以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、以下に説明する幾つかの実施形態において互いに共通する部材については同一符号を付しており、それらについて繰り返しとなる説明は省略する。
(第1の実施の形態)
図1は、画像読取機能を備えた画像処理装置1の外観構成の一例を示す斜視図である。この画像処理装置1は、いわゆる複合機やMFPなどと称される装置であり、コピー機能、FAX機能、プリンタ機能、スキャナ機能など、複数の機能を備えている。画像処理装置1は、LANなどのネットワークに接続可能であり、また電話回線などの通信網にも接続可能である。そして原稿から読み取った画像データをネットワーク経由で他のコンピュータに出力したり、或いはネットワーク経由で他のコンピュータから画像データを入力し、その画像データに基づいてプリント出力を行うことができるようになっている。また通信網を介してFAXデータの送受信も行うことができる構成となっている。
この画像処理装置1は、装置本体1aの上部にスキャナ部2と自動原稿搬送装置(いわゆるADF)3から成る画像読取装置4を備えている。画像読取装置4は、自動原稿搬送装置3とスキャナ部2とを同期して動作させることにより、自動原稿搬送装置3にセットされた原稿から1枚ずつ画像を読み取って画像データを出力するように構成されている。より具体的には、自動原稿搬送装置3は、原稿を1枚ずつスキャナ部2に向けて搬送するように構成されており、スキャナ部2はその原稿が所定の読取位置を通過する際に画像読み取り行って画像データを生成するように構成されている。
画像処理装置1の装置本体1aの下部内部には給紙部6が設けられており、さらにその上部には画像形成部5が設けられている。給紙部6は画像形成媒体となる用紙を収容し、画像形成部5に対してその用紙を1枚ずつ供給する。画像形成部5は、入力する画像データに基づいて画像形成を行う画像形成手段であり、入力する画像データに基づいて給紙部6から供給される用紙に対して画像形成を行い、プリント出力を行うように構成されている。例えばコピー機能の場合には、画像形成部5が画像読取装置4から入力する画像データに基づいて画像形成を行うことにより、画像処理装置1は、読み取った原稿のコピー出力を行う。
画像処理装置1の装置本体1aの正面側(前面側)には、ユーザが操作可能な操作パネル10が設けられている。ユーザはこの操作パネル10を操作することにより、画像処理装置1の複数の機能のうちから使用する機能を選択し、その選択した機能に関する各種の設定操作を行うと共に、画像処理装置1に対してジョブの実行を指示することができるようになっている。
図2は、画像読取装置4の全体的な内部構成を示す概略図である。自動原稿搬送装置3は、原稿9を積載する給紙トレイ31を備えており、この給紙トレイ31にセットされた原稿9を装置内部に設けられた搬送機構が1枚ずつ取り出して搬送するように構成されている。自動原稿搬送装置3は原稿を1枚ずつ搬送する搬送機構として、ピックアップローラ32と、複数の搬送ローラ33,36とを備えている。ピックアップローラ32は、給紙トレイ31に積載された原稿9のうち最上面の原稿のみを取り出し、搬送ローラ33に供給する。ピックアップローラ32は、複数枚の原稿9の連続給紙を行う場合、先行する原稿を供給してから次の原稿を給紙するまでの原稿間隔が、例えばユーザが指定する原稿読み取りモードに応じて決定される原稿間隔となるように給紙する。
搬送ローラ33はピックアップローラ32によって給紙される原稿を第1の搬送路34に沿って搬送し、スキャナ部2の読取ガラス21に対応して設けられた原稿読取部35に搬送する。原稿読取部35に搬送された原稿は、読取ガラス21における所定の読取位置を通過する際にスキャナ部2によってその画像が読み取られる。そして原稿読取部35を通過した原稿は搬送ローラ36によって第2の搬送路37を搬送され、排出口38を介して原稿排出部39に排出される。尚、自動原稿搬送装置3には、上述した搬送路34、37の他、両面原稿の場合に原稿を反転させるための搬送路が別途設けられるが、それについては図示を省略している。
スキャナ部2は、その上面に原稿を読み取るために設けられた透明の読取ガラス21を備えている。そしてスキャナ部2の内部には、所定の読取位置を通過する原稿を露光するための露光装置22が設けられており、この露光装置22によって露光された原稿からの反射光は、読取ガラス21を介してスキャナ部2の内部に導かれ、複数のミラー23及びレンズ24を通ってCCDなどの画像読取部25に結像される。画像読取部25は、例えば入射するR,G,Bの各色成分の光量に応じた画像信号を生成するように構成されており、その画像信号を画像処理部26に出力する。そして画像処理部26は、画像読取部25から入力する画像信号をA/D変換すると共に、各種の画像処理を施して画像データを生成する。この画像処理に要する時間は、原稿の読み取りモードなどに応じて変化し、例えば原稿種類(カラー原稿/モノクロ原稿など)や原稿サイズなどが異なれば処理時間も異なる。
そして本実施形態では、自動原稿搬送装置3において読取ガラス21の上にガラス面清掃機構40が設けられている。ガラス面清掃機構40は、原稿9の連続搬送が行われる際、先行する原稿が画像読取部35を通過してから、その次の原稿が画像読取部35に搬送されてくるまでの間に、読取ガラス21の上面に付着する紙粉などの異物を除去するように構成されている。
図3は、ガラス面清掃機構40が設けられた部分の構成を示す拡大図である。自動原稿搬送装置3によって搬送される原稿は読取ガラス21の上面を搬送方向Fに沿って搬送され、その原稿が読取位置20の直上を通過する際、スキャナ部2で画像の読み取りが行われる。そしてガラス面清掃機構40は、このような原稿搬送路の上に設けられている。
ガラス面清掃機構40は、モータM4によって動作する清掃部材41を備えている。この清掃部材41は、回転軸42aに対して回転可能に支持された略円柱状のローラ部材42を有し、そのローラ部材42の周方向の一部に清掃ブラシ43が植設された構成となっている。またローラ部材42において清掃ブラシ43が植設されていない部分の周面は、白色のローラ面となっている。さらに清掃ブラシ43の長さは、清掃部材41が回転したとき、読取ガラス21の上面を清掃可能な長さである。
このような清掃部材41は、例えば図3に示すように清掃ブラシ43を上に向けた状態をホームポジション(待機位置)としており、読取ガラス21の上面を原稿が通過中のときはこのホームポジションで待機する。尚、清掃部材41の上方には、清掃部材41がホームポジションであることを検知する検知センサ45が設けられている。そして先行する原稿が読取ガラス21の上面を通過してから次の原稿が読取ガラス21の上面に搬送されてくるまでの間に、清掃部材41はモータM4によって所定のタイミングで駆動され、R1方向に回転する。これにより、清掃ブラシ43が読取ガラス21の上面に接触した状態で紙粉などの異物を掃き取り、読取位置20から異物を除去することができる。ここで清掃部材41の回転方向R1は、清掃ブラシ43による清掃方向が原稿の搬送方向Fと同じ方向になるように設定されている。そのため、清掃部材41は、読取ガラス21の上面に付着している異物を搬送方向Fの下流側に向けて除去するようになっている。
読取ガラス21の読取位置20から除去される異物は、一部が読取位置20の下流側に掃き出され、他の一部が清掃ブラシ43に付着する。本実施形態では、清掃ブラシ43に付着した異物を取り除くため、清掃部材41の回転方向R1の下流側において、回転する清掃部材41の清掃ブラシ43と接触することが可能な位置に、異物掻取部材44が設けられている。この異物掻取部材44は例えば平板状又はブレード状の部材によって構成され、回転動作中の清掃ブラシ43と接触することにより、読取ガラス21の上面を清掃して異物を付着させた清掃ブラシ43から異物を掻き落とす。これにより、清掃ブラシ43を異物が付着していない綺麗な状態に戻すことができる。異物掻取部材44によって清掃ブラシ43から掻き取られた異物は、異物掻取部材44の下方に自然落下し、搬送方向Fにおいて読取位置20よりも下流側で読取ガラス21の上面に堆積する。
上記のように清掃部材41は回転方向R1に1回転すれば、読取ガラス21の上面に付着した異物を清掃ブラシ43が掃き取って読取位置20から除去する清掃動作が1回行われると共に、その清掃動作中に清掃ブラシ43に付着した異物も取り除くことができるようになっている。
次に、画像読取装置4の制御機構について説明する。図4は、画像処理装置1において特に画像読取装置4を制御するための制御機構を示すブロック図である。画像処理装置1にはメイン制御部10が設けられており、このメイン制御部10がスキャナ部2及び自動原稿搬送装置3を統括的に制御するようになっている。例えばユーザが操作パネル7に対して原稿の読み取り開始を指示した場合、メイン制御部10は、操作パネル7から入力する読み取り開始指示に応答して、自動原稿搬送装置3のADF制御部11及びスキャナ部2のスキャナ制御部12に対して原稿の読み取り動作を開始させるコマンドを出力する。このとき、ユーザによって原稿の読み取りモードや原稿のサイズなどが指定されている場合には、メイン制御部10は、自動原稿搬送装置3のADF制御部11及びスキャナ部2のスキャナ制御部12に対してそれらの情報を付加して出力する。
ADF制御部11とスキャナ制御部12は互いに通信可能なように接続されており、原稿の読み取りモードに関する情報やサイズ情報などの他、原稿から画像を読み取るためのタイミング情報などを互いにやりとりしながら各部を制御することで、自動原稿搬送装置3とスキャナ部2とが同期した動作を行えるようになっている。
ADF制御部11は、CPU11aとメモリ11bとを備えた構成であり、CPU11aが所定のプログラムに基づいた処理を実行することにより、自動原稿搬送装置3に設けられた各部を動作制御する制御手段として機能する。より具体的に説明すると、ADF制御部11は、上述した搬送機構を駆動するための原稿搬送駆動部13を制御すると共に、ガラス面清掃機構40を制御する。
原稿搬送駆動部13は、複数のモータ駆動部13a,13b,13cと、これら複数のモータ駆動部13a,13b,13cのそれぞれによって駆動されるモータM1,M2,M3とを備えている。モータM1,M2,M3はいずれも位置制御が行い易いパルスモータが使用されており、モータ駆動部13a,13b,13cは、ADF制御部11から出力される励磁信号(パルス信号)に応じてモータM1,M2,M3を駆動し、上述したピックアップローラ32、搬送ローラ33及び搬送ローラ36を回転させる。そしてADF制御部11は、原稿の読み取りモードや原稿サイズなどに応じて原稿の搬送速度や原稿間隔を変更し、さらにスキャナ制御部12とのデータ通信により画像読み取り動作と同期するように原稿の搬送動作を制御する。
ガラス面清掃機構40は、上述した清掃部材41を駆動するための構成として、モータ駆動部47とモータM4とを備えると共に、清掃部材41がホームポジションにあるときにオンする検知センサ45を備えている。モータM4は上記と同様に位置制御が行い易いパルスモータが使用されており、モータ駆動部47はADF制御部11から出力される励磁信号(パルス信号)に応じてモータ4を回転駆動し、清掃部材41を回転方向R1に回転駆動させる。そのため、ADF制御部11は、モータ駆動部47に出力したパルス数をカウントすることにより、清掃部材41がホームポジションから回転した回転量(回転位置)を把握することができるようになっている。
またスキャナ制御部12は、CPU12aとメモリ12bとを備えた構成であり、CPU12aが所定のプログラムに基づいた処理を実行することにより、スキャナ部2に設けられた各部の動作を制御する。すなわち、スキャナ制御部12は、自動原稿搬送装置3における原稿の搬送動作と同期して画像の読み取り動作を行うように、露光装置22、画像読取部25及び画像処理部26の各部を制御する。
次に、上記のような制御機構によって制御されるガラス面清掃機構40の具体的な動作について説明する。図5及び図6は、ガラス面清掃機構40による清掃動作の流れを示す図である。まず、図5(A)に示すように読取ガラス21の上面を先行する原稿9aが通過しているとき、清掃部材41はホームポジションで待機状態となっており、清掃ブラシ43は原稿の搬送路から退避している。また図5(A)では読取ガラス21の上面に紙粉などの異物Gが付着している場合を示している。そして先行する原稿9aの後端が搬送路内の所定位置を通過すると、図5(B)に示すように清掃部材41が駆動され、回転方向R1への回転動作が開始される。そして先行する原稿9aの後端が読取ガラス21の上面を下流側に搬送されていくと、図5(C)に示すように清掃部材41はその清掃ブラシ43を読取ガラス21の上面に接触させ、読取ガラス21の清掃を開始する。そして清掃ブラシ43は、先行する原稿9aの後端を追いかけるように読取ガラス21の上面を掃いていくことで、読取ガラス21の読取位置20の上面の異物を除去していく。このとき、除去される異物Gの一部が清掃ブラシ43に付着する。
清掃部材41がさらに回転して清掃ブラシ43が読取ガラス21から離れると、次に図6(A)に示すように清掃ブラシ43が異物掻取部材44と接触する。異物掻取部材44は、回転中の清掃ブラシ43と接触することにより、清掃ブラシ43に付着した異物Gを掻き取り、清掃ブラシ43から取り除く。その後、清掃部材41は検知センサ49によって検知されるホームポジションまで回転すると停止し、図6(B)に示すように異物掻取部材44が掻き取った異物Gは、搬送路内の読取位置20の下流側に堆積する。そしてこの異物Gは次の原稿9bが搬送されることに伴い、原稿9bに付着して自動原稿搬送装置3の外部に排出される。
このようなガラス面清掃機構40による清掃動作は、先行する原稿9aと次の原稿9bとの原稿間隔の間で行われるため、清掃部材41の回転速度は、その原稿間隔の間で清掃動作が完了するように設定される。図7は、原稿の間隔ΔTと、清掃部材41の回転速度(清掃動作の速度)との関係を示す図である。図例では、先行する原稿9aの先端が時刻T0に読取位置20に到達して画像読み取りが開始されると共に、その原稿9aの後端が時刻T1に読取位置20を通過し、画像読み取りが終了する。そして次の原稿9bの先端が時刻T2に読取位置20に到達して画像読み取りが開始される。この場合、時刻T2とT1の間の原稿間隔ΔTで、清掃部材41による1回の清掃動作を完了させる必要があり、清掃部材41の回転速度はVsに設定される。
一方、上述したように原稿の読み取りモードに応じてスキャナ部2における画像読み取りに要する処理時間が異なる。例えば、カラー原稿を読み取る場合は、モノクロ原稿を読み取る場合に比べて処理時間が長くなる。また原稿サイズが同一サイズに統一されているのではなく、例えばA4サイズの原稿とB4サイズの原稿が混在しているような場合には、画像読み取りに要する処理時間が原稿ごとに異なった時間となる。そのため、上述したADF制御部11は、原稿の読み取りモードに応じて原稿間隔ΔTを可能な範囲で短く設定する。例えば、原稿サイズがA4サイズなどで統一されており、しかも原稿がモノクロ原稿であることなどが指定されているような場合には、原稿間隔ΔTは最も短くなる。
このように原稿間隔ΔTが原稿の読み取りモードに応じて変化すると、清掃部材41の回転速度Vsも、それに応じて変化させる必要がある。そのため本実施形態では、原稿間隔ΔTに応じて清掃部材41の回転速度Vsを決定する。図8は、清掃部材41の回転速度Vsの設定値の一例を示す図である。図8(A)は原稿間隔ΔTが所定値Δt1以下の場合、清掃部材41の回転速度VsがV1に設定されることを示しており、図8(B)は原稿間隔ΔTが所定値Δt1よりも大きく所定値Δt2以下の場合、清掃部材41の回転速度VsがV2に設定されることを示しており、図8(C)は原稿間隔ΔTが所定値Δt2よりも大きい場合、清掃部材41の回転速度VsがV3に設定されることを示している。尚、所定値Δt1,Δt2の関係はΔt1<Δt2となっており、回転速度V1,V2,V3の関係はV1>V2>V3となっている。
図8に示すように原稿間隔ΔTが小さく、所定値Δt1以下となる場合には、その小さい原稿間隔ΔTの間で清掃動作を完了させるべく、清掃部材41の回転速度Vsは最も高速のV1に設定される。また原稿間隔ΔTが所定値Δt1よりも大きく所定値Δt2以下となる場合には、その原稿間隔ΔTの間で清掃動作を完了させるべく、清掃部材41の回転速度Vsは、V1よりも低速であるが、V3よりも高速のV2に設定される。さらに原稿間隔ΔTが所定値Δt2よりも大きくなる場合には、清掃部材41の回転速度Vsは最も低速のV3に設定される。尚、図8では、原稿間隔ΔTに応じて清掃部材41の回転速度Vsを3段階で調整する場合を例示しているが、この段階は3段階に限られるものではなく、例えば4段階以上としても良い。
ところで、清掃部材41の回転速度Vsを所定速度Vh以上の高速に設定すると、それに伴って清掃ブラシ43が異物掻取部材44に接触する際の衝撃が限界値を超えて大きくなるため、清掃ブラシ43に付着した異物Gはその衝撃が作用した瞬間に周囲に飛散する。図8の場合、原稿間隔ΔTが所定値Δt2以下で清掃部材41の回転速度VsをV1又はV2に設定すると、その回転速度Vsは、清掃ブラシ43を異物掻取部材44に接触させたときに異物Gを周囲に飛散させない所定速度(上限速度)Vhを超えた速度となっている。
そこで本実施形態ではADF制御部11が、清掃部材41の回転速度Vsを所定速度Vhよりも高速のV1又はV2に設定して行う清掃動作の制御と、所定速度Vhよりも低速のV3に設定して行う清掃動作の制御とを異なる制御としている。図9は、ADF制御部11による清掃部材41の清掃動作の制御方法を示す図であり、図9(A)は清掃部材41の回転速度Vsを所定速度Vhよりも高速のV1又はV2に設定して清掃動作を行う場合の制御方法を、図9(B)は清掃部材41の回転速度Vsを所定速度Vhよりも低速のV3に設定して清掃動作を行う場合の制御方法を示している。
まず、図9(A)に示す制御方法について説明する。清掃部材41の回転速度Vsを所定速度Vhよりも高速のV1又はV2に設定して清掃動作を行う場合、ADF制御部11は、先行する原稿9aが読取ガラス21を通過するタイミングT1に合わせて、モータ駆動部47に励磁信号(パルス信号)を出力し、モータM4を駆動させると共に、清掃部材41の回転を開始させる。これと同時に、ADF制御部11は、モータM4を駆動するために出力したパルス数のカウント動作を開始し、パルスカウント値を更新していく。清掃部材41は、その回転速度VsがV1又はV2に到達すれば、その速度を維持するように制御される。そしてパルスカウント値が予め定められたカウント値Caになれば、ADF制御部11は、清掃部材41の回転速度が所定速度Vh以下となるようにモータM4の減速を開始する。ここでカウント値Caは、回転速度VsがV1である場合とV2である場合のそれぞれに対応して予め定められており、モータM4の減速を開始してから清掃部材41の回転速度が所定速度Vh以下となったときに清掃ブラシ43を異物掻取部材44に接触させることができるタイミングを規定している。つまり、図9(A)において清掃部材41の回転速度がVhとなったタイミングTaが、清掃ブラシ43と異物掻取部材44との接触するタイミングである。そのため、パルスカウント値がCaとなった時点でモータM4の減速を開始することにより、清掃ブラシ43が異物掻取部材44に接触するときには、清掃ブラシ43の回転速度を所定速度Vh以下に低下させておくことができる。
そしてADF制御部11は、パルスカウント値が予め定められたカウント値Cbになるまで清掃部材41の回転速度を所定速度Vh(若しくはVh以下)で維持する。そしてパルスカウント値が予め定められたカウント値Cbになれば、ADF制御部11は、清掃部材41の回転速度が再びVs(V1又はV2)となるようにモータM4の加速を開始する。ここでカウント値Cbは、回転速度VsがV1である場合とV2である場合のそれぞれに対応して予め定められており、清掃ブラシ43が異物掻取部材44から離れるタイミングを規定している。つまり、図9(A)において清掃部材41の回転速度がVhから加速されるタイミングTbが、清掃ブラシ43と異物掻取部材44が互いに離れた状態となるタイミングである。その後、清掃部材41は再び回転速度Vsまで加速され、検知センサ45によってホームポジションに到達したことが検知されると、モータM4は停止し、清掃部材41も停止する。
このように清掃部材41の回転速度Vsを所定速度Vhよりも高速のV1又はV2に設定して清掃動作を行う場合、ADF制御部11は、モータM4を駆動するためのパルス数をカウントすることで清掃ブラシ43の位置を把握しながら清掃動作を制御しており、清掃ブラシ43が異物掻取部材44に接触するタイミングでは、清掃部材41の回転速度が所定速度Vh以下となるように減速制御を行う。そしてその減速状態のままで清掃ブラシ43が異物掻取部材44を通過するようにしているので、清掃ブラシ43に付着した異物Gの周囲への飛散を防止できる。そして異物掻取部材44は、清掃ブラシ43に付着した異物Gを正常に掻き取って、その下方に落下させることができるようになる。
次に、図9(B)の制御方法について説明する。清掃部材41の回転速度Vsを所定速度Vhよりも低速のV3に設定して清掃動作を行う場合、ADF制御部11は上記のような減速制御を行う必要はない。そのため、ADF制御部11は、先行する原稿9aが読取ガラス21を通過するタイミングT1に合わせて、モータ駆動部47に励磁信号(パルス信号)を出力し、モータM4を駆動させると共に、清掃部材41の回転を開始させる。そして清掃部材41の回転速度VsがV3に到達すれば、その速度を維持するように制御し、その後、検知センサ45によってホームポジションに到達したことが検知されると、清掃部材41を停止させる。この場合、清掃部材41の回転速度が所定速度Vh以下で維持されるので、清掃ブラシ43に付着した異物Gが周囲に飛散することはなく、異物掻取部材44が清掃ブラシ43に付着した異物Gを掻き取ってその下方に落下させる。
次に、ADF制御部11の処理シーケンスについて説明する。図10は、ADF制御部11が清掃部材41の回転速度Vsを設定するための処理手順を示すフローチャートである。この処理は、ユーザによって読み取りモードなどが指定されたことにより、原稿9を連続搬送するときの原稿間隔ΔTが決定されたことに応答して行われる処理であり、例えば自動原稿搬送装置3において原稿搬送を開始する前に1回実行される。
この処理においてADF制御部11は、まず、読み取りモードに応じて決定された原稿間隔ΔTが所定値Δt1以下であるか否かを判断する(ステップS10)。ここで原稿間隔ΔTが所定値Δt1以下である場合はステップS11に進み、ADF制御部11は回転速度Vsを最も高速である速度V1(図8参照)に設定する。そして設定処理を終了する。一方、原稿間隔ΔTが所定値Δt1以下でない場合はステップS12に進む。
そしてADF制御部11は、原稿間隔ΔTが所定値Δt2以下であるか否かを判断する(ステップS12)。ここで原稿間隔ΔTが所定値Δt2以下である場合はステップS13に進み、ADF制御部11は回転速度Vsを中速である速度V2(図8参照)に設定する。そして設定処理を終了する。一方、原稿間隔ΔTが所定値Δt2以下でもなかった場合はステップS14に進み、ADF制御部11は回転速度Vsを最も低速である速度V3(図8参照)に設定する。そして設定処理を終了する。
以上のような処理で清掃部材41の回転速度Vsが設定されると、自動原稿搬送装置3において原稿9の搬送動作が開始される。そして先行する原稿とその次の原稿との間で、上記処理により設定された回転速度Vsに基づいて清掃部材41が駆動され、読取ガラス21の上面を清掃する動作が行われる。
図11は、ADF制御部11が清掃部材41の減速制御を行うための処理手順を示すフローチャートである。この処理は、自動原稿搬送装置3において原稿9の搬送動作が開始されると、ADF制御部11によって一定時間(例えば数ミリ秒)ごとに繰り返し実行される処理であり、清掃動作中においても繰り返し実行される処理である。またこの処理とは別の処理により、先行する原稿とその次の原稿との間で、清掃部材41を回転速度Vsで駆動する処理が実行されているものとする。図11に示すように、原稿9の搬送動作中にこの処理が開始されると、ADF制御部11は、まず清掃部材41が動作中であるか否かを判断する(ステップS20)。ここで清掃部材41が動作していない場合(NOの場合)には、清掃動作中でないため、この処理を終了する。これに対し、清掃部材41が動作中である場合(YESの場合)には、ステップS21に進む。
清掃部材41が清掃動作中である場合、ADF制御部11は、清掃部材41の減速制御の必要性を判断すべく、清掃部材41の回転速度Vsの設定値が所定速度Vhよりも大きいか否かを判断する(ステップS21)。つまり、図10に示した処理によって予め設定された回転速度Vsの設定値が所定速度Vhよりも大きいか否かを判断する。ここでは、回転速度Vsの設定値が速度V1又はV2であればYESとなり、速度V3であればNOとなる。回転速度Vsの設定値が速度V3であれば、清掃ブラシ43と異物掻取部材44とが接触するときに大きな衝撃は生じないので減速制御を行う必要はない。そのため、この場合は処理を終了する。これに対し、回転速度Vsの設定値が速度V1又はV2であれば、清掃ブラシ43と異物掻取部材44とが接触するときに大きな衝撃が生じるので減速制御を行う必要がある。そのため、この場合はステップS22に進む。
回転速度Vsの設定値が速度V1又はV2であった場合、ADF制御部11は、清掃部材41を動作させているモータM4を駆動するために出力したパルス数のカウント値(パルスカウント値)を取得し、そのパルスカウント値が予め定められたカウント値Caに等しい値となっているか否かを判断する(ステップS22)。ここでパルスカウント値がカウント値Caでない場合(NOの場合)、清掃部材41の回転位置は減速開始位置でないと判断し、ステップS24に進む。これに対し、パルスカウント値がカウント値Caに等しい場合(YESの場合)、清掃部材41の回転位置は減速開始位置に到達した判断し、ステップS23に進む。
パルスカウント値がCaに等しい場合、ADF制御部11は、モータM4を制御して清掃部材41の回転速度の減速を開始する(ステップS23)。すなわち、速度V1又はV2で回転している清掃部材41の回転速度を所定速度Vh以下に減速させる制御を開始する。これにより、清掃部材41の回転速度は減速を開始し、清掃ブラシ43が異物掻取部材44と接触するタイミングでは、清掃部材41の回転速度は所定速度Vh以下となる。そのため、清掃ブラシ43と異物掻取部材44とが接触するときに大きな衝撃は生じず、異物Gの飛散を防止することができる。このような減速制御が開始されると、次にステップS24に進む。
そしてADF制御部11は、清掃部材41を動作させているモータM4を駆動するために出力したパルス数のカウント値(パルスカウント値)を取得し、そのパルスカウント値が予め定められたカウント値Cbに等しい値となっているか否かを判断する(ステップS24)。ここでパルスカウント値がカウント値Cbでない場合(NOの場合)、清掃部材41の回転位置は加速開始位置でないと判断し、この処理を終了する。これに対し、パルスカウント値がカウント値Cbに等しい場合(YESの場合)、清掃部材41の回転位置は加速開始位置に到達した判断し、ステップS25に進む。
パルスカウント値がCbに等しい場合、清掃ブラシ43が異物掻取部材44から離れた状態となる位置まで回転したと判断できるため、ADF制御部11は、モータM4を制御して清掃部材41の回転速度の加速を開始する(ステップS23)。すなわち、清掃部材41の回転速度を所定速度Vh以下に減速させた状態から再び速度V1又はV2まで加速させる制御を開始する。このような加速制御が開始されると、この処理は終了する。
そしてこの処理とは別の処理により、清掃部材41はホームポジションに達すると、モータM4の駆動が停止され、それに伴い清掃部材41も停止する。
このように本実施形態は、先行する原稿とその次の原稿との間で、読取ガラス21の上面に清掃部材41を接触させながら動作させることで、読取ガラス21の異物Gを除去する構成であると共に、動作中の清掃部材41が異物掻取部材44に接触することで清掃部材41に付着した異物Gが掻き取られる構成である。そしてADF制御部11は、清掃部材41の動作速度が所定速度Vh以上である場合、清掃部材41を異物掻取部材44に接触させるときの清掃部材41の動作速度が所定速度Vh以下となるように清掃部材41を減速制御することにより、清掃部材41と異物掻取部材44とが接触するときの衝撃を緩和させるように構成されている。そのため、原稿搬送時の原稿間隔ΔTにおいて短時間での清掃を可能としつつも、清掃部材41と異物掻取部材44とが互いに接触することによる異物Gの飛散を抑制することができ、読取ガラス21からの異物Gの除去性能を向上させることができる。
(第2の実施の形態)
次に第2の実施の形態について説明する。上述した第1の実施の形態では、清掃部材41の動作速度が所定速度Vh以上である場合、清掃部材41の動作速度を減速することによって清掃部材41と異物掻取部材44とが接触するときの衝撃を緩和させる形態について説明した。しかし、読み取りモードなどに応じて決定される原稿間隔ΔTがかなり小さな値となる場合など、清掃部材41の動作速度を減速することができない場合もある。そこで、本実施形態では、清掃部材41の動作速度を減速することなく、清掃部材41と異物掻取部材44とが接触するときの衝撃を緩和させることができる形態について説明する。尚、本実施形態でも、画像処理装置1及び画像読取装置4の全体構成は、図1及び図2に示したものと同様である。
図12は、本実施形態においてガラス面清掃機構40が設けられた部分の構成を示す拡大図である。本実施形態では、清掃部材41の清掃ブラシ43に付着した異物を取り除くための異物掻取部材44が動作可能に構成される。すなわち、異物掻取部材44は、その基端部がモータM5によって正逆方向に回動可能な軸部44aに支持されており、この軸部44a周りに回動可能な構成となっている。また異物掻取部材44の近傍の所定箇所には、モータM5によって回転駆動される異物掻取部材44のホームポジションを検知するための検知センサ49が設けられている。そして本実施形態では、清掃部材41の動作速度Vsが所定速度Vh以上である場合、異物掻取部材44を矢印R2方向に回転させることによって清掃部材41と異物掻取部材44とが接触するときの衝撃を緩和させるように構成される。
図13は、本実施形態における画像読取装置4を制御するための制御機構を示すブロック図である。この制御機構が、第1の実施の形態と異なる点は、ADF制御部11が異物掻取部材44の動作を制御するように構成されている点である。図13に示すように、本実施形態では、異物掻取部材44を駆動するための構成として、モータ駆動部48とモータM5とを備えると共に、異物掻取部材44がホームポジションにあるときにオンする検知センサ49とを備えている。モータM5は、上記と同様に、位置制御が行い易いパルスモータが使用されており、ADF制御部11から出力される励磁信号(パルス信号)に応じて回転し、異物掻取部材44を正逆双方向に回転駆動する。ADF制御部11は、モータ駆動部47に出力したパルス数をカウントすることにより、異物掻取部材44がホームポジションから回転方向R2(図12参照)に回転した回転量(回転位置)を把握することができるようになっている。尚、その他の構成は、第1の実施の形態と同様である。
そしてADF制御部11は、清掃部材41の回転速度Vsを所定速度Vhよりも高速の速度V1又はV2に設定して清掃動作を行う場合、清掃部材41と異物掻取部材44とが接触するタイミングにおいて、異物掻取部材44を清掃部材41の動作方向と同じ方向となる回転方向R2に動作させておくことで、清掃部材41と異物掻取部材44との相対速度が所定速度Vh以下となるように制御する。これに対して、清掃部材41の回転速度Vsを所定速度Vhよりも低速の速度V3に設定して清掃動作を行う場合には、異物掻取部材44を駆動することなく、清掃部材41のみを駆動制御して清掃動作を完了させる。
図14は、本実施形態でのADF制御部11による清掃部材41の清掃動作の制御方法を示す図であり、図14(A)は清掃部材41の回転速度Vsを所定速度Vhよりも高速の速度V1又はV2に設定して清掃動作を行う場合の制御方法を、図14(B)は清掃部材41の回転速度Vsを所定速度Vhよりも低速の速度V3に設定して清掃動作を行う場合の制御方法を示している。
まず、図14(A)に示す制御方法について説明する。清掃部材41の回転速度Vsを所定速度Vhよりも高速の速度V1又はV2に設定して清掃動作を行う場合、ADF制御部11は、先行する原稿9aが読取ガラス21を通過するタイミングT1に合わせて、モータ駆動部47に励磁信号(パルス信号)を出力し、モータM4を駆動させると共に、清掃部材41の回転を開始させる。これと同時に、ADF制御部11は、モータM4を駆動するために出力したパルス数のカウント動作を開始し、パルスカウント値を更新していく。清掃部材41は、その回転速度Vsが速度V1又はV2に到達すれば、清掃動作が終了するまでその速度が維持される。そしてパルスカウント値が予め定められたカウント値Caになれば、ADF制御部11は、モータ駆動部48に励磁信号(パルス信号)を出力し、モータM5を駆動させると共に、異物掻取部材44を回転方向R2に回転させる。このとき、異物掻取部材44の回転速度Vtは、清掃部材41の回転速度Vsとの速度差ΔVが所定速度Vh以下となるように設定される。そして異物掻取部材44はその回転速度Vtに達すれば、その速度が維持される。
ここでカウント値Caは、第1の実施の形態と同様であり、回転速度VsがV1である場合とV2である場合のそれぞれに対応して予め定められており、モータM5の駆動を開始してから異物掻取部材44の回転速度が速度Vtとなったときに清掃ブラシ43を異物掻取部材44に接触させることができるタイミングを規定している。つまり、図14(A)において異物掻取部材44の回転速度がVtとなったタイミングTaが、清掃ブラシ43と異物掻取部材44との接触するタイミングである。そのため、パルスカウント値がCaとなった時点でモータM5の駆動を開始することにより、清掃ブラシ43が異物掻取部材44に接触するときには、異物掻取部材44を回転速度Vtで動作させておくことができる。
そしてADF制御部11は、パルスカウント値が予め定められたカウント値Cbになれば、異物掻取部材44を停止させるべく、モータM5の減速を開始する。ここでカウント値Cbは、回転速度VsがV1である場合とV2である場合のそれぞれに対応して予め定められており、清掃ブラシ43が異物掻取部材44から離れるタイミングを規定している。つまり、図14(A)において異物掻取部材44の減速が開始されるタイミングTbが、清掃ブラシ43と異物掻取部材44が互いに離れた状態となるタイミングである。
そしてADF制御部11は、パルスカウント値が予め定められたカウント値Chになれば、異物掻取部材44をホームポジションに戻すべく、モータM5を駆動して異物掻取部材44を逆転方向に速度Vrで駆動する。そして検知センサ49によって異物掻取部材44がホームポジションに到達したことが検知されると、モータM5は停止し、異物掻取部材44もホームポジションで停止する。尚、清掃部材41についても、検知センサ45によってホームポジションに到達したことが検知されれば停止し、清掃動作を終了する。
このように清掃部材41の回転速度Vsを所定速度Vhよりも高速のV1又はV2に設定して清掃動作を行う場合、ADF制御部11は、モータM4を駆動するためのパルス数をカウントすることで清掃ブラシ43の位置を把握しながら清掃動作を制御しており、清掃ブラシ43が異物掻取部材44に接触するタイミングでは、異物掻取部材44を清掃部材41の動作方向に沿って動作させることで、清掃部材41と異物掻取部材44との相対速度が所定速度Vh以下となるように制御する。そして清掃部材41と異物掻取部材44との相対速度が所定速度Vh以下の状態で、清掃ブラシ43が異物掻取部材44を通過するようにしているので、清掃ブラシ43に付着した異物Gの周囲への飛散を防止することができる。
次に、図14(B)の制御方法について説明する。清掃部材41の回転速度Vsを所定速度Vhよりも低速の速度V3に設定して清掃動作を行う場合、ADF制御部11は上記のように異物掻取部材44を動作させる必要はない。そのため、ADF制御部11は、先行する原稿9aが読取ガラス21を通過するタイミングT1に合わせて、モータ駆動部47に励磁信号(パルス信号)を出力し、モータM4を駆動させると共に、清掃部材41の回転を開始させる。そして清掃部材41の回転速度VsがV3に到達すれば、その速度を維持するように制御し、その後、検知センサ45によってホームポジションに到達したことが検知されると、清掃部材41を停止させる。この場合、清掃部材41の回転速度が所定速度Vh以下で維持されるので、清掃ブラシ43に付着した異物Gが周囲に飛散することはない。
図15及び図16は、本実施形態においてADF制御部11が清掃部材41と異物掻取部材44の制御を行うための処理手順を示すフローチャートである。この処理は、自動原稿搬送装置3において原稿9の搬送動作が開始されると、ADF制御部11によって一定時間(例えば数ミリ秒)ごとに繰り返し実行される処理であり、清掃動作中においても繰り返し実行される処理である。またこの処理とは別の処理により、先行する原稿とその次の原稿との間で、清掃部材41を回転速度Vsで駆動する処理が実行されているものとする。図15に示すように、原稿9の搬送動作中にこの処理が開始されると、ADF制御部11は、まず清掃部材41が動作中であるか否かを判断する(ステップS30)。ここで清掃部材41が動作していない場合(NOの場合)には、清掃動作中でないため、この処理を終了する。これに対し、清掃部材41が動作中である場合(YESの場合)には、ステップS31に進む。
清掃部材41が清掃動作中である場合、ADF制御部11は、異物掻取部材44の動作制御の必要性を判断すべく、清掃部材41の回転速度Vsの設定値が所定速度Vhよりも大きいか否かを判断する(ステップS31)。ここでは、回転速度Vsの設定値が速度V1又はV2であればYESとなり、速度V3であればNOとなる。回転速度Vsの設定値が速度V3であれば、清掃ブラシ43と異物掻取部材44とが接触するときに大きな衝撃は生じないので異物掻取部材44の動作制御を行う必要はない。そのため、この場合は処理を終了する。これに対し、回転速度Vsの設定値が速度V1又はV2であれば、清掃ブラシ43と異物掻取部材44とが接触するときに大きな衝撃が生じるので、異物掻取部材44の動作制御を行う必要がある。そのため、この場合はステップS32に進む。
清掃部材41の回転速度Vsが速度V1又はV2であった場合、ADF制御部11は、清掃部材41を動作させているモータM4を駆動するために出力したパルス数のカウント値(パルスカウント値)を取得し、そのパルスカウント値が予め定められたカウント値Caに等しい値となっているか否かを判断する(ステップS32)。ここでパルスカウント値がカウント値Caでない場合(NOの場合)、清掃部材41の回転位置は、異物掻取部材44の動作開始位置まで到達していないと判断し、ステップS35に進む。これに対し、パルスカウント値がカウント値Caに等しい場合(YESの場合)、異物掻取部材44を動作させるべく、ステップS33に進む。
パルスカウント値がCaに等しい場合、ADF制御部11は、まず異物掻取部材44の速度設定を行う(ステップS33)。ここでは上述したように、清掃部材41の回転速度Vsとの速度差ΔVが所定速度Vh以下となるように、異物掻取部材44の回転速度Vtが設定される。そしてADF制御部11は、モータM5を制御して異物掻取部材44を回転方向R2に正転駆動し、異物掻取部材44の動作を開始させる(ステップS34)。これにより、異物掻取部材44は回転方向R2への回転動作を開始し、清掃ブラシ43が異物掻取部材44と接触するタイミングでは、異物掻取部材44の回転速度は速度Vtとなる。そのため、清掃部材41と異物掻取部材44との相対速度が所定速度Vh以下となり、清掃ブラシ43と異物掻取部材44とが接触するときに大きな衝撃は生じず、異物Gの飛散を防止することができる。このようにして異物掻取部材44の正転駆動が行われると、次にステップS35に進む。
そしてADF制御部11は、清掃部材41を動作させているモータM4を駆動するために出力したパルス数のカウント値(パルスカウント値)を取得し、そのパルスカウント値が予め定められたカウント値Cbに等しい値となっているか否かを判断する(ステップS35)。ここでパルスカウント値がカウント値Cbでない場合(NOの場合)、異物掻取部材44の減速を開始することができないので、この処理を終了する。これに対し、パルスカウント値がカウント値Cbに等しい場合(YESの場合)、ステップS36に進む。
パルスカウント値がCbに等しい場合、清掃ブラシ43が異物掻取部材44から離れた状態となる位置まで回転したと判断できるため、ADF制御部11は、モータM5を制御して異物掻取部材44を停止させる(ステップS36)。そしてステップS37(図16)に進む。
次にADF制御部11は、清掃部材41を動作させているモータM4を駆動するために出力したパルス数のカウント値(パルスカウント値)を取得し、そのパルスカウント値が予め定められたカウント値Chに等しい値となっているか否かを判断する(ステップS37)。ここでパルスカウント値がカウント値Chでない場合(NOの場合)、異物掻取部材44を逆転駆動するタイミングではないので、ステップS40に進む。これに対し、パルスカウント値がカウント値Chに等しい場合(YESの場合)、ステップS38に進む。
パルスカウント値がChに等しい場合、ADF制御部11は、異物掻取部材44を逆転駆動する際の速度設定を行う(ステップS38)。ここでは例えば予め設定された速度Vrを設定すれば良い。そしてADF制御部11は、モータM5を制御して異物掻取部材44を回転方向R2とは逆の方向に駆動し、異物掻取部材44をホームポジションに向かって移動させる(ステップS39)。そして次にステップS40に進む。
次にADF制御部11は、異物掻取部材44が検知センサ49によってホームポジション(所定位置)に戻ったことが検知されたか否かを判断する(ステップS40)。ここで検知センサ49がオフしてれば、この処理を終了する。これに対し、検知センサ49がオンしていれば、ステップS41に進み、モータM5を停止させることにより、異物掻取部材44をホームポジションで停止させ、この処理を終了する。尚、この処理とは別の処理により、清掃部材41もホームポジションに到達すれば、モータM4の駆動が停止され、それに伴い清掃部材41も停止する。
このように本実施形態では、清掃部材41の動作速度が所定速度Vh以上である場合、清掃部材41を異物掻取部材44に接触させるときの清掃部材41と異物掻取部材44との相対速度が所定速度Vh以下となるように、異物掻取部材44を清掃部材41と同じ方向に動作させることによって、清掃部材41と異物掻取部材44とが接触するときの衝撃を緩和させるように構成されている。そのため、原稿搬送時の原稿間隔ΔTにおいて短時間での清掃を可能としつつも、清掃部材41と異物掻取部材44とが互いに接触することによる異物Gの飛散を抑制することができ、読取ガラス21からの異物Gの除去性能を向上させることができる。特に本実施形態では、読み取りモードなどに応じて決定される原稿間隔ΔTがかなり小さな値となる場合など、清掃部材41の動作速度を減速することができない場合であっても、異物掻取部材44を動作させることで、清掃部材41と異物掻取部材44とが接触するときの衝撃を緩和させることができる点で利用価値の高いものとなっている。
(第3の実施の形態)
次に第3の実施の形態について説明する。本実施形態でも、清掃部材41の動作速度を減速することなく、清掃部材41と異物掻取部材44とが接触するときの衝撃を緩和させることができる形態について説明する。尚、本実施形態でも、画像処理装置1及び画像読取装置4の全体構成は、図1及び図2に示したものと同様である。
図17は、本実施形態においてガラス面清掃機構40が設けられた部分の構成を示す拡大図である。本実施形態において異物掻取部材44は、弾性部材44aを備えており、この弾性部材44aの弾性度を調整可能に構成されている。より具体的に説明すると、異物掻取部材44aは、ゴムなどの弾性材料を用いて平板状又はブレード状に形成された弾性部材44aと、弾性部材44aの先端部が清掃ブラシ43と接触可能となるようにその弾性部材44aの基端部を支持する支持部材44bと、弾性部材44aの上面に接触した状態で弾性部材44aの先端部に向かう方向(図中、矢印L方向)に進退し、弾性部材44aとの重なり幅を調整可能に設けられた剛性部材46とを備えて構成される。そして剛性部材46の進退移動は、モータM5によって駆動される。
図18は、異物掻取部材44の動作を示す図であり、図18(A)〜(C)のそれぞれにおいて剛性部材46と弾性部材44aとの重なり幅Wが異なる状態を示している。図18に示すように、剛性部材46には駆動ローラ51が設けられており、モータM5によって駆動ローラ51が回転することにより、剛性部材46を弾性部材44aの先端部に向かう直進移動させるように構成されている。ただし、剛性部材46を移動させる機構は、必ずしも図例のような構成に限られず、例えばソレノイドなどを駆動機構として用いても良い。
図18(A)は剛性部材46が弾性部材44aから退避した状態を示しており、このとき剛性部材46と弾性部材44aとの重なり幅WはD1であり、他の例に比べ、重なり幅Wは最も小さくなっている。この状態では、異物掻取部材44の弾性度E1は大きくなり、弾性部材44aの先端部に衝撃力が作用すると、弾性部材44aはその全体が大きく弾性変形することにより、その衝撃を吸収することができる。すなわち、この状態では、弾性部材44aによる衝撃吸収力が最も大きくなるように設定されている。
図18(B)は剛性部材46が弾性部材44aに対して若干進入した状態を示しており、このとき剛性部材46と弾性部材44aとの重なり幅WはD2であり、図18(A)の例に比べると重なり幅Wは大きくなっている。この状態では、異物掻取部材44の弾性度E2は中程度の大きさとなり、弾性部材44aの先端部に衝撃力が作用すると、弾性部材44aの先端部のみが弾性変形することにより、その衝撃を吸収することができる。この状態では、弾性部材44aによる衝撃吸収力は、図18(A)の場合よりも小さくなる。
図18(C)は剛性部材46が弾性部材44aの上面全体を押さえる位置まで進入した状態を示しており、このとき剛性部材46と弾性部材44aとの重なり幅WはD3であり、図18(A),(B)の例に比べると重なり幅Wは最も大きくなっている。この状態では、異物掻取部材44の弾性度E1は最も小さくなり、弾性部材44aに衝撃力が作用しても、弾性部材44aの上面が剛性部材46で押さえられているため、弾性部材44aのみが収縮変形するだけである。したがって、この状態では、弾性部材44aによる衝撃吸収力は、最も小さくなる。
そして本実施形態では、清掃部材41の動作速度Vsが所定速度Vh以上である場合、異物掻取部材44の弾性度が大きくなるように調整することにより、清掃部材41と異物掻取部材44とが接触するときの衝撃を緩和させる。
本実施形態における制御機構は、第2の実施の形態(図13参照)と同様であり、ADF制御部11がモータ5を駆動制御することにより、剛性部材46と弾性部材44aとの重なり幅Wを変化させ、異物掻取部材44の弾性度を調整するように構成されている。具体的に説明すると、ADF制御部11は、清掃部材41の回転速度Vsを所定速度Vhよりも高速の速度V1に設定して清掃動作を行う場合、ADF制御部11はモータM5を駆動して剛性部材46を初期位置から移動させることにより、図18(A)に示すように剛性部材46と弾性部材44aとの重なり幅WをD1とし、弾性部材44aによる衝撃吸収力が最も大きくなるように制御する。また、清掃部材41の回転速度Vsを所定速度Vhよりも高速の速度V2に設定して清掃動作を行う場合、ADF制御部11はモータM5を駆動して剛性部材46を初期位置から移動させることにより、図18(B)に示すように剛性部材46と弾性部材44aとの重なり幅WをD2とし、弾性部材44aによる衝撃吸収力が中程度の大きさとなるように制御する。さらに、清掃部材41の回転速度Vsを所定速度Vhよりも低速の速度V3に設定して清掃動作を行う場合、ADF制御部11はモータM5を駆動して剛性部材46を初期位置から移動させることにより、図18(C)に示すように剛性部材46と弾性部材44aとの重なり幅WをD3とし、弾性部材44aによる衝撃吸収力が最も小さくなるように制御する。
図19及び図20は、本実施形態においてADF制御部11が清掃部材41と異物掻取部材44の制御を行うための処理手順を示すフローチャートである。この処理は、自動原稿搬送装置3において原稿9の搬送動作が開始されると、ADF制御部11によって一定時間(例えば数ミリ秒)ごとに繰り返し実行される処理である。またこの処理とは別の処理により、先行する原稿とその次の原稿との間で、清掃部材41を回転速度Vsで駆動する処理が実行されているものとする。図19に示すように、原稿9の搬送動作中にこの処理が開始されると、ADF制御部11は、まず清掃動作開始タイミングであるか否かを判断する(ステップS50)。ここでは、先行する原稿9aの後端が搬送路内の所定位置を通過した場合にYESと判断される。これに対し、先行する原稿9aの後端が搬送路内の所定位置を通過していない場合にはNOとなり、図20のステップS57に進む。
清掃動作開始タイミングである場合、ADF制御部11は、清掃部材41の回転速度Vsの設定値が速度V1以上であるか否かを判断する(ステップS51)。ここでは、回転速度Vsの設定値が速度V1以上であればYESとなり、それ以外であればNOとなる。そして回転速度Vsの設定値が速度V1以上である場合、ADF制御部11は、剛性部材46と弾性部材44aとの重なり幅WをD1に設定する(ステップS52)。そしてステップS56に進む。
またステップS51でNOとなった場合、ADF制御部11は、清掃部材41の回転速度Vsの設定値が速度V2以上であるか否かを判断する(ステップS53)。ここでは、回転速度Vsの設定値が速度V2以上であればYESとなり、それ以外であればNOとなる。そして回転速度Vsの設定値が速度V2以上である場合、ADF制御部11は、剛性部材46と弾性部材44aとの重なり幅WをD2に設定する(ステップS54)。一方、ステップS53でNOとなった場合、ADF制御部11は、剛性部材46と弾性部材44aとの重なり幅WをD3に設定する(ステップS55)。そしてステップS56に進む。
そしてADF制御部11は、ステップS52,S54,S55のいずれかで設定された重なり幅Wを参照し、モータM5を駆動することで剛性部材46を移動させる。これにより、異物掻取部材44の弾性度が、清掃部材41の回転速度Vsに応じて調整されることになる。すなわち、清掃部材41の回転速度Vsが速度V1の場合には、図18(A)に示すように剛性部材46と弾性部材44aとの重なり幅WがD1となり、清掃部材41の回転速度Vsが速度V2の場合には、図18(B)に示すように剛性部材46と弾性部材44aとの重なり幅WがD2となり、清掃部材41の回転速度Vsが速度V3の場合には、図18(C)に示すように剛性部材46と弾性部材44aとの重なり幅WがD3となる。したがって、清掃部材41の回転速度Vsが所定速度Vhよりも高速の場合、異物掻取部材44の弾性度はその回転速度Vsに応じて大きくなるように制御されるので、清掃ブラシ43と異物掻取部材44とが接触するときの衝撃を弾性部材44aの弾性変形によって吸収することができ、異物Gが周囲に飛散することを防止できる。
そして図20のフローチャートに進み、ADF制御部11は、清掃動作終了タイミングであるか否かを判断する(ステップS57)。ここでは、清掃部材41がホームポジションに到達したことを検知センサ45が検知すれば、YESと判断される。これに対し、清掃部材41がホームポジションに到達していなければNOとなり、この処理を終了する。
清掃動作終了タイミングであった場合、ADF制御部11は、モータM5を駆動し、剛性部材46を初期位置まで移動させる(ステップS58)。そしてこの処理を終了する。尚、剛性部材46の初期位置は任意に設定可能であるが、剛性部材46が弾性部材44aの上面の約半分を押さえた状態を初期位置としておけば、剛性部材46をいずれの方向に移動させる場合であっても効率的な移動が可能になるので好ましい。
以上の処理では、清掃部材41の動作と異物掻取部材44の動作とを清掃動作中に同期させる必要がないため、第2の実施の形態に比べると、制御がより簡単になる。
このように本実施形態では、清掃部材41の動作速度が所定速度Vh以上である場合、剛性部材46を駆動して剛性部材46と弾性部材44aとの重なり幅Wを大きくすることにより、異物掻取部材44の弾性度を大きく調整し、それによって清掃部材41と異物掻取部材44とが接触するときの衝撃を緩和させるように構成されている。そのため、原稿搬送時の原稿間隔ΔTにおいて短時間での清掃を可能としつつも、清掃部材41と異物掻取部材44とが互いに接触することによる異物Gの飛散を抑制することができ、読取ガラス21からの異物Gの除去性能を向上させることができる。特に本実施形態では、読み取りモードなどに応じて決定される原稿間隔ΔTがかなり小さな値となる場合など、清掃部材41の動作速度を減速することができない場合であっても、異物掻取部材44の弾性度を調整することで、清掃部材41と異物掻取部材44とが接触するときの衝撃を緩和させることができる点で利用価値の高いものとなっている。
(変形例)
以上、本発明に関する幾つかの実施形態について説明したが、本発明は上述した内容のものに限定されるものではない。例えば、上述した実施形態では、画像処理装置1が、コピー機能、FAX機能、プリンタ機能、スキャナ機能などの複数の機能を備えた装置である場合を例示したが、本発明では必ずしも複数の機能を備えている必要はない。特に上述した画像読取装置4は、コピー機能、FAX機能、スキャナ機能のうちの少なくとも1つの機能を備えた装置に対して適用可能である。
またその他にも、上述した各実施形態に対し、本発明の範囲内において種々の変形例が適用可能であることは言うまでもない。