JP5082672B2 - Iii族窒化物系化合物半導体の製造方法及び発光素子 - Google Patents
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請求項2に係る発明は、III族窒化物系化合物半導体は窒化ガリウム(GaN)であることを特徴とする。
請求項3に係る発明は、基板が絶縁性基板であることを特徴とする。
請求項4に係る発明は、エッチングにより凹部を形成することにより、基板に形成される凹凸が形成されることを特徴とする。
請求項6に係る発明は、貫通転位密度は、1×10 8 個/cm 2 以上1×10 10 個/cm 2 以下の範囲内であることを特徴とする。
請求項7に係る発明は、III族窒化物系化合物半導体層と、バッファ層又は基板との境界にボイドを有しないことを特徴とする。
ドナーの添加量は、1017/cm3未満では効果が十分でなく、1×1019/cm3を越えると、当該ドナー添加膜が白濁し、単結晶とならない。
凹凸の段差の頂上部も段差の底部も、凹凸形成前のエピタキシャル成長基板の主面と平行な面であることが好ましい。凹凸の段差の側面は、当該エピタキシャル成長基板の主面と垂直であっても良いが、垂直でなくても良い。
段差の頂上面の周(輪郭)の形状は任意として良いが、例えば正六角形としても良い。
段差の頂上面を島状とする場合やストライプ状とする場合のピッチは任意に設計して良い。例えば段差の頂上面が直径0.5〜10μmの円に内接する多角形としたり、ストライプ状の頂上面の幅及び底部の幅を0.5〜10μmとすると好適である。
段差の頂上面と底部の高低差は、0.1〜2μm程度が好適であり、好ましくは0.5〜1μmである。
更には当該ドナーを添加したIII族窒化物系化合物半導体上部に任意の素子、特に発光素子を形成する際の、製造条件、層構成、或いは電極構成その他の追加構成は一切限定されないものである。
例えば、発光素子を形成する際、発光層又は活性層は単層、単一量子井戸構造(SQW)、多重量子井戸構造(MQW)その他任意の構成が採用できる。例えば発光層又は活性層のp側及び/又はn側にクラッド層を設ける場合、それらのクラッド層の一方や両方を多重層で構成しても良い。レーザにおいては、ガイド層、或いは電流狭窄構造を設けたり、任意の表面又は内部に絶縁層を設けても良い。更には、静電耐圧改善のための層を設けても良い。
例えばサファイア基板のような絶縁性基板に発光素子を形成する場合、いわゆるフェイスアップ、フリップチップのいずれの構成としても良い。当然、各電極として、透光性電極や高反射性電極を任意の場所に採用できる。
エピタキシャル成長側の面に光取り出しのための凹凸を設けたサファイア基板10を1160℃以上で水素雰囲気下、ベーキングした。尚、凹凸は直径約2μmの円に内接する正六角形を約2μmのピッチで点在させた凸部と、段差の底部(凹部)とし、エッチングにより凹部を形成したものである。段差の側面は垂直ではなく、凸部上面の面積が狭くなる方向に約80度の傾斜を有する。凹凸の工程差は約0.8μmとした。
次に基板温度を400℃まで下げ、AlNバッファ層を約15nm成長させた。AlNバッファ層は、凸部の上面と段差の底部(凹部)の面の他、段差の側面にも形成された。
次に基板温度を1050〜1150℃まで上げ、キャリアガスとしてH2を36L/分、アンモニア(NH3)を15L/分、トリメチルガリウム(TMG)を5×10-4モル/分、H2ガスにより1.4ppmに希釈されたシラン(SiH4)を60分間供給し、埋め込みn−GaN:Si層11を成長させた。埋め込みn−GaN:Si層11は、段差の底部(凹部)から約4μmの厚さに形成した。
実施例1−1:シリコンの添加量5×1017/cm3。
実施例1−2:シリコンの添加量3×1018/cm3。
実施例1−3:シリコンの添加量5×1018/cm3。
比較例1−1:シリコンの添加量1×1019/cm3。
比較例1−2:シリコンを添加しなかったもの(i−GaN層21)。
更に、比較例1−3として、凹凸を設けないサファイア基板20に、バッファ層を介して、シリコンを添加しないGaN層(i−GaN層22)を4μm形成したものを用意した。
実施例1−1:シリコンの添加量5×1017/cm3の場合、下記に示す比較例1−3と同様に、ピットが多数形成されたが、密度は均一で、集中するようなことは無かった。
実施例1−2:シリコンの添加量3×1018/cm3の場合、下記に示す比較例1−3と同様に、ピットが多数形成されたが、密度は均一で、集中するようなことは無かった。
実施例1−3:シリコンの添加量5×1018/cm3の場合、下記に示す比較例1−3と同様に、ピットが多数形成されたが、密度は均一で、集中するようなことは無かった。
比較例1−1:シリコンの添加量1×1019/cm3の場合、HCl処理前において表面が白濁しており、結晶性の良い単結晶が得られなかった。
比較例1−2:シリコンを添加しない場合、基板の凸部の上方に転位が集中し、大きなピットとなった。大きなピットが形成されない部分には比較的にピットの密度が少なかった。
比較例1−3:凹凸を設けないサファイア基板に、シリコンを添加しないGaN層の場合、ピットが多数形成されたが、密度は均一で、集中するようなことは無かった。
一方、図2.Cの本発明による実施例1−2においては、シリコンを適切に添加したため、n−GaN:Si層11のエピタキシャル成長においては縦方向成長が主となり、転位が屈曲せず、サファイア基板10表面の凹凸に関わらずウエハ全体で均一に形成されたと考えられる。これは、凹凸を有しないサファイア基板20表面にシリコンを添加しないi−GaN層22をエピタキシャル成長させた図2.Aの比較例1−3と同様の結果となった。
同様に、上記比較例1−2で形成した、凹凸を有するサファイア基板10上のi−GaN層21の上にn−GaN:Siコンタクト層11’を形成し、やはり発光波長が465nmである青色発光ダイオードを形成した(比較例2)。この際、実施例2のnコンタクト層11の厚さと、比較例2のi−GaN層21とn−GaN:Siコンタクト層11’の2層の厚さの合計とを等しくし、且つそれらの上に形成する発光素子の構成を全く同一とした。これを図3に示す。図3.Aが実施例2に係る青色発光ダイオード100の構成の概略を示す断面図であり、図3.Bが比較例2に係る青色発光ダイオード900の構成の概略を示す断面図である。
図4.Aは実施例2及び比較例2に係る各青色発光ダイオードに、20mA通電した場合の明るさを比較したグラフ図である。実施例2の青色発光ダイオードは、比較例2の青色発光ダイオードに対し、明るさが約13%向上した。
図4.Bは実施例2及び比較例2に係る各青色発光ダイオードに、20mA通電した場合の発光スペクトルの、最大輝度の1/2の輝度となる波長幅(半値全幅)を比較したグラフ図である。実施例2の青色発光ダイオードは、比較例2の青色発光ダイオードに対し、波長スペクトルの半値全幅が約7%減少し、色純度が向上した。
図4.Cは、実施例2及び比較例2に係る各青色発光ダイオードの静電耐圧特性として、ウエハ1枚分から得られたダイオードの、逆バイアス5V印加した場合に2μA以上の逆電流が流れたダイオードの割合(故障割合)を比較したグラフ図である。実施例2の青色発光ダイオードの故障割合は11%であり、比較例2の青色発光ダイオードの故障割合39%に対し、大幅に改善が見られた。
11:ドナーの添加されたIII族窒化物系化合物半導体層(n−GaN:Si層)
21:不純物無添加のIII族窒化物系化合物半導体層(i−GaN層)
Claims (7)
- 凹凸が形成された基板表面における凸部の上面と段差の底部の面および側面とにバッファ層を形成し、
バッファ層を介して、
1×10 18 /cm 3 以上8×10 18 /cm 3 以下のシリコン(Si)ドナーを添加しながら、転位が厚さ方向にまっすぐ延びる縦方向エピタキシャル成長により、エピタキシャル膜表面に達する貫通転位を有するとともに、前記基板の表面の凹部の上方と凸部の上方において、貫通転位密度に有意の差が無いIII族窒化物系化合物半導体を形成することを特徴とするIII族窒化物系化合物半導体の製造方法。 - 前記III族窒化物系化合物半導体は窒化ガリウム(GaN)であることを特徴とする請求項1に記載のIII族窒化物系化合物半導体の製造方法。
- 前記基板が絶縁性基板であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のIII族窒化物系化合物半導体の製造方法。
- エッチングにより凹部を形成することにより、前記基板に形成される前記凹凸が形成されることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のIII族窒化物系化合物半導体の製造方法。
- 表面に凹凸が形成された基板と、
バッファ層と、
III族窒化物系化合物半導体層とを有し、
前記バッファ層は、
前記基板の表面における凸部の上面と段差の底部の面および側面とに形成されたものであり、
前記III族窒化物系化合物半導体層は、
1×10 18 /cm 3 以上8×10 18 /cm 3 以下のシリコン(Si)ドナーが添加されるとともに、エピタキシャル膜表面まで、厚さ方向にまっすぐ延びている貫通転位を有するとともに、
前記基板の表面の凹部の上方と凸部の上方において、貫通転位密度に有意の差が無いことを特徴とするIII族窒化物系化合物半導体発光素子。 - 前記貫通転位密度は、1×10 8 個/cm 2 以上1×10 10 個/cm 2 以下の範囲内であることを特徴とする請求項5に記載のIII族窒化物系化合物半導体発光素子。
- 前記III族窒化物系化合物半導体層と、前記バッファ層又は前記基板との境界にボイドを有しないことを特徴とする請求項5または請求項6に記載のIII族窒化物系化合物半導体発光素子。
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