JP4851031B2 - 分極体の製造方法及びその製造装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は分極量の多い分極体を簡潔に製造することのできる方法、及びその製造装置に関する。本発明の方法により製造された分極体は、特に圧電体として好適に使用することができる。
【0002】
【従来の技術】
従来、分極体の1つの製造方法としては、空気中で被分極体に対して電界を作用させ、被分極体を分極させることにより分極体を製造する方法があった。しかしながら、この方法により得られる分極体は分極量が低いため、より分極量の多い分極体が望まれていた。
【0003】
この問題を解決する分極体の製造方法として、図4に模式的概念図を示すように、被分極体6の両面に電極10a、10bを取り付けた上で、絶縁オイル9中に浸漬し、前記電極10a、10bに対して、高電圧電源2により高電圧を印加する方法が知られている。この方法によれば、分極量の多い分極体を製造することができるが、この方法により分極体を製造する場合には、絶縁オイル9中に被分極体6を浸漬するが故に絶縁オイル9を除去する必要があり、被分極体6が多孔質である場合には、孔内における放電を防止するために、孔内に樹脂等を充填する必要と、分極させた後に樹脂等を除去する必要があるため、製造が煩雑であるという問題があった。また、被分極体がゴムと高分子との複合物からなる場合には、絶縁オイル中に被分極体を浸漬することによって、絶縁オイルがゴム中に浸透してしまい、この浸透した絶縁オイルを除去するのが困難であるという問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の問題点を解決するためになされたものであり、分極量の多い分極体を絶縁オイル中に浸漬することなく、簡潔に製造できる方法、及びその製造装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の発明者は、絶縁オイル中に被分極体を浸漬しなければ簡潔に分極体を製造できるという考えのもと、従来の空気中で被分極体に対して電界を作用させて分極体を製造する方法において分極量を多くできない理由を探求したところ、分極量を多くするためには被分極体にかかる電界強度を強くする必要があるが、空気中における絶縁破壊電圧が低いため、電界強度を強くすることができないことを見い出した。
【0006】
本発明はこのような知見に基づいてなされたものであり、その要旨とするところは、「被分極体に対して、圧力が0.2MPa以上の高圧力気体中で電界を作用させることにより、被分極体を分極させて分極体とすることを特徴とする、分極体の製造方法。」である。このように、高圧力気体中においては、気体の絶縁破壊電圧が高くなるため、被分極体に作用させる電界強度を強くすることができ、その結果、分極体の分極量を多くできることを見い出したのである。また、気体中で電界を作用させているため、従来のように絶縁オイル中に浸漬した場合のような問題が生じず、簡潔に分極体を製造することができる。
【0007】
この高圧力気体が高圧力空気であると、絶縁破壊電圧が高いため、分極量を多くすることができ、しかも安全でコスト的にも有利である。
【0008】
本発明の分極体の製造方法においては、被分極体が多孔質であっても、絶縁破壊電圧を高くできることによって、孔内における放電を防ぐことができると共に、強い電界を作用させることができるため、分極量の多い分極体を簡潔に製造することができる。
【0009】
本発明の分極体の製造装置は、電界を発生させることのできる手段、電界に被分極体を配置することのできる手段、電界を作用させる被分極体の配置箇所を圧力が0.2MPa以上の高圧力気体雰囲気とすることのできる手段、とを備えている。このように、高圧力気体雰囲気とすることのできる手段を備えており、強い電界を被分極体に対して作用させることができるため、分極量の多い分極体を簡潔に製造できる装置である。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の分極体のもととなる被分極体は電界の作用によって分極するものであれば良く、特に限定するものではないが、例えば、強誘電性セラミックスや強誘電性高分子などの強誘電体を挙げることができる。より具体的には、前者の強誘電性セラミックスとして、チタン酸バリウム系(例えば、BaTiO3、BaTiO3/PbTiO3、BaTiO3/SrTiO3、BaTiO3/BaSnO3、BaTiO3/BaPbO3など)、チタン酸鉛、PZT(チタン酸鉛/チタン酸ジルコニウム固溶体)などのペロブスカイト型、或いはPbNb2O6などのタングステンブロンズ型のセラミックスを挙げることができ、後者の強誘電性高分子として、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニリデンシアナイド、フッ化ビニリデン−トリフロロエチレン共重合体などを挙げることができる。
【0011】
なお、本発明で使用できる被分極体は上述のような強誘電体を少なくとも1種類含んでいれば良く、強誘電体のみから構成されている必要はない。例えば、組成の異なる強誘電体を2種類以上含んでいても、組成の異なる強誘電体を1種類以上と強誘電体ではない非強誘電体を1種類以上とを含んでいても良い。また、被分極体は2種類以上の無機材料から構成されていても良いし、2種類以上の有機材料から構成されていても良いし、或いは1種類以上の無機材料と1種類以上の有機材料とから構成されていても良い。
【0012】
この被分極体は無孔質の態様であっても良いし、多孔質の態様であっても良い。本発明においては、多孔質の被分極体であっても、孔内で放電を発生させることなく、強い電界を作用させることができるという従来にはない効果を奏する。なお、本発明における被分極体はシート状の平面的なものである必要はなく、三次元的な立体的なものであっても良い。
【0013】
このような被分極体に対して、圧力が0.2MPa以上の高圧力気体中で電界を作用させることによって、被分極体を分極させて分極体を製造することができる。本発明においては、高圧力気体中で強い電界を作用させることができるため、分極量の多い分極体を簡潔に製造することができる。この高圧力気体の圧力が高ければ高いほど、気体の絶縁破壊電圧が高くなり、前記作用効果に優れているため、好ましい圧力は0.3MPa以上であり、より好ましい圧力は0.5MPa以上である。なお、上限は被分極体の形態を維持することのできる圧力である限り特に限定されるものではないが、一般的に10MPa程度が適当である。
【0014】
この高圧力気体は、例えば、空気、窒素、酸素、アルゴン、二酸化炭素などの中から自由に選択又は混合することができる。特に、絶縁破壊電圧の高い気体であると、前述のような作用効果を奏しやすいため好適である。この絶縁破壊電圧の高い気体としては、例えば、空気、酸素、二酸化炭素などを挙げることができる。これらの中でも、安全性及びコストの点で有利である空気であるのが好ましい。
【0015】
本発明の分極体の製造方法においては、このような高圧力気体中で、電界を作用させることによって、被分極体を分極させて分極体を製造する。なお、電界の発生方法は特に限定するものではないが、例えば、直流高電圧を印加できる一対の電極によって電界を作用させることができる。この場合、電極に印加する電圧は分極量が多くなるように、1kV以上であるのが好ましく、5kV以上であるのがより好ましい。
【0016】
なお、被分極体はどのように配置しても良いが、例えば、直流高電圧を印加できる一対の電極によって電界を作用させる場合には、両方の電極と接触するように配置しても良いし、一方の電極と接触するように配置しても良いし、両方の電極と非接触であるように配置しても良いが、効率的に分極できるように、両方の電極と接触しているのが好ましい。
【0017】
また、被分極体に対して電界を作用させる際、被分極体は常温であっても良いし、加熱された状態にあっても良い。後者の場合、その加熱温度は被分極体の形態を維持することのできる温度であれば良く、特に限定されるものではない。このような被分極体の加熱は、例えば、ヒーターにより加熱する方法、赤外線により加熱する方法、高圧力気体を加熱する方法、或いはこれらを併用する方法などがある。なお、被分極体の温度が徐々に上昇するように加熱しても良いし、終始同じ温度であるように加熱しても良いし、或いは加熱した後に温度が徐々に、又は急激に低くなるようにしても良いが、加熱した後に温度が徐々に、又は急激に低くなるようにすると、分極しやすく、しかもその分極が固定されやすいため、好適な加熱方法である。
【0018】
本発明の分極体製造装置は、電界を発生させることのできる手段、電界に被分極体を配置することのできる手段、電界を作用させる被分極体の配置箇所を圧力が0.2MPa以上の高圧力気体雰囲気とすることのできる手段、とを備えている。
【0019】
この電界を発生させることのできる手段としては、例えば、直流高電圧を印加することのできる一対の電極を挙げることができる。
【0020】
なお、電界に被分極体を配置することのできる手段としては、例えば、供給ロールによる方法、巻き取りロールによる方法、搬送コンベアによる方法、などを挙げることができる。
【0021】
また、電界を作用させる被分極体の配置箇所を0.2MPa以上の高圧力気体雰囲気とすることのできる手段としては、例えば、被分極体に対して電界を作用させる空間を閉鎖空間とすることのできる容器と、この容器に気体を導入することのできる、コンプレッサー、ガスボンベ、或いはブロアーなどの加圧装置を挙げることができる。
【0022】
更に、本発明の分極体製造装置が被分極体を加熱することのできる加熱手段を備えていると、分極体の分極量を多くすることができる。この加熱手段として、例えば、ヒーター、赤外線、加熱した高圧気体などを挙げることができる。
【0023】
以下に、本発明の分極体製造装置について、基本原理を表す模式的断面図である図1をもとに説明する。
【0024】
図1の分極体製造装置においては、一対の平板状電極1a、1bが対向して配置されており、一方の平板状電極1aは高電圧電源2に接続されており、他方の平板状電極1bはアースされている。そのため、一方の平板状電極1aに高電圧を印加することによって、電界を形成できるようになっている。この一対の平板状電極1a、1bは、高圧力気体の圧力によっても破壊することのない圧力容器3内に配置されている。この圧力容器3には、加圧装置4が接続されており、この加圧装置4により圧力容器3内を高圧力気体雰囲気とすることができる。なお、図1においては、圧力容器3内の圧力を調節できるように、調圧バルブ5が加圧装置4と圧力容器3との間に接続されている。また、分極量をより多くすることができるように、加圧装置4は絶縁破壊電圧の高い気体(例えば、空気、酸素、二酸化炭素など)を供給できる。更に、効率的に分極できるように、一対の平板状電極1a、1bと被分極体6とは接触しているのが好ましい。
【0025】
この図1の分極体製造装置を用いて分極体を製造する場合、まず、被分極体6を一対の平板状電極1a、1bの両方と接触させて配置する。次いで、加圧装置4により圧力容器3内の気体圧力が0.2MPa以上となるまで加圧する。その後、一方の平板状電極1aに対して高電圧電源2によって高電圧を印加することにより、一対の平板状電極間に電界を形成し、被分極体6を分極させて分極体を製造する。この加圧装置4により前述のような絶縁破壊電圧の高い気体を導入すれば、被分極体6に対して強い電界を作用させることができるため、分極体の分極量を多くすることができる。
【0026】
なお、高電圧電源2により印加する電圧は分極体の分極量が多くなるように、1kV以上であるのが好ましく、5kV以上であるのがより好ましい。なお、高電圧電源2による電圧の印加時間は被分極体、温度などによって変化するため、特に限定するものではないが、通常1分間以上であるのが好ましい。また、電圧はパルス状電圧を印加しても良いし、直流にパルスを重畳した重畳電圧を印加しても良い。更に、効率的に被分極体を分極できるように、気体はよく乾燥したもの(相対湿度が1%以下の気体)を供給するのが好ましい。
【0027】
図2は本発明の別の分極体製造装置の模式的断面図である。図2の分極体製造装置は被分極体6がシート状である場合に適用することができる。
【0028】
図2の分極体製造装置においては、一対の電極がベルト状電極1aとロール状電極1bとからなること、及び被分極体6を巻き出しロール11及び巻き取りロール12の作用によって被分極体6を一対の電極間へ供給していること以外は、前述の図1と全く同様である。このように、本発明の分極体製造装置においては、電界を発生させる手段が一対の平板状電極である必要はなく、ロール状電極とベルト状電極との組み合わせ、ベルト状電極とベルト状電極との組み合わせ、ロール状電極とロール状電極の組み合わせであっても良い。また、図2の分極体製造装置においては、巻き出しロール11及び巻き取りロール12の作用によって被分極体6を一対の電極間へ被分極体6を供給しているが、コンベアによって供給しても良い。
【0029】
図3は別の分極体製造装置の模式的断面図である。図3の分極体製造装置は被分極体6が不連続な被分極体6(例えば、成形物)である場合に適用することができる。
【0030】
この分極体製造装置においては、一対のベルト状電極1a、1bが対向して配置されており、上側のベルト状電極1aに対して高電圧を印加できるように、高電圧電源2が接続されており、下側のベルト状電極1bはアースされている。そのため、上側のベルト状電極1aに対して高電圧を印加することによって、これら電極間に電界を形成できるようになっている。なお、下側のベルト状電極1bは被分極体6を搬送するコンベアとしても作用することができる。この一対のベルト状電極1a、1bは、高圧力気体の圧力によっても破壊することのない圧力容器3内に配置されている。この圧力容器3には、加圧装置4が接続されており、圧力容器3内の気体の圧力を0.2MPa以上とすることができるようになっている。なお、図3の分極体製造装置においては、調圧バルブ5が加圧装置4と圧力容器3との間に接続されているため、圧力容器3内の圧力を調節することができる。また、図3の分極体製造装置においては、圧力容器3内の圧力を低下させることなく、下方のベルト状電極1bに被電極体6を供給できる位置(図3においてはベルト状電極1bの上方)に、供給側気密室7が設けられており、分極体を搬出できる位置(図3においてはベルト状電極1bの下方)に、搬出側気密室8が設けられている。なお、供給側気密室7は供給側気密室7に被分極体6を供給するための大気側入口ドア7aと、圧力容器3中に被分極体6を供給するための容器側入口ドア7bを備えており、搬出側気密室8は、圧力容器3内から分極体を取り出すための容器側出口ドア8bと、搬出側気密室8から分極体を取り出すための大気側出口ドア8aとを備えている。また、供給側気密室7及び搬出側気密室8にも加圧装置4a、4bが接続され、供給側気密室7及び搬出側気密室8を加圧することができるようになっており、圧力容器3内の圧力を低下させないように設計されている。なお、供給側気密室7及び搬出側気密室8と加圧装置4a、4bとの間にも、圧力を調節できるように、調圧バルブ5a、5bが接続されている。
【0031】
この分極体製造装置により分極体を製造する場合、まず、加圧装置4により圧力容器3内における気体の圧力を0.2MPa以上の所望の圧力にする。次いで、大気側入口ドア7aを開けて供給側気密室7に被分極体6を搬入し、大気側入口ドア7aを閉じる。次いで、供給側気密室7における圧力を加圧装置4aによって圧力容器3と同程度の圧力とする。次いで、容器側入口ドア7bを開けて圧力容器3内の下側のベルト状電極1b上に被分極体6を搬入し、この下側のベルト状電極1bによって、一対のベルト状電極1a、1b間へ搬送する。なお、被分極体6をベルト状電極上1bに搬入した後に容器側入口ドア7bを閉じる。この搬送された被分極体6は一対のベルト状電極1a、1bによって形成される電界によって、分極して分極体となる。この分極体は下方のベルト状電極1bによって更に搬送される。次いで、圧力容器3と同程度の圧力に加圧された搬出側気密室8の容器側出口ドア8bを開けて、分極体を搬出側気密室8に取り出す。容器側出口ドア8bを閉じた後、大気側出口ドア8aを開けて分極体を取り出す。次いで、大気側出口ドア8aを閉じ、加圧装置4bによって加圧し、搬出側気密室8の圧力を圧力容器3と同程度の圧力とする。このような作業を繰り返すことにより、分極体を連続的に製造することができる。
【0032】
なお、容器側入口ドア7bを開けて圧力容器3内の下方のベルト状電極1bに被分極体6を搬入する工程や、容器側出口ドア8bを開けて分極体を搬出側気密室8に取り出す工程を、分極体を一定量蓄えた後に実施すれば、容器側入口ドア7b及び/又は容器側出口ドア8bの開閉回数を減らすことができるため、より効率的に製造することができる。
【0033】
以上、図面をもとに説明した分極体製造装置は、電極同士が略平行に配置された態様であるが、電極の形状や電極の配置を被分極体の形状に対応させることによって、各種形状の被分極体を分極させて分極体を製造することができる。
【0034】
本発明の分極体の製造方法及びその製造装置は分極体の分極量を多くすることができるため、本発明の製造方法及び製造装置によって製造された分極体は、例えば、圧電体(例えば、ハイドロホン、医療機器、各種超音波プローブなどの振動検出センサー用途や、スピーカー、超音波発信機などの振動子用途に使用できる)、光ファイバー、光学異方性材料などとして好適に使用することができる。
【0035】
以下に、本発明の分極体の製造方法について実施例を記載するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0036】
【実施例】
(実施例1)
被分極体として、チタン酸ジルコン酸鉛からなる板状焼結体を用意した。
【0037】
次いで、この被分極体の両面に銀ペーストを塗布した後、温度850℃で焼き付けて、電極装備被分極体(厚さ:約1mm、直径15mmの円形)を形成した。
【0038】
次いで、図1のように、電極装備被分極体の一方の電極を高電圧電源と結線し、他方の電極をアースすると共に、電極装備被分極体を調圧バルブを介してコンプレッサーと接続された圧力容器内に配置した。なお、図示されていないが、アースされた電極の下方に、この電極と接するようにヒーターを備え付けた。
【0039】
次いで、圧力容器内の空気圧が0.3MPaとなるまで空気(相対湿度:1%以下)を供給した後、ヒーターにより電極装備被分極体を温度150℃に加熱すると同時に、5KVの直流電圧を15分間印加した。その後、そのまま5分間放置することにより冷却して、分極体を製造した。
【0040】
(実施例2)
圧力容器内の空気圧が0.8MPaとなるまで空気を供給したこと、及び印加電圧を7KVとしたこと以外は、実施例1と全く同様にして分極体を製造した。
【0041】
(実施例3)
被分極体として、チタン酸ジルコン酸鉛からなる板状焼結体(多孔質、空隙率:60%)を用意した。
【0042】
次いで、この被分極体の両面に銀ペーストを塗布した後、温度850℃で焼き付けて、電極装備被分極体(厚さ:約3mm、直径15mmの円形)を形成した。
【0043】
次いで、図1のように、電極装備被分極体の一方の電極を高電圧電源と結線し、他方の電極をアースすると共に、電極装備被分極体を調圧バルブを介してコンプレッサーと接続された圧力容器内に配置した。なお、図示されていないが、アースされた電極の下方に、この電極と接するようにヒーターを備え付けた。
【0044】
次いで、圧力容器内の空気圧が2MPaとなるまで空気(相対湿度:1%以下)を供給した後、ヒーターにより電極装備被分極体を温度150℃に加熱すると同時に、14KVの直流電圧を15分間印加した。その後、そのまま5分間放置することにより冷却して、分極体を製造した。
【0045】
(実施例4)
被分極体として、チタン酸ジルコン酸鉛粉末とフッ化ビニリデン粉末とを、95:5の質量比率で混合した後、プレス成形することによって、厚さ1.5mm、直径10mmの円板状とした多孔質成形体を用意した。
【0046】
次いで、この多孔質成形体の両面にスパッター法により金を付け、電極装備被分極体(厚さ:約1.5mm、直径10mmの円形)を形成した。
【0047】
次いで、図1のように、電極装備被分極体の一方の電極を高電圧電源と結線し、他方の電極をアースすると共に、電極装備被分極体を調圧バルブを介してコンプレッサーと接続された圧力容器内に配置した。なお、図示されていないが、アースされた電極の下方に、この電極と接するようにヒーターを備え付けた。
【0048】
次いで、圧力容器内の空気圧が2MPaとなるまで空気(相対湿度:1%以下)を供給した後、ヒーターにより電極装備被分極体を温度100℃に加熱すると同時に、10KVの直流電圧を15分間印加した。その後、そのまま5分間放置することにより冷却して、分極体を製造した。この分極体はセンサーとして有効なものであった。
【0049】
(比較例1)
大気圧下(0.1MPa)で電界を作用させたこと、及び2.5KVの直流電圧を30分間印加したこと以外は、実施例1と同様にして分極体を製造した。
【0050】
(比較例2)
実施例1と同様にして形成した電極装備被分極体の一方の電極を高電圧電源と結線し、他方の電極をアースした。なお、アースされた電極の下方に、この電極と接するようにヒーターを備え付けた。
【0051】
次いで、大気圧下(0.1MPa)、ヒーターにより電極装備被分極体を温度150℃に加熱すると同時に、電圧を徐々に上げていったところ、約3.0KVの電圧を印加した時点で、被分極体の側面を通じてスパーク放電が発生したため、電極装備被分極体を分極させることができなかった。
【0052】
(比較例3)
実施例3と同様にして形成した電極装備被分極体の一方の電極を高電圧電源と結線し、他方の電極をアースした。なお、アースされた電極の下方に、この電極と接するようにヒーターを備え付けた。
【0053】
次いで、大気圧下(0.1MPa)、ヒーターにより電極装備被分極体を温度150℃に加熱すると同時に、電圧を徐々に上げていったところ、約6.5KVの電圧を印加した時点で、被分極体の側面を通じてスパーク放電が発生したため、電極装備被分極体を分極させることができなかった。
【0054】
(比較例4)
実施例4と同様にして形成した電極装備被分極体の一方の電極を高電圧電源と結線し、他方の電極をアースした。なお、アースされた電極の下方に、この電極と接するようにヒーターを備え付けた。
【0055】
次いで、大気圧下(0.1MPa)、ヒーターにより電極装備被分極体を温度100℃に加熱した状態で、電圧を徐々に上げていったところ、約3.2KVの電圧を印加した時点で、被分極体の側面を通じてスパーク放電が発生したため、電極装備被分極体を分極させることができなかった。
【0056】
(圧電性試験)
実施例1〜4及び比較例1の分極体の厚み方向における圧電定数d33を、d33メーターで測定した。この結果は表1に示す通りであった。
【0057】
【表1】
【0058】
この表1から明らかなように、本発明の分極体は分極量が多いことがわかった。
【0059】
【発明の効果】
本発明の分極体の製造方法によれば、分極量の多い分極体を絶縁オイル中に浸漬することなく、簡潔に製造することができる。また、被分極体を絶縁オイル中に浸漬する必要がなく、絶縁オイルを除去するための洗剤が不要であるため、環境への負荷を低減することのできる分極体の製造方法である。なお、高圧力気体が高圧力空気であると、絶縁破壊電圧が高いため、分極量を多くすることができ、しかも安全でコスト的にも有利である。更に、本発明の分極体の製造方法は被分極体が多孔質であっても、分極量の多い分極体を簡潔に製造することができる。
【0060】
本発明の分極体の製造装置は、分極量の多い分極体を簡潔に製造できる装置である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の分極体製造装置の模式的断面図
【図2】 本発明の別の分極体製造装置の模式的断面図
【図3】 本発明の更に別の分極体製造装置の模式的断面図
【図4】 従来の分極体の製造方法を表す模式的概念図
【符号の説明】
1a、1b 電極
2 高電圧電源
3 圧力容器
4、4a、4b 加圧装置
5、5a、5b 調圧バルブ
6 被分極体
7 供給側気密室
7a 大気側入口ドア
7b 容器側入口ドア
8 搬出側気密室
8a 大気側出口ドア
8b 容器側出口ドア
9 絶縁オイル
10a、10b 電極
11 巻き出しロール
12 巻き取りロール
Claims (4)
- 被分極体に対して、圧力が0.2MPa以上の高圧力気体中で電界を作用させることにより、被分極体を分極させて分極体とすることを特徴とする、分極体の製造方法。
- 高圧力空気中で電界を作用させることを特徴とする、請求項1記載の分極体の製造方法。
- 被分極体が多孔質であることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の分極体の製造方法。
- 電界を発生させることのできる手段、電界に被分極体を配置することのできる手段、電界を作用させる被分極体の配置箇所を圧力が0.2MPa以上の高圧力気体雰囲気とすることのできる手段、とを備えていることを特徴とする分極体の製造装置。
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