JP5082043B2 - 有機ハロゲン化合物含有水の処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、地下水等の水などに含有(汚染ともいう。)される有機ハロゲン化合物を分解(浄化または処理ともいう。)する方法、及びこの方法の実施に直接使用する分解剤、並びにこの分解剤の製造方法に関するものである。
有機ハロゲン化合物で汚染された地下水等の水などについてこの汚染物質を分解し汚染物質の濃度を減少させて浄化する技術開発が近年進んでいるが、その基本は、汚染物質である有機ハロゲン化合物に対する分解能が高い分解剤を使用することにある。その代表的な分解剤の例として鉄粉を用いることがあげられる(特許文献1〜2)が、より高分解能の分解剤が求められてきた。
この鉄粉の分解能力を向上させるため様々な技術が開発されている。例えば、下記の特許文献3〜5にあるように、鉄粉に銅を被着させて分解性能を向上される技術が開示されている。
環境浄化意識の高まりや環境浄化規制の強化とともに、地下水等の性状による浄化阻害要因による特性低下に対処できるよう、分解剤には一層高い分解能が求められるに至った。またこれと併せて、有機ハロゲン化合物含有水のより効率的な処理法も求められている。
特開平11−235577号公報 特開2002−316050号公報 特開2000−005740号公報 特開2002−069425号公報 特開2003−339902号公報
本発明の課題は、シス−1、2−ジクロロエチレン(cis−1、2−DCEと表す。)等の難分解性の有機塩素化合物を含めた多くの有機ハロゲン化合物の含有水の効率的な処理方法を提供すること、並びに有機ハロゲン化合物に対してこれまでより高い分解能を発揮する分解剤を効率的かつ低コストで得ることにある。
本発明は、先ず、有機ハロゲン化合物含有水を分解剤及び衝撃媒体(メディアともいう。)とともに混合することによって該分解剤に衝撃を加え該有機ハロゲン化合物を分解することを特徴とする有機ハロゲン化合物含有水の処理方法である。ここで、上記衝撃媒体としてはジルコニアボール、アルミナボールまたは砕石が好ましく、また上記分解剤としては鉄粉が好ましく、表面に酸化膜を有する扁平形状の粒子からなる鉄粉が一層好ましい。
次に、本発明は、表面に酸化膜を有する扁平形状の粒子の鉄粉からなる有機ハロゲン化合物含有水処理用の分解剤を提供する。
最後に、本発明は、原料鉄粉に衝撃または圧力を加えることによって該鉄粉の粒子を扁平形状に変形し次いで該変形粒子の表面に酸化膜を形成する有機ハロゲン化合物含有水処理用分解剤の製造方法を提供する。
本発明によれば、cis−1、2−DCE等の難分解性の有機塩素化合物を含む多くの有機ハロゲン化合物の含有水を効率的に処理することができ、また、これらの有機ハロゲン化合物に対して高い分解能を発揮する分解剤を効率的かつ低コストで得ることができ、有機ハロゲン化合物に汚染された地下水等の水などの浄化に大きく貢献する。
本発明において有機ハロゲン化合物は、揮発性有機化合物(VOCsと表わす。)を含み、例えばジクロロメタン、四塩化炭素、1、2−ジクロロエタン、1、1−DCE、cis−1、2−DCE、1、1、1−トリクロロエタン、1、1、2−トリクロロエタン、TCE、テトラクロロエチレン、1、3−ジクロロプロペン、トランス−1、2−ジクロロエチレン、トリハロメタン、PCB、ダイオキシン等を含み、それらの1種または複数の種類の有機ハロゲン化合物が含有されていてもよい。本発明に係る分解剤(浄化剤ともいう。)は有機ハロゲン化合物の脱ハロゲン反応の触媒的作用を示すが、他の有機化合物を分解する可能性もある。
本発明に係る処理方法において有機ハロゲン化合物の分解に用いる分解剤としては、鉄粉、銅含有鉄粉などが挙げられる。鉄粉は、粒状のもので、組成については特に限定されるものではないが、全鉄が80質量%以上、金属鉄が75質量%以上であることが好ましい。鉄粉としては、くず鉄、製錬工程での中間物、削り屑、鉱石を還元して得る還元鉄粉などを用いればよい。また、銅含有鉄粉は、上記の鉄粉に銅を化学的または物理的に結合または被着させたものを用いる。また、有機ハロゲン化合物の分解に用いる分解剤として直接用いるこれらの鉄粉、銅含有鉄粉は平均粒径が25〜250μmであることが好ましい。
次に、表面に酸化膜を有する扁平形状の粒子の鉄粉からなる分解剤は、板状比が2以上であることが好ましく、板状比2〜15がさらに好ましい。板状比が2未満の場合には有機ハロゲン化合物に対する分解反応速度定数kobs(単にkとも表す。)が低く、一方で板状比が15を超えるとk値が飽和する。
ここで、上記扁平形状粒子の分解剤の板状比の測定については、その粉末粒子を倍率100〜150倍で電子顕微鏡(SEM)観察し、その画像をデジタルノギスなどのスケールを用いて直接に実測して求めるものであって、視野内の50個の粉末粒子について扁平面方向における長径値と(これと直交する)短径値を測定して50個の粒子ごとに長径値と短径値との各粒子平均径を求めた後にその50個の各粒子平均径を平均した粉末平均径を求める。次に、上記と同一視野内における扁平面の厚さが観察可能な限りの個数の粉末粒子について、上記と同様にして、扁平面の厚さの平均値を求め、前記の粉末平均径をこの厚さの平均値で除して上記扁平形状粒子の分解剤の板状比とする。
なお、ミル処理等による衝撃または圧力を加える前の原料の鉄粉または銅塩含有鉄粉(すなわち前述の通常の鉄粉または銅塩含有鉄粉であって、鉄粉等という。)はほぼ球状粒子であって、実質的に扁平面が存在しないので、上記同様に視野内の50個の粉末粒子について長径値と(これと直交する)短径値を測定して各粒子ごとに長径値/短径値の個別比を求めた後にその50個の個別比を平均した粉末比を求め、この粉末比を上記鉄粉等の板状比とする。
さらに、上記扁平形状粒子の分解剤について(上記の粉末平均径×2+上記の厚さの平均値)÷3で求めたものを3次元平均径(平均粒径という。)とする。
なお、ミル処理等による衝撃または圧力を加える前の原料の鉄粉または銅塩含有鉄粉(すなわち鉄粉等)はほぼ球状粒子であって、実質的に扁平面が存在しないので、上記の50個の粉末粒子について長径値と(これと直交する)短径値を測定して各粒子ごとに長径値と短径値との個別平均径を求めた後にその50個の個別平均径を平均した粉末平均径を求め、この粉末平均径を鉄粉等の3次元平均径(すなわち平均粒径)とする。
なお、原料鉄粉に衝撃または圧力を加えることによって変形し各粒子が扁平形状となった分解剤の表面には変形前の鉄粒子内部の組織が暴露した新面が形成されている。また、鉄粉の表面または近傍に銅、硫黄、酸基が存在するとさらに分解性能が向上する。
上記扁平形状粒子の分解剤の製造にあたって原料鉄粉としては、予め製造された鉄粉、例えば鉱石から還元により製造された還元鉄粉やアトマイズなどにより製造されたアトマイズ鉄粉などを用いることができ、その粒径が予め所望のサイズであれば粒径調整を要することがなく好ましい。この原料鉄粉および扁平形状粒子の分解剤については、3次元平均径(平均粒径)がいずれも25〜250μmが好ましい。
また、原料鉄粉および上記扁平形状粒子の分解剤の組成については鉄を主成分としていればよく特に限定されるものではないが、全鉄が80質量%以上、金属鉄が75質量%以上であることが好ましく、2次汚染源となるクロム、鉛などの成分を含有しないことが望ましい。
衝撃媒体(すなわちメディア)は、水、有機ハロゲン化合物および分解剤(すなわち、通常の球状粒子の鉄粉等及び扁平形状粒子の鉄粉)と実質的に反応性がない物性、組成の物が好ましく、また分解剤との接触において破壊されない強度も要求され、無機酸化物が好ましく、ジルコニアボール、炭化珪素ボール、鋼球、アルミナボール、砕石などが特に好ましい。
またメディアの装入量は、処理容器の容量、分解剤の量、汚染水の総量によって適宜に設計、設定されるが、分解剤に対して過剰であることで粉砕効率が高められ、分解剤の投入質量に対して5〜200質量倍が好ましい。
メディアは、粒径も重要な要素であり、直径数mmのものであれば良い。
有機ハロゲン化合物を含む水は、地下水や、土壌付着水、工場から排出される排水であっても本発明が適用可能である。
メディアを用いない従来の処理方法においても、通常の球状粒子の鉄粉等を使用した場合に比べて上記扁平形状粒子の分解剤を用いれば有機ハロゲン化合物の分解が大幅に向上する。さらに、この分解剤を汚染水に投入し且つメディアを同伴させて同一系内にて混合して揺動または振動させることによって、有機ハロゲン化合物の分解が劇的に向上する。
有機ハロゲン化合物を含む水である汚染水の処理は、汚染水が投入されている容器に、メディアと分解剤とを入れ、同一容器においてメディアと分解剤と汚染水が同時に存在するように同伴されている。この状態において、容器、メディア、分解剤、汚染水の少なくともいずれかをまたは全てを動かす混合を行い、有機ハロゲン化合物の分解処理をする。例えば、容器を振とうさせることで容器内でのメディアを重力、振動によって運動させ、汚染水と鉄粉の撹拌、および混合状態にし、鉄粉をメディアにより変形させ、その一部または全てを破断等しながら所定時間混合する。なお、汚染物質が有機ハロゲン化合物であるため、容器においては密閉性が保たれ、容器(筐体)の強度は、回転等により受ける衝撃により破損等がない強固なものがよい。例えば、バイアルビン、ポットミルまたはドラムスクラバー等が挙げられる。
この処理は、密閉容器においては、その都度液を入れ換え、補充するようなバッチ処理になるが、有機ハロゲン化合物が漏れない状態であれば連続的に汚染水を通水しながら処理することも可能である。これは、この処理によって飛躍的に分解速度が高まるため、液の容器内で反応時間が短くても、十分に分解できるからである。
分解剤の装入量は、汚染物質である有機ハロゲン化合物の濃度、汚染水の全体量にもよるが、汚染水量の1〜10%質量%でも十分分解可能であり、特に性能が高いことから1質量%でも十分に分解可能である。
分解処理中の分解反応としては、分解剤が有機ハロゲン化合物と接触し、該有機ハロゲン化合物が分解される。メディアは、主に振動や、衝突反作用が発生し、分解剤に衝突力または圧力などの応力を加え、分解剤を変形せしめる。この際、分解剤はその応力に耐えきれず一部またはほぼ全てが破断し、さらに微少片等に分断される。分解剤は、水中に浮遊するもの、メディアよりはるかに小径であることからメディアに担持されるもの、容器の壁に張り付くものなど様々な位置に散在し、このような位置を転在しながら、メディア、鉄粉同志またはメディアと他の鉄粉同士との衝突、摩耗、破断や、表面の変形、表面の剥離、付着微粉の分離などにより、表面の鉄酸化物層と、破断によって露出される粒子内部の金属鉄による局部電池が大量にできるため、有機ハロゲン化合物との分解反応が急激に進行したと思われる。また、分解剤は破断等により小径となると水等への分散もよくなり、通常であれば、市販の鉄粉程度の粒径があると比重が水より重いため沈降し易いが、小径であるため沈降も鉄粉より遅く、水中にて浮遊、分散されやすい。このため水中の汚染物質との混合状態がより均質化され、有機ハロゲン化合物の分解が促進される。
分解処理時間は、全体の汚染水量すなわち、処理量にもよる。また温度は、特段温度の設定は必要なく室温程度で十分である。すなわち、有機ハロゲン化合物の分解の際には特に温度の制御の必要はなく、室温やその時の大気温度で行って良い。また、処理対象の汚染水の電位は、鉄粉を分解剤として用いる場合は、なるべく還元性であることが望ましい。還元性の場合には鉄粉の反応がpHによる影響が少ないためである。
前記扁平形状粒子の分解剤は、市販の鉄粉を原料鉄粉として、粉砕機で衝撃または圧力を加える処理をすることにより製造される。
この粉砕機としては、容器の中に入った衝撃媒体(すなわちメディア)をかき回しながら粉砕を行なう「媒体撹拌型ミル」(アトライターという。)が好ましい。
この際、原料鉄粉は市販のものでよく、前述のように全鉄が80%質量以上、金属鉄が75質量%以上であることが好ましい。鉄の純度は特に望むものではないが、これらの質量%以下の場合では、触媒反応が組成によって影響が大きくなる可能性があるためである。原料鉄粉は、くず鉄、製錬工程での中間物、削り屑、鉱石を還元して得る還元鉄粉などを用いればよい。
この市販の鉄粉に衝撃または圧力を加えて扁平化するための粉体加工機としては、前述のアトライターやボールミルがよい。特にアトライターは微粉砕に適し、調整し易いため、所望の粒度分布の扁平鉄粉を得やすい。例えば、原料鉄粉が粉体であるため、粉砕後の粒子形状を扁平状と(し汚染水処理中に衝撃を受けて更に細かい粒径のものに微粉砕されるように)するのに好都合であるためである。
粉体加工機のアトライター等においては、メディアとともに原料(の球状)鉄粉と水(例えば、イオン交換水、工業用水、水道水など)が装入され、原料鉄粉が変形、粉砕処理される。
このようにして得られた鉄粉は、扁平化、微粒化されている。
粉体加工機のアトライター等から取り出した鉄粉の扁平形状粒子は、次にその表面に酸化膜を形成させる。酸化膜の形成は、酸素存在下において静置するだけでもよく、あえて酸化ガスを吹き付けてもよい。酸素存在下であれば大気でも良く、化学反応による酸化剤として過酸化水素などを用いてもよい。なお、酸化膜は、厚く強固に形成するより、やや薄目で十分であり、表面において酸化物が形成されている程度もよい。これは、反応中の破面に酸化膜と鉄成分が露出し易いためである。
このように分解剤として望まれるのは、さらに粉砕可能な状態であり、さらに粉砕された時に原料鉄粉の粒子の内部に存在した鉄成分が表面に露出されることである。これは粉砕や鉄成分の露出により、新たな分解剤となり、有機ハロゲン化合物の分解が促進されるためである。さらには、球状粒子の原料鉄粉をアトライター等で扁平化し酸化膜を形成した前記分解剤を用いることで従来にない顕著な分解速度が達成され、有機ハロゲン化合物の分解がより早まることで、汚染状態からの早期回復が可能となり、汚染地下水等の安全、土地の早期有効利用が可能となる。
以下に本発明の実施例を記載するが、本発明の技術的範囲はこの記載に限定されるものではない。
[実施例1]
分解剤として下記の鉄粉を用意した。
(1)試薬鉄粉(電解鉄粉、還元鉄粉、アトマイズ鉄粉)
これかはいずれも市販されている実質的に球状粒子の鉄粉であり、その平均粒径、比表面積(BET1点法、以下同じ。)、全鉄・金属鉄品位、嵩密度を表1に示す。
(2)同和鉄粉工業(株)製の還元鉄粉(DKPと表す。)
これは市販されている実質的に球状粒子の鉄粉であり、その平均粒径、比表面積、全鉄・金属鉄品位、嵩密度を表1に示す。なお、DKPの板状比は1.3であった。
バイアル瓶(容量124mL)に、イオン交換水50mL、上述した各種鉄粉0.5g、及びφ5mmのジルコニア・ボール90g(バイアル瓶容量の20容量%)を投入し、テフロン(登録商標)ライニング処理したセプタムとアルミキャップでシールを行う。マイクロ・シリンジを用いて、セプタムから分解対象物質として有機ハロゲン化合物を1μL及び内部標準物質としてトルエンを1μL注入し、振とう器にて150rpmの速度で1時間振とうを行う。試験対象とした有機ハロゲン化合物は、トリクロロエチレン(TCE)、テトラクロロエチレン(PCE)、シス−1、2−ジクロロエチレン(cis−1、2−DCE)の3種類で、各物質に対して1つのバイアル瓶サンプルを作成した。1時間の振とう終了後、バイアル瓶内のヘッドスペース・ガスを100μL採取し、GC−FID(水素炎イオン化検出器付きガスクロマトグラフ)にて有機ハロゲン化合物濃度分析を行い、この値を初期値(0日目の分析値)とする。以降、1、5、10日目に同様の評価を行い、経時的な濃度推移から分解速度を評価する。
この評価で得られた、各有機ハロゲン化合物に対する反応速度定数kobs[day-1]は、以下のとおりである。
[実施例2]
バイアル瓶(容量124mL)に、イオン交換水50mL、上記還元鉄粉0.5g、及び7号砕石(粒度範囲2.5〜5mm)10g(鉄粉量の20質量倍)を投入し、テフロン(登録商標)ライニング処理したセプタムとアルミキャップでシールを行い、cis−1、2−DCEについて上記実施例1と同様に試験、評価をした。
その結果、cis−1、2−DCEの分解速度定数kobsは0.215day-1であり、十分に速い速度で分解されていた。
[比較例1]
上記鉄粉4種を用いてcis−1、2−DCEについて、ジルコニアボールを投入しない他は上記実施例1と同様に実施した。その結果、cis−1、2−DCEに対する反応速度定数kobsは、k<0.001[day-1]であって、分解傾向がかなり緩慢であった。
[実施例3]
撹拌槽の容量が5Lのアトライターに、イオン交換水1026mLとφ10mmのアルミナボール7.9kgを、イオン交換水とアルミナボールを入れた際のカサが撹拌槽容量の1/2(=2.5L)となるように投入する。ダイヤフラム・ポンプを接続しアトライター下部の抜き出し口(ストップバルブ付き)から撹拌槽へイオン交換水が循環されるように配管する。撹拌回転数を250rpmに設定し、ダイヤフラム・ポンプを稼動させ、鉄粉(実施例1の鉄粉:DKP)500gを撹拌槽に投入し、鉄粉スラリーが循環される状態で60分間粉砕処理を行った。粉砕終了後、スラリーを抜き出し、ろ過後、40℃で静置状態にて乾燥を行った。
上記方法で作製した酸化膜を有する扁平状鉄粉粒子は比表面積17.8m2/g、板状比8.7(粉末平均径221.6μm、厚さの平均値25.6μm)であった。この扁平状鉄粉粒子のSEM写真を倍率を変えて図1(倍率:50倍)、図2(倍率:200倍)にそれぞれ示す。
[実施例4]
バイアル瓶(容量124mL)に、イオン交換水50mL、実施例3で作製した扁平状粒子鉄粉0.5g、及びφ5mmのジルコニア・ボール90g(バイアル瓶容量の20容量%)を投入し、テフロン(登録商標)ライニング処理したセプタムとアルミキャップでシールを行う。有機ハロゲン化合物及び内部標準物質トルエンの注入方法及び量は実施例1と同じであり、以下の有機ハロゲン化合物濃度評価についても実施例1と同様に実施した。
この評価で得られた、各有機ハロゲン化合物に対する反応速度定数kobs[day-1]は、表3のとおりである。
扁平化した鉄粉の分解剤を用いての有機ハロゲン化合物分解環境下で分解剤の粉砕をともなう水処理を行うことで、分解能力が向上していることが確認できる。
[比較例2]
バイアル瓶(容量124mL)に、イオン交換水50mL、実施例3で作製した扁平状粒子鉄粉0.5gを投入し、テフロン(登録商標)ライニング処理したセプタムとアルミキャップでシールを行う。有機ハロゲン化合物及び内部標準物質トルエンの注入方法及び量は実施例1と同じであり、以下の有機ハロゲン化合物濃度評価についても実施例1と同様に実施した。
この評価で得られた、各有機ハロゲン化合物に対する反応速度定数kobs[day-1]は、表4のとおりである。
[実施例5]
容量2.2Lの円筒形SUS(ステンレス鋼)製ポットに、イオン交換水1000mLとφ5mmのジルコニア・ボール5kg(ポット容量の60容量%)を投入する。鉄粉(実施例1の鉄粉:DKP)を所定量ポットに投入して、回転数70rpmにて所定時間ローラーで回転させる粉砕処理を実施した。粉砕終了後、スラリーを抜き出し、ろ過後、大気雰囲気40℃の条件で静置状態にて乾燥し、粒子表面に酸化膜の形成を行った。下記B/Pとは、Bはジルコニアボールの投入質量、Pは鉄粉の投入質量であり、B/PはBをPで除算した比である。
鉄粉投入量及び粉砕処理時間の水準組み合わせは表5のとおりである(○印:cis−1、2−DCE分解試験実施)。
上記方法(B/Pが50、処理時間が5時間の場合)で作製した扁平状鉄粉の板状比は24.7(粉末平均径333.8μm、厚さの平均値13.5μm)であり、比表面積、嵩密度および評価結果は、後述の表6、表7に示すとおりであった。B/Pが50、処理時間が5時間の場合の扁平状鉄粉のSEM写真を倍率を変えて図3(倍率:50倍)、図4(倍率:100倍)にそれぞれ示す。
[実施例6]
バイアル瓶(容量124mL)に、イオン交換水50mL、及び実施例5で作製した扁平状粒子鉄粉0.5g、及びφ5mmのジルコニア・ボール90g(バイアル瓶容量の20容量%分)を投入し、テフロン(登録商標)ライニング処理したセプタムとアルミキャップでシールを行う。マイクロ・シリンジを用いて、セプタムから分解対象物質としてcis−1、2−DCEを1μL及び内部標準物質としてトルエンを1μL注入し、振とう器にて150rpmの速度で1時間振とうを行う。
以下の評価は、実施例1と同じである。
この評価の結果得られた、cis−1、2−DCEに対する反応速度定数kobs[day-1]は、表6に示すとおりである。
cis−1、2−DCE分解反応(B/Pが50、処理時間が5時間の場合)終了後、バイアル瓶中の扁平状鉄粉(分解剤)を採取し、濾過及び乾燥を行い、粒子形状のSEM写真を倍率を変えて図5(倍率:50倍)、図6(倍率:100倍)にそれぞれ示す。これらの図を図3、図4と比較して扁平状の粒子が粉砕され、形状が変化し大幅に微粒子化されたことが確認できる。
[比較例3]
バイアル瓶(容量124mL)に、イオン交換水50mL、及び実施例5で作製した扁平状粒子鉄粉0.5gを投入し、テフロン(登録商標)ライニング処理したセプタムとアルミキャップでシールを行う。マイクロ・シリンジを用いて、セプタムから分解対象物質としてcis−1、2−DCEを1μL及び内部標準物質としてトルエンを1μL注入し、振とう器にて150rpmの速度で1時間振とうを行う。
以下の評価は、実施例1と同じである。
この評価の結果得られた、cis−1、2−DCEに対する反応速度定数kobs[day-1]は、表7に示すとおりである。
実施例3で得られた扁平状鉄粉粒子のSEM写真(倍率:50倍)である。 実施例3で得られた扁平状鉄粉粒子のSEM写真(倍率:200倍)である。 実施例5で得られた扁平状鉄粉粒子のSEM写真(倍率:50倍)である。 実施例5で得られた扁平状鉄粉粒子のSEM写真(倍率:100倍)である。 実施例6で得られた分解(処理)反応後の鉄粉粒子のSEM写真(倍率:50倍)である。 実施例6で得られた分解(処理)反応後の鉄粉粒子のSEM写真(倍率:100倍)である。

Claims (2)

  1. 有機ハロゲン化合物含有水を板状比8.7〜24.7の扁平形状粒子からなる鉄粉及びジルコニアボールまたはアルミナボールとともに混合することによって該鉄粉に衝撃を加え該有機ハロゲン化合物を分解することを特徴とする有機ハロゲン化合物含有水の処理方法。
  2. 前記鉄粉が表面に酸化膜を有する扁平形状の粒子からなる鉄粉である、請求項1記載の処理方法。
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