しかしながら、上記特許文献1で開示されたタインプレートは、当該タインプレート100を装着した状態で電気コネクタ200がプリント配線板300に実装されるため、完成後においても当該タインプレート100が装着された状態となる。そして、例えばコンタクト210および220が金属板であり、タインプレート100が絶縁性部材で構成されるため、熱膨張率の異なる部材が組み合わされて実装されることになる。したがって、プリント配線板300と電気コネクタ200とが実装された状態において温度の変動が生じた場合、熱膨張応力によってコンタクト210および220の脚部とプリント配線板300との接合部に応力が加わる。例えば、コンタクト210および220の脚部がプリント配線板300にハンダ付け等で接合されている場合、当該接合部位のハンダにクラックを誘発する恐れがある。また、タインプレート100を装着した状態で電気コネクタ200がプリント配線板300に実装されるため、実装部品の重量が増加する要因となっている。
それ故に、本発明の目的は、コンタクトの整列状態を保持しながら当該コンタクトとプリント配線板との接続部へ加わる応力を軽減することができる端子整列板および端子整列板付き実装部品を提供することである。
上述したような目的を達成するために、本発明は、以下に示すような特徴を有している。
第1の発明は、外部に突出する複数の接続端子を有する部品に装着される端子整列板である。端子整列板は、複数の端子保持孔および複数のスリットが形成される。複数の端子保持孔は、複数の接続端子をそれぞれ挿入させる。複数のスリットは、端子保持孔の少なくとも1つと連通し、端子整列板の一方端部までそれぞれ開口する。端子整列板は、第1把手部を備える。第1把手部は、スリットから当該スリットに連通する端子保持孔への方向の力が加わることによって、接続端子が端子保持孔に貫通した状態からスリット側へそれぞれ抜け出す方向へ端子整列板を移動させる。
第2の発明は、上記第1の発明において、ばね部を、さらに備える。ばね部は、部品に装着された状態で、スリットから当該スリットに連通する端子保持孔への方向に端子整列板を付勢する。
第3の発明は、上記第1または第2の発明において、第2把手部を、さらに備える。第2把手部は、一方端部からスリットに沿った方向の力が加わることによって、接続端子がスリットに沿って一方端部からそれぞれ抜け出す方向へ端子整列板を移動させる。
第4の発明は、上記第1または第2の発明において、接続端子は、第1列方向に列設され、それら先端部が当該第1列方向に列設された他の部品の貫通孔にそれぞれ貫装されて部品が当該他の部品に実装される。端子保持孔は、貫通孔に対応させてそれぞれ第1列方向に列設される。
第5の発明は、上記第4の発明において、スリットは、第1列方向と交差する第2列方向を長手方向としてそれぞれ形成される。
第6の発明は、上記第5の発明において、スリットは、それぞれ連通する端子保持孔に対して第1列方向に沿った一方側にそれぞれ隣設される。
第7の発明は、上記第2の発明において、第1把手部は、端子整列板の一方端部の両側に形成された当該一方端部に垂直な両端部のうち、一方側に立設される。ばね部は、両端部の他方側に設けられ、部品に装着された状態で当該部品の一部と接触して配設される。
第8の発明は、上記第7の発明において、端子保持孔は、第1列方向に列設される。スリットは、第1列方向と交差する第2列方向を長手方向としてそれぞれ形成され、それぞれ連通する端子保持孔に対して第1列方向に沿った一方側にそれぞれ隣設される。
第9の発明は、上記第2の発明において、第1把手部は、端子整列板の一方端部の両側に形成された両端部それぞれに立設される。ばね部は、端子整列板の中央部に設けられ、当該端子整列板が両端部側へそれぞれ広がる方向に付勢する。
第10の発明は、上記第9の発明において、端子保持孔は、第1列方向に列設される。スリットは、第1列方向と交差する第2列方向を長手方向としてそれぞれ形成され、ばね部から一方側ではそれぞれ連通する端子保持孔に対して第1列方向に沿った当該一方側にそれぞれ隣設され、ばね部から他方側ではそれぞれ連通する端子保持孔に対して第1列方向に沿った当該他方側にそれぞれ隣設される。
第11の発明は、上記第1または第2の発明において、第1把手部は、嵌合部を含む。嵌合部は、部品の一部と嵌合して当該部品に対する端子整列板の上下面方向を位置決めする。
第12の発明は、上記第1または第2の発明において、スリットと端子保持孔とが連通するそれぞれの部位に、その開口幅を狭くする一対の突起が、さらに形成される。
第13の発明は、上記第1または第2の発明において、少なくとも端子保持孔およびスリットを形成する板状部材が金属製である。
第14の発明は、端子整列板が装着された実装部品である。実装部品は、ハウジングおよび複数の接続端子を備える。複数の接続端子は、ハウジングから外部に突出する。端子整列板は、複数の端子保持孔および複数のスリットが形成される。複数の端子保持孔は、複数の接続端子をそれぞれ挿入させる。複数のスリットは、端子保持孔の少なくとも1つと連通し、端子整列板の一方端部までそれぞれ開口する。端子整列板は、第1把手部を備える。第1把手部は、スリットから当該スリットに連通する端子保持孔への方向の力が加わることによって、接続端子が端子保持孔に貫通した状態からスリット側へそれぞれ抜け出す方向へ当該端子整列板を移動させる。
上記第1の発明によれば、部品の接続端子を他の部品に取り付けた後に取り外すことができるため、接続端子の整列状態を保持しながら取り付け作業を行った後、当該接続端子との接続部へ加わる応力を軽減することができる。例えば、上記接続部に温度の変動が生じた場合も、端子整列板が未装着状態であるために熱膨張応力による接合部への応力が生じない。したがって、接続端子の脚部が他の部品にハンダ付け等で接合されている場合でも、当該接合部位のハンダに生じるクラックを防止することができる。また、部品を取り付けた後に端子接続板が取り外し可能であるため、完成品の重量を低減することができる。さらに、第1把手部を用いることによって、端子保持孔からスリットを介して簡単に取り外すことが可能となる。
上記第2の発明によれば、部品に端子整列板が装着された際、ばね部の付勢力によって接続端子がそれぞれ端子保持孔内に保持されるため、接続端子の整列状態を安定させることができる。
上記第3の発明によれば、第2把手部を用いることによって、スリット側に抜け出した接続端子を当該スリットに沿って端子整列板の外まで抜け出させることができ、端子整列板を簡単に取り外すことが可能となる。
上記第4の発明によれば、部品を実装する相手部品の貫通孔に対応させた端子保持孔を形成することによって、接続端子を貫通孔に貫装する作業が容易となる。
上記第5の発明によれば、第2列方向へ端子整列板をスライド移動させることによって、スリット側に抜け出した接続端子を当該スリットに沿った端子整列板の外まで容易に抜け出させることができる。
上記第6の発明によれば、第1列方向へ端子整列板をスライド移動させた後に第2列方向に端子整列板をスライド移動させることによって、接続端子を端子保持孔からスリット側に抜け出さえた後に当該接続端子を当該スリットに沿った端子整列板の外まで容易に抜け出させることができる。
上記第7の発明によれば、部品に端子整列板が装着された際、ばね部によって端子整列板が第1把手部側に付勢されているため、当該ばね部を縮める方向に第1把手部を移動させることによって、それぞれ端子保持孔内から接続端子をスリット側へ抜け出させることができる。
上記第8の発明によれば、部品に端子整列板が装着された際、ばね部によって端子整列板を第1把手部側に付勢することによって、接続端子をそれぞれ端子保持孔内に保持されるため、接続端子の整列状態を安定させることができる。そして、ばね部を縮める方向に第1把手部を移動させることによって、それぞれ端子保持孔内から接続端子を容易に抜け出させることができる。
上記第9の発明によれば、部品に端子整列板が装着された際、ばね部によって端子整列板が広がる方向に付勢されているため、当該端子整列板を縮める方向に両端の第1把手部を移動させることによってそれぞれ端子保持孔内から接続端子を抜け出させることができる。
上記第10の発明によれば、部品に端子整列板が装着された際、ばね部によって端子整列板が広がる方向に付勢することによって、接続端子をそれぞれ端子保持孔内に保持されるため、接続端子の整列状態を安定させることができる。そして、端子接続板を縮める方向に両端の第1把手部をそれぞれ移動させることによって、それぞれ端子保持孔内から接続端子を容易に抜け出させることができる。
上記第11の発明によれば、部品に端子整列板が装着された際、端子整列板の上下面方向の装着位置を安定させることができる。
上記第12の発明によれば、端子保持孔と突起とによって囲まれた領域内に接続端子が保持される。したがって、接続端子が比較的自由に移動可能な孔形状と比較すると、接続端子を整列させる位置精度が高くなるため、実装する位置精度も高くなる。
上記第13の発明によれば、少なくとも端子整列板の板状部材を金属製にすることによって、端子整列板自体の耐久性が向上して、長期間使い回すことが可能となる。また、接続端子が他の部品にハンダ付け等で接合される場合、接続端子に装着された端子整列板も高温状態に曝されることがあり、当該端子整列板の耐熱性を考慮した接合条件を満たすことが必要となる。しかしながら、金属製の耐熱性に優れた端子整列板を用いることによって、端子整列板の耐熱性を考慮せずに接合条件を設定することが可能となり、実装作業で用いる接合工程のバリエーションを拡げることができる。
また、本発明の実装部品によれば、上述した端子整列板と同様の効果を得ることができる。
(第1の実施形態)
以下、図1および図2を参照して、本発明の第1の実施形態に係る端子整列板について説明する。典型的には、当該端子整列板は、プリント配線板上に実装される電気コネクタ等の実装部品に組み込まれて用いられ、以下の説明においてタインプレートと記載する。なお、図1は、タインプレート1aおよび電気コネクタ9の構造の一例を示す斜視図である。図2は、タインプレート1aおよび電気コネクタ9の構造の一例を示す正面図である。
図1および図2において、電気コネクタ9は、プリント配線板に形成された複数の挿入孔(スルーホール)にそれぞれ貫装されて接続される複数のコンタクト91および92と、当該コンタクト91および92が配列されたハウジング93とを備えている。なお、図1および図2では、2列にコンタクト91および92が配列された電気コネクタ9を示しており、コンタクト91がハウジング93側の一方列に列設され、コンタクト92がハウジング93から離れた他方側に列設されている。そして、コンタクト91および92は、ハウジング93の外部へ突出してそれぞれプリント配線板に貫装される脚部(タイン部)と、相手コネクタと接続する接続部とを有している。なお、コンタクト91および92の接続部は、ハウジング93の内部に形成されているために図示を省略しており、図1および図2においては、コンタクト91および92の脚部のみ図示している。また、コンタクト91および92が列設され、当該コンタクト91および92が貫装されるスルーホールの列設方向が、本発明の第1列方向の一例に相当する。
上記電気コネクタ9が実装されるまでのコンタクト91および92の変形を防止するために、コンタクト91および92にタインプレート(端子整列板)1aが装着される。タインプレート1aは、コンタクト91および92の脚部がそれぞれ貫通する複数の端子保持孔が形成された板状絶縁部材である。例えば、タインプレート1aは、PBT(ポリブチレンテレフタレート)等の樹脂材料で構成される。上記端子保持孔は、コンタクト91および92の脚部がそれぞれ貫装されるプリント配線板のスルーホールに対応させて開口している。また、上記端子保持孔は、タインプレート1aのプレート一方側端部まで開口した複数の切り欠き孔とそれぞれ連通しており、連通する当該端子保持孔および切り欠き孔を合わせてスリット状開口部Naを構成している。そして、タインプレート1aの端子保持孔に、それぞれコンタクト91および92の脚部を貫通させて電気コネクタ9を取り扱うことによって、当該コンタクト91および92の脚部の変形を防止して整列状態を保持する。
次に、図1〜図5を参照して、タインプレート1aの構造およびタインプレート1aがコンタクト91および92に装着された状態について説明する。なお、図3は、タインプレート1aの形状の一例を示す上面図である。図4は、図3に示すタインプレート1aのA部の詳細図である。図5は、タインプレート1aが電気コネクタ9に装着された状態の一例を示す上面図である。
図3において、スリット状開口部Naは、タインプレート1aのプレート一方側端部まで開口したスリットNMaと、スリットNMaと連通する端子保持孔NBIaおよびNBOaとによって形成されている。スリットNMaは、タインプレート1aを電気コネクタ9に装着した際に、ハウジング93側となって当該ハウジング93と対向する側面(以下、奥側面と記載する)に対して垂直方向を長手方向として、スリット状に複数本タインプレート1aに形成される。そして、スリットNMaは、それぞれ上記奥側面まで開口している。また、スリットNMaの長手方向を基準とした一方側(図3に示す例では左側)に、端子保持孔NBIaおよびNBOaが当該スリットNMaと連通して形成される。具体的には、スリット状開口部Naは、アルファベットの略F字形状で形成され、F字の縦画がスリットNMa、F字の上側横画が端子保持孔NBOa、F字の下側横画が端子保持孔NBIaにそれぞれ相当する。そして、スリット状開口部NaにおけるF字の縦画の下端が、タインプレート1aの上記奥側面に開口している。このようなスリット状開口部Naは、装着するコンタクト91および92に応じて、タインプレート1aに複数並設して形成される。なお、端子保持孔NBIaおよびNBOaがそれぞれ列設される方向が、本発明の第1列方向の一例に相当する。また、スリットNMaの長手方向が形成される方向が、本発明の第2列方向の一例に相当する。
図4において、スリットNMaと端子保持孔NBIaおよびNBOaとをそれぞれ連結する部位には、一対の抜止突起NPaが形成される。抜止突起NPaの間隔は、それぞれ装着されるコンタクト91および92の幅と同等または当該幅より狭く設定される。これによって、抜止突起NPaは、端子保持孔NBIaおよびNBOaにそれぞれコンタクト91および92の脚部が挿入された際に、コンタクト91および92の脚部が端子保持孔NBIaおよびNBOaからスリットNMaへ容易に抜け出すことを防止することができる。
図1〜図3および図5において、タインプレート1aには、第1把手部11aおよび第2把手部15aがそれぞれ設けられる。第1把手部11aは、タインプレート1aの上記奥側面に垂直な両端面の一方側端部近傍のプレート面上に立設される。具体的には、第1把手部11aは、上述した端子保持孔NBIaおよびNBOaがスリットNMaに対して形成されている方向(図3の例では左側)とは逆のタインプレート1a端面近傍(図3の例では右側端面近傍)に立設される。また、第2把手部15aは、タインプレート1aの上記奥側面と対向する側面(以下、手前側面と記載する)近傍のプレート面上に立設される。
第1把手部11aは、位置決め部111aおよび指掛け部112aを有している。位置決め部111aは、タインプレート1aのプレート面より外側へ突出して形成される嵌合突起であり、タインプレート1aを電気コネクタ9に装着した際にハウジング93の凹部と嵌合する。図2に示すように、指掛け部112aは、タインプレート1aを電気コネクタ9に装着した際に、外部に露出して配置される部材である。
図5に示すように、タインプレート1aを電気コネクタ9に装着するとき、一対のコンタクト91および92と一対の端子保持孔NBIaおよびNBOaとがそれぞれ一致して挿入された状態で、タインプレート1aを電気コネクタ9に装着する。このとき、コンタクト91および92が、それぞれ端子保持孔NBIaおよびNBOaと抜止突起NPaとによって囲まれた領域内に保持されるため、タインプレート1aの左右方向および前後方向が位置決めされる。また、図2に示すように、タインプレート1aが電気コネクタ9に装着された状態では、位置決め部111aとハウジング93の凹部とが嵌合して、タインプレート1aの上下方向が位置決めされる。
次に、図5〜図7を参照して、電気コネクタ9からタインプレート1aを取り外す方法について説明する。なお、図6は、タインプレート1aを電気コネクタ9から取り外す際の第1段階を示す上面図である。図7は、タインプレート1aを電気コネクタ9から取り外す際の第2段階を示す上面図である。
図5において、タインプレート1aが電気コネクタ9に装着された状態では、一対のコンタクト91および92と一対の端子保持孔NBIaおよびNBOaとがそれぞれ一致して挿入されている。したがって、コンタクト91および92は、端子保持孔NBIaまたはNBOaと抜止突起NPaとによって囲まれた領域内にそれぞれ保持されるため、端子保持孔NBIaおよびNBOaの位置に応じた整列状態でコンタクト91および92の位置が保持される。このような整列状態で、プリント配線板の挿入孔にコンタクト91および92が挿入されて接合されて、電気コネクタ9がプリント配線板の所定位置に実装される。
タインプレート1aは、電気コネクタ9がプリント配線板に実装された後、当該電気コネクタ9から取り外すことが可能である。図6において、当該実装品を取り扱う作業者が第1把手部11aをタインプレート1aの中央部へ向かう方向へ力を加える(例えば、第1把手部11aを図示力印加方向へ押す)ことによって、タインプレート1a全体が当該方向へスライド移動する(図示プレート移動方向への移動)。このタインプレート1aのスライド移動によって、端子保持孔NBIaまたはNBOaと抜止突起NPaとによって囲まれた領域内に保持されていたコンタクト91および92は、一対の抜止突起NPaの間を乗り越えてスリットNMa側へそれぞれ抜け出す。つまり、タインプレート1a全体を上記プレート移動方向へ移動させるために必要な応力は、一対の抜止突起NPaの間隔が大きく影響することになり、当該間隔を調整することによってタインプレート1aを取り外す際に必要な力やタインプレート1aがコンタクト91および92を整列保持する力を調整することができる。また、上述したように、第1把手部11aの指掛け部112aが露出しており、タインプレート1aを取り外すために、作業者が指掛け部112aに指を掛けて第1把手部11aを上記力印加方向へ押したり引っ張ったりする作業が容易となる。
図7において、コンタクト91および92がスリットNMa側へそれぞれ抜け出した状態で、作業者が第2把手部15aをハウジング93から引き離す方向へ力を加える(例えば、第2把手部15aを図示力印加方向へ引っ張る)ことによって、タインプレート1a全体が当該方向へスライド移動する(図示プレート移動方向への移動)。このタインプレート1aのスライド移動によって、コンタクト91および92がそれぞれスリットNMaに沿って移動し、やがてスリット状開口部Naから抜け出す。このように、タインプレート1aは、2方向のスライド移動を行うことによって、実装後の電気コネクタ9から取り外すことができる。
このように、当該実施形態に係るタインプレート1aは、部品を実装した後に取り外すことができるため、コンタクト91および92の整列状態を保持しながら実装作業を行った後、当該コンタクト91および92とプリント配線板との接続部へ加わる応力を軽減することができる。例えば、プリント配線板に電気コネクタ9が実装された状態において温度の変動が生じた場合も、タインプレート1aが未装着状態であるために上述した熱膨張応力による接合部への応力が生じない。したがって、コンタクト91および92の脚部がプリント配線板にハンダ付け等で接合されている場合でも、当該接合部位のハンダに生じるクラックを防止することができる。また、電気コネクタ9を実装した後にタインプレート1aが取り外されるため、実装部品としての完成品の重量を低減することができる。さらに、第1把手部11や第2把手部15を用いることによって、端子保持孔NBIaまたはNBOaからスリットNMaを介して、タインプレート1aを簡単に取り外すことが可能となる。また、タインプレート1aは、端子保持孔NBIaまたはNBOaと抜止突起NPaとによって囲まれた小さな領域内にコンタクト91および92を保持している。したがって、比較的自由に移動可能な孔形状(例えば、抜止突起NPaがない形状やコンタクト91および92の断面形状より相対的に大きな余裕がある形状)と比較すると、コンタクト91および92を整列させる位置精度が高くなるため、実装する位置精度も高くなる。
(第2の実施形態)
以下、図8および図9を参照して、本発明の第2の実施形態に係るタインプレート1bについて説明する。なお、図8は、タインプレート1bおよび電気コネクタ9の構造の一例を示す斜視図である。図9は、タインプレート1bおよび電気コネクタ9の構造の一例を示す正面図である。
図8および図9において、上述したタインプレート1aと同様に、タインプレート1bも、コンタクト91および92の脚部がそれぞれ貫通する複数の端子保持孔が形成された板状絶縁部材である。例えば、タインプレート1bは、PBT等の樹脂材料で構成される。上記端子保持孔は、コンタクト91および92の脚部がそれぞれ貫装されるプリント配線板のスルーホールに対応させて開口している。また、上記端子保持孔は、上述したタインプレート1aと同様に、タインプレート1bのプレート一方側端部まで開口した複数の切り欠き孔とそれぞれ連通しており、連通する当該端子保持孔および切り欠き孔を合わせてスリット状開口部Nbを構成している。
次に、図8〜図10を参照して、タインプレート1bの構造およびタインプレート1bがコンタクト91および92に装着された状態について説明する。なお、図10は、タインプレート1bが電気コネクタ9に装着された状態の一例を示す上面図である。
図10において、スリット状開口部Nbは、タインプレート1bのプレート一方側端部まで開口したスリットNMbと、スリットNMbとそれぞれ連通する端子保持孔NBIbおよびNBObとによって形成されている。なお、これらスリットNMbと端子保持孔NBIbおよびNBObとは、上述したタインプレート1aのスリット状開口部Naを構成するスリットNMbと端子保持孔NBIbおよびNBObと同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
スリットNMbと端子保持孔NBIbおよびNBObとをそれぞれ連結する部位には、一対の突起が形成される。なお、上記突起は、上述した抜止突起NPaのように積極的にコンタクト91および92が抜け出すことを防止するものでなくてもよい。例えば、上記突起の間隔は、装着されるコンタクト91および92の幅より広く設定してもよい。後述により明らかとなるが、タインプレート1bでは、ばねの弾性力によって端子保持孔NBIbおよびNBObをコンタクト91および92側へ寄せる力が常に作用しているため、抜止突起NPaによってコンタクト91および92を端子保持孔NBIbおよびNBOb内に保持することが不要となる。
図8〜図10において、タインプレート1bには、第1把手部11b、第2把手部15b、および保持部12bが設けられる。なお、第1把手部11bおよび第2把手部15bは、上述した第1把手部11aおよび第2把手部15aと同様であるため、詳細な説明を省略する。
保持部12bは、タインプレート1bの上記奥側面に垂直な両端面のうち、第1把手部11bが設けられた端部とは逆側のプレート面上に設けられる。具体的には、保持部12bは、上述した端子保持孔NBIbおよびNBObがスリットNMbに対して連通して形成されている側(図8〜図10の例では左側)のタインプレート1b端面近傍に立設される。
保持部12bは、ばね部121bおよび位置決め部122bをそれぞれ有している。ばね部121bおよび位置決め部122bは、何れもタインプレート1bのプレート面の外側に設けられる部材である。例えば、ばね部121bは、U字型に曲げられた板状部材で構成され、タインプレート1bを電気コネクタ9に装着した際に当該タインプレート1bを第1把手部11bが設けられた端部側へ付勢する(図9参照)。位置決め部122bは、タインプレート1bを電気コネクタ9に装着した際にハウジング93の凹部と嵌合する。
図10に示すように、タインプレート1bを電気コネクタ9に装着するとき、一対のコンタクト91および92と一対の端子保持孔NBIbおよびNBObとがそれぞれ一致して挿入された状態で、タインプレート1bを電気コネクタ9に装着する。このとき、ばね部121bの弾性力によって、第1把手部11bが設けられた端部側へタインプレート1bが付勢される。したがって、コンタクト91および92が、それぞれ端子保持孔NBIbおよびNBOb側へ保持されて、タインプレート1bの左右方向および前後方向が位置決めされる。また、図9に示すように、タインプレート1bが電気コネクタ9に装着された状態では、位置決め部111bおよび122bとハウジング93の凹部とがそれぞれ嵌合して、タインプレート1bの上下方向が位置決めされる。
次に、図10および図11を参照して、電気コネクタ9からタインプレート1bを取り外す方法について説明する。なお、図11は、タインプレート1bを電気コネクタ9から取り外す際の第1段階を示す上面図である。
図10において、タインプレート1bが電気コネクタ9に装着された状態では、一対のコンタクト91および92と一対の端子保持孔NBIbおよびNBObとがそれぞれ一致して挿入されている。そして、コンタクト91および92は、ばね部121bによって端子保持孔NBIbおよびNBOb側へ保持されるため、端子保持孔NBIbおよびNBObの位置に応じた整列状態でコンタクト91および92の位置が保持される。このような整列状態で、プリント配線板の挿入孔にコンタクト91および92が挿入されて接合されて、電気コネクタ9がプリント配線板の所定位置に実装される。
タインプレート1bは、タインプレート1aと同様に、電気コネクタ9がプリント配線板に実装された後、当該電気コネクタ9から取り外すことが可能である。図11において、当該実装品を取り扱う作業者が、ばね部121bを縮めるように第1把手部11bをタインプレート1bの中央部へ向かう方向へ力を加える(例えば、第1把手部11bを図示力印加方向へ押す)。これによって、ばね部121bが上記方向へ縮んで、タインプレート1b全体が当該方向へスライド移動する(図示プレート移動方向への移動)。このタインプレート1bのスライド移動によって、端子保持孔NBIbまたはNBObに保持されていたコンタクト91および92は、スリットNMb側へそれぞれ抜け出す。つまり、タインプレート1b全体を上記プレート移動方向へ移動させるために必要な応力は、ばね部121bの弾性力が大きく影響することになり、当該弾性力を調整することによってタインプレート1bを取り外す際に必要な力やタインプレート1bがコンタクト91および92を整列保持する力を調整することができる。また、上述したように、第1把手部11bの指掛け部112bが露出しており、タインプレート1bを取り外すために、作業者が指掛け部112bに指を掛けて第1把手部11bを上記力印加方向へ押したり引っ張ったりする作業が容易となる。
その後、コンタクト91および92がスリットNMb側へそれぞれ抜け出した状態で、作業者が第2把手部15bをハウジング93から引き離す方向へ力を加え、タインプレート1b全体が当該引き離す方向へスライド移動する。この移動については、上述した図7と同様であるため、図示を省略する。このタインプレート1bがハウジング93から引き離す方向のスライド移動によって、コンタクト91および92がそれぞれスリットNMbに沿って移動し、やがてスリット状開口部Nbから抜け出す。このように、タインプレート1bは、2方向のスライド移動を行うことによって、実装後の電気コネクタ9から取り外すことができる。
このように、当該実施形態に係るタインプレート1bは、タインプレート1aと同様に部品実装後に取り外すことができるため、タインプレート1aと同様の効果を得ることができる。
(第3の実施形態)
以下、図12および図13を参照して、本発明の第3の実施形態に係るタインプレート1cについて説明する。なお、図12は、タインプレート1cおよび電気コネクタ9の構造の一例を示す斜視図である。図13は、タインプレート1cおよび電気コネクタ9の構造の一例を示す正面図である。
図12および図13において、上述したタインプレート1aおよび1bと同様に、タインプレート1cも、コンタクト91および92の脚部がそれぞれ貫通する複数の端子保持孔が形成された板状絶縁部材である。例えば、タインプレート1cは、PCT等の樹脂材料で構成される。上記端子保持孔は、コンタクト91および92の脚部がそれぞれ貫装されるプリント配線板のスルーホールに対応させて開口している。また、上記端子保持孔は、タインプレート1cのプレート一方側端部まで開口した複数の切り欠き孔とそれぞれ連通しており、連通する当該端子保持孔および切り欠き孔を合わせてスリット状開口部NcLおよびNcRを構成している。
次に、図12〜図14を参照して、タインプレート1cの構造およびタインプレート1cがコンタクト91および92に装着された状態について説明する。なお、図14は、タインプレート1cが電気コネクタ9に装着された状態の一例を示す上面図である。
図12〜図14において、タインプレート1cには、左側の第1把手部11cL、右側の第1把手部11cR、ばね部121cI、およびばね部121cOが設けられる。なお、右側の第1把手部11cRは、上述した第1把手部11aおよび第2把手部15aと同様であるため、詳細な説明を省略する。また、左側の第1把手部11cLは、右側の第1把手部11cRに対向して左右対称にタインプレート1cに設けられることを除いて、右側の第1把手部11cRと同様であるため、詳細な説明を省略する。
ばね部121cIおよび121cOは、タインプレート1cのプレート面に設けられる。具体的には、ばね部121cIおよび121cOは、左側の第1把手部11cLおよび右側の第1把手部11cRがそれぞれ設けられるタインプレート1cの両端面に対して中央となるプレート面に設けられる。
ばね部121cIおよび121cOは、U字型に上側または下側へ曲げられた板状部材で構成され、タインプレート1cを電気コネクタ9に装着した際に当該タインプレート1cが左側の第1把手部11cLおよび右側の第1把手部11cRへそれぞれ広がる方向へ付勢する(図13参照)。そして、左側の第1把手部11cLの位置決め部111cLおよび右側の第1把手部11cRの位置決め部111cRは、タインプレート1cを電気コネクタ9に装着した際にハウジング93の凹部とそれぞれ嵌合する。
スリット状開口部NcLは、タインプレート1cのプレート一方側端面まで開口したスリットNMcLと、スリットNMcLと連通する端子保持孔NCIcLおよびNCOcLとによって形成されている。また、スリット状開口部NcRは、タインプレート1cのプレート一方側端面まで開口したスリットNMcRと、スリットNMcRと連通する端子保持孔NCIcRおよびNCOcRとによって形成されている。なお、スリット状開口部NcLとスリット状開口部NcRとは、所定の直線を中心とした線対称形状で形成されている。そして、スリット状開口部NcLは、タインプレート1cにおいてばね部121cIおよび121cOが設けられている部位より左側のプレート面に形成される。また、スリット状開口部NcRは、タインプレート1cにおいてばね部121cIおよび121cOが設けられている部位より右側のプレート面に形成される。
スリットNMcLは、タインプレート1cを電気コネクタ9に装着した際に、ハウジング93側となって当該ハウジング93と対向する奥側面に対して垂直方向を長手方向として、スリット状に複数本タインプレート1cの左側プレート面に形成される。そして、スリットNMcLは、それぞれ上記奥側面まで開口している。また、スリットNMcLの長手方向を基準とした一方側(図14に示す例では右側)に、端子保持孔NBIcLおよびNBOcLが当該スリットNMcLと連通して形成される。具体的には、スリット状開口部NcLは、アルファベットの略F字を裏返しにした形状で形成され、裏F字の縦画がスリットNMcL、裏F字の上側横画が端子保持孔NBOcL、裏F字の下側横画が端子保持孔NBIcLにそれぞれ相当する。そして、スリット状開口部Ncにおける裏F字の縦画の下端が、タインプレート1cの上記奥側面に開口している。
また、スリットNMcRは、タインプレート1cを電気コネクタ9に装着した際に、上記奥側面に対して垂直方向を長手方向として、スリット状に複数本タインプレート1cの右側プレート面に形成される。そして、スリットNMcRも、それぞれ上記奥側面まで開口している。また、スリットNMcRの長手方向を基準とした他方側(図14に示す例では左側)に、端子保持孔NBIcRおよびNBOcRが当該スリットNMcRと連通して形成される。具体的には、スリット状開口部NcRは、アルファベットの略F字形状で形成され、F字の縦画がスリットNMcR、F字の上側横画が端子保持孔NBOcR、F字の下側横画が端子保持孔NBIcRにそれぞれ相当する。そして、スリット状開口部NcにおけるF字の縦画の下端が、タインプレート1cの上記奥側面に開口している。このようなスリット状開口部NcLおよびNcRは、装着するコンタクト91および92に応じて、タインプレート1cに複数並設して形成される。なお、端子保持孔NBIcLおよびNBIcRと、NBOcLおよびNBOcRとがそれぞれ列設される方向が、本発明の第1列方向の一例に相当する。また、スリットNMcLおよびNMcRの長手方向が形成される方向が、本発明の第2列方向の一例に相当する。
スリットNMcと端子保持孔NCIcおよびNCOcとをそれぞれ連結する部位には、一対の突起が形成される。なお、上記突起も、上述した抜止突起NPaのように積極的にコンタクト91および92が抜け出すことを防止するものでなくてもよい。例えば、上記突起の間隔は、装着されるコンタクト91および92の幅より広く設定してもよい。後述により明らかとなるが、タインプレート1cでは、ばねの弾性力によって端子保持孔NCIcLおよびNCOcLと端子保持孔NCIcRおよびNCOcRとを、コンタクト91および92側へそれぞれ寄せる力が常に作用しているため、抜止突起NPaによってコンタクト91および92を端子保持孔NCIcおよびNCOc内や端子保持孔NCIcRおよびNCOcR内にそれぞれ保持することが不要となる。
図14に示すように、タインプレート1cを電気コネクタ9に装着するとき、タインプレート1cの左側プレート面については一対のコンタクト91および92と一対の端子保持孔NCIcLおよびNCOcLとがそれぞれ一致して挿入された状態で、タインプレート1cを電気コネクタ9に装着する。また、タインプレート1cの右側プレート面については一対のコンタクト91および92と一対の端子保持孔NCIcRおよびNCOcRとがそれぞれ一致して挿入された状態で、タインプレート1cを電気コネクタ9に装着する。このとき、ばね部121cIおよび121cOの弾性力によって、ばね部121cIおよび121cOから左側の第1把手部11cLおよび右側の第1把手部11cRがそれぞれ立設された両端部へそれぞれ広がる方向へタインプレート1cが付勢される。したがって、コンタクト91および92が、それぞれ端子保持孔NCIcLおよびNCOcL側、または端子保持孔NCIcRおよびNCOcR側へ保持されて、タインプレート1cの左右方向および前後方向が位置決めされる。また、図13に示すように、タインプレート1cが電気コネクタ9に装着された状態では、位置決め部111cLおよび111cRとハウジング93の凹部とがそれぞれ嵌合して、タインプレート1cの上下方向が位置決めされる。
次に、図14および図15を参照して、電気コネクタ9からタインプレート1cを取り外す方法について説明する。なお、図15は、タインプレート1cを電気コネクタ9から取り外す際の第1段階を示す上面図である。
図14において、タインプレート1cが電気コネクタ9に装着された状態では、一対のコンタクト91および92と一対の端子保持孔NCIcLおよびNCOcLと、または一対のコンタクト91および92と一対の端子保持孔NCIcRおよびNCOcRとがそれぞれ一致して挿入されている。そして、コンタクト91および92は、ばね部121cIおよび121cOによって端子保持孔NCIcLおよびNCOcL側、または端子保持孔NCIcRおよびNCOcR側へ保持されるため、端子保持孔NCIcL、NCOcL、NCIcR、およびNCOcRの位置に応じた整列状態でコンタクト91および92の位置が保持される。このような整列状態で、プリント配線板の挿入孔にコンタクト91および92が挿入されて接合されて、電気コネクタ9がプリント配線板の所定位置に実装される。
タインプレート1cは、タインプレート1aや1bと同様に、電気コネクタ9がプリント配線板に実装された後、当該電気コネクタ9から取り外すことが可能である。図15において、当該実装品を取り扱う作業者が、ばね部121cIおよび121cOを縮めるように左側の第1把手部11cLおよび右側の第1把手部11cRをそれぞれタインプレート1cの中央部へ向かう方向へ力を加える(例えば、左側の第1把手部11cLおよび右側の第1把手部11cRを図示力印加方向へ引き寄せる)。これによって、ばね部121cIおよび121cOが縮んで、タインプレート1c全体が左右から圧縮されるようにスライド移動する(図示プレート移動方向への移動)。このタインプレート1cのスライド移動によって、端子保持孔NCIcLまたはNCOcLに保持されていたコンタクト91または92は、スリットNMcL側へそれぞれ抜け出す。また、タインプレート1cのスライド移動によって、端子保持孔NCIcRまたはNCOcRに保持されていたコンタクト91または92は、スリットNMcR側へそれぞれ抜け出す。つまり、タインプレート1c全体を上記プレート移動方向へ移動させるために必要な応力は、ばね部121cIおよび121cOの弾性力が大きく影響することになり、当該弾性力を調整することによってタインプレート1cを取り外す際に必要な力やタインプレート1cがコンタクト91および92を整列保持する力を調整することができる。また、上述したように、左側の第1把手部11cLおよび右側の第1把手部11cRの指掛け部112cLおよび112cRが露出しており、タインプレート1cを取り外すために、作業者が指掛け部112cLおよび112cRに指を掛けて左側の第1把手部11cLおよび右側の第1把手部11cRを上記力印加方向へ引き寄せる作業が容易となる。
その後、コンタクト91および92がスリットNMc側へそれぞれ抜け出した状態で、作業者が左側の第1把手部11cLおよび右側の第1把手部11cRをそれぞれ引き寄せた状態でハウジング93から引き離す方向へ動かすことによって、タインプレート1c全体が当該引き離す方向へスライド移動する。この移動については、上述した図7と同様であるため、図示を省略する。このタインプレート1cのスライド移動によって、コンタクト91および92がそれぞれスリットNMcLまたはNMcRに沿って移動し、やがてスリット状開口部NcLまたはNcRから抜け出す。このように、タインプレート1cは、2方向のスライド移動を行うことによって、実装後の電気コネクタ9から取り外すことができる。
このように、当該実施形態に係るタインプレート1cは、タインプレート1aと同様に部品実装後に取り外すことができるため、タインプレート1aと同様の効果を得ることができる。
なお、上述した第1〜第3の実施形態の説明では、タインプレート1a〜1cの材質がPBT等の樹脂材料で構成された板状絶縁部材としたが、タインプレート1a〜1cを他の材料で構成してもかまわない。例えば、タインプレート1a〜1cを金属等の板状導体部材で構成してもかまわない。上述したようにタインプレート1a〜1cは、何れも実装後に取り外すことが可能であり、その後のコンタクト間の導通について考慮する必要がない。このように、タインプレート1a〜1cを金属等で構成することによって、タインプレート1a〜1c自体の耐久性が向上して、長期間使い回すことが可能となる。また、コンタクトの脚部がプリント配線板にハンダ付け等で接合される場合、コンタクトに装着されたタインプレートも高温状態に曝されることがあり、当該タインプレートの耐熱性を考慮した接合条件を満たすことが必要となる。しかしながら、金属製等の耐熱性に優れたタインプレートを用いることによって、タインプレートの耐熱性を考慮せずに接合条件を設定することが可能となり、実装作業で用いる接合工程のバリエーションを拡げることができる。
また、上述した第1〜第3の実施形態の説明では、タインプレート1a〜1cの材質がPBT等の樹脂材料で構成された板状絶縁部材で一体形成される例を示したが、タインプレート1a〜1cの一部を他の材料で構成してもかまわない。例えば、把手部(第1把手部11a、11b、第2把手部15a、15b、左側の第1把手部11cL、右側の第1把手部11cR)、保持部(12b)、およびばね部(121b、121cI、121cO)等を、それら機能に適した材料で構成してもかまわない。
また、上述した第1〜第3の実施形態の説明では、把手部をタインプレートのプレート面上に立設したが、他の態様によって把手部を設けてもかまわない。例えば、把手部をプレート面の上下に突出する形状でタインプレート端面に設けてもかまわない。この場合、把手部がタインプレートに対してT字型に設けられることになる。
また、第2および第3の実施形態におけるタインプレート1bおよび1cでは、スリットNMbと端子保持孔NBIbおよびNBObとをそれぞれ連結する部位には、コンタクト91および92の幅より広く設定された突起を形成することによって、コンタクト91および92が整列保持される位置精度が向上する効果が期待できる。しかしながら、このような効果を期待しない場合、上記突起を形成しなくてもかまわない。上記突起を形成しない場合も、端子保持孔をコンタクト側へ寄せる力が常に作用しているため、コンタクトを高い位置精度で整列保持することが可能となる。また、上記突起を抜止突起NPaのように間隔を狭く設定することによって、積極的にコンタクト91および92が抜け出すことを防止してもかまわない。この場合、タインプレートを取り外す際に必要な力が増えることが考えられるが、ばね部の弾性力と突起間隔とを調整することによって、プレート取り外しに適切な設定をすればよい。
また、上述したタインプレートの形状や、それらに設けられている把手部、保持部、ばね部、スリット状開口部の形状、数、および設置位置等は、単なる一例に過ぎず他の形状、数、設置位置であっても、本発明を実現できることは言うまでもない。
以上、本発明を詳細に説明してきたが、前述の説明はあらゆる点において本発明の例示にすぎず、その範囲を限定しようとするものではない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。