JP2002332534A - マグネシウム合金成型体及びその表面処理方法 - Google Patents

マグネシウム合金成型体及びその表面処理方法

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JP2002332534A JP2001140000A JP2001140000A JP2002332534A JP 2002332534 A JP2002332534 A JP 2002332534A JP 2001140000 A JP2001140000 A JP 2001140000A JP 2001140000 A JP2001140000 A JP 2001140000A JP 2002332534 A JP2002332534 A JP 2002332534A
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Osamu Murakami
治 村上
Shigeto Maejima
成人 前島
Naoshi Yamada
直志 山田
Minoru Osaki
實 大崎
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 チクソモールド法にて所定の形状に成型さ
れ、耐食性に優れたMg合金成型体を実現する。 【解決手段】 Mg合金成形品の表面処理前に酸素濃度
5〜99%の酸化雰囲気下で温度100℃〜450℃の
範囲内で30分〜24時間の条件で加熱処理する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、マグネシウム合
金成型体及びその表面処理方法に関し、ことに携帯端末
の筐体や電子機器の導体として用いられるマグネシウム
合金成形体(以下Mg合金成型体とも言う)及びその表
面処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】マグネシウムは、比重が約1.74と実
用金属中最も小さく、その合金であるマグネシウム合金
(以下Mg合金ともいう)は携帯端末等のモバイル機器
の軽量化に適している。しかしながら、Mg合金は、軽
量である反面、表面活性であるために耐食性が低いとい
う問題、あるいは、弾性限度が低く伸びも小さいために
加工性が悪いという問題を有していた。従来は、かかる
問題に対し、チクソモールド法と呼ばれる、溶融状態の
Mg合金を高圧で所定の型に注入する射出成形法が開発
され、これにより加工性の問題は改善されている。しか
しながら、チクソモールド法により成型されたMg合金
成型体は、成形後に脱脂処理やバリ取りのための酸洗処
理が必要であり、かかる酸洗処理の結果、その表面に〜
10μm程度の凹凸を有するため、腐食性が高いという
問題がある。そのため、チクソモールド法により成型さ
れたMg合金成型体を携帯端末等の筐体に適用する場合
には、成型体表面に塗装を施したり表面化成処理膜のよ
うな耐食性保護膜を被覆することが行われているが、塗
装や表面化成処理膜の形成が粗い凹凸面上に施されてい
るため、はがれ等が生じ易く、意図する長期間の耐食性
が得られないという問題があった。
【0003】この問題に対し、Mg合金成型体の表面に
加熱により亜鉛を拡散させ、合金層を形成することによ
り耐食性を向上させる方法が提案されている。図9は、
特開2000−160320号公報に開示された、従来
のMg合金成型体の表面処理方法を示すものである。か
かるMg合金成型体の表面処理方法は、例えば、Alを
3重量%、Znを1重量%含むMg合金材料であるAZ
31(JIS H 4201 マグネシウム合金に規定)
の成型体に対し、S1において脱脂処理を行い、次にS
2で酸洗処理を行い、続いてS3で亜鉛置換処理を行
い、S4において純水で洗浄し、S5にて電気亜鉛メッ
キを施し、最後に、S6にて加熱処理を行い、Mg合金
成型体の表面に亜鉛を拡散させることにより合金層を形
成し耐食性の向上を図るものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】かかる合金層を形成す
る表面処理方法によれば、Mg合金成型体の耐食性の改
善がある程度図れるが、亜鉛置換処理、水洗、電気亜鉛
メッキ及びその後の加熱処理が必要で、工程が複雑化す
ることに加え、亜鉛メッキ液の使用時の管理および使用
後の処理にコストと手間がかかるという問題があった。
また、かかる表面処理によってMg合金成型体表面の凹
凸が改善されるわけではないため、表面処理後に塗装や
表面化成処理膜を形成しても、膜はがれの問題は解消せ
ず、やはり、耐食性に優れたMg合金成型体を提供する
ことは困難であった。
【0005】かかるMg合金成型体の耐食性向上の課題
に対し、本発明者らは、従来のMg合金成型体において
十分な耐食性が得られないのは、Mg合金成型体表面に
共晶組織(以下、β相もしくはβ相−マグネシウム合金
ともいう)が存在し、α相(以下、α相−マグネシウム
合金ともいう)とβ相とで脱脂処理に用いられるアルカ
リ溶液や酸洗処理に用いられる酸性溶液によるエッチン
グ速度に差が生じ、Mg合金成型体の表面が〜10μm
程度の凹凸を生じるためであることを見出した。そし
て、本発明者らはかかる知見に基づき、脱脂処理や酸洗
処理に先立って、酸化雰囲気下で、Mg合金成型体を、
Mg合金状態図の液相線にて規定される液相温度未満の
温度に加熱することにより固溶体化処理を行い、Mg合
金成型体表面に形成された共晶合金(α相+β相)をα
相化することにより、脱脂処理や酸洗処理におけるエッ
チングむらが著しく減少し、Mg合金成型体表面の凹凸
の発生が大幅に抑制される事実を見出した。そして、か
かるMg合金成型体表面に表面化成処理等の表面処理に
て〜数100nm程度の薄膜形成を行うだけで十分な耐
食性を得ることに成功し、電気亜鉛メッキのような環境
負荷の高い工程を用いた亜鉛合金層の形成を必要とする
ことなく、耐食性の高いMg合金成型体及びその表面処
理方法を実現する本願発明に到達したものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】この発明にかかるマグネ
シウム合金成型体は、表面層が平均結晶粒径10μm以
上のα相−マグネシウム合金で構成されたマグネシウム
合金材料と、マグネシウム合金材料の表面に形成された
耐食性の保護膜を備えたものである。
【0007】上記マグネシウム合金成型体は、固溶体化
処理にて簡易に得ることができ、通常、α相−マグネシ
ウム合金が、表面積の80%以上を専有しているものが
適しており、99%以上を専有しているものが好適であ
る。
【0008】また、上記マグネシウム合金材料は、通
常、Alを3重量%以上含んでいるものが加工性の点か
ら適しており、例えば、JIS H 4201 マグネシ
ウム合金に規定された、AZ31、AZ31B、AZ3
1C、AZ61、AZ63A、AZ80A、AZ81
A、AZ91、AZ91E、AZ92Aなどの合金材料
が挙げられる。
【0009】また、上記耐食性の保護膜としては、金属
表面に耐食性を付与できる種々の保護膜が適用可能であ
り、例えば、リン酸系(リン酸マンガンやリン酸カルシ
ウム、リン酸亜鉛、リン酸カリ)表面化成処理膜、シュ
ウ酸系表面化成処理膜及びクロム系表面化成処理膜が挙
げられ、耐食性の点でクロム系表面化成処理膜が好まし
い。とくに、Crを1重量%以上含んだものを用いるの
が好ましく、10重量%以上含んだものを用いる場合に
はさらに好適である。また、この膜厚は特に制限されな
いが、例えば、クロム系表面化成処理膜の場合は、1μ
m以下の薄膜で十分であり、このような薄膜の処理膜で
も、優れた耐食性を得ることができる。なお、このよう
な表面化成処理膜の代わりに、従来の塗料による塗膜、
陽極酸化処理膜及び耐食性金属のメッキ膜や蒸着膜など
を適用することも可能であり、表面化成処理膜を用いた
場合には、塗料による塗膜と併用するのも1つの好まし
い態様である。
【0010】この発明にかかるマグネシウム合金成型体
の表面処理方法は、所定の形状を有したマグネシウム合
金成型体を再結晶温度以上に加熱し、マグネシウム合金
成型体の共晶組織を固溶体化した後、マグネシウム合金
成型体の表面に耐食性の保護膜を形成するものである。
【0011】かかる処理方法においては、加熱の温度は
マグネシウム合金成型体の液相温度未満とするのが適し
ており、マグネシウム合金材料の組成にも依存するが、
例えば、100℃〜450℃の加熱温度が適用できる。
また、加熱時間は、少なくともマグネシウム合金成型体
の表面層が再結晶化されて、平均結晶粒径10μm以上
のα相−マグネシウム合金に変換されるのに十分な時間
が適用され、通常、0.5〜24時間の範囲で選択され
る。なお、酸化雰囲気下で加熱を行うことによりマグネ
シウム合金表面に均一な酸化膜が形成され、固溶体化が
安定に進行する点で好ましく、特に、酸素濃度が5〜9
9%の雰囲気で行うのが好適である。また、マグネシウ
ム合金表面への安定な酸化膜形成は期待できないが、S
ガスや窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気で固溶
体化処理を行うことも可能である。
【0012】また、かかる処理方法においては、マグネ
シウム合金成型体としては、前述したマグネシウム合金
材料にて構成されたものを適用することができる。
【0013】また、かかる処理方法においては、耐食性
の向上を目的とする保護膜としては、前述した耐食性の
保護膜を適用することができる。
【0014】また、かかる処理方法は、マグネシウム合
金成型体としてチクソモールド法にて射出成形されたマ
グネシウム合金成型体に適用することができ耐食性向上
の観点から効果を得ることができるが、マグネシウム合
金成型体としてはチクソモールド法にて成型されたもの
に限らず、ダイキャストなどの鋳造や、鍛造、プレス、
深絞り、曲げ加工などの加工法にて成型されたものに適
用することも可能で、同様の効果が得られる。さらに、
加熱は、脱脂処理及び酸洗処理に先立って行うのが適し
ている。
【0015】
【発明の実施の形態】実施の形態1 図1は、本発明にかかるMg合金成型体の表面処理方法
の処理手順の一例を示したものである。かかるMg合金
成型体の表面処理方法においては、Alが約9重量%、
Znが約1重量%、残部がMgから成るMg合金材料で
あるAZ91を基材として用いた。以下、図に従って説
明する。かかる表面処理方法においては、まず初めに、
AZ91をチクソモールド法にて所定の形状に成形し
(S11)、次に、成形されたAZ91に対し、バリ取
り等の機械加工を実施しMg合金成型体を形成する(S
12)。この後、酸素濃度30%の雰囲気に制御された
電気炉にて温度400℃で4時間、Mg合金成型体を加
熱し、室温まで除冷する(S13)。除冷したMg合金
成型体は、続く表面化成処理のために表面をアルコール
で脱脂し(S14)、その後、Mg合金に対するクロム
系の表面処理方法として知られるDow#1法により表
面処理を行う。Dow#1法は、JIS1996「金属
表面処理」において「MX1」として規定される表面処
理方法で、浴組成(重クロム酸ソーダ:67.5%硝酸
=1:2)、浴温(R.T.=室温)、浸績時間(0.
5〜1分)の各条件にて皮膜形成を行うものである。D
ow#1法による化成皮膜形成後、アルカリ溶液でスマ
ット(しみ、汚れ)除去を行う。その後オーブンにて6
0℃の温度で乾燥を行い、Mg合金成型体の表面にクロ
ム系皮膜を形成する。なお、バリ取り等の機械加工後、
Mg合金成型体表面に油分が付着している場合にはアル
コールやキシレンでMg合金成型体を脱脂しておくと、
電気炉を用いた熱処理時に油分の焼き付け等の問題がな
くなるためにより好ましい。
【0016】図2は上述した方法により表面皮膜を形成
した後のMg合金(AZ91)成型体表面の断面写真で
ある。本断面写真からMg合金成型体の表面状態が滑ら
かであることが分かる。また、このMg合金成型体の表
面を電子顕微鏡にて観察した結果を図3に示す。図3よ
り、結晶のサイズがほぼ10μm以上となっていること
及び表面が平滑になっていることが伺える。かかる表面
皮膜形成後のMg合金成型体に対し、48時間の塩水噴
霧試験(5%NaCl)を実施したところ、腐食はまっ
たく発生せず、かかるMg合金成型体は耐食性に優れて
いることが判明した。この実施の形態におけるMg合金
成型体の表面処理方法によれば、酸化雰囲気下における
加熱処理にてMg合金成型体の共晶組織を固溶体化する
ことで、モールド加工やバリ取り加工等の機械加工実施
後のMg合金成型体の表面に、平滑かつ耐食性に優れた
皮膜を形成することができ、任意の形状に加工後のMg
合金成型体に対し、重量増加を抑制しつつ耐食性を向上
させることができるという優れた効果を奏する。
【0017】図6は上述した表面皮膜形成後のMg合金
成型体表面の表面粗さを測定したデータである。本測定
の結果より、かかるMg合金成型体の表面粗さとして約
1.5μmの値が得られた(図8参照)。
【0018】実施の形態2 本発明にかかるMg合金成型体の表面処理方法の他の実
施の形態について説明する。かかる表面処理方法におい
ては、Mg合金材料としてAZ91を用い、バリ取り等
の機械加工までは実施の形態1と同様に実施する。その
後、電気炉を用いて、酸素濃度10%の雰囲気にて、温
度450℃で1時間加熱し、室温まで除冷する。続い
て、除冷後のMg合金成型体に実施の形態1と同様にし
てクロム系皮膜を形成する。かかるクロム系皮膜を形成
したMg合金成型体に対して、実施の形態1にて述べた
方法と同様にして、表面皮膜形成後にMg合金成型体表
面の表面粗さの測定および48時間の塩水噴霧試験(5
%NaCl)を実施した。その結果、かかるMg合金成
型体は表面粗さが0.8μmと表面の凹凸が小さく、か
つ耐食性にも優れているという結果が得られた(図8参
照)。
【0019】実施の形態3 本発明にかかるMg合金成型体の表面処理方法におけ
る、他の実施の形態について説明する。かかる表面処理
方法においては、実施の形態1、2と同じく、Mg合金
材料としてAZ91を用い、バリ取り等の機械加工まで
は実施の形態1と同様に実施する。その後、電気炉を用
いて、酸素濃度90%の雰囲気にて、温度150℃で2
4時間加熱した後、室温まで除冷する。続いて、冷却後
のMg合金成型体に対し、クロム系表面化成処理方法と
して知られるDow#20法(JIS1996「金属表
面処理」におけるMX8)によりクロム系皮膜を形成す
る。Dow#20法は、浴組成(重クロム酸ソーダ:重
弗化ソーダ:硫酸アルミ:67.5%硝酸=36:3:
2:17)、浴温(R.T.=室温)、浸績時間(0.
3〜10分)の各条件にて皮膜形成する表面処理方法で
ある。Dow#20法を用いて化成皮膜を形成した後、
アルカリ溶液でスマット除去を行い、60℃のオーブン
で乾燥しMg合金成型体の表面上にクロム系皮膜を形成
する。かかるクロム系皮膜を形成したMg合金成型体に
対して、実施の形態1にて述べた方法と同様にして、M
g合金成型体表面の表面粗さ測定および48時間の塩水
噴霧試験(5%NaCl)を実施した。その結果、かか
る表面処理方法により得られたMg合金成型体の表面粗
さは2.5μmと凹凸が小さく、かつ耐食性にも優れて
いることが分かる(図8参照)。
【0020】実施の形態4 本発明にかかるMg合金成型体の表面処理方法の、他の
実施の形態について説明する。かかる実施の形態におい
ては、Mg合金材料としてAlが約6重量%、Mnが約
1重量%、残部がMgから成るAM60を用いた。かか
る表面処理方法においては、まず初め、AM60をチク
ソモールド法で所定の形状に成形し、その後、ばり取り
等の機械加工を施しMg合金成型体を作成する。続い
て、酸素濃度30%の雰囲気で、電気炉を用いて温度4
50℃で1時間加熱した後、室温まで除冷する。この
後、前述のDow#20法を実施した後、アルカリ溶液
でMg合金成型体表面のスマット除去を行う。そして、
最後にオーブンを用いて60℃でMg合金成型体を乾燥
し、表面にクロム系皮膜を形成する。かかる表面処理方
法にて表面皮膜形成したMg合金成型体に対して、実施
の形態1と同様にして、表面粗さの測定および48時間
の塩水噴霧試験(5%NaCl)を実施した。かかる表
面処理方法により表面皮膜を形成したMg合金成型体の
表面粗さは約2.3μmと凹凸が小さく、かつ耐食性に
も優れていることが分かる(図8参照)。
【0021】実施の形態5 本発明にかかるMg合金成型体の表面処理方法の、他の
実施の形態について説明する。かかる実施の形態におい
ては、Mg合金材料としてAlが約6重量%、Mnが約
1重量%、残部がMgから成るAM60を用いた。かか
る表面処理方法においては、まず初め、AM60をチク
ソモールド法で所定の形状に成形し、その後、ばり取り
等の機械加工を施しMg合金成型体を作成する。続い
て、酸素濃度99%の雰囲気で、電気炉を用いて温度4
00℃で0.5時間加熱した後、室温まで除冷する。こ
の後、前述のDow#20法を実施した後、アルカリ溶
液でMg合金成型体表面のスマット除去を行う。そし
て、最後にオーブンを用いて60℃でMg合金成型体を
乾燥し、表面にクロム系皮膜を形成する。かかる表面処
理方法にて表面皮膜形成したMg合金成型体に対して、
実施の形態1と同様にして、表面粗さの測定および48
時間の塩水噴霧試験(5%NaCl)を実施した。かか
る表面処理方法により表面皮膜を形成したMg合金成型
体の表面粗さは約1.8μmと凹凸が小さく、かつ耐食
性にも優れていることが分かる(図8参照)。
【0022】実施の形態6 本発明にかかるMg合金成型体の表面処理方法の、他の
実施の形態について説明する。かかる実施の形態におい
ては、Mg合金材料としてAlが約9重量%、Znが約
1重量%、残部がMgから成るMg合金であるAZ91
を用いた。かかる表面処理方法においては、まず初め、
AZ91をチクソモールド法で所定の形状に成形し、そ
の後、ばり取り等の機械加工を施し、Mg合金成型体を
作成する。続いて、酸素濃度5%の雰囲気で、電気炉を
用いて温度450℃で24時間加熱した後、室温まで除
冷する。この後、前述のDow#1法を実施した後、ア
ルカリ溶液でMg合金成型体表面のスマット除去を行
う。そして、最後にオーブンを用いて60℃でMg合金
成型体を乾燥し、表面にクロム系皮膜を形成する。かか
る表面処理方法にて表面皮膜形成したMg合金成型体に
対して、実施の形態1と同様にして、表面粗さの測定お
よび48時間の塩水噴霧試験(5%NaCl)を実施し
た。かかる表面処理方法により表面皮膜を形成したMg
合金成型体の表面粗さは約1.3μmと凹凸が小さく、
かつ耐食性にも優れていることが分かる(図8参照)。
【0023】比較例1 本発明にかかる表面処理方法の効果を検討するために、
以下にて、表面処理前に熱処理を施さない従来のMg合
金成型体の表面処理方法を実施した場合のMg合金成型
体の表面粗さと耐食性の比較を行う。かかる従来の表面
処理方法においてはMg合金材料として前述のAZ91
を用い、まず初めに、チクソモールド法により所定の形
状に成形した後、ばり取り等の機械加工を施しMg合金
成型体を作成した。その後、表面化成処理として上述の
DOW#1法を行い、アルカリ溶液でスマット除去を行
った上で、60℃のオーブンで乾燥しMg合金成型体の
表面にクロム系皮膜を形成した。図4に、かかる表面処
理方法における皮膜形成後のMg合金成型体表面の断面
写真を示す。図2に示した実施の形態1で得られたMg
合金成型体の表面と比較して凹凸が大きいことが分か
る。かかる方法にて得られたMg合金成型体の表面を電
子顕微鏡にて観察した結果を図5に示す。図より、かか
る比較例にて得られたMg合金成型体の表面にはα相と
β相が混在し、表面が凹凸状態になっていることが分か
る。かかるMg合金成型体に対し実施の形態1に述べた
方法にて塩水噴霧試験(5%NaCl)を実施したとこ
ろ、試験開始後8時間で錆が発生した(図8参照)。
【0024】図8は上述した実施の形態1から6および
比較例1の各実験条件と、各々の実験において得られた
Mg合金成型体の表面粗さおよび耐食性のデータをまと
めたものである。かかる図より、本発明にかかるMg合
金成型体の表面処理方法を用いた場合は表面皮膜形成後
の表面粗さが0.8μmから2.5μmと小さく、かつ
48時間の塩水噴霧試験(5%NaCl)によっても腐
食が認められず、良好な耐食性が得られていることが分
かる。一方、比較例1に示された従来のMg合金成型体
の表面処理方法を用いた場合は、表面皮膜形成後の表面
粗さが8.5μmと大きく、また、塩水噴霧試験(5%
NaCl)においても、試験開始後8時間で腐食が発生
し、十分な耐食性が得られないことが分かる。以上、本
発明にかかるMg合金成型体の表面処理方法が従来の表
面処理方法に比べ、Mg合金成型体の表面平滑性及び耐
食性において格段の効果を有していることが分かる。
【0025】
【発明の効果】上述したように、本発明にかかるMg合
金成型体によれば、少なくとも表面層が10μm以上の
平均結晶粒径を有するα相−マグネシウム合金層で構成
され、表面に耐食性の保護膜を備えているため、高耐食
性が実現される。また、表面状態が均一かつ平滑である
ため放熱特性に優れた筐体等を形成することができる。
また、表面状態が均一かつ平滑であるため保護膜が薄膜
であっても十分な耐食性が得られ、かかる場合にはMg
合金成型体として高い導電性が得られ、導体としての利
用が可能となる。さらに、表面状態が均一かつ平滑であ
るため、塗装後の表面状態が平滑になり、軽量かつ意匠
性に優れた筐体等が得られる。
【0026】また、本発明にかかるMg合金成型体にお
いて、α相−マグネシウム合金が、表面積の80%以
上、好ましくは99%以上を専有する場合には、脱脂処
理や酸洗処理におけるエッチングむらが無くなり、表面
の凹凸の発生が抑制されたMg合金成型体が実現され、
表面に化成処理等にて形成された〜数100nm程度の
薄膜のみでも高い耐食性が得られる。
【0027】また、本発明にかかるMg合金成型体にお
いて、Mg合金材料がAlを3重量%以上含んでなるM
g合金材料にて構成された場合、加工性に優れ、かつ、
耐食性の高いMg合金成型体が得られる。
【0028】また、本発明にかかるMg合金成型体によ
れば、Mg合金表面の凹凸の発生が抑制されているた
め、Mg合金材料表面に化成処理にて形成される薄い保
護膜を形成した場合であっても、高い耐食性が得られ、
また、Crを1重量%以上含んだCr系の膜の場合、膜
が緻密であるため好適である。また、これらの保護膜
は、前述の如く、Mg合金表面の凹凸の発生が抑制され
ているため、〜数100nm程度の厚みであっても高い
耐食性が得られる。
【0029】本発明にかかるMg合金成型体の表面処理
方法によれば、所定の形状に成型されたMg合金成型体
を再結晶温度以上に加熱し、Mg合金成型体の共晶組織
を固溶体化した後、Mg合金成型体の表面に保護膜を形
成することにより、Mg合金成型体表面が平滑になり、
高耐食性の皮膜形成が可能となる。
【0030】また、本発明にかかるMg合金成型体の表
面処理方法によれば、Mg合金成型体の液相温度未満、
例えば、100℃〜450℃の温度で加熱した場合、M
g合金成型体の共晶組織を固溶体化した後、Mg合金成
型体の表面に保護膜を形成することにより、表面が平滑
なMg合金成型体に保護膜を形成することができ、高耐
食性の皮膜形成が可能となる。また、加熱時間は、例え
ば、0.5時間から24時間加熱した場合には、Mg合
金成型体の表面層が再結晶化されて、平均結晶粒径10
μm以上のα相−マグネシウム合金に変換されるのに必
要な時間が確保できる。さらに、例えば、酸素濃度が5
%〜99%の酸化雰囲気で加熱を実施した場合には、M
g合金表面に均一な酸化膜が形成され、固溶体化が安定
に進行する。
【0031】本発明にかかるMg合金成型体の表面処理
方法によれば、Alを3重量%以上含んでなるMg合金
材料に保護膜を形成した場合には、加工性に優れたMg
合金成型体の耐食性向上が図れる。
【0032】本発明にかかるMg合金成型体の表面処理
方法によれば、Mg合金成型体の表面の凹凸の発生が抑
制されるため、化成処理にて形成された、Crを1重量
%以上含む〜数100nm程度の厚みを有する耐食性の
保護膜を形成した場合においてもMg合金成型体に対し
高い耐食性が得られる。
【0033】本発明にかかるMg合金成型体の表面処理
方法によれば、チクソモールド法にて射出成形されたM
g合金成型体に適用した場合には、脱脂処理や酸洗処理
によって生じうる表面凹凸の発生を抑制することがで
き、任意の形状に成型されたMg合金成型体の耐食性を
向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明にかかるMg合金成型体の表面処理方
法の処理手順を示す図である。
【図2】 本発明にかかるMg合金成型体の表面処理後
のMg合金成型体表面の断面写真である。
【図3】 本発明にかかるMg合金成型体の表面処理後
のMg合金成型体表面の電子顕微鏡写真である。
【図4】 従来のMg合金成型体の表面処理後のMg合
金成型体表面の断面写真である。
【図5】 従来のMg合金成型体の表面処理後のMg合
金成型体表面の電子顕微鏡写真である。
【図6】 本発明にかかるMg合金成型体の表面処理後
のMg合金成型体の表面粗さデータである。
【図7】 従来のMg合金成型体の表面処理後のMg合
金成型体の表面粗さデータである。
【図8】 各種表面処理により作成されたMg合金成型
体の耐食性と表面粗さについてまとめたものである。
【図9】 従来のMg合金成型体の表面処理方法の処理
手順を示す図である。
【符号の説明】
S1 脱脂工程、S2 酸洗工程、S3 亜鉛置換処理
工程、S4 水洗工程、S5 電気亜鉛メッキ工程、S
6 加熱処理工程、S11 成形工程、S12 機械加
工等の後加工工程、S13 熱処理工程、S14 脱脂
工程、S15 化成処理工程、S16 スマット除去工
程、S17 乾燥工程
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C22F 1/00 674 C22F 1/00 674 691 691B 691C 1/02 1/02 (72)発明者 山田 直志 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内 (72)発明者 大崎 實 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面層が平均結晶粒径10μm以上のα
    相−マグネシウム合金で構成されたマグネシウム合金材
    料と、当該マグネシウム合金材料の表面に形成された耐
    食性の保護膜を備えてなるマグネシウム合金成型体。
  2. 【請求項2】 前記α相−マグネシウム合金が、表面積
    の80%以上を専有してなる請求項1に記載のマグネシ
    ウム合金成型体。
  3. 【請求項3】 前記α相−マグネシウム合金が、表面積
    の99%以上を専有してなる請求項1に記載のマグネシ
    ウム合金成型体。
  4. 【請求項4】 前記マグネシウム合金材料が、Alを3
    重量%以上含んでなるマグネシウム合金材料である請求
    項1から3のいずれかに記載のマグネシウム合金成型
    体。
  5. 【請求項5】 前記保護膜はCrを1重量%以上含んで
    なる請求項1から4のいずれかに記載のマグネシウム合
    金成型体。
  6. 【請求項6】 前記保護膜は厚みが1μm以下に形成さ
    れてなる請求項1から5のいずれかに記載のマグネシウ
    ム合金成型体。
  7. 【請求項7】 所定の形状を有したマグネシウム合金成
    型体を再結晶温度以上に加熱し、当該マグネシウム合金
    成型体の共晶組織を固溶体化した後、前記マグネシウム
    合金成型体の表面に耐食性の保護膜を形成してなるマグ
    ネシウム合金成型体の表面処理方法。
  8. 【請求項8】 前記加熱は、前記合金成型体の液相温度
    未満で行われる請求項7に記載のマグネシウム合金成型
    体の表面処理方法。
  9. 【請求項9】 前記加熱は、100℃〜450℃の温度
    で行われる請求項7に記載のマグネシウム合金成型体の
    表面処理方法。
  10. 【請求項10】 前記加熱は、0.5時間から24時間
    で行われる請求項7から9のいずれかに記載のマグネシ
    ウム合金成型体の表面処理方法。
  11. 【請求項11】 前記加熱は、酸素濃度が5%〜99%
    の酸化雰囲気下で行われる請求項7から10のいずれか
    に記載のマグネシウム合金成型体の表面処理方法。
  12. 【請求項12】 前記マグネシウム合金成型体は、Al
    を3重量%以上含んだマグネシウム合金材料にて構成さ
    れてなる請求項7から11のいずれかに記載のマグネシ
    ウム合金成型体の表面処理方法。
  13. 【請求項13】 前記保護膜の形成は表面化成処理にて
    行われてなる請求項7から12のいずれかに記載のマグ
    ネシウム合金成型体の表面処理方法。
  14. 【請求項14】 前記保護膜はCrを1重量%以上含ん
    でなる請求項7から13のいずれかに記載のマグネシウ
    ム合金成型体の表面処理方法。
  15. 【請求項15】 前記保護膜は厚みが1μm以下である
    ことを特徴とする請求項7から14のいずれかに記載の
    マグネシウム合金成型体の表面処理方法。
  16. 【請求項16】 前記マグネシウム合金成型体は、チク
    ソモールド法にて射出されたものである請求項7から1
    5のいずれかに記載のマグネシウム合金成型体の表面処
    理方法。
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