JP5075773B2 - 中空糸膜モジュールの製造方法 - Google Patents
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[1] ケース部材に複数の中空糸膜をポッティング樹脂を用いて固定化する中空糸膜モジュールの製造方法であって、
熱ゲル化特性を有するゲル化材をゲル化温度以上に加熱してゲル化させることで前記中空糸膜の開口端を封止し、前記ゲル化材で封止された中空糸膜の開口端上部をポッティング樹脂で固定化し、前記ゲル化材をゲル化温度未満に冷却することで前記中空糸膜の開口端を開口することを特徴とする中空糸膜モジュールの製造方法。
[2] (1)前記中空糸膜とゲル化温度未満のゲル化材とを、前記中空糸膜の開口端が該ゲル化材に浸かるように前記ケース部材に配置する工程と、
(2)前記ゲル化材をゲル化温度以上に加熱し、前記中空糸膜の開口端を封止する工程と、
(3)前記ゲル化温度以上のゲル化材の上に前記ポッティング樹脂を充填して固化させる工程と、
(4)前記ゲル化材をゲル化温度未満に冷却して、前記中空糸膜の開口端を開口する工程と、
を有することを特徴とする[1]に記載の中空糸膜モジュールの製造方法。
[3] 前記ケース部材は前記中空糸膜内側に濾過された流体を集める集水管であり、
前記工程(1)において、前記中空糸膜の開口端は、前記集水管に設けられた開口部より挿入され配置されることを特徴とする[2]に記載の中空糸膜モジュールの製造方法。
[4] 前記工程(1)において、前記中空糸膜の開口端が入るように凹部を設けた溝部形成治具を前記集水管の内部に挿入し、該凹部に前記中空糸膜の開口端を配置し、該凹部に前記ゲル化材を注入することを特徴とする[3]に記載の中空糸膜モジュールの製造方法。
[5] 前記中空糸膜の開口端を封止してから開口させるまでの間、前記ゲル化材をゲル化温度以上に維持することを特徴とする[1]乃至[4]のいずれかに記載の中空糸膜モジュールの製造方法。
[6] 前記ゲル化材は、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、又はヒドロキシアルキルアルキルセルロースであることを特徴とする[1]乃至[5]のいずれかに記載の中空糸膜モジュールの製造方法。
[7] 前記アルキルセルロースがメチルセルロース又はエチルセルロースであることを特徴とする[6]に記載の中空糸膜モジュールの製造方法。
[8] 前記ヒドロキシアルキルアルキルセルロースがヒドロキシプロピルメチルセルロースであることを特徴とする請求項6に記載の中空糸膜モジュールの製造方法。
[9] 前記ヒドロキシアルキルセルロースがヒドロキシエチルセルロース又はヒドロキシプロピルセルロースであることを特徴とする[6]に記載の中空糸膜モジュールの製造方法。
[10] 前記ゲル化材は、JIS K2283−1993に規定されるウベローデ粘度計において、2質量%水溶液の20℃の粘度測定値が4,000mPa・s以上30,000mPa・s以下であることを特徴とする[1]乃至[9]のいずれかに記載の中空糸膜モジュールの製造方法。
本発明に用いる中空糸膜の分画レベルは、精密ろ過膜(MF)、限外濾過膜(UF)又はナノろ過膜(NF)等のいずれのレベルであってもよい。また、濾過膜として使用可能のものであれば、孔径、空孔率、膜厚、外径等には特に制限はなく、濾過の対象となるものによって適宜選択される。更に、有機物やウイルスの除去を目的とする場合には分画分子量数万から数十万の限外濾過膜を用いる場合もある。
純水透過係数=[純水透過量(m3)]/[多孔質膜の表面積(m2)]/[透過時間(時)]/[純水の圧力(MPa)]
本発明において、中空糸膜は、中空糸膜編織物としてケース部材に配置されることが好ましい。中空糸膜編織物としては、その作製方法は特に限定されないが、中空糸膜を例えば緯糸として編地としたものを数枚積層したものであれば、集水管の側面等に設けられるほぼ矩形の開口部に収納するのに好適である。編地の製造方法は、例えば特開昭62−57965号公報、特開平1−266258号公報に開示されている。
本発明におけるケース部材とは、前記中空糸膜をポッティング樹脂を用いて固定化する対象となる部材である。例えば、中空糸膜の開口端部の形状がほぼ矩形である中空糸膜モジュールにおいては、一般に集水管と称されるものが相当する。また、ケース部材はこの集水管に限定されるものではなく、例えば円筒形タイプの中空糸膜モジュールの場合では、ハウジングケースと一般に称されるものが相当する。
熱ゲル化特性とは、ゲル化温度未満では溶液の状態を有し、ゲル化温度以上ではゲル状態を有する性質のことである。ゲル化材としては、加熱などにより速やかにゲル化するものが好ましく、ゲル化後は流動性を有しないことが中空糸膜の端面を封止する点から好ましい。また、ゲル化材のゲル化温度としては、40〜100℃が好ましく、50〜80℃がより好ましい。
本発明におけるゲル化温度とは、前記ゲル化材がゲル化する温度をいう。ゲル化温度は、ゲル化材の材料の種類やその濃度等によって変化する。また、ゲル化温度を測定することにより、おおよそのゲル化温度を把握することもできる。なお、ゲル化材を入れた試験管を恒温水槽で温度を変えながら、粘度の変化を観察し、ゲル化材の粘度が温度変化以上に大きく変化し始める温度をゲル化温度と定義した。
本発明により製造される中空糸膜モジュールとしては、特に限定されるものではないが、例えば集水管に中空糸膜編織物がポッティングされた形状を有する構成が挙げられる。その形状としては、集水管は中空糸膜モジュールの両端部に設けられていてもよく、また、集水管のいずれか一方が大きく開口していてもよい。図5(A)に、中空糸膜の片端だけに集水管を設けるモジュール、図5(B)に、集水管が両側にある形状のモジュールを示した。
ポッティング樹脂としては、通常、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂等の液状樹脂等が用いられる。
中空糸膜モジュールの製造において、液状のポッティング樹脂を中空糸膜間に隙間なく充填する方法としては、一般に遠心力を利用する方法が採用されている。しかし、中空糸編織物を用いる場合に関しては、樹脂固定部分の中空糸膜の密度が編織組織によって規定されていて偏りがないので、振動を利用した方法や、更に重力のみによる方法も可能である。振動法による中空糸膜の樹脂固定方法(ポッティング方法)の詳細は、例えば特開平3−114515号公報に開示されている。また、ポッティング樹脂の粘度は、1〜2.5Pa・s(1000〜2500センチポイズ)程度の粘度であることが好ましい。
以下、本発明に係る中空糸膜モジュールの製造方法について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下では、中空糸膜の開口端部の形状がほぼ矩形である中空糸膜モジュール、すなわちケース部材が集水管に相当する中空糸膜モジュールを例として説明するが、特に本発明を限定するものではない。
本発明の中空糸膜モジュールの製造方法において、固定化を補助する溝部形成治具を用いることができる。図5は、溝部形成治具の形状を表す概略図である。
溝部形成治具は、一部に凹部を有し、例えば集水管の開口部と前記凹部が一致するように挿入した際に、該溝部形成治具と集水管とで溝部を形成することができる部材である。この溝部に中空糸膜編織物の先端を入れることができ、本発明においては、該溝部分にゲル化材を注入することになる。
溝部形成治具を使用した場合の本発明の中空糸膜モジュールの製造方法について、図2を参照にして説明する。
また、本発明では、従来例と同様に型枠治具を使用してポッティング樹脂で樹脂固定し、その後、集水管の開口部に挿入して固定することも可能であるが、樹脂固定部からの漏れを防止するという観点からは、上記の実施形態に示すように集水管に直接接合する方法が好ましい。
PET(ポリエステル)繊維を組紐状に加工しその表面にPVDF多孔質部を形成した多孔質中空糸膜(三菱レイヨン(株)製、内径1000μm、外径2800μm)を3本合糸して緯糸とし、幅1000mmで編み長さ2000mmで編地5枚を編成し、中空糸膜編織物を得た。この中空糸膜編織物の端部を切断し、開口端を形成した。
ポッティング樹脂として2液硬化型ウレタン樹脂であるAralditeウレタン98SB」(商品名、ハンツマン・ジャパン社製)を用いたこと以外は実施例1と同様に実施した。そして、集水管を加温していた遠赤外線ヒーターによる加温をやめ、ゲル化材が室温になるまで冷却した。その後、溝部に注入されていたゲル化材が液状化したことを確認し溝部形成治具を取り外して液を排出させ、ゲル化材液状物を水により洗浄し、中空糸膜の開口端を開口させた。乾燥後、集水管の両端に配管口付きの塩ビキャップを溶剤接着した。この中空糸膜モジュールの有効膜面積は25m2であった。さらに、エタノールを用いた膜リーク検査においてリークは見られなかった。
ゲル化材としては、MC(メチルセルロース、信越化学工業(株)製、商品名;メトローズ SM−4000、20°における2%溶液の粘度4000mPa・s、ゲル化温度:55℃)の2質量%水溶液を用いたこと以外は、実施例1と同様に行った。そして、集水管を加温していた遠赤外線ヒーターによる加温をやめ、ゲル化材が室温になるまで冷却した。その後、溝部に注入されていたゲル化材が液状化したことを確認し溝部形成治具を取り外して液を排出させ、ゲル化材液状物を水により洗浄し、中空糸膜の開口端を開口させた。乾燥後、集水管の両端に配管口付きの塩ビキャップを溶剤接着した。この中空糸膜モジュールの有効膜面積は25m2であった。さらに、エタノールを用いた膜リーク検査においてリークは見られなかった。
ゲル化材としては、PVA(ポリビニールアルコール、クラレ(株)製、商品名;ポバール PVA217)を180℃で溶解したものを用いたこと以外は、実施例1と同様に実施した。冷却固化後、80℃の熱水を用いてPVAの溶出を行った。しかし、PVAの溶解に3時間を要したのに加え、加熱したことで集水部材とポッティング樹脂との間に剥離を生じたために、モジュールを形成することが出来なかった。
2 集水管
3 ゲル化材
4 ポッティング樹脂
5 中空糸膜の開口端
6 キャップ
7 溝部形成治具
8 型枠治具
Claims (9)
- ケース部材に複数の中空糸膜をポッティング樹脂を用いて固定化する中空糸膜モジュールの製造方法であって、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、又はヒドロキシアルキルアルキルセルロースを含むゲル化材をゲル化温度以上に加熱してゲル化させることで前記中空糸膜の開口端を封止し、前記ゲル化材で封止された中空糸膜の開口端上部をポッティング樹脂で固定化した後、前記ゲル化材をゲル化温度未満に冷却して除去することで前記中空糸膜の開口端を開口することを特徴とする中空糸膜モジュールの製造方法。
- (1)前記中空糸膜とゲル化温度未満のゲル化材とを、前記中空糸膜の開口端が該ゲル化材に浸かるように前記ケース部材に配置する工程と、
(2)前記ゲル化材をゲル化温度以上に加熱し、前記中空糸膜の開口端を封止する工程と、
(3)前記ゲル化温度以上のゲル化材の上に前記ポッティング樹脂を充填して固化させる工程と、
(4)前記ゲル化材をゲル化温度未満に冷却して除去することにより、前記中空糸膜の開口端を開口する工程と、
を有することを特徴とする請求項1に記載の中空糸膜モジュールの製造方法。 - 前記ケース部材は前記中空糸膜内側に濾過された流体を集める集水管であり、
前記工程(1)において、前記中空糸膜の開口端は、前記集水管に設けられた開口部より挿入され、前記工程(3)において、該開口部で前記ポッティング樹脂で固定化されることを特徴とする請求項2に記載の中空糸膜モジュールの製造方法。 - 前記工程(1)において、前記中空糸膜の開口端が入るように凹部を設けた溝部形成治具を前記集水管の内部に挿入し、該凹部に前記中空糸膜の開口端を配置し、該凹部に前記ゲル化材を注入することを特徴とする請求項3に記載の中空糸膜モジュールの製造方法。
- 前記中空糸膜の開口端を封止してから開口させるまでの間、前記ゲル化材をゲル化温度以上に維持することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の中空糸膜モジュールの製造方法。
- 前記アルキルセルロースがメチルセルロース又はエチルセルロースであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の中空糸膜モジュールの製造方法。
- 前記ヒドロキシアルキルアルキルセルロースがヒドロキシプロピルメチルセルロースであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の中空糸膜モジュールの製造方法。
- 前記ヒドロキシアルキルセルロースがヒドロキシエチルセルロース又はヒドロキシプロピルセルロースであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の中空糸膜モジュールの製造方法。
- 前記ゲル化材は、JIS K2283−1993に規定されるウベローデ粘度計において、2質量%水溶液の20℃の粘度測定値が4,000mPa・s以上30,000mPa・s以下であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の中空糸膜モジュールの製造方法。
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