JP5081348B2 - シート型電池 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はシート型電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
携帯型電話やノート型パソコン等の電子機器用の電池としてシート型電池が普及しつつある。
【0003】
図4は積層型のシート型電池(リチウム二次電池)の積層構造を示す。同図において、1は正極シート、2は負極シート、3はセパレータ(又は固体電解質層)である。すなわち、この電池では、複数の正極シート1と複数の負極シート2とがセパレータ3を挟んで交互に積層され、両側の負極シート2の外側にもセパレータ3が配設されている。このような積層体がシート状外装材によって封止されている。
【0004】
ここで、負極シート2の方が正極シート1よりも幅広に形成されているのは、正極シート1の活物質の対向する部位に負極がないと、正極シート1からLiが針状に延びて短絡するためである。また、セパレータ3は正極シート1と負極シート2との短絡を防止すべく負極シート2よりも幅広に形成されている。
【0005】
図5は捲回型の電池構造を示す。この捲回型では、正極シート1と負極シート2とが短絡しないように、負極シート2の両側にセパレータ(又は固体電解質層)3を配置して正極シート1と共に捲回されている。負極シート2の内側に配設されたセパレータ3は最後に余分に1周巻かれている。また、当該捲回型の中心部では、セパレータ3のみを何周か巻いて芯材(図示省略)を形成することにより、正極シート1及び負極シート2の最内周部での折曲げ部の曲率半径を大きくして、該シートの折損を生じないようになされている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記積層型の場合、上述の如く、負極シートよりもセパレータ(又は固体電解質層)の方が幅広であるから、それに対応して電池も負極シートよりも余分に幅広に形成する必要がある。また、セパレータ(又は固体電解質層)の必要量も多くなる。一方、上記捲回型の場合、上述の如く、芯材を必要とするから、電極シートとセパレータ(又は固体電解質層)とを薄く巻き上げること、つまり電池を薄くすることが難しい。しかも、芯材を設ける必要のために、起電力の発生に寄与しないスペースが大きくなり、電池の小型化に不利になる。また、外周部分にセパレータ(又は固体電解質層)を余分に捲き、さらには芯材を形成するとなると、このセパレータ(又は固体電解質層)の必要量も多くなる。
【0007】
すなわち、本発明の課題は、セパレータ又は固体電解質層の必要量を少なくすることにある。
【0008】
また、本発明の別の課題は、電池内部のスペースの利用効率を高めること、換言すれば、電池の小型化を図ること、あるいは電池の電気容量を大きくすることにある。
【0009】
また、本発明の別の課題は、電池製造工程の簡略化に有利な電池構造を得ることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題の解決のために、セパレータ又は固体電解質層をジグザグ状に設ける構造を採用した。
【0011】
すなわち、本発明は、シート状の正極集電体に正極活物質を塗布してなる複数の正極シートと、シート状の負極集電体に負極活物質を塗布してなる複数の負極シートとが、セパレータ又は固体電解質層を挟んで交互に積層されているシート型電池において、
上記セパレータ又は固体電解質層は、上記正極シートと負極シートとの間を縫うようにジグザグに折れ曲がっており、
上記正極シートと負極シートとの交互配置においてはその両端に負極シートが配置され、各負極シートはその両側部が正極シートの両外側に張り出すように該正極シートよりも幅広に形成され、
上記セパレータ又は固体電解質層は、上記両端の負極シートを被う部分は該負極シートの幅と実質的に同じ幅を有し、上記正極シートと負極シートとの間に存する部分が該正極シートの幅と負極シートの幅の中間の幅となるように折り曲げられていることを特徴とする。
【0012】
このような電池構造であれば、捲回型電池のような芯材は必要でなく、従来の積層型と同様に薄型にすることができる。しかし、従来の積層型とは違って、セパレータ又は固体電解質層は正極シートと負極シートとの間を縫うようにジグザグに折れ曲がって、正極シートの一方の側縁と負極シートの他方の側縁とを交互に包み込んだ形になっている。つまり、正極シートと負極シートとはセパレータ又は固体電解質層によって互いの側縁同士が短絡しないように完全に遮られた状態になっている。このため、当該短絡防止のために従来の積層型のようにセパレータ又は固体電解質層を余分に幅広く設ける必要がなく、電池の小型化あるいは電気容量の増大に有利になる。
【0013】
また、セパレータ又は固体電解質層が連続しているから、電池の製造においてはセパレータ又は固体電解質材を連続シートとして供給することができ、製造工程の簡略化に有利になる。
【0014】
また、各負極シートはその両側部が正極シートの両外側に張り出すように該正極シートよりも幅広に形成されていて、正極シートの活物質の対向する部位には必ず負極があるから、正極シートから例えばLiが針状に延びて短絡するということがない。
【0015】
また、上記セパレータ又は固体電解質層は、上記両端の負極シートを被う部分は該負極シートの幅と実質的に同じ幅を有し、上記正極シートと負極シートとの間に存する部分が該正極シートの幅と負極シートの幅の中間の幅となるように折り曲げられているから、正極シート、負極シート、セパレータ又は固体電解質層の三者の積層体は、その幅が負極シートの幅と実質的に同じになる。この点、積層体の幅が負極シートの幅よりもかなり大きくなる従来の積層型とは異なる。従って、本発明によれば、電池内部のスペースの利用効率が高くなり、電池の大きさが従来の積層型と同じであるならば、従来よりも負極シート及び正極シートを幅広に形成することができ、電気容量の増大に有利になる。あるいは、同じ電気容量の電池を形成する場合は、電池の幅を狭くする、つまり、小型にすることができる。
【0016】
また、セパレータ又は固体電解質層は、両端の負極シートを被う部分は該負極シートの幅と実質的に同じ幅であり、正極シートと負極シートとの間に存する部分はこの両シートの中間の幅であるから、セパレータ又は固体電解質層の使用量も従来よりは少なくて済む。
【0017】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、複数の正極シートと複数の負極シートとを相対向するように交互に配置し、この両シート間を縫うように、連続したセパレータ又は固体電解質層をジグザグに折り曲げて積層した構造を採用し、さらに、上記正極シートと負極シートとの交互配置においてはその両端に負極シートを配置し、各負極シートはその両側部が正極シートの両外側に張り出すように該正極シートよりも幅広に形成し、上記セパレータ又は固体電解質層は、上記両端の負極シートを被う部分は該負極シートの幅と実質的に同じ幅を有し、上記正極シートと負極シートとの間に存する部分が該正極シートの幅と負極シートの幅の中間の幅となるように折り曲げたから、従来の積層型と同様に電池を薄いものにしながら、セパレータ又は固体電解質層はこれを負極シートよりも幅広にする必要がなくなり、電池の小型化ないしは電気容量の増大に有利になり、また、短絡が防止され、セパレータ又は固体電解質層の必要量を少なくする上でも有利になり、さらにはセパレータ又は固体電解質層を連続シートとして供給することができることから、製造工程の簡略化にも有利になり、コスト低減が図れる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
本実施形態に係るシート型電池は、リチウム二次電池であり、図1に示すように、電池外装4の内部に正極シートと負極シートとセパレータとを積層してなる積層体10が収容され、正極の外部端子6及び負極の外部端子9が電池外装4より外部に突出している。
【0020】
積層体10は、図2及び図3に示すように、3枚の正極シート1と4枚の負極シート2とがセパレータ3を挟んで交互に且つ両端に負極シート2が配置されるように積層され、さらにリチウムイオンを移動させる電解液が添加されている。セパレータ3は、連続したシートによって形成されていて、相隣る正極シート1と負極シート2との間を縫うようにジグザグに折り曲げられて、一方の端は最上段の負極シート2の上面に重ねられ、他方の端は最下段の負極シート2の下面に重ねられている。
【0021】
負極シート2はその両側部が正極シート1の両外側に張り出すように該正極シート1よりも幅広に形成されている。セパレータ3の、最上段及び最下段の負極シート2,2をそれぞれ上下からを被う部分は、該負極シート2の幅と実質的に同じ幅になっている(セパレータ3の厚み分、負極シート2の幅よりも若干広くなる程度である。)。セパレータ3の、正極シート1と負極シート2との間に存する部分は、正極シート1の幅Wpと負極シート2の幅Wnの中間の幅Wsとなっている。
【0022】
各正極シート1より積層体10の側方に延設されたリード部5、並びに各負極シート2より積層体10の側方に延設されたリード部8は、それぞれ束ねられて正極及び負極の各外部端子6,9に接続されている。
【0023】
正極シート1は、アルミニウム箔等の金属箔によるシート状の正極集電体の両面に、リチウム遷移金属複合酸化物等の正極活物質を塗布してなる。正極リード部5は正極集電体の一部位を延設して構成されている。負極シート2は、銅箔等の金属箔によるシート状の負極集電体の両面に、炭素材料等の負極活物質を塗布してなる。負極リード部8は負極集電体の一部位を延設して構成されている。セパレータ3は、ポリオレフィン系樹脂その他の合成樹脂による微多孔膜であり、例えばポリエチレン層の両側にポリプロピレン層が形成された三層構造のものを採用することができる。電解液は有機溶媒にリチウム塩を配合してなるものである。
【0024】
正極及び負極の各外部端子6,9は、ニッケル又はニッケルめっきした鉄、銅、アルミニウム等の金属の箔やリボンによって形成されている。外装4は、ポリエチレンテレフタレート等のプラスチックフィルムとアルミニウム箔等の金属箔とエチレン酢ビコポリマー等の熱可塑性プラスチックフィルムとをこの順で積層してなる厚さ0.1mm程度のシート状外装材を上下に合わせ周縁部を熱融着させて形成されている。
【0025】
従って、上述の如き積層構造であれば、正負の電極シート1,2がセパレータ3を挟んで交互に積層されているから、捲回型電池のような芯材は必要でなく、薄型にすることができる。
【0026】
正極シート1と負極シート2とは、その間を縫うセパレータ3によって互いの側縁同士が短絡しないように完全に遮られた状態になっているから、当該短絡防止のために従来の積層型のようにセパレータを余分に幅広く設ける必要がない。すなわち、セパレータ3の両端部分は負極シート2と実質的に同じ幅とし、中間の折れ曲がった各部分は正極シート1の幅と負極シート2の幅の中間の幅とすることができ、それによって、積層体10の幅は負極シート1の幅と実質的に同じになる。
【0027】
このため、電池の大きさが従来の積層型と同じであるならば、従来よりも正極シート1及び負極シート2を幅広に形成することができ、電気容量の増大に有利になる。あるいは、同じ電気容量の電池を形成する場合は、電池の幅を狭くする、つまり、小型にすることができる。また、セパレータ3の全長も従来の積層型に使用されている全セパレータを合わせた長さよりも短くなるから、材料費の削減に有利になる。
【0028】
さらに、セパレータ3は連続しているから、電池の製造においてはセパレータ3を連続シートとして供給することができ、製造工程の簡略化に有利になる。
【0029】
なお、上記実施形態では電解液を保持するセパレータを用いたが、セパレータに代えて固体電解質層を設けることができる。
【0030】
すなわち、固体電解質層としては、ポリマー基質に電解液(塩(電解質)+相溶性溶媒)を含浸してゲル化し、それ自体がイオン伝導性を示すように調製されたものを用いることができる。ポリマー基質としては、ビニリデンフルオライドを主単位とするフッ素ポリマーの多孔質体を用いることができる。
【0031】
上記塩としては、リチウム塩、例えば、LiClO4、LiBF4、LiPF6、LiAsF6、LiCF3SO3、LiAlCl4及びLi(CF3SO2)2Nからなる群から選ばれる1種を又は2種以上を組み合わせて用いることができる。上記相溶性溶媒としては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジエチルカーボネート(DEC)及びエチルメチルカーボネート(EMC)からなる混合溶媒を用いることができる。
【0032】
上記混合溶媒において、エチレンカーボネートの混合比は1〜30体積%であることが好ましく、15〜25体積%であることがより好ましい。プロピレンカーボネートの混合比は1〜3体積%であることが好ましく、5〜15体積%であることがより好ましい。ジエチルカーボネートの混合比は1〜30体積%であることが好ましく、5〜20体積%であることがより好ましい。エチルメチルカーボネートの混合比は10〜97体積%であることが好ましく、50〜70体積%であることがより好ましい。
【0033】
また、好ましく用いられるビニリデンフルオライドを主単位とするフッ素ポリマーは、ビニリデンフルオライドの単独重合体(ポリビニリデンフルオライド(PVdF))、又はビニリデンフルオライドとその他のフッ素原子を有するビニル系モノマーとの共重合体であり、これらはそれぞれ単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。ビニリデンフルオライド以外のフッ素原子を有するビニル系モノマーとしては、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、テトラフルオロエチレン(TFE)等が挙げられる。また、共重合体の形態はランダム、ブロックのいずれの形態でもよい。共重合体である場合、ビニリデンフルオライド(の単位)の割合が70モル%以上が好ましく、特に好ましいのは75モル%以上である。
【0034】
また、固体電解質としては電解液を含まないものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態に係るシート型電池の斜視図。
【図2】 同シート型電池の積層体の斜視図。
【図3】 同積層体の断面図。
【図4】 従来の積層型電池の積層体の断面図。
【図5】 従来の捲回型電池の捲回物の断面図。
【符号の説明】
1 正極シート
2 負極シート
3 セパレータ(又は固体電解質層)
4 外装
5 正極リード部
6 正極外部端子
7 絶縁テープ
8 負極リード部
9 負極外部端子
10 積層体
Claims (1)
- シート状の正極集電体に正極活物質を塗布してなる複数の正極シートと、シート状の負極集電体に負極活物質を塗布してなる複数の負極シートとが、セパレータ又は固体電解質層を挟んで交互に積層されているシート型電池において、
上記セパレータ又は固体電解質層は、上記正極シートと負極シートとの間を縫うようにジグザグに折れ曲がっており、
上記正極シートと負極シートとの交互配置においてはその両端に負極シートが配置され、各負極シートはその両側部が正極シートの両外側に張り出すように該正極シートよりも幅広に形成され、
上記セパレータ又は固体電解質層は、上記両端の負極シートを被う部分は該負極シートの幅と実質的に同じ幅を有し、上記正極シートと負極シートとの間に存する部分が該正極シートの幅と負極シートの幅の中間の幅となるように折り曲げられていることを特徴とするシート型電池。
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