JP2010240636A - 有機ハロゲン系化合物の分解剤及びその製造法並びに土壌又は水の浄化法 - Google Patents

有機ハロゲン系化合物の分解剤及びその製造法並びに土壌又は水の浄化法 Download PDF

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Abstract

【課題】土壌や水に含有される有機ハロゲン系化合物、特に難分解性のBHCが簡易かつ短期で分解可能であって有害かつ難処理の副生成物が残留しない分解剤及び該分解剤の製造法並びにBHC等の有機ハロゲン系化合物で汚染された土壌や水を該分解剤を用いて浄化する方法を提供する。
【解決手段】撹拌状態にある鉄粉に対して銅溶液を添加し該液中の銅イオンを該鉄粉と置換させて該鉄粉の粒子表面の一部に銅を析出させて有機ハロゲン系化合物分解剤を得る。
該分解剤は、鉄粉粒子表面の一部に銅が存在する粒子で構成された銅含有鉄粉からなり、銅含有量は0.1〜20質量%、平均粒径が0.1〜500μm、比表面積が0.1〜30m2/gが好ましい。
該分解剤を有機ハロゲン系化合物を含有する土壌又は水に添加して該有機ハロゲン系化合物を分解する。
【選択図】図1

Description

本発明は、土壌や水に含有されるヘキサクロロシクロヘキサン等の有機ハロゲン系化合物を分解するための分解剤及び該分解剤を製造する方法並びにヘキサクロロシクロヘキサン等の有機ハロゲン系化合物で汚染された土壌や水を該分解剤によって浄化する方法に関するものである。
有機ハロゲン系化合物、特に、ヘキサクロロシクロヘキサン(1,2,3,4,5,6−Hexachlorocyclohexane、BHC又はHCHともいう。以下ではBHCと記載する。)、その中でもγ−BHCは有機塩素系農薬として広く使用されてきたが、その残留性の高さから環境汚染源となる可能性がある。このため、これらBHCを含めた有機ハロゲン系化合物について種々の処理方法が提案されている。
例えばBHCで汚染された土壌等を高温で加熱燃焼させる燃焼法が採用されているが、加熱分解処理の際に大量に発生するダイオキシン類を分解するか、またはダイオキシン類の発生の抑制をしなければならないという問題がある。
また、下記の特許文献1には、難分解性有機ハロゲン系化合物を含有する土壌、汚泥等の汚染物から、沸点が80〜200℃の芳香族系炭化水素又は脂環式炭化水素からなる溶剤により前記難分解性有機ハロゲン系化合物を抽出し、抽出された難分解性有機ハロゲン系化合物に、沸点がアルカリ金属の融点よりも高い芳香族系炭化水素からなる分散媒にアルカリ金属を分散させたアルカリ金属分散体を反応させて、前記難分解性有機ハロゲン系化合物を脱ハロゲン化処理する方法が提案されている。
しかし、この提案では、加熱が必要となり、浄化に大掛かりな工事を要するという問題があるのが現状である。
特開2004−113907号公報
本発明は、従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、土壌や水に含有される有機ハロゲン系化合物、特に、難分解性のBHCを簡易かつ短期で分解可能な分解剤、及び該分解剤を製造する方法、並びに該分解剤を用いて土壌や水に含まれる有機ハロゲン系化合物を分解し、かつ分解処理により、副生成物として土壌や水から除去しやすい物質を得ることを目的とする。
前記課題を解決するための手段は以下の通りである。即ち、
[1]鉄粉粒子表面の一部に銅が存在する粒子で構成された銅含有鉄粉からなる有機ハロゲン系化合物の分解剤である。
なお、特に注釈のない限り、鉄粒子及び鉄粉は金属鉄、酸化鉄、これらの混合物又はこれらに不可避不純物を含むものを示す。銅は金属銅の他、例えば、酸化銅、硫化銅、硫酸銅、塩化銅などの銅化合物も含むものとする。
[2]前記銅含有鉄粉は銅含有量が0.1〜20質量%である前記第1記載の分解剤である。
なお、質量%を単に%ということがある。
[3]前記銅含有鉄粉は平均粒径が0.1〜500μmである前記第1または第2に記載の分解剤である。
ここで平均粒径とは、特にことわりのない限り、レーザー回折式粒度分布測定装置において測定した値であって、横軸を粒径、縦軸を累積頻度分布にとりグラフ化した場合の、累積頻度50%にあたる粒径(50%粒径、D50ともいう。)を示すこととする。同様に定義する10%粒径(D10と表す。)、90%粒径(D90と表す。)と併せて、粒度分布を示す場合もある。
[4]前記銅含有鉄粉は比表面積が0.1〜30m2/gである前記第1〜第3のいずれかに記載の分解剤である。
[5]前記有機ハロゲン系化合物がヘキサクロロシクロヘキサンである前記第1〜第4のいずれかに記載の分解剤である。
[6]撹拌状態にある鉄粉に対して銅溶液を添加し該液中の銅イオンを該鉄粉中の鉄と置換させて該鉄粉の粒子表面の一部に銅を析出させた後、液分を除去することからなる有機ハロゲン系化合物分解剤の製造法である。
[7]前記銅溶液が硫酸銅、塩化銅、硝酸銅、酢酸銅のいずれかの銅溶液である前記第6記載の製造法である。
[8]前記鉄粉は平均粒径が1〜500μmである前記第6または第7に記載の製造法である。
[9]前記鉄粉は比表面積が1〜30m2/gである前記第6〜第8のいずれかに記載の製造法である。
[10]前記鉄粉は鉄酸化物を還元して製造された還元鉄粉である前記第6〜第9のいずれかに記載の製造法である。
[11]前記鉄粉はポーラス状の鉄粉である前記第6〜第10のいずれかに記載の製造法である。
[12]前記有機ハロゲン系化合物がヘキサクロロシクロヘキサンである前記第6〜第11のいずれかに記載の製造法である。
[13]前記第1〜第5のいずれかに記載の分解剤を有機ハロゲン系化合物を含有する土壌又は水に添加して該有機ハロゲン系化合物を分解する浄化法である。
[14]前記土壌に対する前記分解剤の添加量が0.1〜20質量%である前記第13記載の浄化法である。
[15]前記水に対する前記分解剤の添加量が0.1〜20質量%である前記第13記載の浄化法である。
[16]前記有機ハロゲン系化合物がヘキサクロロシクロヘキサンである前記第13〜第15のいずれかに記載の浄化法である。
[17]前記ヘキサクロロシクロヘキサンの分解によって副生したベンゼンを揮発させて回収する前記第16記載の浄化法である。
[18]前記ヘキサクロロシクロヘキサンの分解によって副生したベンゼンを微生物を利用して分解する前記第16記載の浄化法である。
本発明によれば、従来における諸問題を解決することができ、簡易かつ短期での有機ハロゲン系化合物、特に、難分解性のBHCを簡易かつ短期で分解可能な分解剤、及び該分解剤を製造する方法、並びに該分解剤を用いて土壌や水に含まれる有機ハロゲン系化合物を分解し、かつ分解処理により、副生成物として土壌や水から除去しやすい物質を得ることができる。
本発明に係る銅含有鉄粉のSEM写真(拡大倍率100倍)である。 本発明に係る銅含有鉄粉のSEM写真(拡大倍率1000倍)である。
本発明において分解の対象とする有機ハロゲン系化合物は、いわゆる塩素基を有する揮発性有機化合物(VOCs)を含み、例えばジクロロメタン、四塩化炭素、1、2−ジクロロエタン、1、1−DCE、cis−1、2−DCE、1、1、1−トリクロロエタン、1、1、2−トリクロロエタン、TCE、テトラクロロエチレン、1、3−ジクロロプロペン、トランス−1、2−ジクロロエチレン、トリハロメタン、PCB、ダイオキシン等を含むが、特に難分解性のBHCをも分解処理することができる点に特徴がある。
本発明に係る分解剤は、上記のような有機ハロゲン系化合物で汚染された水、土壌、無機物、有機物、またはこれらの複合物などを対象として、それらに含有される有機ハロゲン系化合物を分解することができる。特に環境分野においては、上記有機ハロゲン系化合物で汚染された排水、地下水、土壌、排ガス等の浄化に用いることができる。
本発明に係る分解剤は、分解剤粒子表面と有機ハロゲン系化合物の接触点における電気化学反応により、分解剤と有機ハロゲン系化合物間での電子需給が生じ、有機ハロゲン系化合物の脱塩素反応を生じさせる作用を示すものであって、鉄粉粒子表面の一部に銅が存在する鉄粒子で構成された銅含有鉄粉からなり、その銅含有量は0.1〜20質量%が好ましい。0.1質量%未満では分解機能が不足し、一方、20質量%を超えると分解機能の更なる向上はみられずコスト高となる。なお、鉄粉粒子表面全体が銅で完全に覆われてしまうと、有機ハロゲン系化合物分解剤としての機能が低下する。
本発明に係る銅含有鉄粉は平均粒径が0.1〜500μm、比表面積が0.1〜30m2/gであるのが好ましい。
この銅含有鉄粉の平均粒径が500μmを超える場合、比表面積が0.1m2/g未満の場合は、いずれも分解機能が不足することがある。一方、この銅含有鉄粉の平均粒径が0.1μm未満の場合、比表面積が30m2/gを超える場合は、いずれも分解機能の更なる向上はみられず、更には、粉塵が発生しやすく且つ表面が過度に活性化して空気中での取り扱いにおいて急激な酸化反応に伴う火災等が発生する危険性がある。
本発明に係る分解剤の製造に当っては、撹拌状態にある鉄粉に対して銅溶液を添加し該液中の銅イオンを該鉄粉と置換させて該鉄粉の粒子表面の一部に銅を析出させた後、液分を、例えば濾過などの固液分離または蒸発などによって、除去して有機ハロゲン系化合物分解剤を製造する。
本発明に係る分解剤の製造に供する上記の銅溶液の種類は特に限定されないが、硫酸銅、塩化銅、硝酸銅、酢酸銅のいずれかの銅溶液が好ましい。
また、銅溶液中の銅量は、製造されるべき銅含有鉄粉量の0.1〜20質量%が好ましい。
本発明に係る分解剤の製造に供する鉄粉は特に限定されないが、還元鉄粉、ポーラス状鉄粉が好ましい。
ここで、ポーラス状鉄粉とは、鉄粉を構成する粒子群が、それぞれ内部に大小さまざまな空孔をもつことを意味する。これら空孔は、粒子外部に開口している場合も、粒子内部に埋没して開口していない場合もある。
還元鉄粉としては、鉄鉱石(酸化鉄)の還元により製造されたものが好ましい。
上記の鉄粉は鉄(=金属鉄)を主成分としていればよく、2次汚染源となるクロム、鉛等の成分を含有しないものが好ましい。前記鉄粉の組成については、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、全鉄が80質量%以上、金属鉄が75質量%以上であることが好ましい。
なお、前記還元鉄粉としては市販品を用いることができ、該市販品としては、例えばDOWA IPクリエイション株式会社製の還元鉄粉(ロータリーキルン粉)などを好適に用いることができる。
前述の分解剤の製造に供する鉄粉としては平均粒径1〜500μm、比表面積1〜30m2/gの鉄粉を使用することによって、平均粒径が0.1〜500μm、比表面積が0.1〜30m2/gの銅含有鉄粉を効率的に製造することができる。
本発明に係る分解剤の添加量は有機ハロゲン系化合物で汚染された土壌に対しては0.1〜20質量%であることが好ましく、0.1質量%未満では分解機能が不足し、一方、20質量%を超えると分解機能の更なる向上はみられずコスト高となる。
また、本発明に係る分解剤の添加量は有機ハロゲン系化合物で汚染された水に対しては0.1〜20質量%であることが好ましく、0.1質量%未満では分解機能が不足し、一方20質量%を超えると分解機能の更なる向上はみられずコスト高となる。
BHCは、C66Cl6の化学式を有し、シクロヘキサンの各炭素に付加した2つの水素基のうち1つがそれぞれ塩素基に置換された構造を持つ。BHCはいくつかの立体配座異性体を持ち、その中でもγ体はリンデンと呼ばれ、有機塩素系農薬として一般的に広く使用されていた。
BHC等の有機ハロゲン系化合物は水への溶解度が非常に低いため、土壌中での物質移動が小さく、また、水中で均一分布しない。このためBHC等の有機ハロゲン系化合物と分解剤との接触機会を増加させるため、適宜汚染土壌の混練、汚染水の撹拌又は振とうを行なうことが好ましい。
分解剤によるBHC等の有機ハロゲン系化合物の分解後にBHC等の分析を行い、浄化確認を行う。BHC等が指針値をクリア(目標濃度を達成)した時点で、残留するベンゼンを揮発させた後に回収処理を行い、浄化土壌を得る。
本発明に係る浄化方法は、脱ハロゲン(例えば塩素)速度が早いので、短期の浄化が可能となる。副生成物としてはハロゲンイオン(例えば塩化物イオン)と脱ハロゲン化された有機物(BHCの場合はベンゼン)が生成する。BHCの場合は、ベンゼンを揮発させた後に回収処理することにより安全かつ簡易な処理が可能である。また処理対象土壌中においてベンゼンを分解する微生物を添加または培養するなどの方法を用いても良い。
例えば、BHC分解剤によってBHCの浄化が確認された土壌について、油処理剤(例えば、合資会社ニワコーポレーション・バイオ製「油取りクリーナー」及び「オイルスポンジ」)を混合することにより、BHCの分解副生成物として生成されたベンゼンを分解処理することができる。また、窒素、リンなどを含む栄養塩や酸素を土壌中に供給することにより、元土若しくは水に含有され環境中に普遍的に存在する種類の微生物を活性化させ、この微生物の代謝能を利用して、処理対象となる灯油や軽油などのような低沸点の石油系化合物を分解させる技術(バイオスティミュレーション技術)により、土壌中に残留するベンゼンを分解処理することもできる。
微生物処理は、浄化期間が長期化となるが、処理コストが低いなど有意な点もある。
本発明に係る分解剤の汚染土壌又は汚染水への付与方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記分解剤を水に分散させた状態で汚染土壌に噴霧したり、汚染土壌に散水したり、また、汚染水と混合したりして使用することができる。
また、汚染土壌の浄化方法としては、例えば従来の工法に用いるアースオーガ等の重機をそのまま用いることも可能である。また、分解剤の保管は、フレコン、紙袋等の市販の包装容器で十分であり、ハンドリング及び保管のいずれにおいても優れている。
なお、本発明に係る分解剤は汚染土壌または汚染水の浄化に用いた後に、浄化後の土壌または水から磁力選別により回収することができ、回収された分解剤は新たな汚染土壌または汚染水に添加して再度の浄化に繰り返し用いることができ、この点でも汚染土壌または汚染水の浄化の低コスト化を実現することができる。
[実施例1](銅含有鉄粉の製造)
サンプルミル内において撹拌状態にある平均粒径30.2μm、比表面積2.52m2/gのポーラス状の還元鉄粉(DOWA IPクリエイション株式会社製、ロータリーキルン粉)100gに対して銅濃度5質量%の硫酸銅水溶液20ミリリットル(mLと表す。)を添加し1分間撹拌することによって銅イオンを鉄粉と置換反応させて鉄粉の粒子表面の一部に金属銅を析出させ、液分を除去した後に、窒素雰囲気中において105℃で12時間乾燥し、その後にサンプルミルで解砕することによって鉄粉粒子表面の一部に銅が存在する銅含有量0.97質量%、平均粒径25.9μm、比表面積が7.30m2/gの粒子からなる銅含有鉄粉を得た。
なお、銅含有量の分析値は、JISM8121に準ずるICP発光分析方法にて求めた。また、平均粒径は、Sympatec社の粒度分布測定装置(HELOS)を用いて測定した。比表面積は、Quantachrome社の比表面積測定装置(MONOSORB)を用いてBET1点法にて求めた(脱気条件:温度…110℃、時間…20分)。
得られた銅含有鉄粉の透過型電子顕微鏡(SEM)写真を図1(拡大倍率100倍)及び図2(拡大倍率1000倍)に示す。電子顕微鏡写真は日本電子株式会社の電子顕微鏡JSM−6700Fを用いて観察・撮影した。
[実施例2](BHC含有溶液の浄化)
あらかじめ、BHCの各種の立体構造異性体(α、β、γ、δ)ごとにBHC含有溶液の調製を行なった。
すなわち、各メタノール5mLに所定量の各種BHCを添加して振とう(シェーカーによる撹拌操作をいう。以下同様。)し溶解させた溶液にイオン交換水1リットル(Lと表す。)を添加して120rpmで2時間振とうし、BHC含有溶液(被浄化液)を調製した。
得られたBHC含有溶液の濃度は、α−BHCが20000μg/L、β−BHCが17000μg/L、γ−BHCが22000μg/L、δ−BHCが18000μg/Lであった。
前記のBHC含有溶液(被浄化液)100mLに前記(実施例1)の銅含有鉄粉を1g添加し、容量124mLのバイアル瓶に密閉し120rpmで5日間振とうした。比較例1として、同じBHC含有溶液(被浄化液)を用いて、銅含有鉄粉を添加しない以外は全て同じ条件で試験サンプルを調製し、同条件で振とうした。その浄化の結果を下の表1に示す。
検液のBHC溶出量については、検液のヘキサン抽出、フロリジルカラムによる分離処理を行った後に、GC−MSにて定性及び定量を行った。
分解剤添加により、異性体により差は見られるものの、99.8%〜99.992%という高い分解率でBHCの分解が進行したことがわかった。さらに、分解剤による処理に伴い、BHCはベンゼンと塩化物イオンに分解されたことが確認できた。
なお、BHCの分解によって副生したベンゼンは処理後水から揮発させて回収するとともに、反応終了後のスラリーを磁力選別することによって分解剤(表面の一部に銅が存在する鉄粒子からなる粉末)を回収した。この回収された分解剤は、新たな分解反応に触媒として再度用いた。
[実施例3](BHC含有土壌の浄化)
BHCの漏洩による汚染を受けた実汚染土壌のサンプルとして、α−BHC濃度が69μg/L、β−BHC濃度が30μg/L、γ−BHC濃度が1.9μg/L、δ−BHC濃度が1.7μg/Lである土壌を用意し、これらサンプルについて、前記(実施例1)の銅含有鉄粉添加による処理を実施した。
すなわち、BHC含有土壌(被浄化土壌)1000gに前記(実施例1)の銅含有鉄粉を10g添加し、密閉容器中で15℃に温度設定された恒温室内にて5日間保管した後に濃度を測定した。
土壌サンプルのBHC濃度は、浄化処理前、浄化処理後の各土壌100gと水1000mLを混合し、6時間振とうした後に濾過を行い、得られた濾液を分析することで測定した。
比較例2として、同じ土壌を用い、銅含有鉄粉を添加しない以外は同様に処理した。
その浄化の結果を下の表2に示す。
分解剤添加により、土壌中に含有されるいずれの異性体についてもBHCの分解が進行し、総BHC量が土壌溶出指針値(13μg/L)を下回る値まで溶出値が低下することがわかった。分解剤による処理に伴い、BHCはベンゼンと塩化物イオンに分解されるが、生成されたベンゼンは加熱による土壌からの脱離、活性炭による吸収処理を用いて適切に処理することができた。
なお、BHCの分解によって副生したベンゼンは処理後土壌から揮発させて回収するとともに、反応終了後の土壌を磁力選別することによって分解剤(表面の一部に銅が存在する鉄粒子からなる粉末)を回収した。この回収された分解剤は、新たな分解反応に触媒として再度用いた。
[実施例4](銅含有鉄粉の製造)
ダルトン製混合撹拌機(形式:600MM−rr/Qr)の加熱用油ジャケットの温度を150℃に設定し、平均粒径30.2μm、比表面積2.52m2/gの鉄粉(DOWA IPクリエイション株式会社製、ロータリーキルン粉)800kgと硫酸銅(小名浜製錬株式会社製)31.4kgを仕込み、30分間の撹拌を行った。撹拌状態にある混合粉に対して、工業用水40kgをチューブポンプを用いて20分間で滴下した。工業用水の滴下後は、加熱状態のまま粉体が乾燥状態になるまで約3時間撹拌を続けた。乾燥終了後、粉体を混合撹拌機からコンテナへ排出し、室温で冷却し、銅含有量0.94質量%、BET(比表面積)が4.78m2/g、平均粒径D50が2.21μm(D10は0.50μm、D90は6.67μm)の銅含有鉄粉を得た。
なお、評価方法や装置等は実施例1と同様である。
[実施例5](BHC含有溶液の浄化)
実施例4で得られた銅含有鉄粉を用い、BHC含有溶液(被浄化液)の初期濃度を変えた以外は、実施例2、比較例1と同様にして、実施例5、比較例3を行った。
この実施例5、比較例3について、浄化試験開始後5日目での各BHC残留量を測定し、その浄化の結果を下の表3に示す。
実施例5においても、実施例2の場合と同様に、分解剤添加により、異性体により差は見られるものの、98.2%〜99.993%という高い分解率でBHC含有溶液の浄化が進行したことが確認できた。
[実施例6](BHC含有土壌の浄化)
BHCの漏洩による汚染を受けた実汚染土壌のサンプルとして、α−BHC濃度が3.0μg/L、β−BHC濃度が1.0μg/L、γ−BHC濃度が0.15μg/L、δ−BHC濃度が0.06μg/Lである土壌を用意し、これらサンプルについて、実施例4で得られた銅含有鉄粉添加による処理を実施した。
すなわち、BHC含有土壌(被浄化土壌)1000gに実施例4で得られた銅含有鉄粉を10g添加し、土壌ミキサーにより混合を行い、密閉容器中で15℃に温度設定された恒温室内にて5日間保管した。濃度測定は実施例3と同様に行った。
比較例4として、同じ土壌を用い、銅含有鉄粉を添加しない以外は同様に処理した。
それらの浄化の結果を下の表4に示す。
ここに示すように、元土壌中に含有されるBHCが分解され、濃度が低下したことが確認できた。分解剤による処理に伴い、BHCはベンゼンと塩化物イオンに分解されるが、生成されたベンゼンは加熱による土壌からの脱離、活性炭による吸収処理を用いて適切に処理することができた。
なお、BHCの分解によって副生したベンゼンは処理後土壌から揮発させて回収するとともに、反応終了後の土壌を磁力選別することによって分解剤(表面の一部に銅が存在する鉄粒子からなる粉末)を回収した。この回収された分解剤は、新たな分解反応に触媒として再度用いた。

Claims (18)

  1. 鉄粉粒子表面の一部に銅が存在する粒子で構成された銅含有鉄粉からなる有機ハロゲン系化合物の分解剤。
  2. 前記銅含有鉄粉は銅含有量が0.1〜20質量%である請求項1記載の分解剤。
  3. 前記銅含有鉄粉は平均粒径が0.1〜500μmである請求項1または2に記載の分解剤。
  4. 前記銅含有鉄粉は比表面積が0.1〜30m2/gである請求項1〜3のいずれかに記載の分解剤。
  5. 前記有機ハロゲン系化合物がヘキサクロロシクロヘキサンである請求項1〜4のいずれかに記載の分解剤。
  6. 撹拌状態にある鉄粉に対して銅溶液を添加し該液中の銅イオンを該鉄粉中の鉄と置換させて該鉄粉の粒子表面の一部に銅を析出させた後、液分を除去することからなる有機ハロゲン系化合物分解剤の製造法。
  7. 前記銅溶液が硫酸銅、塩化銅、硝酸銅、酢酸銅のいずれかの銅溶液である請求項6記載の製造法。
  8. 前記鉄粉は平均粒径が1〜500μmである請求項6または7に記載の製造法。
  9. 前記鉄粉は比表面積が1〜30m2/gである請求項6〜8のいずれかに記載の製造法。
  10. 前記鉄粉は鉄酸化物を還元して製造された還元鉄粉である請求項6〜9のいずれかに記載の製造法。
  11. 前記鉄粉はポーラス状の鉄粉である請求項6〜10のいずれかに記載の製造法。
  12. 前記有機ハロゲン系化合物がヘキサクロロシクロヘキサンである請求項6〜11のいずれかに記載の製造法。
  13. 請求項1〜5のいずれかに記載の分解剤を有機ハロゲン系化合物を含有する土壌又は水に添加して該有機ハロゲン系化合物を分解する浄化法。
  14. 前記土壌に対する前記分解剤の添加量が0.1〜20質量%である請求項13記載の浄化法。
  15. 前記水に対する前記分解剤の添加量が0.1〜20質量%である請求項13記載の浄化法。
  16. 前記有機ハロゲン系化合物がヘキサクロロシクロヘキサンである請求項13〜15のいずれかに記載の浄化法。
  17. 前記ヘキサクロロシクロヘキサンの分解によって副生したベンゼンを揮発させて回収する請求項16記載の浄化法。
  18. 前記ヘキサクロロシクロヘキサンの分解によって副生したベンゼンを微生物を利用して分解する請求項16記載の浄化法。
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