JP4351022B2 - 有機ハロゲン化合物分解剤 - Google Patents

有機ハロゲン化合物分解剤 Download PDF

Info

Publication number
JP4351022B2
JP4351022B2 JP2003359510A JP2003359510A JP4351022B2 JP 4351022 B2 JP4351022 B2 JP 4351022B2 JP 2003359510 A JP2003359510 A JP 2003359510A JP 2003359510 A JP2003359510 A JP 2003359510A JP 4351022 B2 JP4351022 B2 JP 4351022B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
iron
dust
mass
steel
content
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2003359510A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005118755A (ja
Inventor
哲哉 渡辺
山口  篤
友紀 草間
健介 近藤
郷志 土居
信広 武井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Mineral Co Ltd
Original Assignee
JFE Mineral Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JFE Mineral Co Ltd filed Critical JFE Mineral Co Ltd
Priority to JP2003359510A priority Critical patent/JP4351022B2/ja
Publication of JP2005118755A publication Critical patent/JP2005118755A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4351022B2 publication Critical patent/JP4351022B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Processing Of Solid Wastes (AREA)
  • Treatment Of Water By Oxidation Or Reduction (AREA)
  • Soil Conditioners And Soil-Stabilizing Materials (AREA)

Description

この発明は、有機ハロゲン化合物分解剤に関し、特に、有機ハロゲン化合物で汚染された土壌又は地下水の浄化剤に関するものである。
有機ハロゲン化合物は、優れた溶解力を持つ脱脂溶剤として、半導体製造業、金属加工業、クリーニング業などで広く使用されてきたが、使用後排出され或いは投棄された有機ハロゲン化合物による土壌或いは地下水の汚染が社会的に深刻な問題となっている。このような状況において、有機ハロゲン化合物に汚染された土壌或いは地下水の浄化方法についての提案が種々行われている。
例えば、特開平11−235577号公報(特許文献1)には、有機塩素化合物で汚染された土壌に鉄粉を添加・混合することにより、前記有機塩素化合物を分解して土壌を浄化する無害化処理方法が開示されている。
また、特開2000−135483号公報(特許文献2)には、鉄粉の微粒子を水又は泥水と一緒に土壌や地下水中に注入・攪拌・拡散することにより、土壌及び地下水中の汚染物質を原位置で浄化する方法が開示されている。
また、特開2001−198567号公報(特許文献3)には、10μm未満(好ましくは0.1〜6μm)の平均粒径を有する球状の鉄微粒子が水中に分散されている鉄微粒子スラリーを含む土壌浄化剤を汚染された土壌に浸透させることにより、土壌の浄化を行う方法が開示されている。
さらに、特開2003−190931号公報(特許文献4)には、有機ハロゲン化物によって汚染された土壌や地下水を浄化するために鉄粉として、鋳鉄や鉄鋼の鋳物の表面をショットブラストしたダストを用いる方法が開示されている。
特開平11−235577号公報 特開2000−135483号公報 特開2001−198567号公報 特開2003−190931号公報
しかし、上述の土壌中或いは地下水中に鉄粉を混合させて有機ハロゲン化合物を分解・浄化する方法(特に、前記特許文献1及び特許文献2)は、鉄粉による有機ハロゲン化合物の分解効果を得るために鉄粉の組成、粒径或いは比表面積を調整した粉末冶金用の特殊な鉄粉(製造鉄粉という)を用いており、鉄粉の製造コストが嵩んでいた。
これに対し、前記特許文献3には、鉄粉として鉄精錬の際の副産物である製鋼ダストを利用することで鉄粉のコスト削減を図れる旨が提案されている。しかし、前記ダストの粒径は、10μm未満、好ましくは0.1〜6μm、さらに好ましくは0.1〜3μmと微細な粒径のものを用いており、鉄精錬の際に回収された製鋼ダストを粗粒分別(60μmで)後、シックナーで濃縮化し、最終的にフィルタープレスにより微粒子のみを選別することにより得ているため、製造鉄粉と比較して経済的なメリットが少ない。さらに、10μm未満と微細化された鉄粉は表面が酸化され易く、鉄粉の表面が酸化されることにより、又、ダスト中の不純物が増加することにより有機ハロゲン化合物の分解効率が極端に減少する。そのため、前記鉄粉表面の酸化を防止するためにスラリー化した状態で保管、運搬等する必要があり保管或いは輸送のコストが嵩むという問題があった。
前記特許文献4のショットブラストダストは、粒径や表面積が土壌や地下水の浄化剤として好ましいものであったが、鋳物砂など有機ハロゲン化合物の分解に寄与しない物質が多く含まれており有機ハロゲン化合物の分解浄化能力が低く、またバラツキがあってそのままでは実用化に問題があることを本発明者らは確認した。
この発明は、これらの問題点を解決するためになされたもので、極めて安価、且つ、取り扱いが容易な浄化剤を用いることにより浄化費用の低減が図れる土壌及び/又は地下水の浄化方法及び浄化剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意検討の結果、スチールショットを鋼材表面に投射し研掃する際に生じるダストを集塵したショットブラストダストが金属鉄を含み有機ハロゲン化合物の分解能力を有することに着目した。ショットブラストダストは主に鋼材表面から研掃された金属鉄と鉄酸化物、スチールショットの粉砕粉からなる。ショットブラストダストのなかでもステンレス鋼を研掃したものが有機ハロゲン化合物の分解能力が大きいことを見出した。そして、さらに検討を進め、ステンレス鋼を研掃したショットブラストダストはニッケルの含有量が高いことを見出し、このニッケル含有量と有機ハロゲン化合物の分解能力との関係が他のショットブラストダストにもあることを見出した。
一方、亜鉛末を含有する塗料を塗装した鋼材(以下、塗装鋼という)を研掃したものは分解能力が極めて低く、分解能力がほとんどないことを見出した。さらに、塗装鋼を研掃したものは亜鉛末を含有する塗膜粉が混入し亜鉛の含有量が高いことを見出した。
本発明はこれらの知見に基づいてなされたものであり、スチールショットブラストを用いた、ニッケル含有量が0.1質量%以上、亜鉛含有量が1質量%未満で残りの主成分が金属鉄と鉄酸化物である有機ハロゲン化合物分解剤、さらに鉄酸化物含有量が3質量%以上である有機ハロゲン化合物分解剤、及びこれらよりなる土壌又は地下水の浄化剤を提供するものである。また、本発明の有機ハロゲン化合物分解剤としてニッケル含有量が0.1質量%以上のショットブラストダスト、ステンレス鋼を研掃したショットブラストダストを用いることができる。
以下、金属鉄を含むダストによって有機ハロゲン化合物を分解するメカニズムについて説明する。
まず、第一の分解メカニズムとしβ−水素脱離による有機ハロゲン化合物の分解反応について説明する。ここでβ−水素脱離とは、メタン化列炭化水素が自由電子e-の作用により水素が離脱しエチレン列炭化水素化合物に変換すること、またエチレン列炭化水素化合物が自由電子e-の作用により水素が離脱しアセチレン列炭化水素化合物に変換することである。
水分の存在下で金属鉄(零価の鉄)表面において局所的な鉄の酸化すなわちアノードとカソードの分極により自由電子e-が発生する。この自由電子により以下に示す脱塩素反応が生じる。
Fe → Fe2++2e-
R(X)y=R(X)z+2e- → R≡R + 2X- …(1)
ここでRとはCHnであり(n=0〜2)、XとはCl、Brなどのハロゲン物質(y、zはn=0の時2、n=1の時1、n=2の時0となる)で、代表的な例を以下に示す。
CH2=CCl2+2e- → CH≡CH + 2Cl-
CHCl=CCl2+3e- → CH≡CH + 3Cl-
CCl2=CCl2+4e- → CH≡CH + 4Cl-
次に第二の分解メカニズムである水素化分解について説明する。
水分の存在下で金属鉄(零価の鉄)粒子の表面ではアノードとカソードの分極が生じ、以下のような酸化還元反応的な脱塩素反応が生じる。
アノード:Fe→Fe2+
カソード:RX+H2O→RH+X+OH
ここで、RX:有機ハロゲン化合物、RH:炭化水素である。
例えば、有機ハロゲン化合物としてトリクロロエチレンでは、次式のような脱塩素反応が系全体で生じている。
2HCl3+3Fe+3H2O→C24+3Fe2++3Cl+3OH…(2)
上式(1)、(2)の反応速度は、金属鉄粒子の比表面積、表面活性度に大きく影響される。
本発明の有機ハロゲン化合物分解剤は金属鉄や、比表面積が大きく有機ハロゲン化合物の吸着に優れた酸化鉄を含むため、表面活性度が高く、有機ハロゲン化合物を効率よく分解することができる。
本発明の有機ハロゲン化合物分解剤として用いるショットブラストダストが他鉄粉より有機ハロゲン化合物の分解能力が優れている理由は、金属鉄の他、Niが存在している点である。Niはステンレス鋼をブラストすることでステンレス鋼表面が剥ぎ落とされショットブラストダストに含まれる。
Niの存在により効果が出るのは下記のように標準電極電位においてFeが卑、Niが貴になる関係であることが考えられる。
Fe2++2e→Fe −0.44V
Ni2++2e→Ni −0.257V
ショットブラストダストが水と接触したときに、これらの粒子表面は局部的にカルバニ電池反応による電位差が生じ、Feが電子を失うことにより他へ自由電子を供給するアノード反応(Fe→Fe2++2e)が、Feのみの場合に比べて加速(自由電子の供給量が増大)するため、式(1)、(2)に示される反応がより活発化することにより、分解効果が高まるものと考えられる。
亜鉛末を含有する塗料を塗装した鋼材(以下、塗装鋼という)を研掃したショットブラストダストは、亜鉛末を含有する塗膜粉が混入し亜鉛の含有量が高く、有機ハロゲン化合物の分解能力が極めて低く、分解能力がほとんどない原因は以下のように考えられる。すなわち亜鉛の存在が分解反応を阻害する原因は、標準電極電位がZnの方がFeより卑であることにより式(1)、(2)の分解メカニズムに支障を生じるものと考えられる。
このように本発明の有機ハロゲン化合物分解剤としてニッケル含有量が0.1質量%以上のショットブラストダスト、ステンレス鋼を研掃したショットブラストダストを用いることができる。ショットブラストダストは製鉄所、造船所、橋梁工場等で鋼材のミルスケールや錆や汚れを除去したり、表面加工を行うために研掃する際に発生するダストを集塵したものであるので、大量に供給することができ、極めて安価である。
本発明により、有機ハロゲン化合物の分解能力が極めて大きく、極めて安価かつ取扱いが容易な浄化剤を提供し、もって有機ハロゲン化合物に汚染された土壌や地下水を安価に効率よく浄化することができる。
本発明の有機ハロゲン化合物分解剤は、ニッケル含有量が0.1質量%以上で残りの主成分が金属鉄と鉄酸化物のものであり、また亜鉛含有量が1質量%未満であり、また鉄酸化物含有量が3質量%以上でのものである。
この有機ハロゲン化合物分解剤はニッケル含有量が0.1質量%以上、好ましくは0.3質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、また亜鉛含有量が1質量%以下、好ましくは0.3質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下のものである。また、鉄酸化物含有量が3質量%以上、好ましくは10質量%以上60質量%以下のものである。鉄酸化物は主にFe3、Fe、FeOであるが、これらに限定されるものではない。
ニッケル含有量が0.1%未満では上記の分解反応はニッケルを含有しない鉄と同程度になりニッケル存在によるガルバニ電極電位効果が得られないため自由電子の供給量が変わらず、分解反応は加速しない。また、亜鉛含有量が1%を超えると分解反応を大きく妨害することとなる。また鉄酸化物は有機ハロゲン化合物の吸着サイトとして作用し、近隣金属鉄による有機ハロゲン化物の分解を促す効果を有するが、鉄酸化物含有量が3%未満ではこの効果が得られない。ただし、鉄酸化物含有量が60%を超えると金属鉄からの自由電子の供給速度。供給量が低下し、分解反応が低下するので好ましくない。
ニッケル含有量の上限と亜鉛含有量の下限は特に制限されないが、実用的見知から、ニッケル含有量の上限が10質量%程度、通常含有量が0.5〜4質量%程度である。鉄、ニッケル等の形態は有機ハロゲン化合物の分解反応を進行しうるものであればよいが、通常は金属又は酸化物である。また本発明の有機ハロゲン化合物分解剤は金属鉄と鉄酸化物を20〜90%、通常30〜70%含有する。
本発明の有機ハロゲン化合物分解剤としては、スチールショット(スチールグリットを含む)等を例えば、ステンレス鋼、低合金鋼等ニッケルを含有する鋼材表面にブラストして、鋼材表面から剥離した鉄粉や研掃材の粉砕粉を集塵したショットブラストダストを用いることができる。スチールショットは鉄を主成分とするものであればよい。このショットブラストダストの粒径は、平均粒径で100μm程度、通常1〜250μm程度である。
上記のショットブラストダストは他のショットブラストダストあるいは鉄粉等と混合して用いることができる。混合する他のショットブラストダストの例としては普通鋼材、鉄鋳物等にスチールショットをブラストしたものが挙げられ、鉄粉の例としては、スチールショットの未使用品、その粉砕品、製造鉄粉等や鋼材切削粉、製鉄過程で発生する金属鉄を含有するダスト、スチールショット製造過程で発生するダスト等を挙げることができる。
一方、亜鉛含有量の多いもの、例えば亜鉛末を含有する塗料の塗装鋼や亜鉛メッキ品をショットブラストした際のダストなどは好ましくない。
混合割合としては、混合物における質量%で上記ステンレス鋼をブラストしたダストが5〜99%程度、好ましくは10%以上であり、混合物におけるニッケルの含有量が0.1%以上、好ましくは0.3%以上となるようにするのがよい。
本発明の浄化剤の浄化対象有機ハロゲン化合物としては、例えば、ジクロロメタン、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、1,1―ジクロロエチレン、cis−1,2−ジクロロエチレン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、1,3−ジクロロプロペン、PCB、有機ブロム化合物等がある。
本発明の浄化剤を用いて土壌及び/又は地下水を浄化する方法としては、例えば、土壌及び/又は地下水中に浄化剤を混合する方法を用いることができる。なお、従来技術に係る製造鉄粉を用いて土壌或いは地下水を浄化する方法における製造鉄粉の代わりとして、本発明の浄化剤を用いることができることはいうまでもない。
ここで、土壌中に浄化剤を混合する方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、有機ハロゲン化合物で汚染された土壌を掘り起こし、その掘り起こした土壌と浄化剤とをパドルミキサー、バケットミキサー、ニーダー或いはブレンダーなどの混合装置で攪拌・混合した後、埋め戻す方法を用いることができる。或いは、原位置処理として、例えばスクリュー状の攪拌機の先端から浄化剤を吐出させながら攪拌・混合する方法を用いることできる。
なお、浄化剤の添加量は浄化対象土壌の汚染の程度によっても異なるが、土壌に対する浄化剤の添加割合は、0.5〜10質量%となるように添加するのが好ましい。さらに、浄化剤中の金属鉄表面が外気酸素との反応により酸化し、酸化皮膜を生成すると反応性が低下するので、土壌との混合後はできるだけ外気との接触を避けることが好ましい。また、反応を均一、且つ、速やかに進行させるためには、土中の水分を維持することが望ましいことから、混合後の土壌の乾燥を防ぐため、不透水性シートなどで混合土壌の地表全体を覆うことが好ましい。
また、地下水の浄化方法としては、有機ハロゲン化合物で汚染された地下水中に前記浄化剤を直接混合してもよいが、例えば、浄化剤を含む砂や砕石の円柱を地中に列状に配置して地下水浄化壁を構築し、これにより有機ハロゲン化合物で汚染された地下水を浄化する方法を用いてもよい。
また、土壌及び/地下水中の有機ハロゲン化合物の分解反応をより速やかに進めるために、前記浄化剤に含まれる金属鉄の表面は活性化させておくことが好ましい。ここで、表面活性度とは、粒子比表面積或いは粒子表面金属の酸化状態を意味し、粒子比表面積が大きいほど、又、粒子表面金属の酸化比率が低いほど表面活性度は高い。但し、酸化鉄皮膜は有機ハロゲン化合物の吸着サイトとして作用し、近隣金属鉄による有機ハロゲン化物の分解を促す効果も有するため、少なすぎることは好ましくない。
前記浄化剤に含まれる金属鉄の表面を活性化させる方法としては、酸により金属鉄の表面を活性化させる方法、或いは、摩耗及び/又は粉砕処理により金属鉄の表面を活性化させる方法を用いることができる。なお、前記酸としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸などの鉱酸を用いることが好ましい。
前記酸により金属鉄の表面を活性化させる方法としては、酸の溶液内にショットブラストダストを入れ、混合攪拌することにより金属鉄表面の酸化膜を剥離、溶解させて金属鉄表面を露出させることにより活性度を向上させる方法を用いることができる。なお、酸として鉱酸を用いる場合、鉱酸の濃度は重量比で、鉱酸1重量部に対し水1重量部以上、鉱酸1重量部に対し水20重量部以下に希釈したものを用いることが好ましい。鉱酸濃度が1/2重量部より高い場合は金属鉄粒子自体が溶解して処理後のダスト歩留まりが高くなる。また、鉱酸濃度が1/21重量部より低い場合は金属鉄表面の酸化膜の剥離が不十分になり表面活性度が上がらない。なお、鉱酸による表面活性化処理をしたダストには鉱酸が付着しており、これをそのまま放置すると金属鉄表面に酸化皮膜を再度生成するため、水による洗浄によって表面に付着した鉱酸を洗い流す必要がある。洗浄後は水分量を10重量%以上に保つことで金属鉄表面の酸化を防ぐことができる。
前記磨耗により金属鉄の表面を活性化させる方法としては、例えば、物理的に粒子同士を擦り合わせることにより、金属鉄表面の酸化皮膜を剥離する方法を用いることができる。粒子同士を擦り合わせる方法は特に限定はされないが、例えば、アトライター、ニーダー、トップグラインダー、アイリッヒミキサーやヘンシェルミキサーなどにより酸化皮膜の剥離が可能である。
前記粉砕処理により金属鉄の表面を活性化させる方法としては、例えば、ロール型ミル、ボールミル、インペラーブレーカー、衝撃粉砕機などがあげられる。粉砕後は分級機などにより酸化皮膜や、細粒不純物を分離除去することで表面活性ダストを得ることができる。
有機ハロゲン化合物分解剤として、製鉄所内で回収する3種のショットブラストダストを種々の比率で混合したものを用いて、分解性能を評価した。
1.供試材
1.1供試ショットブラストダスト
ショットブラストダストは、ステンレス鋼をブラストしたショットブラストダスト(以下、SUSダストという)、普通鋼とステンレス鋼をブラストしたショットブラストダストで普通鋼とステンレス鋼のブラスト処理量の比率が9:1であるショットブラストダスト(以下、混合ダストという)、亜鉛末を含有する塗料を塗装した鋼材を含む普通鋼をブラストしたショットブラストダスト(以下、塗装鋼ダストという)を用いた。
SUSダスト、混合ダスト、塗装鋼ダストの粒度と比表面積(BET法による測定値)を表1に示す。
Figure 0004351022
上記、各ショットブラストダストの成分分析を行った結果を表2に示す。
Figure 0004351022
SUSダストのニッケル含有率が他の供試材にくらべて高く、塗装鋼ダストの亜鉛含有率が他の供試材にくらべて高いことが認められた。
1.2供試混合材
上記の3種のショットブラストダストを種々の比率で混合し、表3に示すようにニッケル、亜鉛、鉄酸化物の含有率を調整したものを調製した。
2.分解性能評価試験
有機ハロゲン化合物として、最も汚染発覚件数の多い物質であるトリクロロエチレン(以下、TCE)を用いて分解性能評価試験を行った。
2.1 分解性能評価試験方法
1)分解試験液の作成方法
容積30mlのバイアル瓶に前記のスチールショット又はショットブラストダスト(以下、まとめて鉄粉という。)を添加した。鉄粉の添加量は、乾燥状態のものは、1.25g、湿潤状態のものは乾燥状態に換算しその分増量した。この瓶に市販のミネラルウォーターを25m添加し液量に対する鉄粉量を5質量%とした。ここに、TCE標準原液1000mg/lを125μl添加し、素早くテフロン(登録商標)コートゴムセプタムを装着してアルミシールで密封した。この液中TCE濃度は5mg/lである。また、このバイアル瓶にできるヘッドスペースは約2%であった。以上の操作を繰り返して、試験に必要な本数の反応試験瓶を調整した。
2)分解試験
1)で作成したバイアル瓶をレシプロ振盪器に装着して、25℃の一定温度の環境下でバイアル瓶の内部液が均一に保たれるよう100rpmで所定日数振盪した。
3)分析
所定日経過後、バイアル瓶を取り出し、20分間静置して内部の鉄粉を沈降させた。アルミシールとテフロン(登録商標)コートゴムセプタムを外し、所定量の上澄み液を採取し、JISK0125 5.4.1による方法でTCEの分析を行った。所定時間経過後のTCE濃度(C)と初期のTCE濃度(C0)との比率を残存率C/C0として、残存率C/C0が0.2以下であれば分解効果があると評価した。
2.2試験結果
試験結果を表3に示す。ニッケル、亜鉛、鉄酸化物の全ての含有率を本発明の範囲に調整したもの(実施例1〜7)、酸化鉄または亜鉛の含有量が本発明の範囲外であってもニッケル含有量が0.5%のもの(実施例8、10)、及び酸化鉄の含有量が本発明の範囲未満であってもニッケル含有量が0.1%で亜鉛含有量が0.002%とかなり低いもの(実施例9)では7日間経過時点でのTCE残存率C/C0が0.2以下となり、分解効果があることを確認した。またニッケル、亜鉛、酸化鉄の含有量が本発明の範囲を満たす場合にはニッケル含有量が高いものほど短時間でTCE残存率C/C0が各段に減少しており、高い分解効果が認められた。一方、ニッケル含有量が0.1%未満のもの(比較例1,2)では分解効果が認められない。
Figure 0004351022
本発明の有機ハロゲン化合物分解剤は、安価に、大量に入手できるものでありながら、トリクロロエチレン等の有機ハロゲン化合物の分解能が大きく、これらで汚染された土壌や地下水の浄化剤として活用できる。さらに6価クロムの還元剤や溶出低減剤としても有用である。
スチールショットや各種のショットブラストダストによるトリクロロエチレンの分解挙動を示すグラフである。 スチールショットや各種ショットブラストダストの混合品によるトリクロロエチレンの分解挙動を示すグラフである。 鉄粉とそれにニッケルを添加したものによるトリクロロエチレンの分解挙動を示すグラフである。

Claims (5)

  1. スチールショットを鋼材表面に投射し研掃する際に生じるダストを集塵したショットブラストダストを含み、ニッケル含有量が0.1質量%以上、亜鉛含有量が1質量%未満、残りの主成分が金属鉄と鉄酸化物である有機ハロゲン化合物分解剤。
  2. スチールショットをステンレス鋼材表面に投射し研掃する際に生じるダストを集塵したショットブラストダストを含み、ニッケル含有量が0.1質量%以上、亜鉛含有量が1質量%未満、残りの主成分が金属鉄と鉄酸化物である有機ハロゲン化合物分解剤。
  3. 鉄酸化物含有量が3質量%以上である請求項1又は2に記載の有機ハロゲン化合物分解剤。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載の有機ハロゲン化合物分解剤よりなる土壌又は地下水の浄化剤。
  5. 請求項1又は2に記載の有機ハロゲン化合物分解剤を酸の溶液に入れて金属鉄表面の酸化膜を除去することを特徴とする有機ハロゲン化合物分解剤の表面活性化方法。
JP2003359510A 2003-10-20 2003-10-20 有機ハロゲン化合物分解剤 Expired - Fee Related JP4351022B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003359510A JP4351022B2 (ja) 2003-10-20 2003-10-20 有機ハロゲン化合物分解剤

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003359510A JP4351022B2 (ja) 2003-10-20 2003-10-20 有機ハロゲン化合物分解剤

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005118755A JP2005118755A (ja) 2005-05-12
JP4351022B2 true JP4351022B2 (ja) 2009-10-28

Family

ID=34615713

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003359510A Expired - Fee Related JP4351022B2 (ja) 2003-10-20 2003-10-20 有機ハロゲン化合物分解剤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4351022B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CA2593946A1 (en) 2006-11-14 2008-05-14 Tosoh Corporation Iron powder for organic chlorinated compound decomposition and detoxifying treatment method using the same
JP2009050818A (ja) * 2007-08-29 2009-03-12 Jfe Mineral Co Ltd 汚染土壌および汚染地下水の浄化方法
JP6385870B2 (ja) * 2015-03-24 2018-09-05 アイシン高丘株式会社 砒素除去剤

Also Published As

Publication number Publication date
JP2005118755A (ja) 2005-05-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4351022B2 (ja) 有機ハロゲン化合物分解剤
JP5082043B2 (ja) 有機ハロゲン化合物含有水の処理方法
CN101146617B (zh) 有机卤素类化合物分解剂的制造方法
JP4448951B2 (ja) 有機ハロゲン化合物分解剤の製法
CN101181660A (zh) 用于有机氯化化合物分解的铁粉及使用其的去毒处理方法
JP2003136051A (ja) 有機ハロゲン化合物分解用金属粉、およびそれを用いた土壌の浄化方法
JP2005139328A (ja) 有機塩素化合物除去剤及び有機塩素化合物除去方法
JP2008142693A (ja) 有機塩素化物分解用鉄粉、その製造方法及びそれを用いた無害化処理方法
JP2004057881A (ja) 有機ハロゲン化合物で汚染された被処理物用無害化処理剤、その製造方法及びそれを用いた無害化処理方法
JP2005240128A (ja) 土壌浄化用鉄粉の製造方法および製造装置
JP4848540B2 (ja) 有機ハロゲン化合物分解用金属粉およびその製造方法、並びにそれを用いた土壌等の浄化方法
JP2004149829A (ja) 鉄粉の製造方法および土壌浄化剤
JP5197327B2 (ja) 有機ハロゲン化合物に汚染された土壌・地下水の浄化剤の製造方法
JP4786936B2 (ja) 有機ハロゲン化合物処理材
JP4833505B2 (ja) 浄化用鉄系粉末
JP4127102B2 (ja) 有機ハロゲン化合物で汚染された被処理物の無害化処理方法
JP4843776B2 (ja) 有機ハロゲン分解用金属粉およびその製造方法
JP2010194451A (ja) 有機ハロゲン化物浄化剤及びそれを用いた浄化方法
JP4479890B2 (ja) 土壌・地下水の浄化処理用浄化剤及びその製造法並びに土壌・地下水の浄化処理方法
JP4345493B2 (ja) 土壌浄化剤及び土壌浄化方法
JP4904309B2 (ja) 有機ハロゲン化合物処理材および有機ハロゲン化合物の処理方法
JP2004305235A (ja) 有機ハロゲン化合物で汚染された被処理物の無害化処理法
JP5076246B2 (ja) 有機ハロゲン化合物分解剤の製造法
JP5148572B2 (ja) 有機ハロゲン化合物の分解材及びその製造方法
JP2013208527A (ja) 土壌・地下水・廃水の浄化処理用鉄複合粒子粉末、当該鉄複合粒子粉末を含む浄化剤及び有機ハロゲン化合物で汚染された土壌・地下水・廃水の浄化処理方法

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20051122

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20051122

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20051122

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060120

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20061004

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20061006

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20061004

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20081002

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20081007

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20081204

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20090708

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20090723

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120731

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4351022

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130731

Year of fee payment: 4

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140731

Year of fee payment: 5

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R370 Written measure of declining of transfer procedure

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R370

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R370 Written measure of declining of transfer procedure

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R370

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees