にめっき層21、樹脂層22をこの順に形成した後、樹脂層22に、上塗樹脂層23を形成するための塗料(上塗塗料、ともいう)を塗布し、焼付を行うことで形成することができる。
上記の樹脂層22上に、更に上塗樹脂層23がされると、塗装金属板1は、複合サイクル試験によって評価される加工部の耐食性が特に向上しうる。その理由は、必ずしも明確にはされていないが、塗装金属板1における樹脂層22中のエポキシ樹脂とフッ素樹脂との表面張力の差によって生じる樹脂層22内でのフッ素樹脂の分布の偏りが良好な影響を与えるためと推察される。例えば、めっき層21上にエポキシ樹脂とフッ素樹脂とを含有する塗料から樹脂層22を形成し、更に、この樹脂層22上に、フッ素樹脂を含まない上塗塗料から上塗樹脂層23を形成すると、樹脂層22内でフッ素原子が分布し、上塗樹脂層23の樹脂層22寄りの部分(樹脂層22と上塗樹脂層23との界面、及び上塗樹脂層23の下層部分)にも僅かにフッ素原子の分布が生じる。なお、上塗塗料にフッ素樹脂が含まれていなくても、上塗樹脂層23にフッ素原子の分布が確認されるのは、樹脂層22上に上塗樹脂層23の塗膜を形成して焼き付ける間に、樹脂層22中のフッ素原子が上塗樹脂層23との界面及び上塗樹脂層23の下層部分に僅かに移動することができるためであると考えられる。このフッ素原子の分布が、塗装金属板1の加工部における複合サイクル試験で評価される耐食性に寄与していると考えられる。なお、樹脂層22中のフッ素原子の分布は、例えばESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)の分析結果から得られる。
上塗樹脂層23は、ポリエステル樹脂を含有することが好ましい。上塗樹脂層23がポリエステル樹脂を含有すると、塗装金属板1は、樹脂層22がフッ素樹脂を含有することで、塗装金属板1に複合サイクル試験を実施しても、折り曲げ加工を施した部分(加工部)における高い耐食性を得ることができ、かつ塗装金属板1の強度を高く維持することができる。
ポリエステル樹脂は、例えばポリカルボン酸成分及びポリオール成分からなるポリエステル原料を縮重合して得られる。ポリエステル樹脂は水に溶解又は分散されていてもよく、すなわち水系化されていてもよい。
ポリカルボン酸成分に含まれる化合物の例としては、フタル酸、無水フタル酸、テトラヒドロフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラフタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水ハイミック酸、トリメリット酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、無水ピロメリット酸、イソフタル酸、ライン酸、セバシン酸、コハク酸、無水コハク酸、乳酸、ドデセニルコハク酸、ドデセニル無水コハク酸、シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸、無水エンド酸等を挙げることができる。ポリカルボン酸成分は、これらからなる群から選択される少なくとも一種の化合物を含むことができる。
ポリオール成分に含まれる化合物の例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,2-プロパンジオール、トリエチレングリコール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、2-メチル-1,4-ブタンジオール、2-メチル-3-メチル-1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、1,2-シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノール-A、ダイマージオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等を挙げることができる。ポリオール成分は、これらからなる群から選択される少なくとも一種の化合物を含むことができる。
上塗樹脂層23がポリエステル樹脂を含有する場合には、ポリエステル樹脂は硬化剤で架橋されていてもよい。すなわち、上塗塗料がポリエステル樹脂に加えて硬化剤を含有してもよい。この場合、上塗樹脂層23の硬度を高くすることができ、塗装金属板1の耐傷付き性を向上させることができる。硬化剤としては、一般に公知のアミノ樹脂、及びポリイソシアネート化合物のいずれか一方又は双方を用いることができる。
アミノ樹脂の例としては、尿素、ベンゾグアナミン、メラミン等とホルムアルデヒドとの反応で得られる樹脂、及びこれらをアルコールによりアルキルエーテル化したものなどが挙げられる。アミノ樹脂のより具体的な例としては、メチル化尿素樹脂、n-ブチル化ベンゾグアナミン樹脂、メチル化メラミン樹脂、n-ブチル化メラミン樹脂、iso-ブチル化メラミン樹脂等が挙げられる。
ポリイソシアネート化合物としては、例えば、フェノール、クレゾ-ル、芳香族第二級アミン、第三級アルコール、ラクタム、オキシム等のブロック剤でブロック化したイソシアネート化合物が好ましい。ポリイソシアネート化合物のより具体的な例としては、HDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)及びその誘導体、TDI(トリレンジイソシアネート)及びその誘導体、MDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)及びその誘導体、XDI(キシリレンジイソシアネート)及びその誘導体、IPDI(イソホロンジイソシアネート)及びその誘導体、TMDI(トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート)及びその誘導体、水添TDI及びその誘導体、水添MDI及びその誘導体、水添XDI及びその誘導体等が挙げられる。
上塗樹脂層23は、フッ素樹脂を含むことも好ましい。すなわち、上塗塗料がフッ素樹脂を含有することが好ましい。この場合、フッ素樹脂を含有する上塗樹脂層23を備える塗装金属板1に複合サイクル試験を実施した場合であっても、折り曲げ加工を施した部分(加工部)における高い耐食性を付与することができる。上塗樹脂層23は、フッ素樹脂塗料から作製されることで、フッ素樹脂を含有してもよい。上塗樹脂層23は、フッ素樹脂塗料以外の樹脂塗料(例えばポリエステル樹脂塗料)から作製され、かつこの樹脂塗料がフッ素樹脂添加剤を含有することで、フッ素樹脂を含有してもよい。フッ素樹脂塗料は、例えばポリフッ化ビニリデン樹脂とアクリル樹脂との混合塗料である。フッ素樹脂添加剤とは、上塗塗料に配合されるフッ素樹脂を含有する添加剤であり、フッ素樹脂添加剤は、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂を含む。
上塗樹脂層23が特にフッ素樹脂を含む場合には、樹脂層22におけるフッ素樹脂とエポキシ樹脂との合計量に対するフッ素樹脂の含有量は、4質量%以上50質量%以下であることが好ましく、4質量%以上45質量%以下であればより好ましく、10質量%以上30質量%以下であれば更に好ましい。この場合、上塗樹脂層23にフッ素樹脂を含んでいても、塗装金属板1に複合サイクル試験を実施した場合の、折り曲げ加工を施した部分(加工部)における高い耐食性を付与することができる。
上塗樹脂層23は、上記で説明したポリエステル樹脂及びフッ素樹脂以外の樹脂成分を含有してもよい。上塗樹脂層23は、例えばエポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、及びメラミン樹脂からなる群から選択される樹脂を含有してもよい。
エポキシ樹脂に含まれる樹脂の例としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水素添加ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水素添加ビスフェノールF型エポキシ樹脂、レゾルシン型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。エポキシ樹脂は、これらからなる群から選択される少なくとも一種の樹脂を含むことができる。
ポリウレタン樹脂は、例えばポリオール化合物とポリイソシアネート化合物とを反応させ、その後に更に鎖伸長剤によって鎖伸長して得られる。その詳細は、樹脂層22の場合と同様である。
アクリル樹脂は、例えばエチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレートや、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートや、アルコキシシラン(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステルを、(メタ)アクリル酸とともに水中で重合開始剤を用いてラジカル重合することにより得られる。ここで、「(メタ)アクリレート」とはアクリレートとメタクリレートを意味し、例えば「(メタ)アクリル酸」とはアクリル酸とメタクリル酸を意味する。
重合開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、アゾビスシアノ吉草酸、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物等を使用することができる。
なお、上塗樹脂層23に含有される樹脂成分は、上記以外の樹脂を含有してもよい。
上塗樹脂層23は、更に無機フィラーを含有することも好ましい。上塗樹脂層23が無機フィラーを含有すると、塗装金属板1が特に高い耐食性を有するとともに、高い加工性を有することができる。無機フィラーは、例えばガラス繊維、アルミフレーク、マイカ、及びステンレス粉からなる群から選択される少なくとも一種の成分を含む。
上塗樹脂層23に対する無機フィラー含有量は、例えば5質量%以上30質量%以下である。
上塗塗料は、上記成分以外に添加剤等の成分を含有してもよく、例えば顔料、架橋剤、潤滑剤等を含有することができる。
上塗塗料は、上記の樹脂成分、必要に応じて無機フィラー、各種の添加剤、溶媒等を混合することにより調製される。
上塗塗料は、例えば水系溶媒又は有機溶剤系溶媒中に上塗塗料の構成成分を添加し、ディスパーで攪拌し、溶解又は分散することで得られる。溶媒の詳細は、樹脂層22を形成する塗料の場合と同様である。
上塗樹脂層23の付着量は、20g/m2以上60g/m2以下であることが好ましい。
塗装金属板1は、上記の金属板20、めっき層21、樹脂層22、及び上塗樹脂層23以外の層を備えていてもよい。例えば、図1Bに示すように、先に述べた合金層25、及び前処理層等を備えてもよい。
塗装金属板1は、例えばめっき層21と樹脂層22との間に介在する保護層を備えていてもよい。本実施形態では、塗装金属板1は、めっき層21と樹脂層22との間に介在する保護層を備えている。塗装金属板1がめっき層21と樹脂層22との間に保護層を備えると、めっき層21と樹脂層22との密着性を向上させることができる。なお、保護層は、一般に化成処理層又は下地処理層とも呼ばれ、通常は非隠蔽性の層である。また、本実施形態では、樹脂層22及び上塗樹脂層23のように塗料から作製される層とは区別されるものである。
保護層は、公知の化成処理によって形成される層である。保護層を形成するための下地処理剤(化成処理剤)としては、例えばクロメート処理剤、3価クロム酸処理剤、樹脂を含有するクロメート処理剤、3価クロム酸処理剤などのクロムを含有する処理剤;リン酸亜鉛処理剤、リン酸鉄処理剤などのリン酸系の処理剤;コバルト、ニッケル、タングステン、ジルコニウムなどの金属酸化物を単独であるいは複合して含有する酸化物処理剤;腐食を防止するインヒビター成分を含有する処理剤;バインダー成分(有機、無機、有機―無機複合など)とインヒビター成分を複合した処理剤;インヒビター成分と金属酸化物とを複合した処理剤;バインダー成分とシリカやチタニア、ジルコニアなどのゾルとを複合した処理剤;上記に例示した処理剤の成分を更に複合した処理剤などが挙げられる。クロムを含有する処理剤は、水及び水分散性アクリル樹脂と、アミノ基を有するシランカップリング剤と、クロム酸アンモニウムや重クロム酸アンモニウム等のクロムイオンの供給源とを配合して調整される処理剤であってもよい。水分散性樹脂アクリル樹脂は、例えばアクリル酸などのカルボキシル基含有モノマーとアクリル酸グリシジルなどのグリシジル基含有モノマーとを共重合させることで得られる。この化成処理剤から形成される保護層は、めっき層21と樹脂層22との密着性向上に寄与することができるとともに、耐水性、耐食性、及び耐アルカリ性が高い。
保護層は、環境問題などの環境負荷への低減が要求される場合には、クロム化合物を含まないことができる。すなわち、保護層は、クロメートフリーの処理剤から作製されてもよい。この場合、塗装金属板1が与える環境負荷を低減することができる。クロメートフリーの処理剤は、例えば日本パーカライジング株式会社製の品名パルコートE215等を含む。
ジルコニウムの酸化物を含有する酸化物処理剤の例としては、水及び水分散性のポリエステル系ウレタン樹脂と、水分散性アクリル樹脂と、炭酸ジルコニウムナトリウムなどのジルコニウム化合物と、ヒンダードアミン類とを配合して調製される処理剤が挙げられる。水分散性のポリエステル系ウレタン樹脂は、例えばポリエステルポリオールと水添型イソシアネートとを反応させるとともにジメチロールアルキル酸を共重合させることで自己乳化させることで合成される。このような水分散性のポリエステル系ウレタン樹脂によって、乳化剤を使用することなく保護層に高い耐水性が付与され、塗装金属板1の耐食性や耐アルカリ性の向上に寄与しうる。
保護層の付着量は、5mg/m2以上200mg/m2以下であることが好ましい。
保護層の下に、あるいは化成処理に代えて、ニッケルめっき処理やコバルトめっき処理などが施されてもよい。
また、上記で説明した層以外にも、例えば上塗樹脂層23の表面上に、クリア塗料が塗布、成膜されるなどして、上塗樹脂層23上にクリア層が形成されてもよい。
金属板20の片面上にのみ、めっき層21、樹脂層22及び上塗樹脂層23が設けられていてもよい。また、金属板20の両面の各々の上に、めっき層21、樹脂層22及び上塗樹脂層23が設けられていてもよい。
図1Cに示すように、塗装金属板1は、上塗樹脂層23の上に重なる少なくとも一つの被覆層30を備えることができる。被覆層30は、樹脂成分を含有する。この場合、塗装金属板1は、金属板20、樹脂層22、上塗樹脂層23及び被覆層30がこの順に積層されている。すなわち、塗装金属板1を多層塗装金属板とすることができる。そして、塗装金属板1は、多層塗装金属板であっても、加工部における複合サイクル試験で評価される耐食性に優れる。
被覆層30は、適宜の樹脂からなる塗料から形成することができる。被覆層30を形成するための樹脂塗料は、例えば上記で説明した樹脂層22を形成するための樹脂塗料と同じであってもよい。また、被覆層30を形成するための塗料は、上記で説明した上塗塗料と同じであってもよい。
塗装金属板1が多層塗装金属板である場合、塗装金属板1は、被覆層30に重なる1又は複数の層を更に備えることもできる。
[塗装金属板の製造方法]
本実施形態に係る塗装金属板1は、金属板20、又は金属板20上にめっき処理を施しためっき金属板201を用意し、金属板20、又はめっき金属板201のめっき層21上に、樹脂層22を形成することで製造される。必要に応じて、樹脂層22上に、更に上塗樹脂層23を形成してもよい。
(金属板20のめっき処理)
塗装金属板1がめっき層21を備える場合、金属板20へのめっき処理は、例えば以下のように施すことができる。すなわち、めっき金属板201は、次のように作製することができる。
金属板20をめっき処理する方法としては、例えば金属板20を、無酸化炉内で予備加熱した後に還元炉内で還元焼鈍し、続いて溶融めっき浴2に浸漬してから引き上げる方法が挙げられる。また、金属板20をめっきする別の方法としては、例えば全還元炉を用いる方法が挙げられる。
いずれの方法においても、金属板20に溶融めっき金属を付着させてから、ガスワイピング方式で、溶融めっき金属の付着量を調整し、次いで冷却することで、めっき金属板201を得ることができる。これらの工程は連続的に行うことができる。
具体的には、めっき金属板201は、例えば図2Aに示すような溶融めっき処理装置により製造することができる。溶融めっき処理装置は、金属板20を連続的に搬送する搬送装置を備える。この搬送装置は、繰出機3、巻取機12、及び複数の搬送ロール15で構成されている。この搬送装置では、長尺な金属板20のコイル13(第一のコイル13)を繰出機3が保持する。この第一のコイル13が繰出機3で巻き解かれ、金属板20が搬送ロール15で支えられながら巻取機12まで搬送される。さらに、金属板20を巻取機12が巻回し、この巻取機12が金属板20のコイル14(第二のコイル14)を保持する。
この溶融めっき処理装置では、上記搬送装置による金属板20の搬送経路の上流側から順に、加熱炉4、焼鈍・冷却部5、スナウト6、ポット7、噴射ノズル9、冷却装置10、調質圧延・形状矯正装置11が順次設けられている。加熱炉4は、金属板20を加熱する。この加熱炉4は、無酸化炉等で構成される。焼鈍・冷却部5は、金属板20を加熱焼鈍し、それに続いて冷却する。この焼鈍・冷却部5は、加熱炉4に連結されており、上流側に焼鈍炉が、下流側に冷却帯(冷却機)がそれぞれ設けられている。この焼鈍・冷却部5内は、還元性雰囲気に保持されている。スナウト6は、その内部で金属板20が搬送される筒状の部材であり、その一端が焼鈍・冷却部5に連結され、他端がポット7内の溶融めっき浴2内に配置される。スナウト6内は、焼鈍・冷却部5内と同様に還元性雰囲気に保持される。ポット7は、溶融めっき浴2を貯留する容器であり、その内部にはシンクロール8が配置されている。噴射ノズル9は、金属板20に向けてガスを噴射する。噴射ノズル9は、ポット7の上方に配置される。この噴射ノズル9は、ポット7から引き上げられた金属板20の両面に向けてガスを噴射できる位置に配置される。冷却装置100は金属板20に付着している溶融めっき金属を冷却する。この冷却装置10としては、空冷機、ミスト冷却機等が設けられ、この冷却装置10で金属板20が冷却される。調質圧延・形状矯正装置11は、めっき層21が形成された金属板20の調質圧延及び形状矯正を行う。この調質圧延・形状矯正装置11は、金属板20に対して調質圧延を行うためのスキンパスミル等や、調質圧延後の金属板20に対して形状矯正を行うためのテンションレベラー等を備える。
この溶融めっき処理装置を用いた溶融めっき処理では、まず繰出機3から金属板20が巻き解かれて連続的に繰り出される。この金属板20が加熱炉4で加熱された後、還元性雰囲気の焼鈍・冷却部5に搬送され、焼鈍炉で焼き鈍されると同時に、金属板20の表面に付着している圧延油等の除去や酸化膜の還元除去などの表面の清浄化がなされた後、冷却帯で冷却される。次に、金属板20は、スナウト6を通過し、更にポット7に侵入してこのポット7内の溶融めっき浴2中に浸漬される。金属板20は、ポット7内でシンクロール8に支えられることでその搬送方向が上方へ転換され、溶融めっき浴2から引き出される。これにより金属板20に溶融めっき金属が付着する。
次に、この金属板20の両面に噴射ノズル9からガスが噴射されることで、金属板20に付着した溶融めっき金属の付着量が調整される。このようなガスの噴射による付着量の調整方法をガスワイピング法という。この溶融めっき金属の付着量は、金属板20両面を併せて40~200g/m2の範囲に調整されることが好ましい。
次に、この金属板20は噴射ノズル9の配置位置よりも更に上方に搬送された後、二つの搬送ロール15に支えられることで下方へ折り返すように搬送される。すなわち、金属板20は逆U字状の経路を搬送される。この逆U字状の経路において、金属板20が冷却装置10で空冷やミスト冷却等により冷却される。これにより、金属板20の表面上に付着した溶融めっき金属が凝固し、めっき層21が形成される。
冷却装置10によって冷却されることにより、溶融めっき金属の凝固が完全に終了するためには、金属板20上が冷却装置10により、溶融めっき金属(あるいはめっき層21)の表面温度が300℃以下になるまで冷却されることが好ましい。溶融めっき金属の表面温度は、例えば放射温度計などで測定される。このように、めっき層21が形成されるためには、この金属板20が溶融めっき浴2より引き出されてから金属板20上の溶融めっき金属の表面が300℃に冷却されるまでの間の冷却速度が5~100℃/secの範囲であることが好ましい。金属板20の冷却速度を制御するために、冷却装置100が、金属板20の温度をその搬送方向及び板幅方向に沿って調節するための温度制御機能を備えることが好ましい。冷却装置10は、金属板20の搬送方向に沿って複数に分割されていてもよい。図2Aでは、噴射ノズル9の配置位置よりも更に上方に搬送される経路において金属板20を冷却する一次冷却装置101と、一次冷却装置101よりも下流側で金属板20を冷却する二次冷却装置102とが設けられている。一次冷却装置101と二次冷却装置102とが更に複数に分割されていてもよい。この場合、例えば一次冷却装置101で金属板20を溶融めっき金属の表面が300℃あるいはそれ以下の温度になるまで冷却し、更に二次冷却装置102で金属板20を、調質圧延・形状矯正装置11へ導入される際の温度が100℃以下となるように冷却することができる。
続いて、金属板20は巻取機12で巻き取られ、この巻取機12で金属板20のコイル14が保持される。
溶融めっき処理後の金属板20(めっき金属板201)に対して、更に過時効処理が施されることも好ましい。この場合、めっき金属板201の加工性が更に向上する。過時効処理は、金属板20を一定温度範囲内に一定時間保持することで施される。
図3A及び図3Bは、過時効処理に用いられる装置を示し、このうち図3Aは加熱装置を示す。そして、図3Bは保温容器31を示す。加熱装置は、溶融めっき処理後の金属板20が連続的に搬送される搬送装置を備える。この搬送装置は、溶融めっき処理装置における搬送装置と同様に繰出機16、巻取機17、及び複数の搬送ロール33で構成されている。この搬送装置による金属板20の搬送経路には、誘導加熱炉等の加熱炉18が設けられている。保温容器31は、内部に金属板20のコイル19が保持可能であり、且つ断熱性を有する容器であれば、特に制限されない。保温容器31は大型の容器(保温室)であってもよい。
金属板20に過時効処理が施される場合には、まず溶融めっき処理後の金属板20のコイル14が溶融めっき処理装置の巻取機12からクレーンや台車等で運搬され、加熱装置の繰出機16に保持される。加熱装置ではまず繰出機16から金属板20が巻き解かれて連続的に繰り出される。この金属板20は加熱炉18で過時効処理に適した温度まで加熱されてから、巻取機17で巻き取られ、この巻取機17で金属板20のコイル19が保持される。
続いて、金属板20のコイル19が巻取機17からクレーンや台車等で運搬されて、保温容器31内に保持される。この保温容器31内に金属板20のコイル19が一定時間保持されることで、金属板20に対して過時効処理が施される。
金属板20をめっき処理してめっき金属板201を得る場合にあたっては、金属板20を溶融金属浴に浸漬する前に、金属板20のめっき濡れ性及びめっき密着性を改善する等の目的で、金属板20にアルカリ脱脂処理又は酸洗処理を施してもよいし、塩化亜鉛、塩化アンモニウムやその他の薬剤を用いたフラックス処理を施してもよい。
金属板20に対してめっき前処理が施される場合には、このめっき前処理も、金属板の種類、形状等に応じて種々変更可能である。
保護層が形成される場合には、保護層が形成される前のめっき層21の表面に対する下地処理として、純水や各種有機溶剤液による洗浄や、酸、アルカリや各種エッチング剤を任意に含む水溶液や各種有機溶剤液による洗浄などが施されてもよい。このようにめっき層21の表面が洗浄されると、めっき層21の表層にMg系酸化皮膜が少量存在したり、めっき層21の表面に無機系及び有機系の汚れ等が付着していたりしても、これらのMg系酸化皮膜や汚れ等がめっき層21から除去され、これによりめっき層21と保護層若しくは樹脂層22との密着性が改善され得る。
保護層は、上記で説明した化成処理剤を用い、ロールコート法、スプレー法、浸漬法、電解処理法、エアーナイフ法など公知の方法で形成され得る。化成処理剤の塗布後、必要に応じ、更に常温放置や、熱風炉や電気炉、誘導加熱炉などの加熱装置による乾燥や焼付けなどの工程が追加されてもよい。赤外線類、紫外線類や電子線類などエネルギー線による硬化方法が適用されてもよい。乾燥時の温度や乾燥時間は、使用した化成処理剤の種類や、求められる生産性などに応じて適宜決定される。このようにして形成される保護層は、めっき層21上で、連続状若しくは非連続状の皮膜となる。保護層の厚みは、処理の種類、求められる性能などに応じて、適宜決定される。
保護層、及び後述の樹脂層22を形成する前に、必要により、金属板20又はめっき金属板201を洗浄剤で洗浄することで、金属板20又はめっき金属板201から油や汚染物質を除去(脱脂処理)して清浄化してもよい。洗浄剤としては、酸性成分やアルカリ成分などの無機成分、キレート剤、界面活性剤が配合された周知の洗浄剤などが挙げられる、洗浄剤のpHは、塗装金属板1の性能が損なわれなければ、アルカリ性、酸性のいずれであってもよい。
(樹脂層22の形成)
樹脂層22は、例えば既に述べた樹脂層形成用の塗料を、金属板20、又はめっき金属板201のめっき層21上に塗布し、加熱して焼き付けることで形成することができる。また、樹脂層22は、金属板20上に形成した保護層上、又はめっき金属板201のめっき層21上に形成した保護層上に、樹脂層形成用の塗料を塗布し、加熱して焼き付けることで形成してもよい。
塗料の塗布方法として、ロールコート、カーテン塗装、スプレー塗布、バーコート、浸漬、及び静電塗布等を利用可能である。
塗料を加熱して樹脂層22を形成するに当たっては、例えば塗料を塗布する前に、予め金属板20又はめっき金属板201を加熱しておくか、塗布後に金属板20又はめっき金属板201を加熱するか、あるいはこれらを組み合わせることができる。加熱の手段の例としては、熱風、誘導加熱、近赤外線、及び直火、並びにこれらのうち二以上の組み合わせが挙げられる。
塗料を加熱するために金属板20又はめっき金属板201を加熱する場合、加熱による金属板20又はめっき金属板201の到達板温は、190℃以上230℃以下であることが好ましい。塗料を加熱する際の加熱時間は、10秒以上60秒以下であることが好ましい。
このようにして作製される塗装金属板1は、建材、自動車用の材料、家電製品用の材料、その他各種の用途に採用されることができ、加工部における耐食性が要求される用途に好適に採用されることができ、特に加工部における複合サイクル試験で評価される耐食性に優れる。
(上塗樹脂層23の形成)
上述した樹脂層22上に、更に上塗樹脂層23を備える塗装金属板1は、以下のようにして作製できる。
上塗樹脂層23の形成方法としては、上記の樹脂層22を形成するのと同様の方法を利用可能である。例えば、樹脂層22上に上塗塗料を塗布し、加熱して焼き付けることで、上塗樹脂層23を形成することができる。上塗塗料の塗布方法としては、例えば上記で説明した樹脂層22を形成するために塗料を塗布する場合と同様の方法を利用可能である。
上塗塗料から上塗樹脂層23を形成する際の加熱方法としては、例えば上記の樹脂層22を形成する際の加熱方法と同様の方法を利用可能である。
上塗塗料を加熱するために金属板20又はめっき金属板201を加熱する場合、加熱による金属板20又はめっき金属板201の到達板温は、210℃以上270℃以下であることが好ましい。
上塗塗料を加熱する際の加熱時間は、40秒以上70秒以下であることが好ましい。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明する。しかし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(1)塗装金属板の作製
まず、後掲の表1~5の「めっき組成」の欄に示す組成を有し、金属板である鋼板上にめっき層を有する、厚み0.3mm、幅920mmの長尺のめっき鋼板(日鉄住金鋼板株式会社製)を用意した(実施例1~20,22~29、比較例1~4,6~14)。実施例1~21及び比較例1~4では、各めっき鋼板に、クロム系の下地処理剤(日本パーカライジング株式会社製 品名 ZM1300)をCr付着量が30mg/m2となるようにバーコーターにより塗布してから加熱することで保護層(下地処理層)を形成した。加熱時の焼付温度は100±10℃、加熱時間は約10秒である。
また、実施例22~27及び比較例11~13では、めっき鋼板にクロメートフリーの下地処理剤として、日本パーカライジング株式会社製の品名パルコートE215を保護層の付着量が50mg/m2となるようにバーコーターにより塗布してから加熱することで保護層(下地処理層)を形成した。また、実施例21及び比較例5は、金属板としてアルミ板(久宝金属製作所製 品番L9000番)を用意し、上記と同様の下地処理剤により保護層を形成した。なお、実施例21及び比較例5のアルミ板にはめっき処理を施していない。
続いて、表1~5の「塗料組成」の欄に示す組成を有する塗料を、上記の下地処理層上、又は金属板上にバーコーターで均一に塗布してから加熱することで、樹脂層を形成した。加熱時の焼付温度は220±10℃であり、加熱時間は約30秒であり、樹脂層の付着量は表1~5に示す通りである。
実施例12~16及び比較例10,14を除き、続いて、表1~5の「上塗塗料組成」の欄に示す組成を有する塗料を、上記の樹脂層の上にバーコーターで均一に塗布してから加熱することで、上塗樹脂層を形成した。加熱時の焼付温度は240±10℃であり、加熱時間は約40秒であり、上塗樹脂層の付着量は表1~5に示す通りである。
これにより、鋼板と、めっき層と、樹脂層と、上塗樹脂層とをこの順に備える塗装金属板(実施例1~11,17~20,22~29及び比較例1~4,6~9,11~13)、鋼板と、めっき層と、樹脂層とをこの順に備える塗装金属板(実施例12~及び比較例10,14)、及びアルミ板と、樹脂層と、上塗り層とをこの順に備える塗装金属板(実施例21及び比較例5)を得た。
なお、表1~5に記載の各成分の詳細は、以下の通りである。
[塗料]
・エポキシ樹脂塗料1:日本ペイントインダストリアルコーティング株式会社製 品名 FLC5100、主成分:ポリエステル変性エポキシ樹脂。
・エポキシ樹脂塗料2:日本ペイントインダストリアルコーティング株式会社製 品名 FLC5510、主成分:ポリエステル変性エポキシ樹脂。クロメートフリー塗料。
・フッ素樹脂塗料:日本ペイントインダストリアルコーティング株式会社製 品名QFK100、ポリフッ化ビニリデン:アクリル樹脂=80:20)。
[上塗塗料]
・ポリエステル樹脂塗料:日本ペイントインダストリアルコーティング株式会社製 品名NSC3800 No.540。
・フッ素樹脂塗料:日本ペイントインダストリアルコーティング株式会社製 品名QFK100、ポリフッ化ビニリデン:アクリル樹脂=80:20。
・フッ素樹脂添加剤:ビックケミー株式会社製 品名CARFLOUR 981(主成分:PTFE)。
・ガラス繊維:オーウエンスコーティングジャパン株式会社製の品名 REV 1(平均長さ 35μm、平均粒径13μm)と品名 REV 5N(平均長さ70μm、平均粒径13μm)とを1:1で混合したもの。
・マイカ:トピー工業株式会社製 品名PDM-5B(平均粒径6μm)。
・ステンレス粉:TOYAL社製ステンレスペースト 品番 Y4Y7C(平均粒径9μm)。
・アルミフレーク:平均粒径9μmのノンリーフィングタイプのアルミ粒子。
(2)塗装金属板の評価試験
(2-1)複合サイクル試験
JIS H8502に準拠し、(1)で作製した塗装金属板を、6T折曲加工をした試験片(寸法長さ150mm×幅50mm)を準備した。この試験片を、スガ試験機株式会社製のCYP複合サイクル試験機により、複合サイクル試験を実施した。複合サイクル試験に当たって、5%NaCl溶液を用いる塩水噴霧試験を35℃で2時間、乾燥試験を60℃、湿度95%Rhで4時間、及び湿潤試験を50℃、湿度95%Rhで2時間行うことを、1サイクルとした。
複合サイクル試験を15サイクル(15cy)及び90サイクル(90cy)実施し、試験後の塗装金属板の折曲加工部を目視により観察し、それぞれ以下の基準で評価した。
A:塗装金属板の加工部において、白錆が発生していなかった。
B:塗装金属板の加工部において、少量の白錆の発生が確認された。
C:塗装金属板の加工部において、白錆の発生が確認された。
D:塗装金属板の加工部において、多量の白錆の発生が確認された。
(2-2)加工性試験
塗装金属板に折り曲げ加工を施してから、加工部を倍率10倍のルーペで観察した。この試験を折り曲げ加工時のT数を変更して行い、加工部に不良(クラック)が認められない最小のT数で、加工性を評価した。
(2-3)鉛筆硬度試験
JIS K5600-5-4に準拠し、塗装金属板の被膜の鉛筆引っかき硬度を測定した。