JP7180720B2 - 平型中空糸膜モジュール - Google Patents

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Description

本発明は、平型中空糸膜モジュールに関する。
中空糸膜モジュールは、無菌水、飲料水、高度純水の製造や、空気の浄化等の多くの用途に使用されている。近年、これらの用途に加えて、中空糸膜モジュールは、下水処理場における2次処理、3次処理や、浄化槽における固液分離、産業廃水中のSS(懸濁物質)の固液分離など処理のための高汚濁性水濾過にも用いられるようになっている。
中空糸膜モジュールは、一般に、中空糸膜の集束体の端部をハウジング内に挿入し、端部を開口した状態で、中空糸膜とハウジングとの間を樹脂で固定した構造を有する。
このような中空糸膜モジュールを用いて高汚濁性水の濾過を行う場合、散気管の上方に複数個の中空糸膜モジュールを並設した中空糸膜ユニットを濾過槽内に浸漬させ、エアースクラビング洗浄を行いながら吸引濾過を行うことで、長期間にわたって安定した濾過処理が可能になる。また、中空糸膜モジュールは、エアースクラビング洗浄による洗浄効果を向上させることを目的として、通常、中空糸膜が長さ方向に対して0.1~5%程度で弛んだ弛緩状態で濾過処理が行われる。
上記のように、中空糸膜モジュールに弛みを形成・付与する方法としては、例えば、中空糸膜束の端部が固定された各ハウジング間の距離を調整して弛みを付与する方法、もしくは、各ハウジング間に支柱を設けることで、これらハウジング間の距離を、予め、所定の距離に固定する等の方法が挙げられる。
このような中空糸膜モジュールは、例えば、以下のような方法で製造できる(特許文献1を参照)。
まず、複数本の中空糸膜を引き揃えて、その端部を容器に入れる。次いで、容器内に固定用の液状の樹脂を注入して硬化させることにより、中空糸膜の端部同士を固定用樹脂で固定し、中空糸膜集束体とする(第1の硬化工程)。次いで、容器を中空糸膜集束体から取り外し、固定用樹脂で固定された中空糸膜の端部を樹脂ごと切断することで、各中空糸膜の端部が開口した中空糸膜集束体(中空糸膜束)を得る(切断工程)。その後、中空糸膜束の開口した端部をハウジング内に挿入し、接着用の樹脂を硬化した固定用樹脂の上に流し込み、これを硬化させて中空糸膜をハウジングに固定して(第2の硬化工程)、中空糸膜モジュールを得る。
また、例えば、特許文献1に記載の構成を有する中空糸膜モジュールに支柱を設けた構成とする場合には、予め、ハウジングと支柱とを接着してなる枠体を作製し、各々の中空糸膜の端部が開口した中空糸膜束をハウジング内に固定する。この際、支柱の長さに依る所定の固定長さよりも、中空糸膜束の長さ寸法を大きくすることで、中空糸膜束全体が弛んだ弛緩状態とすることが出来る。
特開2006-061816号公報
しかしながら、特許文献1に記載された従来の中空糸膜モジュールの製造方法においては、樹脂を注入して硬化させる工程として、第1の硬化工程及び第2の硬化工程の計2回が必要となるため、工程が煩雑になるという問題がある。また、上記のような、中空糸膜モジュールに支柱を設けた構成とした場合においても、特許文献1と同様、硬化工程が計2回必要となり、工程が煩雑になるという問題があった。
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、支柱が設けられた中空糸膜モジュールを製造するにあたり、簡便な方法で中空糸膜束に弛みを形成・付与しながら、樹脂を注入して硬化させる工程を1回のみに低減でき、生産効率に優れた平型中空糸膜モジュールを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた。この結果、まず、中空糸膜束の長さ方向の両端部近傍を一対の弛緩形成治具で把持し、これら弛緩形成治具の離間距離を狭めることで中空糸膜束に弛緩を付与した後、ハウジングの挿入口から中空糸膜束の端部を挿入した後に、ハウジング内に固定用樹脂を注入して硬化させる方法を採用することで、簡便な方法で中空糸膜束に弛みを付与しながら、固定用樹脂を硬化させる工程を1回のみに低減できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、以下の態様を包含する。
[1] 集水流路を有するハウジングを備え、複数本の中空糸膜からなるシート状の中空糸膜束の各々の端部が、前記ハウジングの各挿入口から前記ハウジング内に挿入されて固定され、且つ、前記中空糸膜束における前記中空糸膜の配列方向の両側に前記中空糸膜束の長さ方向に沿って配置される一対の支柱の各々の端部が、前記ハウジングに固定されてなる平型中空糸膜モジュールの製造方法であって、一対の弛緩形成治具を前記中空糸膜束の長さ方向に離間して配置し、前記中空糸膜束を前記一対の弛緩形成治具で把持する把持工程と、前記一対の弛緩形成治具の離間距離を狭めることにより、前記中空糸膜束に弛緩を付与する弛緩工程と、前記ハウジングの挿入口に、前記中空糸膜束の端部を挿入する挿入工程と、前記ハウジング内に固定用樹脂を注入し、硬化させて前記中空糸膜束の端部を固定し、且つ、前記一対の支柱の端部を前記ハウジングに固定する固定工程と、前記一対の弛緩形成治具を取り外す除去工程と、を含む、平型中空糸膜モジュールの製造方法。
[2] 集水流路を有するハウジングを備え、複数本の中空糸膜からなるシート状の中空糸膜束の各々の端部が、前記ハウジングの各挿入口から前記ハウジング内に挿入されて固定され、且つ、前記中空糸膜束における前記中空糸膜の配列方向の両側に前記中空糸膜束の長さ方向に沿って配置される一対の支柱の各々の端部が、前記ハウジングに固定されてなる平型中空糸膜モジュールの製造方法であって、一対の弛緩形成治具を前記中空糸膜束の長さ方向に離間して配置し、前記中空糸膜束を前記一対の弛緩形成治具で把持する把持工程と、前記一対の弛緩形成治具の離間距離を狭めることにより、前記中空糸膜束に弛緩を付与する弛緩工程と、前記ハウジングの挿入口に、前記中空糸膜束の端部を挿入する挿入工程と、前記ハウジング、前記中空糸膜束及び前記一対の支柱を、平面視略矩形状とされた保持枠体の枠内に組み付ける保持工程と、前記保持枠体に前記一対の弛緩形成治具を連結固定する連結工程と、前記ハウジング内に固定用樹脂を注入し、硬化させて前記中空糸膜束の端部を固定し、且つ、前記一対の支柱の端部を前記ハウジングに固定する固定工程と、前記保持枠体及び前記一対の弛緩形成治具を取り外す除去工程と、を含む、平型中空糸膜モジュールの製造方法。
[3] 前記弛緩形成治具は、前記中空糸膜束を把持する把持部に、SRIS 0101(日本ゴム協会規格)に準拠したアスカーC型硬度計を用いたスポンジ硬度が3~20度の弾性部材が設けられている、上記[1]又は[2]に記載の平型中空糸膜モジュールの製造方法。
[4] 前記弛緩形成治具は、前記弾性部材の厚みが2mm以上である、上記[1]~[3]の何れか一項に記載の平型中空糸膜モジュールの製造方法。
[5] 前記平型中空糸膜モジュールの全幅Wと、前記中空糸膜の配列方向における前記平型中空糸膜モジュールの全長Lとの比率(L/W)が10~60倍の範囲である、上記[1]~[4]の何れか一項に記載の平型中空糸膜モジュールの製造方法。
[6] 前記平型中空糸膜モジュールの全幅Wと、前記中空糸膜の配列方向における前記平型中空糸膜モジュールの全長Lとの比率(L/W)が20~50倍の範囲である、上記[1]~[4]の何れか一項に記載の平型中空糸膜モジュールの製造方法。
[7] 前記中空糸膜の配列方向における前記平型中空糸膜モジュールの全長Lが300~1500mmの範囲である、上記[1]~[6]の何れか一項に記載の平型中空糸膜モジュールの製造方法。
[8] 前記中空糸膜の配列方向における前記平型中空糸膜モジュールの全長Lが500~1250mmの範囲である、上記[1]~[6]の何れか一項に記載の平型中空糸膜モジュールの製造方法。
[9] 前記弛緩形成治具の把持部による、前記平型中空糸膜モジュールの把持面積当たりの中空糸膜束重量が、50g/cm以下である、上記[1]~[8]の何れか一項に記載の平型中空糸膜モジュールの製造方法。
[10] 上記[1]~[9]の何れか一項に記載の平型中空糸膜モジュールの製造方法において用いられ、中空糸膜束を固定用樹脂によってハウジングに固定するまでの間、前記中空糸膜束を把持して支持する平型中空糸膜モジュール製造用把持具であって、互いに近接することで前記中空糸膜束を挟み込むように把持する第1部材及び第2部材と、前記第1部材と前記第2部材との離間距離が前記中空糸膜束の厚みよりも小さくなるように、前記第1部材と第2部材との間を近接させることが可能な狭持手段と、を含む、平型中空糸膜モジュール製造用把持具。
[11] 集水流路を有するハウジングが中空糸膜の長手方向の両側にそれぞれ備えられ、複数本の前記中空糸膜からなるシート状の中空糸膜束の両端部が、それぞれ、各々の前記ハウジングの挿入口から挿入されて固定用樹脂を介して前記ハウジング内に固定され、且つ、前記中空糸膜束における前記中空糸膜の配列方向の両側に、前記中空糸膜束に沿って配置される一対の支柱の両端部が、それぞれ、前記ハウジングの各々に固定されてなる平型中空糸膜モジュールであって、前記一対の支柱の両端部は、それぞれ、各々の前記ハウジングの挿入口から挿入されて固定用樹脂を介して前記ハウジング内に固定され、前記中空糸膜束は、前記中空糸膜の長手方向の両側に配置された前記ハウジングの各々の間で弛緩した状態で固定されており、前記ハウジングを、前記挿入口から該ハウジング内の集水流路側に向かって30mmの位置で切断したときの横断面において、前記中空糸膜束と前記ハウジングとの間に一種の前記固定用樹脂が界面なく液密に充填されている、平型中空糸膜モジュール。
本発明に係る平型中空糸膜モジュールによれば、中空糸膜束に弛緩を付与する工程の後、ハウジング内に中空糸膜束の端部を挿入し、その後、ハウジング内に固定用樹脂を注入して硬化させる方法を採用することで、簡便な方法で中空糸膜束に弛みを付与しながら、固定用樹脂を注入して硬化させる工程を1回のみに低減できる。従って、取扱性に優れる平型中空糸膜モジュールを優れた生産効率で製造することが可能になる。
本発明に係る製造方法で得られる平型中空糸膜モジュールの一例を模式的に説明する図であり、(a)は全体斜視図、(b),(c)は要部拡大断面図である。 本発明に係る平型中空糸膜モジュールの製造方法の第1の実施形態を模式的に説明する図であり、シート状の中空糸膜束を底上げして位置決めするのに用いられる底上げ治具を示す図で、(a)は平面図、(b)は側面図である。 本発明に係る平型中空糸膜モジュールの製造方法の第1の実施形態を模式的に説明する図であり、底上げ治具の隙間に一対の弛緩形成治具を構成する第1部材を配置した状態を示す図で、(a)は平面図、(b)は側面図である。 本発明に係る平型中空糸膜モジュールの製造方法の第1の実施形態を模式的に説明する図であり、底上げ治具及び一対の弛緩形成治具の第1部材の上にシート状の中空糸膜束及び一対の支柱を配置した状態を示す図で、(a)は平面図、(b)は側面図である。 本発明に係る平型中空糸膜モジュールの製造方法の第1の実施形態を模式的に説明する図であり、シート状の中空糸膜束の長さ方向の両端部近傍に一対の弛緩形成治具を構成する第2部材を配置し、第1部材と第2部材とで中空糸膜束を把持する把持工程を示す図で、(a)は平面図、(b)は側面側から見た部分破断概略図である。 本発明に係る平型中空糸膜モジュールの製造方法の第1の実施形態を模式的に説明する図であり、一対の弛緩形成治具の離間距離を狭めることで中空糸膜束に弛緩を形成・付与する弛緩工程を示す図で、(a)は平面図、(b)は側面側からみた部分破断概略図である。 本発明に係る平型中空糸膜モジュールの製造方法の第1の実施形態を模式的に説明する図であり、弛緩が付与された中空糸膜束の両端部及び一対の支柱の両端部をハウジングの挿入口に挿入する挿入工程を示す図で、(a)は平面図、(b)は側面側から見た部分破断概略図である。 本発明に係る平型中空糸膜モジュールの製造方法の第1の実施形態を模式的に説明する図であり、略水平状態に維持されたハウジング、中空糸膜束及び一対の支柱を、保持枠体の枠内に組み付ける保持工程の後、これを直立状態とした状態を示す図で、(a)は平面図、(b)は側面図である。 本発明に係る平型中空糸膜モジュールの製造方法の第1の実施形態を模式的に説明する図であり、一対の弛緩形成治具を詳細に示す図で、(a),(b)は把持部に弾性部材が用いられた第1部材、(c),(d)は第2部材を示す概略図である。
以下、本発明に係る平型中空糸膜モジュールについて、第1及び第2の実施形態を挙げ、図1~図9を適宜参照しながら詳述する。なお、以下の説明で用いる各図面は、その特徴をわかりやすくするために、便宜上、特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率等は実際とは異なる場合がある。また、以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
<平型中空糸膜モジュール>
図1は、本発明に係る製造方法で得られる平型中空糸膜モジュールの一例を模式的に説明する図であり、(a)は全体斜視図、(b)は中空糸膜束が固定されるハウジング及びその近傍の垂直断面を示す要部拡大断面図、(c)は支柱が固定されるハウジング及びその近傍の垂直断面を示す要部拡大断面図である。
図1(a),(b),(c)に例示する平型中空糸膜モジュール1は、複数本の中空糸膜がシート状に束ねられたシート状の中空糸膜束11と、この中空糸膜束11の両端部(長さ方向の端部)及び一対の支柱17,17の両端部(長さ方向の端部)を、固定用樹脂2を介して固定する、2つのハウジング12とを有して概略構成されている。また、平型中空糸膜モジュール1は、図示例のように、シート状の中空糸膜束11が若干の弛み(弛緩)を有するように構成されている。
より具体的には、平型中空糸膜モジュール1は、集水流路15を有するハウジング12,12が中空糸膜の長手方向の両側にそれぞれ備えられ、複数本の中空糸膜からなるシート状の中空糸膜束11の両端部11A,11Aが、それぞれハウジング12,12の各々の挿入口12aから挿入され、固定用樹脂2を介してハウジング12,12内に固定されている。また、平型中空糸膜モジュール1は、中空糸膜束11における中空糸膜の配列方向の両側に中空糸膜束11に沿って配置される一対の支柱17,17の両端部17a,17aが、それぞれハウジング12の各々に固定されて構成される。
そして、本実施形態の平型中空糸膜モジュール1は、一対の支柱17,17の両端部17a,17aが、それぞれ、ハウジング12,12の各々の挿入口12aから挿入されて、固定用樹脂2を介してハウジング12,12内に埋没するように固定されている。また、中空糸膜束11は、中空糸膜の長手方向の両側に配置されたハウジング12,12の各々の間で弛緩した状態で固定されている。さらに、平型中空糸膜モジュール1は、ハウジング12を、挿入口12aからハウジング12内の集水流路15側に向かって30mmの位置で切断したときの横断面において、中空糸膜束11とハウジング12との間に一種の固定用樹脂2が界面なく液密に充填されて構成される。
なお、本明細書における「界面なく」という状態は、一種の固定用樹脂が、一回の樹脂注入で成形された際の状態のことをいう。これに対し、「界面がある」という状態は、少なくとも一種の固定用樹脂が、二回以上の樹脂注入で成形された際の状態を言う。
ここで、「一回の樹脂注入」とは、注入した樹脂が200,000mPa・sに到達するまでの樹脂注入のことをいう。
[中空糸膜束]
中空糸膜束11は、複数本の中空糸膜を束状としたものであり、少なくとも一方の端部が開口した状態とされている。本発明において用いられる中空糸膜の分画レベルは、精密ろ過膜(MF)、限外濾過膜(UF)又はナノろ過膜(NF)等の何れのレベルであってもよい。また、中空糸膜束は、濾過膜として使用可能なものであれば、孔径、空孔率、膜厚、外径等には特に制限はなく、濾過対象物に応じて適宜選択される。さらに、中空糸膜束としては、有機物やウイルスの除去を目的とする場合には、分画分子量数万から数十万の限外濾過膜を用いる場合もある。
本発明において用いられる中空糸膜は、例えば、セルロース系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリスルフォン系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、塩素系樹脂、又はフッ素系樹脂等の、分離膜としての形状に成形可能なものであれば、如何なる材料も用いることができる。このような材料としては、具体的には、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリ四フッ化エチレン、又はポリスルフォン等が挙げられる。
中空糸膜の表面特性として、耐薬品性の強い樹脂を用いることが好適であり、具体的にはフッ素系樹脂を用いることが好ましい。フッ素系樹脂の中でも、中空糸膜への賦形性や耐薬品性等の観点から、フッ化ビニリデリン樹脂を用いることがより好ましい。ここで、フッ化ビニリデリン樹脂としては、フッ化ビニリデリンのホモポリマーの他、フッ化ビニリデリンと、これと共重合可能な単量体との共重合体等が挙げられる。このような、共重合可能な単量体としては、例えば、フッ化ビニル、四フッ化エチレン、三フッ化エチレン、又はヘキサフルオロプロピレン等が挙げられる。
中空糸膜は複数の細孔を有する。この細孔は、中空糸膜の表面及び裏面を貫通する連続孔であることが好ましい。細孔の孔径は、目的によって任意に選択できるが、例えば、0.01~5μmが好ましく、0.1~1μmがより好適な範囲である。
また、中空糸膜は、二層構造であることが好ましい。さらに、中空糸膜は、一方の層表面の孔径が小さく、他方の層表面の孔径が大きな非対称構造であることがより好ましい。中空糸膜が非対称構造の場合、一方の層表面の孔径が、他方の層表面の孔径の1倍超100倍以下であることが好ましく、より好ましくは2倍以上10倍以下である。
中空糸膜の外径は、例えば、0.1~5mmが好ましく、0.5~3mmがより好適な範囲である。
また、中空糸膜は、純水に対する透液性能を示す純水透過係数が、1~250m/m/hr/MPaであることが好ましく、10~150m/m/hr/MPaであることがより好ましい。なお、純水透過係数は、下記(1)式みよって求めることができる。
純水透過係数=[純水透過量(m)]/[多孔質膜の表面積(m)]/[透過時間(時)]/[純水の圧力(MPa)] ・・・・・(1)
中空糸膜束の形態としては、例えば、1列に引き揃えたシート状中空糸膜の少なくとも片側端部を接着剤等で固定したものを、数枚程度で積層したものが挙げられる。また、中空糸膜束としては、例えば、中空糸膜を緯糸として編地としたものを数枚積層したものも挙げられる。このような編地の製造方法は、例えば、特開昭62-57965号、特開平1-266258号各公報等に開示されている。さらに、空糸膜束として、複数本の中空糸膜を束ねてバンドル状としたものを採用しても構わない。
中空糸膜束11における中空糸膜の配列方向は、特に限定されるものではないが、中空糸膜が、被処理液の流れ方向に対して概ね平行に配列されることが好ましい。このような場合、例えば、被処理液が多くの夾雑物を含んでいるような高汚濁液であるケースにおいて、夾雑物が多数の中空糸膜間を通過する際、流れ方向と直行するような中空糸膜等の障害物がないことから、夾雑物の中空糸膜への堆積や絞絡を軽減する効果が得られる。
さらに、中空糸膜の配列方向は、中空糸膜の長さ方向が縦方向、即ち上下方向であることが好ましい。このような場合、例えば、夾雑物の洗浄に多用されるエアバブリング洗浄時において発生する被処理液の上昇流方向と、中空糸膜の延在方向とを、概ね平行とすることができるので、上述した夾雑物の堆積を防止する効果との相乗効果が得られる。
[ハウジング]
図1(a),(b),(c)に示すように、ハウジング12は、平型中空糸膜モジュール1の全体を支持するとともに、中空糸膜束11で濾過処理された処理水を集水するためのものであり、図示例においては、中空糸膜束11の長さ方向両端部に一対で設けられている。図示例のハウジング12は管状であり、図1(b),(c)に示すように、シート状の中空糸膜束11及び一対の支柱17,17が挿入されるスリット状の挿入口12aが長手方向に沿って形成され、長手方向に対して垂直方向の断面(以下、垂直断面という。)がU字形とされている。
中空糸膜束11は、ハウジング12の底部13側に向けて挿入口12aから挿入され、その開口端面11aは、ハウジング12内で開口した状態で、固定用樹脂2により固定される。具体的には、ハウジング12の底部13と、中空糸膜束11の開口端面11aと、固定用樹脂2とで囲まれるように、ハウジング12の長手方向に形成された中空部分が、処理水が集水される集水流路15とされ、中空糸膜束11の開口端面11aは、集水流路15内で開口している。また、図1(a)に示す例のハウジング12には、集水流路15に集水された処理水を回収するための集水口16が、ハウジング側面14の一部に形成されている。
なお、図示例における中空糸膜束11の開口端面11aは、固定用樹脂2の集水流路15側の面と同一面になるように配置されているが、集水流路15内に向けて固定用樹脂2よりも突出するように配置されることが、集水効率等の観点から好ましい。
ハウジング12の材質としては、特に限定されないが、機械的強度及び耐久性を有するものであればよく、例えば、ポリカーボネート、ポリスルフォン、ポリオレフィン、PVC(ポリ塩化ビニル)、アクリル樹脂、ABS樹脂、又は変成PPE(ポリフェニレンエーテル)等を用いることができる。また、使用後の中空糸膜モジュールの焼却処理が必要な場合には、燃焼時に有毒ガスを発生させることなく、完全燃焼させることが可能な、ポリオレフィン等の炭化水素系樹脂が好ましい。
[支柱(一対の支柱)]
図1(a)及び図1(c)に示すように、一対の支柱17,17は、一対で設けられるハウジング12,12の両端部同士を接続する棒状(管状)部材であり、この支柱17,17によって、一対のハウジング12,12間に一定の間隔が保持されるとともに、平型中空糸膜モジュール1全体の形状が保持される。これにより、シート状の中空糸膜束11の面形態が維持され、全体として平型の中空糸膜モジュールが構成される。このように、平型中空糸膜モジュール1に一対の支柱17,17が備えられることで、この平型中空糸膜モジュール1の製造、輸送・保管、並びに中空糸膜ユニットへの組み付け/取り外し等の際の取扱性が向上する。また、このような構成により、中空糸膜ユニットの構造を簡略化することも可能となる。
一対の支柱17,17の材質や形状は、特に限定されず、平型中空糸膜モジュール1の機械的強度や機械的耐久性、及び化学的耐久性を勘案しながら、金属材料又は樹脂材料を問わず、適宜選択することができる。
上記に鑑み、一対の支柱17,17の材質に金属材料を用いる場合には、耐腐食性の観点から、例えば、ステンレス材を使用するのが好ましい。また、一対の支柱17,17に樹脂材料を用いる場合には、例えば、ポリカーボネート、ポリスルフォン、ポリオレフィン、PVC(ポリ塩化ビニル)、アクリル樹脂、ABS樹脂、又は変成PPE(ポリフェニレンエーテル)等を用いることができる。
また、一対の支柱17,17の形状としては、横断面形状が円形であっても矩形状であってもよく、また、棒状であっても、管状(パイプ状)であってもよい。
ここで、一対の支柱17,17に管状部材を用いた場合には、図1(c)に例示するように、ハウジング12内の集水流路15と連通させた構成とすることで、一対で設けられたハウジング12,12間の導水管としての機能を持たせることも可能である。
[固定用樹脂]
中空糸膜束11及び一対の支柱17,17をハウジング12,12に固定するための固定用樹脂2としては、例えば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、又はポリウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂が好適に使用される。
固定用樹脂2を充填する際の該固定用樹脂2の粘度、即ち、初期粘度としては、特に中空糸膜間の隙間を埋める観点からはできるだけ小さい方が好ましい。一方、初期粘度が小さすぎると、各中空糸膜の中空部が固定用樹脂で閉塞されやすくなる。これらの観点から、固定用樹脂2の初期粘度は、好ましくは100mPa・s以上、より好ましくは200mPa・s以上、さらに好ましくは250mPa・s以上であり、また、好ましくは5000mPa・s以下、より好ましくは3000mPa・s以下、さらに好ましくは1000mPa・s以下である。
また、本発明に係る平型中空糸膜モジュール1においては、硬化後の固定用樹脂2の硬度が、JIS K6253に準拠したタイプAデュロメータを用いて測定される、10秒後のショアA硬度で80~99度の範囲であることが好ましい。
このように、固定用樹脂2の硬化後の硬度を比較的高めに設定することにより、この固定用樹脂2及び該固定用樹脂2が嵌め込まれたハウジング12の剛性を確保して、耐圧性を高めることができる。特に、10秒後のショアA硬度が80度以上であれば、より少ない樹脂量で十分な耐圧性を確保することができるので、固定用樹脂2の使用量を減じて、平型中空糸膜モジュール1のコストを低減することが可能となる。一方、10秒後のショアA硬度が99度以下であれば、固定用樹脂2が割れるのを抑制することができる。
上述したように、本実施形態の平型中空糸膜モジュール1は、ハウジング12を、挿入口12aからハウジング12内の集水流路15側に向かって30mmの位置で切断したときの横断面において、中空糸膜束11とハウジング12との間に一種の固定用樹脂2が界面なく液密に充填されている。このような、一種の固定用樹脂2が界面なく液密に充填された構成は、例えば、ハウジング12内に固定用樹脂2を充填する際に、1回の工程のみで固定用樹脂2を注入し、中空糸膜束11とハウジング12との間に一種の固定用樹脂2が充填されることで得られる。これにより、本実施形態の平型中空糸膜モジュールは、中空糸膜束11がハウジング12内において強固に固定された状態となる。
また、中空糸膜束11を固定する固定用樹脂と、一対の支柱17,17を固定する固定用樹脂とを、それぞれ異なる樹脂から構成してもよい。
[平型中空糸膜モジュールの寸法]
本発明に係る平型中空糸膜モジュールの製造方法によって得られる平型中空糸膜モジュール1は、図1(a)中に示した全幅Wと全長Lとの比率(L/W)が10~60倍の範囲であることが好ましく、20~50倍の範囲であることがより好ましい。平型中空糸膜モジュール1の全幅Wと、中空糸膜の配列方向における中空糸膜モジュール1の全長Lとの比率(L/W)が上記範囲となるように設定することにより、中空糸膜モジュールとしての所定の寸法・形状が維持され、優れた濾過性能が得られるとともに、取扱性にも優れたものとなる。
また、本実施形態の製造方法で得られる平型中空糸膜モジュール1は、図1(a)中に示した中空糸膜の配列方向における全長Lが300~1500mmの範囲であることが好ましく、500~1250mmの範囲であることがより好ましい。中空糸膜の配列方向における平型中空糸膜モジュール1の全長Lを上記範囲に設定することにより、上記同様、所定の寸法・形状が維持され、濾過性能及び取扱性に優れたものとなる。
[中空糸膜束の弛緩率]
本発明に係る平型中空糸膜モジュール1においては、中空糸膜束11及び一対の支柱17,17をハウジング12,12に固定した状態での中空糸膜束11の弛緩率は、下記(1)式で定義される。
弛緩率(%)={(中空糸膜束の長さ)-(各ハウジング間の距離)}/{各ハウジング間の距離} ・・・・・(1)
上記(1)式で表される中空糸膜束11の弛緩率は、0.1~5%が好ましく、0.3~3%がより好ましく、0.5~1.5%がより好ましい。中空糸膜束11の弛緩率が上記の下限よりも小さいと、糸が揺れにくく、エアレーションによる物理洗浄性が低下するおそれがある。一方、中空糸膜束11の弛緩率が上記の上限を超えると、糸の絡み合いが生じて揺れにくくなり、上記同様、エアレーションによる物理洗浄性が低下する。
<平型中空糸膜モジュールの製造方法(平型中空糸膜モジュール製造用把持具)>
[第1の実施形態]
本実施形態の平型中空糸膜モジュールの製造方法は、図1(a)~(c)に例示したような平型中空糸膜モジュール1を製造する方法である。即ち、本実施形態の製造方法は、集水流路15を有するハウジング12を備え、複数本の中空糸膜からなるシート状の中空糸膜束11の各々の端部11Aが、ハウジング12の各挿入口12aからハウジング12内に挿入されて固定され、且つ、中空糸膜束11における中空糸膜の配列方向の両側に中空糸膜束11の長さ方向に沿って配置される一対の支柱17,17の各々の端部17aが、ハウジング12に固定されてなる平型中空糸膜モジュール1を製造する方法である。
そして、本実施形態の製造方法は、少なくとも、以下の(1)~(5)に示す各工程を含む方法である。
(1)一対の弛緩形成治具(平型中空糸膜モジュール製造用把持具)20,20を中空糸膜束11の長さ方向に離間して配置し、中空糸膜束11を一対の弛緩形成治具20,20で把持する把持工程。
(2)一対の弛緩形成治具20,20の離間距離を狭めることにより、中空糸膜束11に弛緩を付与する弛緩工程。
(3)ハウジング12の挿入口12aに、中空糸膜束11の端部11Aを挿入する挿入工程。
(4)ハウジング12内に固定用樹脂2を注入し、硬化させて中空糸膜束11の端部11Aを固定し、且つ、一対の支柱17,17の端部17aをハウジング12に固定する固定工程。
(5)一対の弛緩形成治具20,20を取り外す除去工程。
以下、上記の各工程について、各々対応する図面を参照しながら説明する。
(1)把持工程
把持工程においては、上記のように、一対の弛緩形成治具20,20を中空糸膜束11の長さ方向に離間して配置し、中空糸膜束11を一対の弛緩形成治具20,20で把持する。
本実施形態の製造方法においては、把持工程に先立ち、まず、作業台の上に、図2(a),(b)等に示すような底上げ治具40を載置する。
底上げ治具40は、詳細を後述する一対の弛緩形成治具20,20を配置する隙間部41が長尺で溝状に形成され、図示例においては、この部分が貫通した形状で2箇所に形成されている(図3(a),(b)も参照)。本実施形態で用いられる底上げ治具40は、平型中空糸膜モジュール1の各構成部品の相対位置関係が、平型中空糸膜モジュール1の完成品を平置きした場合の相対位置関係と概略同様となるように構成される。
また、図示例の底上げ治具40は、後述の挿入工程におけるハウジング12の設置を考慮し、図2(a),(b)中の幅方向で、隙間部41よりも外側に配置された部分が、中央に配置された部分に比べて低い高さとされている。
さらに、図示例の底上げ治具40は、溝状の隙間部41は、後述の弛緩工程において中空糸膜束11に弛緩を付与することができるように、一対の弛緩形成治具20,20の内、図3(a),(b)中の幅方向で右側に配置される弛緩形成治具20を中空糸膜束11の長さ方向でスライド移動させることが可能な形状・寸法とされている(図6(a),(b)も参照)。
底上げ治具40の材質は特に限定されないが、例えば、ポリスチレン等の発泡樹脂から構成することができる。
本実施形態で用いられる一対の弛緩形成治具(平型中空糸膜モジュール製造用把持具)20,20は、図9(a)~(d)に示すように、互いに組み合わせて用いられる第1部材21と第2部材22とから構成される。弛緩形成治具20は、後述の固定工程において、中空糸膜束11を固定用樹脂2でハウジング12に固定するまでの間、中空糸膜束11に所望の弛緩状態を付与しながら保持するものである。図示例の弛緩形成治具20は、第1部材21と第2部材22とが互いに近接することで中空糸膜束11を挟み込むように把持するものであり、第1部材21と第2部材22との離間距離が中空糸膜束11の厚みよりも小さくなるように、第1部材21と第2部材22との間を近接させることが可能なボルト(狭持手段)26を含んで構成される。
第1部材21は、図9(a),(b)に示すように、基材23、スペーサー24、及び弾性部材(把持部)25からなる。また、第1部材21は、図3(a),(b)及び図4(a),(b)に示すように、中空糸膜束11の両端部11A,11A近傍を把持するにあたり、予め、底上げ時部40における隙間部41に予め配置して用いられる。
基材23は、断面略コの字状の長尺部材であり、第1部材21のベースとなる部材である。また、基材23には、スペーサー24をボルト26で固定するためのボルト挿通孔23bが設けられている。
基材23の材質は、特に限定されないが、第1部材21と第2部材22とを連結固定した際、即ち、弛緩形成治具20で中空糸膜束11を把持した際に、この中空糸膜束11の反力で弛緩形成治具20に反りが生じるのを抑制するとともに、中空糸膜束11の重量を支えるのに十分な機械的強度を有する材料を適宜選定する必要がある。このような機械的強度を有する、基材23に用いる材料としては、例えば、ステンレス材等を挙げることができる。
スペーサー24は、断面略コの字状とされた基材23の上面23a側に設けられる部材であり、第1部材21と第2部材22とを組み合わせて固定する際、一定以上の間隔を確保するためのストッパーとして機能する。これにより、弛緩形成治具20で中空糸膜束11を把持する際に、この中空糸膜束11が傷つくのを防止できる。また、スペーサー24には、このスペーサー24を基材23に固定するとともに、さらに、第2部材22とボルト26で共締めするためのボルト挿通孔24aが設けられている。
スペーサー24の材質も、特に限定されないが、例えば、ポリアセタール樹脂等、加工性に優れ、且つ、機械的強度にも優れる樹脂材料を用いることができる。
弾性部材25は、表面に凹凸を有する中空糸膜束11を把持するときに、凹凸になじむように均一的に面圧を付与する機能を有する。仮に、弛緩形成治具に弾性部材を設けることなく中空糸膜束を把持した場合には、中空糸膜が破損したり、把持力を弱めた場合に膜束が位置ずれしたりする可能性がある。
弾性部材25の材質や厚み、硬度は、特に限定されるものではないが、被把持物である中空糸膜束11の幅や厚みの寸法、及び重量等に応じて適宜選択することができる。
弾性部材25の材質としては、撓み量の変化の度合いが大きい点から、弾性体であるが好ましい。この弾性体としては、例えば、各種ゴム(ウレタンゴム、シリコンゴム、フッ素ゴム、天然ゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロプレンゴム等)、各種ゴム製のスポンジ、軟質ポリウレタン、軟質ポリ塩化ビニル、又は発泡体(ポリエチレン、ポリスチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体等)等が挙げられ、各種のゴム材料やスポンジ材料から選定される。
弾性部材25の硬度は、SRIS 0101(日本ゴム協会規格)に準拠したアスカーC型硬度計を用いたスポンジ硬度で、1~30度が好ましく、3~20度がより好ましく、5~10度が最も好ましい。弾性部材25の硬度がこの範囲であれば、中空糸膜束11を傷付けることなく、且つ、確実に把持することが可能になる。
弾性部材25の厚みは、中空糸膜束11を把持することを考慮し、2mm以上とすることが好ましく、2~30mmがより好ましく、3~20mmがさらに好ましく、5~10mmが最も好ましい。弾性部材25の厚みが上記範囲であれば、中空糸膜束を傷付けることなく、且つ、確実に把持することが可能になる。
なお、本発明に係る製造方法において、弛緩形成治具20によって把持する中空糸膜束11が極めて軽量である場合には、上記の弾性部材25を省略することも可能である。
第2部材22は、図9(c),(d)に示すように、第1部材21の基材23と同様、断面略コの字状の長尺部材であり、下面22aが、第1部材21の弾性部材25との間で中空糸膜束11を挟み込んで把持する。また、第2部材22には、第1部材21と組み合わせてボルト25で固定するためのボルト挿通孔22bが設けられている。
第2部材22の材質としては、第1部材21の基材23と同様、反りが生じるのを抑制するとともに、中空糸膜束11の重量を支えるのに十分な機械的強度を有することが求められることから、ステンレス材等を用いることが好ましい。
ここで、第1部材21の基材23の長さ方向両端、及び、第2部材22の長さ方向両端は、それぞれ、連結部23A及び連結部22Aとされ、図6(a)等に示すように、弛緩形成治具20で中空糸膜束11を把持した状態で支柱17に取り付ける際に、この位置を、例えば、万力等で固定する。
さらに、第1部材21又は第2部材22の少なくとも一方には、弛緩形成治具20を、後述の第2実施形態で説明する保持枠体30(図8(a),(b)参照)に連結固定するための、図示略のボルト挿通孔等からなる連結部が設けられる。ここで、連結部を第1部材21に設ける場合には、その位置を基材23の長さ方向両端近傍とし、第2部材22に設ける場合には、その位置を該第2部材22の長さ方向両端近傍とすればよい。
そして、本実施形態の把持工程においては、上記のような底上げ治具40を準備した後、図3(a),(b)に示すように、まず、2箇所の離間した隙間部41に、一対の弛緩形成治具20,20を構成する第1部材21,21を離間してセットする。
次いで、図4(a),(b)に示すように、所定数量の中空糸膜束11及び一対の支柱17,17を、底上げ治具40及び第1部材21上の所定の位置にセットする。この際、底上げ治具40の表面に、予め、所望の寸法値に基づく罫書線42を入れておくことで、中空糸膜束11の全長に応じてセット位置を調整することができる。
このように、中空糸膜束11のセット位置を予め罫書線で示しておく場合には、例えば、底上げ治具40の上に中空糸膜束11を略水平に載置し、底上げ治具40の上面40aに、中空糸膜束11の弛緩を有さない状態での全体長さ、及び、弛緩の形成を考慮した長さに応じて、各種の位置決め線42を罫書く。
次いで、図5(a),(b)に示すように、第1部材21,21との間で中空糸膜束11を挟み込むように第2部材22,22をセットし、基材23のボルト挿通孔23b、スペーサー24のボルト挿通孔24a、及び第2部材22のボルト挿通孔22bをボルト26で共締めすることにより、中空糸膜束11を把持した状態とする。図示例では、スペーサー24が第1部材21上の計4箇所に設けられており、これら4箇所の各位置でボルト26による共締めがなされる。
この際の中空糸膜束11の把持位置は、図示例のように、中空糸膜束11の長さ方向の両端部11A近傍における若干中心部寄りの位置とすればよい。また、把持工程においては、中空糸膜束11に対して弛緩を形成・付与することなく、且つ、大きすぎる張力も付与することなく把持する。また、把持工程においては、スペーサー24が中空糸膜束11に当接しないよう、留意することが好ましい。
その後、把持工程においては、一対の弛緩形成治具20,20の内の一方、図5(a),(b)に示す例では、図中における幅方向右側の弛緩形成治具22に設けられた連結部23A又は連結部22Aの少なくとも何れかを、一対の支柱17,17に対して万力等を用いて固定する。
なお、本実施形態の把持工程において、弛緩形成治具20で把持される位置における中空糸膜束11の厚みは、特に限定されるものではないが、中空糸膜束11を傷付けることなく、且つ、確実に把持する観点から、概ね15mm程度となるように調整すればよい。
また、一対の弛緩形成治具20,20の把持部、即ち、弾性部材25による平型中空糸膜モジュール1の把持面積当たりの中空糸膜束重量は、50g/cm以下であることが好ましく、50g/cmであることがより好ましい。平型中空糸膜モジュール1の把持面積当たりの中空糸膜束重量が上記以下であれば、中空糸膜束を傷付けることなく、且つ、確実に把持することが可能になる。
(2)弛緩工程
次に、弛緩工程においては、上記の把持工程において中空糸膜束11の両端部11A近傍を把持した一対の弛緩形成治具20,20の何れか一方を移動させて離間距離を狭めることにより、中空糸膜束11に弛緩を形成・付与する。
具体的には、一対の弛緩形成治具20,20のうちの一方、図6(a),(b)に示す例では、図中の幅方向右側に配置された弛緩形成治具20を、底上げ治具40の隙間部41内において、中空糸膜束11の長さ方向に沿った方向(図6(b)中に示す矢印Rを参照)で若干移動させ、離間距離を狭める。これにより、中空糸膜束11に若干の弛み(弛緩)を形成・付与する。
その後、弛緩工程においては、一対の弛緩形成治具20,20の内の他方、即ち、図6(a),(b)中における幅方向左側の弛緩形成治具20に設けられた連結部23A又は連結部22Aの少なくとも何れかを、一対の支柱17,17に対して万力等を用いて固定する。
本実施形態では、弛緩工程においても、予め底上げ治具40の上面40aに罫書いた位置決め線42に基づき、一対の弛緩形成治具20,20の離間距離を適宜決定することができる。
(3)挿入工程
次に、挿入工程においては、弛緩工程で弛緩が付与された中空糸膜束11の端部11A,11Aを、一対で設けられたハウジング12,12の挿入口12a,12aから、それぞれ挿入する。
具体的には、図7(a),(b)に示すように、各々のハウジング12の挿入口12aから、中空糸膜束11の各々の端部11Aを所定の位置まで挿入する。また、本実施形態で説明する例では、一対の支柱17,17の各々の端部17a,17aについても、一対で設けられたハウジング12,12の挿入口12a,12aから、それぞれ所定の位置まで挿入する。この際、各々の支柱17の端部17aを、ハウジング12内の所定の位置に、接着剤かねじを用いて接合するか、あるいは嵌合によって接合することができる。
ここで、必要に応じて支柱17に管状のものを採用し、ハウジング12内の集水流路15と連通させる場合には、支柱17を集水流路15の取付部15aに連結固定する(図1(c)を参照)。支柱17と取付部15aとの連結固定は、上記のような接着かねじ止め、嵌合(固定用樹脂2が漏れない程度の液密シール)等の方法で行う。また、支柱17と取付部15aとの連結部は、後述の固定工程において固定用樹脂2に埋設されることが、機械的強度がより向上する観点から好ましい。この場合、支柱17における固定用樹脂2に埋設される部分の少なくとも一部の表面に、例えば、ねじ状又はシボ状等の凹凸形状が形成されていることが、接着強度が向上する観点からより好ましい。さらに、支柱17における固定用樹脂2に埋設される部分に、例えば、ブラスト加工、フレーム処理、又はプラズマ処理等の表面処理が施されていることが、接着強度がさらに向上する観点から最も好ましい。
なお、多数の中空糸膜が束ねられた中空糸膜束11をハウジング12の挿入口12aに挿入する際の作業性を向上させるため、例えば、ビニールシート等を中空糸膜束11とハウジング12との間に介在させた状態で挿入工程を行ってもよい。そして、挿入工程が終了した後に、このビニールシートを除去すればよい。
また、本実施形態においては、挿入工程を弛緩工程の後に行う例を説明しているが、これには限定されず、弛緩工程の前に挿入工程を行うことも可能である。しかしながら、中空糸膜束11に位置ずれが生じにくく、また、弛緩形成時に中空糸膜束11をハウジング12内で動かす必要が無いという観点から、挿入工程を弛緩工程の後に行うことが好ましい。
(4)固定工程
次に、固定工程においては、挿入工程で中空糸膜束11の端部11Aが挿入されたハウジング12内に固定用樹脂2を注入し、硬化させて中空糸膜束11の端部11Aを固定し、且つ、一対の支柱17,17の端部17aをハウジング12に固定する(図1(a)~(c)を参照)。本実施形態で説明する例では、挿入工程でハウジング12内に挿入された一対の支柱17,17の端部17aも、中空糸膜束11と同様に固定用樹脂2で固定する。
具体的には、まず、ハウジング12内の底部13上に、水溶性樹脂等からなる図示略の保持スペーサーを設置する。この保持スペーサーは、固定用樹脂2が硬化した後に、中空糸膜11の内部、集水流路15及び集水口16を連通させるために配置されるもので、水溶性、即ち、水系溶媒(例えば、水、エタノール、イソプロパノール及びこれらの混合溶媒等)に溶解するか懸濁する性質を有する物質からなる。また、保持スペーサーとしては、集水流路15の大きさに合わせて成形されたものを使用すればよく、例えば、筒状の薄肉ブロー成形品であることが、固定用樹脂2が硬化した後の除去の容易性の観点から好ましい。
上記のような水溶性樹脂としては、例えば、水溶性高分子が挙げられ、具体的には、グアーガム、ローカストビーンガム、クインシードガム、カラギーナン、ペクチン、マンナン、デンプン、寒天等の植物系多糖類;ザンサンガム、サクシノグリカン、カードラン、ヒアルロン酸、デキストラン等の微生物系多糖類;ゼラチン、カゼイン、アルブミン、コラーゲン等の植物系タンパク質;メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カチオン化セルロース、疎水化セルロース等のセルロース系;可溶化デンプン、カルボキシメチルデンプン等のデンプン系、アルギン酸プロピレングリコールエステル等のアルギン酸系;その他多糖類誘導体;粘度鉱物、シリカ等の無機物;ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー(ポリアクリル酸)、ポリアクリルアミド及びその誘導体等のビニル系;ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド-ポリプロピレンオキシドブロック共重合体等のエーテル系;及びこれらの組み合わせ等が挙げられる。
次いで、ハウジング12、中空糸膜束11及び支柱17からなる中間品を、ハウジング12が上下に配置された直立姿勢で図示略の架台に立て掛ける。ここで、本実施形態の製造方法においては、固定工程の前に挿入工程を行うことで、ハウジング12と支柱17とが所定の接合力で固定されているので、挿入工程で組み付けられたハウジング12、中空糸膜束11及び支柱17からなる中間品を直立姿勢にする際に、位置ずれ等が生じるのを抑制できる。
次いで、未硬化の固定用樹脂2を挿入口12aから図示略の保持スペーサー上に充填し、中空糸膜束11の外面とハウジング12の内面との間に行き渡らせる。この際の固定用樹脂2の充填方法としては、例えば、遠心力を利用する方法の他、固定用樹脂2が中空糸膜束11を構成する複数の中空糸膜の間に十分に行き渡るよう、中空糸膜束11にエアー等を吹き付けることで、中空糸膜束11を開繊する方法を併用することが好ましい。
次いで、固定用樹脂2を加熱して硬化させ、中空糸膜束11の端部11A及び支柱17の端部17aをハウジング12内に固定する(図1(b),(c)の断面図を参照)。
その後、例えば、筒状の保持スペーサー内に水系溶媒を流し入れて保持スペーサーを溶解させた後、水系溶媒を除去することにより、中空糸膜の内部と集水流路15とを連通させる。
そして、固定工程においては、ハウジング12、中空糸膜束11及び支柱17からなる中間品を上下反転させて他方のハウジング12を下方に配置した後、このハウジング12内にも固定用樹脂2を充填して硬化させた後、保持スペーサーを除去する上記同様の処理を行う。
なお、本実施形態の固定工程においては、固定用樹脂2が硬化した後に、中空糸膜11の内部、集水流路15及び集水口16を連通させる方法として、上記の保持スペーサーを用いた例を説明しているが、これには限定されず、例えば、特開2010-247023号公報に記載されたような内壁部材を用いた手段を採用することも可能である。
(5)除去工程
次に、除去工程においては、完成した平型中空糸膜モジュール1から一対の弛緩形成治具20,20を取り外す。
具体的には、詳細な図示を省略するが、一対の弛緩形成治具20,20を中空糸膜束11及び一対の支柱17,17から取り外すことにより、図1(a)に示すような平型中空糸膜モジュール1を得る。
(作用効果)
以上説明したように、本発明に係る平型中空糸膜モジュールの製造方法の第1の実施形態によれば、中空糸膜の配列方向の両側に一対の支柱17,17が配置された中空糸膜束11に弛緩を付与する弛緩形成工程、ハウジング12内に、少なくとも中空糸膜束11の端部11Aを挿入する挿入工程、及び、ハウジング12内に固定用樹脂2を注入して硬化させ、中空糸膜束11の端部11Aを固定し、且つ、一対の支柱17,17の端部17aをハウジング12に固定する固定工程が備えられた方法を採用することで、中空糸膜束11、ハウジング12及び支柱17を完成品と同じ相対位置関係で保持した状態で固定工程に供することができる。これにより、簡便な方法で中空糸膜束11に弛みを付与しながら、固定用樹脂2を注入して硬化させる工程を1回のみに低減できる。従って、取扱性に優れる平型中空糸膜モジュール1を優れた生産効率で製造することが可能になる。
なお、本実施形態においては、平型中空糸膜モジュール1として、シート状の中空糸膜束11の両端部に、それぞれハウジング12が接続された形態を例示しているが、シート状の中空糸膜束11の一端のみにハウジング12が接続され、他端は閉塞した形態であってもよい。
[第2の実施形態]
本発明に係る平型中空糸膜モジュールの製造方法の第2の実施形態について、図面を適宜参照しながら説明する。本実施形態においては、上述した第1の実施形態と共通する構成については、同じ符号を付して説明するとともに、同じ図面を用いて説明し、また、その詳しい説明を省略する。
本実施形態の平型中空糸膜モジュールの製造方法は、第1の実施形態と同様、図1(a)~(c)に例示したような平型中空糸膜モジュール1を製造する方法である。
そして、本実施形態の製造方法は、少なくとも、以下の(1)~(7)に示す各工程を含む方法である。
(1)一対の弛緩形成治具20,20を中空糸膜束11の長さ方向に離間して配置し、中空糸膜束11を一対の弛緩形成治具20,20で把持する把持工程。
(2)一対の弛緩形成治具20,20の離間距離を狭めることにより、中空糸膜束11に弛緩を付与する弛緩工程。
(3)ハウジング12の挿入口12aに、中空糸膜束11の端部11Aを挿入する挿入工程。
(4)ハウジング12、中空糸膜束11及び一対の支柱17,17を、平面視略矩形状とされた保持枠体30の枠内に組み付ける保持工程。
(5)保持枠体30に一対の弛緩形成治具20,20を連結固定する連結工程。
(6)ハウジング12内に固定用樹脂2を注入し、硬化させて中空糸膜束11の端部11Aを固定し、且つ、一対の支柱17,17の端部17aをハウジング12に固定する固定工程。
(7)保持枠体30及び一対の弛緩形成治具20,20を取り外す除去工程。
即ち、本実施形態の製造方法は、保持枠体30を用いた保持工程及び連結工程が追加されており、さらに、除去工程において保持枠体30から弛緩形成治具20及びハウジング12を取り外す手順が追加されている点で、第1の実施形態の製造方法と相違している。
(1)把持工程
把持工程においては、第1の実施形態と同様の方法で、一対の弛緩形成治具20,20を中空糸膜束11の長さ方向に離間して配置し、中空糸膜束11を一対の弛緩形成治具20,20で把持する。
本実施形態においても、第1の実施形態と同様、把持工程に先立ち、まず、作業台の上に、図2(a),(b)等に示すような底上げ治具40を載置する。
そして、図3(a),(b)に示すように、2箇所の隙間部41に一対の弛緩形成治具20,20を構成する第1部材21,21を離間してセットする。
次いで、図4(a),(b)に示すように、予め底上げ治具40の上面40aに罫書いた位置決め線42に基づき、底上げ治具40及び第1部材21上の所定の位置に中空糸膜束11をセットするとともに、一対の支柱17,17をセットする。
次いで、第1の実施形態における把持工程と同様、図5(a),(b)に示すように、第1部材21,21との間で中空糸膜束11を挟み込むように第2部材22,22をセットし、中空糸膜束11を把持する。
その後、第1の実施形態と同様、図5(a),(b)中における幅方向右側の弛緩形成治具22に設けられた連結部23A又は連結部22Aの少なくとも何れかを、一対の支柱17,17に対して万力等を用いて固定する。
(2)弛緩工程
次に、弛緩工程においても、第1の実施形態と同様の方法で、一対の弛緩形成治具20,20の離間距離を狭めることにより、中空糸膜束11に弛緩を付与する。
即ち、図6(a),(b)に示すように、底上げ治具40上の位置決め線42に基づき、一対の弛緩形成治具20,20のうちの何れか一方又は両方を、中空糸膜束11の長さ方向に沿った方向で移動させて離間距離を狭めることで、中空糸膜束11に弛緩を形成・付与する。
その後、第1の実施形態と同様、図6(a),(b)中における幅方向左側の弛緩形成治具20に設けられた連結部23A又は連結部22Aの少なくとも何れかを、一対の支柱17,17に対して万力等を用いて固定する。
(3)挿入工程
次に、挿入工程においても、第1の実施形態と同様の方法で、弛緩工程で弛緩が付与された中空糸膜束11の端部11A,11Aを、一対で設けられたハウジング12,12の挿入口12a,12aから、それぞれ挿入する。
即ち、図7(a),(b)に示すように、各々のハウジング12の挿入口12aから、中空糸膜束11の各々の端部11Aを所定の位置まで挿入する。また、本実施形態においても、一対の支柱17,17の各々の端部17a,17aを、一対で設けられたハウジング12,12の挿入口12a,12aから所定の位置まで挿入し、接着剤かねじを用いて接合するか、あるいは嵌合によって接合する。また、第1の実施形態と同様、必要に応じて、管状に構成された支柱17を採用し、この支柱17を集水流路15の取付部15aに連結固定してもよい(図1(c)を参照)。
なお、本実施形態においても、第1の実施形態と同様、弛緩工程の前に挿入工程を行うことが可能であるが、中空糸膜束11の位置ずれを防止する等の観点から、挿入工程を弛緩工程の後に行うことが好ましい。
(4)保持工程
次に、保持工程においては、ハウジング12、中空糸膜束11及び一対の支柱17,17を、平面視略矩形状とされた保持枠体30の枠内に組み付ける。
ここで、本実施形態で用いられる保持枠体30は、図8(a),(b)に示す例のように、上部アングル31、下部アングル32、及び一対の保持支柱33,33から構成された、平面視で概略矩形状の枠体とされている。また、図8(a),(b)に示す例では、略水平状態に維持されたハウジング12、中空糸膜束11及び一対の支柱17,17を保持枠体30の枠内に組み付けた後、これを直立姿勢とした状態を示している。
保持工程においては、まず、保持枠体30を所定の場所に水平にセットしたうえで、略水平状態に維持されたハウジング12、中空糸膜束11及び一対の支柱17,17を保持枠体30の枠内に収容する。この際、例えば、保持枠体30の上部アングル31及び下部アングル32に対し、一対のハウジング12,12を、それぞれ圧入するように固定することができる。
このように、保持枠体30を用いた方法を採用することにより、後述の固定工程において固定用樹脂2で固定される前のハウジング12及び支柱17は、図8(a),(b)に示すような直立状態に姿勢を変化させた場合でも、保持枠体30によって確実に保持される。
(5)連結工程
次に、連結工程においては、保持枠体30に一対の弛緩形成治具20,20を連結固定する。
具体的には、詳細な図示を省略するが、例えば、図8(a),(b)に示すような保持枠体30の保持支柱33,33にボルト挿通孔を設け、弛緩形成治具20を構成する第1部材21又は第2部材22の少なくとも一方を、ボルトを用いて連結固定する。この際、中空糸膜束11に所定の弛緩が付与された状態で、弛緩形成治具20の両端部近傍に設けられた図示略のボルト挿通孔等からなる連結部を、保持枠体30の保持支柱33,33の所定の位置にボルトで固定する。
なお、保持枠体30に設けられるボルト挿通孔を長孔とした場合には、弛緩形成治具20の位置を中空糸膜束11の長さ方向に沿って移動させることが可能となり、中空糸膜束11の弛緩量をさらに調整できる点から好ましい。
(6)固定工程
次に、固定工程においても、第1の実施形態と同様の方法で、中空糸膜束11の端部11Aが挿入されたハウジング12内に固定用樹脂2を注入し、硬化させて中空糸膜束11の端部11Aを固定し、さらに、一対の支柱17,17の端部17aをハウジング12に固定する(図1(a)~(c)を参照)。本実施形態で説明する例においても、ハウジング12内に挿入された一対の支柱17,17の端部17aを、中空糸膜束11と同様に固定用樹脂2で固定する。
具体的には、第1の実施形態と同様、まず、ハウジング12内の底部13上に水溶性樹脂等からなる図示略のスペーサーを設置する。
次いで、保持枠体30を回転させ、ハウジング12、中空糸膜束11及び一対の支柱17,17を直立姿勢とする。
次いで、未硬化の固定用樹脂2を挿入口12aから図示略のスペーサー上に充填し、中空糸膜束11の外面とハウジング12の内面との間に行き渡らせる。
次いで、固定用樹脂2を加熱して硬化させ、中空糸膜束11の端部11A及び支柱17の端部17aをハウジング12内に固定する。
その後、第1の実施形態と同様、筒状のスペーサー内に水系溶媒を流し入れてスペーサーを溶解させた後、水系溶媒を除去することにより、中空糸膜の内部と集水流路15とを連通させる。
さらに、固定工程では、保持枠体30を上下反転させて他方のハウジング12を下方に配置した後、このハウジング12内にも固定用樹脂2を充填して硬化させ、保持スペーサーを除去する上記同様の処理を行う。
(7)除去工程
次に、除去工程においては、完成した平型中空糸膜モジュール1から保持枠体30及び一対の弛緩形成治具20,20を取り外す。
具体的には、詳細な図示を省略するが、ハウジング12及び一対の弛緩形成治具20,20を保持枠体30から取り外すとともに、一対の弛緩形成治具20,20を中空糸膜束11及び一対の支柱17,17から取り外すことにより、図1(a)に示すような平型中空糸膜モジュール1を得る。
(作用効果)
以上説明したように、本発明に係る平型中空糸膜モジュールの製造方法の第2の実施形態によれば、弛緩形成工程において、中空糸膜の配列方向の両側に一対の支柱17,17が配置された中空糸膜束11に弛緩を付与した後、挿入工程において、ハウジング12内に少なくとも中空糸膜束11の端部11Aを挿入し、これらを保持枠体30に組み付ける保持工程の後に、ハウジング12内に固定用樹脂2を注入して硬化させ、中空糸膜束11の端部11Aを固定し、且つ、一対の支柱17,17の端部17aをハウジング12に固定する固定工程が備えられた方法を採用することで、十分に固定されていない状態の中空糸膜束11、ハウジング12及び支柱17を、第1の実施形態と同様、完成品と同じ相対位置関係で保持した状態で固定工程に供することができる。これにより、簡便な方法で中空糸膜束11に弛みを付与しながら、固定用樹脂2を注入して硬化させる工程を1回のみに低減できる。従って、取扱性に優れる平型中空糸膜モジュール1を優れた生産効率で製造することが可能になる。
本発明の平型中空糸膜モジュールは、簡便な方法で中空糸膜束に弛みを付与しながら、固定用樹脂を注入して硬化させる工程を1回のみに低減でき、取扱性に優れる平型中空糸膜モジュールを優れた生産効率で製造することが可能になることから、汚水処理等に用いられる平型中空糸膜モジュールにおいて非常に有用である。
1…平型中空糸膜モジュール、2…固定用樹脂、11…中空糸膜束、12…ハウジング、12a…挿入口、13…底部、14…側面、15…集水流路、16…集水部、17…支柱(一対の支柱)、20…弛緩形成治具(一対の弛緩形成治具:平型中空糸膜モジュール製造用把持具)、21…第1部材、22…第2部材、26…ボルト(狭持手段)、30…保持枠体。

Claims (1)

  1. 集水流路を有するハウジングが中空糸膜の長手方向の両側にそれぞれ備えられ、複数本の前記中空糸膜からなるシート状の中空糸膜束の両端部が、それぞれ、各々の前記ハウジングの挿入口から挿入されて固定用樹脂を介して前記ハウジング内に固定され、且つ、前記中空糸膜束における前記中空糸膜の配列方向の両側に、前記中空糸膜束に沿って配置される一対の支柱の両端部が、それぞれ前記ハウジングの各々に固定されてなる平型中空糸膜モジュールであって、
    前記一対の支柱の両端部は、それぞれ、各々の前記ハウジングの挿入口から挿入されて固定用樹脂を介して前記ハウジング内に固定され、
    前記中空糸膜束は、前記中空糸膜の長手方向の両側に配置された前記ハウジングの各々の間で弛緩した状態で固定されており、
    前記ハウジングを、前記挿入口から該ハウジング内の集水流路側に向かって30mmの位置で切断したときの横断面において、前記中空糸膜束と前記ハウジングとの間に一種の前記固定用樹脂が界面なく液密に充填されている、平型中空糸膜モジュール。

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