JP5075349B2 - 帯電防止性繊維構造物 - Google Patents
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Description
また、導電性を向上させた繊維としては、例えば、特許文献1や特許文献2のように、カーボン等の導電性物質を練り込んだ樹脂からなる繊維や、表面にメッキ処理を施した繊維等が知られている。このような繊維を用いた場合、確かに帯電防止効果は期待できるものの、生地に導電性物質の色が残り、白色の生地を得ることが困難であるため、衣料やインテリア用品としては実用的ではなかった。
更に、帯電防止剤を含有する処理液を繊維に塗布する方法では、洗濯耐久性が低く、長期間に渡る使用によって帯電防止効果が損なわれてしまうことがあった。
以下に本発明を詳述する。以下に本発明を詳述する。
上記熱可塑性エラストマーは、吸水性が高いことから、静電気が帯電しにくいという性質を有する。本発明では、上記熱可塑性エラストマーを長繊維として使用することで、表面積が大きくなり、更に放電しやすくなるため、繊維のまとわりつきやパチパチ音といった不快感をより効果的に防止することができる。また、上記熱可塑性エラストマー自体は、無色透明であることから、導電性繊維等を用いる場合と異なり、色の制約を受けることなく、白色の生地等にも好適に使用できる。
上記ポリアミド系エラストマーとしては特に限定されず、例えば、ポリエーテルブロックアミド共重合体、ポリエーテルアミド共重合体、ポリエステルアミド共重合体等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
これらのポリアミド系エラストマーのうち市販されているものとしては、例えば、ペバックス(アルケマ社製)、UBEナイロン(宇部興産社製)、グリロンELX、グリルアミドELY(以上、エムス昭和電工社製)、ダイアミド、ベスタミド(以上、ダイセル・デクサ社製)等が挙げられる。
なお、上記水蒸気透過率は、ASTM E96Eに準拠した方法で測定することができる。
2kVを超えると、帯電防止効果が充分であるといえず、冬用肌着等に好適に使用することができない。なお、上記摩擦帯電圧は、静電気の発生のしやすさを示す指標であり、具体的には、JIS L 1094に準拠する方法で、ロータリースタチックテスター等の機器を用いることにより測定することができる。
本発明の帯電防止性繊維構造物の用途としては特に限定されないが、衣料用品、雑貨用品、インテリア用品、寝具用品等が挙げられる。
上記衣料用品としては、外出着衣料、スポーツウェア、ホームウェア、リラックスウェア、パジャマ、寝間着、肌着のほか、オフィスウェア、作業服、食品白衣、看護白衣、患者衣、介護衣、学生服、厨房衣等が挙げられる。上記雑貨用品としては、エプロン、タオル、ストッキング、手袋、フェイスマスク、マフラー、靴下、帽子、靴、サンダル、かばん、傘等が挙げられる。上記インテリア用品としては、カーテン、じゅうたん、マット、こたつカバー、ソファーカバー、クッションカバー、ソファー用側地、便座カバー、便座マット、テーブルクロス等が挙げられる。上記寝具用品としては、布団用側地、布団用詰めわた、毛布、毛布用側地、枕の充填材、シーツ、防水シーツ、布団カバー、枕カバー等が挙げられる。特に、冬用肌着、ストッキング、手袋、フェイスマスク、マフラー等は、冬場の乾燥時に使用されることが多いため、本発明の効果を充分に発揮することができる。
更に、本発明の帯電防止性繊維構造物を用いた衣料は、雰囲気中が汚れやチリ等が付着しにくいことから、クリーンルームで使用される無塵衣等にも好適に使用することができる。
熱可塑性ポリアミド系エラストマーであるポリエーテルブロックアミド共重合体(アルケマ社製、「ペバックス 1041SA01」)からなる樹脂ペレットを用い、溶融紡糸法にて製糸を行い繊度80デシテックスの原糸を得た。得られた原糸を用いて編み立てを行い、フライス生地を作製した。
熱可塑性ポリアミド系エラストマーであるポリエーテルブロックアミド共重合体(アルケマ社製、「ペバックス 3000SA01」)からなる樹脂ペレットを用い、溶融紡糸法にて製糸を行い繊度80デシテックスの原糸を得た。得られた原糸を用いて編み立てを行い、フライス生地を作製した。
熱可塑性ポリアミド系エラストマーであるポリエーテルブロックアミド共重合体(アルケマ社製、「ペバックス 1074SA01」)からなる樹脂ペレットを用い、溶融紡糸法にて製糸を行い繊度80デシテックスの原糸を得た。得られた原糸を用いて編み立てを行い、フライス生地を作製した。
参考例1で得られた原糸、綿糸(近藤紡績社製、綿番手40/1)及びアクリル糸(旭化成社製、エルサニー、毛番手1/80)を用いて編み立てを行い、混率が原糸:綿糸:アクリル糸=20:50:30となるフライス生地を作製した。
参考例1で得られた原糸、綿糸及びアクリル糸を用いて編み立てを行い、混率が原糸:綿糸:アクリル糸=10:60:30となるフライス生地を作製した。
参考例1で得られた原糸、綿糸及びアクリル糸を用いて編み立てを行い、混率が原糸:綿糸:アクリル糸=5:65:30となるフライス生地を作製した。
参考例2で得られた原糸、綿糸及びアクリル糸を用いて編み立てを行い、混率が原糸:綿糸:アクリル糸=20:50:30となるフライス生地を作製した。
参考例2で得られた原糸、綿糸及びアクリル糸を用いて編み立てを行い、混率が原糸:綿糸:アクリル糸=10:60:30となるフライス生地を作製した。
参考例2で得られた原糸、綿糸及びアクリル糸を用いて編み立てを行い、混率が原糸:綿糸:アクリル糸=5:65:30となるフライス生地を作製した。
参考例3で得られた原糸、綿糸及びアクリル糸を用いて編み立てを行い、混率が原糸:綿糸:アクリル糸=20:50:30となるフライス生地を作製した。
参考例3で得られた原糸、綿糸及びアクリル糸を用いて編み立てを行い、混率が原糸:綿糸:アクリル糸=10:60:30となるフライス生地を作製した。
参考例3で得られた原糸、綿糸及びアクリル糸を用いて編み立てを行い、混率が原糸:綿糸:アクリル糸=5:65:30となるフライス生地を作製した。
参考例1で得られた原糸及びポリエステル糸(旭化成繊維社製、テクノファイン、繊度84デシテックス)を用いて編み立てを行い、混率が原糸:ポリエステル糸=20:80となるフライス生地を作製した。
参考例1で得られた原糸及びナイロン糸(ユニチカファイバー社製、マイクロシーン、繊度78デシテックス)を用いて編み立てを行い、混率が原糸:ナイロン糸=20:80となるフライス生地を作製した。
参考例1で使用した綿糸及びアクリル糸を用いて編み立てを行い、混率が綿糸:アクリル糸=70:30となるフライス生地を作製した。
参考例1で使用したアクリル糸を用いて編み立てを行い、フライス生地を作製した。
ポリエステル糸(旭化成繊維社製、テクノファイン、繊度84デシテックス)を用いて編み立てを行い、フライス生地を作製した。
ナイロン糸(ユニチカファイバー社製、マイクロシーン、繊度78デシテックス)を用いて編み立てを行い、フライス生地を作製した。
熱可塑性ポリアミド系エラストマーであるポリエーテルブロックアミド共重合体(アルケマ社製、ペバックス1041SA01)20重量%に対し、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート樹脂(イーストマンケミカル社製、EastarPETGコポリエステル)80重量%を混合した後、万能混合機で3分間攪拌し、充分に均一な混合物を作製した。この混合物を2軸押出し機へ投入し、2軸押出し機内で溶融混練することで複合化し、連続的に押出して、更に小さくカッティングすることで熱可塑性エラストマーとポリエチレンテレフタレートとからなる樹脂ペレットを得た。
次いで、得られた樹脂ペレットを紡糸用の押出し機へ投入し、溶融紡糸法により繊度80デシテックスの原糸を得た。得られた原糸を用いて編み立てを行い、フライス生地を作製した。
熱可塑性ポリアミド系エラストマーであるポリエーテルブロックアミド共重合体(アルケマ社製、ペバックス1041SA01)20重量%に対し、ナイロン6(宇部興産社製、1011F)80重量%を混合した後、万能混合機で3分間攪拌し、充分に均一な混合物を作製した。この混合物を2軸押出し機へ投入し、2軸押出し機内で溶融混練することで複合化し、連続的に押出して、更に小さくカッティングすることで熱可塑性エラストマーとナイロンとからなる樹脂ペレットを得た。
次いで、得られた樹脂ペレットを紡糸用の押出し機へ投入し、溶融紡糸法により繊度80デシテックスの原糸を得た。得られた原糸を用いて編み立てを行い、フライス生地を作製した。
実施例、参考例及び比較例で用いた熱可塑性エラストマー及び得られた生地について、以下の方法により評価を行った。結果を表1に示した。
実施例、参考例及び比較例で用いた熱可塑性エラストマーを厚さ50μmのフィルムに成形加工した後、ASTM E96Eに準拠した方法で、水蒸気透過率を測定した。
実施例、参考例及び比較例で用いた熱可塑性エラストマーからなる原糸を編み立てることにより得られる生地について、温度が20℃、湿度が65%RHの条件における平衡水分率をJIS L 1013に準拠する方法により測定した。具体的には、生地を、温度20℃、湿度65%RHの雰囲気下に水分平衡となるまで放置し、水分平衡に達した生地から試料5gを採取し、重量増加分と原重量(絶乾重量)との比を算出することにより、平衡水分率を求めた。
実施例、参考例及び比較例で用いた熱可塑性エラストマーからなる原糸を編み立てることにより得られる生地について、生地の原重量を測定した後、純水中に24時間浸漬し、重量増加分と原重量との比を算出することにより、吸水率を測定した。
実施例、参考例及び比較例で得られたフライス生地の摩擦帯電圧をJIS L 1094に準拠する方法により測定した。測定にはロータリースタチックテスター(興亜商会社製)を用い、生地から50×80mmの試験片を採取した後、ロータリースタチックテスターの回転ドラムを回転させ、試験片を綿製の摩擦片で摩擦した直後の帯電圧を測定した。
実施例、参考例及び比較例で得られた生地を用いたフリースについて、10人の被験者による帯電防止性能確認試験を行った。なお、試験は、(1)フリース着用、(2)除電、(3)足踏み1分間、(4)フリース脱衣、を順に実施し、脱衣時に発生する静電気について、官能試験によって評価した。評価基準は以下の通りとした。
◎:脱衣時に静電気を感じたのが0〜2人
○:脱衣時に静電気を感じたのが3〜4人
△:脱衣時に静電気を感じたのが5〜7人
×:脱衣時に静電気を感じたのが8〜10人
一方、比較例1〜4で得られた生地は、熱可塑性エラストマーを使用していないため、帯電防止効果が不充分であることが判った。また、比較例5、6で得られた生地は、熱可塑性エラストマーを練り込むことにより、帯電防止性の若干の向上は見られるものの、充分なものではなかった。
Claims (8)
- 熱可塑性エラストマーは、厚さ50μmのフィルム状に加工した場合のASTM E96Eに準拠した方法で測定した水蒸気透過率が、1500g/m2/24h以上であることを特徴とする請求項1記載の帯電防止性繊維構造物。
- 熱可塑性エラストマーからなる繊維は、温度が20℃、湿度が65%RHの条件で測定した平衡水分率が0.5%以上、かつ、水中に24時間浸漬した場合の吸水率が10%以上であることを特徴とする請求項1又は2記載の帯電防止性繊維構造物。
- 摩擦帯電圧が2kV以下であることを特徴とする請求項1、2又は3記載の帯電防止性繊維構造物。
- 熱可塑性エラストマー以外の繊維は、綿、麻、絹、羊毛、ビスコース−レーヨン、アセテート−レーヨン、ポリエステル、ナイロン6、ナイロン6,6、ポリアクリル、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル及びポリビニルアルコールから選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の帯電防止性繊維構造物。
- 熱可塑性エラストマー以外の繊維は、綿及びポリアクリルであることを特徴とする請求項5記載の帯電防止性繊維構造物。
- 請求項1、2、3、4、5又は6記載の帯電防止性繊維構造物を用いてなることを特徴とする無塵衣。
- 請求項1、2、3、4、5又は6記載の帯電防止性繊維構造物を用いてなる冬用衣料であって、
前記冬用衣料が、冬用肌着、ストッキング、手袋、フェイスマスク、マフラー及びフリースから選択される少なくとも1種であることを特徴とする冬用衣料。
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