JP5072416B2 - バッテリ冷却装置 - Google Patents

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Description

本発明は、電動車両、電気機器、作業用機械などに用いられるバッテリを冷却するためのバッテリ冷却装置に関する。
例えば、電動車両を駆動するための駆動用モータへ電力を供給する複数のバッテリは、特許文献1または2に記載のように、バッテリ冷却装置により冷却されて、その性能の低下が防止される。この際、複数のそれぞれの各バッテリは、均一に冷却される必要がある。
このようなバッテリ冷却装置の一例を図12に示す。この従来のバッテリ冷却装置100では、複数のバッテリ101を積層して収納するバッテリボックス102に吸気ダクト103及び排気ダクト104が設けられる。吸気ダクト103から導かれる空気が、バッテリ101間に形成される通風路105内を流れることで各バッテリ101が冷却され、この冷却により温度上昇した空気が排気ダクト104から排出される。
吸気ダクト103及び排気ダクト104は、バッテリ101の積層方向Rに対して垂直で、且つ通風路105内を流れる空気の流れ方向Sに対して例えば垂直に位置付けられている。
特開平7−237457号公報 特開平11−195437号公報
ところが、上述のバッテリ冷却装置100では、バッテリ101間に形成される各通風路105において、吸気ダクト103から通風路105へ向かって空気の流れ方向が変更するときに、この変更する空気の流れの内側に淀みWが発生する。この空気の淀みWの領域では空気の温度が高く、バッテリ101のうち淀みWに対応する部分は、冷却が不充分となって温度が局所的に上昇してしまう。従って、バッテリボックス102内に積層された複数のバッテリ101のそれぞれが、均一に冷却されない恐れがある。
本発明の目的は、上述の事情を考慮してなされたものであり、積層して収納されるそれぞれのバッテリを均一に冷却できるバッテリ冷却装置を提供することにある。
本発明は、複数のバッテリを積層して収納するバッテリボックスに吸気ダクトが設けられ、この吸気ダクトから導かれる空気が、前記バッテリ間に形成される通風路内を流れることで前記バッテリを冷却するバッテリ冷却装置において、前記吸気ダクトが、前記バッテリの積層方向に対し垂直で、且つ前記通風路を流れる空気の流れ方向に対し所定角度に位置付けられ、更に前記通風路に、当該通風路を流れる空気の流れ方向に平行に複数の導風片が配置され、これら複数の導風片のピッチが、前記通風路を形成する前記バッテリ間の隙間寸法と略同一に設定されたことを特徴とするものである。
本発明によれば、複数のバッテリを積層して収納するバッテリボックスに設けられる吸気ダクトが、バッテリの積層方向に対し垂直で、且つバッテリ間に形成される通風路を流れる空気の流れ方向に対し所定角度に位置付けられると共に、前記通風路に、当該通風路を流れる空気の流れ方向に平行に複数の導風片が配置されている。このため、吸気ダクトから所定角度流れ方向を変更して通風路へ導かれる空気は、この通風路内で、複数の導風片により仕切られた通風小路内に流れる。この通風小路内では、空気の流れ方向が変更されることによりその内側に生ずる空気の淀み領域が小さくなる。一般に、空気の淀み領域では空気温度が高く、バッテリのうち上記淀み領域に対応する部分は、冷却が不十分となって温度が局所的に高くなるが、通風小路内で空気の淀み領域が小さくなることで、バッテリのうち温度が局所的に高くなる部分の発生を抑制でき、バッテリを均一に冷却することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面に基づき説明する。
[A]第1の実施の形態(図1)
図1は、本発明に係るバッテリ冷却装置の第1の実施の形態である電動車両用のバッテリ冷却装置を示し、(A)が縦断面図、(B)が図1(A)のIB−IB線に沿う断面図である。
電動車両のバッテリ1は、電動車両の駆動モータへ電力を供給するものであり、バッテリ冷却装置10のバッテリボックス11内に複数個が積層して一列に収納される。各バッテリ1は直方体形状であり、6面のうちの面積の広い天面2と天面3とを互いに対向させてバッテリボックス11内に積層される。
このとき、隣接するバッテリ1間に通風路12が形成される。つまり、隣接するバッテリ1の互いに対向する天面2と天面3との間に、冷却用の空気が流れる通風路12が形成される。この通風路12へは、吸気ダクト13から空気(外気)が導かれ、また、通風路12内を流れた空気は排気ダクト14から大気中へ排出される。
これらの吸気ダクト13及び排気ダクト14は、バッテリボックス11内でのバッテリ1の積層方向Zに対して垂直で、且つ通風路12内を流れる空気の流れ方向Bに対して所定角度θに位置付けられて、バッテリボックス11に接続される。この所定角度θは例えば90度であり、この場合、吸気ダクト13及び排気ダクト14は、通風路12内を流れる空気の流れ方向Bに対し垂直に位置付けられる。この所定角度θは90度に限られず、例えば120度であってもよいが、本実施の形態では90度の場合を示す。
更に通風路12には、当該通風路12内を流れる空気の流れ方向Bに平行に複数枚の導風片15が配置される。従って、通風路12内は、これらの導風片15により仕切られて複数の通風小路16に区画される。そして、これらの通風小路16は、吸気ダクト13内を流れる空気の流れ方向Aに並列に設けられる。
吸気ダクト13の吸気口17から当該吸気口13内に流入した空気は、この吸気ダクト13内を矢印A方向に流れ、流れ方向を直角(θ=90度)に変更して、通風路12の各通風小路16内へ矢印B方向に流れる。空気は、これらの通風小路16内を流れる間に、これらの通風小路16に接するバッテリ1を冷却する。冷却により温度上昇した通風小路16内の空気は、排気ダクト14内へ至って流れ方向を直角(θ=90等)に変更し、矢印C方向に流れて、排気ダクト14の排気口18から大気中へ排出される。
従って、本実施の形態によれば、複数のバッテリ1を積層して収納するバッテリボックス11に設けられる吸気ダクト13が、バッテリ1の積層方向Zに対し垂直で、且つバッテリ1間に形成される通風路12内を流れる空気の流れ方向Bに対し垂直に位置付けられると共に、通風路12に、当該通風路12を流れる空気の流れ方向Bに平行に複数枚の導風片15が配置されている。このため、吸気ダクト13から直角に流れ方向を変更して通風路12へ導かれる空気は、この通風路12内で、複数の導風片15により仕切られた通風小路16内を流れる。この通風小路6内では、吸気ダクト13からの空気の流れ方向が直角に変更されることによりその内側に淀みXが発生するが、この空気の淀みXの領域は、導風片15が存在しないことにより通風路12に生ずる淀み(図12の淀みWに相当)の領域に比べて小さくなる。
一般に、空気の淀み領域では空気温度が高く、バッテリ1のうち当該淀み領域に対応する部分は、冷却が不充分となって温度が局所的に高くなる。ところが、本実施の形態のように、通風小路16内で空気の淀みXの領域が小さくなることで、この通風小路16内で空気の温度が部分的に高くならず、従ってバッテリ1のうち温度が局所的に高くなる部分の発生を抑制できる。この結果、複数のバッテリ1のそれぞれを均一に冷却することができる。
[B]第2の実施の形態(図2)
図2は、本発明に係るバッテリ冷却装置の第2の実施の形態である電動車両用のバッテリ冷却装置を示し、(A)が縦断面図、(B)が図2(A)のIIB−IIB線に沿う断面図である。この第2の実施の形態において、前記第1の実施の形態と同様な部分は、同一の符号を付して説明を簡略化し、または省略する。
本実施の形態のバッテリ冷却装置20が前記第1の実施の形態のバッテリ冷却装置10と異なる点は、複数枚の導風片15のピッチPが以下のように設定された点である。つまり、複数枚の導風片15のピッチPは、通風路12を形成する隣接したバッテリ1の隙間寸法Tと略同一に設定される。導風片15のピッチPを上述のように設定することで、通風路12が導風片15により仕切られて形成される通風小路21では、淀みX(図1参照)の発生をほとんど無くすことが可能となる。
従って、本実施の形態によれば、導風片15のピッチPが、積層するバッテリ1間の隙間寸法Tに設定されたことで、この導風片15により仕切られて形成される通風小路21内に、淀みXの発生を防止できる。この結果、複数の通風路12における複数の通風小路21内で空気温度が上昇せず略均一になるので、積層されたバッテリ1のそれぞれを、通風小路21内を流れる空気によって、前記第1の実施の形態に比べ、より一層均一に冷却することができる。
[C]第3の実施の形態(図3)
図3は、本発明に係るバッテリ冷却装置の第3の実施の形態である電動車両用のバッテリ冷却装置を示し、(A)が縦断面図、(B)が図3(A)のIIIB−IIIB線に沿う断面図である。この第3の実施の形態において、前記第1の実施の形態と同様な部分は、同一の符号を付して説明を簡略化し、または省略する。
本実施の形態のバッテリ冷却装置30が前記第1の実施の形態のバッテリ冷却装置10と異なる点は、積層されたバッテリ1間の通風路12に導風片ユニット31が設置された点である。つまり、複数枚の導風片15は、バッテリ1の積層方向Zの片側の側面32がサポート板33に固着されて一体化され、導風片ユニット31が構成される。この導風片ユニット31が、積層されたバッテリ1間の通風路12に設置されることで、導風片15が容易に落下などすることが防止される。
従って、本実施の形態によれば、複数枚の導風片15がサポート板33により一体化されて、積層されたバッテリ1間の通風路12内に設置されたことから、これらの導風片15が振動等によってバッテリ1間から緩んで容易に落下することなどを防止できる。この結果、積層されたバッテリ1間の通風路12に、導風片15による通風小路16が常に確保されるので、通風路12内での淀みXの発生が抑制されて、複数のそれぞれのバッテリ1の均一な冷却を確実に維持することができる。
[D]第4の実施の形態(図4)
図4は、本発明に係るバッテリ冷却装置の第4の実施の形態である電動車両用のバッテリ冷却装置を示し、(A)が縦断面図、(B)が図4(A)のIVB−IVB線に沿う断面図である。この第4の実施の形態において、前記第1の実施の形態と同様な部分は、同一の符号を付して説明を簡略化し、または省略する。
本実施の形態のバッテリ冷却装置40が前記第1の実施の形態のバッテリ冷却装置10と異なる点は、前記第3の実施の形態と同様に、積層されたバッテリ1間の通風路12に導風片ユニット41が設置された点である。
つまり、複数枚の導風片15は、バッテリ1の積層方向Zの両側の側面42、43のそれぞれがサポート板44、45に固着されて一体化され、剛性の高い導風片ユニット41が構成される。この導風片ユニット41が、積層されたバッテリ1間の通風路12に設置されることで、導風片15が容易に落下などすることが防止される。
従って、本実施の形態によれば、複数枚の導風片15がサポート板44及び45により一体化されて剛性が高まり、積層されたバッテリ1間の通風路12内に設置されたことから、これらの導風片15が振動や衝撃等によってバッテリ1間から緩んで容易に落下することなどを防止できる。この結果、積層されたバッテリ1間の通風路12に、導風片15による通風小路16が常に確保されるので、通風路12内での淀みXの発生が抑制されて、複数のそれぞれのバッテリ1の均一な冷却を確実に維持することができる。
[E]第5の実施の形態(図5)
図5は、本発明に係るバッテリ冷却装置の第5の実施の形態である電動車両用のバッテリ冷却装置を示し、(A)が縦断面図、(B)が図5(A)のVB−VB線に沿う断面図である。この第5の実施の形態において、前記第1の実施の形態と同様な部分は、同一の符号を付して説明を簡略化し、または省略する。
本実施の形態のバッテリ冷却装置50が前記第1の実施の形態のバッテリ冷却装置10と異なる点は、導風片51の吸気ダクト13側の端部52の形状を変更した点である。つまり、導風片51は、吸気ダクト13側の端部52が、当該吸気ダクト13における空気の流れ方向Aの上流側に向けて、直線状に屈曲または湾曲した形状に構成されている。
これにより、吸気ダクト13からの空気が、導風片51により仕切られた通風小路16内に、流れ方向を変更して流入し易くなり、この流れ方向が変更される内側の通風小路16内に淀みX(図1参照)が発生することがほとんどなくなる。
従って、本実施の形態によれば、導風片51における吸気ダクト13側の端部52が、吸気ダクト13における空気の流れ方向Aの上流側に向けて曲げられて形成されている。このため、吸気ダクト13から通風小路6内へ空気が流入し易くなり、この通風小路16内に淀みXがほとんど発生しなくなるので、通風小路16内での空気温度が均一となって、通風小路16ひいては通風路12に接触するバッテリ1を、前記第1の実施の形態に比べ、より一層均一に冷却することができる。
また、吸気ダクト13から通風小路16内へ空気が流入し易くなることで、圧力損失が低減され、この結果、吸気ダクト13の吸気口17へ空気を送風し、または排気ダクト14の排気口18から空気を吸引するそれぞれのファン(不図示)の動力を低減することができる。
[F]第6の実施の形態(図6)
図6は、本発明に係るバッテリ冷却装置の第6の実施の形態である電動車両用のバッテリ冷却装置を示し、(A)が縦断面図、(B)が図6(A)のVIB−VIB線に沿う断面図である。この第6の実施の形態において、前記第1の実施の形態と同様な部分は、同一の符号を付して説明を簡略化し、または省略する。
本実施の形態のバッテリ冷却装置60が前記第1の実施の形態のバッテリ冷却装置10と異なる点は、導風片61の排気ダクト14側の端部62の形状を変更した点である。つまり、導風片61は、排気ダクト14側の端部62が、当該排気ダクト14における空気の流れ方向Cの下流側に向けて、直線状に屈曲または湾曲した形状に構成されている。これにより、導風片61により仕切られて形成された通風小路16から、流れ方向を変更して排気ダクト14内へ空気が流出し易くなる。
従って、本実施の形態によれば、前記第1の実施の形態の効果に加え、導風片61における排気ダクト14側の端部62が、排気ダクト14における空気の流れ方向Cの下流側に向けて曲げられて形成されている。このため、通風小路16から排気ダクト14内へ空気が流出し易くなり、圧力損失を低減させることができる。この結果、吸気ダクト13の吸気口17へ空気を送風し、または排気ダクト14の排気口18から空気を吸引するそれぞれのファン(不図示)の動力を低減することができる。
[G]第7の実施の形態(図7)
図7は、本発明に係るバッテリ冷却装置の第7の実施の形態である電動車両用のバッテリ冷却装置を示し、(A)が縦断面図、(B)が図7(A)のVIIB−VIIB線に沿う断面図である。この第7の実施の形態において、前記第1の実施の形態と同様な部分は、同一の符号を付して説明を簡略化し、または省略する。
本実施の形態のバッテリ冷却装置70は、前記第5の実施の形態のバッテリ冷却装置50と、第6の実施の形態のバッテリ冷却装置60とを組み合わせて構成されたものである。つまり、このバッテリ冷却装置70では、導風片71の吸気ダクト13側の端部72が、当該吸気ダクト13における空気の流れ方向Aの上流側に向けて、直線状に屈曲または湾曲した形状に構成されている。更に、この導風片71の排気ダクト14側の端部73が、当該排気ダクト14における空気の流れ方向Cの下流側に向けて、直線状に屈曲または湾曲した形状に構成されている。これらにより、吸気ダクト13から通風小路16内への空気の流入と、通風小路16から排気ダクト14への空気の流出とが容易化される。
従って、本実施の形態によれば、導風片71の吸気ダクト13側の端部72が、吸気ダクト13における空気の流れ方向Aの上流側に向けて曲げられ、排気ダクト14側の端部73が、排気ダクト14における空気の流れ方向Cの下流側に向けて曲げられて形成されている。このため、吸気ダクト13から通風小路16内へ空気が流入し易くなり、通風小路16から排気ダクト14へ空気が流出し易くなるので、この通風小路16内に淀みX(図1参照)がほとんど発生しない。この結果、通風小路16内で空気温度が均一となって、通風小路16ひいては通風路12に接するバッテリ1を、前記第1の実施の形態に比べ、より一層均一に冷却することができる。
また、吸気ダクト13から通風小路16内への空気の流入と、通風小路16から排気ダクト14への空気の流出とが共に容易化されたことで、圧力損失を低減できる。この結果、吸気ダクト13の吸気口17へ空気を送風し、または排気ダクト14の排気口18から空気を吸引するそれぞれのファン(不図示)の動力を低減できる。
[H]第8の実施の形態(図8〜図10)
図8は、本発明に係るバッテリ冷却装置の第8の実施の形態である電動車両用のバッテリ冷却装置を示し、(A)が縦断面図、(B)が図8(A)のVIIIB−VIIIB線に沿う断面図である。この第8の実施の形態において、前記第1の実施の形態と同様な部分は、同一の符号を付して説明を簡略化し、または省略する。
本実施の形態のバッテリ冷却装置80が前記第1の実施の形態のバッテリ冷却装置10と異なる点は、排気ダクト81の流路断面積が吸気ダクト13の流路断面積よりも大きく設定された点である。つまり、排気ダクト81の高さH1が吸気ダクト13の高さH2よりも高く、例えば高さH2の略1.4倍の高さに設定されている。
このように排気ダクト81の高さH1を吸気ダクト13の高さH2よりも高く設定することで、排気ダクト71の手前側を流れる空気の流速が速く、吸気ダクト13から複数のバッテリ1間の通風小路16などへ導かれる空気を排気ダクト14内へ引き寄せることから、淀みの発生を抑制することが可能となる。従って、吸気口17から吸気ダクト13内へ導入された空気は、複数のバッテリ1間の通風路12における各通風小路16を流れて排気ダクト81へ至るが、このとき、吸気口17及び排気ダクト81の排気口82に近い手前側から遠い奥側における各通風小路16内を流れる空気は、それぞれ、排気ダクト81を流れる高速の空気に引き寄せられて、淀みX(図1参照)の発生が防止されると共に、均一な流速の流れとなる。このため、積層された各バッテリ1は、バッテリボックス11内で、吸気口17及び排気口82に近い手前側から遠い奥側に至る全ての範囲において、前記第1の実施の形態に比べ、より一層均一に冷却されることになる。
上述の流速特性及び冷却特性を、図9及び図10を用いて、第1の実施の形態の場合と比較して説明する。
図1に示す第1の実施の形態のバッテリ冷却装置10では、排気ダクト14の高さが吸気ダクト13の高さと略同一に設定されている。このため、図9の実線βに示すように、吸気ダクト13からバッテリ1間の通風路12における各通風小路16へ流れる空気は、吸気口17及び7排気口18から遠い奥側の通風小路16において流速が速いが、吸気口17及び排気口18に近い手前側の通風小路6において流速が遅くなってしまう。従って、図10の実線δに示すように、積層された複数のそれぞれのバッテリ1において、吸気口17及び排気口18に近い手前側の部分の冷却が、吸気口17及び排気口18から遠い奥側の部分の冷却に比べて若干劣り、バッテリ1の全領域をほぼ均一に冷却できるとは言い難い。
これに対し、本実施の形態のバッテリ冷却装置80では、排気ダクト81の高さH1が吸気ダクト13の高さH2よりも例えば略1.4倍高く設定されたので、排気ダクト71の手前側を流れる空気の流速が速く、吸気ダクト13から複数のバッテリ1間の通風小路16などへ導かれる空気を排気ダクト14内へ引き寄せることから、淀みの発生を抑制することが可能となり、バッテリ1間の通風路12における各通風小路16を流れる空気は、図9の実線αに示すように、吸気口17及び排気口82に近い手前側から遠い奥側の範囲にそれぞれ位置する各通風小路16において等しくなる。このため、図10の実線γに示すように、積層された複数のそれぞれのバッテリ1が、吸気口17及び排気口82に近い手前側部分から遠い奥側部分に亘り均一に冷却される。
従って、本実施の形態によれば、排気ダクト81の高さH1が吸気ダクト13の高さH2よりも例えば略1.4倍に設定されたことから、排気ダクト71の手前側を流れる空気の流速が速く、吸気ダクト12から複数のバッテリ1間の通風路14などへ導かれる空気を排気ダクト71内へ引き寄せることから、吸気ダクト12における空気導入部24やバッテリ1に対応する領域に、淀みの発生を抑制することが可能となり、通風路12の各通風小路16内を流れる空気の流速が均一になると共に、各通風小路16内で淀みX(図1)の発生が防止される。この結果、積層された複数のそれぞれのバッテリ1を全領域に亘り、第1の実施の形態の場合に比べて、より一層均一に冷却することができる。
[I]第9の実施の形態(図11)
図11は、本発明に係るバッテリ冷却装置の第9の実施の形態である電動車両用のバッテリ冷却装置を示し、(A)が縦断面図、(B)が図11(A)のXIB−XIB線に沿う断面図である。この第9の実施の形態において、前記第1の実施の形態と同様な部分は、同一の符号を付して説明を簡略化し、または省略する。
本実施の形態のバッテリ冷却装置90が前記第1の実施の形態のバッテリ冷却装置10と異なる点は、積層された複数のバッテリ1からなるバッテリ列91が、バッテリボックス11内に複数組、例えば2組収納された点である。これら複数組のバッテリ列91は、吸気ダクト13を流れる空気の流れ方向Aに沿ってバッテリボックス11内に配置される。
本実施の形態においても、各バッテリ列91における複数のバッテリ1間の通風路12に設けられた通風小路16内で淀みXの領域が小さくなることで、この通風小路16内の空気の温度が部分的に高くならず、第1の実施の形態と同様に、各バッテリ別91において、積層されたバッテリ1のそれぞれを均一に冷却することができる。
尚、本実施の形態における、バッテリボックス11内に複数組のバッテリ列91を収納する構成を、第2〜第8の各実施形態に適用してもよい。この場合にも、それぞれの実施形態における各効果と同様な効果を奏する。
以上、本発明を上記実施の形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、第3〜第9のそれぞれの実施の形態において、導風片15のピッチPが、第2の実施の形態と同様に、バッテリ1間の隙間寸法Tと略同一に設定されてもよい。
また、第2または第5〜第9のそれぞれの実施の形態において、導風片15は、第3または第4の実施の形態と同様に、バッテリ1の積層方向Zの片側または両側の側面42、43にサポート板44、45が設置されて、このサポート板44、45と一体化されてもよい。
更に、第2〜第4、第8または第9のそれぞれの実施の形態において、導風片15の吸気ダクト13側端部が、この吸気ダクト13内での空気の流れ方向Aの上流側に向けて構成された構造と、導風片15の排気ダクト14側端部が、排気ダクト14内での空気の流れ方向Cの下流側に向けて構成された構造との、少なくとも一方が実施されるものでもよい。
また、第2〜第7または第9のそれぞれの実施の形態において、排気ダクト14の高さが吸気ダクト13の高さよりも高く、例えば略1.4倍の高さに設定されてもよい。
更に、上述の各実施の形態では、バッテリ1は、電動車両に用いられるものを述べたが、電子レンジや掃除機などの家庭用もしくは業務用の電気機器、または例えば屋外で使用される作業用機械などに用いられるものでもよい。
本発明に係るバッテリ冷却装置の第1の実施の形態である電動車両用のバッテリ冷却装置を示し、(A)が縦断面図、(B)が図1(A)のIB−IB線に沿う断面図。 本発明に係るバッテリ冷却装置の第2の実施の形態である電動車両用のバッテリ冷却装置を示し、(A)が縦断面図、(B)が図2(A)のIIB−IIB線に沿う断面図。 本発明に係るバッテリ冷却装置の第3の実施の形態である電動車両用のバッテリ冷却装置を示し、(A)が縦断面図、(B)が図3(A)のIIIB−IIIB線に沿う断面図。 本発明に係るバッテリ冷却装置の第4の実施の形態である電動車両用のバッテリ冷却装置を示し、(A)が縦断面図、(B)が図4(A)のIVB−IVB線に沿う断面図。 本発明に係るバッテリ冷却装置の第5の実施の形態である電動車両用のバッテリ冷却装置を示し、(A)が縦断面図、(B)が図5(A)のVB−VB線に沿う断面図。 本発明に係るバッテリ冷却装置の第6の実施の形態である電動車両用のバッテリ冷却装置を示し、(A)が縦断面図、(B)が図6(A)のVIB−VIB線に沿う断面図。 本発明に係るバッテリ冷却装置の第7の実施の形態である電動車両用のバッテリ冷却装置を示し、(A)が縦断面図、(B)が図7(A)のVIIB−VIIB線に沿う断面図。 本発明に係るバッテリ冷却装置の第8の実施の形態である電動車両用のバッテリ冷却装置を示し、(A)が縦断面図、(B)が図8(A)のVIIIB−VIIIB線に沿う断面図。 図8のバッテリ冷却装置について、バッテリボックス間の任意の通風路における各通風小路内を流れる空気の流速分布を、図1のバッテリ冷却装置の場合と比較して示すグラフである。 図8のバッテリ冷却装置におけるバッテリボックス内の任意のバッテリにおける温度分布を示すグラフ。 本発明に係るバッテリ冷却装置の第9の実施の形態である電動車両用のバッテリ冷却装置を示し、(A)が縦断面図、(B)が図11(A)のXIB−XIB線に沿う断面図。 従来の電動車両用のバッテリ冷却装置を示し、(A)が縦断面図、(B)が図12(A)のXIIB−XIIB線に沿う断面図。
符号の説明
1 バッテリ
10 バッテリ冷却装置
11 バッテリボックス
12 通風路
13 吸気ダクト
14 排気ダクト
15 導風片
16 通風小路
20 バッテリ冷却装置
21 通風小路
30 バッテリ冷却装置
32 側面
33 サポート板
40 バッテリ冷却装置
42、43 側面
44、45 サポート板
50 バッテリ冷却装置
51 導風片
52 端部
60 バッテリ冷却装置
61 導風片
62 端部
70 バッテリ冷却装置
71 導風片
72、73 端部
80 バッテリ冷却装置
81 排気ダクト
90 バッテリ冷却装置
91 バッテリ別
A、B 流れ方向
H1、H2 高さ
P ピッチ
T 隙間寸法
Z 積層方向
θ 所定角度

Claims (9)

  1. 複数のバッテリを積層して収納するバッテリボックスに吸気ダクトが設けられ、この吸気ダクトから導かれる空気が、前記バッテリ間に形成される通風路内を流れることで前記バッテリを冷却するバッテリ冷却装置において、
    前記吸気ダクトが、前記バッテリの積層方向に対し垂直で、且つ前記通風路を流れる空気の流れ方向に対し所定角度に位置付けられ、
    更に前記通風路に、当該通風路を流れる空気の流れ方向に平行に複数の導風片が配置され、これら複数の導風片のピッチが、前記通風路を形成する前記バッテリ間の隙間寸法と略同一に設定されたことを特徴とするバッテリ冷却装置。
  2. 前記吸気ダクトは、バッテリの積層方向に対し垂直で、且つバッテリ間の通風路を流れる空気の流れ方向に対し垂直に位置付けられたことを特徴とする請求項1に記載のバッテリ冷却装置。
  3. 前記複数の導風片は、バッテリの積層方向の片側または両側の側面に取り付けられたサポート板に一体化されて、前記バッテリ間の通風路内に配置されたことを特徴とする請求項1または2に記載のバッテリ冷却装置。
  4. 前記導風片は、吸気ダクト側の端部が、当該吸気ダクトにおける空気の流れ方向の上流側に向けられて形成されたことを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載のバッテリ冷却装置。
  5. 前記バッテリボックスには、当該バッテリボックス内の空気を排出する排気ダクトが設けられ、
    導風片は、上記排気ダクト側の端部が、当該排気ダクトにおける空気の流れ方向の下流側に向けられて形成されたことを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載のバッテリ冷却装置。
  6. 前記バッテリボックスには、当該バッテリボックス内の空気を排出する排気ダクトが設けられ、
    この排気ダクトの流路断面積が、吸気ダクトの流路断面積よりも大きく設定されたことを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載のバッテリ冷却装置。
  7. 前記排気ダクトの高さが、吸気ダクトの高さの略1.4倍に設定されたことを特徴とする請求項に記載のバッテリ冷却装置。
  8. 前記バッテリボックスには、積層された複数のバッテリが一列または複数列、吸気ダクト内を流れる空気の流れ方向に設置されたことを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載のバッテリ冷却装置。
  9. 前記バッテリが、電動車両、電気機器または作業用機械に用いられるものであることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載のバッテリ冷却装置。
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