JP5071668B2 - アルミニウム膜形成用組成物及びアルミニウム膜の形成方法 - Google Patents
アルミニウム膜形成用組成物及びアルミニウム膜の形成方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5071668B2 JP5071668B2 JP2008076638A JP2008076638A JP5071668B2 JP 5071668 B2 JP5071668 B2 JP 5071668B2 JP 2008076638 A JP2008076638 A JP 2008076638A JP 2008076638 A JP2008076638 A JP 2008076638A JP 5071668 B2 JP5071668 B2 JP 5071668B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- group
- aluminum film
- aluminum
- formula
- titanium
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
- 0 COC(*)=CC(N)=O Chemical compound COC(*)=CC(N)=O 0.000 description 1
Landscapes
- Electrodes Of Semiconductors (AREA)
- Paints Or Removers (AREA)
- Chemically Coating (AREA)
Description
下記式(1)で表される錯体及び下記式(2)で表される錯体よりなる群から選択される少なくとも一種を含有するアルミニウム膜形成用組成物によって達成される。
本発明の上記目的は、第二に、
基体上に上記のアルミニウム膜形成用組成物を塗布して塗膜を形成し、該塗膜に加熱及び光照射のうちの少なくとも一種の処理を施すアルミニウム膜の形成方法によって達成される。
上記式(1)で表される錯体は、水素化アルミニウムと下記式(1’)
NR1R2R3 (1’)
(式(3)中、R1、R2及びR3はそれぞれ上記式(1)におけるのと同じ意味である。)
で表される化合物との錯体である。
上記式(2)で表される錯体は、水素化アルミニウムと下記式(2’−1)
NR4R5R6 (2’−1)
(式(2’−1)中、R4、R5及びR6はそれぞれ上記式(2)におけるのと同じ意味である。)
で表される化合物及び下記式(2’−2)
NR7R8R9 (2’−2)
(式(2’−2)中、R7、R8及びR9はそれぞれ上記式(2)におけるのと同じ意味である。)
で表される化合物との錯体である。上記式(2’−1)で表される化合物と上記式(2’−2)で表される化合物とは同一種の化合物であっても、異なる種類の化合物であってもよいが、同一の化合物であることが好ましい。また、本発明のアルミニウム膜形成用組成物が上記式(1)で表される錯体及び上記式(2)で表される錯体の双方を含有するものである場合、上記式(1’)で表される化合物、上記式(2’−1)で表される化合物及び上記式(2’−2)で表される化合物は、それぞれ同一であっても互いに異なっていてもよいが、いずれも同一種類の化合物であることが好ましい。
上記式(1)におけるR1(すなわち上記式(1’)におけるR1)、上記式(2)におけるR4及びR7(すなわち上記式(2’−1)におけるR4及び上記式(2’−2)におけるR7)の炭素数9〜20のアルキル基としては、例えばイソオクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−テトラデシル基、2−エチル−ヘプチル基、2−エチル−デシル基、2.6.10.14−テトラメチルヘキサデカニル基等を;
炭素数9〜20のアルケニル基としては、例えば2−メチル−オクタ−2−エニル基、n−ノナ−1−エニル基、n−デカ−1−エニル基、n−ドデカ−1−エニル基、2−エチル−ヘプタ−1−エニル基、2−エチル−デカ−1−エニル基、n−オクタデカ−9−エニル基、2,6−ジメチルデカ−2,6−ジエニル基等を;
炭素数9〜20のアルキニル基としては、例えばn−ノナ−1−イニル基、n−デカ−1−イニル基、n−ドデカ−1−イニル基等を、それぞれ挙げることができる。
炭素数7〜20の脂環式基としては、単環式の基、架橋環式の基等を挙げることができる。単環式の基としては、例えばシクロヘキシル基、2−シクロヘキシニル基、シクロヘキシルエチル基、2−シクロヘキシニルエチル基、シクロへプチル基、2−シクロヘプチル基、シクロオクチル基、2−シクロオクチル基、シクロオクチルエチル基、2−シクロオクチルエチル基、シクロノニル基、シクロドデシル基、シクロドデシルエチル基、シクロドデシルプロピル基等を;
架橋環式の基としては、例えば1−アダマンチル基、ノルボルネン基、ノルボルナジエニル基、ジシクロペンタジエニル基、イソピノカンフェリル基等を、それぞれ挙げることができる。
R1、R4及びR7としては、炭素数12〜18のアルキル基又は炭素数7〜10の脂環式基が好ましく、炭素数12〜18のアルキル基又は炭素数7〜10の架橋環式基が好ましく、特にドデシル基、オクタデシル基、2,6−ジメチルデカ−2,6−ジエニル基、2−エチル−デシル基、2,6,10,14−テトラメチルヘキサデカニル基、シクロドデシルエチル基、シクロドデシルプロピル基、1−アダマンチル基又はイソピノカンフェニル基が好ましい。
炭素数1〜20のアルケニル基としては、例えばR1、R4及びR7における炭素数9〜20のアルケニル基として例示したもののほか、ビニル基、アリル基、クロチル基等を;
炭素数1〜20のアルキニル基としては、例えばR1、R4及びR7における炭素数9〜20のアルキニル基として例示したもののほか、エチニル基、フェニルエチニル基等を;
炭素数3〜20の脂環式基としては、例えばR1、R4及びR7における炭素数7〜20の脂環式基として例示したもののほか、シクロヘキシル基等を、それぞれ挙げることができる。
R2、R3、R5、R6、R8及びR9としては、水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、水素原子がより好ましい。
上記の反応は、好ましくはエーテル溶媒又は炭化水素溶媒中で行なわれる。上記エーテル溶媒としては、例えばジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、p−ジオキサン、アニソール、2−メチルアニソール、3−メチルアニソール、4−メチルアニソール、フェントール、2−メチルフェントール、3−メチルフェントール、4−メチルフェントール、ベラトロール、2−エトキシアニソール、1,4−ジメトキシベンゼン等を挙げることができる。
上記炭化水素溶媒としては、脂肪族炭化水素及び芳香族炭化水素を挙げることができ、これらの具体例としては、脂肪族炭化水素として例えばn−ペンタン、シクロペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘプタン、n−オクタン等を;芳香族炭化水素として例えばベンゼン、トルエン、キシレン等を、それぞれ挙げることができる。
反応温度は、好ましくは−50〜50℃、より好ましくは−20〜30℃であり、反応時間は好ましくは0.5〜5時間、より好ましくは1〜3時間である。
このとき、溶媒及び反応温度を上記の範囲で適当に選択することにより、上記式(1)で表される錯体と上記式(2)で表される錯体との混合比を任意の割合とすることができる。例えば使用する溶媒の極性を高くするほど、あるいは反応温度を低くするほど、上記式(1)で表される錯体の生成割合を高くすることができる。一方、使用する溶媒の極性を低くするほど、あるいは反応温度を高くするほど、上記式(2)で表される錯体の生成割合を高くすることができる。従って、当業者であればかかる指針に基づいて、少しの予備実験により上記式(1)で表される錯体と上記式(2)で表される錯体とを上記の好ましい混合比で含有する反応溶液を容易に得ることができる。
本発明のアルミニウム膜形成用組成物は、上記式(1)で表される錯体及び上記式(2)で表される錯体を、好ましくは上記の混合比で含有してなるものであるが、必要に応じて任意添加成分を含有していてもよい。かかる任意添加成分としては、例えばチタン化合物等を挙げることができる。
上記チタン化合物としては、例えば下記式(3)〜(7)のそれぞれで表される化合物を挙げることができる。
Ti(OR10)4 (3)
(式(3)中、R10は炭素数1〜10のアルキル基若しくはハロゲン化アルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基又はフェニル基若しくはハロゲン化フェニル基である。)
Ti(OR11)xL4−x (4)
(式(4)中、R11炭素数1〜10のアルキル基若しくはハロゲン化アルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基又はフェニル基若しくはハロゲン化フェニル基であり、Lは式
で表される基であり、そしてxは0〜3の整数である。)
Ti(OR14)y(X)4−y (5)
(式(5)中、R14は炭素数1〜10のアルキル基又はフェニル基であり、Xはハロゲン原子であり、yは0〜3の整数である。)
Ti(NR15)4 (6)
(式(6)中、R15は炭素数1〜10のアルキル基又はフェニル基である。)
Ti(Cp)n(Y)4−n (7)
(式(7)中、Cpはシクロペンタジエニル基であり、Yはハロゲン原子又は炭素数1〜10のアルキル基であり、nは1〜4の整数であり、Yが複数ある場合はそれぞれ同一であっても相異なっていてもよい。)
上記式(3)におけるR10及び上記式(4)におけるR11としては、好ましくはメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基又はトリフルオロメチル基であり、より好ましくはメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基又はフェニル基である。
上記式(4)中、LのR12及びR13のそれぞれは、好ましくはメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、t−ブトキシ基、フェノキシ基、メチルフェノキシ基又はトルフルオロメチル基であり、より好ましくは、メチル基、エチル基、i−プロピル基、t−ブチル基、メトキシ基、エトキシ基、i−プロポキシ基、t−ブトキシ基又はトルフルオロメチル基である。
上記式(4)で表されるチタン化合物の具体例としては、例えばテトラキス(ペンタ−2,4−ジケト)チタニウム、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチルヘプタ−3,5−ジケト)チタニウム、テトラキス(1−エトキシブタン−1,3−ジケト)チタニウム、テトラキス(1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロペンタ−2,4−ジケト)チタニウム、(2,2−ジメチルヘキサ−3,5−ジケト)チタニウム、ビス(ペンタ−2,4−ジケト)チタニウムジメトキシド、ビス(2,2,6,6−テトラメチルヘプタ−3,5−ジケト)チタニウムジメトキシド、ビス(1−エトキシブタン−1,3−ジケト)チタニウムジメトキシド、ビス(1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロペンタ−2,4−ジケト)チタニウムジメトキシド、(2,2−ジメチルヘキサ−3,5−ジケト)チタニウムジメトキシド、ビス(ペンタ−2,4−ジケト)チタニウムジi−プロポキシド、ビス(2,2,6,6−テトラメチルヘプタ−3,5−ジケト)チタニウムジi−プロポキシド、ビス(1−エトキシブタン−1,3−ジケト)チタニウムジi−プロポキシド、ビス(1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロペンタ−2,4−ジケト)チタニウムジi−プロポキシド、(2,2−ジメチルヘキサ−3,5−ジケト)チタニウムジi−プロポキシド等を挙げることができる。
上記式(5)で表される化合物の具体例としては、例えばトリメトキシチタニウムクロライド、トリエトキシチタニウムクロライド、トリ−n−プロポキシチタニウムクロライド、トリ−i−プロポキシチタニウムクロライド、トリ−n−ブトキシチタニウムクロライド、トリ−t−ブトキシチタニウムクロライド、トリイソステアロイルチタニウムクロライド、ジメトキシチタニウムジクロライド、ジエトキシチタニウムジクロライド、ジ−n−プロポキシチタニウムジクロライド、ジ−i−プロポキシチタニウムジクロライド、ジ−n−ブトキシチタニウムジクロライド、ジ−t−ブトキシチタニウムジクロライド、ジイソステアロイルチタニウムジクロライド、メトキシチタニウムトリクロライド、エトキシチタニウムトリクロライド、n−プロポキシチタニウムトリクロライド、i−プロポキシチタニウムトリクロライド、n−ブトキシチタニウムトリクロライド、t−ブトキシチタニウムトリクロライド、イソステアロイルチタニウムトリクロライド、チタニウムテトラクロライド等を挙げることができる。
上記式(6)で表される化合物の具体例としては、例えばテトラキス(ジメチルアミノ)チタニウム、テトラキス(ジエチルアミノ)チタニウム、テトラキス(ジ−t−ブトキシアミノ)チタニウム、テトラキス(ジ−i−プロポキシアミノ)チタニウム、テトラキス(ジフェニルアミノ)チタニウム等を挙げることができる。
上記式(7)におけるYとしては、好ましくは塩素原子、臭素原子、メチル基、エチル基、t−ブチル基又はフェニル基である。
上記式(7)で表される化合物の具体例としては、例えばジシクロペンタジエニルチタニウムジクロライド、ジシクロペンタジエニルチタニウムジブロマイド、シクロペンタジエニルチタニウムトリクロライド、シクロペンタジエニルチタニウムトリブロマイド、ジシクロペンタジエニルジメチルチタニウム、ジシクロペンタジエニルジエチルチタニウム、ジシクロペンタジエニルジ−t−ブチルチタニウム、ジシクロペンタジエニルフェニルチタニウムクロライド、ジシクロペンタジエニルメチルチタニウムクロライド等を挙げることができる。
本発明のアルミニウム膜形成用組成物におけるチタン化合物の使用割合は、上記式(1)で表される錯体、上記式(2)で表される錯体及びチタン化合物の合計に対して、好ましくは1モル%以下であり、より好ましくは0.00001〜0.1モル%であり、さらに好ましくは0.00005〜0.01モル%である。チタン化合物の使用割合をこの範囲とすることにより、良好な埋め込み性と、組成物の安定性を両立することができる。
本発明のアルミニウム膜形成用組成物は、上記式(1)で表される錯体及び上記式(2)で表される錯体よりなる群から選択される少なくとも1種を含有し、場合により更に任意添加成分を含有し、好ましくはこれらを溶媒に溶解した溶液状の組成物として調製される。
本発明のアルミニウム膜形成用組成物に使用される溶媒は、上記式(1)で表される錯体及び上記式(2)で表される錯体よりなる群から選択される少なくとも1種並びに場合により使用される任意添加成分を溶解し、且つこれらと反応しないものであれば特に限定されない。かかる溶媒としては、例えば炭化水素溶媒、エーテル溶媒、その他の極性溶媒等を挙げることができる。
上記炭化水素溶媒としては、例えばn−ペンタン、シクロペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘプタン、n−オクタン、シクロオクタン、デカン、シクロデカン、ジシクロペンタジエンの水素化物、ベンゼン、トルエン、キシレン、デュレン、インデン、テトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン、スクワラン等を挙げることができる。
上記エーテル溶媒としては、例えばジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、p−ジオキサン、アニソール、2−メチルアニソール、3−メチルアニソール、4−メチルアニソール、フェントール、2−メチルフェントール、3−メチルフェントール、4−メチルフェントール、ベラトロール、2−エトキシアニソール、1,4−ジメトキシベンゼン等を挙げることができる。
上記極性溶媒としては、例えば塩化メチレン、クロロホルム等を挙げることができる。
これら溶媒は単独であるいは2種以上混合して用いることができる。
本発明のアルミニウム膜形成用組成物における溶媒を除いた成分の合計重量が
組成物の総重量に占める割合(以下、「固形分濃度」という。)は、形成すべきアルミニウム膜の膜厚に応じて適宜に設定される。例えばアルミニウム膜の膜厚が200nm未満の場合、固形分濃度は、好ましくは5〜55重量%であり、より好ましくは10〜50重量%である。アルミニウム膜の膜厚が200nm以上である場合の固形分濃度は、好ましくは55〜90重量%であり、より好ましくは70〜85重量%である。
例えば上記のようにして得られた上記式(1)で表される錯体及び上記式(2)で表される錯体よりなる群から選択される少なくとも1種を含有する反応溶液から副生物等の不溶物を除去した後の溶液をそのままアルミニウム膜形成用組成物として用いてもよいし、この不溶物除去後の反応溶液を更に所望の溶媒で溶媒置換した後に使用してもよい。あるいは、不溶物を除去した後の反応溶液から更に溶媒を除去した後に得られる上記式(1)で表される錯体及び上記式(2)で表される錯体よりなる群から選択される少なくとも1種を所望の溶媒に再溶解したものをアルミニウム膜形成用組成物として用いてもよい。
本発明のアルミニウム膜形成用組成物がチタン化合物を含有するものである場合、その製造にあたっては、例えば上記のようにして製造した上記式(1)で表される錯体及び上記式(2)で表される錯体よりなる群から選択される少なくとも1種を含有する溶液に、攪拌しながら所定量のチタン化合物の溶液を添加して調製することができる。チタン化合物を添加するときの温度は、好ましくは0〜150℃、より好ましくは5〜100℃である。添加にかける時間は、好ましくは0.1〜120分、より好ましくは0.2〜60分である。このような条件でチタン化合物を添加することにより、安定な組成物を得ることができる。
本発明のアルミニウム膜形成方法は、基体上に上記の如き本発明のアルミニウム膜形成用組成物を塗布して塗膜を形成し、該塗膜に加熱及び光照射のうちの少なくとも一種の処理を施して基体上で上記塗膜をアルミニウム膜に変換することにより、アルミニウム膜を形成するものである。
上記基体を構成する材料の材質、形状等に特に制限はない。基体の材質は、塗膜のアルミニウム膜への変換工程に加熱処理を採用する場合にはその加熱処理に耐えられるものであることが好ましい。塗膜が形成される基体の形状は塊状、板状、フィルム形状等で特に制限されるものではなく、塗膜が形成される基体表面は平面でもよく段差のある非平面でもよい。基体の材質の具体例としては、例えばガラス、金属、プラスチック、セラミックス等を挙げることができる。ガラスとしては、例えば石英ガラス、ホウ珪酸ガラス、ソーダガラス、鉛ガラス等が使用でき、金属としては、例えば金、銀、銅、ニッケル、シリコン、アルミニウム、鉄等の他ステンレス鋼等が使用できる。プラスチックとしては、例えばポリイミド、ポリエーテルスルホン等を挙げることができる。
上記チタン原子を含む有機金属化合物としては、例えばチタニウムアルコキシド、アミノ基を有するチタニウム化合物、チタニウムのβ−ジケトン錯体、シクロペンタジエニル基を有するチタニウム化合物、ハロゲン原子を有するチタニウム化合物等を挙げることができる。
上記パラジウム原子を含む有機金属化合物としては、例えばハロゲン原子を有するパラジウム錯体、パラジウムのアセテート、パラジウムのβ−ジケトン錯体、パラジウムと共役カルボニル基を有する化合物との錯体、パラジウムのホスフィン錯体等を挙げることができる。
上記アルミニウム原子を含む有機金属化合物は、アミン化合物と水素化アルミニウムとの錯体を除くものであり、例えばアルミニウムアルコキシド、アルミニウムアルキレート、アルミニウムのβ−ジケトン錯体等を挙げることができる。
パラジウム原子を含む有機金属化合物のうち、ハロゲン原子を有するパラジウム錯体として、例えばアリルパラジウムクロライド、ジクロロビス(アセトニトリル)パラジウム、ジクロロビス(ベンゾニトリル)パラジウム等;
パラジウムのアセテートとして、例えばパラジウムアセテート等;
パラジウムのβ−ジケトン錯体として、例えばペンタン−2,4−ジオナトパラジウム、ヘキサフルオロペンタンジオナトパラジウム等;
パラジウムと共役カルボニル基を有する化合物との錯体として、例えばビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム等;
パラジウムのホスフィン錯体として、例えばビス[1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]パラジウム、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムクロライド、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムアセテート、ジアセテートビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロ[1,2−ビス(ジフェニルホスフィン)エタン]パラジウム、トランス−ジクロロビス(トリシクロヘキシルホスフィン)パラジウム、トランス−ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、トランス−ジクロロビス(トリ−o−トリルホスフィン)パラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム等を、それぞれ挙げることができる。
アルミニウムアルキレートとして、例えばアルミニウムアセテート、アルミニウムアクリレート、アルミウムメタクリレート、アルミニウムシクロヘキサンブチレート等;
アルミニウムのβ−ジケトン錯体として、例えばペンタン−2,4−ジケトアルミニウム、ヘキサフルオロペンタン−2,4−ジケトアルミニウム、2,2,6,6−テトラメチルヘプタン−3,5−ジケトアルミニウム、ビス(エトキシブタン−1,3−ジケト)アルミニウムs−ブトキシド、(エトキシブタン−1,3−ジケト)アルミニウムジ−s−ブトキシド、(エトキシブタン−1,3−ジケト)アルミニウムジイソプロポキシド等を、それぞれ挙げることができる。
これらのうち、チタニウムイソプロポキシド、アルミニウムイソプロポキシド、ビス(エトキシブタン−1,3−ジケト)チタニウムジイソプロポキシド、テトラ(ペンタン−2,4−ジケト)チタニウム、ペンタン−2,4−ジケトパラジウム、ヘキサフルオロペンタン−2,4−ジケトパラジウム、ペンタン−2,4−ジケトアルミニウム又はヘキサフルオロペンタン−2,4−ジケトアルミニウムを用いるのが好ましい。
上記エーテルとしては、例えばテトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等;
上記エーテル基を有するエステルとして例えばエチレングリコルモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、2−アセトキシ−1−メトキシプロパン等;
上記炭化水素として、例えばトルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサン、オクタン、デカリン、テトラリン、デュレン等;
上記アルコールとして、例えばメタノール、エタノール、プロパノール等;
上記非プロトン性極性溶媒として、例えばN−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホアミド、γ−ブチロラクトン等を、それぞれ挙げることができる。
有機金属化合物の溶液中の有機金属化合物の含有量は、好ましくは0.1〜10重量%であり、より好ましくは0.1〜5重量%である。まお、この溶媒は、水や酸素を取り除いたものを用いることが望ましい。
これら下地膜の厚さは、加熱後の膜厚として0.001〜5μmであることが好ましく、0.005〜0.5μmであることがより好ましい。
上記塗布工程の後、塗布したアルミニウム膜形成用組成物中に含有される溶媒等の低沸点成分を除去するために、加熱処理を行ってもよい。加熱する温度及び時間は、使用する溶媒の種類、沸点(蒸気圧)により異なるが、例えば100〜350℃において、5〜90分間とすることができる。このとき、系全体を減圧にすることで、溶媒の除去をより低温で行うこともできる。減圧下における加熱処理の条件は、好ましくは100〜250℃において、10〜60分間である。
上記加熱処理の温度は、60℃以上とするのが好ましく、70℃〜600℃とするのがより好ましい。さらに好ましくは100℃〜400℃である。加熱時間は、好ましくは30秒〜120分であり、より好ましくは1〜90分、更に好ましくは10〜60分である。
上記光処理に用いる光源としては、例えば水銀ランプ、重水素ランプ、希ガスの放電光、YAGレーザー、アルゴンレーザー、炭酸ガスレーザー、希ガスハロゲンエキシマレーザー等を挙げることができる。上記水銀ランプとしては、例えば低圧水銀ランプ又は高圧水銀ランプを挙げることができる。上記希ガスの放電光に用いる希ガスとしては、例えばアルゴン、クリプトン、キセノン等を挙げることができる。上記希ガスハロゲンエキシマレーザーに使用する希ガスハロゲンとしては、例えばXeF、XeCl、XeBr、KrF、KrCl、ArF、ArCl等を挙げることができる。
これらの光源の出力としては、好ましくは10〜5,000Wであり、より好ましくは100〜1,000Wである。これらの光源の波長は特に限定されないが、好ましくは170nm〜600nmである。また、形成されるアルミニウム膜の膜質の点で、レーザー光の使用が特に好ましい。
上記塗布工程並びに加熱工程及び光照射工程を行う際の雰囲気は、不活性雰囲気又は還元性雰囲気であることが好ましい。不活性雰囲気は、例えば窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスを使用することにより実現することができる。還元性雰囲気は、水素等の還元性ガスの使用又は還元性ガスと上記不活性ガスとを併用することにより実現することができる。
上記加熱処理及び光処理は、どちらか一方のみを行ってもよく、加熱処理及び光処理の双方を行ってもよい。加熱処理及び光処理の双方を行う場合には、その順番の前後は問わず、加熱処理及び光処理を同時に行ってもよい。これらのうち、加熱処理のみを行うか、加熱処理及び光処理の双方を行うことが好ましい。
以下の操作は、特に記した場合を除くほか、すべて乾燥窒素雰囲気下で実施した。また、用いた溶媒は、すべて事前にモレキュラーシーブス4A(ユニオン昭和(株)製)で脱水し、かつ窒素ガスをバブリングすることにより脱気した。
また、形成したアルミニウム膜に関する各測定は、それぞれ以下の機器を用いて行った。
比抵抗:ナプソン社製、探針抵抗率測定器、型式「RT−80/RG−80」
膜厚及び膜密度:フィリップス社製、斜入射X線分析装置、型式「X’Pert MRD」
ESCAスペクトル:日本電子(株)製、型式「JPS80」
反射率:(株)日立ハイテクノロジーズ製、分光光度計、型式「U−4100」
調製例1
<チタン化合物を含有する溶液の調製例>
シクロペンタジエニルチタニウムトリクロリド0.11gを30mLガラス容器に仕込み、ここへ4−メチルアニソールを加えて全量を25.00gとした。これを十分に攪拌した後、室温で4時間静置し、次いで孔径0.1μmのポリテトラフロロエチレン製メンブランフィルタ(Whatman Inc.製)を用いてろ過することにより、シクロペンタジエニルチタニウムトリクロリドを20μmol/g含有する溶液を調製した。
調製例2
<下地膜形成用組成物の調製>
ビス(ペンタ−2,4−ジケト)チタニウム(IV)ジイソプロポキシド0.30g及びテトラキス(ジメチルアミノ)チタニウム64μLを20mLガラス容器にとり、ここへ2−アセトキシ−1−メトキシプロパンを加えて全量を18.00gとした。混合物を充分に攪拌した後、室温で2時間静置した。次いでこれを孔径0.1μmのポリテトラフロロエチレン製メンブランフィルタ(Whatman Inc.製)を用いてろ過することにより、下地膜形成用組成物を調製した。
<n−ドデシルアミンと水素化アルミニウムとの錯体の合成>
500mLフラスコ中に濃度10重量%の塩酸150mL及びアセトン50gを仕込み、磁気攪拌子を用いてよく攪拌した。ここにn−ドデシルアミン20gをアセトン50gに溶解した溶液を15分かけて添加し、更に2時間室温にて攪拌した。その後反応溶液を分液漏斗を用いて100mLの水で2回洗浄した後、アドバンテック製セルロースろ紙(型番:21150)を用いてろ過した。ろ液は300mLナス型フラスコで受けた。ろ過終了後、ナス型フラスコに磁気攪拌子を入れ、三方コックを装着した。この三方コックを、トラップを介して真空ポンプに接続し、ナス型フラスコを50℃に加熱しながらマグネチックスターラによって回転数300rpmで攪拌しながら減圧にて溶媒及び水を除去することにより、白色固体粉末であるn−ドデシルアミン塩化水素酸塩12.0gを得た(収率50%)。この操作を上記スケールで繰り返すことにより、下記の工程における必要量を確保した。
上記の三口フラスコにガラス製シリンジを用いてジエチルエーテル100mLを加えた。マグネチックスターラにより回転数1,000rpmで攪拌しながら、n−ドデシルアミン塩化水素酸塩を粉体添加用漏斗から10分間かけて三口フラスコ中に徐々に落とした後、更に2時間攪拌を継続した。
次いで、ポリテトラフロロエチレン製のチューブの先端に脱脂綿(日本薬局方脱脂綿)を詰めたものを用いて、反応混合物を圧送により別容器に取り出し、次いでポリテトラフロロエチレン製の孔径0.1μmのメンブランフィルタ(Whatman Inc.製)によりろ過した。ろ液は300mLナス型フラスコで受け、ろ過終了後にナス型フラスコ磁気攪拌子を入れ、三方コックを装着した。
この三方コックを、トラップを介して真空ポンプに接続し、マグネチックスターラによって回転数300rpmで攪拌しながら減圧にて溶媒を除去した。溶媒除去後、残存物をポリテトラフロロエチレン製の孔径0.1μmのメンブランフィルタ(Whatman Inc.製)を用いて濾過することにより、n−ドデシルアミンと水素化アルミニウムとの錯体6.1gを、白色の固体として得た(収率28%)。この錯体の1H−NMRを測定したところ、この錯体は一付加体(上記式(1)で表される錯体)のみからなるものであることがわかった。
<アルミニウム錯体を含有する溶液の調製>
上記で得たn−ドデシルアミンと水素化アルミニウムとの錯体4.00gに4−メチルアニソールを加えて全量を8.00gとすることにより、n−ドデシルアミンと水素化アルミニウムとの錯体を50重量%含有する無色透明の溶液を調製した。
窒素雰囲気下において、上記で調製した溶液のうちの4mLを容量10mLのガラス製バイアルびんにとり、密栓した。このバイアルびんを空気中に取り出して開封して様子を観察した。開封状態で空気中に静置したところ、開封後30分が経過しても外観上変化がなく、無色透明のままであり、この溶液の空気中における取り扱いの安全性が確認された。
<アルミニウム膜の形成>
以下の操作はすべて酸素濃度5ppm以下の窒素雰囲気下で実施した。
(1)アルミニウム膜形成用組成物の調製
上記で調製したn−ドデシルアミンと水素化アルミニウムとの錯体を50重量%含有する溶液の0.50mLをとり、これを室温下で撹拌しつつ、上記調製例1で調製したシクロペンタジエニルチタニウムトリクロリドを20μmol/g含有する溶液の27μLを加え、更に1分間撹拌を継続することにより、アルミニウム膜形成用組成物を調製した。
(2)シリコン基板への下地膜形成
シリコン基板をスピンコーターに装着し、この上に上記調製例2で調製した下地膜形成用組成物1mLを滴下し、回転数3,000rpmにて10秒間スピンした。次いでこのシリコン基板を温度150℃に設定したホットプレート上に載せて25分間加熱することにより、シリコン基板上に下地膜を形成した。
(3)アルミニウム膜の形成
上記下地膜を形成したシリコン基板をスピンコーターの装着し、この上に上記で調製したアルミニウム膜形成用組成物の全量を滴下し、回転数800rpmで10秒間スピンした。次いでこの基板を温度200℃に設定したホットプレート上に載せて10分間加熱し、その後更に400℃で30分間加熱することにより、基板表面に金属光沢を有する膜が形成された。この膜のESCAスペクトルを観察したところ、73.5eVにAl2pに帰属されるピークが観察され、この膜がアルミニウム膜であることが分かった。膜厚は190nm、比抵抗値は50.1μΩ・cm、540nm波長の光に対する反射率は45%であった。
<1−アダマンチルアミンと水素化アルミニウムとの錯体の合成>
磁気攪拌子を入れた200mLの三口フラスコ中に、水素化リチウムアルミニウム3.80gを仕込んだ。三口フラスコの3つの接続口にはそれぞれ100mLの粉体添加用漏斗、窒素気流に接続した吸引栓三方コック及びガラス栓を装着した。1−アダマンチルアミン塩化水素酸塩(アルドリッチ社製)25.0gを粉体添加用漏斗に仕込んだ後に、三口フラスコを吸引栓三方コックを介して窒素シール下においた。
上記三口フラスコに、ガラス製シリンジを用いてジエチルエーテル100mLを加えた。マグネチックスターラにより回転数1,000rpmで攪拌しながら、粉体添加用漏斗中の1−アダマンチルアミン塩化水素酸塩を10分間かけて三口フラスコ中に徐々に落とした後、更に2時間攪拌を継続した。
次いで、ポリテトラフロロエチレン製のチューブの先端に脱脂綿(日本薬局方脱脂綿)を詰めたものを用いて、反応混合物を圧送により別容器に取り出し、次いでポリテトラフロロエチレン製の孔径0.1μmのメンブランフィルタ(Whatman Inc.製)によりろ過した。ろ液は300mLナス型フラスコで受け、ろ過終了後にナス型フラスコ磁気攪拌子を入れ、三方コックを装着した。
この三方コックを、トラップを介して真空ポンプに接続し、マグネチックスターラによって回転数300rpmで攪拌しながら減圧にて溶媒を除去した。溶媒除去後、残存物をポリテトラフロロエチレン製の孔径0.1μmのメンブランフィルタ(Whatman Inc.製)を用いて濾過することにより、1−アダマンチルアミンと水素化アルミニウムとの錯体6.3gを、白色の固体として得た(収率35%)。この錯体の1H−NMRを測定したところ、この錯体は一付加体(上記式(1)で表される錯体)のみからなるものであることがわかった。
上記で得た1−アダマンチルアミンと水素化アルミニウムとの錯体4.00gに4−メチルアニソールを加えて全量を8.00gとすることにより、1−アダマンチルアミンと水素化アルミニウムとの錯体を50重量%含有する無色透明の溶液を調製した。
<取り扱い安定性試験>
上記で調製した溶液を用い、実施例1におけるのと同様にして取り扱い安定性試験を行ったところ、空気中におけるバイアルびんの開封後30分が経過しても外観上変化がなく、無色透明のままであり、この溶液の空気中における取り扱いの安全性が確認された。
<アルミニウム膜の形成>
上記で調製した1−アダマンチルアミンと水素化アルミニウムとの錯体を50重量%含有する溶液を用いたほかは、実施例1と同様にしてシリコン基板上に金属光沢を有する膜を形成した(操作雰囲気は、酸素濃度5ppm以下の窒素雰囲気である。)。この膜のESCAスペクトルを観察したところ、73.5eVにAl2pに帰属されるピークが観察され、この膜がアルミニウム膜であることが分かった。膜厚は190nm、比抵抗値は51.5μΩ・cm、540nm波長の光に対する反射率は49%であった。
上記実施例1で調製したn−ドデシルアミンと水素化アルミニウムとの錯体を50重量%含有する溶液を用い、アルミニウム膜の形成における操作(1)ないし(3)をいずれも酸素濃度100ppmの窒素雰囲気下で行ったほかは実施例1と同様に実施して、シリコン基板上に金属光沢を有する膜を形成した。本実施例では、操作雰囲気の酸素濃度が高いにもかかわらず、アルミニウム膜形成用組成物及びこれを塗布した基板上の様子は上記実施例1のときと別段変わったところはなく、操作は安全に進行した。
上記シリコン基板上に形成された膜のESCAスペクトルを観察したところ、73.5eVにAl2pに帰属されるピークが観察され、この膜がアルミニウム膜であることが分かった。膜厚は200nm、比抵抗値は59.4μΩ・cm、540nm波長の光に対する反射率は38%であった。
実施例4
上記実施例2で調製した1−アダマンチルアミンと水素化アルミニウムとの錯体を50重量%含有する溶液を用い、アルミニウム膜の形成における操作(1)ないし(3)をいずれも酸素濃度100ppmの窒素雰囲気下で行ったほかは実施例2と同様に実施して、シリコン基板上に金属光沢を有する膜を形成した。本実施例では、操作雰囲気の酸素濃度が高いにもかかわらず、アルミニウム膜形成用組成物及びこれを塗布した基板上の様子は上記実施例2のときと別段変わったところはなく、操作は安全に進行した。
上記シリコン基板上に形成された膜のESCAスペクトルを観察したところ、73.5eVにAl2pに帰属されるピークが観察され、この膜がアルミニウム膜であることが分かった。膜厚は200nm、比抵抗値は58.4μΩ・cm、540nm波長の光に対する反射率は38%であった。
<トリエチルアミンと水素化アルミニウムとの錯体の合成>
磁気攪拌子を入れた200mLの三口フラスコ中に水素化リチウムアルミニウム3.80gを仕込んだ。三口フラスコの3つの接続口にはそれぞれ100mLの粉体添加用漏斗、窒素気流に接続した吸引栓三方コック及びガラス栓を装着した。トリエチルアミンの塩化水素酸塩(和光純薬工業(株)製)17.80gを添加漏斗に仕込んだ後に、三口フラスコを吸引栓三方コックを介して窒素シール下においた。
上記の三口フラスコにガラス製シリンジを用いてヘキサン100mLを加えた。マグネチックスターラにより回転数1,000rpmで攪拌しながら、添加漏斗からトリエチルアミンの塩化水素酸塩を10分間かけて三口フラスコ中に徐々に落とした後、更に2時間攪拌を継続した。
次いで、ポリテトラフロロエチレン製のチューブの先端に脱脂綿(日本薬局方脱脂綿)を詰めたものを用いて、反応混合物を圧送により別容器に取り出し、次いでポリテトラフロロエチレン製の孔径0.1μmのメンブランフィルタ(Whatman Inc.製)によりろ過した。ろ液は300mLナス型フラスコで受け、ろ過終了後にナス型フラスコ磁気攪拌子を入れ、三方コックを装着した。
この三方コックを、トラップを介して真空ポンプに接続し、マグネチックスターラによって回転数300rpmで攪拌しながら減圧にて溶媒を除去した。溶媒除去後、残存物をポリテトラフロロエチレン製の孔径0.1μmのメンブランフィルタ(Whatman Inc.製)を用いて濾過することにより、トリエチルアミンと水素化アルミニウムとの錯体10.25gを、無色透明の液体として得た(収率55%)。
<アルミニウム錯体を含有する溶液の調製>
上記で得たトリエチルアミンと水素化アルミニウムとの錯体4.00gに4−メチルアニソールを加えて全量を8.00gとすることにより、トリエチルアミンと水素化アルミニウムとの錯体を50重量%含有する無色透明の溶液を調製した。
<取り扱い安定性試験>
上記で調製した溶液を用い、実施例1におけるのと同様にして取り扱い安定性試験を行った。空気中でバイアルびんを開封した直後に白色煙が発生し、同時に溶液が白濁し始めた。そのまま開封状態で空気中に静置したところ、開封後約10分経過後に、溶液が発火し、この溶液は空気中において安全に取り扱うことができなかった。
以下の操作はすべて酸素濃度100ppmの窒素雰囲気下で実施した。
(1)アルミニウム膜形成用組成物の調製
上記で調製したトリエチルアミンと水素化アルミニウムとの錯体を50重量%含有する溶液の0.50mLをとり、これを室温下で撹拌しつつ、上記調製例1で調製したシクロペンタジエニルチタニウムトリクロリドを20μmol/g含有する溶液の27μLを加え、更に1分間撹拌を継続することにより、アルミニウム膜形成用組成物を調製した。この段階で組成物は発熱して白煙を生じ、且つ組成物に沈殿物が生成し始めた。
(2)シリコン基板への下地膜形成
実施例1におけるのと同様にして、シリコン基板上に下地膜を形成した。
(3)アルミニウム膜の形成
上記下地膜を形成したシリコン基板をスピンコーターの装着し、この上に上記で調製したアルミニウム膜形成用組成物の全量を滴下し、回転数800rpmで10秒間スピンした。この段階で、基板上から激しく白煙が上がり、基板の一部から発火したため、操作を中断した。
トリエチルアミンと水素化アルミニウムとの錯体を含有する組成物は、酸素濃度100ppmの窒素雰囲気下では安全に取り扱うことはできなかった。
Claims (5)
- 上記式(1)におけるR1並びに式(2)中のR4及びR7が、それぞれ独立に、炭素数12〜18のアルキル基又は炭素数7〜10の脂環式基であり、式(1)中のR2及びR3並びに式(2)中のR5、R6、R8及びR9が水素原子である、請求項1に記載のアルミニウム膜形成用組成物。
- さらにチタン化合物を含有する、請求項1又は2に記載のアルミニウム膜形成用組成物。
- 基体上に請求項1〜3のいずれか一項に記載のアルミニウム膜形成用組成物を塗布して塗膜を形成し、該塗膜に加熱及び光照射のうちの少なくとも一種の処理を施すことを特徴とする、アルミニウム膜の形成方法。
- 基体が予めチタン、パラジウム及びアルミニウムよりなる群から選ばれる少なくとも一種の金属を含む有機金属化合物(ただし上記式(1)で表される錯体及び上記式(2)で表される錯体を除く。)を含有する下地膜形成用組成物が塗布され次いで加熱されたものである、請求項4に記載のアルミニウム膜の形成方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008076638A JP5071668B2 (ja) | 2008-03-24 | 2008-03-24 | アルミニウム膜形成用組成物及びアルミニウム膜の形成方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008076638A JP5071668B2 (ja) | 2008-03-24 | 2008-03-24 | アルミニウム膜形成用組成物及びアルミニウム膜の形成方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2009227864A JP2009227864A (ja) | 2009-10-08 |
JP5071668B2 true JP5071668B2 (ja) | 2012-11-14 |
Family
ID=41243628
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2008076638A Expired - Fee Related JP5071668B2 (ja) | 2008-03-24 | 2008-03-24 | アルミニウム膜形成用組成物及びアルミニウム膜の形成方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5071668B2 (ja) |
Families Citing this family (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011236479A (ja) * | 2010-05-12 | 2011-11-24 | Tokyo Electron Ltd | 金属膜形成システム、金属膜形成方法、プログラム及びコンピュータ記憶媒体 |
JP2011236478A (ja) * | 2010-05-12 | 2011-11-24 | Tokyo Electron Ltd | 金属膜形成システム、金属膜形成方法、プログラム及びコンピュータ記憶媒体 |
JP2011238841A (ja) * | 2010-05-12 | 2011-11-24 | Tokyo Electron Ltd | 金属膜形成システム |
KR101021280B1 (ko) * | 2010-11-11 | 2011-03-11 | 한국기계연구원 | 습식공정을 이용한 알루미늄 전극의 제조방법 및 이에 의하여 제조되는 알루미늄 전극 |
JP2012216570A (ja) * | 2011-03-31 | 2012-11-08 | Jsr Corp | 半導体装置の製造方法 |
WO2013129701A1 (ja) | 2012-03-02 | 2013-09-06 | 独立行政法人科学技術振興機構 | 導電性膜の形成方法 |
JP6669449B2 (ja) * | 2014-11-26 | 2020-03-18 | 東ソー・ファインケム株式会社 | 化学的に安定なアルキルアルミニウム溶液、アルキルアルミニウム加水分解組成物溶液及び酸化アルミニウム薄膜の製造方法 |
Family Cites Families (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP3817201B2 (ja) * | 2002-04-19 | 2006-09-06 | Jsr株式会社 | 導電性膜形成用組成物、導電性膜およびその形成法 |
JP2006213943A (ja) * | 2005-02-01 | 2006-08-17 | Jsr Corp | アルミニウム膜の形成方法 |
JP4892839B2 (ja) * | 2005-02-25 | 2012-03-07 | Jsr株式会社 | アルミニウム膜を形成する方法 |
JP4612533B2 (ja) * | 2005-11-30 | 2011-01-12 | Jsr株式会社 | アルミニウム膜の形成方法 |
JP4815199B2 (ja) * | 2005-11-30 | 2011-11-16 | Jsr株式会社 | コーティング用組成物を用いたアルミニウム膜の形成方法およびアルミニウム膜 |
JP4930681B2 (ja) * | 2006-02-08 | 2012-05-16 | Jsr株式会社 | チューブ内面へのアルミニウム膜の成膜方法 |
JP2008024617A (ja) * | 2006-07-19 | 2008-02-07 | Ube Ind Ltd | 高純度トリアルキルアルミニウム及びその製法 |
-
2008
- 2008-03-24 JP JP2008076638A patent/JP5071668B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2009227864A (ja) | 2009-10-08 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5071668B2 (ja) | アルミニウム膜形成用組成物及びアルミニウム膜の形成方法 | |
JP4706544B2 (ja) | アルミナ膜形成方法 | |
TWI390070B (zh) | β-二亞胺配位子來源及其含金屬之化合物與包含彼等之系統與方法 | |
KR101605650B1 (ko) | 구리막 형성용 조성물 및 상기 조성물을 이용한 구리막의 제조방법 | |
KR20140025408A (ko) | 산화몰리브덴을 함유하는 박막의 제조방법, 산화몰리브덴을 함유하는 박막의 형성용 원료 및 몰리브덴아미드 화합물 | |
TWI611038B (zh) | 由有機釕化合物構成之化學蒸鍍用原料及使用該化學蒸鍍用原料之化學蒸鍍法 | |
JP2011061208A (ja) | 金属パターン形成用組成物およびこれを利用した金属パターン形成方法 | |
US20130323413A1 (en) | Zinc oxide film-forming composition, zinc oxide film production method, and zinc compound | |
WO2012053433A1 (ja) | アルミナ膜形成方法 | |
WO2013130450A2 (en) | Self-reducing metal complex inks soluble in polar protic solvents and improved curing methods | |
TWI801355B (zh) | 化合物、薄膜形成用原料、原子層堆積法用之薄膜形成用原料及薄膜之製造方法 | |
TWI291938B (ja) | ||
WO2012053436A1 (ja) | アルミナ膜形成用組成物及びアルミナ膜形成方法 | |
KR20120056827A (ko) | 고온에서 원자층 침착에 의해 침착된 고 유전율 막 | |
TWI314590B (en) | Composition for forming silicon.aluminum film, and method for forming silicon.aluminum film | |
JPWO2006049059A1 (ja) | 金属化合物、薄膜形成用原料及び薄膜の製造方法 | |
JP5408436B2 (ja) | アルミニウム膜形成用組成物の製造方法 | |
JP5093448B2 (ja) | トレンチ埋め込み方法 | |
TW201326185A (zh) | 製膜用材料、IV族金屬氧化物膜及伸乙烯基二醯胺(vinylendiamide)錯合體 | |
JP5799856B2 (ja) | アルミニウム含有膜の形成方法 | |
WO2008105557A1 (ja) | アルミニウム膜形成用組成物及びアルミニウム膜形成方法 | |
JP5817593B2 (ja) | アルミニウム体形成用組成物、及びアルミニウム体形成方法 | |
TWI740541B (zh) | 由含有機錳化合物而成的化學蒸鍍用原料及使用該化學蒸鍍用原料的化學蒸鍍法 | |
JP4930681B2 (ja) | チューブ内面へのアルミニウム膜の成膜方法 | |
JP2013044002A (ja) | アルミニウム膜形成方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20100922 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20120717 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20120725 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20120807 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 5071668 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150831 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150831 Year of fee payment: 3 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |