JP4171679B2 - 繊維、生地及び肌着 - Google Patents
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Description
このような清涼感を与える機能としては、例えば、着用時にヒヤリとした感覚を惹起しする接触冷感が挙げられる。
このような接触冷感に優れた繊維を得る方法としては、従来は、例えば、繊維の吸水性を向上させたり、繊維の熱伝導性を向上させたりする方法等が行われていた。
熱伝導性を向上させた繊維としては、例えば、熱伝導性の高いフィラーを練り込んだ樹脂からなる繊維や表面にメッキ処理を施した繊維等が挙げられる。
しかし、このような繊維を用いた場合、確かに理論的には接触冷感が得られることが期待できるものの、実際にヒトによる官能試験を行うと、ほとんど未処理のものと変わるところがなく、接触冷感を実感できることはなかった。
繊維の清涼感は、これらの接触冷感、吸放湿特性及び拡散特性のバランスにより実現できるものであるといえる。しかしながら、従来の繊維には、これらの諸機能を高いバランスで実現したものはなかった。
以下に本発明を詳述する。
本発明者らは、鋭意検討の結果、熱可塑性エラストマーを紡糸して得た繊維が接触冷感に優れていることを見出した。熱可塑性エラストマーのなかでも下記式(1)で表されるポリエーテルブロックアミド共重合体等のポリアミド系エラストマーは、紡糸性に優れ、比重が軽く軽い生地や肌着を作製できることに加え、極めて優れた接触冷感を与える繊維が得られる。
上記式(1)で示されるポリアミド系エラストマーにおいて、ポリアミド成分はハードセグメントとして、ポリエーテル成分はソフトセグメントとして機能するものである。
本発明者らは、更に検討を行った結果、上記式(1)で示されるポリアミド系エラストマーにおいて、ハードセグメントであるポリアミドとしてポリアミド12を用い、ソフトセグメントであるポリエーテル成分を選択すれば、高い接触冷感特性を維持したまま吸放湿特性と拡散特性とが異なる種々の繊維が得られることを見出した。
上記ポリアミド系エラストマーAは、ハードセグメントがポリアミド12でありソフトセグメントがポリエチレングリコールである。このようなポリアミド系エラストマーAを用いれば、接触冷感に優れるとともに、特に常湿下では吸水せずサラリとしている一方で、汗をかいて高湿状態になったときには汗を素早く吸水できるという吸放湿特性を有する繊維が得られる。
このような吸放湿特性は、例えば、一定の大きさの生地の絶乾重量を測定したうえで、生地を電子天秤に吊し、温度20℃、湿度65%のドライエアー雰囲気下(常湿条件下)にて60分間放置した場合の重量、温度20℃、湿度90%以上のウェットエアーの雰囲気下(高湿条件下)にて60分間放置した場合の重量をそれぞれ測定し、これらの値から、各条件下における吸水率を求めたときに下記式(2)により算出される吸水率の差Δ吸水率により表現することができる。
Δ吸水率(%)=高湿下における吸水率(%)−常湿下における吸水率(%) (2)
このようにして求めたΔ吸水率の値が大きいほど、常湿下では吸水せずサラリとしている一方で、汗をかいて高湿状態になったときには汗を素早く吸水できるという吸放湿特性に優れている。
なお、上記絶乾重量は、布を105℃で2時間乾燥下後に重量測定することにより得ることができる。
このような乾燥特性は、例えば、下述の方法により求めた拡散面積により表現することができる。即ち、一定の大きさの生地を、表面にフッ素樹脂シートを表面に貼り付けたアクリル板上に置き、その上から100μLのベンゾパープリン水溶液を垂らして1分間放置した後、この上に表面にフッ素樹脂シートを表面に貼り付けたアクリル板をフッ素樹脂シート側が生地に接するように置き、更に3分間放置する。その後、ベンゾパープリン水溶液で染着した部分の最大長(cm)と最小長(cm)とを測定したときに、最大長×最小長により求められる値を拡散面積(cm2)とする。
このようにして求めた拡散面積が大きいほど、吸水した汗を素早く拡散して乾燥する拡散特性に優れる。
本発明の繊維が、上記樹脂混合物と他の樹脂とからなる場合には、これらの樹脂の混合物を紡糸してなるものであってもよいし、他の樹脂からなる繊維の周りを上記樹脂混合物が覆う芯鞘構造、カバリング等を有するものであってもよい。
上記他の樹脂としては特に限定されず、例えば、混合して紡糸する場合にはナイロン12等のポリアミド系樹脂等;芯鞘構造の芯とする場合にはナイロン6、ポリエステル、綿、レーヨン等が挙げられる。
本発明の繊維を用いてなる生地もまた、本発明の1つである。
本明細書において生地には、編物、織物、不織布等が含まれる。
本発明の生地は、本発明の繊維のみからなるものであってもよいが、本発明の目的を阻害しない範囲で、肌触り等の肌着に必要な要件を改善する目的で、他の繊維と交編してもかまわない。このような他の繊維としては特に限定されないが、例えば、ナイロン6、ナイロン12等のポリアミド系樹脂等;ポリエステル、綿、レーヨン等が挙げられる
本発明の繊維、又は、本発明の生地を用いてなる肌着もまた、本発明の1つである。
ハードセグメントがポリアミド12でありソフトセグメントがポリエチレングリコールであるポリエーテルブロックアミド共重合体(アトフィナ・ジャパン社製、「ペバックス MV1041SA01」)と、ハードセグメントがポリアミド12でありソフトセグメントがポリテトラメチレングリコールであるポリエーテルブロックアミド共重合体(アトフィナ・ジャパン社製、「ペバックス 6333SA01」)とを8:2の重量比で溶融混合し、ペレタイザーを用いて樹脂混合物のペレットを調製した。
得られたペレットを用い、溶融紡糸法にて製糸を行い原糸を得た。
得られた原糸を用い編み立てを行い、生地を得た。
ハードセグメントがポリアミド12でありソフトセグメントがポリエチレングリコールであるポリエーテルブロックアミド共重合体(アトフィナ・ジャパン社製、「ペバックス MV1041SA01」)と、ハードセグメントがポリアミド12でありソフトセグメントがポリテトラメチレングリコールであるポリエーテルブロックアミド共重合体(アトフィナ・ジャパン社製、「ペバックス 6333SA01」)とを6:4の重量比で溶融混合し、ペレタイザーを用いて樹脂混合物のペレットを調製した。
得られたペレットを用い、溶融紡糸法にて製糸を行い原糸を得た。
得られた原糸を用い編み立てを行い、生地を得た。
ハードセグメントがポリアミド12でありソフトセグメントがポリエチレングリコールであるポリエーテルブロックアミド共重合体(アトフィナ・ジャパン社製、「ペバックス MV1041SA01」)と、ハードセグメントがポリアミド12でありソフトセグメントがポリテトラメチレングリコールであるポリエーテルブロックアミド共重合体(アトフィナ・ジャパン社製、「ペバックス 6333SA01」)とを4:6の重量比で溶融混合し、ペレタイザーを用いて樹脂混合物のペレットを調製した。
得られたペレットを用い、溶融紡糸法にて製糸を行い原糸を得た。
得られた原糸を用い編み立てを行い、生地を得た。
ハードセグメントがポリアミド12でありソフトセグメントがポリエチレングリコールであるポリエーテルブロックアミド共重合体(アトフィナ・ジャパン社製、「ペバックス MV1041SA01」)と、ハードセグメントがポリアミド12でありソフトセグメントがポリテトラメチレングリコールであるポリエーテルブロックアミド共重合体(アトフィナ・ジャパン社製、「ペバックス 6333SA01」)とを2:8の重量比で溶融混合し、ペレタイザーを用いて樹脂混合物のペレットを調製した。
得られたペレットを用い、溶融紡糸法にて製糸を行い原糸を得た。
得られた原糸を用い編み立てを行い、生地を得た。
ペレタイザーを用いて、ハードセグメントがポリアミド12でありソフトセグメントがポリエチレングリコールであるポリエーテルブロックアミド共重合体(アトフィナ・ジャパン社製、「ペバックス MV1041SA01」)のペレットを調製した。
得られたペレットを用い、溶融紡糸法にて製糸を行い原糸を得た。
得られた原糸を用い編み立てを行い、生地を得た。
ペレタイザーを用いて、ハードセグメントがポリアミド12でありソフトセグメントがポリテトラメチレングリコールであるポリエーテルブロックアミド共重合体(アトフィナ・ジャパン社製、「ペバックス 6333SA01」)のペレットを調製した。
得られたペレットを用い、溶融紡糸法にて製糸を行い原糸を得た。
得られた原糸を用い編み立てを行い、生地を得た。
結果を表1に示した。
20.5℃の温度に設定した試料台の上に各生地を置き、生地の上に32.5℃の温度に温められた貯熱板を接触圧0.098N/cm2で重ねた直後、蓄えられた熱量が低温側の試料に移動する熱量のピーク値を測定した。測定には、サーモラボII型精密迅速熱物性測定装置(カトーテック社製)を用いた。
10cm×20cmの大きさの生地を105℃、2時間乾燥した後、その重量を測定して絶乾重量を測定した。
10cm×20cmの大きさの生地を電子天秤に吊し、温度20℃、湿度65%のドライエアー雰囲気下(常湿条件下)にて60分間放置した場合の重量、温度20℃、湿度90%以上のウェットエアーの雰囲気下(高湿条件下)にて60分間放置した場合の重量をそれぞれ測定し、これらの値から、各条件下における吸水率を求め、更に、上記式(2)によりΔ吸水率を求めた。
10cm×5cmの大きさの生地を、表面にフッ素樹脂シートを表面に貼り付けたアクリル板(11.5cm×6.2cm、重さ28g)上に置き、その上から100μLのベンゾパープリン水溶液を垂らして1分間放置した後、この上に表面にフッ素樹脂シートを表面に貼り付けたアクリル板(11.5cm×6.2cm、重さ28g)をフッ素樹脂シート側が生地に接するように置き、更に3分間放置した。3分間放置後、ベンゾパープリン水溶液で染着した部分の最大長と最小長とを測定し、この値から拡散面積を求めた。
Claims (4)
- ハードセグメントがポリアミド12でありソフトセグメントがポリエチレングリコールであるポリアミド系エラストマーAと、ハードセグメントがポリアミド12でありソフトセグメントがポリテトラメチレングリコールであるポリアミド系エラストマーBとの樹脂混合物を含有することを特徴とする繊維。
- 樹脂混合物におけるポリアミド系エラストマーAとポリアミド系エラストマーBとの配合比は、重量比で8:2〜2:8であることを特徴とする請求項1記載の繊維。
- 請求項1又は2記載の繊維を用いてなることを特徴とする生地。
- 請求項1又は2記載の繊維又は請求項3記載の生地を用いてなることを特徴とする肌着。
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