JP5665530B2 - 生地及び肌着 - Google Patents
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Description
しかしながら、熱可塑性エラストマーを紡糸して得た繊維は、特に肌着に用いられる場合、発汗等による湿潤時にはべたついて肌離れが悪くなり、不快感が生じることが問題であった。
以下、本発明を詳述する。
上記熱可塑性エラストマーを含有する繊維は、肌着に用いられる場合、肌に触れた瞬間に肌から体温を奪うことができる一方で、肌から離れている間には放熱することができる。このような繊維を用いることにより、本発明の生地は、接触冷感に優れ、例えばスポーツシーン等における体温上昇を抑制することができる。
上記ポリアミド系エラストマーのうち市販されているものとしては、例えば、ペバックス(アルケマ社製)、UBEナイロン(宇部興産社製)、グリロンELX、グリルアミドELY(以上、エムス昭和電工社製)、ダイアミド、ベスタミド(以上、ダイセル・デクサ社製)等が挙げられる。
上記ポリエステル系エラストマーのうち市販されているものとしては、例えば、グリラックス(DIC社製)、ヌーベラン(帝人化成社製)、ペルプレン(東洋紡績社製)、ハイトレル(東レ・デュポン社製)、プリマロイ(三菱化学社製)等が挙げられる。
上記他の樹脂は特に限定されず、例えば、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12等のポリアミド系樹脂、PET、PBT、PTT等のポリエステル系樹脂、レーヨン、アクリル等が挙げられる。上記他の樹脂のなかでも、ポリアミド系樹脂が好適である。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記コンジュゲート繊維は特に限定されず、例えば、芯鞘型コンジュゲート繊維、サイドバイサイド型コンジュゲート繊維、放射型コンジュゲート繊維、中空環状型コンジュゲート繊維等が挙げられる。
また、上記他の樹脂を用いたコンジュゲート繊維とする場合は、上記熱可塑性エラストマーを含有するペレット、及び、上記他の樹脂を含有するペレットを複合紡糸装置に投入し、溶融紡糸することにより、コンジュゲート繊維を得る方法等が挙げられる。
上記ポリエステルを含有する繊維は、肌着に用いられる場合、発汗等による熱又は水分の放熱性、拡散性、蒸散性等に優れる。
上記ポリエステルを含有する繊維におけるポリエステルは特に限定されず、肌着等の衣料に通常用いられるポリエステルを用いることができるが、発汗等による湿潤時のべたつき感を軽減する観点から、酸化チタンを多く含有するフルダルタイプのポリエステルが特に好適である。
なお、これらの繊維は、ファイバーメーカー各社より吸水拡散性ポリエステル繊維として市販されている。
上記異型(非円形)断面形状である繊維のうち市販されているものとしては、例えば、A.H.Y.(三菱レイヨン社製、登録商標)、CEOα(セオ・アルファ)(東レ社製、登録商標)等が挙げられる。
また、上記ポリエステルを含有する繊維は、上記熱可塑性エラストマーを含有する繊維の場合と同様に、本発明の効果を損なわない範囲で、無機充填剤、難燃剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、光安定剤、無機物、高級脂肪酸塩等の添加剤を含有してもよい。
上記ポリエステルを含有する繊維は、繊度の好ましい下限が44dtex、好ましい上限が110dtexである。繊度が44dtex未満であると、上記ポリエステルを含有する繊維は、発汗等による熱又は水分の放熱性、拡散性、蒸散性等が低下することがある。繊度が110dtexを超えると、生地が厚くなり、通気性が悪化して着用時の快適性が低下することがある。上記ポリエステルを含有する繊維の繊度のより好ましい下限は56dtex、より好ましい上限は84dtexである。
また、上記他の樹脂を用いたコンジュゲート繊維とする場合は、上記ポリエステルを含有するペレット、及び、上記他の樹脂を含有するペレットを複合紡糸装置に投入し、溶融紡糸することにより、コンジュゲート繊維を得る方法等が挙げられる。
本発明の生地は、上記ポリエステルを含有する繊維からなる層を、上記範囲の面積及び厚みで上記熱可塑性エラストマーを含有する繊維からなる層の肌側となる面に有することで、上記熱可塑性エラストマーを含有する繊維が肌に密着することを軽減することができ、その結果、発汗等よる湿潤時にも、上記熱可塑性エラストマーを含有する繊維に起因するべたつき感を軽減して肌離れを改善し、不快感を抑制することができる。
上記ポリエステルを含有する繊維からなる層の面積は、好ましい下限が、上記熱可塑性エラストマーを含有する繊維からなる層の肌側となる面の55%、好ましい上限が、上記熱可塑性エラストマーを含有する繊維からなる層の肌側となる面の65%である。
上記ポリエステルを含有する繊維からなる層の厚みは、好ましい下限が総厚みの12%、好ましい上限が総厚みの58%である。
上記ポリエステルを含有する繊維からなる層の形状として、より具体的には、例えば、図1に示すような線状で互い違いに矩形部を有する形状、図2に示すような形状等が挙げられる。
図1に示すように、本発明の生地11は、ポリエステルを含有する繊維からなる層12と、熱可塑性エラストマーを含有する繊維からなる層13とから構成され、ポリエステルを含有する繊維からなる層12は、線状で互い違いに矩形部を有する形状となっている。また、ポリエステルを含有する繊維からなる層12は、熱可塑性エラストマーを含有する繊維からなる層13の肌側となる面(下側)のみに形成されており、本発明の生地11は、熱可塑性エラストマーを含有する繊維からなる層13が、肌に密着することは軽減しながら、肌に触れたり、肌から離れたりを繰り返すことのできる構成となっている。
図2に示すように、本発明の生地21は、ポリエステルを含有する繊維からなる層22と、熱可塑性エラストマーを含有する繊維からなる層23とから構成されている。また、ポリエステルを含有する繊維からなる層22は、熱可塑性エラストマーを含有する繊維からなる層23の肌側となる面(下側)のみに形成されており、本発明の生地21は、熱可塑性エラストマーを含有する繊維からなる層23が、肌に密着することは軽減しながら、肌に触れたり、肌から離れたりを繰り返すことのできる構成となっている。
上記ポリエステルを含有する繊維からなる層の開口部が多角形である場合として、例えば、上記ポリエステルを含有する繊維からなる層が上記熱可塑性エラストマーを含有する繊維からなる層の肌側となる面にハニカムメッシュ構造を形成する場合等が挙げられる。
上記ポリエステルを含有する繊維からなる層の開口部ひとつ当たりの面積は、より好ましい下限が3mm2、より好ましい上限が72mm2であり、更に好ましい下限が4mm2、更に好ましい上限が64mm2である。
なお、本明細書において、Q−max値は、一定面積、一定質量の熱板に所定の熱を蓄え、これが試料表面に接触した直後、蓄えられた熱量が低温側の試料に移動する熱流量のピーク値である。Q−max値は、着用時、特に安静時及び着用初期に試料に奪われる体温をシミュレートしていると考えられ、Q−max値が大きいほど着用時に奪われる体温が大きく、接触冷感が高いと考えられる。
上記ポリエステルを含有する繊維からなる層の面積及び厚みを上記範囲に調整する方法として、例えば、上記ポリエステルを含有する繊維の繊度を調整したり、上記熱可塑性エラストマーを含有する繊維からなる層の肌側となる面における上記ポリエステルを含有する繊維のニットする本数を調整したりする方法等が挙げられる。
熱可塑性ポリアミド系エラストマーであるポリエーテルブロックアミド共重合体(アルケマ社製、ペバックス 1041SA01)95重量%と、酸化チタン5重量%とを溶融混合し、ペレタイザーを用いて樹脂ペレットを作製した。次いで、得られた樹脂ペレットを用い、溶融紡糸法にて製糸を行い、熱可塑性エラストマーを含有する繊維を得た。得られた熱可塑性エラストマーを含有する繊維の繊度は120dtexであった。
得られた熱可塑性エラストマーを含有する繊維と、ポリエステル繊維(三菱レイヨン社製、AHY84T48)とを用いて、丸編機により、ポリエステル繊維からなる層が、熱可塑性エラストマーを含有する繊維からなる層の肌側となる面のみに形成されるように生地を編成した。このときの編図を図7に示した。なお、図7において数字は給糸コース番号を示す。
得られた生地においては、ポリエステル繊維からなる層と熱可塑性エラストマーを含有する繊維からなる層とはハニカムメッシュ構造に編成されており、ポリエステル繊維からなる層の面積は、熱可塑性エラストマーを含有する繊維からなる層の肌側となる面の58%であり、ポリエステル繊維からなる層の厚みが、総厚みの13%であった。ポリエステル繊維からなる層及び熱可塑性エラストマーを含有する繊維からなる層の厚みを表1に示した。
熱可塑性ポリアミド系エラストマーであるポリエーテルブロックアミド共重合体(アルケマ社製、ペバックス 1041SA01)99重量%と、酸化チタン1重量%とを溶融混合し、ペレタイザーを用いて樹脂ペレットを作製した。次いで、得られた樹脂ペレットを用い、溶融紡糸法にて製糸を行い、熱可塑性エラストマーを含有する繊維を得た。得られた熱可塑性エラストマーを含有する繊維の繊度は50dtexであった。
得られた熱可塑性エラストマーを含有する繊維と、ポリエステル繊維(三菱レイヨン社製、AHY56T36)とを用いて、丸編機により、ポリエステル繊維からなる層が、熱可塑性エラストマーを含有する繊維からなる層の肌側となる面のみに形成されるように生地を編成した。このときの編図を図7に示した。なお、図7において数字は給糸コース番号を示す。
得られた生地においては、ポリエステル繊維からなる層と熱可塑性エラストマーを含有する繊維からなる層とはハニカムメッシュ構造に編成されており、ポリエステル繊維からなる層の面積は、熱可塑性エラストマーを含有する繊維からなる層の肌側となる面の61%であり、ポリエステル繊維からなる層の厚みが、総厚みの51%であった。ポリエステル繊維からなる層及び熱可塑性エラストマーを含有する繊維からなる層の厚みを表1に示した。
熱可塑性ポリアミド系エラストマーであるポリエーテルブロックアミド共重合体(アルケマ社製、ペバックス 1041SA01)99重量%と、酸化チタン1重量%とを溶融混合し、ペレタイザーを用いて樹脂ペレットを作製した。次いで、得られた樹脂ペレットを用い、溶融紡糸法にて製糸を行い、熱可塑性エラストマーを含有する繊維を得た。得られた熱可塑性エラストマーを含有する繊維の繊度は50dtexであった。
得られた熱可塑性エラストマーを含有する繊維と、ポリエステル繊維(三菱レイヨン社製、AHY84T48)とを用いて、丸編機により、ポリエステル繊維からなる層が、熱可塑性エラストマーを含有する繊維からなる層の肌側となる面のみに形成されるように生地を編成した。このときの編図を図7に示した。なお、図7において数字は給糸コース番号を示す。
得られた生地においては、ポリエステル繊維からなる層と熱可塑性エラストマーを含有する繊維からなる層とはハニカムメッシュ構造に編成されており、ポリエステル繊維からなる層の面積は、熱可塑性エラストマーを含有する繊維からなる層の肌側となる面の58%であり、ポリエステル繊維からなる層の厚みが、総厚みの56%であった。ポリエステル繊維からなる層及び熱可塑性エラストマーを含有する繊維からなる層の厚みを表1に示した。
熱可塑性ポリアミド系エラストマーであるポリエーテルブロックアミド共重合体(アルケマ社製、ペバックス 1041SA01)95重量%と、酸化チタン5重量%とを溶融混合し、ペレタイザーを用いて樹脂ペレットを作製した。次いで、得られた樹脂ペレットを用い、溶融紡糸法にて製糸を行い、熱可塑性エラストマーを含有する繊維を得た。得られた熱可塑性エラストマーを含有する繊維の繊度は120dtexであった。
得られた熱可塑性エラストマーを含有する繊維と、ポリエステル繊維(三菱レイヨン社製、AHY84T48)とを用いて、丸編機により、熱可塑性エラストマーを含有する繊維からなる層が、ポリエステル繊維からなる層の肌側となる面に形成されるように生地を編成した。このときの編図を図8に示した。なお、図8において数字は給糸コース番号を示す。
得られた生地においては、ポリエステル繊維からなる層と熱可塑性エラストマーを含有する繊維からなる層とは完全にリバーシブルに編成されており、肌側となる面に露出している繊維は全てが熱可塑性エラストマーを含有する繊維であり、ポリエステル繊維からなる層の厚みが、総厚みの60%であった。ポリエステル繊維からなる層及び熱可塑性エラストマーを含有する繊維からなる層の厚みを表1に示した。
熱可塑性ポリアミド系エラストマーであるポリエーテルブロックアミド共重合体(アルケマ社製、ペバックス 1041SA01)95重量%と、酸化チタン5重量%とを溶融混合し、ペレタイザーを用いて樹脂ペレットを作製した。次いで、得られた樹脂ペレットを用い、溶融紡糸法にて製糸を行い、熱可塑性エラストマーを含有する繊維を得た。得られた熱可塑性エラストマーを含有する繊維の繊度は120dtexであった。
得られた熱可塑性エラストマーを含有する繊維と、ポリエステル繊維(三菱レイヨン社製、AHY84T48)とを用いて、丸編機により、熱可塑性エラストマーを含有する繊維からなる層が、ポリエステル繊維からなる層の肌側となる面のみに形成されるように生地を編成した。このときの編図を図9に示した。なお、図9において数字は給糸コース番号を示す。
得られた生地においては、ポリエステル繊維からなる層と熱可塑性エラストマーを含有する繊維からなる層とはハニカムメッシュ構造に編成されており、熱可塑性エラストマーを含有する繊維からなる層の面積は、ポリエステル繊維からなる層の肌側となる面の57%であり、即ち、ポリエステル繊維からなる層の肌側の面積比率は43%であり、ポリエステル繊維からなる層の厚みが、総厚みの96%であった。ポリエステル繊維からなる層及び熱可塑性エラストマーを含有する繊維からなる層の厚みを表1に示した。
実施例及び比較例で得られた生地について、以下の評価を行った。結果を表1〜2及び図3〜5に示した。
20.5℃の温度に設定した試料台の上に各生地を置き、生地の上に32.5℃の温度に温められた貯熱板を接触圧0.098N/cm2で重ねた直後、蓄えられた熱量が低温側の試料に移動する熱量のピーク値を測定した。測定には、サーモラボII型精密迅速熱物性測定装置(カトーテック社製)を用いた。得られた値は、ΔT20℃の値に換算した。
図6に、肌離れ性試験の測定装置の模式図を示す。図6において、滑車6と接するワイヤー7に繋がれた第1のプレート4に生地を、第2のプレート5に人の肌に見立てたガラス濾紙を貼り、ガラス濾紙と生地とが接するように第1のプレート4と第2のプレート5とを重ね合わせた。オートグラフ ASG−J(島津製作所社製)を用いて、図6に示すように100mm/minの速さで第1のプレート4を50mm滑らせ、このとき、第1のプレート4を滑らせるのにかかった平均荷重を測定した。平均荷重が小さいほど滑りがよいことを示し、肌離れ性がよいといえる。
得られた生地を用いて半袖Tシャツ肌着タイプのスポーツ用ウェアを作製した。この衣服を着用した3人の被験者が、時速3km/hから2分ごとに1km/hずつ、9km/hの速度まで速度が漸増するトレッドミル上を走行し、走行後、3分間の立位安静をとった。運動開始から3分間の立位安静終了まで、測定器としてグラム(グラム社製)を用いて被験者の衣服内の湿度を測定し、湿度変化量の3人の被験者の平均値を算出した。
得られた生地を用いて半袖Tシャツ肌着タイプのスポーツ用ウェアを作製した。この衣服を着用した3人の被験者が、時速3km/hから2分ごとに1km/hずつ、9km/hの速度まで速度が漸増するトレッドミル上を走行し、走行後、3分間の立位安静をとった。この運動試験中における衣服の接触冷感、及び、べたつき感について官能試験を行い、10段階評価の3人の被験者の平均値を算出した。なお、10段階評価は、10に近いほど接触冷感又はべたつき感が高いとした。
また、従来、無機フィラーをより多く含有する繊維のほうがべたつき感が小さくなることが技術常識として捉えられてきたが、実施例2〜3で得られた生地は、熱可塑性エラストマーを含有する繊維における酸化チタン含有率がより低いにもかかわらず肌離れ性に優れていた。このことからも、べたつき感を軽減するために、「ポリエステル繊維からなる層を、所定範囲の面積及び厚みで熱可塑性エラストマーを含有する繊維からなる層の肌側となる面に有する」という層構成が有効であることがわかる。
12、22 ポリエステルを含有する繊維からなる層
13、23 熱可塑性エラストマーを含有する繊維からなる層
3 肌離れ性試験の測定装置
4 第1のプレート
5 第2のプレート
6 滑車
7 ワイヤー
Claims (2)
- 熱可塑性エラストマーを含有する繊維からなる層と、ポリエステルを含有する繊維からなる層とを有し、
前記ポリエステルを含有する繊維からなる層が、前記熱可塑性エラストマーを含有する繊維からなる層の肌側となる面のみに、該肌側となる面の50〜70%の面積に形成されており、
前記ポリエステルを含有する繊維からなる層の厚みが、総厚みの10〜60%であり、
前記熱可塑性エラストマーは、ポリエーテルブロックアミド共重合体である
ことを特徴とする生地。 - 請求項1記載の生地を用いて製造されることを特徴とする肌着。
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