JP5078362B2 - 高分子圧電体フィルムの製造方法および高分子圧電体フィルム - Google Patents

高分子圧電体フィルムの製造方法および高分子圧電体フィルム Download PDF

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Description

本発明は、圧電性(および焦電性)が大きく且つ安定な高分子圧電体フィルムの安定的な製造方法ならびにかくして形成される高分子圧電体フィルムに関する。
大なる圧電性(よく知られているように通常は同時に焦電性も発現する)で代表される高性能圧電性フィルムの代表的な製法として、ポリフッ化ビニリデン系樹脂等の結晶性高分子シート(なお、本明細書において、「シート」および「フィルム」の語は、両者の相対的な厚みに注目して、前者が延伸前、後者が延伸後の状態を指すものとして用いるが、それらの境界厚さ(しばしば業界において、両者の境界を厚さ250μmとして捉える慣習があるが)に捉われることなく用いている)を、延伸しながら該シートを挟んで対向する一対の電極の少なくとも一方を針状電極としてコロナ放電により分極処理する方法(特許文献1および2)が知られている。上記特許文献1および2においては、主として結晶性極性高分子シートを挟んで対向する一対の電極の双方に針状電極が用いられているが、一方にロール電極を用いた例(特許文献2、例2)も示されている。しかしながら、上記方法においては、未だ得られる高分子圧電体フィルムの面方向の厚みならびに圧電係数の分布に斑が見出され、製造条件の安定化も未だ充分なものと云えず、大面積で安定した圧電性能の高分子圧電体フィルムは得られていなかったのが実情である。
特開昭55−157801号公報 欧州特許公開(EP−A)018802号公報
上述の事情に鑑み、本発明の主要な目的は、大面積に亘って安定した圧電性能を有する高分子圧電体フィルムの安定的な製造方法ならびに、かくして製造され安定な圧電性能の高分子圧電体フィルムを提供することにある。
本発明の高分子圧電体フィルムの製造方法は、上述の目的を達成するために開発されたものであり、より詳しくは、結晶性極性高分子シートを、該結晶性極性高分子シートとの接触下での相対移動が可能な程度に表面摩擦係数を低減した直径が30mm以上の導電性延伸ロールに接触させつつ移送し且つ延伸する過程で、該高分子シートと非接触で対向する尖端電極と、前記導電性延伸ロールとの間に分極電圧を印加して、前記結晶性極性高分子シートを分極処理することを特徴とするものである。
本発明者らが上述の目的で研究して、本発明に到達した経緯について若干説明する。
本発明者らは、高性能高分子圧電体フィルムの製造方法について、鋭意検討した結果、上記特許文献1および2に記載の製造方法において、大面積に亘って安定した圧電性を有する高分子圧電体フィルムの安定製造ができなかった理由は、結晶性極性高分子フィルムの安定した圧電性の発現に必要なネッキング延伸条件の制御がなされなかったためであるとの結論に達した。すなわち、結晶性高分子シート送行させつつその融点以下の温度で延伸してフィルム化する際には、進行方向に厚みおよび幅が徐々に減少して行く形態で延伸が行われるのでなく、進行方向の一点で急激に厚みおよび幅のくびれによる減少部(ネックあるいはネッキング部)を生ずる形態での延伸(ネッキング延伸)が行われるのが通常である。例えば結晶性高分子として同時に極性高分子であるポリフッ化ビニリデン系樹脂(以下、代表的に「PVDF」と略称することがある)を用いる場合、このネッキング延伸により実質的に無極性のα型結晶から極性のβ型結晶に転移し、この際、ネッキング部に直流高電圧が効果的に印加されると分極により高度の圧電性が発現する。しかしながら、特許文献1および2に記載の製造方法においては、このネッキング延伸の安定制御が困難であった。まず、特許文献1および2に主として開示される、一対の針状電極列等の非接触電極間での分極処理の場合は、バッチ処理による場合はともかくとして、一定速度で送行される結晶性高分子シートの場合には、その加熱条件が、シートに存在する厚み斑その他の原因により一定化せず、ネッキング部の安定形成が困難であり、大面積で安定した高分子圧電体フィルムの形成が困難である。また延伸中のシートないしフィルムが、一方の針状電極列に吸引され、これと接触して、破断する不都合も生ずる。
他方、特許文献2には、図1(特許文献2におけるFig.6)に示す如く、PVDFシート11を110℃に加熱された加熱ロール(兼対向電極)12に沿わせて送行させつつ延伸し、また直流高圧電源14に接続され且つシート11から8mm離間した針状電極13から加熱ロール12との間に8kVの直流電圧を印加することにより分極したPVDF圧電体フィルム11′を得る例(Example 2)が記載されている。この態様によれば、加熱源を雰囲気温度に依存する一対の非接触電極を用いる場合に比べて、一方の対向電極が加熱ロール12であるためネッキング延伸の安定化が可能となった。しかしながら、この場合にも、フィルム11′の幅方向あるいは長さ方向において圧電性が充分に安定した高分子圧電体フィルムの形成は困難であった。本発明者らの検討によれば、これもネッキング延伸が安定に制御されていなかったためである。この点を、図1の矢示A方向からのロール12上を送行するPVDFシート11の模式図として示す図2を参照しつつ説明する。
図2および図1を参照して、径D1のロール12の上流側から速度Rで送られてきたPVDFシート11は、ロール12上でネッキングを起して(ネックNを生じて)、幅および厚みを低減しつつα型→β型への結晶転移を起し、更にRより大なる速度R′にて下流の巻取りロール(図示せず)に巻取られる。この間、PVDFシート11は、ロール12とロール12上の長さ(孤)Lに亘って接触し、この間で針状電極13と対向電極でもあるロール12との間に印加される直流電圧により分極され高い圧電性を付与される。この際、シート11の幅および厚さが急激に低減されるネッキングライン(くびれライン)は、図2にNLとして示されるように、ロール軸Oに対して平行で且つシート進行方向R(およびR′)におけるロール軸Oに対する相対位置が移動せず、且つロール12との接触長さLの範囲内の一見静止した直線状に形成されることが理想的である。
しかしながら、特許文献2の技術で得られる高分子圧電体フィルムの圧電性のバラツキの低減の問題について鋭意検討した本発明者らは、ロール12上でのシート11のネッキング延伸状態を詳細に観察した結果、理想的には図2に示すように静止した直線NL状に発現するネッキングラインが、(i)図2に矢印V、V′として示すように上流側あるいは下流側に移動する現象および(ii)ネッキングラインが直線NLでなくシート11の幅方向の位置によってネッキングの生成位置が変化し、最も代表的にはシート幅の中央付近において最も下流側に偏倚した舌状のネッキングラインNL′が形成される現象が見出された。このようなネッキング延伸の不安定化は、ネッキング延伸時に同時に印加される分極のための高電界が、シートを構成するPVDFの分子運動を抑制し、ネッキング延伸を妨げる力として働くことも一因であると解される。そして、上記した非理想ネッキング延伸状態が高度の圧電性の安定発現を妨げていることが判ってきた。このような非理想ネッキング延伸状態により、ネッキングラインNLがロール12上のロールとの接触長さLの範囲をはみ出してしまうと、電極13と12間での直流電圧による電極が効果的に達成されないからである。
そこで、本発明者らは、通常延伸ロールとして用いられる直径Dの小径ロール12の代りに直径Dの大径ロール(一見したところでは本発明の実施例で用いられる図3のロール22と同様のもの)を用い、シート11とロールとの接触長さをL(>L)と増大し、上記した非理想ネッキング延伸現象(i)および(ii)が起っても、ネッキングラインNLあるいはNL′をロールとの接触長さLの範囲内に収めることを試みた。しかし、この場合には、厚さ100〜500μmというように薄いPVDFシートの破断がしばしば起り、実用的生産が不可能であることが判明した(後記比較例2)。これは、ネッキングラインの下流と上流の速度比R′/Rが2を超えるようなネッキング延伸においては、RとR′の双方と調和するようなロール周速が得られないためであると考えられる。これは、また、ネッキング延伸の場合に限らず、プラスチックシートの送り速度が、上流と下流とで異なる延伸過程でシートと接するロールとしては一般に小径のものが用いられるという当業界の慣習の技術的根拠に相当するものである。また、ネッキング延伸時に同時に分極のための高電界がシートの厚さ方向に印加される結果として、シート自体の圧電性により電界の方向に圧力が加わること、電界によりシートを構成するPVDFの分子運動を妨げる力が働き、シートの柔軟変形性が阻害されることも、上記破断の原因となっていると解される。
これに対し、本発明者らは、大径D2を有するロールであっても、上記した例に用いられた小径ロール12(径D1)あるいは大径ロール(径D2)において用いられたような一般のプラスチックシート搬送に用いられるような鏡面仕上げロールでなく、高分子圧電体原体シートとの接触下での相対移動が可能な程度にその表面摩擦係数を低減したロールであれば、薄い高分子圧電体原体シートのネッキング延伸部と接触する延伸ロールとして用いた際に、上述した例におけるようなシートの破断が防止可能であり、また上記した非理想ネッキング延伸現象のうち、(i)ネッキングラインNL位置の揺れは残るものの、ロールとの接触長さLの範囲内に充分安定的に保持可能であり、且つ(ii)非直線ネッキングラインNL′の形成に関しては顕著な改善が見られ、ほぼ直線状のネッキングラインNLが安定的に得られることが見出され、高度の圧電性が安定的に発現した高分子圧電体フィルムの工業的製造が可能になった。
上述した本発明の高分子圧電体フィルムの製造方法は、上述の一連の知見の結果として生まれたものである。
また、本発明の高分子圧電体フィルムの製造方法により採用されるネッキング延伸部での直流高電圧印加による分極(延伸−分極同時処理)により得られる高分子圧電体フィルムは、従来の延伸→分極遂次処理により得られる高分子圧電体フィルムに比べて、圧電性(例えば延伸方向における圧電係数(すなわちd31圧電係数)で代表される)の耐熱性が著しく改善されるのが特徴である。例えば従来の延伸→分極遂次処理によるd31係数の温度分散カーブのピーク温度が100℃程度であるのに対して、120℃以上の値が得られる。これは、圧電体フィルムを加熱しても120℃以下であれば、その後も圧電性が低下せずに維持されることを意味する。特に、本発明の製造方法の好ましい態様に従い、表面を粗面化した導電性延伸ロールを用いた場合には、そのロールとの接触下での相対移動を伴うネッキング延伸により、得られる圧電体フィルムは、一方向に延長する表面擦過傷を有するのが特徴的である。
すなわち、本発明の高分子圧電体フィルムは、フッ化ビニリデン単独重合体からなり、31圧電係数の温度分散のピーク温度が120℃以上であり、且つ一方向に延長する表面擦過傷を有することを特徴とするものである。
以下、本発明の高分子圧電体フィルムの製造方法を、その好ましい態様に基づいて、工程を追って、順に説明する。
(結晶性極性高分子シート)
本発明の製造方法の出発原料は、結晶性極性高分子シートである。結晶性極性高分子は、適度な条件下で分極すれば圧電性(および多くの場合は、併せて焦電性)を発現することが知られている。本発明で用いる結晶性極性高分子としては、ポリフッ化ビニリデン系樹脂、ナイロン11等の奇数鎖ナイロン等があるが、得られる圧電性の高さ、耐候性、耐熱性等の観点で、ポリフッ化ビニリデン系樹脂を用いることが好ましい。
ポリフッ化ビニリデン系樹脂としては、フッ化ビニリデンの単独重合体のほか、フッ化ビニリデンを50モル%以上、好ましくは70モル%以上含む、三フッ化エチレン、四フッ化エチレン、六フッ化プロピレン、三フッ化塩化エチレン、フッ化ビニル等のフッ化ビニリデンと共重合可能な他のモノマーとの共重合体が用いられる。
ポリフッ化ビニリデン系樹脂は、ネッキング延伸に耐える高強度を与えるべく高分子量のもの、より具体的にはインヘレント粘度(温度30℃における濃度0.4g/dlのジメチルホルムアミド溶液として測定)が1.0dl/g以上のものが好ましく用いられる。高強度と良好な延伸性を兼ね備えたものとして、インヘレント粘度が1.1〜2.0dl/gの範囲のものが特に好ましく用いられる。インヘレント粘度が1.0dl/g未満のものは、本発明に従う大径ロール上でのネッキング延伸工程において大径ロールとの間でシートに働く強いせん断力(低摩擦係数ロールの使用により緩和されているとはいえ)により破断の確率が高くなり好ましくない。
本発明法における処理対象は、上記したポリフッ化ビニリデン系樹脂を代表とする結晶性極性高分子のシート化物である。シート化は、溶融押出、溶液キャスティング等により得ることができるが、溶融押出によるシート化物、あるいは更に延伸等により適宜厚さ調整をしたものが好ましく用いられる。本発明法によるネッキング延伸−分極同時処理にかけられる前の結晶性極性高分子シートの厚さは、20〜2500μm、特に40〜1500μmの範囲が好ましい。20μm未満では、シートの強度が不足しロール面上で破断しやすくなる。2500μmを超えると、シートの剛性が強くなり、延伸前に呼び加熱ロールに密着させ、搬送することが困難になる。
本発明法に従い、図3にその一例の概容を示す、ネッキング延伸−分極同時処理装置により処理して、本発明の高分子圧電体フィルムを得る。
以下、結晶性極性高分子として、好ましい例としてのポリフッ化ビニリデン系樹脂、特にPVDF(フッ化ビニリデン単独重合体)を用いる場合について本発明法をより具体的に説明するが、その融点、キューリー点等の特性の差異を考慮して、多少の条件修正を行うことにより、他の結晶性極性高分子についても同様な処理が可能であることは当業者にとって容易に理解可能であろう。
図3を参照して、例えば20〜2500μmに厚さ調整したPVDFシート11を速度Rで、表面摩擦係数を低減した直径が30mm以上、通常は30〜500mm、好ましくは100〜300mm、の導電性加熱ロール22へと送給し、該ロール22と接触する長さLの領域内でシート11のネッキング延伸を起させ、同時に直流高圧電源24に接続された非接触の尖端電極23と接地された該ロール22(対向電極)との間の直流高電界の作用により分極処理を受ける。ネッキング延伸および分極処理後のフィルム11a(実質的に既に本発明の高分子圧電体フィルムに相当する)は、速度R′(>R)でロール22を離れ、必要に応じて寸法安定化のための熱処理等の後処理を受けた後、巻取ロール(図示せず)に巻取られる。
ロール22の径が30mm未満では、シート11との接触長さのLの増大効果が充分でなく、シート送給方向におけるネッキングラインの揺れ(V,V′)により、ネッキングラインがLの範囲を超えることがあり得られる圧電性の安定性効果は不充分である。径が500mmを超えると、回転トルクが小さくなり、延伸が困難となる。
ロール22の表面摩擦係数の低減手段には、多様性がある。最も簡単な手段は、必要に応じてエマルジョン化したテフロン微粒子、高級脂肪酸塩あるいはエステル、フッ素系潤滑液等の滑剤を、金属ロール22の外周面に塗布することであり、これによっても、表面摩擦係数低減効果により、このような処理のなされていない大径の鏡面仕上げ金属ロールについて見られたシートの破断を起すことなく、且つ線状ネッキングラインNLの形成効果も見られ、長さ50m程度の高性能圧電体フィルムは形成可能であることが確認されている。但し、製造の継続に従い、滑剤の消耗は避けられず、次第に非直線状ネッキングラインNL′の形成が起るようになり、ついにはシート22の破断にまで至る。
より永続的なロール22の表面摩擦係数の低減手段は、外周を粗面化したロール22の使用である。粗面は、例えば鏡面仕上げ金属ロール表面のサンドペーパー処理、あるいはもともと粗面に仕上げられた非金属導電性材料からなるロールの使用が挙げられる。一般に、本発明の目的に適した大径ロールの10点平均粗さRa(JIS B0601−1994)は、0.1〜30μm、好ましくは0.2〜2μmである。0.1μm未満では、表面摩擦係数の低減効果が十分でなく、大径ロール表面上での相対移動を伴う結晶性極性高分子シートネッキング延伸に際して、シート11ないしフィルム11aの切断が避けがたい。また粗さが過大であると、ロール表面上の突起によるシート11ないしフィルム11aの切断のおそれが大となり、またこのような粗面ロールとの接触による摺動傷が、製品圧電体フィルムに不都合な程度に現れるおそれがある。
ロール22は、シート11の分極のために尖端電極23に印加される好ましくは5kV以上、特に7〜50kVの直流電圧を受ける対向電極として機能させるため導電性である必要がある。但し、要求される導電性が必ずしも大である必要はなく、固有電気抵抗として酸化チタン/アルミナ系セラミクスで実現される10〜10Ω・cm以下程度でも充分である。
尖端電極23(導電性ロール電極22に対する対向電極の一種)は、その尖端に発生するコロナ放電によって生じた電荷をフィルム11aの表面に保持させて対向電極(ロール)22との間の直流電界により、ネッキング延伸中のPVDFシート11(ないしフィルム11a)を分極処理するためのものである。効果的なコロナ放電を起すために尖端を有することが好ましい。尖端電極の例としては、図1の装置で説明したような針状電極(文字通り針状の先端を有する電極)に加えて、針金状電極(すなわち、ロール22との最近接部がロール22の軸と平行する方向に、ほぼロール軸長さと同じ長さで延長する針金状の電極)も好ましく用いられる。このような非接触型電極でなく、シート11に直接接触する電極を用いて、ロール電極12との間で分極処理を行うことも可能ではあるが、処理対象のシート11が同時にネッキング延伸を受けるものであるため、シートの絶縁破壊のおそれもあり、それに伴う電源のシャトダウンを回避するために、非接触型電極が好ましい。
尖端電極23とロール22表面との間隔は、一般に5〜30mm程度が好ましい。間隔が過小であるとフィルム11aの絶縁破壊が起り易くなり、過大の場合はコロナ放電が抑制され分極処理効果が低減される。尖端電極23は、シート11の被分極処理部、すなわちその全幅×ロール22との接触領域長さLを充分にカバーする程度に多く設ける必要があり、尖端電極23が、針金状電極の場合は、0.5〜2本/cm、針状電極の場合は、0.5〜3本/cm程度の密度で設けることが望ましい。
ロール22上で、ロール22と接触するシート11の長さL(従って、尖端電極23により覆われて分極処理を受けるシート11の長さとほぼ同じ長さ)は、対応するロール22の中心角θとして30°以上であることが好ましく、また210°以下が好ましい。θが過小であると大径ロール22を用いても、Lの増大による圧電性の安定化効果が乏しくなり、過大であるとロール22へのシート11の押し付け圧が大となりシート11(ないしフィルム11a)の破断が起き易くなる。
ネッキング延伸を効果的に起すためにロール22の表面温度(シート温度とほぼ同じと見てよい)は、室温〜融点未満、特に70〜130℃程度が適当であり、ロール22上での急激な加熱を避けるために、ロール22の上流に、ロール22の表面温度より低い表面温度の予熱ロールあるいは赤外線ヒータ等の予熱手段を設けてもよい。
ロール22上でのネッキング延伸倍率を含めて、ロール22周辺(従って上流の送りロールと下流の受けロールの間の領域)での延伸倍率(そのほとんどがロール22上でのネッキング延伸倍率である)は、2.5〜6倍の範囲が好ましい。2.5倍未満では、ネッキングが安定せず、6倍を超えると、シートないしフィルムの破談のおそれがある。
図4は、本発明の高分子圧電体フィルムの製造方法の別の好ましい態様を実施するための延伸−分極同時処理装置の概容を示す図である。図4を参照して、この装置における圧電体フィルム11aの形成の右半分の装置(すなわち、加熱および対向電極ロール22、尖端電極23および直流高圧電源24を含む)の構成は、図3を参照して説明したものとほぼ同様である。
図4の装置では、上記図3の装置におけるネッキング延伸−分極同時処理を受けて形成された圧電体フィルム11aは、更に第2の加熱ロール22a、第2の尖端電極23aおよびこれに電源24と逆極性の電圧を印加する第2の直流高電圧電源24aにより、その表面から逆極性の印加電圧により加熱下での分極処理を受ける。このような追加分極処理により、特に圧電体フィルムが原因化した場合においても、安定な分極が可能になり圧電特性が安定化される。
上記のようにして得られた圧電体フィルム11a(あるいは11b)は、その後、寸法安定化のための熱処理等の後処理を必要に応じて巻き取りロールに巻き取られて、製品圧電体フィルムとして保管あるいは市場に供給されるか、更に蒸着によりあるいは接着剤を介して両面ないし片面電極を設けたフィルム状圧電(焦電)素子製品とされる。
このようにして得られる本発明の高分子圧電体フィルムの代表的性状を挙げると、厚み:10〜500μm、延伸方向のd31圧電係数(平均):15〜35pC/Nであり、ほぼ全領域にわたって、d31圧電係数の局所的な平均値からのずれが±20%以下であることが一つの特徴である。また、安定なネッキング延伸−分極同時処理工程を経て得られた本発明の圧電体フィルムの重要な特徴として、良好な圧電性の耐熱性が大面積に亘って安定的に得られていることがある。この点を、d31圧電係数の温度分散(温度依存性)カーブを示す図5を参照して説明する。すなわち、従来の延伸→分極遂次処理を経て得られた圧電体フィルムのd31温度分散カーブは図5に点線1として示すようなものであり、ピーク温度が100℃近辺までのものであった。すなわち、従来の圧電体フィルムのd31係数は、測定温度が上昇するとピーク温度の100℃までは次第に増大するが、100℃を超えると急激に低下し、一旦低下した圧電係数は100℃以下に低下してももとに戻らない性質を示す。従ってこのような圧電体フィルムは100℃を超える温度での使用は困難ないし不可である。これに対し、ネッキング延伸−分極同時処理を経て得られた本発明の圧電体フィルムの温度分散特性は図5に曲線2として示すように、そのピーク温度が120℃以上である。従って、100℃を超え、120℃までの温度域であれば永続的に使用可能である。そして、本発明の圧電体フィルムの重要な特徴は、本発明の製造方法の持つネッキング延伸−分極処理の安定化の効果として、このような圧電性の良好な耐熱性が極めて大面積に亘って一様に確保されていることである。より具体的には、d31圧電係数の温度分散のピーク温度がd31係数の発現方向(すなわち延伸方向)と直交する方向の全幅且つd31係数の発現方向の長さ1m以上に亘って120℃以上であることを特徴とするものである。
また、本発明の圧電体フィルムは、その一つの好ましい態様によれば、d31圧電係数の発現方向と一致する方向に延長する表面擦過傷を有するという追加の特徴を有する。このような表面擦過傷は、本発明の製造方法において、加熱兼対向電極ロール22として、表面を粗面化したロールを用いる結果として得られる。すなわち、図2を用いて説明したように直径Dの大径ロールを用いて、その接触長さLの範囲内において安定的にネッキング延伸を起したときには、シート11はネッキングラインNLの前では速度R、NLの後で速度R′で進行し、両者の比R′/Rは2以上にもなる。このように幅広い速度R〜R′で、シート11が進行するのに対して、ロール22はR〜R′の範囲内で一定の周速でしか回転できない。従ってシート11とロール22の接触長さのかなりの部分(通常はNLの後のフィルム11aとの接触部分)に亘って、両者はある速度差を持って摩擦しながら延伸方向(すなわちd31の発現方向)を進行する。これが粗面化ロールを使用して得られた本発明の圧電体フィルムにd31係数の発現方向と一致する表面擦過傷が形成される理由である。
このような表面擦過傷は、圧電体フィルムのヘイズ値の若干の上昇を招き、透明な圧電体フィルムを求める用途においては短所となり得る。しかしながら、本発明の圧電体フィルムの主たる用途はその少なくとも片面に蒸着あるいは接着剤を介して電極を付着して用いる圧電(または焦電)素子である。この用途においては、表面擦過傷によるフィルムの粗面化は表面電極の接着強度の著しい増大に寄与し、好ましいものである。
以下、実施例および比較例により本発明を更に具体的に説明する。以下の例を含めて、本明細書に記載の物性は、以下の方法による測定値に基づくものである。
(1)圧電係数d31(およびその温度分散特性)
高分子圧電体フィルムの両面に厚さ100〜800nmのAl蒸着電極を形成し、圧電体フィルムの所定箇所について、7mm×30mmのサンプルを切り出し、圧電係数測定装置((株)東洋精機製作所製「レオログラフソリッド」)のサンプルチャンバー内にクランプ止めし、張力:1ニュートン(N)、周波数:10Hzの条件で、d31圧電係数を測定した。また、同測定を、昇温速度2℃/分で室温から温度150℃まで昇温させつつ、1℃刻みで行うことにより、d31圧電係数の温度分散特性を求めた。
(2)表面粗さ係数Ra
JIS B0601−1994に準拠した表面粗さ計((株)小坂研究所製「Surfcorder SE1700」)によりロール表面粗さRaを測定した。
(3)ロールの電気抵抗
通常テスターにより、ロール軸−表面間電気抵抗を測定した。
(比較例1)
インヘレント粘度(ηi)が1.2dl/gのPVDF(ポリフッ化ビニリデン:呉羽化学工業(株)製)の厚さ160μmのシートを、概ね図1に示す構成の装置に供給して、ネッキング延伸−分極同時処理を行った。すなわち、上記PVDFシートを、表面温度110℃に加熱された、ハードクロムメッキ鏡面仕上げ加熱ロール12(表面粗さRa<0.03μm)に接触中心角θ=約40°となるように通し、送り速度10cm/分、引張り速度40cm/分で延伸を行う状態でロール12と約10mm離間した2本/cmの針電極13間に加える直流電圧を0kVから9kVへと増加して延伸−分極同時処理を行った。
当初印加電圧が0kVのときはロール12面上でネッキング延伸が安定的に行われ、厚さ約40μm、幅約300mmの延伸フィルムが得られたが、9kVを印加すると、徐々に中央が舌状に延びた非線状ネッキングラインNL′が形成され、またネッキングライン全体も下流側へとロール面上を移動しネッキングラインがロール面上を外れる状態となった。
形成された圧電体フィルムについて、圧電係数d31を測定したところ比較的当初のロール面上にネッキングラインが発生していた時点に生成していたと思われる長さ部分(長さ約0.5m)についてはd31=25pC/N(温度分散のピーク温度=120℃以上)を示したが、同長さ部分における他の幅方向部分も含めて、ネッキングラインがロール面を外れた時点に生成したと思われる部分では、d31=1pC/N以下であつた。
(比較例2)
加熱ロールとして、直径が200mmのハードクロムメッキ鏡面仕上げロール(Ra<0.03μm)を用い、PVDFシート送り速度50cm/分、引張り速度210cm/分の条件を用いる以外は比較例1と同様にして、厚さ160μmのPVDFシートのネッキング延伸−分極同時処理を試みた。
ロールと針電極間の印加電圧を徐々に上昇し、10kVまで上げて行く過程で、ネッキングラインの下流への移動および非線状化が起り、10kV印加状態では、延伸フィルムがロール面上で破断し、長時間の製造はできなかった。
破断前の10kV印加部分については、厚さ斑が目視で確認され、比較的良好な部分(長さ約1m)について測定した圧電係数d31は27pC/N(温度分散のピーク温度=120℃以上)であったが、同長さ部分の他の幅方向においてはd31=1pC/N以下の部分も認められた。
(実施例1)
比較例2で用いた直径200mmのハードクロムメッキ鏡面仕上げロールの表面に、噴霧用にエアロゾル化されたテフロン微粒子からなる滑剤(ダイキン工業(株)製「ダイフリーGA6010」)を一様に塗布したものを加熱ロール(図2の22相当)として用いる以外は、比較例2と同様にして厚さ160μmのPVDFシートのネッキング延伸−分極同時処理を行った。
ロール(22)と針電極(23)間の印加電圧を12kV以上まで上げて処理の継続が可能であり、この条件下で、ネッキングラインの上−下流側への多少の揺れは見られるものの、充分にロールーシート間接触長さL(=約70mm)の範囲内で直線状ネッキングラインNLが形成された。
上記条件で約20mの圧電体フィルムの製造を継続した頃からネッキング延伸状態の不安定化、すなわちネッキングラインの非線状化および接触長さL領域からの逸脱が認められたので、処理操作を打ち切った。
安定処理条件下で得られたフィルムは、全幅方向において圧電係数d31は30pC/N(温度分散のピーク温度=120℃以上)を示し、圧電係数ならびに厚さの斑は認められなかった。
(実施例2)
比較例2で用いた直径200mmのハードクロムメッキ鏡面仕上げロールの表面を、#40のサンドペーパーおよび#240のサンドペーパーで、順次、研摩処理して得た表面粗さRa=1μmの加熱ロール(図2の22相当)を用いる以外は、実施例1と同様にして厚さ160μmのPVDFシートのネッキング延伸−分極同時処理を行った。
ロール(22)−針電極(23)間の印加電圧12kVの条件で、直線状ネッキングラインNLの接触長さL領域内での多少の揺れは見られるものの、安定なネッキング延伸状態の下で圧電体フィルムの安定製造が可能であり、製造圧電体フィルム長さ100mを超えても安定製造状態は維持されていた。
得られた圧電体フィルムは、全幅方向において圧電係数d31=30pC/N(温度分散のピーク温度=120℃以上)を示し、圧電係数ならびに厚さの斑は認められなかった。
(実施例3)
加熱ロールとして、表面粗さRa=0.4μm、ロール軸−表面間抵抗値=77Ωの酸化チタン系セラミック層で被覆された外径200mmの加熱ロール(22)を用いる以外は、実施例2と同様にして厚さ160μmのPVDFシートのネッキング延伸−分極同時処理を行った。
ロール(22)−針電極(23)間の印加電圧15kVの条件で、直線状ネッキングラインNLの接触長さL領域内での多少の揺れは見られるものの、安定なネッキング延伸状態の下で圧電体フィルムの安定製造が可能であり、製造圧電体フィルム長さ200mを超えても安定製造状態は維持されていた。
得られた圧電体フィルムは、全幅方向において圧電係数d31=30pC/N(温度分散のピーク温度=120℃以上)を示し、圧電係数ならびに厚さの斑は認められなかった。
(実施例4)
概ね図4に示す構成を有する装置を用い、厚さ1000μmのPVDFシートのネッキング延伸−分極同時処理を行った。図4を参照して、該装置において、ロール22および22aは、いずれも実施例3で用いたものと同じ外径200mmのセラミック被覆ロールとした。また針電極23および23aは、それぞれ2本/cmの針電極を含むものとし、針電極(23,23a)−ロール(22,22a)間間隔は、いずれも10mmとした。
処理操作として、上記厚さ1000μmのPVDFシートを、送り速度50cm/分で表面温度120℃の加熱ロール22に送給し、電源24からは針電極23を介して+25kVの直流電圧を印加して、ロール22上でネッキング延伸−分極同時処理を行った。
引続きロール22を離れたフィルム11aを表面温度120℃のロール22aに送給し、引取り速度210cm/分で引き取る過程で、ロール22a上のフィルム11aに対しては、電源24aから−25kVの直流電圧を印加した。
ロール22上では、直線状ネッキングラインNLの接触長さL領域内での多少の揺れは見られるものの、安定なネッキング延伸状態が形成され、ロール22a上での追加分極処理も含めて、全体として、圧電体フィルムの安定製造が可能であり、製造圧電体フィルム長さ200mを超えても安定製造状態が維持されていた。
得られた圧電体フィルムは、全幅方向において圧電係数d31=30pC/N(温度分散のピーク温度=120℃以上)を示し、圧電係数ならびに厚さの斑は認められなかった。
上記実施例および比較例における製造条件および得られた圧電体フィルムの性状の概容をまとめて、下表1に記す。
Figure 0005078362
なお、上記実施例においては、いずれも直径200mmの大径ロールを用いているが、滑剤塗布あるいは、サンドペーパー処理により粗面化した直径30mmのロールでも比較例1に比べて実質的な改善が得られ、特に50mm以上のロールを用いれば、顕著な改善が得られることが、予備試験装置において確認されている。
上記表1を含む実施例、比較例の結果からも理解されるように、本発明によれば、ネッキング延伸−分極同時処理を行うべき加熱ロールとして表面摩擦係数を低減した大径ロールを用いることにより、ネッキング延伸−分極処理状態を達成することにより大面積に亘って安定した圧電性を有する高分子圧電体フィルムの安定的な製造方法、ならびにかくして製造された、特に大面積に亘って圧電性の耐熱性が安定的に改善された高分子圧電体フィルムが提供される。
従来法で用いられた小径加熱ロールを含むネッキング延伸−分極同時処理装置の概略構成を示す模式図。 分極電界印加下での加熱ロール上のネッキング延伸状態を説明するための模式平面図。 本発明方法で用いられる大径加熱ロールを含むネッキング延伸分極同時処理装置の一例の概略構成を示す模式図。 本発明方法で用いられる大径加熱ロールを含むネッキング延伸分極同時処理装置の一例の概略構成を示す模式図。 圧電係数d31の温度分散曲線を示すグラフ。
符号の説明
11 結晶性極性高分子シート
11a,11b 延伸−分極後の圧電体フィルム
12 小径加熱ロール
13,23,23a 尖端(針状あるいは針金状)電極
14,24,24a 高圧直流電源
22,22a 大径加熱ロール

Claims (13)

  1. 結晶性極性高分子シートを、該結晶性極性高分子シートとの接触下での相対移動が可能な程度に表面摩擦係数を低減した直径が30mm以上の導電性延伸ロールに接触させつつ移送し且つ延伸する過程で、該高分子シートと非接触で対向する尖端電極と、前記導電性延伸ロールとの間に分極電圧を印加して、前記結晶性極性高分子シートを分極処理することを特徴とする高分子圧電体フィルムの製造方法。
  2. 導電性延伸ロールとの接触下での結晶性極性高分子シートの延伸がネッキング延伸である請求項1に記載の製造方法。
  3. 結晶性極性高分子シートと接触する導電性延伸ロールの孤のなす中心角が30°以上である請求項1に記載の製造方法。
  4. 前記導電性延伸ロールが滑剤の塗布により表面摩擦係数を低減したロールである請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
  5. 前記導電性延伸ロールが表面を粗面化することにより表面摩擦係数を低減したロールである請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
  6. 前記導電性延伸ロールが、表面を粗面化した金属ロールである請求項5に記載の製造方法。
  7. 前記導電性延伸ロールが粗表面を有する導電性セラミックロールである請求項5に記載の製造方法。
  8. 表面の粗さ係数Raが0.1〜30μmである導電性延伸ロールを用いる請求項5〜7のいずれかに記載の製造方法。
  9. 前記延伸−分極同時処理後に、再度同一電界方向に追加分極処理を施す請求項1〜8のいずれかに記載の製造方法。
  10. 結晶性極性高分子がポリフッ化ビニリデン系樹脂である請求項1〜9のいずれかに記載の製造方法。
  11. フッ化ビニリデン単独重合体からなり、31圧電係数の温度分散のピーク温度が120℃以上であり、且つ一方向に延長する表面擦過傷を有する高分子圧電体フィルム。
  12. 31圧電係数の温度分散のピーク温度が120℃以上である領域が、d31係数の発現方向と直交する方向の全幅且つd31係数の発現方向の長さ1m以上に亘る請求項11に記載の高分子圧電体フィルム。
  13. 31圧電係数が、平均値として15〜35pC/Nであり、局所的な平均値からのずれが±20%以下である請求項11または12に記載の高分子圧電体フィルム。
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