JP2017070910A - 中空糸膜モジュールの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、切断工程が不要な中空糸膜モジュールの製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】集水流路にスペーサーを設置する設置工程と、中空糸膜束の開口端面とスペーサーとが近接するように配置し、開口端面を封止する封止工程と、ハウジング内に固定用樹脂を注入し硬化させて中空糸膜束を固定する硬化工程と、スペーサーの少なくとも一部を、中空糸膜の内部と集水流路とが連通するように除去する除去工程と、を含む、中空糸膜モジュールの製造方法。
【選択図】なし
【解決手段】集水流路にスペーサーを設置する設置工程と、中空糸膜束の開口端面とスペーサーとが近接するように配置し、開口端面を封止する封止工程と、ハウジング内に固定用樹脂を注入し硬化させて中空糸膜束を固定する硬化工程と、スペーサーの少なくとも一部を、中空糸膜の内部と集水流路とが連通するように除去する除去工程と、を含む、中空糸膜モジュールの製造方法。
【選択図】なし
Description
本発明は、切断工程が不要な中空糸膜モジュールの製造方法に関する。
中空糸膜モジュールは、無菌水、飲料水、高度純水の製造や、空気の浄化等の多くの用途に使用されている。近年、これらの用途に加えて、中空糸膜モジュールは、下水処理場における2次処理、3次処理や、浄化槽における固液分離、産業廃水中のSS(懸濁物質)の固液分離など処理のための高汚濁性水濾過にも用いられるようになっている。
中空糸膜モジュールは、一般に、中空糸膜の集束体の端部をハウジング内に挿入し、端部を開口した状態で、中空糸膜とハウジングとの間を樹脂で固定した構造を有する。
中空糸膜モジュールは、一般に、中空糸膜の集束体の端部をハウジング内に挿入し、端部を開口した状態で、中空糸膜とハウジングとの間を樹脂で固定した構造を有する。
このような中空糸膜モジュールは、例えば、次の方法で製造できる(特許文献1参照)。
まず、複数本の中空糸膜を引き揃えて、その端部を容器に入れる。続いて、容器内に固定用の液状の樹脂を注入して硬化させることにより、中空糸膜の端部同士を固定用樹脂で固定し、中空糸膜集束体とする(第1の硬化工程)。続いて、容器を中空糸膜集束体から取り外し、固定用樹脂で固定された中空糸膜の端部を樹脂ごと切断し、各中空糸膜の端部が開口した中空糸膜集束体を得る(切断工程)。その後、中空糸膜集束体の開口した端部をハウジング内に挿入し、接着用の樹脂を硬化した固定用樹脂の上に流し込み、これを硬化させて中空糸膜をハウジングに固定して(第2の硬化工程)、膜モジュールを得る。
まず、複数本の中空糸膜を引き揃えて、その端部を容器に入れる。続いて、容器内に固定用の液状の樹脂を注入して硬化させることにより、中空糸膜の端部同士を固定用樹脂で固定し、中空糸膜集束体とする(第1の硬化工程)。続いて、容器を中空糸膜集束体から取り外し、固定用樹脂で固定された中空糸膜の端部を樹脂ごと切断し、各中空糸膜の端部が開口した中空糸膜集束体を得る(切断工程)。その後、中空糸膜集束体の開口した端部をハウジング内に挿入し、接着用の樹脂を硬化した固定用樹脂の上に流し込み、これを硬化させて中空糸膜をハウジングに固定して(第2の硬化工程)、膜モジュールを得る。
しかしながら、このような中空糸膜モジュールの製造方法は、樹脂を注入し硬化させる工程が、第1の硬化工程と第2の硬化工程との2回必要であるため煩雑である。また、切断工程で取り外した容器と中空糸膜の端部とは、いずれも廃棄されるため、資源の無駄がある。
特許文献2及び3には、1回の硬化工程で中空糸膜をハウジングに固定する方法であって、ハウジングの底部にスペーサー(又は容器)を配置し、スペーサー上に固定用樹脂を流し入れて硬化させることにより中空糸膜をハウジングに固定する中空糸膜モジュールの製造方法が提案されている。
しかしながら、中空糸膜の端部が固定用樹脂で閉塞されるため、中空糸膜の端部とスペーサーとを共に切断し除去するための切断工程が必要となる。切断された中空糸膜の端部及びスペーサーは廃棄されることになるため、資源の無駄がある。また、中空糸膜の端部の切断時に固定用樹脂とハウジングとの接着部に負荷がかかり、ハウジングの破損のおそれがある。また、ハウジングの集水流路を形成する部分に切断刃を挿入して切断する際に、刃と柄の接合部で切断刃を破損しやすく、かつ負荷がかかるため刃先の消耗が早い。
しかしながら、中空糸膜の端部が固定用樹脂で閉塞されるため、中空糸膜の端部とスペーサーとを共に切断し除去するための切断工程が必要となる。切断された中空糸膜の端部及びスペーサーは廃棄されることになるため、資源の無駄がある。また、中空糸膜の端部の切断時に固定用樹脂とハウジングとの接着部に負荷がかかり、ハウジングの破損のおそれがある。また、ハウジングの集水流路を形成する部分に切断刃を挿入して切断する際に、刃と柄の接合部で切断刃を破損しやすく、かつ負荷がかかるため刃先の消耗が早い。
特許文献4には、1回の硬化工程で中空糸膜をハウジングに固定する方法であって、中空糸膜端部を封止するための第一の液体と、ハウジングに中空糸膜を固定する固定用樹脂としての第二の液体とを使用する中空糸膜モジュールの製造方法が提案されている。この方法では、まず固定用樹脂が中空糸膜内部に入りこまないように、第一の液体で中空糸膜の端部を封止する。次に第二の液体として固定用樹脂を第一の液体の上に流し入れ、硬化させることにより中空糸膜をハウジングに固定する。この方法によれば、固定用樹脂で中空糸膜の端部が閉塞されず、第一の液体を除去するだけで開口端面を形成することができる。
しかしながら、除去した第一の液体が多量に廃棄されるため、資源の無駄がある。また、第一の液体の粘度を高くすると、第一の液体の除去に手間がかかる。特に、中空糸膜の毛細管現象により吸い上げた第一の液体の除去は困難である。また、第一の液体の粘度が低いと、中空糸膜間で第一の液体が這い上がり、中空糸膜の端部が第一の液体で十分に封止されないため、固定用樹脂が中空糸膜内部に入り込み、中空糸膜の端部を閉塞してしまう。また、勢い良く固定用樹脂を注入した場合、固定用樹脂が第一の液体の中に沈み込んでしまい、中空糸膜の端部を閉塞してしまうおそれがある。
しかしながら、除去した第一の液体が多量に廃棄されるため、資源の無駄がある。また、第一の液体の粘度を高くすると、第一の液体の除去に手間がかかる。特に、中空糸膜の毛細管現象により吸い上げた第一の液体の除去は困難である。また、第一の液体の粘度が低いと、中空糸膜間で第一の液体が這い上がり、中空糸膜の端部が第一の液体で十分に封止されないため、固定用樹脂が中空糸膜内部に入り込み、中空糸膜の端部を閉塞してしまう。また、勢い良く固定用樹脂を注入した場合、固定用樹脂が第一の液体の中に沈み込んでしまい、中空糸膜の端部を閉塞してしまうおそれがある。
本発明は、これらの事情を鑑みてなされたものである。本発明の目的は、切断工程が不要であり、樹脂を注入して硬化させる工程を1回のみに低減でき、開口端面を形成するための材料の使用量が少なく、かつ使用した材料の除去が容易な、中空糸膜モジュールの製造方法を提供することである。
本発明は以下の態様を含む。
[1]集水流路を有するハウジングを備え、複数本の中空糸膜からなるシート状の中空糸膜束の少なくとも一方の端部が前記ハウジングの挿入口から前記ハウジング内に挿入され、固定用樹脂で固定された中空糸膜モジュールの製造方法であって、
前記集水流路にスペーサーを設置する設置工程と、
前記中空糸膜束の開口端面と前記スペーサーとが近接するように配置し、前記開口端面を封止する封止工程と、
前記ハウジング内に固定用樹脂を注入し硬化させて前記中空糸膜束を固定する硬化工程と、
前記スペーサーの少なくとも一部を、前記中空糸膜の内部と前記集水流路とが連通するように除去する除去工程と、を含む、中空糸膜モジュールの製造方法。
[2]前記スペーサーが水溶性であり、
前記除去工程では、前記スペーサーの少なくとも一部を水系溶媒に溶解させて、前記中空糸膜の内部と前記集水流路とが連通するように除去する、[1]に記載の中空糸膜モジュールの製造方法。
[3]前記封止工程では、前記開口端面を前記スペーサーで封止する、[2]に記載の中空糸膜モジュールの製造方法。
[4]前記封止工程では、前記開口端面と前記スペーサーとの間に水溶性フィルムを介在させ、前記開口端面を前記水溶性フィルムで封止し、
前記除去工程では、前記スペーサーの少なくとも一部と前記水溶性フィルムの少なくとも一部とを、前記中空糸膜の内部と前記集水流路とが連通するように除去する、[1]に記載の中空糸膜モジュールの製造方法。
[5]前記封止工程では、前記開口端面と前記スペーサーとの間に一時封止剤を介在させ、
前記開口端面を前記一時封止剤で封止し、
前記除去工程では、前記スペーサーの少なくとも一部と前記一時封止剤の少なくとも一部とを、前記中空糸膜の内部と前記集水流路とが連通するように除去する、[1]に記載の中空糸膜モジュールの製造方法。
[6]前記スペーサーが筒状である、[1]〜[5]のいずれか一項に記載の中空糸膜モジュールの製造方法。
[1]集水流路を有するハウジングを備え、複数本の中空糸膜からなるシート状の中空糸膜束の少なくとも一方の端部が前記ハウジングの挿入口から前記ハウジング内に挿入され、固定用樹脂で固定された中空糸膜モジュールの製造方法であって、
前記集水流路にスペーサーを設置する設置工程と、
前記中空糸膜束の開口端面と前記スペーサーとが近接するように配置し、前記開口端面を封止する封止工程と、
前記ハウジング内に固定用樹脂を注入し硬化させて前記中空糸膜束を固定する硬化工程と、
前記スペーサーの少なくとも一部を、前記中空糸膜の内部と前記集水流路とが連通するように除去する除去工程と、を含む、中空糸膜モジュールの製造方法。
[2]前記スペーサーが水溶性であり、
前記除去工程では、前記スペーサーの少なくとも一部を水系溶媒に溶解させて、前記中空糸膜の内部と前記集水流路とが連通するように除去する、[1]に記載の中空糸膜モジュールの製造方法。
[3]前記封止工程では、前記開口端面を前記スペーサーで封止する、[2]に記載の中空糸膜モジュールの製造方法。
[4]前記封止工程では、前記開口端面と前記スペーサーとの間に水溶性フィルムを介在させ、前記開口端面を前記水溶性フィルムで封止し、
前記除去工程では、前記スペーサーの少なくとも一部と前記水溶性フィルムの少なくとも一部とを、前記中空糸膜の内部と前記集水流路とが連通するように除去する、[1]に記載の中空糸膜モジュールの製造方法。
[5]前記封止工程では、前記開口端面と前記スペーサーとの間に一時封止剤を介在させ、
前記開口端面を前記一時封止剤で封止し、
前記除去工程では、前記スペーサーの少なくとも一部と前記一時封止剤の少なくとも一部とを、前記中空糸膜の内部と前記集水流路とが連通するように除去する、[1]に記載の中空糸膜モジュールの製造方法。
[6]前記スペーサーが筒状である、[1]〜[5]のいずれか一項に記載の中空糸膜モジュールの製造方法。
本発明によれば、切断工程が不要であり、樹脂を注入して硬化させる工程を1回のみに低減でき、開口端面を形成するための材料の使用量が少なく、かつ使用した材料の除去が容易な、中空糸膜モジュールの製造方法を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、これらの内容に特定されない。
図1は本発明の製造方法で製造される中空糸膜モジュールの一例を示す(a)斜視図と、(b)要部の拡大断面図である。
この中空糸膜モジュール10は、複数本の中空糸膜がシート状に束ねられたシート状の中空糸膜束11と、この中空糸膜束11の両端部(長さ方向の端部)を固定用樹脂2を介して固定する2つのハウジング12とを有して概略構成されている。
この中空糸膜モジュール10は、複数本の中空糸膜がシート状に束ねられたシート状の中空糸膜束11と、この中空糸膜束11の両端部(長さ方向の端部)を固定用樹脂2を介して固定する2つのハウジング12とを有して概略構成されている。
<中空糸膜束>
中空糸膜束11は複数本の中空糸膜を束状としたものであり、少なくとも片側端部が開口した状態となっている。本発明に用いる中空糸膜の分画レベルは、精密ろ過膜(MF)、限外濾過膜(UF)又はナノろ過膜(NF)等のいずれのレベルであってもよい。また、濾過膜として使用可能のものであれば、孔径、空孔率、膜厚、外径等には特に制限はなく、濾過の対象となるものによって適宜選択される。更に、有機物やウイルスの除去を目的とする場合には分画分子量数万から数十万の限外濾過膜を用いる場合もある。
中空糸膜束11は複数本の中空糸膜を束状としたものであり、少なくとも片側端部が開口した状態となっている。本発明に用いる中空糸膜の分画レベルは、精密ろ過膜(MF)、限外濾過膜(UF)又はナノろ過膜(NF)等のいずれのレベルであってもよい。また、濾過膜として使用可能のものであれば、孔径、空孔率、膜厚、外径等には特に制限はなく、濾過の対象となるものによって適宜選択される。更に、有機物やウイルスの除去を目的とする場合には分画分子量数万から数十万の限外濾過膜を用いる場合もある。
本発明の中空糸膜は、例えばセルロース系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリスルフォン系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、塩素系樹脂、フッ素系樹脂など、分離膜の形状に成形可能なものであれば各種材料が使用できる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリ四フッ化エチレン、又はポリスルフォン等が挙げられる。
中空糸膜の表面特性として、耐薬品性の強い樹脂を用いることが好適であり、好ましくはフッ素系樹脂である。フッ素系樹脂の中でも、中空糸膜への賦形性と耐薬品性などからフッ化ビニリデリン樹脂を用いることがより好ましい。ここで、フッ化ビニリデリン樹脂としては、フッ化ビニリデリンのホモポリマーの他、フッ化ビニリデリンとそれと共重合可能な単量体との共重合体が挙げられる。該共重合可能な単量体としては、例えばフッ化ビニル、四フッ化エチレン、三フッ化エチレン、ヘキサフルオロプロピレンなどがある。
中空糸膜は複数の細孔を有する。細孔は中空糸膜の表面及び裏面を貫通する連続孔であることが好ましい。細孔の孔径は、目的によって任意に選択できるが、例えば、0.01〜5μm、好ましくは、0.1〜1μmであることが適当である。
また、中空糸膜は、二層構造であることが好ましい。また、一方の層表面の孔径が小さく、他方の層表面の孔径が大きい、非対称構造であることがより好ましい。非対称構造の場合、一方の層表面の孔径が、他方の層表面孔径の1倍より大きく100倍以下であることが好ましく、より好ましくは2倍以上10倍以下である。
中空糸膜の外径は、例えば、0.1〜5mm、好ましくは、0.5〜3mmであることが適当である。中空糸膜は、純水に対する透液性能を示す純水透過係数が、1〜250m3/m2/hr/MPaであることが好ましく、10〜150m3/m2/hr/MPaであることがより好ましい。なお、純水透過係数は、以下の式より求めることができる。
純水透過係数=[純水透過量(m3)]/[多孔質膜の表面積(m2)]/[透過時間(時)]/[純水の圧力(MPa)]
純水透過係数=[純水透過量(m3)]/[多孔質膜の表面積(m2)]/[透過時間(時)]/[純水の圧力(MPa)]
中空糸膜束の形態としては、例えば、1列に引き揃えたシート状中空糸膜の少なくとも片側端部を接着剤等で固定したものを数枚積層したものが挙げられる。また、中空糸膜束は、中空糸膜を例えば緯糸として編地としたものを数枚積層したものが挙げられる。編地の製造方法は、例えば特開昭62−57965号、特開平1−266258号各公報に開示されている。また、複数本の中空糸膜を束ねてバンドル状としたものであっても構わない。
中空糸膜束11における中空糸膜の配列方向は、特に限定されるものではないが、中空糸膜が、被処理液の流れ方向に対し、概ね平行に配列されることが好ましい。かかる場合には、例えば、被処理液が多くの夾雑物を含んでいるような高汚濁液の場合に、夾雑物が多数の中空糸膜間を通過する際、流れ方向と直行するような中空糸膜等の障害物がないことから、夾雑物の中空糸膜への堆積や絞絡を軽減する効果がある。
さらに、中空糸膜の配列方向は、中空糸膜の長さ方向が縦方向、即ち上下方向であることが好ましい。かかる場合、例えば、該夾雑物の洗浄に多く用いられるエアバブリング洗浄時に発生する被処理液の上昇流方向と、中空糸膜の延在方向とを、概ね平行とすることができるので、前述した夾雑物の堆積を防止する効果との相乗効果がある。
<ハウジング>
図1(a)は中空糸膜モジュールの一例を示す斜視図であり、図1(b)はハウジングを含む部分の垂直断面を示す要部拡大断面図である。ハウジング12は、中空糸膜モジュール10の全体を支持するとともに、中空糸膜束11で濾過処理された処理水を集水するためのものである。この例のハウジング12は管状であり、図1(b)に示すように、シート状の中空糸膜束11が挿入されるスリット状の挿入口12aが長手方向に沿って形成され、長手方向に対して垂直方向の断面(以下、垂直断面という。)がU字形とされている。
中空糸膜束11は、ハウジング12の底部13側に挿入口12aから挿入され、その開口端面11aは、ハウジング12内で開口した状態で、固定用樹脂2により固定されている。具体的には、ハウジング12の底部13と中空糸膜束11の開口端面11aと固定用樹脂2とで囲まれて、ハウジング12の長手方向に形成された中空部分が、処理水が集水される集水流路15とされ、中空糸膜束11の開口端面11aはこの集水流路15内で開口している。また、この例のハウジング12には、集水流路15に集水された処理水を回収するための集水口16がハウジング側面14の一部分に形成されている。
図1(a)は中空糸膜モジュールの一例を示す斜視図であり、図1(b)はハウジングを含む部分の垂直断面を示す要部拡大断面図である。ハウジング12は、中空糸膜モジュール10の全体を支持するとともに、中空糸膜束11で濾過処理された処理水を集水するためのものである。この例のハウジング12は管状であり、図1(b)に示すように、シート状の中空糸膜束11が挿入されるスリット状の挿入口12aが長手方向に沿って形成され、長手方向に対して垂直方向の断面(以下、垂直断面という。)がU字形とされている。
中空糸膜束11は、ハウジング12の底部13側に挿入口12aから挿入され、その開口端面11aは、ハウジング12内で開口した状態で、固定用樹脂2により固定されている。具体的には、ハウジング12の底部13と中空糸膜束11の開口端面11aと固定用樹脂2とで囲まれて、ハウジング12の長手方向に形成された中空部分が、処理水が集水される集水流路15とされ、中空糸膜束11の開口端面11aはこの集水流路15内で開口している。また、この例のハウジング12には、集水流路15に集水された処理水を回収するための集水口16がハウジング側面14の一部分に形成されている。
ハウジング12の材質は、機械的強度及び耐久性を有するものであればよく、例えばポリカーボネート、ポリスルフォン、ポリオレフィン、PVC(ポリ塩化ビニル)、アクリル樹脂、ABS樹脂、変成PPE(ポリフェニレンエーテル)等を用いることができる。使用後に焼却処理が必要な場合には、燃焼により有毒ガスを出さずに、完全燃焼させることのできるポリオレフィン等の炭化水素系の樹脂が好ましい。
<中空糸膜モジュールの製造方法>
本発明の中空糸モジュールの製造方法は、集水流路を有するハウジングを備え、複数本の中空糸膜からなるシート状の中空糸膜束の少なくとも一方の端部が前記ハウジングの挿入口から前記ハウジング内に挿入され、固定用樹脂で固定された中空糸膜モジュールの製造方法であって、
前記集水流路にスペーサーを設置する設置工程と、
前記中空糸膜束の開口端面と前記スペーサーとが近接するように配置し、前記開口端面を封止する封止工程と、
前記ハウジング内に固定用樹脂を注入し硬化させて前記中空糸膜束を固定する硬化工程と、
前記スペーサーの少なくとも一部を、前記中空糸膜の内部と前記集水流路とが連通するように除去する除去工程と、を含む。
本発明の中空糸モジュールの製造方法は、集水流路を有するハウジングを備え、複数本の中空糸膜からなるシート状の中空糸膜束の少なくとも一方の端部が前記ハウジングの挿入口から前記ハウジング内に挿入され、固定用樹脂で固定された中空糸膜モジュールの製造方法であって、
前記集水流路にスペーサーを設置する設置工程と、
前記中空糸膜束の開口端面と前記スペーサーとが近接するように配置し、前記開口端面を封止する封止工程と、
前記ハウジング内に固定用樹脂を注入し硬化させて前記中空糸膜束を固定する硬化工程と、
前記スペーサーの少なくとも一部を、前記中空糸膜の内部と前記集水流路とが連通するように除去する除去工程と、を含む。
<第一の態様>
以下に本発明の第一の態様について説明する。
以下に本発明の第一の態様について説明する。
(設置工程)
図2(a)に示すように、ハウジング12の底部13に形成された集水流路15内に筒状で水溶性のスペーサー1を設置する。
第一の態様では、後述の除去工程で容易に除去できるように筒状で水溶性のスペーサーを使用する。ここで、「水溶性」とは、物質が水系溶媒に溶解するか懸濁する性質を有することを意味する。水系溶媒としては、水、エタノール、イソプロパノール及びこれらの混合溶媒等が挙げられる。なかでも水が好ましい。
水溶性のスペーサー1の材質としては水溶性高分子が挙げられ、具体的にはグアーガム、ローカストビーンガム、クインシードガム、カラギーナン、ペクチン、マンナン、デンプン、寒天等の植物系多糖類;ザンサンガム、サクシノグリカン、カードラン、ヒアルロン酸、デキストラン等の微生物系多糖類;ゼラチン、カゼイン、アルブミン、コラーゲン等の植物系タンパク質;メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カチオン化セルロース、疎水化セルロース等のセルロース系;可溶化デンプン、カルボキシメチルデンプン等のデンプン系、アルギン酸プロピレングリコールエステル等のアルギン酸系;その他多糖類誘導体;粘度鉱物、シリカ等の無機物;ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー(ポリアクリル酸)、ポリアクリルアミド及びその誘導体等のビニル系;ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド−ポリプロピレンオキシドブロック共重合体等のエーテル系;及びこれらの組み合わせ等が挙げられる。なかでも、成形性の観点で、ポリビニルアルコール(PVA)が好ましい。
スペーサー1は、前記スペーサー1を除去した後に、中空糸膜11の内部、及び、集水流路15、及び、集水口16を連通させる為に配置される。そのため、スペーサー1は、集水流路15の大きさに合わせて成形されたものを使用することが好ましいが、スペーサー1が集水流路15の大きさよりも小さくても、中空糸膜11の開口端面11aを封止できれば、固定用樹脂2がスペーサー1の外側に廻り込んでも構わない。スペーサー1の製造方法は特に限定されないが、薄肉ブロー成形品であることが好ましい。
スペーサー1は、スペーサー1の水系溶媒への溶解量を少なく出来、且つ、少量の材料でハウジング12との接触面積を増やせる観点で、筒状であることが好ましい。筒状であれば空洞部に水系溶媒を流し入れやすいため、スペーサー1を容易に除去することができる。また、筒状の場合、厚み(肉厚)が小さい方が好ましい。具体的には、スペーサー1の厚みは0.05〜3mmであることが好ましい。更に好ましくは、0.2〜2mm、更に好ましくは、0.5〜1mmである。
図2(a)に示すように、ハウジング12の底部13に形成された集水流路15内に筒状で水溶性のスペーサー1を設置する。
第一の態様では、後述の除去工程で容易に除去できるように筒状で水溶性のスペーサーを使用する。ここで、「水溶性」とは、物質が水系溶媒に溶解するか懸濁する性質を有することを意味する。水系溶媒としては、水、エタノール、イソプロパノール及びこれらの混合溶媒等が挙げられる。なかでも水が好ましい。
水溶性のスペーサー1の材質としては水溶性高分子が挙げられ、具体的にはグアーガム、ローカストビーンガム、クインシードガム、カラギーナン、ペクチン、マンナン、デンプン、寒天等の植物系多糖類;ザンサンガム、サクシノグリカン、カードラン、ヒアルロン酸、デキストラン等の微生物系多糖類;ゼラチン、カゼイン、アルブミン、コラーゲン等の植物系タンパク質;メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カチオン化セルロース、疎水化セルロース等のセルロース系;可溶化デンプン、カルボキシメチルデンプン等のデンプン系、アルギン酸プロピレングリコールエステル等のアルギン酸系;その他多糖類誘導体;粘度鉱物、シリカ等の無機物;ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー(ポリアクリル酸)、ポリアクリルアミド及びその誘導体等のビニル系;ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド−ポリプロピレンオキシドブロック共重合体等のエーテル系;及びこれらの組み合わせ等が挙げられる。なかでも、成形性の観点で、ポリビニルアルコール(PVA)が好ましい。
スペーサー1は、前記スペーサー1を除去した後に、中空糸膜11の内部、及び、集水流路15、及び、集水口16を連通させる為に配置される。そのため、スペーサー1は、集水流路15の大きさに合わせて成形されたものを使用することが好ましいが、スペーサー1が集水流路15の大きさよりも小さくても、中空糸膜11の開口端面11aを封止できれば、固定用樹脂2がスペーサー1の外側に廻り込んでも構わない。スペーサー1の製造方法は特に限定されないが、薄肉ブロー成形品であることが好ましい。
スペーサー1は、スペーサー1の水系溶媒への溶解量を少なく出来、且つ、少量の材料でハウジング12との接触面積を増やせる観点で、筒状であることが好ましい。筒状であれば空洞部に水系溶媒を流し入れやすいため、スペーサー1を容易に除去することができる。また、筒状の場合、厚み(肉厚)が小さい方が好ましい。具体的には、スペーサー1の厚みは0.05〜3mmであることが好ましい。更に好ましくは、0.2〜2mm、更に好ましくは、0.5〜1mmである。
(封止工程)
図2(a)に示すように、シート状の中空糸膜束11の開口端面11aを、ハウジング12の挿入口12aから、底部13側まで挿入し、スペーサー1の上面と中空糸膜束11の開口端面11aとが近接するように配置し、開口端面11aをスペーサー1で封止する。
第一の態様では、水溶性のスペーサー1の表面を水系溶媒で濡らして軟化させた後に、軟化させた部分に中空糸膜束11の開口端面11aを接合させ、開口端面11aとスペーサー1との間に隙間が生じないようにする。その後軟化させた部分を乾燥することにより、開口端面11aを液密に封止する。
図2(a)に示すように、シート状の中空糸膜束11の開口端面11aを、ハウジング12の挿入口12aから、底部13側まで挿入し、スペーサー1の上面と中空糸膜束11の開口端面11aとが近接するように配置し、開口端面11aをスペーサー1で封止する。
第一の態様では、水溶性のスペーサー1の表面を水系溶媒で濡らして軟化させた後に、軟化させた部分に中空糸膜束11の開口端面11aを接合させ、開口端面11aとスペーサー1との間に隙間が生じないようにする。その後軟化させた部分を乾燥することにより、開口端面11aを液密に封止する。
(硬化工程)
図2(b)に示すように、未硬化の固定用樹脂2を挿入口12aからスペーサー1の上に充填し、中空糸膜束11の外面とハウジング12の内面との間に行き渡らせる。続いて、固定用樹脂2を加熱して硬化させ、中空糸膜束11の端部をハウジング12内に固定する。
第一の態様の硬化工程において使用される固定用樹脂2としては、熱硬化性樹脂に限定されず、熱可塑性樹脂も使用することができる。例えば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン系充填材、各種ホットメルト樹脂等を用いることができ、適宜選定することが可能である。
図2(b)に示すように、未硬化の固定用樹脂2を挿入口12aからスペーサー1の上に充填し、中空糸膜束11の外面とハウジング12の内面との間に行き渡らせる。続いて、固定用樹脂2を加熱して硬化させ、中空糸膜束11の端部をハウジング12内に固定する。
第一の態様の硬化工程において使用される固定用樹脂2としては、熱硬化性樹脂に限定されず、熱可塑性樹脂も使用することができる。例えば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン系充填材、各種ホットメルト樹脂等を用いることができ、適宜選定することが可能である。
また、固定用樹脂2は、中空糸膜束11を担持し、かつ、固定用樹脂2を嵌め込んだハウジング12の剛性を確保して、使用時の耐圧性を発揮する。このため、硬化後の固定用樹脂2は、所定の範囲の硬度を有することが好ましい。すなわち、固定用樹脂2の硬度が、10秒後のショアA硬度で80度未満であると、耐圧性を維持するために、多くの樹脂量が必要となり、中空糸膜モジュールのコストを高騰させる要因となる。また、固定用樹脂2の硬度が、10秒後のショアA硬度で99度を超える場合は、固定用樹脂2自体が割れ易くなる。したがって、固定用樹脂2の硬度は、10秒後のショアA硬度で80〜99度であることが好ましい。なお、ショアA硬度はJIS K6253に準拠する値である。
また、硬化前の固定用樹脂2の粘度については特に限定はされないが、固定用樹脂2が複数の中空糸膜間に含浸しやすくなることから、硬化前の固定用樹脂2の粘度は5000mPa・s以下が好ましく、より好ましくは3000mPa・s以下である。5000mPa・sを超えると、各中空糸膜の間に固定用樹脂が十分に回り込まなくなることにより空洞が発生し、集水流路15と中空糸膜モジュールの外側とが連通することによる、いわゆるリークの欠陥が起こりやすくなる。
さらに、固定用樹脂2を流し入れる際には、遠心力を利用する方法や、固定用樹脂2が中空糸膜束11を構成する複数の中空糸膜の間に十分に行き渡るよう、中空糸膜束11にエアー等を吹き付けることで、中空糸膜束11を開繊する方法を併用することがより好ましい。
(除去工程)
図2(c)に示すように、スペーサー1の空洞部に水系溶媒を流し入れてスペーサー1を溶解させたのち、当該水系溶媒を除去することにより、中空糸膜の内部と集水流路15とを連通させる。
スペーサー1の少なくとも一部(即ち、開口端面11aを封止している部分)を溶解して除去することにより中空糸膜の内部と集水流路15とを連通させることができる場合には、スペーサー1を全て除去しなくてもよい。
図2(c)に示すように、スペーサー1の空洞部に水系溶媒を流し入れてスペーサー1を溶解させたのち、当該水系溶媒を除去することにより、中空糸膜の内部と集水流路15とを連通させる。
スペーサー1の少なくとも一部(即ち、開口端面11aを封止している部分)を溶解して除去することにより中空糸膜の内部と集水流路15とを連通させることができる場合には、スペーサー1を全て除去しなくてもよい。
上記した例では設置工程を封止工程の前に行ったが、封止工程を設置工程の前に行ってもよい。すなわち、ハウジング12の外で中空糸膜束11の開口端面11aをスペーサー1で封止したのち、これをハウジング12の集水流路15内に設置してもよい。
(効果)
本発明の第一の態様では、中空糸膜束11の開口端面11aを水溶性のスペーサー1で液密に封止することにより、開口端面11aから固定用樹脂2が中空糸膜内部に流入するのを防ぐことができる。
スペーサー1は水溶性であるため、水系溶媒に溶解させて容易に除去することができる。そのため端部を切断する切断工程を必要とせず、スペーサー1を除去するだけで集水流路と中空糸膜内部とを容易に連通させることができる。
また、スペーサー1は筒状であるため、スペーサー1を製造するための材料が少なくて済む。また、筒状であることにより空洞部に水系溶媒を流し入れやすいため、スペーサー1の除去が容易となる。
さらに、切断工程が不要になる分、固定用樹脂2の使用量を低減することができる。
本発明の第一の態様では、中空糸膜束11の開口端面11aを水溶性のスペーサー1で液密に封止することにより、開口端面11aから固定用樹脂2が中空糸膜内部に流入するのを防ぐことができる。
スペーサー1は水溶性であるため、水系溶媒に溶解させて容易に除去することができる。そのため端部を切断する切断工程を必要とせず、スペーサー1を除去するだけで集水流路と中空糸膜内部とを容易に連通させることができる。
また、スペーサー1は筒状であるため、スペーサー1を製造するための材料が少なくて済む。また、筒状であることにより空洞部に水系溶媒を流し入れやすいため、スペーサー1の除去が容易となる。
さらに、切断工程が不要になる分、固定用樹脂2の使用量を低減することができる。
<第二の態様>
以下に本発明の第二の態様について説明する。以下、第一の態様と同様の説明は省略する。
以下に本発明の第二の態様について説明する。以下、第一の態様と同様の説明は省略する。
(設置工程)
本発明の第二の態様では、図3(a)に示すように、集水流路15内に筒状で水溶性のスペーサー1を設置する。
第二の態様において使用される水溶性のスペーサー1としては、第一の態様で挙げたものと同様のものが挙げられる。
本発明の第二の態様では、図3(a)に示すように、集水流路15内に筒状で水溶性のスペーサー1を設置する。
第二の態様において使用される水溶性のスペーサー1としては、第一の態様で挙げたものと同様のものが挙げられる。
(封止工程)
図3(a)に示すように、シート状の中空糸膜束11の開口端面11aを、ハウジング12の挿入口12aから、底部13側まで挿入し、水溶性のスペーサー1の上面と中空糸膜束11の開口端面11aとが近接するように配置する。続いて、図3(b)に示すように、一時封止剤3を挿入口12aからハウジング12内に流し入れ、開口端面11aを一時封止剤3で封止する。
第二の態様の封止工程において使用される一時封止剤3は、常温で液体、または、固体であり、水系溶媒に溶解するものであれば特に限定されない。具体的には、グリセリン、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドンの他、第一の態様でスペーサー1の材質として挙げたものと同様のものが挙げられる。
一時封止剤3を流し入れる際の粘度は、100,000mPa・s以下であることが好ましく、5,000mPa・s以下がより好ましい。上限値を超えると、流し入れる際、または、除去する際に時間がかかってしまったり、隙間に廻り込みきらずに固定用樹脂が入り込んでしまう不具合が生じる可能性がある。
一時封止剤3が常温液体の場合、固定用樹脂を流し入れる際の一時封止剤3の粘度は、1,000mPa・s以上であることが好ましく、5,000mPa・s以上がより好ましい。粘度が下限値未満であると、膜基材や中空糸膜間に一時封止剤が這い上がって、固定用樹脂が十分に回り込まなくなることにより空洞が発生し、集水流路15と中空糸膜モジュールの外側とが連通することによる、いわゆるリークの欠陥が起こりやすくなる。なお、粘度は回転式粘度計(共軸二重円筒型、単一円筒型、コーンプレート型)、細管式粘度計、落球式粘度計等により測定することができる。
固定用樹脂2と一時封止剤3との密度比(固定用樹脂2の密度/一時封止剤3の密度)は、固定用樹脂が上側に保持されるよう1.00以下である必要があるが、0.9以下であることが好ましく、0.8以下であることが更に好ましい。
一時封止剤3が常温固体の場合、一時封止剤3の融点は、35〜70℃であることが好ましく、40〜50℃であることが好ましい。融点が下限値未満であると、室温下で液体になってしまう。上限を超えると除去工程時に取扱性に劣る。常温固体の一時封止剤3を使用する場合には、一時封止剤3を加熱して液体にするか水系溶媒等で溶液にしてからスペーサー上に流し入れる。
図3(a)に示すように、シート状の中空糸膜束11の開口端面11aを、ハウジング12の挿入口12aから、底部13側まで挿入し、水溶性のスペーサー1の上面と中空糸膜束11の開口端面11aとが近接するように配置する。続いて、図3(b)に示すように、一時封止剤3を挿入口12aからハウジング12内に流し入れ、開口端面11aを一時封止剤3で封止する。
第二の態様の封止工程において使用される一時封止剤3は、常温で液体、または、固体であり、水系溶媒に溶解するものであれば特に限定されない。具体的には、グリセリン、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドンの他、第一の態様でスペーサー1の材質として挙げたものと同様のものが挙げられる。
一時封止剤3を流し入れる際の粘度は、100,000mPa・s以下であることが好ましく、5,000mPa・s以下がより好ましい。上限値を超えると、流し入れる際、または、除去する際に時間がかかってしまったり、隙間に廻り込みきらずに固定用樹脂が入り込んでしまう不具合が生じる可能性がある。
一時封止剤3が常温液体の場合、固定用樹脂を流し入れる際の一時封止剤3の粘度は、1,000mPa・s以上であることが好ましく、5,000mPa・s以上がより好ましい。粘度が下限値未満であると、膜基材や中空糸膜間に一時封止剤が這い上がって、固定用樹脂が十分に回り込まなくなることにより空洞が発生し、集水流路15と中空糸膜モジュールの外側とが連通することによる、いわゆるリークの欠陥が起こりやすくなる。なお、粘度は回転式粘度計(共軸二重円筒型、単一円筒型、コーンプレート型)、細管式粘度計、落球式粘度計等により測定することができる。
固定用樹脂2と一時封止剤3との密度比(固定用樹脂2の密度/一時封止剤3の密度)は、固定用樹脂が上側に保持されるよう1.00以下である必要があるが、0.9以下であることが好ましく、0.8以下であることが更に好ましい。
一時封止剤3が常温固体の場合、一時封止剤3の融点は、35〜70℃であることが好ましく、40〜50℃であることが好ましい。融点が下限値未満であると、室温下で液体になってしまう。上限を超えると除去工程時に取扱性に劣る。常温固体の一時封止剤3を使用する場合には、一時封止剤3を加熱して液体にするか水系溶媒等で溶液にしてからスペーサー上に流し入れる。
(硬化工程)
図3(c)に示すように、固定用樹脂2を挿入口12aから一時封止剤3の上に充填し、中空糸膜束11の外面とハウジング12の内面との間に行き渡らせる。続いて、固定用樹脂2を加熱して硬化させ、中空糸膜束11の端部をハウジング12内に固定する。
第二の態様の硬化工程において使用される固定用樹脂2は、第一の態様において挙げたものと同様のものが使用できる。
図3(c)に示すように、固定用樹脂2を挿入口12aから一時封止剤3の上に充填し、中空糸膜束11の外面とハウジング12の内面との間に行き渡らせる。続いて、固定用樹脂2を加熱して硬化させ、中空糸膜束11の端部をハウジング12内に固定する。
第二の態様の硬化工程において使用される固定用樹脂2は、第一の態様において挙げたものと同様のものが使用できる。
(除去工程)
図3(d)に示すように、スペーサー1の空洞部に水系溶媒を流し入れてスペーサー1と一時封止剤3とを溶解させたのち、当該水系溶媒を除去することにより、中空糸膜の内部と集水流路15とを連通させる。
第二の態様の除去工程において使用される水系溶媒としては、第一の態様と同様のものが挙げられる。
スペーサー1の少なくとも一部(例えば、開口端面11aを封止している部分に近接する部分)を溶解して除去することにより中空糸膜の内部と集水流路15とを連通させることができる場合には、スペーサー1を全て除去しなくてもよい。
また、一時封止剤3の少なくとも一部(即ち、開口端面11aを封止している部分)を溶解して除去することにより中空糸膜の内部と集水流路15とを連通させることができる場合には、一時封止剤3を全て除去しなくてもよい。
図3(d)に示すように、スペーサー1の空洞部に水系溶媒を流し入れてスペーサー1と一時封止剤3とを溶解させたのち、当該水系溶媒を除去することにより、中空糸膜の内部と集水流路15とを連通させる。
第二の態様の除去工程において使用される水系溶媒としては、第一の態様と同様のものが挙げられる。
スペーサー1の少なくとも一部(例えば、開口端面11aを封止している部分に近接する部分)を溶解して除去することにより中空糸膜の内部と集水流路15とを連通させることができる場合には、スペーサー1を全て除去しなくてもよい。
また、一時封止剤3の少なくとも一部(即ち、開口端面11aを封止している部分)を溶解して除去することにより中空糸膜の内部と集水流路15とを連通させることができる場合には、一時封止剤3を全て除去しなくてもよい。
(効果)
第二の態様では、中空糸膜束11の開口端面11aを、一時封止剤3で液密に封止することにより、開口端面11aから固定用樹脂2が中空糸膜内部に流入するのを防ぐことができる。
また、スペーサー1上に一時封止剤3を充填することにより、スペーサー1を使用しない場合と比べて一時封止剤3の使用量を低減することができる。
スペーサー1と一時封止剤3とは水溶性であるため、水系溶媒に溶解させてこれらを容易に除去することができる。そのため端部を切断する切断工程を必要とせず、スペーサー1と一時封止剤3とを除去するだけで集水流路15と中空糸膜内部とを容易に連通させることができる。
スペーサー1は筒状であるため、スペーサー1を製造するための材料が少なくて済む。また、筒状であれば空洞部に水系溶媒を流し入れやすいため、スペーサー1の除去が容易となる。
切断工程が不要になる分、固定用樹脂2の使用量を低減することができる。
第二の態様では、中空糸膜束11の開口端面11aを、一時封止剤3で液密に封止することにより、開口端面11aから固定用樹脂2が中空糸膜内部に流入するのを防ぐことができる。
また、スペーサー1上に一時封止剤3を充填することにより、スペーサー1を使用しない場合と比べて一時封止剤3の使用量を低減することができる。
スペーサー1と一時封止剤3とは水溶性であるため、水系溶媒に溶解させてこれらを容易に除去することができる。そのため端部を切断する切断工程を必要とせず、スペーサー1と一時封止剤3とを除去するだけで集水流路15と中空糸膜内部とを容易に連通させることができる。
スペーサー1は筒状であるため、スペーサー1を製造するための材料が少なくて済む。また、筒状であれば空洞部に水系溶媒を流し入れやすいため、スペーサー1の除去が容易となる。
切断工程が不要になる分、固定用樹脂2の使用量を低減することができる。
<第三の態様>
以下に本発明の第三の態様について説明する。以下、第一の態様、及び第二の態様と同様の説明は省略する。
以下に本発明の第三の態様について説明する。以下、第一の態様、及び第二の態様と同様の説明は省略する。
(設置工程)
図4(a)に示すように、集水流路15内に角筒状のスペーサー1を設置する。
第三の態様で使用されるスペーサー1は、集水部16から引き抜くことができる大きさであれば、水溶性のものに限定されず、非水溶性のものを使用してもよい。
スペーサー1の形状は特に限定されず、角筒状であってもよく、円筒状であってもよい。円筒状である場合には、図5に示すように、角筒状のスペーサーと組み合わせて、水溶性フィルム4と接する上面がフラットになるように設置することが好ましい。
図4(a)に示すように、集水流路15内に角筒状のスペーサー1を設置する。
第三の態様で使用されるスペーサー1は、集水部16から引き抜くことができる大きさであれば、水溶性のものに限定されず、非水溶性のものを使用してもよい。
スペーサー1の形状は特に限定されず、角筒状であってもよく、円筒状であってもよい。円筒状である場合には、図5に示すように、角筒状のスペーサーと組み合わせて、水溶性フィルム4と接する上面がフラットになるように設置することが好ましい。
(封止工程)
図4(b)に示すように、スペーサー1の上部に水溶性フィルム4を配した後、集水流路15内に固定用樹脂2が流入しないように、水溶性フィルム4とハウジング2との隙間にシール部5を形成する。
続いて、図4(b)に示すように、シート状の中空糸膜束11の開口端面11aを、ハウジング12の挿入口12aから、底部13側まで挿入し、水溶性フィルム4の上面と中空糸膜束11の開口端面11aとが近接するように配置し、開口端面11aを水溶性フィルム4で封止する。
図4(b)に示すように、スペーサー1の上部に水溶性フィルム4を配した後、集水流路15内に固定用樹脂2が流入しないように、水溶性フィルム4とハウジング2との隙間にシール部5を形成する。
続いて、図4(b)に示すように、シート状の中空糸膜束11の開口端面11aを、ハウジング12の挿入口12aから、底部13側まで挿入し、水溶性フィルム4の上面と中空糸膜束11の開口端面11aとが近接するように配置し、開口端面11aを水溶性フィルム4で封止する。
水溶性フィルム4の材質としては、水溶性のスペーサー1の材質として挙げたものと同様のものが挙げられる。
水溶性フィルム4の厚さは0.01〜1mmであることが好ましく、0.1〜0.5mmであることがより好ましい。
第三の態様のシール工程において形成されるシール部5は水溶性であってもよく、非水溶性であってもよい。シール部5が水溶性の場合、シール部5の材質としては、スペーサー1の材質と同様のものが挙げられる。
第三の態様では、水溶性フィルム4の表面を水系溶媒で濡らして軟化させた後に、軟化させた部分に中空糸膜束11の開口端面11aを接合させ、開口端面11aと水溶性フィルム4との間に隙間が生じないようにする。その後軟化させた部分を乾燥することにより、開口端面11aを液密に封止する。
水溶性フィルム4の厚さは0.01〜1mmであることが好ましく、0.1〜0.5mmであることがより好ましい。
第三の態様のシール工程において形成されるシール部5は水溶性であってもよく、非水溶性であってもよい。シール部5が水溶性の場合、シール部5の材質としては、スペーサー1の材質と同様のものが挙げられる。
第三の態様では、水溶性フィルム4の表面を水系溶媒で濡らして軟化させた後に、軟化させた部分に中空糸膜束11の開口端面11aを接合させ、開口端面11aと水溶性フィルム4との間に隙間が生じないようにする。その後軟化させた部分を乾燥することにより、開口端面11aを液密に封止する。
(硬化工程)
図4(c)に示すように、固定用樹脂2を挿入口12aから水溶性フィルム4の上に充填し、中空糸膜束11の外面とハウジング12の内面との間に行き渡らせる。続いて、固定用樹脂2を加熱して硬化させ、中空糸膜束11の端部をハウジング12内に固定する。
第三の態様の硬化工程において使用される固定用樹脂2は、第一の態様において挙げたものと同様のものが使用できる。
図4(c)に示すように、固定用樹脂2を挿入口12aから水溶性フィルム4の上に充填し、中空糸膜束11の外面とハウジング12の内面との間に行き渡らせる。続いて、固定用樹脂2を加熱して硬化させ、中空糸膜束11の端部をハウジング12内に固定する。
第三の態様の硬化工程において使用される固定用樹脂2は、第一の態様において挙げたものと同様のものが使用できる。
(除去工程)
図4(d)に示すように、スペーサー1が水溶性である場合には、スペーサー1の空洞部に水系溶媒を流し入れてスペーサー1と水溶性フィルム4とを溶解させたのち、当該水系溶媒を除去することにより、中空糸膜の内部と集水流路15とを連通させる。
第三の態様の除去工程において使用される水系溶媒としては、第一の態様と同様のものが挙げられる。
スペーサー1が非水溶性である場合には、スペーサー1を集水部16から引き抜いた後、水系溶媒を集水流路15内に流し入れ、水溶性フィルム4を溶解させたのち、当該水系溶媒を除去することにより、中空糸膜の内部と集水流路15とを連通させてもよい。あるいは、水系溶媒を集水流路15内に流し入れ、水溶性フィルム4を溶解させ、当該水系溶媒を除去した後、スペーサーを集水部16から引き抜いて中空糸膜の内部と集水流路15とを連通させてもよい。
図4(d)に示すように、スペーサー1が水溶性である場合には、スペーサー1の空洞部に水系溶媒を流し入れてスペーサー1と水溶性フィルム4とを溶解させたのち、当該水系溶媒を除去することにより、中空糸膜の内部と集水流路15とを連通させる。
第三の態様の除去工程において使用される水系溶媒としては、第一の態様と同様のものが挙げられる。
スペーサー1が非水溶性である場合には、スペーサー1を集水部16から引き抜いた後、水系溶媒を集水流路15内に流し入れ、水溶性フィルム4を溶解させたのち、当該水系溶媒を除去することにより、中空糸膜の内部と集水流路15とを連通させてもよい。あるいは、水系溶媒を集水流路15内に流し入れ、水溶性フィルム4を溶解させ、当該水系溶媒を除去した後、スペーサーを集水部16から引き抜いて中空糸膜の内部と集水流路15とを連通させてもよい。
スペーサー1の少なくとも一部(例えば、開口端面11aを封止している部分に近接する部分)を溶解して除去することにより中空糸膜の内部と集水流路15とを連通させることができる場合には、スペーサー1を全て除去しなくてもよい。
また、水溶性フィルム4の少なくとも一部(即ち、開口端面11aを封止している部分)を溶解して除去することにより中空糸膜の内部と集水流路15とを連通させることができる場合には、水溶性フィルム4を全て除去しなくてもよい。
また、水溶性フィルム4の少なくとも一部(即ち、開口端面11aを封止している部分)を溶解して除去することにより中空糸膜の内部と集水流路15とを連通させることができる場合には、水溶性フィルム4を全て除去しなくてもよい。
第三の態様では、固定用樹脂2が集水流路15内に流入しないようにシール部5を形成したが、固定用樹脂2が集水流路15内に流入しないように、水溶性フィルム4をハウジング内に液密に設置できる場合には、シール部5を形成しなくてもよい。
第三の態様における封止工程では、水溶性フィルム4をスペーサー1上に液密に設置したのち、開口端面11aを水溶性フィルム4の上面で封止したが、水溶性フィルム4の上面で開口端面11aを封止したのち、これをスペーサー1上に液密に設置してもよい。
(効果)
第三の態様では、中空糸膜束11の開口端面11aを、水溶性フィルム4で液密に封止することにより、開口端面11aから固定用樹脂2が中空糸膜内部に流入するのを防ぐことができる。
スペーサー1が水溶性の場合には、水系溶媒に溶解させて水溶性フィルム4とともに容易に除去することができる。そのため端部を切断する切断工程を必要とせず、スペーサー1と水溶性フィルム4とを除去するだけで集水流路と中空糸膜内部とを容易に連通させることができる。
また、スペーサー1は筒状であるため、スペーサー1を製造するための材料が少なくて済む。また、筒状であれば空洞部に水系溶媒を流し入れやすいため、スペーサー1と水溶性フィルム4との除去が容易となる。
集水部16から引き抜き可能な非水溶性のスペーサー1と水溶性フィルム4とを組み合せて使用することにより、スペーサー1を容易に除去して再利用できるため、廃棄する水溶性材料の使用量が少なくて済む。
切断工程が不要になる分、固定用樹脂2の使用量を低減することができる。
第三の態様では、中空糸膜束11の開口端面11aを、水溶性フィルム4で液密に封止することにより、開口端面11aから固定用樹脂2が中空糸膜内部に流入するのを防ぐことができる。
スペーサー1が水溶性の場合には、水系溶媒に溶解させて水溶性フィルム4とともに容易に除去することができる。そのため端部を切断する切断工程を必要とせず、スペーサー1と水溶性フィルム4とを除去するだけで集水流路と中空糸膜内部とを容易に連通させることができる。
また、スペーサー1は筒状であるため、スペーサー1を製造するための材料が少なくて済む。また、筒状であれば空洞部に水系溶媒を流し入れやすいため、スペーサー1と水溶性フィルム4との除去が容易となる。
集水部16から引き抜き可能な非水溶性のスペーサー1と水溶性フィルム4とを組み合せて使用することにより、スペーサー1を容易に除去して再利用できるため、廃棄する水溶性材料の使用量が少なくて済む。
切断工程が不要になる分、固定用樹脂2の使用量を低減することができる。
<第四の態様>
以下に本発明の第四の態様について説明する。以下、第一の態様、第二の態様、及び第三の態様と同様の説明は省略する。
以下に本発明の第四の態様について説明する。以下、第一の態様、第二の態様、及び第三の態様と同様の説明は省略する。
(設置工程)
図6(a)に示すように、集水流路15内に角筒状のスペーサー1を設置する。
第四の態様で使用されるスペーサー1は、集水部16から引き抜くことができる大きさであれば、水溶性のものに限定されず、非水溶性のものを使用してもよい。
スペーサー1の形状は特に限定されず、角筒状であってもよく、円筒状であってもよい。円筒状である場合には、図5に示すように、角筒状のスペーサーと組み合わせて、上面がフラットになるように設置するとともに、スペーサーどうしの間にシール部を形成して液密にすることが好ましい。
図6(a)に示すように、集水流路15内に角筒状のスペーサー1を設置する。
第四の態様で使用されるスペーサー1は、集水部16から引き抜くことができる大きさであれば、水溶性のものに限定されず、非水溶性のものを使用してもよい。
スペーサー1の形状は特に限定されず、角筒状であってもよく、円筒状であってもよい。円筒状である場合には、図5に示すように、角筒状のスペーサーと組み合わせて、上面がフラットになるように設置するとともに、スペーサーどうしの間にシール部を形成して液密にすることが好ましい。
(封止工程)
集水流路15内に固定用樹脂2が流入しないように、ハウジング12とスペーサー1との隙間にシール部5を形成する。
続いて、図6(a)に示すように、シート状の中空糸膜束11の開口端面11aを、ハウジング12の挿入口12aから、底部13側まで挿入し、水溶性のスペーサー1の上面と中空糸膜束11の開口端面11aとが近接するように配置する。続いて、図6(b)に示すように、一時封止剤3を挿入口12aからハウジング12内に流し入れ、開口端面11aを一時封止剤3で封止する。
第四の態様において形成されるシール部は、水溶性であってもよく、非水溶性であってもよいが、水系溶媒で容易に除去できる点から水溶性であることが好ましい。シール部の材質としては、第三の態様で挙げたものと同様のものが挙げられる。
第四の態様の封止工程において使用される一時封止剤としては、本発明の第二の態様で挙げたものと同様のものを使用できる。
集水流路15内に固定用樹脂2が流入しないように、ハウジング12とスペーサー1との隙間にシール部5を形成する。
続いて、図6(a)に示すように、シート状の中空糸膜束11の開口端面11aを、ハウジング12の挿入口12aから、底部13側まで挿入し、水溶性のスペーサー1の上面と中空糸膜束11の開口端面11aとが近接するように配置する。続いて、図6(b)に示すように、一時封止剤3を挿入口12aからハウジング12内に流し入れ、開口端面11aを一時封止剤3で封止する。
第四の態様において形成されるシール部は、水溶性であってもよく、非水溶性であってもよいが、水系溶媒で容易に除去できる点から水溶性であることが好ましい。シール部の材質としては、第三の態様で挙げたものと同様のものが挙げられる。
第四の態様の封止工程において使用される一時封止剤としては、本発明の第二の態様で挙げたものと同様のものを使用できる。
(硬化工程)
図6(c)に示すように、固定用樹脂2を挿入口12aから一時封止剤3の上に充填し、中空糸膜束11の外面とハウジング12の内面との間に行き渡らせる。続いて、固定用樹脂2を加熱して硬化させ、中空糸膜束11の端部をハウジング12内に固定する。
第四の態様の硬化工程において使用される固定用樹脂としては、本発明の第二の態様と同様のものを使用できる。
図6(c)に示すように、固定用樹脂2を挿入口12aから一時封止剤3の上に充填し、中空糸膜束11の外面とハウジング12の内面との間に行き渡らせる。続いて、固定用樹脂2を加熱して硬化させ、中空糸膜束11の端部をハウジング12内に固定する。
第四の態様の硬化工程において使用される固定用樹脂としては、本発明の第二の態様と同様のものを使用できる。
(除去工程)
図6(d)に示すように、スペーサー1が水溶性である場合には、スペーサー1の空洞部に水系溶媒を流し入れてスペーサー1と一時封止剤3とを溶解させたのち、当該水系溶媒を除去することにより、中空糸膜の内部と集水流路15とを連通させる。
第四の態様の除去工程において使用される水系溶媒としては、第一の態様と同様のものが挙げられる。
スペーサー1が非水溶性である場合には、スペーサー1を集水部16から引き抜いた後、水系溶媒を集水流路15内に流し入れ、一時封止剤3を溶解させたのち、当該水系溶媒を除去することにより、中空糸膜の内部と集水流路15とを連通させてもよい。あるいは、水系溶媒を集水流路15内に流し入れ、一時封止剤3を溶解させ、当該水系溶媒を除去した後、スペーサーを集水部16から引き抜いて中空糸膜の内部と集水流路15とを連通させてもよい。
図6(d)に示すように、スペーサー1が水溶性である場合には、スペーサー1の空洞部に水系溶媒を流し入れてスペーサー1と一時封止剤3とを溶解させたのち、当該水系溶媒を除去することにより、中空糸膜の内部と集水流路15とを連通させる。
第四の態様の除去工程において使用される水系溶媒としては、第一の態様と同様のものが挙げられる。
スペーサー1が非水溶性である場合には、スペーサー1を集水部16から引き抜いた後、水系溶媒を集水流路15内に流し入れ、一時封止剤3を溶解させたのち、当該水系溶媒を除去することにより、中空糸膜の内部と集水流路15とを連通させてもよい。あるいは、水系溶媒を集水流路15内に流し入れ、一時封止剤3を溶解させ、当該水系溶媒を除去した後、スペーサーを集水部16から引き抜いて中空糸膜の内部と集水流路15とを連通させてもよい。
スペーサー1の少なくとも一部(例えば、開口端面11aを封止している部分に近接する部分)を溶解して除去することにより中空糸膜の内部と集水流路15とを連通させることができる場合には、スペーサー1を全て除去しなくてもよい。
また、一時封止剤3の少なくとも一部(即ち、開口端面11aを封止している部分)を溶解して除去することにより中空糸膜の内部と集水流路15とを連通させることができる場合には、一時封止剤3を全て除去しなくてもよい。
また、一時封止剤3の少なくとも一部(即ち、開口端面11aを封止している部分)を溶解して除去することにより中空糸膜の内部と集水流路15とを連通させることができる場合には、一時封止剤3を全て除去しなくてもよい。
(効果)
第四の態様では、中空糸膜束11の開口端面11aを、一時封止剤3で液密に封止することにより、開口端面11aから固定用樹脂2が中空糸膜内部に流入するのを防ぐことができる。
スペーサー1が水溶性である場合には、水系溶媒に溶解させて一時封止剤3とともに容易に除去することができる。そのため端部を切断する切断工程を必要とせず、スペーサー1と一時封止剤3とを除去するだけで集水流路と中空糸膜内部とを容易に連通させることができる。
スペーサー1は筒状であるため、スペーサー1を製造するための材料が少なくて済む。また、筒状であれば空洞部に水系溶媒を流し入れやすいため、スペーサー1の除去が容易となる。
集水部16から引き抜き可能な非水溶性のスペーサー1と一時封止剤3とを組み合せて使用することにより、スペーサー1を容易に除去して再利用できるため、廃棄する水溶性材料の量が少なくて済む。
スペーサー1上に一時封止剤3を充填することにより、スペーサー1を使用しない場合と比べて一時封止剤3の使用量を低減することができる。
切断工程が不要になる分、固定用樹脂2の使用量を低減することができる。
第四の態様では、中空糸膜束11の開口端面11aを、一時封止剤3で液密に封止することにより、開口端面11aから固定用樹脂2が中空糸膜内部に流入するのを防ぐことができる。
スペーサー1が水溶性である場合には、水系溶媒に溶解させて一時封止剤3とともに容易に除去することができる。そのため端部を切断する切断工程を必要とせず、スペーサー1と一時封止剤3とを除去するだけで集水流路と中空糸膜内部とを容易に連通させることができる。
スペーサー1は筒状であるため、スペーサー1を製造するための材料が少なくて済む。また、筒状であれば空洞部に水系溶媒を流し入れやすいため、スペーサー1の除去が容易となる。
集水部16から引き抜き可能な非水溶性のスペーサー1と一時封止剤3とを組み合せて使用することにより、スペーサー1を容易に除去して再利用できるため、廃棄する水溶性材料の量が少なくて済む。
スペーサー1上に一時封止剤3を充填することにより、スペーサー1を使用しない場合と比べて一時封止剤3の使用量を低減することができる。
切断工程が不要になる分、固定用樹脂2の使用量を低減することができる。
なお、以上の説明では、中空糸膜モジュール10として、シート状の中空糸膜束11の両端部に、それぞれハウジング12が接続された形態を例示したが、シート状の中空糸膜束11の一端のみにハウジング12が接続され、他端は閉塞した形態であってもよい。
1…スペーサー、2…固定用樹脂、3…一時封止剤、4…水溶性フィルム、5…シール部、10…中空糸膜モジュール、11…中空糸膜束、12…ハウジング、12a…挿入口、13…底部、14…側面、15…集水流路、16…集水部
Claims (6)
- 集水流路を有するハウジングを備え、複数本の中空糸膜からなるシート状の中空糸膜束の少なくとも一方の端部が前記ハウジングの挿入口から前記ハウジング内に挿入され、固定用樹脂で固定された中空糸膜モジュールの製造方法であって、
前記集水流路にスペーサーを設置する設置工程と、
前記中空糸膜束の開口端面と前記スペーサーとが近接するように配置し、前記開口端面を封止する封止工程と、
前記ハウジング内に固定用樹脂を注入し硬化させて前記中空糸膜束を固定する硬化工程と、
前記スペーサーの少なくとも一部を、前記中空糸膜の内部と前記集水流路とが連通するように除去する除去工程と、を含む、中空糸膜モジュールの製造方法。 - 前記スペーサーが水溶性であり、
前記除去工程では、前記スペーサーの少なくとも一部を水系溶媒に溶解させて、前記中空糸膜の内部と前記集水流路とが連通するように除去する、請求項1に記載の中空糸膜モジュールの製造方法。 - 前記封止工程では、前記開口端面を前記スペーサーで封止する、請求項2に記載の中空糸膜モジュールの製造方法。
- 前記封止工程では、前記開口端面と前記スペーサーとの間に水溶性フィルムを介在させ、前記開口端面を前記水溶性フィルムで封止し、
前記除去工程では、前記スペーサーの少なくとも一部と前記水溶性フィルムの少なくとも一部とを、前記中空糸膜の内部と前記集水流路とが連通するように除去する、請求項1に記載の中空糸膜モジュールの製造方法。 - 前記封止工程では、前記開口端面と前記スペーサーとの間に一時封止剤を介在させ、
前記開口端面を前記一時封止剤で封止し、
前記除去工程では、前記スペーサーの少なくとも一部と前記一時封止剤の少なくとも一部とを、前記中空糸膜の内部と前記集水流路とが連通するように除去する、請求項1に記載の中空糸膜モジュールの製造方法。 - 前記スペーサーが筒状である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の中空糸膜モジュールの製造方法。
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